JPH07215708A - ヒドラジンの錯化合物、ヒドラジンの錯化合物を用いた固溶体粉末、アルミナ−ジルコニア系粉体材料、アルミナ−ジルコニア系セラミック体、アルミナ−ジルコニア系砥粒及びこれらの製造方法 - Google Patents

ヒドラジンの錯化合物、ヒドラジンの錯化合物を用いた固溶体粉末、アルミナ−ジルコニア系粉体材料、アルミナ−ジルコニア系セラミック体、アルミナ−ジルコニア系砥粒及びこれらの製造方法

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JPH07215708A
JPH07215708A JP735594A JP735594A JPH07215708A JP H07215708 A JPH07215708 A JP H07215708A JP 735594 A JP735594 A JP 735594A JP 735594 A JP735594 A JP 735594A JP H07215708 A JPH07215708 A JP H07215708A
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zirconia
hydrazine
zirconium
yttrium
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JP735594A
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Masahiro Tamamaki
雅弘 玉巻
Soichi Fujii
荘一 藤井
Kojikazu Tsuda
幸二一 津田
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NIPPON KENMAZAI KOGYO KK
Japan Abrasive Co Ltd
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NIPPON KENMAZAI KOGYO KK
Japan Abrasive Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】成分が均一分布をなし、かつ微細で、結合性に
優れたアルミナ−ジルコニア系の粉体材料および高強
度、高靭性を有するアルミナ−ジルコニア系セラミック
ス体および研削性能の優れたアルミナ−ジルコニア系砥
粒並びにこれらの製造に有用なヒドラジンの錯化合物を
提供し、またこれらの製造方法を提供する。 【構成】ヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウムある
いはイットリウムとの配位結合によって形成された二核
錯体からなる錯化合物、この錯化合物を粉砕後仮焼して
得られる固溶体粉末、この固溶体粉末を熱処理して得ら
れるアルミナ−ジルコニア系粉体材料、このアルミナ−
ジルコニア系粉体材料を金型成型し、HIP処理して得
られるアルミナ−ジルコニア系セラミック体、錯化合物
を粉砕後仮焼し、焼成して得られるアルミナ−ジルコニ
ア系砥粒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度及び高靭性を有す
る切削工具などの刃物類、ボールなどの粉砕メディア、
軸受等の機械部品用アルミナ−ジルコニア系セラミック
体等に用いるアルミナ−ジルコニア系粉体材料並びにラ
ッピング材、ポリッシング等の微粉研磨材料及び研削砥
石、研磨布紙等のアルミナ−ジルコニア系砥粒、及びこ
の砥粒に用いるアルミナ−ジルコニア系粉砕材料、さら
にはこれらの製造に有用な錯化合物、及びこれらの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Al2 3 中にZrO2 (もしくはZr
2 -Y2 3 )を分散させて強化したセラミックスは
ZrO2 強化Al2 3 (ZrO2 -toughened Al2
3 )略してZTAと呼ばれ高強度、高靭性を有し、切
削工具などに用いられている。ZTAの製造方法として
は、「ジルコニアセラミックス 4」の1〜15頁、論
文名『気相反応法Al2 3 −ZrO2 複合粉体からの
ZrO2 強化Al2 3 セラミックスの製作』に、種々
の方法があげられている。例えば、共沈法、ゾル・
ゲル法、アトリータによる混合、融解急冷法、A
l−Zr合金の水熱酸化法、ICP(高周波プラズマ
発光装置)によるAl−Zr塩混合溶液の分解、Zr
塩を含むAl2 3 スラリーの熱分解及び本論文による
気相反応法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの粉体
材料の製造方法はいずれも十分に満足いくものではな
い。つまり、共沈法は出発原料としてZr(SO4
2 +Al2 (SO4 3 またはZrCl4 +AlCl3
+YCl3 等を用い、アンモニア水等を滴下して中和共
沈を行う方法で、その作業性は良好であるが得られた粉
末は単にZr、Al、Yの中和物が単独に混在するもの
であり結合性に欠ける。ゾル・ゲル法は、出発原料に
アルミニウムとジルコニウムのアルコキシドを用いてお
り、出発原料が高価である。アトリータによる混合
は、共沈法、アルコキシド法もしくは加水分解法で得ら
れたジルコニア材料と易焼結アルミナなどをアトリータ
ミルを用いて均一に混合する方法であるが、化学的手法
に対しその均一性には限界がある。融解急冷法は、出
発原料を溶融炉を用いて融解し、急冷、粉砕後均一なほ
ぼ非晶質(アモルファス)粉体材料を得る方法である
が、量産化は難しい。Al−Zr合金の水熱酸化法
は、出発原料にZrAl3 、Zr5 Al3 +H2 Oを用
いるため原料コストが高価である。ICPによるAl
−Zr塩混合溶液の分解、Zr塩を含むAl2 3
ラリーの熱分解(噴霧熱分解法)及び気相反応法につ
いては高周波プラズマ発光装置、熱分解装置、気相発生
装置等の高温を発生するプロセスが必要となり設備費が
膨大となる。
【0004】そこで、本発明の目的とするところは、こ
れらの問題点の解決を図り、均一で微細であり、かつア
ルミナ−ジルコニアの結合性が優れており、高強度、高
靭性を有するアルミナ−ジルコニア系セラミックス体、
アルミナ−ジルコニア系砥粒、およびこれらの材料とな
るアルミナ−ジルコニア系粉体あるいは粉砕材料、さら
にはこれらの製造に有用な錯化合物およびこれらの製造
方法を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意研究した結果、アルミニウム、ジル
コニウム、あるいはこれらにさらにイットリウムを加え
た原料を液相(水等)でヒドラジンと反応させることに
より生成した錯体がきわめて有用であることを見出だし
たものである。
【0006】すなわち、本発明はまずヒドラジンNH2
NH2 が二核錯体を形成することに着眼し、一般式、
【化3】 で現される、ヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウム
あるいはイットリウムとの配位結合によって形成された
二核錯体からなる錯化合物の生成に成功した点に端緒を
有している。ここでいう錯化合物とは、ヒドラジンとア
ルミニウム、ジルコニウムあるいはイットリウムとの配
位結合によって形成された二核錯体の基本単位同志が、
両端のアルミニウム、ジルコニウムあるいはイットリウ
ムにおいて金属結合あるいはヒドラジンとの配位結合に
より互いに結合して生成されている化合物を称する。
【0007】このような錯化合物は、アルミニウム及び
ジルコニウムのハロゲン化物あるいはさらにイットリウ
ムのハロゲン化物の水溶液にヒドラジンを攪拌しながら
添加することによって容易に得られる。
【0008】こうして得られた錯化合物は、粉砕後、酸
化雰囲気中において300℃以上の温度で仮焼すればZ
r−O−Al結合に代表される酸素原子の両端にアルミ
ニウム及びジルコニウムあるいはイットリウムが結合し
た固溶体粉末が得られ、この固溶体粉末を900℃〜1
300℃の範囲で熱処理すればアルミナ−ジルコニア系
粉体材料が得られる。また、このアルミナ−ジルコニア
系粉体材料を金型成型し、HIP処理すれば、アルミナ
−ジルコニア系セラミック体が得られる。
【0009】また、錯化合物を粉砕後、酸化雰囲気中に
おいて300℃以上の温度で仮焼し、1350〜160
0℃の温度で焼成すればアルミナ−ジルコニア系砥粒が
得られる。
【0010】好ましいアルミナ−ジルコニア系粉体材料
の製造方法としては、最終製品でAl2 3 :95〜5
0mol%、ZrO2 :5〜50mol%及びZrO2
に対してY2 3 :1〜3mol%からなるように配合
計算したアルミニウム、ジルコニウム、イットリウムの
ハロゲン化物を、液相でヒドラジンと反応させて生成し
た錯化合物の水洗洗浄物を乾燥、粉砕、仮焼し、さらに
900℃〜1300℃の範囲で熱処理を施す方法が上げ
られる。このようにして得られたアルミナ−ジルコニア
系粉体材料を分級後、金型成型し、HIP処理を行う工
程は、アルミナ−ジルコニア系セラミック体の好ましい
製造方法である。
【0011】また、最終製品でAl2 3 :95〜50
mol%、ZrO2 :5〜50mol%及びZrO2
対してY2 3 :1〜3mol%からなるように配合計
算したアルミニウム、ジルコニウム、イットリウムのハ
ロゲン化物を、液相でヒドラジンと反応させて生成した
錯化合物の水洗洗浄物を乾燥、粉砕、仮焼し、さらに1
350〜1600℃の温度で焼成する方法は、好ましい
アルミナ−ジルコニア系砥粒の製造方法である。
【0012】出発原料にアルミニウム、ジルコニウム、
イットリウムのハロゲン化物、特に好ましくは塩化物の
ZrCl4 、AlCl3 、YCl3 を用いれば、安価で
あり、これを溶媒(水)に混合した水溶液にヒドラジン
を滴下するという実に簡単な方法で目的とする錯化合物
が容易に得ることができる。この錯化合物は、粉砕後、
300℃以上に加熱すると結合したヒドラジンが空気中
の酸素と反応してNH2 とN2 を放出し、均一で堅固な
Zr−O−Al結合、あるいはこれと同様に、酸素原子
の両端にアルミニウム及びジルコニウムあるいはイット
リウムが結合した固溶体粉末が得られる。
【0013】最終製品でAl2 3 :95〜50mol
%、ZrO2 :5〜50mol%及びZrO2 に対して
2 3 :1〜3mol%からなるように配合計算した
のは次の理由による。すなわち、ZrO2 量が5mol
%以下の場合ZrO2 量が体積%で約4vol%以下と
少なくなり、最終製品で目的とするZrO2 分散の強化
機構が十分に働かず靭性が低下する。また、ZrO2
50mol%以上とすることはZrO2 の割合が約45
vol%となりZrO2 の分散割合が増大し、高価なZ
rO2 の添加の割りには靭性、強度の向上は認められな
い。
【0014】なお、周知の通りZrO2 は高温域で結晶
変態を生じるので、この解決手段としてCaO、Mg
O、TiO2 、あるいはY2 3 などの稀土類酸化物の
添加が有効である。本発明においてもこれらの種々の安
定化剤を1種もしくは2種以上組み合わせて用いること
は品質特性のさらなる向上に有効である。ただし、室温
のみでの使用を考えた場合は、これらの安定化剤を用い
ずとも十分な使用に耐え得るものと考えられるが、本発
明では特にZrとイオン半径(Zr4+:0.82A)が
近似し、少量の添加で安定化の効果が得られるY2 3
(Y3+:0.96A)を用いることが特に望ましい。ま
た、Y2 3 の添加量をZrO2 に対して1〜3mol
%としたのは、1mol%以下では十分な安定化の効果
が得られず、3mol%以上ではやや靭性に劣る立方晶
が多量に発生し靭性低下が生じるためである。
【0015】次に本発明を工程順に従いさらに詳しく説
明する。
【0016】[1]ヒドラジンの錯化合物の生成 (1)水溶液の作成 アルミニウム、ジルコニウムのハロゲン化物、あるいは
さらにイットリウムのハロゲン化物の水溶液を作成す
る。ハロゲン化物としては、塩化物たるZrCl4 、A
lCl4 、YCl4 を用い、あらかじめ蒸留水に溶解し
て水溶液を作成する。水溶液中の各々の濃度は飽和する
まで可能であるが、好ましくはそれぞれの酸化物換算で
0.05〜2mol%程度である。
【0017】(2)ヒドラジンの添加 ヒドラジンNH2 NH2 の添加は反応を促進するために
あらかじめ水溶液を40〜60℃に加熱し、攪拌しなが
ら徐々に行うことが好ましい。
【0018】沈殿物は、一般式
【化4】 で現されるヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウムあ
るいはイットリウムとの配位結合によって形成された二
核錯体からなる錯化合物を形成する。
【0019】[2]Zr−O−Al結合を有する固溶体
粉末の生成 (1)錯体沈殿物の洗浄 錯体沈殿物に付着している未反応物(過剰に添加された
ヒドラジン)及び生成物(NH4 Cl)を取り除くため
に十分に水洗を行うのが好ましい。洗浄方法としては遠
心分離機を用い、約60〜80℃で湯洗を3〜5回行う
ことが作業の簡便化を図る上で好ましい。
【0020】(2)錯体沈殿物の乾燥 乾燥機は適当な乾燥装置で良く、例えば熱風乾燥機、真
空乾燥機が使用できる。乾燥は、例えば錯体沈殿物をス
テンレスバットなどに0.5〜3cmの厚さになるよう
に広げ、150℃以下の温度で静置乾燥し、十分に水分
を除去する。また、用途目的により、押し出し成形機の
ような成形機を使用して一定の形にした後、150℃以
下の温度で乾燥させることもできる。
【0021】(3)粉砕、仮焼 錯体沈殿物を乾燥終了後、乳鉢、万能攪拌機、ボールミ
ル等であらかじめ粉砕する。錯体沈殿物中のヒドラジン
を除去するには、酸化雰囲気(大気)中で300〜60
0℃で約3時間加熱すれば良い。ヒドラジンは空気中の
酸素と反応してNH3 とN2 を放出し、Zr−O−Al
結合、あるいはこれと同様に、酸素原子の両端にアルミ
ニウム及びジルコニウムあるいはイットリウムが結合し
た固溶体粉末を生成する。
【0022】[3]アルミナ−ジルコニア系粉体材料の
生成 固溶体粉末を電気炉を用い900〜1300℃で熱処理
すると、固溶体からγ,θもしくはα−Al2 3 +m
もしくはt−ZrO2 (イットリウムを用いた場合は固
溶体:YO1.5 を含む)を生成される。熱処理を施すの
は結晶化させることで粉体密度を向上させ取扱いを容易
にするためである。
【0023】[4]アルミナ−ジルコニア系セラミック
体の生成 熱処理後の粉体材料を、金型成型し、HIP処理すれば
アルミナ−ジルコニア系セラミック体が得られる。好ま
しくは、粉体材料を#350(45μm)のフルイ網に
掛け、フルイ下を50×10×5mmの金型を用いて成
形圧100〜300MPaで金型成型後、冷間静水圧プ
レス(CIP、成形圧:300〜500MPa)し、こ
の成形体を耐熱ガラスに真空封入し、この成形体を10
0〜300MPaの圧力下で1350〜1600℃×1
時間熱間静水圧プレス(HIP)する。HIP焼結は試
料の加熱と同時に静水圧圧縮するので緻密化が促進さ
れ、常圧下での焼結に比べ低温度で高密度のセラミック
ス体が得られる。
【0024】[5]アルミナ−ジルコニア系砥粒の調整 (1)錯体沈殿物(錯化合物)の粉砕・分級 錯体沈殿物の洗浄物乾燥品を、ロールクラッシャー、ボ
ールミル、インペラーブレーカーなどの粉砕機と振動篩
などの篩網を用いて、例えば1mm下に粉砕・分級す
る。
【0025】(2)仮焼・熱処理・焼成 ヒドラジンを除去するために酸化雰囲気(大気)中で3
00〜600℃で約3時間仮焼後、電気炉を用い900
〜1300℃で熱処理し、最終的には常圧で1350〜
1600℃で1〜3時間焼成すると目的の砥粒が得られ
る。なお、 砥粒の焼成にもHIP処理を施すことは緻
密化を促進する上で有効である。
【0026】
【作用】本発明においては、一般式、
【化5】 で現されるヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウムあ
るいはイットリウムとの配位結合によって形成された二
核錯体からなる錯化合物が、固溶体粉末、アルミナ−ジ
ルコニア系粉体材料、アルミナ−ジルコニア系セラミッ
ク体、アルミナ−ジルコニア系砥粒の製造に有用な物質
として得られ、これに基づきジルコニア成分が均一分散
され、かつ非常に微細で結合性に優れたアルミナ−ジル
コニア系粉体材料が得られ、また、高強度、高靭性を有
し、研削工具を初めとした各種のセラミック用途に最適
のアルミナ−ジルコニア系セラミック体が得られ、ま
た、各種用途に用い得るアルミナ−ジルコニア系砥粒が
得られる。
【0027】有効成分がヒドラジンと配位結合した二核
錯体からなる錯化合物を出発物質とするものであるか
ら、共沈法に比べてZr、Al、Yの結合性に優れてお
り、最終製品におけるジルコニアの分布に均一性が見ら
れ、また、ハロゲン化物、好ましくは塩化物を用いるた
め安価であり、さらにその製造方法もきわめて容易であ
る。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例によって詳しく説明す
る。
【0029】実施例1 アルミナ原料として塩化アルミニウム(AlCl3 )、
ジルコニア原料として塩化ジルコニウム(ZrC
4 )、イットリア原料として塩化イットリウム(YC
3 )を用い、蒸留水(イオン交換水)を使用して、表
1の組成になるように配合した。
【0030】マントルヒーターを用い各種原料を溶解し
た水溶液を40℃に加温した後、攪拌混合しながら20
0ml分液ロートを用い、ヒドラジン水加物[(N
2 2・H2 O]100mlを約1時間かけて徐々に
添加し、錯体沈殿物を得た。それぞれの錯体沈殿物を遠
心分離機を用い、約70℃で湯洗を4回行い、未反応物
(過剰のヒドラジン)、生成物(NH4 Cl)を除去し
た。次いで、錯体沈殿物をステンレストレーに厚さ0.
5cmになるように入れ、温風乾燥機を用い、80℃で
2時間乾燥し、乾燥品を得た。次ぎに、乳鉢であらかじ
め粉砕後、大気中で350℃で約3時間加熱し、錯体沈
殿物中のヒドラジンを除去した固溶体粉末を得た。
【0031】次ぎに、固溶体粉末を電気炉を用い120
0℃で1時間熱処理し、α−Al23 +t−ZrO2
(固溶体:YO1.5 を含む)を生成させた。生成物をT
EM(透過電子顕微鏡)観察したところ粒子径約40n
mのt−ZrO2 が粒子径約0.2μmのα−Al2
3 中に均一分散していることが分かった。
【0032】本熱処理品を#350(45μm)のフル
イ網を用いフルイ下を50×10×5mmの金型を用い
て成形圧約150MPaで金型成形後、CIP処理(成
形圧:約400MPa)し、この成形体を耐熱ガラスに
真空封入した。次ぎに、この成形体を約200MPaの
圧力下で1500℃×1時間HIP処理して焼結体を得
た。
【0033】得られた焼結体については、密度(相対密
度)、ビッカース硬度(JIS Z2244、ビッカー
ス硬さ試験方法)、強度(曲げ強度:JIS R−16
01、ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)及び
靭性(破壊靭性:KIC:JIS R 1607、ファイ
ンセラミックスの破壊靭性試験方法)の測定を行った。
また、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて結晶サイズ
の測定並びに均一性(アルミナ中のジルコニアの分布状
態)の確認を行った。
【0034】また、同様の手法で作成した比較例並びに
従来技術の中和共沈法(出発原料:AlCl3 、Zr
Cl4 、YCl3 、+アルカリ:アンモニア)に基づき
調整したHIP焼結体の諸特性を比較例として表1に示
す。
【0035】試料番号1〜6で得られた焼結体のZrO
2 の結晶サイズは、いずれも0.7μm以下と小さく分
布状態も均一である。また、硬度も17GPa以上と高
く、曲げ強度:500MPa以上、破壊靭性(KIC):
5MPam1/2 以上と大きく優れている。
【0036】比較例における試料番号7はZrO2 が3
mol%と少なく、分散するZrO2 量が少ないため強
度及び靭性が低い。逆に試料番号8ではZrO2 量が多
いために分布状態はやや不均一となり、高価なZrO2
の添加の割には品質は向上しない。また、硬度も15G
Pa以下と低くなる。
【0037】試料番号9はZrO2 の安定化剤たるY2
3 の量をZrO2 に対して1mol%と減じたもので
あるが硬度がやや低い。試料番号10では、逆にY2
3 の量をZrO2 に対して4mol%と増したものであ
るが、結晶相で立方晶が出現するために靭性は4.9と
著しく低下する。
【0038】試料番号11と12は、従来技術の共沈法
に基づき試作したものであるが、この製法では粉体は単
純に混合されただけであるために均一性に欠け、焼結密
度も99%以下と低いため同一組成の試料番号3、5に
比べて硬度、強度及び靭性は低い。
【0039】
【表1】 実施例2 試料番号3及び5の洗浄物乾燥品をロールクラッシャー
で粉砕し、振動篩の篩網を用いて1mm下に粉砕・分級
する。ヒドラジンを除去するために大気中で350℃で
約3時間仮焼後、電気炉を用い1200℃で1時間熱処
理し、最終的には常圧で1500℃で2時間焼成した
後、振動篩の篩網を用いて粒度#36の砥粒を得た。
【0040】本砥粒および比較例として市販の溶融急冷
アルミナ−ジルコニア砥粒のZrO2 :25wt%(約
22mol%)タイプと40%タイプ(約36mol
%)を用いてオフセット砥石を作成後、被削材にSUS
−304を用いて研削試験を行った。研削能率は溶融急
冷品ZrO2 :25wt%タイプを100とした場合、
ZrO2 :40wt%タイプ=180、試料番号3=2
20、試料番号5=310と著しく優れた結果が得られ
た。この理由は、従来の溶融急冷品は結晶中にα−Al
2 3 の10μmを越える初晶をZrO2 :40%タイ
プで少なくとも約5vol%以上、25%タイプでは約
50vol%以上含んでいるために均一性に欠けるが、
本発明実施の砥粒は結晶サイズがα−Al2 3 、t−
ZrO2 のいずれも1μm以下と小さくかつ均一である
ためと考えられる。
【0041】
【発明の効果】以上の通り本発明は、アルミナ−ジルコ
ニア系の粉体材料、セラミック体、砥粒の製造に有用な
ヒドラジンの錯化合物およびその製造方法を提供し、こ
れを用いて有効成分を均一分散させ、かつ非常に微細で
結合性に優れたアルミナ−ジルコニア系の粉体材料、高
強度、高靭性を有し、研削工具を初めとした各種のセラ
ミック用途に最適のセラミック体、並びに優れた研削性
能を発揮する砥粒を提供し得たものであり、その製造方
法もきわめて容易であり、この種技術分野に資するとこ
ろ大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01F 17/00 B 9040−4G C01G 25/00 C04B 35/10 (54)【発明の名称】 ヒドラジンの錯化合物、ヒドラジンの錯化合物を用いた固溶体粉末、アルミナ−ジルコニア系粉 体材料、アルミナ−ジルコニア系セラミック体、アルミナ−ジルコニア系砥粒及びこれらの製造 方法

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式、 【化1】 で現されるヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウムあ
    るいはイットリウムとの配位結合によって形成された二
    核錯体からなる錯化合物。
  2. 【請求項2】 アルミニウム及びジルコニウムのハロゲ
    ン化物あるいはさらにイットリウムのハロゲン化物の水
    溶液にヒドラジンを攪拌しながら添加することを特徴と
    する一般式 【化2】 で現されるヒドラジンとアルミニウム、ジルコニウムあ
    るいはイットリウムとの配位結合によって形成された二
    核錯体からなる錯化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の錯化合物を粉砕後、酸化
    雰囲気中において300℃以上の温度で仮焼して得られ
    る固溶体粉末。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の固溶体粉末を900℃〜
    1300℃の範囲で熱処理して得られるアルミナ−ジル
    コニア系粉体材料。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のアルミナ−ジルコニア系
    粉体材料を金型成型し、HIP処理して得られるアルミ
    ナ−ジルコニア系セラミック体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の錯化合物を粉砕後、酸化
    雰囲気中において300℃以上の温度で仮焼し、135
    0〜1600℃の温度で焼成して得られるアルミナ−ジ
    ルコニア系砥粒。
  7. 【請求項7】 最終製品でAl2 3 :95〜50mo
    l%、ZrO2 :5〜50mol%及びZrO2 に対し
    てY2 3 :1〜3mol%からなるように配合計算し
    たアルミニウム、ジルコニウム、イットリウムのハロゲ
    ン化物を、液相でヒドラジンと反応させて生成した錯化
    合物の水洗洗浄物を乾燥、粉砕、仮焼し、さらに900
    ℃〜1300℃の範囲で熱処理を施すことを特徴とする
    アルミナ−ジルコニア系粉体材料の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の方法によって得られたアル
    ミナ−ジルコニア系粉体材料を分級後、金型成型し、H
    IP処理を行うことを特徴とするアルミナ−ジルコニア
    系セラミック体の製造方法。
  9. 【請求項9】最終製品でAl2 3 :95〜50mol
    %、ZrO2 :5〜50mol%及びZrO2 に対して
    2 3 :1〜3mol%からなるように配合計算した
    アルミニウム、ジルコニウム、イットリウムのハロゲン
    化物を、液相でヒドラジンと反応させて生成した錯化合
    物の水洗洗浄物を乾燥、粉砕、仮焼し、さらに1350
    〜1600℃の温度で焼成することを特徴とするアルミ
    ナ−ジルコニア系砥粒の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010234483A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Honda Motor Co Ltd 砥粒分級装置
JP2013159514A (ja) * 2012-02-03 2013-08-19 Shinagawa Refractories Co Ltd アルミナジルコニア耐火原料の製造方法、アルミナジルコニア耐火原料およびプレート耐火物
CN110091221A (zh) * 2019-05-13 2019-08-06 成都工业学院 一种模具表面处理方法

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