JPH0720289Y2 - 車両用キーインタロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、オートマッチク（A/T）トランスミッション
を搭載した自動車等の車両用キーインタロック装置の改
良に関する。

（従来の技術） 一般に、オートマッチク（A/T）トランスミッションを
搭載した自動車等の車両には運転ポジションを選択する
シフトレバーが装着されており、このシフトレバーのレ
バー操作によって例えばＰポジション（パーキング位
置）、Ｒポジション（バック位置）、Ｎポジション（ニ
ュートラル位置）、Ｄポジション（ドライブ位置）、２
ポジション（セカンド位置）、Ｌポジション（ロー位
置）等の各運転ポジションを適宜選択できるようになっ
ている。

ところで、この種のオートマッチク（A/T）トランスミ
ッションを搭載した車両の急発進対策として、シフトロ
ック装置とキーインタロック装置とを併用することとな
った。上記シフトロック装置は、ブレーキペタルを踏込
まないとシフトレバーをパーキング位置から他の運転ポ
ジションにシフト切換できない構成である。すなわち、
ブレーキペタルに索状体を介してロックピンを連結し、
シフトレバーに設けられるディテントピンがＰポジショ
ンにあるとき、上記ロックピンがこのポジションからの
抜き出しを規制する。ブレーキペタルを踏込めば索状体
を介してロックピンがスライド付勢され、ディテントピ
ンがＰポジションから抜け出ること、すなわちパーキン
グ位置から他の運転ポジションへシフト切換をなすこと
が可能となる。

これに対して上記キーインターロック装置は、シフトレ
バーをパーキング位置にしないとイグニッションキーを
抜くことができないようにしたものであり、換言すれ
ば、イグニッションキーを抜くためにはシフトレバーを
必ずパーキング位置にしなければならない。また、一旦
イグニッションキーを抜いてしまうと、シフトレバーを
パーキング位置から他の運転ポジションにシフト切換で
きないよう規制するものである。

この種キーインタロック装置の概略構成は、第１図およ
び第２図に示すようになっている。装置本体１内に、略
円柱状のキーロック体２が回動自在に枢支される。この
キーロック体２は、その周面一部に所定円弧幅でかつ軸
方向に沿って切欠部３が設けられる。一端面にはキーシ
リンダ４が連設され、この図示しないキー孔の後述する
所定位置でのみイグニッションキー５を挿脱自在に挿入
でき、かつイグニッションキー５の回動操作によりキー
ロック体２とともに回動付勢されるようになっている。
他端面にはイグニッションスイッチ６が連設され、上記
イグニッションキー５を所定位置に回動したときオン状
態となる。上記キー孔の周囲には、第２図に示すよう
に、LOCK,ACC,ON,STARTの位置が設定されていて、キー
孔から上記イグニッションキー５を挿脱できるのは、キ
ー孔をLOCK位置に対向したときのみであり、他の位置に
合せれば所定の動作をなすとともにイグニッションキー
５に対するキーロックをなす。

再び第１図に示すように、装置本体１内にはロッドスラ
イダ７がスライド自在に収容される。このロッドスライ
ダ７は、軸方向がキーロック体２の軸方向と平行な円柱
状のロッド部８と、このロッド部８の周面に一体に突設
され略三角形状をなすとともにその突端部のみ角柱状に
突出するストッパ部９とからなる。上記ロッド部８の一
端面には索状体10を構成するインナケーブル11が連結さ
れる。このインナケーブル11をカバーするアウタチュー
ブ12は、装置本体１の端部に固定される。また、このよ
うにインナケーブル11とアウターチューブ12とで構成さ
れる索状体10の他端部は、ここでは図示しないシフトレ
バー装置に延設しかつ連結される。そして、シフトレバ
ーがパーキング位置から他の運転ポジションにシフト切
換をなしたとき、もしくは他の運転ポジションからパー
キング位置にシフト切換をなしたとき、索状体10のイン
ナケーブル11が上記ロッドスライダ７を軸方向に沿って
スライド付勢するようになっている。そしてまた、シフ
トレバーがパーキング位置にあるとき、上記ロッドスラ
イダ７は図に実線で示すように、このストッパ部９がキ
ーロック体２の端面と狭小の間隔ａを存して対向するよ
う設定される。シフトレバーをパーキング位置以外の運
転ポジションにシフト操作すると、ロッドスライダ７は
図に二点鎖線で示す位置にスライド付勢されるようにな
っている。一方、上記イグニッションキー５が抜かれて
いる状態、すなわちキー孔がLOCK位置に対向している状
態では、キーロック体２の切欠部３以外の端面がロッド
スライダ７のストッパ部９に対向し、かつイグニッショ
ンキー５を差込んでLOCK位置以外の位置に合せれば、キ
ーロック体２は回動して、この切欠部３延長上にロッド
スライダ７のストッパ部９が対向することとなる。

しかして、イグニッションキー５を抜いた状態でシフト
レバーをパーキング位置から他の運転ポジションへのシ
フト切換をしようとしても、ロッドスライダ７のストッ
パ部９がキーロック体２の端面に当接してシフト操作を
規制する。たとえばエンジンをかけるべく、あるいはア
クセサリーランプ類に通電すべく、上記イグニッション
キー５をキー孔に挿入してLOCK位置から他の位置へ回動
することにより、その動作をなすとともにキーロック体
２が回動付勢され切欠部３の延長上がロッドスライダ７
のストッパ部９に対向する。したがって、シフトレバー
をパーキング位置から他の運転ポジションにシフト切換
しても、ロッドスライダ７はキーロック体２に規制され
ることなくスライドし、ストッパ部９が切欠部３に対向
する。ACC,ON,START位置の相互間は切欠部３がロッドス
ライダ７のストッパ部９に当接することなく自由にキー
ロック体２を回動できる。また、エンジン駆動状態から
シフトレバーをＮポジションにし、かつイグニッション
キー５をACCに合せてエンジンを停止する場合がある。
このとき、イグニッションキー５を抜取るべくこれをLO
CK位置に回動しようとしても、キーロック体２の切欠部
３端面がロッドスライダ７のストッパ部９に当接して回
動を規制される。すなわち、シフトレバーをＰポジショ
ンにシフト切換してストッパ部９を切欠部３の対向位置
からずらし、キーロック体２端面に変位することによ
り、はじめてイグニッションキー５のACC位置からLOCK
位置への切換が可能となる。このように、シフトレバー
をパーキング位置に戻さない限りイグニッションキー５
をキーシリンダ４から抜くことができない。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、この種装置にも問題が残っている。第５
図に示すように、キーロック体２の切欠部３端面は矩形
状であり、ロッドスライダ７のストッパ部９も断面矩形
状である。シフトレバーをパーキング位置以外の運転ポ
ジションからパーキング位置にシフト操作すると、第６
図（Ａ）に示すように、ロッドスライダ７はスライドし
てストッパ部９がキーロック体２の端面より外方にず
れ、同図（Ｂ）に示すようにキーロック体２を回動して
この端面をロッドスライダ７のストッパ部９と狭小の隙
間ａを存して対向する。上記ロッドスライダ７のスライ
ド動作はシフトレバーの回動動作およびこれと連結する
上記索状体10のスライド動作からなり、円滑に、かつ確
実にロッドスライダ７をスライド付勢したときに、はじ
めて上記間隙ａを確保することができる。

しかしながら実際には、索状体10のフリクションやシフ
トレバー装置における動作不良などが原因して、このロ
ッドスライダ７の戻りが充分でなく、上記間隔ａを確保
できない恐れがある。この場合には、キーロック体２を
回動付勢してもこの切欠部３角部がストッパ部９に当接
して、キーロック体２の回動が規制されてしまう。すな
わち、シフトレバーをパーキング位置に戻しても、イグ
ニッションキー５をLOCK位置に戻すことができないこと
になる。

また、上記間隙ａをはじめから大になるよう調整し、ロ
ッドスライダ７の戻り量を大きくすることによりキーロ
ック体２への当接を避けることが考えられるが、今度は
シフトレバー装置側における、いわゆるあそびが増大
し、キーロックしてもシフトレバーがパーキング位置か
ら簡単に抜け出る恐れが生じる。したがって、上記間隙
ａは可能な限り狭い方が望ましく、その反面上述したよ
うな不具合が生じることもある。

本考案は、上述したような事情に着目してなされたもの
で、シフトレバーをパーキング位置以外の運転ポジショ
ンからパーキング位置にシフト操作したとき、索状体を
介して連結されるロッドスライダがたとえ充分にスライ
ドしなくても、キーロック体は確実に回動してイグニッ
ションキーをLOCK位置に戻すことができ、信頼性の向上
を図れる車両用キーインタロック装置を提供することを
目的とするものである。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は、装置本体にキーロック体を回動自在に枢支し
て所定回動位置でのみイグニッションキーを挿脱自在に
挿入可能とし、このキーロック体の周面一部に所定円弧
幅でかつ軸方向に沿って切欠部を設け、シフトレバーと
索状体を介してロッドスライダを連結したシフトレバー
をパーキング位置とこのパーキング位置以外の運転ポジ
ションとの間にシフト操作したときにスライド付勢して
なるものにおいて、上記ロッドスライダ端部を曲面状に
形成した曲面部とし、キーロック体の切欠部角部に面取
り加工した傾斜面を設けたことを特徴とする車両用キー
インタロック装置である。

（作用） 上記シフトレバーがパーキング位置にあるとき上記ロッ
ドスライダはキーロック体の端面と所定間隔を存して対
向し上記イグニッションキーを回動しない限りキーロッ
ク体端面はロッドスライダのスライドを阻止してシフト
レバーのパーキング位置から他の運転ポジションへのシ
フト切換を規制し、上記イグニッションキーをキーロッ
ク体に挿入し回動することによりキーロック体の切欠部
延長上がロックスライダに対向しシフトレバーをパーキ
ング位置以外の運転ポジションにシフト切換してロッド
スライダを切欠部に対向可能となし、上記ロッドスライ
ダの曲面部にキーロック体の切欠部角部に設けた傾斜面
が当接したとき、この傾斜面はロッドスライダを円滑に
スライド付勢してキーロック体の回動を可能とする。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第３図および第４図（Ａ），
（Ｂ）を参照して説明するに、先に説明した第１図中で
第２図と同一部分には同一の符号を付してその説明を省
略する。第３図に示すように、上記ロッドスライダ７の
ロッド部８から突出するストッパ部９は図において下端
面のみ曲面状に形成した曲面部20となす。一方、キーロ
ック体２の切欠部３において、その一方の端面の角部に
面取り加工した傾斜面21を設ける。この傾斜面21を設け
る側の端面は、上記イグニッションキー５をLOCK位置に
合せるべくキーロック体２を回動した際に上記ストッパ
部９と対向する端面のみでよい。

しかして、シフトレバーをパーキング位置以外の運転ポ
ジションからパーキング位置にシフト操作して、索状体
10を介してロッドスライダ７をスライドさせたとき、こ
の戻りが充分でない場合がある。第４図（Ａ）に示すよ
うに、上記イグニッションキー５をLOCK位置に戻すべく
キーロック体２を回動すると、この切欠部３の角部に設
けた傾斜面21が上記ロッドスライダ７の曲面部20に当接
する。そして曲面部20は傾斜面21に乗り上がり、かつキ
ーロック体20の回動にともなってロッドスライダ７は軸
方向に沿って押圧力を受ける。結局、第４図（Ｂ）に示
すように、ロッドスライダ７は所定位置までスライド付
勢されることになり、曲面部20に対する当接位置が傾斜
面21からキーロック体２の端面に変わる。キーロック体
２はLOCK位置まで円滑に回動することとなる。

このように、キーロック体２の回動にともなってロッド
スライダ７を所定位置までスライド付勢できるので、シ
フトレバーのパーキング位置におけるキーロック体２と
ロッドスライダ７との間隙を全くゼロ調整しても、キー
ロック体２の回動に支障がなくなった。

〔考案の効果〕

本考案によれば、シフトレバーをシフト操作したとき、
このシフトレバーに索状体を介して連結されるロッドス
ライダがたとえ充分にスライドしなくても、キーロック
体を回動すればロッドスライダを所定位置にスライドさ
せてキーロック体の回動に支障がなく、イグニッション
キー操作に対する信頼性の向上を図れるという効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は車両用キーインタロック装置要部の概略構成を
示す縦断面図、第２図はその要部の概略構成を示す正面
図、第３図および第４図は本考案の一実施例を示し、第
３図は車両用キーインタロック装置要部の分解した斜視
図、第４図（Ａ）および（Ｂ）はその動作を説明する
図、第５図および第６図は本考案の従来例を示し、第５
図は車両用キーインタロック装置要部の分解した斜視
図、第６図（Ａ）および（Ｂ）はその動作を説明する図
である。 １…装置本体、５…イグニッションキー、２…キーロッ
ク体、３…切欠部、10…索状体、７…ロッドスライダ、
20…曲面部、21…傾斜面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】装置本体と、この装置本体に回動自在に枢
   支され所定回動位置でのみイグニッションキーが挿脱自
   在に挿入可能な略円柱状のキーロック体と、このキーロ
   ック体の周面一部に所定円弧幅でかつ軸方向に沿って設
   けられる切欠部と、シフトレバーと索状体を介して連結
   されシフトレバーをパーキング位置とこのパーキング位
   置以外の運転ポジションとの間にシフト操作したときに
   索状体を介してスライド付勢されるロッドスライダとか
   らなり、上記シフトレバーがパーキング位置にあるとき
   上記ロッドスライダはキーロック体の端面と所定間隔を
   存して対向し上記イグニッションキーを回動しない限り
   キーロック体端面はロッドスライダのスライドを阻止し
   てシフトレバーのパーキング位置から他の運転ポジショ
   ンへのシフト切換を規制し、上記イグニッションキーを
   キーロック体に挿入し回動することによりキーロック体
   の切欠部延長上がロッドスライダに対向しシフトレバー
   をパーキング位置以外の運転ポジションにシフト切換し
   てロッドスライダを切欠部に対向可能となすものにおい
   て、上記ロッドスライダ端部に曲面状に形成した曲面部
   を有し、この曲面部にキーロック体の切欠部角部が当接
   したときロッドスライダを円滑にスライド付勢するよう
   切欠部角部に面取り加工した傾斜面を有することを特徴
   とする車両用キーインタロック装置。