JPH0720249U - 金属板研摩用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属薄板の表面を研磨するに際して、安全且
つ的確にこれを研磨し且つ作業時間を短縮する。 【構成】 磁石１を保持体２に埋め込み、この磁石１に
貫通孔を設けこの貫通孔を通して押し出し棒５をばね６
を介して保持体２に保持させる。保持体２には案内枠４
を取付けその高さを調節できるようにする。研磨する金
属板試料３を案内枠４に嵌め込み磁石１に吸引させた状
態で研磨を行う。 【効果】 案内枠の高さを金属板試料の厚さに合わせて
調節できるので、安全に研磨能率を高めることができ、
研磨後は押し出し棒を押すことによって容易に試料を取
り外すことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

金属板の調査試料などの表面を研磨する場合に用いる金属板の保持具に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

金属板の調査にあたって、数センチ大の試料についてその表面層や汚れ等を研 磨布や研磨盤を用いて除去することが多いが、塊状試料と異なり板状試料ではこ れを保持することが難しい。

【０００３】 このため、従来種々の保持具が考えられ、例えば、実開平３−２５１３８号公 報には、二本のアームの先端に試料の厚さに合わせた試料挟持用段付締付片を配 設し、アームの距離を変えて試料を挟み込む治具（以下、挟持治具と称す）が開 示されている。

【０００４】 又、実開昭５５−１４７２４０号公報には、四角体の保持具の下面に浅底の凹 部を作りその奥に永久磁石を埋め込んだ治具（以下、浅底磁石治具と称す）が開 示されている。この治具では、凹部に試料をはめ込み、磁石の吸引力により保持 する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記挟持治具では金属片が薄い場合試料挟持用段付締付片の段 差が小さくなり保持することが困難になる。また、試験片には、挟み込む力に耐 えて変形しない強度が要求される。従ってこの狭持治具は、比較的厚い試料にし か適用できないという問題点がある。

【０００６】 上記浅底磁石治具は、強度の小さい試料或いは薄い試料にも適用可能であるが 、試料の厚さに合わせて底の深さを変えた治具を何種類も準備しておかなければ ならず、また、凹部にはめ込まれた試料金属板を治具から取り外すことが容易で ないという問題がある。

【０００７】 この考案は、上記の問題を解決するためになされたもので、薄い金属板でも安 定して保持でき且つ試料の取外しが容易な金属板研摩用治具を提供することを目 的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記課題は、吸引面が平坦で吸引面からその反対面に抜ける貫通孔を有する磁 石と、凹部と貫通孔を有し凹部に磁石を保持する保持体と、この保持体の先端に 枠高を調整可能に嵌め合わせられる案内枠と、磁石と保持体の貫通孔を通りその 先端が磁石の貫通孔内に引っ込むように弾性体によって保持体に保持された押し 出し棒を有してなる金属板研摩用治具により解決される。

【０００９】

【作用】

磁石の吸引面は平坦であるので、薄い軟鋼試料等を研磨する場合でも研磨むら を生ずることがない。磁石の吸引面を基準にして案内枠の枠高を試料の厚さに合 わせて調整することによって、薄い試料であっても安定して保持することができ 、且つ均一な研磨が可能となる。又、案内枠を設けることによって、ここに試料 をはめ込むだけで取付けは完了する。案内枠にはめ込まれ、磁石に吸引された試 料を磁石から引き離すことはかなり困難なことである。

【００１０】 しかし、磁石に設けられた貫通孔を通して押し出し棒を弾性体に逆らって繰り 出すことによって、試料を押し離すことができるので取外しが容易になる。押し 出し棒は平常時は弾性体によってその先端を貫通孔内に引っ込めているので、研 磨中は試料の吸引を妨げることがない。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を用いて説明する。図１は、本考案の第１ の実施例を示す断面図、図２はその下側から見た平面図である。また、図３は、 本考案の第２の実施例を示す図であり、(a) はその断面図、(b) はその平面図で ある。図４は本考案の第３の実施例を示す平面図である。各図面において、１は 磁石、２は保持体、３は試料金属板、４は案内枠、５は押し出し棒、６は弾性体 であるばねを表す。

【００１２】 図１、図２に示される実施例は、試料形状が円形の場合に適した金属板研摩用 治具で、押し出し棒５は一本である。案内枠４の枠高調整は、保持体２との嵌め 合わせをねじ合わせとし、一方を回転することによって行う。

【００１３】 図３に示される実施例は、試料形状が角形の場合に適した金属板研摩用治具で 、押し出し棒の先端部が二本のものである。案内枠４の枠高は、保持体２とをス ライドさせて調整した後、止めねじ７で固定する。

【００１４】 図４に示される実施例は、試料形状が円形の場合に適した金属板研摩用治具で 、先端棒が三本のものである。これは試料３が特に薄いか柔らかい場合或いは試 料面積が大きい場合に適している。

【００１５】 押し出し棒の先端部は、一本とは限らず複数本であってもよいが、敢えて試料 の周辺部を押す必要はない。治具の構造からは、試料の中央部近辺に先端部を設 ける方が工作が容易であり、又先端部の数が少なくて済む。

【００１６】 塊状磁石では、吸引面の周辺部が磁極となり中央部の吸引力は比較的弱い。押 し出し棒の頭を軽く押すと押された点とその近傍では磁石の平坦面と試料との間 に隙間が生じて吸引力が弱まる。押し出し量が増えて隙間が大きくなるのに伴い 、この状態が押された中央部から周辺部へと広がって行く。このため、弱い押し 出し力で試料を引き離すことができ、薄い試料や柔らかい試料でも変形させずに 取り外すことができる。

【００１７】 なお、この金属板研磨用治具は、金属板試料が鉄やニッケル、コバルト或いは これらを主体とする合金等磁性体の場合に適用することができる。 図３に示した金属板研摩用治具を用いて６０ミリ×５０ミリの試料を研磨した ところ、次表に示すような特徴が明瞭に見られた。

【００１８】

【表１】

【００１９】 この考案の実施例は、厚さ０．０５ミリまでの試料に適用されたが、従来例で は厚さ１〜２ミリが限界であった。又、案内枠高の調整ができるので、厚さの異 なった試料が混在する場合にその便利であり、更に、試料取外しが容易でそれに 要する時間は従来の十分の一以下であった。

【００２０】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、金属板研磨試料を枠高調整可能な案内枠に はめ込んで磁石で吸引して保持するので薄い試料でも安定して固定することがで き、研磨後は押し出し棒を軽く押すことによて試料を取外すことができるので試 料の脱着が短時間で簡単に行える。このように、幅広い肉厚の試料に対応するこ とができ、しかも取扱が容易な金属板研磨用治具を可能としたこの考案の効果は 大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１の実施例を示す縦断面図であ
る。

【図２】この考案の第１の実施例を示す平面図である。

【図３】この考案の第２の実施例を示す図である。

【図４】この考案の第３の実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 磁石 ２ 保持体 ４ 案内枠 ５ 押し出し棒 ６ ばね

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸引面が平坦で吸引面からその反対面に
   抜ける貫通孔を有する磁石と、凹部と貫通孔を有し凹部
   に磁石を保持する保持体と、この保持体の先端に枠高を
   調整可能に嵌め合わせられる案内枠と、磁石と保持体の
   貫通孔を通りその先端が磁石の貫通孔内に引っ込むよう
   に弾性体によって保持体に保持された押し出し棒を有し
   てなる金属板研摩用治具。