JPH07207390A - 超弾性バネ - Google Patents
超弾性バネInfo
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- JPH07207390A JPH07207390A JP236894A JP236894A JPH07207390A JP H07207390 A JPH07207390 A JP H07207390A JP 236894 A JP236894 A JP 236894A JP 236894 A JP236894 A JP 236894A JP H07207390 A JPH07207390 A JP H07207390A
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- memory alloy
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 従来に無い合金系で生体温度で十分な超弾性
を示すと共に、生体に対して毒性の少ない超弾性バネを
提供すること。 【構成】 Ti−Pd系形状記憶合金を10%以上の冷
間加工率で冷間加工した後、600℃以下の温度で熱処
理したものを超弾性バネ用材料として用いる。このTi
−Pd系形状記憶合金は、マルテンサイト変態開始温度
(Ms温度)が常用温度以上で、且つその常用温度で与
変形歪の60%以上が自発的に弾性回復する超弾性を具
備するか、或いはマルテンサイト変態開始温度(Ms温
度)が100℃以上で、且つ生体温度で与変形歪の60
%以上が自発的に弾性回復する超弾性を具備する。
を示すと共に、生体に対して毒性の少ない超弾性バネを
提供すること。 【構成】 Ti−Pd系形状記憶合金を10%以上の冷
間加工率で冷間加工した後、600℃以下の温度で熱処
理したものを超弾性バネ用材料として用いる。このTi
−Pd系形状記憶合金は、マルテンサイト変態開始温度
(Ms温度)が常用温度以上で、且つその常用温度で与
変形歪の60%以上が自発的に弾性回復する超弾性を具
備するか、或いはマルテンサイト変態開始温度(Ms温
度)が100℃以上で、且つ生体温度で与変形歪の60
%以上が自発的に弾性回復する超弾性を具備する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti−Pd系形状記憶
合金を用いて成る超弾性バネに関する。
合金を用いて成る超弾性バネに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Ti−Ni系合金,Cu−Zn−
Al系合金等の形状記憶合金は、マルテンサイト変態の
逆変態に付随して顕著な形状記憶効果を示すことが知ら
れている。又、逆変態の母相状態では、良好な超弾性を
示すことも知られている。
Al系合金等の形状記憶合金は、マルテンサイト変態の
逆変態に付随して顕著な形状記憶効果を示すことが知ら
れている。又、逆変態の母相状態では、良好な超弾性を
示すことも知られている。
【0003】特にTi−Ni系合金は、その超弾性特性
が伸び歪みで7%程度の可逆性を示すため、ステンレス
線やピアノ線等とは異なり、コイル状にしなくてもワイ
ヤバネとして使用できるという利点がある。このような
ワイヤバネは、実用的には例えばカテーテルガイドワイ
ヤ,歯列矯正線,ブラジャーの芯金,コルセットの芯金
等として使用されている。
が伸び歪みで7%程度の可逆性を示すため、ステンレス
線やピアノ線等とは異なり、コイル状にしなくてもワイ
ヤバネとして使用できるという利点がある。このような
ワイヤバネは、実用的には例えばカテーテルガイドワイ
ヤ,歯列矯正線,ブラジャーの芯金,コルセットの芯金
等として使用されている。
【0004】こうした形状記憶合金に対し、特にTi−
Ni系合金に超弾性を付与する方法としては、常用温度
よりも低い逆変態完了温度(以下、Af温度とする)を
持つ合金を700℃程度の温度で溶体化処理するのが一
般的である。即ち、超弾性ではAf温度以上の母相での
変形に伴って生成される応力誘起マルテンサイト相(S
IM)が変形の解放後の自発的逆変態によって起きるこ
とを利用している。
Ni系合金に超弾性を付与する方法としては、常用温度
よりも低い逆変態完了温度(以下、Af温度とする)を
持つ合金を700℃程度の温度で溶体化処理するのが一
般的である。即ち、超弾性ではAf温度以上の母相での
変形に伴って生成される応力誘起マルテンサイト相(S
IM)が変形の解放後の自発的逆変態によって起きるこ
とを利用している。
【0005】ところで、Af温度が常用温度よりも高い
Ti−Ni系合金に超弾性を付与する方法としては、形
状記憶合金の30%程度を冷間加工後、400〜500
(℃)の温度で加工熱処理するか、或いは冷間加工上り
を用いる方法が挙げられる。これらの方法は何れも超弾
性出現温度をAf温度以下に下げるための処理を行うこ
とに他ならない。
Ti−Ni系合金に超弾性を付与する方法としては、形
状記憶合金の30%程度を冷間加工後、400〜500
(℃)の温度で加工熱処理するか、或いは冷間加工上り
を用いる方法が挙げられる。これらの方法は何れも超弾
性出現温度をAf温度以下に下げるための処理を行うこ
とに他ならない。
【0006】ここで、加工熱処理での超弾性出現温度
は、溶体化処理によるマルテンサイト変態開始温度(以
下、Ms温度とする)以下とすることが困難である。例
えば、Ms温度が−30℃のTi−Ni系合金を冷間加
工後、400℃の温度で10分の加工熱処理を行うと、
熱処理後のAf温度は20℃程度となり、超弾性出現温
度は0℃程度から現れる。
は、溶体化処理によるマルテンサイト変態開始温度(以
下、Ms温度とする)以下とすることが困難である。例
えば、Ms温度が−30℃のTi−Ni系合金を冷間加
工後、400℃の温度で10分の加工熱処理を行うと、
熱処理後のAf温度は20℃程度となり、超弾性出現温
度は0℃程度から現れる。
【0007】一方、冷間加工上がりの場合、超弾性はT
i−Ni系合金のMs温度に依らず生体温度(37℃近
傍)で超弾性を示すので、上述したように歯列矯正線,
メガネフレーム等に実用化されている。但し、Ti−N
i系合金のMs温度は合金の組成や熱処理条件を変えて
も100℃程度が限界となっている。
i−Ni系合金のMs温度に依らず生体温度(37℃近
傍)で超弾性を示すので、上述したように歯列矯正線,
メガネフレーム等に実用化されている。但し、Ti−N
i系合金のMs温度は合金の組成や熱処理条件を変えて
も100℃程度が限界となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Ti−Pd系合金の場
合、最高で500℃程度のMs温度を持つが、このMs
温度以下、特に37℃近傍の生体温度で超弾性を示すも
のの存在は知られていない。
合、最高で500℃程度のMs温度を持つが、このMs
温度以下、特に37℃近傍の生体温度で超弾性を示すも
のの存在は知られていない。
【0009】又、Ti−Ni系合金でMs温度が100
℃の合金材料で得られる加工硬化超弾性を想定した場
合、Ms温度が500℃の合金材料による生体温度37
℃近傍での超弾性を示すものを推定することができな
い。例えばMs温度が100℃の合金材料を測定可能下
限温度,即ち、絶対零度(−273℃)で超弾性を測定
すればその温度差は373℃となるが、Ms温度が50
0℃の合金材料における生体温度37℃近傍での温度差
は463℃である。このようにMs温度より463℃も
低い温度で超弾性を示すものは提示されていない。
℃の合金材料で得られる加工硬化超弾性を想定した場
合、Ms温度が500℃の合金材料による生体温度37
℃近傍での超弾性を示すものを推定することができな
い。例えばMs温度が100℃の合金材料を測定可能下
限温度,即ち、絶対零度(−273℃)で超弾性を測定
すればその温度差は373℃となるが、Ms温度が50
0℃の合金材料における生体温度37℃近傍での温度差
は463℃である。このようにMs温度より463℃も
低い温度で超弾性を示すものは提示されていない。
【0010】更に、Ti−Ni系合金を生体対象として
用いる場合を仮定すると、合金組成中のNiが生体の細
胞に対する毒性,或いは皮膚アレルギーを誘発する原因
となる等の問題があり、形状記憶の特性で優れていても
実際には使用できない。
用いる場合を仮定すると、合金組成中のNiが生体の細
胞に対する毒性,或いは皮膚アレルギーを誘発する原因
となる等の問題があり、形状記憶の特性で優れていても
実際には使用できない。
【0011】そこで、生体対象とする場合には、生体に
対して毒性の無い他の形状記憶合金,即ち、例えばCu
基やFe基から成る形状記憶合金を用いれば良いことに
なるが、これらの形状記憶合金は特性や性能が不十分で
あるため、実用化には至っていない。
対して毒性の無い他の形状記憶合金,即ち、例えばCu
基やFe基から成る形状記憶合金を用いれば良いことに
なるが、これらの形状記憶合金は特性や性能が不十分で
あるため、実用化には至っていない。
【0012】本発明は、かかる問題点を解決すべくなさ
れたもので、その技術的課題は、従来に無い合金系で生
体温度で十分な超弾性を示すと共に、生体に対して毒性
の少ない超弾性バネを提供することにある。
れたもので、その技術的課題は、従来に無い合金系で生
体温度で十分な超弾性を示すと共に、生体に対して毒性
の少ない超弾性バネを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、Ms温
度が常用温度以上で、且つ該常用温度で与変形歪の60
%以上が自発的に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合
金を用いて成る超弾性バネが得られる。
度が常用温度以上で、且つ該常用温度で与変形歪の60
%以上が自発的に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合
金を用いて成る超弾性バネが得られる。
【0014】又、本発明によれば、Ms温度が100℃
以上で、且つ生体温度で与変形歪の60%以上が自発的
に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成る
超弾性バネが得られる。
以上で、且つ生体温度で与変形歪の60%以上が自発的
に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成る
超弾性バネが得られる。
【0015】更に、本発明によれば、上記何れかの超弾
性バネにおいて、Ti−Pd系形状記憶合金は、10%
以上の冷間加工率で冷間加工された後、600℃以下の
温度で熱処理された超弾性バネが得られる。
性バネにおいて、Ti−Pd系形状記憶合金は、10%
以上の冷間加工率で冷間加工された後、600℃以下の
温度で熱処理された超弾性バネが得られる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明の超弾性バネに
ついて、図面を参照して詳細に説明する。最初に、本発
明の超弾性バネの概要を簡単に説明する。
ついて、図面を参照して詳細に説明する。最初に、本発
明の超弾性バネの概要を簡単に説明する。
【0017】この超弾性バネは、Ms温度が常用温度以
上で、且つその常用温度で与変形歪の60%以上が自発
的に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成
るか、或いはMs温度が100℃以上で、且つ生体温度
で与変形歪の60%以上が自発的に弾性回復するTi−
Pd系形状記憶合金を用いて成るものである。
上で、且つその常用温度で与変形歪の60%以上が自発
的に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成
るか、或いはMs温度が100℃以上で、且つ生体温度
で与変形歪の60%以上が自発的に弾性回復するTi−
Pd系形状記憶合金を用いて成るものである。
【0018】因みに、これらのTi−Pd系形状記憶合
金において、与変形歪に対する弾性回復率を60%以上
としたのは、60%未満であればバネとしての機能が十
分に得られなくなるからである。更に、これらの超弾性
バネにおけるTi−Pd系形状記憶合金は、何れも10
%以上の冷間加工率で冷間加工された後、600℃以下
の温度で熱処理されたものである。
金において、与変形歪に対する弾性回復率を60%以上
としたのは、60%未満であればバネとしての機能が十
分に得られなくなるからである。更に、これらの超弾性
バネにおけるTi−Pd系形状記憶合金は、何れも10
%以上の冷間加工率で冷間加工された後、600℃以下
の温度で熱処理されたものである。
【0019】そこで、以下はこれらの超弾性バネ材料用
のTi−Pd系形状記憶合金について、幾つかの具体的
な実施例を挙げてその製造方法を合わせて説明する。
のTi−Pd系形状記憶合金について、幾つかの具体的
な実施例を挙げてその製造方法を合わせて説明する。
【0020】(実施例1)実施例1では互いに組成の異
なるTi−Pd系合金及びTi−Ni合金の合計7種を
高周波真空溶解後、冷間加工及び熱間加工を行うことに
より、それぞれ線径φが0.5mmの線材とした。但
し、冷間加工における冷間加工率は20%(線材断面積
の20%を冷間加工で小さくすること)で、熱処理条件
は未処理(なし)の場合を含めてそれぞれ300℃の温
度で30分間,400℃の温度で30分間,500℃の
温度で30分間,600℃の温度で10分間,700℃
の温度で10分間行った。
なるTi−Pd系合金及びTi−Ni合金の合計7種を
高周波真空溶解後、冷間加工及び熱間加工を行うことに
より、それぞれ線径φが0.5mmの線材とした。但
し、冷間加工における冷間加工率は20%(線材断面積
の20%を冷間加工で小さくすること)で、熱処理条件
は未処理(なし)の場合を含めてそれぞれ300℃の温
度で30分間,400℃の温度で30分間,500℃の
温度で30分間,600℃の温度で10分間,700℃
の温度で10分間行った。
【0021】引き続き、これらの各形状記憶合金線試料
に関するMs温度を1000℃の温度条件下で熱処理し
たものに対して示差走査熱量計によって求めると共に、
各形状記憶合金線試料に関する超弾性(弾性回復率)を
3%引っ張り力を与えたとき(以下、3%与歪とする)
の生体温度37℃における超弾性歪比(%)[(超弾性
歪/3%与歪)×100]として調べたところ、表1に
示すような結果となった。
に関するMs温度を1000℃の温度条件下で熱処理し
たものに対して示差走査熱量計によって求めると共に、
各形状記憶合金線試料に関する超弾性(弾性回復率)を
3%引っ張り力を与えたとき(以下、3%与歪とする)
の生体温度37℃における超弾性歪比(%)[(超弾性
歪/3%与歪)×100]として調べたところ、表1に
示すような結果となった。
【0022】
【表1】
【0023】表1からは、試料番号1〜5のTi−Pd
系形状記憶合金(線試料)は、何れもMs温度が100
℃以上であると共に、600℃以下の熱処理によって少
なくとも3%与歪に対して60%以上の弾性回復率を持
つため、超弾性バネとして適当であることが判る。又、
特に試料番号1,3,4,及び5のものは600℃以下
の全部の熱処理条件によって3%与歪に対して60%以
上の弾性回復率を有するため、その特性及び性能の確保
が製造面で有利となっているが、試料番号2のものは4
00℃以下の熱処理条件(未処理を含む)で加工硬化が
激しくなり、この結果、伸びが十分にとれなくなって引
っ張り試験時に断線しまうので、熱処理条件を注意する
必要がある。
系形状記憶合金(線試料)は、何れもMs温度が100
℃以上であると共に、600℃以下の熱処理によって少
なくとも3%与歪に対して60%以上の弾性回復率を持
つため、超弾性バネとして適当であることが判る。又、
特に試料番号1,3,4,及び5のものは600℃以下
の全部の熱処理条件によって3%与歪に対して60%以
上の弾性回復率を有するため、その特性及び性能の確保
が製造面で有利となっているが、試料番号2のものは4
00℃以下の熱処理条件(未処理を含む)で加工硬化が
激しくなり、この結果、伸びが十分にとれなくなって引
っ張り試験時に断線しまうので、熱処理条件を注意する
必要がある。
【0024】一方、試料番号6,7の比較例としてのT
i−Ni系形状記憶合金(線試料)では、Ms温度が1
00℃未満と小さく、300℃以下の熱処理条件で急激
な弾性回復が得られるが、400〜700(℃)の範囲
までの熱処理条件下では3%与歪に対して十分な弾性回
復率が得られないため、超弾性バネとして不適当となる
ことが判る。
i−Ni系形状記憶合金(線試料)では、Ms温度が1
00℃未満と小さく、300℃以下の熱処理条件で急激
な弾性回復が得られるが、400〜700(℃)の範囲
までの熱処理条件下では3%与歪に対して十分な弾性回
復率が得られないため、超弾性バネとして不適当となる
ことが判る。
【0025】図1は、表1に示した試料番号1及び4の
組成のTi−Pd系形状記憶合金(線試料)に関する2
0℃,60℃,及び100℃における応力歪線図を示し
たものである。図1からは、試料番号1及び4の組成の
Ti−Pd系形状記憶合金(線試料)は、各温度条件の
何れにおいても、応力P(MPa)に対して優れた歪特
性が確保され、その弾性回復率は上述した3%与歪(ε
=3%)のほぼ60%以上に収められることが判る。
組成のTi−Pd系形状記憶合金(線試料)に関する2
0℃,60℃,及び100℃における応力歪線図を示し
たものである。図1からは、試料番号1及び4の組成の
Ti−Pd系形状記憶合金(線試料)は、各温度条件の
何れにおいても、応力P(MPa)に対して優れた歪特
性が確保され、その弾性回復率は上述した3%与歪(ε
=3%)のほぼ60%以上に収められることが判る。
【0026】(実施例2)実施例2では、表1に示した
試料番号1及び5の組成のTi−Pd系形状記憶合金の
2種を高周波真空溶解後、0,5,10,20,30
(%)の可変的な冷間加工率による冷間加工,及び熱処
理をそれぞれ500℃の温度で30分間行うことによ
り、それぞれ線径φが0.5mmの供試線材を得た。引
き続き、これらの各形状記憶合金線試料に対して実施例
1の場合と同様に超弾性を3%与歪の生体温度37℃に
おける超弾性歪比(%)[(超弾性歪/3%与歪)×1
00]として調べたところ、表2に示すような結果とな
った。
試料番号1及び5の組成のTi−Pd系形状記憶合金の
2種を高周波真空溶解後、0,5,10,20,30
(%)の可変的な冷間加工率による冷間加工,及び熱処
理をそれぞれ500℃の温度で30分間行うことによ
り、それぞれ線径φが0.5mmの供試線材を得た。引
き続き、これらの各形状記憶合金線試料に対して実施例
1の場合と同様に超弾性を3%与歪の生体温度37℃に
おける超弾性歪比(%)[(超弾性歪/3%与歪)×1
00]として調べたところ、表2に示すような結果とな
った。
【0027】
【表2】
【0028】表2からは、超弾性バネとして適当な超弾
性を得るためには、冷間加工率を10%以上,好ましく
は20%以上とすれば良いことが判る。
性を得るためには、冷間加工率を10%以上,好ましく
は20%以上とすれば良いことが判る。
【0029】次に、試料番号1の組成のTi−Pd系形
状記憶合金を用いて冷間加工率20%による冷間加工,
及び熱処理を600℃,700℃,及び1000℃の温
度で処理時間を変えて行うことにより、それぞれ線径φ
が0.5mmの線材を得た。引き続き、これらの各形状
記憶合金線試料に対して実施例1の場合と同様に超弾性
を3%与歪の生体温度37℃における超弾性歪比(%)
[(超弾性歪/3%与歪)×100]として調べたとこ
ろ、表3に示すような結果となった。
状記憶合金を用いて冷間加工率20%による冷間加工,
及び熱処理を600℃,700℃,及び1000℃の温
度で処理時間を変えて行うことにより、それぞれ線径φ
が0.5mmの線材を得た。引き続き、これらの各形状
記憶合金線試料に対して実施例1の場合と同様に超弾性
を3%与歪の生体温度37℃における超弾性歪比(%)
[(超弾性歪/3%与歪)×100]として調べたとこ
ろ、表3に示すような結果となった。
【0030】
【表3】
【0031】表3からは、熱間加工における熱処理条件
は、冷間加工による加工歪が完全に損われない条件とし
て行う必要があることが判る。例えば、熱処理を600
℃で行う場合、熱処理時間が30分間未満であれば約6
0%程度の弾性回復率が得られ、600℃を越える温度
でも熱処理時間を考慮することで適度な弾性回復率が得
られることが判る。
は、冷間加工による加工歪が完全に損われない条件とし
て行う必要があることが判る。例えば、熱処理を600
℃で行う場合、熱処理時間が30分間未満であれば約6
0%程度の弾性回復率が得られ、600℃を越える温度
でも熱処理時間を考慮することで適度な弾性回復率が得
られることが判る。
【0032】尚、上述した各実施例では、超弾性バネ用
材料の形状記憶合金として、Ti−Pd合金及び一部の
第3元素添加Ti−Pd系合金(Ti−Ni−X合金)
を説明したが、第3元素Xとして、Fe,Cr,V,N
i,Cu等を添加したMs温度が100℃以上のTi−
Pd−X系合金の場合も超弾性バネ用材料として適用可
能である。又、超弾性バネ用材料としてのTi−Pd系
形状記憶合金は、Ms温度が常用温度から100℃未満
までの範囲のものでも製造工程で加工硬化して超弾性が
得られることは、Ti−Ni系合金を対象にした場合と
同様に自明である。
材料の形状記憶合金として、Ti−Pd合金及び一部の
第3元素添加Ti−Pd系合金(Ti−Ni−X合金)
を説明したが、第3元素Xとして、Fe,Cr,V,N
i,Cu等を添加したMs温度が100℃以上のTi−
Pd−X系合金の場合も超弾性バネ用材料として適用可
能である。又、超弾性バネ用材料としてのTi−Pd系
形状記憶合金は、Ms温度が常用温度から100℃未満
までの範囲のものでも製造工程で加工硬化して超弾性が
得られることは、Ti−Ni系合金を対象にした場合と
同様に自明である。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、冷間加工における冷間加工率と熱処理条件とを適度
に選定することにより、従来に無い合金で生体温度で十
分な超弾性を示すと共に、生体に対して毒性の少ない超
弾性バネが得られるようになる。この超弾性バネは、常
用温度で優れた弾性回復を示すため、生体用のみならず
幅広い分野での適用可能となる。
ば、冷間加工における冷間加工率と熱処理条件とを適度
に選定することにより、従来に無い合金で生体温度で十
分な超弾性を示すと共に、生体に対して毒性の少ない超
弾性バネが得られるようになる。この超弾性バネは、常
用温度で優れた弾性回復を示すため、生体用のみならず
幅広い分野での適用可能となる。
【図1】本発明の実施例1に係る表1に示した試料番号
1及び4の組成のTi−Pd系形状記憶合金(線試料)
に関する20℃,60℃,及び100℃における応力歪
線図を示したものである。
1及び4の組成のTi−Pd系形状記憶合金(線試料)
に関する20℃,60℃,及び100℃における応力歪
線図を示したものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 マルテンサイト変態開始温度が常用温度
以上で、且つ該常用温度で与変形歪の60%以上が自発
的に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成
ることを特徴とする超弾性バネ。 - 【請求項2】 マルテンサイト変態開始温度が100℃
以上で、且つ生体温度で与変形歪の60%以上が自発的
に弾性回復するTi−Pd系形状記憶合金を用いて成る
ことを特徴とする超弾性バネ。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の超弾性バネにおい
て、前記Ti−Pd系形状記憶合金は、10%以上の冷
間加工率で冷間加工された後、600℃以下の温度で熱
処理されたものであることを特徴とする超弾性バネ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP236894A JPH07207390A (ja) | 1994-01-14 | 1994-01-14 | 超弾性バネ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP236894A JPH07207390A (ja) | 1994-01-14 | 1994-01-14 | 超弾性バネ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07207390A true JPH07207390A (ja) | 1995-08-08 |
Family
ID=11527319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP236894A Pending JPH07207390A (ja) | 1994-01-14 | 1994-01-14 | 超弾性バネ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07207390A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008138733A (ja) * | 2006-11-30 | 2008-06-19 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 逆止弁 |
JP2016006218A (ja) * | 2014-05-29 | 2016-01-14 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 高温形状記憶合金およびその製造方法 |
WO2023091378A1 (en) * | 2021-11-16 | 2023-05-25 | Theodosios Alexander | Collapsing and expanding structures with shape memory materials at multiple temperatures |
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