JPH07209189A - 試料液に電位を印加することにより、光学的に検出できるシグナルを発生する装置と方法 - Google Patents

試料液に電位を印加することにより、光学的に検出できるシグナルを発生する装置と方法

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JPH07209189A JP6312218A JP31221894A JPH07209189A JP H07209189 A JPH07209189 A JP H07209189A JP 6312218 A JP6312218 A JP 6312218A JP 31221894 A JP31221894 A JP 31221894A JP H07209189 A JPH07209189 A JP H07209189A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は電気化学発光測定を実施する測定セ
ルとプロセスとに関する。測定セルは作用電極と対向電
極とが中に配置され試料空間を有している。対向電極は
作用電極と光学検出器の間にあり光通過部に位置するよ
うに配置されている。 【効果】 本発明の測定セルにおいて電気化学発光反応
を発生させることによって、測定感度の向上、再現性の
向上がなされ、酸化還元反応において用いる必要のある
印加電圧を低下させることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気化学発光(ECL)
の分野に属し、とくに電気化学発光測定を行なう装置と
方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、本発明の電極配置を有する測
定セルの改善について述べる。
【0003】電気化学発光測定を実行する装置および方
法は、先行技術において知られている。国際公開第WO
89/10551号は、そのような装置について詳細に
記述している。その装置は測定セルを含み、セルは入
口、出口と前記測定セルの内側に配置された数枚の電極
とを有している。電気化学発光測定のために必要な、異
なる極性の2個の電極が同一平面上に並べて配置されて
いる。この平面の反対側で、かつ測定セルの内側に、光
学的放射がそこを通過してきて検出されうる光学窓の装
置が設けられている。前記の国際公開では連続的測定に
対する同一状態を提供するために、測定そのものより先
に、電極の電気化学的調整に主として関している。本明
細書では国際公開第WO89/10551号明細書全体
を参考にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電気化学発光測定に用
いるための現在の測定セルを改善して感度を向上するこ
と、再現性を向上すること、および酸化還元反応におい
て用いなければならない印加電圧を低下させることが本
発明の目的であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にしたがって、セ
ルを選択することによってこの目的が達成されることが
明らかにされてきていて、前記測定セルの中で作用電極
(working electrode)と対向電極(counter eletrode)と
が、測定セル内の容積の一部分が前記作用電極と前記対
向電極との2個の電極のあいだに囲われるようにして、
同一平面上に配置されないように作用電極と対向電極と
が配置されている。
【0006】本発明は試料液に電位を加えることによ
り、光学的に検出できるシグナルを発生する装置に関し
ている。本発明は、試料液を受入れ、かつ、液体を吸
入、排出させる少なくとも2個の開口部を有する測定セ
ルと、その電圧が調節可能な電源と、測定セルの内側に
配置されており、かつ、前記電源の第1の電極に接続さ
れた少なくとも1個の作用電極と、前記測定セルの内側
に配置されており、かつ、前記電源の第2の電極に接続
された少なくとも1個の対向電極と、前記測定セルの壁
面中に配置された光学窓からなり、前記少なくとも1個
の対向電極は、前記測定セルの内側であって、前記光学
窓と前記少なくとも1個の作用電極とのあいだに配置さ
れてなることを特徴としている。
【0007】光学的に検出できるシグナルを発生するこ
の発明の装置は液体の吸入、排出のための、望ましくは
2つの開口部のある測定チャンバを有している。
【0008】測定セルは単一または数種の、異なるが、
結合された部品から製造されうる。先行技術で用いられ
ている測定セルのための素材はプラスチック、ガラス、
金属を含んでいる。もしセルが数種の部品で構成される
ばあいは、これらの部品は接着、ねじ止め、リベット止
め、溶接によって互いに結合されうる。
【0009】測定セルの内側は、完全に液がさっと流れ
るような形状になっていることが望ましい。ゆえに、内
側のセルの望ましい具体例では、凹部などは有していな
い。その内側は、流れの方向に対して垂直な方向となっ
ていて、平面となっている細長い形状を有していること
が望ましい。
【0010】それぞれの測定セルの内側には、少なくと
も1個の作用電極と少なくとも1個の対向電極とがあ
る。電極は測定セルの内壁に取付けられていることが望
ましい。電極は、たとえば接着、溶接、プレスによって
取付けられることが可能である。
【0011】少なくとも1個の作用電極は平らの表面を
有し、電圧の調節可能の電源に電気的に接続されてい
る。作用電極に適した素材は金、銀、プラチナ、パラジ
ウム、ルテニウム、オスミウム、タングステンといった
貴金属であり、または、したがってそれらからなる合金
である。
【0012】とくに電極用に望ましい素材は金とプラチ
ナである。
【0013】少なくとも1個の対向電極は単一片であっ
てもよく、または電気的に導通できる方法で互いに結合
されたいくつかの部品で構成されているものでもよい。
対向電極は、2またはそれ以上の帯片を含むことが望ま
しく、そして作用電極の反対側に配置される。対向電極
に適した素材は、作用電極にもまた使用されるものであ
る。発明にしたがって、作用電極と対向電極とは、セル
の内側の一部分がそれらの電極の内側に位置するよう
に、同一平面上ではなく、互いに反対の面に配置され
る。作用電極と対向電極とは、セルの内側の一部分がそ
れらの電極のあいだに位置するように2つの平行な平面
上に配置される。
【0014】作用電極と対向電極との両方にとって、も
しその表面が放射、とくにECL反応過程で発生した放
射を反射するなら有利であることが明らかになった。電
極の表面面積は平方ミリメートルから平方センチメート
ルの範囲である。通常、作用電極は正方形または辺の長
さが約1:3の比率の長方形である。対向電極は通常、
より小さな面積でその長さが約3:30の比率の細長い
形状を有している。作用電極と対向電極との両方とも、
厚さが数百ミクロンから数ミリメートルのあいだの範囲
の厚さの薄板で形成されるのが望ましい。
【0015】対向電極は網状配置か、または、凹部のあ
る板で形成されることも可能である。
【0016】作用電極は電圧の調節可能の電源の第1の
電極に接続され、対向電極は前記電源の第2の電極に接
続されている。電源は電圧が手動で調整できるように形
成されうる。しかしながら電源はむしろマイクロプロセ
ッサかまたは別の制御装置で制御する方が望ましい。電
源は数ボルトまで電圧を供給することができなければな
らない。発明にしたがって、電圧の大きさと持続とを制
御することができる。何回もの反応過程のくり返しにお
いて作用電極がアノードとして機能し、対向電極がカソ
ードとして機能する。しかしながら、また電極の極性を
かえることも可能である。
【0017】電源によって供給されるべき電圧は主とし
て、しかしすべてではないが、反応過程で利用されてい
る酸化還元方式、とりわけECL標識物質の酸化電位に
よって決められる。経験的に、本発明の電極配置は、同
じ試料液と酸化還元方式が使用されているばあいに、別
の現在知られている測定セルが電気化学発光を発生する
ために必要とする電圧よりも低い電圧しか要しないこと
がわかってきた。前記に列挙した利点のいくつかは、先
行技術によるセルが必要とした作用電圧よりも低い電圧
ですむという成果によるものである。また、本発明の測
定セルが用いられるばあいに、同じ作用電圧を印加して
も、他の知られている測定セルを用いたばあいよりも、
もっと早く発光シグナルが発生することが経験的にわか
ってきた。さらに、測定シグナルのピークの最大値がも
っとはっきりえられるので、本発明の測定セルでえられ
る測定シグナルはもっと正確に評価することが可能であ
る。
【0018】測定セルの少なくともひとつの壁面中に窓
が設けられていて、そしてそこを通して赤外、可視、紫
外のうち少なくともひとつの領域からの電磁発光が通過
できる。セル全体は前記の発光のタイプの少なくとも1
つに対して透過性のある素材でつくられることが望まし
い。とくに光学窓および(または)セル全体に適した素
材はポリメチルメタクリレートである。
【0019】本発明にしたがって、少なくとも1つの対
向電極が光学窓の内側に位置していることが利点である
ことも明らかになってきた。
【0020】光学窓は、作用電極上において発生する発
光が、その窓を通過してきて測定セルから少なくとも部
分的には出てくることができるように配置されている。
光学窓を通して出てくる発光は検出器によって検出され
る。
【0021】適した検出器は、たとえば、光電子増倍管
と半導体を用いた検出器が含まれる。本発明の装置にお
いては、作用電極の付近で発生し、光学窓を通って測定
セルから出てくるビームの進路上に少なくとも1個の対
向電極の少なくとも一部分が位置するように配置されて
いる。ECL標識物質によって放射されるビームの進路
上に対向電極の少なくとも一部分が位置しているので、
はじめの仮定ではビームがシールドされるとシグナルが
減小する結果になるだろうと考えられた。対向電極がビ
ームの進路上には置かれていない測定セルと比較したと
き、予想に反して、発明の電極配置がこれよりもかなり
高いシグナルを発生することが明らかになった。
【0022】望ましい具体例においては、作用電極が測
定セルの内側で配置されている部分の壁に、測定セルの
外側から磁石がとりつけられることができる。取付可能
な磁石は、電磁石または永久磁石である。
【0023】永久磁石は稼動中に熱を発生しないので望
ましい。自動化した装置にあっては磁石はスピンドルド
ライブまたはレバーアームという手段によって作用電極
に近づけるように、または遠ざけるように動かすことが
できる。
【0024】測定セルの内側は、電気化学的に参照セル
に接続されているのが望ましい。電気化学的結合は、た
とえば、液体の入った毛細管間隙あるいはフリット(fri
t)を通して電気化学的結合が達成されている。電気化学
結合にとっては、セルの内側部分と参照電極とのあいだ
の帯電粒子間の交換(exchange)があり、それはセルの内
側の液体の汚染をさけるために最低の量に保たれるが、
その交換が起こりうるということが本質的に重要であ
る。
【0025】可能な参照電極はAg/AgCl電極また
は塩化第一水銀電極のようなものが先行技術において知
られている。
【0026】本発明の装置は電気化学発光現象を測定す
るために設計された。ECL反応過程のあいだ、化学的
スピーシーズ(chemical species)が電極の表面で発生し
ている。そして前記スピーシーズが赤外、可視、紫外領
域で電磁放射を発生している。このような過程で起きて
いる電気化学的反応は前記の国際公開WO89/105
51号において一般的に記述されている。
【0027】図1は可能な電極反応の例を示した図であ
る。トリプロピルアミン(TPA、Tripropylamine)が
電極で酸化され、ついでプロトンが放出される。第2の
サイクルにおいてRu(bpy)3 2+が酸化されてRu
(bpy)3 3+が形成される。つぎにTPAラジカルと
酸化されたルテニウム複合体とが反応し、励起されたル
テニウム複合体を形成し、それは600nmの波長の放
射を発しつつRu(bpy)3 2+に壊変して戻ってい
く。これと先行技術において知られている他の電気化学
発光方式とを、化学的および免疫学的分析を実行するた
めに用いることができる。
【0028】図2はECL技術をもって実行されうる3
つの異なった分析方法を示す図式である。図2Aのフォ
ーマットは、抗体に結合しているECL標識物質によっ
て発生するECLシグナルが、溶液中にフリーな状態で
含まれているものとは異なるという事実に基づいてい
る。
【0029】図2Bは、抗原とともに与えられた微粒子
が、ECL標識物質が付着している抗体と結合しようと
して分析物と競合するというフォーマットを示してい
る。もし分離しなければ、ECL測定は、ECL標識物
質が微粒子に結合したか、または分析物分子に結合した
かのどちらかであるかに依存して異なったシグナル強度
を生じるであろう。この特性に対する実際の理由はまだ
完全には明らかにされていないが、このスピーシーズ(s
peices)の異なる拡散特性が電極反応において役割を演
じていることは確かである。図2Bに示されるフォーマ
ットにおいて、分離工程を含むばあい、もし微粒子が強
磁性を示すなら、微粒子に結合したスピーシーズ(speci
es)は磁力を印加することによって分離することができ
る。
【0030】図2Cは第3の変形で、シグナル発生量が
分析物濃度に直接比例するばあいを示している。
【0031】本発明は、さらに、試料液に電位を印加す
ることにより、光学的に検出できるシグナルを発生する
反応方法からなり、すなわちつぎに示す過程からなる。
【0032】・測定セルに試料液を満たす。
【0033】・少なくとも一つの作用電極と、作用電極
の反対側にある少なくとも一つの対向電極とに、電気化
学発光放射を発生させるために電圧を印加する。
【0034】・光学窓を通して出て来る放射を検出す
る。
【0035】この過程で測定セルは最初に試料液で満た
される。これは本発明の装置によって達成され、そして
この装置において試料液が測定セルの開口部の中へポン
プ圧入される。
【0036】試料液は分析物溶液、試薬溶液その他補助
的な溶液を含む混合液と理解される。
【0037】分析物溶液、試薬溶液、その他補助的な溶
液は測定セルにいっしょにまたは続けて導き入れること
ができる。
【0038】分析物液は溶液、乳濁液あるいは溶媒中の
分析物の乳濁液であり、溶媒はたとえば水、アセトニト
リル、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミ
ド、ノルマルメチルピロリジン、ターシャリーブチルア
ルコール、またはそれらの混合液であると理解される。
【0039】分析物液は全血液、血清、組織液、唾液、
尿などを含む。分析物液中において検出されるべき分析
物は、細胞、亜細胞の粒子、ウィルス、核酸、タンパク
質、ペプチド、ホルモン、医薬的作用物質、有機分子な
どである。
【0040】試薬溶液はECL標識物質を含み、それは
すなわち、ふつうは有機金属化合物であり、化学的およ
び電気化学的反応の結果として電磁放射を発する。有機
金属化合物の金属は望ましくは以下の群より選択され
る。
【0041】ルテニウム、オスミウム、レニウム、イリ
ジウム、ロジウム、プラチナ、パラジウム、モリブデン
そしてタングステンである。ECL標識物質は、細胞全
体、、亜細胞の粒子、ウィルス、脂肪、脂肪酸、核酸、
多糖、タンパク質、リポタンパク質、リポ多糖、糖タン
パク質、ペプチド、細胞代謝物、ホルモン、医薬的作用
物質そしてそれらの代謝物、アルカロイド、ステロイ
ド、ビタミン、アミノ酸、糖、有機分子、有機金属分
子、無機分子、ビオチン、アビジンまたはストレプトア
ビジンなどに結合することができる。
【0042】前記の補助的溶液とは、たとえば測定セル
の内部を洗浄するのに適したリンス液を含んでいる。そ
れゆえリンス液は洗浄剤とか、表面張力を減小させる物
質を含んでいて、それは有機物などに適した溶媒であ
る。
【0043】本発明においては、セルは試料液で満たす
のに先んじて、洗浄溶液あるいは予備の溶液を用いて洗
浄するのが望ましい。洗浄溶液は洗浄剤溶液、溶媒など
でセルから汚れ、残留物を取除くために用いることがで
きるものならすべてと解される。予備溶液は、主として
電極に対し、ある条件に限定された酸化または表面状態
を仮定させるために用いる。したがって予備溶液は酸化
試薬、還元試薬または表面活性物質を含む。
【0044】いったんセルが試料液で満たされたら、電
圧が、ある電圧プロファイル(voltage profile)、すな
わち電圧の変化をあらわす図、によって少なくとも1個
の作用電極と少なくとも1個の対向電極とに印加され
る。
【0045】電圧プロファイルはいくつかの異なる電圧
の、一連の時間表示である。もっとも単純な場合は一定
で低い電圧が電極に印加され、急にECL反応に必要な
電極反応を発生させるために増圧するものである。望ま
しい電圧プロファイルはたとえば国際公開WO90/1
1511号に記述されている。
【0046】本発明によれば、測定セルおよび(また
は)電極は、実際の測定段階が実行される前に洗浄され
準備調整されるのが望ましい。これらの工程においての
洗浄の効果および(または)予備溶液の効果は、適した
電圧を電圧プロファイルにしたがって電極に印加するこ
とでさらに維持される。
【0047】ここまで詳述された手順が均質物の分析す
なわち分析物を含んだ複合物とECL標識物質の分離が
ないばあいの分析に適用される。本発明によれば、EC
L標識物質と分析物からなる複合物が電気化学発光を活
性化させる前に、むしろ分離されることが望ましい。こ
れはECL標識物質を直接、強磁性物質粒子に結合させ
るか、または分析物と抗原とのサンドイッチ構造の複合
物を形成させるかにより、なされることが望ましい。そ
してそのサンドイッチ構造の複合物は分析物、抗原の順
に強磁性微粒子に結合される。強磁性微粒子を含んだ複
合物は磁石を用いることで、作用電極上に沈殿させられ
ることができるのに対して、過剰のECL標識物質は洗
い流される。
【0048】ECLシグナルを発生させるのに適した電
圧を印加した直後、電気化学発光が放射される。放射さ
れた発光は検出器という手段によって検出することがで
き、そして分析物の濃度は放射の強度から決定すること
ができる。
【0049】先行技術と比較して、現在知られている装
置に用いられる電圧よりも低い電圧で、所定の電気化学
発光反応を起こすことができるのが本発明の装置と過程
の利点である。図1の酸化還元の系の酸化電位は約1.
1Vである。IGEN(会社名)製の測定セルを用いる
と、信頼できる測定は2.2Vで実行されうるだろう。
本発明の測定セルを用いると測定電圧を1.4Vに減ず
ることが可能となった。
【0050】測定電圧を減じることは干渉する副反応が
起きるのが、より少なくなり、そしてその減少がひいて
はS/N比を改善するという利点を有している。
【0051】さらに本発明によれば、本発明の測定セル
によってえられる測定が、先行技術による測定セルを用
いて実行される測定によるよりも作用電極上での微粒子
の分布に対する依存度が低いということがわかった。
【0052】本発明の測定セルによってえられるこの特
性は分析検出の再現性を向上させる。
【0053】本発明の測定セルのもう一つの利点はその
改善された反応性(dynamics)であり、そしてその反応性
は、より高感度で、かつ、より信頼度の高い測定を可能
とした。
【0054】
【実施例】図3は発明の装置の側面図、図4は同じ装置
の平面図を示した図である。測定セルの本体1はいくつ
かのポリメチルメタクリレートの部品からなっている。
セルの内側7は細長い平らな形状を有している。図4に
おいて吸入、排出の開口部2、3が三角形の鈍角の頂点
に配置されているのが見られる。この配置によって、液
体がセルの中を流れるあいだに、内容物が流れる部分で
はない残留液が残る可能性のある領域が生じることを避
けることが可能である。測定セルの底10にあっては、
平らで方形状の作用電極4が配置されている。この図に
示されたセルは、平らで棒状の2個の対向電極5を有
し、それは測定セルの上部に押し込まれている(pressed
into)。共通配線11が2個の対向電極5を1個の電源
に接続している。作用電極は、この例に示された対向電
極と同じく、2つともにプラチナ製である。作用電極の
反対側にある、測定セルの側面上に光学窓6がある。こ
の例では測定セルのカバー9は可視光放射を透過できる
ようにポリメチルメタクリレートでつくられている。作
用電極4の下に磁石8があり、電極に近づけるようにま
たは遠ざけるように動かすことができる。
【0055】図5は、本発明の測定セル1の別の具体例
を示している。図5(a)は上面説明図、図5(b)は
側面説明図である。この測定セルの設計と構造とは基本
的には図3、4に示されるものと一致している。対向電
極5の配置については(図3、4)とは一つ相異点を見
い出すことができる。本発明にしたがって、この対向電
極5は作用電極4の反対側に配置されるが、2つの方形
の凹みのある方形の型を有している。したがって対向電
極5は、この測定セルの中で流れの方向に垂直であると
同時に平行に配置される部分も有している。
【0056】図6(a)は本発明の測定セルにおける化
学的スピーシーズであるトリプロピルアミンとRu(b
py)3 2+とのECL反応を実行するのに適した電圧プ
ロファイルを示している。測定セルが緩衝液で満たされ
ているあいだ、1.4Vの電圧が1秒間印加され、その
のちもう1秒間−0.8Vの電圧が印加される。この予
備的局面の目的は動作電極上で、ある限定された表面状
態を準備することにある。つぎの39秒間、測定セルは
分析液試薬と緩衝液の混合物で満たされている。
【0057】ECL反応が発生しないが、しかし電極を
いつでも再現できる状態に維持する電位(たとえば0m
V)が電極に印加される。
【0058】ECLシグナルを発生するために1.4V
の電位が1秒間印加される。そののち続いて測定セルは
9.5秒間以上、2.4Vの電位、続いて4秒間、−
0.8Vの電位を印加することによって測定セルが洗浄
される。この洗浄プロセルが測定サイクルの最後にく
る。ここで記述された電圧プロファイルは、そののちに
続く測定にも再び適用されることができる。
【0059】図6(b)は本発明の、より低い測定電圧
を利用する測定セルを操作するための電圧プロファイル
を示している。つぎに示す表1は個々の局面のあいだ中
において、電圧が印加される時間間隔と、測定セルにお
いて用いられる液体とに関し、より詳細な条件を与えて
いる。
【0060】
【表1】
【0061】図7、8は本発明の測定セル(コンセプト
3とよばれる)による測定と、前記IGEN製の測定セ
ルをもちいた国際公開WO89/10551号において
記述された測定セルによる、2つの異なる濃度範囲の分
析物に対する測定との比較を示している。任意の単位の
座標軸上に打点された光シグナルが、IGEN製のOrig
in 1.0型装置の光増幅器によってえられた。図の横座標
は試料のTSH(甲状腺刺激ホルモン)濃度を示してい
る。
【0062】図から、コンセプト3のセルが用いられる
とき、校正曲線の反応性がかなり、より高くなることが
理解されうる。そしてそのことはテストの感度の向上に
結びつくものである。
【0063】測定は、以下に示す250マイクロリット
ルの混合物 50マイクロリットル 緩衝液IB 50マイクロリットル ビーズ乳濁液 50マイクロリットル ビオチン化抗体(R1) 50マイクロリットル ルテニン化抗体(R2) 50マイクロリットル 分析物 を室温で16分間以上定温インキュベートすることによ
って実行した。つぎにインキュベーション混合液150
マイクロリットルを測定セルにポンプ圧入し、そしてそ
こでビーズを作用電極上で磁石の助けにより捕獲し、そ
してそののち洗浄した。用いられた溶液の成分はつぎの
とおりである。
【0064】 緩衝液IB(IBとはインキュベートされた緩衝液(Incubation buffer)のこと である) 50mM トリス pH8.0 0.1% CAA 2−クロロアセトアミド (2-chloroacetamide) 0.01% MIT 2−メチル−イソシアゾロン (2-methyl-isothiazolone) 0.2% thesit ポリデカノールの商品名 5% BSA 牛 血清タンパク (Bovine Serum Albumin) 1% 牛 IgG ビオチン化抗体(R1) 3.0μg/ミリリットル MAB<TSH>M1.20−
IgG−ビオチン(甲状腺刺激ホルモンに対して特異的
なモノクローナル抗体)(ベーリンガーマンハイム(Boh
eringer Mannheim)カタログNo.1352547) MAB :モノクローナル抗体 Monoclonal Antib
ody TSH :甲状腺刺激ホルモン Thyroid-Stimulat
ing Hormone M1.20 :クローン番号 500μg/ミリリットル MAB<…>IgG (非特異的なモノクローナル抗体(副反応を抑制する作
用を有する))(ベーリンガーマンハイム カタログN
o.1522558) ルテニン化抗体(R2) 1.2μg/ミリリットル MAB<TSH>MA8−
F(ab´)2−BPRu MA8 :クローン番号 BPRu :ルテニウム化3ビピリジル ビーズ乳濁液 ダイナルインターナショナル(Dynal International)
社、(オスロ、ノルウェー)によって製造された600
μg/ミリリットルのM280(製品コード名:粒径2
80μmをあらわす)ビーズを緩衝液中に乳濁した。
【0065】
【発明の効果】本発明の測定セルにおいて電気化学発光
反応を発生させることによって、測定感度の向上、再現
性の向上がなされ、酸化還元反応において用いなければ
ならない印加電圧を低下させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】電極反応の図式表現の図である。
【図2】測定セルによって実行しうる免疫学的テストフ
ォーマットの例である。
【図3】測定セルの側面図である。
【図4】測定セルの平面図である。
【図5】測定セルの、変更した具体例を示しており、
(a)は上面説明図、(b)は側面説明図である。
【図6】本発明の測定セルを操作する電圧印加の持続時
間を示したグラフである。
【図7】先行技術のセル(IGEN)と本発明による測
定セル(コンセプト3)の比較を示したグラフである。
【図8】先行技術のセル(IGEN)と本発明による測
定セル(コンセプト3)の比較を示したグラフである。
【符号の説明】
1 測定セル 2 吸入開口部 3 排出開口部 4 作用電極 5 対向電極 6 光学窓 7 測定セルの内側 8 磁石 9 測定セルのカバー 10 測定セルの底 11 共通配線
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 平らな表面の前記作用電極(4)が前記
測定セル(1)の壁に設けられており、かつ、1個の磁
石が前記壁の外側表面上に配置されてなる請求項1記載
の装置。
【請求項】 少なくとも1個の作用電極(4)、少な
くとも1個の対向電極(5)、および光学窓(6)を含
んでいる測定セル(1)中の試料液に電位を印加するこ
とによって、光学的に検出できるシグナルを発生する方
法であって、 (a)前記測定セル(1)を電気化学発光標識物質を含
んだ液体で満たす工程と、 (b)電気化学発光放射を発生させるために、前記少な
くとも1個の作用電極(4)と、該作用電極(4)の反
対側に配置された前記少なくとも1個の対向電極(5)
とに対して電圧プロファイルにしたがった電圧を印加す
る工程と、 (c)前記光学窓(6)を通過して出てくる放射を検出
する工程とからなる方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミハイル−オノリウ ルング ドイツ連邦共和国、デー−63654 ブエデ ィンゲン、アム ドールベルク 1アー

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料液に電位を印加することにより、光
    学的に検出できるシグナルを発生する装置であって、 (a)前記試料液を受け入れ、かつ、液体の吸入と排出
    のための少なくとも2個の開口部(2、3)を有する測
    定セルと、 (b)その電圧が調節可能な電源と、 (c)前記測定セル(1)の内側に配置されており、か
    つ、前記電源の第1の電極に接続された少なくとも1個
    の作用電極(4)と、 (d)前記測定セル(1)の内側に配置されており、か
    つ、前記電源の第2の電極に接続された少なくとも1個
    の対向電極(5)と、 (e)前記測定セル(1)の壁面中に配置された光学窓
    (6)、からなり、前記少なくとも1個の対向電極
    (5)は前記測定セル(1)の内側であって、該光学窓
    (6)と前記少なくとも1個の作用電極(4)とのあい
    だに配置されてなることを特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも1個の作用電極(4)が
    前記光学窓(6)に対して平行に配置される表面を有し
    てなる請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも1個の作用電極(4)が
    実質的に金またはプラチナでつくられている請求項1ま
    たは2記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも1個の作用電極(4)が
    少なくとも部分的に光学放射を反射する請求項1、2ま
    たは3記載の装置。
  5. 【請求項5】 参照セルが前記測定セル(1)の内側に
    電気化学的に結合されてなる請求項1記載の装置。
  6. 【請求項6】 平らな表面の前記作用電極(4)が前記
    測定セル(1)の壁に設けられており、かつ、1個の磁
    石が前記壁の外側表面上に配置されてなる請求項1、
    2、3、4または5記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記1個の磁石を前記測定セル(1)の
    壁に向かって近づけるように、またはそれから遠ざける
    ように動かす装置を含んでなる請求項6記載の装置。
  8. 【請求項8】 2個または3個以上の平らで棒状の形状
    の対向電極(5)を有する請求項1記載の装置。
  9. 【請求項9】 試料液が前記測定セル(1)の中へと満
    たされ、または前記測定セル(1)から除去されるとき
    に、前記試料液の流れの方向が前記少なくとも1個の対
    向電極(5)の長さ方向軸に対して平行となる請求項1
    または8記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記光学窓(6)から出てくる放射を
    検出する検出器を含んでなる請求項1記載の装置。
  11. 【請求項11】 少なくとも1個の作用電極(4)、少
    なくとも1個の対向電極(5)、および光学窓(6)を
    含んでいる測定セル(1)中の試料液に電位を印加する
    ことによって、光学的に検出できるシグナルを発生する
    方法であって、 (a)前記測定セル(1)を電気化学発光標識物質を含
    んだ液体で満たす工程と、 (b)電気化学発光放射を発生させるために、前記少な
    くとも1個の作用電極(4)と、該作用電極(4)の反
    対側に配置された前記少なくとも1個の対向電極(5)
    とに対して電圧プロファイルにしたがった電圧を印加す
    る工程と、 (c)前記光学窓(6)を通過して出てくる放射を検出
    する工程とからなる方法。
  12. 【請求項12】 前記工程において最初の段階(a)の
    のちに、前記作用電極(4)上に磁性粒子を沈降させる
    ために前記測定セル(1)に磁石が接近させられる請求
    項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記工程(a)のまえに、前記測定セ
    ル(1)が洗浄され、かつ前記作用電極(4)と前記対
    向電極(5)とが電圧プロファイルにしたがった電圧を
    印加することで準備調整される請求項11記載の方法。
  14. 【請求項14】 洗浄液および(または)予備液の存在
    のもとに、前記洗浄および(または)準備調整が実行さ
    れる請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記工程(a)が実施されたのちに、
    前記測定セルが前記洗浄液で処理される請求項11また
    は12記載の方法。
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