JPH07201304A - Ms/ms型質量分析装置 - Google Patents

Ms/ms型質量分析装置

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JPH07201304A
JPH07201304A JP5351143A JP35114393A JPH07201304A JP H07201304 A JPH07201304 A JP H07201304A JP 5351143 A JP5351143 A JP 5351143A JP 35114393 A JP35114393 A JP 35114393A JP H07201304 A JPH07201304 A JP H07201304A
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恵 廣岡
Yasufumi Tanaka
靖文 田中
Yoshitake Yamamoto
善丈 山本
Haruhiko Miyagawa
治彦 宮川
Atsushi Nagata
淳 永田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 第3段四重極Q3を通過してきた目的娘イオ
ン16がイオンレンズ13により反発されることを防止
し、高感度の分析を行なえるようにする。 【構成】 イオンレンズ13のバイアス電圧VLを、目
的親イオン15の質量Mpと目的娘イオン16の質量Md
1との比に応じて変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬品、ガス等の分析に
用いられるMS/MS型質量分析装置(又は、タンデム
型四重極質量分析装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】四重極質量分析器は、図3に示すよう
に、z軸を中心に回転対称的に配置された4本の電極棒
31、32、33、34で構成される。x軸方向に配置
された一対の電極棒31、33とy軸方向に配置された
一対の電極棒32、34との間に、四重極駆動電圧源3
6から直流電圧U及び高周波電圧V・cos(ω・t)を重畳
した駆動電圧を印加しておき、イオン源11からz軸に
沿ってイオンを四重極の中心軸(z軸)に入射すると、
電圧U及びVにより定まる特定質量のイオン38のみが
安定的に四重極を通過することができ、他の質量のイオ
ン37は途中で発散してしまう。従って、電圧U及びV
を適当に定めることにより、任意の質量のイオンのみを
通過させるフィルタとして利用することができ、また、
電圧U及びVを、互いに所定の関係を持たせつつ変化さ
せることにより、四重極を通過するイオンの質量を軽い
ものから重いものまで順に走査することもできる。
【0003】MS/MS型質量分析装置は、図1に示す
ように、このような四重極を3組、イオン源11とイオ
ン検出器14との間に直列に配置したものである。イオ
ン源11で生成された分析対象試料のイオンは第1段四
重極Q1に導入され、第1段四重極Q1のフィルタ機能に
より、所定の質量Mpを持つ目的親イオンのみが第2段
四重極Q2に送られる。第2段四重極Q2はケース(衝突
室)12の中に納められ、その衝突室12の内部にはA
r、N2等の衝突ガスが導入されている。第1段四重極
Q1を通過した親イオン15はこの衝突室12の内部で
衝突ガスと衝突し、いくつかの娘イオンに開裂する。開
裂により生成された娘イオン16は第2段四重極Q2に
より第3段四重極Q3に運ばれ、第3段四重極Q3は第1
段四重極Q1と同様のフィルタ機能により所定の質量
(Md1)を持つ娘イオン16のみを通過させる。第3段
四重極Q3を通過した目的の娘イオン16はイオンレン
ズ13により集束され、イオン検出器14により検出さ
れる。
【0004】MS/MS型質量分析装置の使い方には、
次の3種の方法がある。
【0005】(1)娘イオン走査法 第1段四重極Q1の内部電圧(x、y方向の2対の電極
に印加する直流電圧Uと高周波電圧V・cos(ω・t)との
重畳電圧)を一定とする(正確には、UとVとの関係を
一定としておく)ことにより第1段四重極Q1を通過す
る親イオンの質量Mpを一定としておく一方、第3段四
重極Q3に印加するUとVとの関係を変化させることに
より、第3段四重極Q3を通過する娘イオンの質量Md1
を走査する。
【0006】(2)親イオン走査法 上記(1)とは逆に、第3段四重極Q3の内部電圧を一
定とすることによりQ3を通過する娘イオンの質量Md1
を一定としておく一方、第1段四重極Q1に印加するU
とVとの関係を変化させることにより、親イオンの質量
Mpを走査する。
【0007】(3)ニュートラルロス走査法 第1段四重極Q1を通過する親イオンの質量Mpと第3段
四重極Q3を通過する娘イオンの質量Mdとの差(Mp−
Md)が常に一定となるように、第1段四重極Q1と第3
段四重極Q3の駆動電圧U、Vを走査する。これは、第
2段四重極Q2における開裂で生成される電気的に中性
の生成物(原子団)を検出するためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、各四重極
Q1、Q2、Q3では、四重極駆動電圧源36により2対
の電極(図3における31〜34)に直流電圧U及び高
周波電圧V・cos(ω・t)を重畳した内部電圧を印加する
が、この内部電圧の他に、バイアス電圧源35によりイ
オン源11と四重極全体との間に直流バイアス電圧が印
加される。これは、イオン源11により生成されたイオ
ンを加速し、目的の質量のイオン38が正しく四重極内
を通過するようにするためであり、図1に示すように、
第1段〜第3段四重極Q1、Q2、Q3及びイオンレンズ
13にそれぞれバイアス電圧V1、V2、V3及びVLが印
加される。
【0009】例えば娘イオン走査法において、図1に示
すように、第1段四重極Q1により質量Mpの親イオンを
選択し、第2段四重極Q2でその親イオンを開裂したと
き、質量Md1の娘イオン及び質量Md2の娘イオンが生成
されたとする。この場合、質量Md1の娘イオン16のエ
ネルギは開裂前の質量Mpの親イオン15のエネルギV2
に対してV2×(Md/Mp)に減少する。
【0010】このようにエネルギの減少した娘イオン1
6を第3段四重極Q3に入射させるために、従来、第3
段四重極Q3のバイアス電圧V3は、分析目的の親イオン
及び娘イオンの質量Mp、Mdに応じて、 V3=V1+V2{1−(Md/Mp)n} …(1) となるように変化(走査)されていた(ここで、nは目
的イオンの種類に応じて1〜2程度の値が用いられる)
が、イオンレンズ13のバイアス電圧VLは各四重極の
バイアス電圧V1〜V3に無関係に常に一定とされてい
た。
【0011】しかし、このように第3段四重極Q3のバ
イアス電圧V3が走査される一方、VLが一定のままであ
ると、V3の値によってはイオンレンズ13におけるイ
オンの透過性が悪くなり、イオン検出器により検出され
るイオンの量が減少してしまう。
【0012】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その目的とするところは、第3段
四重極を通過した娘イオンをできるだけ多くイオン検出
器に送り出すことにより、高感度の分析を行なうことの
できるMS/MS型質量分析装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明では、イオン源から送り込まれる粒子
中、所定の質量を持つイオンのみを通過させる第1段四
重極と、第1段四重極を通過したイオンである親イオン
を開裂させる第2段四重極と、第2段四重極で生成され
たイオン中、所定の質量を持つ娘イオンのみを通過させ
る第3段四重極と、第3段四重極を通過したイオンをイ
オン検出器に向けて集束させるイオンレンズとを備えた
MS/MS型質量分析装置において、イオンレンズのバ
イアス電圧を、上記所定の親イオンの質量と上記所定の
娘イオンの質量との比に応じて変化させることを特徴と
している。
【0014】
【作用】従来のMS/MS型質量分析装置ではイオンレ
ンズのバイアス電圧が一定であったため、第3段四重極
のバイアス電圧V3を質量比Md/Mpに応じて変化させ
る(走査する)と、プラスイオンの場合は、イオンレン
ズのバイアス電圧VLと第3段四重極のバイアス電圧V3
との差が所定値(第3段四重極Q3を出た娘イオンの運
動エネルギに依存する値)よりもプラス側になってしま
い、第3段四重極Q3を出た娘イオン(プラス)がレン
ズのバイアス電圧VLにより反発され、イオン検出器に
入らなくなる可能性がある(マイナスイオンの場合は
逆)。本発明に係るMS/MS型質量分析装置では、イ
オンレンズのバイアス電圧VLを親イオンの質量Mpと娘
イオンの質量Mdとの比Md/Mpに応じて変化させるた
め、このような逆バイアスが起こらないようにすること
ができ、第3段四重極で分離された目的娘イオンを確実
にイオン検出器で検出することができるようになる。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例であるMS/MS質量分析
装置で、例えば娘イオン走査法によりプラスイオンを分
析する場合を図1及び図2により説明する。本実施例の
MS/MS質量分析装置全体の構成は図1に示す通りで
あり、その動作は概ね前述の通りであるが、本実施例の
MS/MS質量分析装置では、従来の装置とは異なり、
イオンレンズ13のバイアス電圧VLも制御可能となっ
ている。
【0016】分析対象成分を含む試料はイオン源11に
おいてイオン化され(ここでは、プラスイオンとす
る)、イオン出口から第1段四重極Q1に向けて放出さ
れる。イオン源11から放出されたイオンは、第1段四
重極Q1に印加されたバイアス電圧V1(図3のバイアス
電圧源35により生成される電圧。今の場合、V1<
0)により図3のz軸方向に加速されるとともに、四重
極Q1の内部電圧(図3の四重極駆動電圧源36により
生成される電圧。U+V・cos(ω・t))により、所定の
質量Mpを持つイオン以外のイオンは発散させられる。
第1段四重極Q1を通過した質量Mpのイオン15(これ
を親イオンと呼ぶ)は、衝突室12の入口を通過して第
2段四重極Q2に入る。第2段四重極Q2には、第1段四
重極Q1よりもマイナス側のバイアス電圧V2(すなわ
ち、V2<V1<0)が印加されており、これにより親イ
オン15は大きく加速されて衝突室12内の衝突ガス
(Ar、N2等)と衝突する。この衝突により親イオン
15は開裂し、複数個の娘イオンが生成する。例えば図
1に示すように、質量Md1の娘イオンと質量Md2の娘イ
オンが生成されたとする。これらの娘イオンは全て第2
段四重極Q2の内部電圧により第3段四重極Q3へ運ばれ
る(第2段四重極Q2の内部電圧は、フィルタ機能を持
たないように設定されている)。
【0017】第3段四重極Q3では、第1段四重極Q1と
同様、4本の電極間に所定の内部電圧U+V・cos(ω・
t)を印加することにより、目的の娘イオン16(質量
Md1の娘イオンとする)のみを通過させ、その他のイオ
ンを発散させる。また、第3段四重極Q3では、イオン
(娘イオン)の運動エネルギを減少させるために、第2
段四重極Q2よりもプラス側のバイアス電圧V3(V2<
V3<0)が印加される。親イオン15は、衝突による
開裂を生じさせるために第2段四重極Q2で大きく加速
され、大きな運動エネルギを持っている。従って、開裂
により生成した娘イオンも比較的大きなエネルギを持っ
ており、そのまま第3段四重極Q3に入ると第3段四重
極Q3の内部電圧によるフィルタ機能が十分に働かず、
目的娘イオンの質量Md1と他方の娘イオンの質量Md2が
近接している場合は、他方の娘イオンもイオン検出器1
4に入ってしまって分解能が悪化する。そこで上記の通
り、第3段四重極Q3のバイアス電圧V3は第2段四重極
Q2のバイアス電圧V2よりもプラス側とされる。しか
し、この第3段四重極Q3の適切なバイアス電圧V3は親
イオンの質量Mpと目的娘イオンの質量Md1との比Md1
/Mpに依存するため、第3段四重極Q3のバイアス電圧
V3は、質量比Md1/Mpに応じて図2(a)に示すよう
に変化(走査)される。これは、親イオン走査法、娘イ
オン走査法、ニュートラルロス走査法のいずれの方法で
分析を行なう場合も同じである。
【0018】第3段四重極Q3を通過した目的娘イオン
16は、イオンレンズ13により集束され、イオン検出
器14に入る。従来のMS/MS質量分析装置では、図
2(a)に示すように、イオンレンズ13のバイアス電
圧VLが一定であったため、第3段四重極Q3のバイアス
電圧V3がMd1/Mpに応じて変化するにつれてVLとV3
との差が所定値以上となる場合が生ずる。こうなると、
第3段四重極Q3で選択された目的娘イオン16がイオ
ンレンズにより反発され、イオン検出器14に入らなく
なる。そこで本実施例のMS/MS質量分析装置では、
VLを図2(b)に示すように、親イオンと目的娘イオ
ンの質量比Md1/Mpに応じて変化させる(図2(b)
ではVL=V3+α。ここで、プラスイオンの場合はα<
0)。これにより、第3段四重極で分離された目的娘イ
オン16は確実にイオンレンズ13を通過し、イオン検
出器14で検出されるようになる。
【0019】なお、図2(a)、(b)では上記式
(1)におけるnの値を1としたグラフを示したが、図
2(c)に示すように、V3の走査バイアス電圧として
n=2に近い値を用いた場合も、同様にイオンレンズの
バイアス電圧VLをV3+αと変化させる。ここにおける
αの値はMd1/Mpに拘らず一定としてもよいし、Md1
/Mpに応じて変化させるようにしてもよい。この場合
αは、Md1/Mpが小さくなると負の方向に大きくし
(プラスイオンの場合)、第2段四重極Q2における衝
突エネルギが大きくなると(すなわち、V2が大きくな
ると)大きくなるようにすることが望ましい。
【0020】
【発明の効果】本発明に係るMS/MS型質量分析装置
では、イオンレンズのバイアス電圧VLを親イオンの質
量Mpと娘イオンの質量Mdとの比Md/Mpに応じて変化
させるため、第3段四重極を通過してきた目的娘イオン
がイオンレンズにより反発されるということがなくな
り、目的娘イオンを確実にイオン検出器で検出すること
ができるようになる。これにより、質量分析の感度悪化
が防止されるとともに、第3段四重極のバイアスを最適
化することができるため、分解能も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるMS/MS質量分析
装置の全体構成図。
【図2】 MS/MS質量分析装置の第3段四重極及び
レンズのバイアス電圧の変化の様子を示すグラフ。
【図3】 四重極質量分析器の動作を示す説明図。
【符号の説明】
11…イオン源 12…衝突室 13…イオンレンズ 14…イオン検出器 15…目的親イオン(質量Mp) 16…目的娘イオン(質量Md1) 31、32、33、34…電極棒 35…バイアス電圧源 36…四重極駆動電圧源 Q1…第1段四重極 V1…第1段四重極バ
イアス電圧 Q2…第2段四重極 V2…第2段四重極バ
イアス電圧 Q3…第3段四重極 V3…第3段四重極バ
イアス電圧 VL…イオンレンズのバイアス電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 治彦 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内 (72)発明者 永田 淳 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン源から送り込まれる粒子中、所定
    の質量を持つイオンのみを通過させる第1段四重極と、
    第1段四重極を通過したイオンである親イオンを開裂さ
    せる第2段四重極と、第2段四重極で生成されたイオン
    中、所定の質量を持つ娘イオンのみを通過させる第3段
    四重極と、第3段四重極を通過したイオンをイオン検出
    器に向けて集束させるイオンレンズとを備えたMS/M
    S型質量分析装置において、 イオンレンズのバイアス電圧を、上記所定の親イオンの
    質量と上記所定の娘イオンの質量との比に応じて変化さ
    せることを特徴とするMS/MS型質量分析装置。
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