JPH0720843B2 - 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法 - Google Patents

農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法

Info

Publication number
JPH0720843B2
JPH0720843B2 JP63051614A JP5161488A JPH0720843B2 JP H0720843 B2 JPH0720843 B2 JP H0720843B2 JP 63051614 A JP63051614 A JP 63051614A JP 5161488 A JP5161488 A JP 5161488A JP H0720843 B2 JPH0720843 B2 JP H0720843B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
pesticide
active ingredient
sustained
release
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63051614A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01226802A (ja
Inventor
馨 千葉
伸二 米村
達生 野口
拓雄 和田
知 森山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokko Chemical Industry Co Ltd filed Critical Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP63051614A priority Critical patent/JPH0720843B2/ja
Publication of JPH01226802A publication Critical patent/JPH01226802A/ja
Publication of JPH0720843B2 publication Critical patent/JPH0720843B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 1)発明の目的 (1)産業上の利用分野 本発明は、液体状農薬有効成分を含有する農薬製剤にお
いて、当該有効成分の徐放性を改良するための徐放性付
与剤、これを含有した新しい徐放性農薬およびその製法
を提供することに関する。より詳しくは、本発明は、疎
水性微粉体からなるところの液体状農薬有効成分のため
の徐放性付与剤並びに、液体状農薬有効成分を吸油した
粉体の表面に、当該粉体の粒子径に対して5分の1以下
の粒径を有する疎水性微粉を、当該粉体量の1重量部に
対して0.05〜1重量部の割合で付着、固定化または成膜
化させ、こうして得た有効成分粒子核を含有することを
特徴とする徐放性農薬、さらには、上記の方法により有
効成分粒子核となすことを特徴とする徐放性農薬の製法
に関するものである。
(2)従来の技術 従来、液体状または液体状の各種の農薬有効成分を徐放
化する試みは数多くなされてきた。従来の徐放性農薬
は、大別すると、農薬有効成分をマイクロカプセル化
する方法(特開昭58−144304号公報、特開昭59−20209
号公報参照)、農薬有効成分をサイクロデキストリン
により包接化する方法(特開昭58−21602号公報、特開
昭59−53401号公報参照)、粒剤や粉剤などの農薬製
剤をワックスまたは各種樹脂で被覆する方法(特開昭57
−126402号公報、特開昭60−202801号公報参照)、など
がある。しかしながら、これまで液体状の農薬有効成分
の粒子表面に疎水性微粉体を付着させるなどして、当該
農薬有効成分の徐放性を改良しようとする試みはなされ
ていない。
(3)発明が解決しようとする課題 粒剤、粉剤などの固体状の農薬製剤は、水に接すると、
製剤中にふくまれている有効成分が、生物効果を発揮す
る上で必要な濃度以上に溶出してしまうことがある。こ
のような場合は、作物に対して葉枯れや生育抑制などの
薬害を与えたり、一旦溶出した農薬有効成分が、水中や
土壌中で分解して消失したり、光分解を受けて消失する
ことがあるため、有効成分の残効期間が短くなってしま
う。従って、農薬製剤から農薬有効成分を防除に必要な
最小量だけ長期間にわたって放出させることができれ
ば、このような諸問題を解決することができる。また、
徐放性が付与されると何度も繰り返して農薬を施用する
必要もなくなり、極めて経済的であり、かつ環境汚染の
防止にも役に立つ。しかしながら、前述した公知の徐放
性農薬は、このような諸問題を解決する上で、いずれも
一長一短がある。すなわち、農薬有効成分の種類によっ
ては、マイクロカプセル化やサイクロデキストリンによ
る包接化ができないなど、徐放化のための製剤化が行え
ないものがある。またこれらの製剤化が行えても、所望
の徐放性が得られらかったり、防除効果が不十分であっ
たりして、徐放化の目的の一つである残効性の延長や薬
害の軽減などを十分に達成できないものも多い。しかも
徐放化のための農薬製剤化技術が繁雑であったり、その
ために使用する原材料が高価であったりするなど、技術
面あるいは経済面でまだまだ解決すべき問題点が多くあ
る。そのため、前記した如く、従来の徐放化技術ではい
まだ不十分であり、新しい徐放化技術の開発が望まれて
いる。
本発明は、このような状況に鑑み、農薬有効成分の表面
の構造に改良を加えることに着目し、所望の徐放性を付
与しうる新しい徐放性付与剤、これを使用してなる徐放
性農薬並びにその製法を提供せんとするにある。
2)発明の構成 (1)課題を解決するための手段 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究した。そ
の結果、液体状の農薬有効成分を吸油した粉体の粒子表
面を、その粒子の有する疎水性よりもさらに疎水性に改
質することにより、好ましい徐放性を付与しうることを
見出し、本発明を完成させた。より具体的に説明すれ
ば、液体状の農薬有効成分を吸油した粉体の粒子表面
に、当該粉体の粒子径の5分の1以下の粒径を有する疎
水性微粉体を、当該粉体量の1重量部に対して平均して
0.05〜1重量部の割合で均一に付着、固定化または成膜
化させた後、こうして得た有効成分粒子核を使い、通常
の農薬と同様に補助剤および増量剤とともに粉剤、粒
剤、水和剤、懸濁剤、ペースト剤などに製剤化すること
により、好ましい徐放効果がもたらされるとともに、そ
れに伴ない、農薬有効成分の本来有する残効性が奏され
たり、薬害が著しく軽減化されるなどの所望の生物効果
が発揮されるとの知見を得た。
したがって、第1の本発明の要旨は、高級脂肪酸又はそ
の金属塩、高級脂肪酸金属塩処理酸化チタン、疎水性ホ
ワイトカーボン、合成樹脂から選ばれた少なくとも1種
の疎水性微粉体からなることを特徴とする、液体状農薬
有効成分を含有する農薬の徐放性付与剤に係る。
また、第2の本発明の要旨とするところは、液体状農薬
有効成分を吸油した粉体表面に、当該粉体の粒子径に対
して5分の1以下の粒径の高級脂肪酸又はその金属塩、
高級脂肪酸金属塩処理酸化チタン、疎水性ホワイトカー
ボン、合成樹脂から選ばれた少なくとも1種の疎水性微
粉体を当該粉体量の1重量部に対して0.05〜1重量部の
割合で付着、固定化または成膜化させてできた有効成分
粒子核を含有することを特徴とする、徐放性農薬に係
る。
第3の本発明の要旨とするところは、液体状農薬有効成
分を吸油した粉体表面に、当該粉体の粒子径に対して5
分の1以下の粒径の高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂
肪酸金属塩処理酸化チタン、疎水性ホワイトカーボン、
合成樹脂から選ばれた少なくとも1種の疎水性微粉体
を、当該粉体量の1重量部に対して0.05〜1重量部の割
合で付着、固定化または成膜化させて有効成分粒子核と
なすことを特徴とする、徐放性農薬の製法に係るもので
ある。
本発明で使用される疎水性微粉体は、水に対して撥水性
を有する微粉体であれば、特に限定はされないが、接触
角が大きい程疎水性が大きくなることから、後記の試験
法で測定される接触角が70度以上のものであれば非常に
有効である。このような疎水性微粉体としては、例え
ば、次のものが挙げられる。もちろん、これらに限定さ
れるものではない。
高級脂肪酸 ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸など 高級脂肪酸金属塩 ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウムなど 高級脂肪酸金属塩処理酸化チタン ラウリン酸アルミニウム処理酸化チタン、ステアリン酸
アルミニウム処理酸化チタンなど 疎水性ホワイトカーボン ジメチルジクロロシラン処理二酸化ケイ素など 合成樹脂など ポリスチレン、ポリアミド、シリコーンなど。
これらのものは、市販のものがそのま使用できるが、必
要により、その粒径を農薬有効成分を吸油した粉体粒子
の5分の1以下とするために微粉砕して用いるのがよ
い。
本発明に使用される疎水性微粉体の粒径は、用いる吸油
粉体粒子の粒径によって異なるが、吸油粉体粒子径の5
分の1以下が望ましく、好ましくは10分の1以下であ
る。それより大きくなると、疎水性微粉体を吸油粉体の
表面に均一に付着、固定化または成膜化させるのが困難
であり、その徐放化機能を十分に発揮し得ない。
また、液体状の農薬有効成分を吸油した粉体の表面に付
着させる疎水性微粉体の量は、吸油粉体の粒子および疎
水性微粉体の粒子径によって異なるが、吸油粉体量の1
重量部に対して、疎水性微粉体量を0.05〜1重量部の範
囲の量となるように付着させるのが有効である。もちろ
ん、最適な徐放性を得る目的で、この範囲内での比率を
適宜変えることは何らかまわない。しかしながら、疎水
性微粉体の量がこれより少ないと、均一な付着、固定化
または成膜化が不十分となり、徐放効果を十分に発揮し
得ない。これとは逆に、これ以上多くなり、吸油粉体粒
子の周囲に疎水性微粉体が過剰に付着したときには、徐
放効果は発揮されるが、農薬有効成分の本来有する防除
効果の低下を招くので、必要以上の微粉体の使用は好ま
しくない。
本発明で使用できる液体状の農薬有効成分としては、特
に限定はなく、通常の農薬製剤に使用されている有効成
分であればいずれも使用できる。その例として、例えば
次のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定される
ものではない。
殺虫剤の例 CYAP、MPP、MEP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、エ
トリムホス、イソキサチオン、ESP、マラソン、PAP、ホ
ルモチオン、メカルバム、チオメトン、エチルチオメト
ン、プロチオホス、DDVP、BRP、CVP、プロパホス、カル
ボスルファン、アレスリン、フェンバレレート、ピレト
リン、BPPS、DCIP、クロルピクリン、など。
殺菌剤の例 O−エチル−O,O−ビス(2,4−ジクロロフェニル)フォ
スフェイト(以降「ホスダイフェン」という)、IBP、E
DDP、エクロメゾール、ベンチアゾール、DPC、など。
除草剤の例 バーナレート、ベンチオカーブ、オルソベンカーブ、モ
リネート、ブタクロール、プレチラクロール、メトラク
ロール、DPA、ブタミホス、など。
なお、上記した農薬有効成分の一般名は、「農薬ハンド
ブック1985年版」(社団法人日本植物防疫協会 昭和61
年1月30日発行)による。
これらの有効成分は、単独または2種以上配合したもの
であっても有効に使用できる。
また、液体状の農薬有効成分を吸油させる粉体として
は、吸油性能を有する粉体であればいずれも使用でき
る。例えば次のものが挙げられるが、もちろんこれらに
限定されるものではない。
吸油性能を有する粉体の例 ホワイトカーボン、二酸化ケイ素、珪藻土、アタパルジ
ャイト、ケイ酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、酸性白土、など。
また、上記した粉体に吸油させる液体状の農薬有効成分
量は、各粉体の有する吸油量以下であればよい。
本発明を実施するに際して、液体状の農薬有効成分を吸
油した粉体の表面に疎水性微粉体を均一に付着、固定化
または成膜化する方法は、特に限定されることはない
が、例えば次の方法を挙げることができる。
(1)円筒型混合機、V型混合機など容器回転型混合
機、またはリボン型混合機、スクリュー型混合機など容
器固定型混合機を用いて、所定量の農薬有効成分を吸油
させた粉体と疎水性微粉体を入れ、撹拌、混合させて調
製する。
(2)ボールミルに所定量の農薬有効成分を吸油させた
粉体と疎水性微粉体を入れ、ボールとともに回転させる
ことにより調製する。
(3)転動造粒機に所定量の農薬有効成分を吸油させた
粉体と疎水性微粉体を入れ、羽根を回転させることによ
り調製する。
(4)市販されているハイブリダイゼーション システ
ム(株式会社奈良機械製作所製の乾式粉体表面改質装置
の商品名)、メカノフュージョン システム(ホソカワ
ミクロン株式会社製の表面融合装置の商品名)で所定量
の農薬有効成分を吸油させた粉体と疎水性微粉体を処理
することにより調製する。
なお、これらの(1)〜(4)の方法を実施するに際し
ては、必要により加温、冷却してもよい。
本発明の徐放性農薬の製剤形態は、特に限定されること
はなく、粉剤、DL粉剤、フローダスト、水和剤、微粒剤
F、細粒剤、粒剤、懸濁剤、水和顆粒剤、ペースト剤、
などとすることができ、その調製法も、一般に使用され
る装置を用い、本発明で得た有効成分粒子核、補助剤お
よび増量剤とともに通常の手段で調製すればよい。
本発明の徐放性農薬を製造するに使用する補助剤として
は、農薬製剤に一般に使われるものなら広く使用でき
る。その例としては、アルキル硫酸エステル類、アルキ
ルアリールスルホン酸類、アルキルスルホン酸類、ポリ
エチレングリコールエーテル類、ポリエチレングリコー
ルエステル類、多価アルコールエステル類などの陰イオ
ン界面活性剤、非イオン界面活性剤をはじめ、各種の酸
化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、物理性改良
剤などが挙げられる。
また、本発明に使用できる増量剤も農薬製剤に一般に使
われるものなら使用できる。その例としては、クレー、
カオリン、セリサイト、ジークライト、タルク、酸性白
土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、石膏、珪藻
土、軽石、ゼオライト、パーライト、バーミキュライ
ト、アタパルジャイト、ベントナイトなどの鉱物質、デ
ンプン、セルロースなどの天然物、キシロール、メチル
アルコール、エチルアルコール、イロプロピルアルコー
ル、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メ
チルナフタレンなどの有機溶剤、水などが挙げられる。
(3)実施例 以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げ
るが、本発明はこれらの例示のみに限定されるものでは
ない。なお、実施例中に部とあるのは、すべて重量部を
示す。
実施例1 粉剤 ホワイトカーボン(平均二次粒子径6μm)2部にホス
ダイフェン2部を添加して吸油させた後、ジェット−O
−マイザー(セイシン企業株式会社製)にかけて流動性
のある吸油粉体を得た。
この吸油粉体4部に酸化チチンMT−100S(帝国化工株式
会社製のラウリン酸アルミニウム処理酸化チタンの商品
名、平均粒子径0.015μm、接触角145度)1部をメカノ
ミル(岡田精工株式会社製のボールミル型混合機の商品
名)に入れ、粉体温度を50℃とし、400rpmで30分間混合
する。こうしてホスダイフェン粒子核(疎水性微粉体を
付着、固定化または成膜化したもの;以下「粒子核」と
呼ぶ)を得た。このホスダイフェン粒子核(純度39.2
%)5.1部、イソプロピルアシッドホスフェート(物理
性改良剤)0.2部およびクレー94.7部をハンマーミルで
混合し、ホスダイフェンとして2.0%含有する粉剤を得
た。
実施例2 水和剤 実施例1で調製したホスダイフェン粒子核(純度39.2
%)38.3部、ホワイトカーボン2部、ポリオキシエチレ
ンフェニルエーテル2部、リグニンスルホン酸カルシウ
ム2部および微粉クレー55.7部をハンマーミルで混合
し、ホスダイフェンとして15%を含む水和剤を得た。
実施例3 粉剤 ケイソウ土(平均粒子径11μm)3部にマラソン2部を
添加して吸油させた後、ジェット−O−マイザーにかけ
て流動性のある吸油粉体を得た。この吸油粉体4部にア
エロジルR−972(日本アエロジル株式会社製のジメチ
ルクロロシラン処理二酸化ケイ素の商品名、平均粒子0.
016μm、接触角155度)1部をV型混合機で120分間混
合し、マラソン吸油ケイソウ土の粉体表面にアエロジル
R−972(疎水性微粉体)を均一に付着させた。
このマラソン粒子核(純度31.5%)4.8部、イソプロピ
ルアシッドホスフェート0.2部およびクレー95.0部をハ
ンマーミルで混合し、マラソンとして1.5%を含む粉剤
を得た。
実施例4 粒剤 アタパルジャイト(平均粒子径40μm)2部に、ブタク
ロール1部を添加して吸油させた後、ジェット−O−マ
イザーにかけて流動性のある吸油粉体を得た。この吸油
粉体4部に酸化チタンMT−100T(帝国化工株式会社製の
ステアリン酸アルミニウム処理酸化チタンの商品名、平
均粒子径0.015μm、接触角140度)1部を混合し、ハイ
ブリダイゼーション システムを用い、吸油アタパルジ
ャイト粉体表面に酸化チタンMT−100T(疎水性微粉体)
を均一に固定化し、ブタクロール粒子核を得た。
このブタクロール粒子核(純度26.1%)19.2部、ポリビ
ニルアルコール1部、ベントナイト20部およびクレー5
9.8部をハンマーミルで混合後、押し出し造粒機にて造
粒し、乾燥後、整粒(14〜32メッシュ)し、ブタクロー
ルとして5%を含む粒剤を得た。
3)発明の効果 (1)発明の効果 本発明の徐放性農薬は、含有する有効成分の使用目的に
応じて、殺虫剤、殺菌剤あるいは除草剤などとして植物
の茎葉、土壌中あるいは水中に散布したときには、まず
第1に、当該農薬から有効成分を徐放化しうる。その結
果、徐放化技術を施していない場合に比べて長期間にわ
たって優れた薬効を持続し、しかも作物への薬害を軽減
化し得る。また第2に、前記したとおり、農薬有効成分
を吸油させた粉体の表面へ付着させる疎水性微粉体の使
用量(0.05〜1部)やその粒径(5分の1以下)の条件
を適宜選択すると、有効成分の溶出率を多くしたり少な
くしたり自由に制御することができる。第3に、本発明
の徐放性農薬は、一般の農薬の調製と同様に調製が容易
である。また第4に、本発明の徐放性農薬は、多くの農
薬有効成分に使用でき、適用性の広さがある。
(2)試験例 本発明の上記した有用性を証すために試験例を挙げる。
試験例1 農薬有効成分の水中への溶出試験(徐放性確
認) 1容量のフラスコにイオン交換水500mlを入れ、これ
に実施例1〜4に準じて調製した農薬有効成分の粒子核
を、農薬有効成分量として250mg相当量添加する。そし
て、溶出試験機(富山産業株式会社製NTR−VS6型)を用
い、水温を20℃に保ち、200rpmで撹拌する。所定時間後
にフラスコより試料を採取し、水中の有効成分濃度(pp
m)を測定し、次式により溶出率(%)を算出した。
なお、疎水性微粉体の接触角は次の方法により測定し
た。
〔微粉体の疎水性測定法〕
微粉体を錠剤成形機(200kg/cm2)で直径8.5mm、重量10
0mgの錠剤を調製する。次に、この錠剤表面にイオン交
換水5μをマイクロシリンジで滴下し、滴下1分後に
おける水滴の接触角をゴニオメータ(エルマ光学株式会
社製G−1型)で測定する。
この試験によれば、もし徐放性が付与されていれば、水
中への溶出率(%)は小さくなる。そして時間の経過と
ともにその溶出率が徐々に高くなる。
試験結果は、第1表に示すとおりである。それによる
と、本発明の農薬は徐放性が付与されていることが判明
した。
試験例2 イネいもち病防除効果試験(残効性確認) イネ(品種:アキヒカリ)を浸種して催芽させた後、ビ
ニールハウス内に準備した畑苗代に条播した。そして、
播種28日後の3葉期に実施例1に準じて調製した粉剤を
3kg/10a相当量となるように簡易散布機を用いて散布し
た。散布2日後に、予め胞子形成させたイネいもち病菌
(Pyricularia oryzae:ピリクラリア オリザエ)の羅
病葉を約3cm角に裁断して試験区全面にばらまき、これ
を接種源として常にイネいもち病に感染が可能な状態と
した。発病調査は、接種7日後から3〜4日間隔で経時
的にイネいもち病の発病面積歩合(%)を調査し、次式
により防除価(%)を算出した 本試験は1区1m2の3連制で実施し、平均防除価(%)
を求めた。
なお、実施例1のホスダイフェン粒子核の替りに、ホス
ダイフェン原体を用いて調製したものを比較薬剤として
供試した。
結果を第2表に示す。
試験例3 ツマクロヨコバイに対する殺虫効果持続性試
験 直径11cm大のポットで栽培したイネ(品種:日本晴、5
本1株植、4葉期)に実施例3に準じて調製した粉剤を
ミゼットダスターにより3kg/10a相当量散布した。その
後、ガラス室内に置き、所定日数後に直径11cm、高さ30
cmの塩化ビニル製円筒で稲体を覆い、これにツマグロヨ
コバイ雌成虫10頭を放った。放虫24時間後に生死虫数を
調べ、殺虫率(%)を求めた。本試験は3ポット制で実
施し、平均死虫率(%)を求めた。
なお、実施例3のマラソン粒子核の替りにマラソン原体
を用いて調製したものを比較薬剤として供試した。
結果を第3表に示す。
試験例4 除草効果、薬害試験 5000分の1アールの大きさのポットに水田土壌(沖積壌
土)を充填し、基肥として化成肥料(17:17:17)をポッ
ト当り3g施肥し、湛水状態とした。
薬害試験 2葉期の水稲苗(品種:日本晴)をポット当り3株移植
し、移植後3日目に実施例4に準じて調製した粒剤を10
アール当り3kgの割合で散粒処理を行い、湛水深さを5cm
とした。調査は薬剤処理後21日目に稲の地上部乾重を測
定した。
本試験は3ポット制で実施し、次式により、無処理区比
(%)を求めた。
なお、実施例4のブタクロール粒子核をブタクロール原
体に替え調製したものを比較薬剤1とした。
結果を第4表に示す。
効果試験 別の湛水状態にした5000分の1アールの大きさのポット
に前記と同じ粒剤を10アール当り3kgの割合で散粒処理
した。処理10日後、20日後、30日後、40日後、50日後に
タイヌビエの催芽種子をポット当り20粒ずつ播種し、湛
水深を3cmとした。調査は各々の播種日から24日後にタ
イヌビエを抜きとって乾重(g)を測定し、次式により
除草率(%)を求めた。
本試験は3連制で実施し、平均除草剤(%)を求めた。
結果を第4表に示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸金
    属塩処理酸化チタン、疎水性ホワイトカーボン、合成樹
    脂から選ばれた少なくとも1種の疎水性微粉体からなる
    ことを特徴とする、液体状農薬有効成分を含有する農薬
    の徐放性付与剤。
  2. 【請求項2】液体状農薬有効成分を吸油した粉体表面
    に、当該粉体の粒子径に対して5分の1以下の粒径の高
    級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸金属塩処理酸化チ
    タン、疎水性ホワイトカーボン、合成樹脂から選ばれた
    少なくとも1種の疎水性微粉体を、当該粉体量の1重量
    部に対して0.05〜1重量部の割合で付着、固定化または
    成膜化させてできた有効成分粒子核を含有することを特
    徴とする、徐放性農薬。
  3. 【請求項3】液体状農薬有効成分を吸油した粉体表面
    に、当該粉体の粒子径に対して5分の1以下の粒径の高
    級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸金属塩処理酸化チ
    タン、疎水性ホワイトカーボン、合成樹脂から選ばれた
    少なくとも1種の疎水性微粉体を、当該粉体量の1重量
    部に対して0.05〜1重量部の割合で付着、固定化または
    成膜化させて有効成分粒子核となすことを特徴とする、
    徐放性農薬の製法。
JP63051614A 1988-03-07 1988-03-07 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法 Expired - Lifetime JPH0720843B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63051614A JPH0720843B2 (ja) 1988-03-07 1988-03-07 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63051614A JPH0720843B2 (ja) 1988-03-07 1988-03-07 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01226802A JPH01226802A (ja) 1989-09-11
JPH0720843B2 true JPH0720843B2 (ja) 1995-03-08

Family

ID=12891773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63051614A Expired - Lifetime JPH0720843B2 (ja) 1988-03-07 1988-03-07 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0720843B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242195A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Chisso Asahi Hiryo Kk 被覆粒状物

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6023510B2 (ja) * 2012-08-20 2016-11-09 クミアイ化学工業株式会社 農薬粒状組成物、その製造方法およびこれを使用する農薬処理方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60226801A (ja) * 1984-04-26 1985-11-12 Kumiai Chem Ind Co Ltd 徐放性粒状農薬

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60226801A (ja) * 1984-04-26 1985-11-12 Kumiai Chem Ind Co Ltd 徐放性粒状農薬

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242195A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Chisso Asahi Hiryo Kk 被覆粒状物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01226802A (ja) 1989-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2522506B2 (ja) ダニ駆除剤の組成及びハダニ個体数の抑制方法
TW294575B (ja)
US5190764A (en) Agent for imparting a sustained release property to a pesticide, a pesticide having a sustained release property and a process for the production thereof
JP2970865B2 (ja) 改良された農薬固形製剤
JP4860056B2 (ja) 徐放性農薬粒剤およびその施用方法
TW200306153A (en) Granular agricultural-chemical composition
JPH0782102A (ja) 水田用農薬粒剤
JPH08275621A (ja) 農薬被覆稲籾種子
JPH0720843B2 (ja) 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法
KR0139800B1 (ko) 농약의 서방성 부여제와 서방성 농약 및 그의 제조방법
JPS59212498A (ja) N−ホスホノメチルグリシンの混合アルキルスルホニウム塩
JP2003261401A (ja) 水田用農薬固形剤
JPH11236301A (ja) 被覆農薬粒剤とそれを用いた農作物の栽培方法、及び植物根の誘引方法
JP2000191407A (ja) 被覆農業用組成物
JPH1025202A (ja) 稲病害虫の防除方法
US3560196A (en) Biologically active particulate material and the process for manufacturing same
JPH07106962B2 (ja) 農薬の徐放性付与剤、徐放性農薬およびその製法
JPH09118601A (ja) 溶出制御された除草粒剤およびその製法
JPWO2005029957A1 (ja) 粒状農薬製剤
JP3821973B2 (ja) 農薬粒状水和剤およびその使用方法
JP3746677B2 (ja) 徐放性農薬混合粒剤
JPH01157492A (ja) 安定な粒状農薬肥料
JPH09132503A (ja) 溶出制御された固形農薬製剤およびその製法
JPS62198602A (ja) 放油性殺虫粒剤
JPH07242502A (ja) 改良農薬製剤

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term