JPH0721209Y2 - クリーンルーム用フィルタダクトユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、クリーンルームに使用
するフィルタダクトのユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、半導体ウエハー等の製造を行う
クリーンルームは、室内空気に対して高度の清浄度が要
求される。

【０００３】従来、この種のクリーンルームとしては、
例えば、図９に示す全面ラミナーフロー（全面天井吹出
し）方式や図１０に示すコンベンショナル（部分天井吹
出し）方式が用いられている。

【０００４】上記全面ラミナーフロー方式では、図９に
示す如く、クリーンルームＲの上部一杯に天井チャンバ
Ｔｃを設け、この天井チャンバＴｃには、送気ダクトＤ
ｓを配設すると共に、その下面全体にフィルタＨとして
ＨＥＰＡ（High EfficiencyParticulate Airfilter ）
を敷設し、送気ダクトＤｓを介して供給される循環空気
ａをこのフィルタＨを通過させることによりその清浄度
を高めると共に、クリーンルームＲへ下降層流を吹き出
している。

【０００５】又、コンベンショナル方式では、図１０に
示す如く、クリーンルームＲの上部に張設した天井板Ｔ
ｂの所要個所にフィルタＨを下面に設けたフィルタチャ
ンバＨｃを複数個配設し、それぞれに分岐した送気ダク
トＤｓを導き、クリーンルームＲ内へ清浄度を高めた清
浄空気ａを部分的に下方へ吹き出している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】然し、全面ラミナーフ
ロー方式のものにあっては、清浄空気流は、整斉とした
層流となるが、天井チャンバを必要とし、フィルタも全
面敷設となるため、室内天井が低くなるばかりか、材料
費や施設工事費が高価になるという不都合がある。

【０００７】又、コンベンショナル方式のものでは、フ
ィルタチャンバのフィルタ部分が天井板下面に突出して
おり、而も清浄空気の吹出しが下方の一方向だけである
ため、突出部分の側方に渦流が発生して停滞し、循環気
流とならないので、清浄にすることができないという欠
点がある。

【０００８】本考案は斯かる従来の問題点を解決するた
めに為されたもので、その目的は、天井チャンバやフィ
ルタチャンバを必要とせず、室内天井を高くすることが
できるばかりか、整流部材の併用により整斉とした清浄
空気の層流が得られ、更に作成が簡単で設置も容易にで
き低コスト化が図れるクリーンルーム用フィルタダクト
ユニットを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、長手方向両端
辺にフランジが取り付けてある断面コ字状のダクトと、
フィルタと、少なくとも一側に湾曲部を有する接続用の
フランジとを有し、フィルタの長手方向の少なくとも一
側部を湾曲させて断面コ字状のダクトに取り付けると共
に、断面コ字状のダクトの長手方向両端部に接続用のフ
ランジを取り付け、接続用のフランジ内にフィルタを架
設して構成したものである。

【００１０】

【００１１】

【００１２】

【作用】本考案に於ては、接続用のフランジを介して所
定長さのフィルタダクトを形成することができ、このフ
ィルタダクトは断面コ字状のダクトを介してクリーンル
ームの天井に設置することができる。

【００１３】そして、フィルタダクト内に清浄空気が送
られてくると、フィルタの平坦部ではクリーンルームの
床に向かって吹き出し、フィルタの湾曲部では天井面下
１８０度又は９０方向へ清浄空気を吹き出すことができ
る。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１乃至図３は本考案を天井隅用フィルタダクト
ユニットに適用した第一実施例を示し、２１はその天井
隅用フィルタダクトユニットである。

【００１５】この天井隅用フィルタダクトユニット２１
は、長手方向両端が開口し、その周縁に帯状のフランジ
２３が取り付けてある断面コ字状のダクト２２と、フィ
ルタ２４と、一側に湾曲部２６を有する帯状の接続用の
フランジ２５とを有し、フィルタ２４の長手方向の一側
部を湾曲させて接続用のフランジ２５に取り付けて接続
用のフランジ２５内にパッキン３０を介してフィルタ２
４の端部を架設し、フィルタ２４の湾曲部２４ａと対向
する部位に板体２７を配すると共に板体２７の下端部を
フィルタ２４の長手方向端部に当接し、フィルタ２４及
び板体２７の長手方向上端部に補強プレート２８，２９
を載置し、補強プレート２８，２９上に断面コ字状のダ
クト２２を取り付けた後、補強プレート２８，２９の部
位でビス３１によって固着されるようになっている。

【００１６】又、フランジ２３及び２５には、連結用の
皿ビス３３を取り付ける皿ビス用孔３２が適当な間隔を
もって複数個穿設されている。斯くして構成された天井
隅用フィルタダクトユニット２１は、パッキンを介して
各フランジ２３及び２５同士が接合されると共に、皿ビ
ス３３によって連結されて、例えば、図７に示す如き所
定長さの天井隅用ダクト１０を形成することができる。

【００１７】図４乃至図６は天井用フィルタダクトユニ
ット４１の実施例を示すものである。この天井用フィル
タダクトユニット４１は、長手方向両端が開口し、その
周縁に帯状のフランジ４３が取り付けてある断面コ字状
のダクト４２と、フィルタ４４と、両側に湾曲部４７を
有する帯状の接続用のフランジ４６とを有し、フィルタ
４４の長手方向の両側部を湾曲させて接続用のフランジ
４６に取り付けて接続用のフランジ４６内にパッキン５
０を介してフィルタ４４の端部を架設し、フィルタ２４
の長手方向上端部に側部に適当間隔で複数の皿ビス取付
孔５２を穿設した補強プレート４８，４９を載置し、補
強プレート４８，４９上に断面コ字状のダクト４２を取
り付けた後、補強プレート４８，４９の部位でビス５３
によって固着されるようになっている。

【００１８】又、フランジ４３及び４６には、連結用の
皿ビスを取り付ける皿ビス用孔５４が適当な間隔をもっ
て複数個穿設されている。斯くして構成された天井用フ
ィルタダクトユニット４１は、パッキンを介して各フラ
ンジ４３及び４７同士が接合されると共に、皿ビスによ
って連結されて、例えば、図７に示す如き所定長さの天
井用ダクト２０を形成することができる。

【００１９】図７は図１乃至図３によって形成された天
井隅用フィルタダクトユニット２１と図４乃至図６によ
って形成された天井用フィルタダクトユニット４１とで
構成したクリーンルームＲを示す。

【００２０】先ず、クリーンルームＲの寸法に合わせて
所要数の天井隅用フィルタダクトユニット２１及び天井
用フィルタダクトユニット４１をそれぞれ連結して天井
隅用フィルタダクト１０及び天井用フィルタダクト２０
を組み立て、送気ダクトＤｓの分岐ダクトＤｂを接続す
る接続口９ａ，１９ａを有する蓋板９，１９を前述の組
み立てた天井隅用フィルタダクト１０及び天井用フィル
タダクト２０の両端に取り付けて塞ぎ、クリーンルーム
Ｒの天井Ｒｔの所定位置にそれぞれ併設した後、前記分
岐ダクトＤｂを各接続口９ａ，１９ａに接続する。次
に、天井隅用フィルタダクト１０及び天井用フィルタダ
クト２０の中間に位置させて整流部材Ｓを天井Ｒｔ面に
配設する。

【００２１】これによって、図７に示すクリーンルーム
Ｒを形成することができる。斯くして構成されたクリー
ンルームＲに、送気ダクトＤｓの分岐ダクトＤｂからこ
れら天井隅用フィルタダクト１０及び天井用フィルタダ
クト２０へ循環空気Ａを送り込むと、図８に示す如く、
クリーンルームＲ内に於ては、フィルタ２４，４４から
吹き出される清浄空気ａが横方向へ吹き出すものは整流
部材Ｓによって進む方向を下方へ案内され、斜下方へ吹
き出すものは両方から合流して下方へ向かい、下方へ吹
き出すものはそのまま床へ向かって進み、これらが総合
されて下降層流となり、天井Ｒｔ近くに停滞する渦流を
発生することはない。

【００２２】尚、天井隅用フィルタダクトユニット２１
は、一対を背中合わせに結合することにより天井用フィ
ルタダクトユニット４１に代えて使用することができ
る。又、クリーンルームＲ内にフィルタダクトを設置す
るに際しては、天井隅用フィルタダクト１０及び天井用
フィルタダクト２０に組み立てず、天井隅用フィルタダ
クトユニット２１，天井用フィルタダクトユニット４１
をそれぞれ順々に設置しながら接続してゆき、最終的に
天井隅用フィルタダクト１０及び天井用フィルタダクト
２０となるようにすることも可能なので、一度に取り扱
う部材が小型軽量となるため設置作業が更に迅速容易と
なる。

【００２３】このクリーンルームＲは、ダクト２２，４
２が箱断面を為しているため、断面積が大きくなり、所
定の風量を補うことが可能となり、長手方向が長くて風
量が多いタイプのものに好適である。

【００２４】又、本実施例によれば、天井下に垂下がる
フィルタ部分をできるだけ短くしたい場合に、ダクト２
２，４２を天井内に入れることによって形成することが
できる。

【００２５】

【考案の効果】以上説明したように本考案は、少なくと
も一側部が湾曲形を為すフィルタを断面コ字状のダクト
に組み合わす構成としたので、外殻の成形だけでなくフ
ィルタの組付けも極めて簡単容易に行なうことができ、
更にクリーンルーム内への設置作業も効率的に実施可能
であるため、コストの低減化が図れるばかりか、天井チ
ャンバ並びにフィルタチャンバと送気ダクト配設区画等
を設ける必要がないことから室内の天井を高くすること
ができる。

【００２６】又、清浄空気の室内への吹出しに際して
も、横，斜め，下方へと吹出し面積を拡大することがで
き、横方向の吹出しは整流部材を用い下降流に変更し得
るので、渦流を天井下に滞留させることなく層流を供給
して清浄度が高められるなど数々の高価を呈するもので
ある。

【００２７】更に、断面コ字状のダクトによって断面積
を大きくすることが可能となり、所定の風量を補うこと
ができ、長手方向が長くて風量が多いタイプのクリーン
ルームに好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例である天井隅用フィルタダクト
ユニットの斜視図である。

【図２】図１に於ける天井隅用フィルタダクトユニット
の分解図である。

【図３】図１に於ける天井隅用フィルタダクトユニット
の接合部の拡大図である。

【図４】本考案の実施例である天井用フィルタダクトユ
ニットの斜視図である。

【図５】図４に於ける天井用フィルタダクトユニットの
分解図である。

【図６】図４に於ける天井用フィルタダクトユニットの
接合部の拡大図である。

【図７】本実施例の使用状態を示すクリーンルームの透
視斜視図である。

【図８】図７に示すクリーンルーム内に於ける清浄空気
の流れを示す正面図である。

【図９】従来の全面ラミナーフロー方式によりクリーン
ルームの概要構成を示す正面図である。

【図１０】従来のコンベンショナル方式によるクリーン
ルームの概要構成を示す正面図である。

【符号の説明】

２１ 天井隅用フィルタダクトユニット ４１ 天井用フィルタダクトユニット ２２，４２ ダクト ２３，２５，４５，４６ フランジ ２４，４４ フィルタ ２４ａ，４４ａ 湾曲部 ２７ 板体 ２８，２９，４８，４９ 補強プレート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向両端辺にフランジが取り付けて
   ある断面コ字状のダクトと、フィルタと、少なくとも一
   側に湾曲部を有する接続用のフランジとを有し、フィル
   タの長手方向の少なくとも一側部を湾曲させて断面コ字
   状のダクトに取り付けると共に、断面コ字状のダクトの
   長手方向両端部に接続用のフランジを取り付け、接続用
   のフランジ内にフィルタを架設して構成したことを特徴
   とするクリーンルーム用フィルタダクトユニット。