JP6733819B2 - 四重極型質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分離器として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置に関する。本明細書において「四重極型質量分析装置」とは、イオン検出器の直前に配置された質量分離器が四重極マスフィルタである質量分析装置のことであり、シングルタイプの四重極型質量分析装置のみならず、コリジョンセルを挟んで前後に四重極マスフィルタを配置したトリプル四重極型質量分析装置も含むものとする。
ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)等に用いられる一般的な四重極型質量分析装置では、イオン源において試料ガス中に含まれる化合物からイオンを生成し、その生成された各種イオンを四重極マスフィルタで質量電荷比m/zに応じて分離し、その分離されたイオンをイオン検出器で検出する。四重極マスフィルタにおいて所定の質量電荷比範囲に亘る質量走査を繰り返すことで、質量電荷比と信号強度との関係を示すマススペトルを繰り返し取得することができる。こうした質量分析装置において化合物同定を行う際には、得られたマススペクトルのスペクトルパターンを、既知の化合物データベースに収録されているマススペクトルのスペクトルパターンと比較し、そのパターンが類似する化合物を探索するデータベース検索(ライブラリ検索)がしばしば行われる(特許文献1等参照)。
こうした目的で使用される化合物データベースには様々なものがあるが、収録されているマススペクトルが旧式の質量分析装置で測定されたものである場合も多い。そうした場合、比較的最近の高精度、高感度である質量分析装置で或る化合物を測定することで得られたマススペクトルと化合物データベースに収録されているその化合物のマススペクトルとではパターンがかなり異なることがある。そこで、こうした旧式の質量分析装置で測定されたマススペクトルが収録されている化合物データベースを用いて化合物同定を行うような場合には、同じ化合物についての実測のマススペクトルのスペクトルパターンと化合物データベースにおけるマススペクトルのスペクトルパターンができるだけ一致するように、測定を実施する質量分析装置自体を調整するようにしている。
上記調整は意図的に質量分析装置の性能を落とす調整であるということができ、通常、イオン源で生成されたイオンを四重極マスフィルタに効率良く導入するために両者の間に配置されているイオンレンズを構成するレンズ電極に印加する電圧が調整されることが多い。この電圧を変化させるとイオンレンズの収束性が変化するが、その収束性の変化の度合いは質量電荷比によって異なる。そのため、レンズ電極への印加電圧を変えると四重極マスフィルタへのイオンの導入効率が質量電荷比によって変化し、結果として、得られるマススペクトルのスペクトルパターンが変化することになる。また、レンズ電極に印加する電圧を質量走査に同期させて適切に変化させることによってもマススペクトルのスペクトルパターンを変化させることができる。
特開2005−83952号公報([0002]−[0003]) 特開2002−329474号公報
上述したようにレンズ電極への印加電圧を調整することによって、マススペクトルのスペクトルパターンを調整することができる。こうした調整ではレンズ電極の電圧はイオン通過効率において最適でない状態に設定されるため性能が不安定になる傾向にあり、例えばレンズ電極が汚れると、検出感度が全体的に低下して一部の化合物が検出できなくなったりマススペクトルのスペクトルパターンが変化したりする。一方で、イオン源から出射されたイオンを収束するレンズ電極は多くのイオンに晒されるうえに、イオン化されなかった試料成分分子やガスクロマトグラフで用いられたキャリアガスなどもレンズ電極に当たるため、汚染が進み易い。そのため、例えば或る化合物についてデータベース中のマススペクトルと同じスペクトルパターンの実測マススペクトルを安定的に得るには、高い頻度で以て質量分析装置を調整し直さなければならないといった問題があった。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、化合物同定等のための、マススペクトルのスペクトルパターンの調整を安定的に行うことができる四重極型質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、測定対象のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置であって、
a)前記四重極マスフィルタを通過して来たイオンを検出する検出部と、
b)前記検出部におけるゲインを決める電圧、又は前記四重極マスフィルタを通り抜けたイオンが該検出部に到達するまでの経路に電場を形成する電極に印加する電圧のいずれかを調整する電圧調整部と、
c)所定の試料について当該装置での測定により得られた実測マススペクトルにおける少なくとも一部のスペクトルパターンが目標となるマススペクトルにおける該当するスペクトルパターンに一致する又は近づくように前記電圧調整部による電圧を調整する制御部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る四重極型質量分析装置において、目標となるマススペクトルとは典型的には、上述したように化合物データベースに収録されている標準マススペクトルである。ここで、マススペクトルはトリプル四重極型質量分析装置で得られるMS2スペクトルも含むものとする。
本発明に係る四重極型質量分析装置において、制御部は例えば、所定の標準試料について当該装置で測定を行うことで得られた実測マススペクトルのスペクトルパターンと、同じ標準試料について化合物データベースに収録されている標準マススペクトルのスペクトルパターンとを比較し、そのパターンが近づくように電圧調整部による電圧を調整する。この電圧調整部は、四重極マスフィルタを通過する前ではなく四重極マスフィルタを通過したあとのイオン、つまりは着目している特定の質量電荷比を有する又は特定の質量電荷比範囲に含まれるイオンを検出部で検出する段階又は該検出部に導く段階でその検出部のゲインやイオン通過経路の電場の状態(電位勾配や電場の強さ)を調整するものである。なお、スペクトルパターンは、マススペクトルに現れる2以上のピークの信号強度の比とすればよい。
本発明に係る四重極型質量分析装置の一実施態様として、前記検出部はコンバージョンダイノード及び二次電子増倍管を含み、前記電圧調整部は該コンバージョンダイノードに印加する電圧を調整する構成とすることができる。
この構成では、コンバージョンダイノードに印加する電圧を変えることで、四重極マスフィルタを通過したイオンをコンバージョンダイノードに引き込む(誘引する)電場の状態が変化する。その引き込み電場の状態が変化したとき、その変化の影響はイオンの質量電荷比によって異なる。それにより、コンバージョンダイノードに到達するイオンの量、つまりは検出部へのイオンの到達効率は質量電荷比によって異なり、結果的にスペクトルパターンが変化する。
また本発明に係る四重極型質量分析装置の別の実施態様として、前記四重極マスフィルタの出口と前記検出部との間に該四重極マスフィルタの出口から出射したイオンを収束させる電場を形成する電極をさらに備え、前記電圧調整部は該電極に印加する電圧を調整する構成とすることができる。
この構成における電極の一例としては、特許文献2に開示されている、四重極マスフィルタの出口の直後に配置された、イオンを収束するためのバイポーラ型の構成のレンズ電極とすることができる。この構成では、該電極に印加する電圧を変化させると四重極マスフィルタから出て来たイオンの収束性が変化し、コンバージョンダイノードなどに到達し得るイオンの量が変化する。このイオンの収束性は質量電荷比によって異なるため、異なる質量電荷比を有するイオンが検出部に到達する効率は異なり、結果的にスペクトルパターンが変化する。
また本発明に係る四重極型質量分析装置のさらに別の実施態様として、前記四重極マスフィルタの出口と前記検出部との間に該検出部へとイオンを誘引する電場の状態を変化させる電極をさらに備え、前記電圧調整部は該電極に印加する電圧を調整する構成とすることができる。
この構成における電極の一例としては、本出願人が出願したPCT/JP2017/018454号に開示されている、四重極マスフィルタの出口直後のアパーチャ電極とコンバージョンダイノードとの間に配置されたシールド電極とすることができる。この構成では、シールド電極に印加する電圧を変化させると、アパーチャ電極を通過して来たイオンに対する引き込み電場の状態が変化する。この引き込み電場の状態の変化に対するイオンの挙動の変化は質量電荷比によって異なるため、異なる質量電荷比を有するイオンがコンバージョンダイノードに到達する効率は異なり、結果的にスペクトルパターンが変化する。
電圧調整部としていずれの構成を採るかに拘わらず、制御部は、実測マススペクトルと標準マススペクトルとでスペクトルパターンが一致する又は近づくように、電圧調整部による電圧を調整すればよい。
上述したコンバージョンダイノードや二次電子増倍管などの検出部の構成要素は、イオンや中性粒子などの付着による汚れ等の影響を殆ど受けず又は受けにくく、設定電圧に依存する測定性能の不安定性は実質的にない。また、四重極マスフィルタでイオンが選択されているため、該四重極マスフィルタの後段ではその前段に比べて通過するイオンの量が格段に少なく、試料成分分子等の一部の中性粒子は四重極マスフィルタを通り抜けて来る可能性はあるものの、その量も四重極マスフィルタの前段に比べれば格段に少ない。そのため、四重極マスフィルタの出口と検出部との間に配設される電極も四重極マスフィルタの前段のレンズ電極に比べれば遙かに汚れにくい。それにより、イオン収束効率やイオン収集効率が最適でない場合でも、設定電圧に依存する測定性能の不安定性は小さい。
また、本発明に係る四重極型質量分析装置では、
試料成分由来のイオンを生成するイオン源と前記四重極マスフィルタとの間にイオン輸送光学系をさらに備え、
前記制御部は、前記電圧調整部による電圧を調整したときに実測マススペクトルにおける少なくとも一部のパターンと目標となるマススペクトルにおける該当するパターンとの差異が許容範囲内にならない場合、該差異が該許容範囲内になるように前記イオン輸送光学系に印加する電圧を調整する構成としてもよい。
この構成によれば、四重極マスフィルタよりも後段の検出部や電極に印加する電圧を調整しただけではマススペクトルのスペクトルパターンを十分に一致させることができない場合でも、四重極マスフィルタの前段のイオン輸送光学系(上述したイオンレンズなど)に印加する電圧の調整によって、マススペクトルのスペクトルパターンを十分に一致させることができるようになる。
本発明に係る四重極型質量分析装置によれば、装置の性能の意図的に落としてマススペクトルのスペクトルパターンを調整する場合でも、その性能の安定性を確保することができる。それによって、例えばマススペクトルのスペクトルパターンの再調整を高い頻度で行う必要がなくなり、測定の効率が向上する。また、或る化合物の実測マススペクトルと化合物データベース中の同じ化合物のマススペクトルとのスペクトルパターンの一致性が保たれるので、データベース検索による化合物同定の精度向上が図れる。
本発明の一実施例である四重極型質量分析装置の概略構成図。 本実施例の四重極型質量分析装置におけるマススペクトルパターンの調整処理の手順を示すフローチャート。 本実施例の四重極型質量分析装置におけるマススペクトルパターンの調整方法を説明するための図。 本発明の他の実施例である四重極型質量分析装置の概略構成図。 本発明のさらに他の実施例である四重極型質量分析装置の概略構成図。
以下、本発明の一実施例である四重極型質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例の四重極型質量分析装置の概略構成図である。
図示しない真空ポンプにより真空排気される真空チャンバ1の内部には、電子イオン化(EI)法や化学イオン化(CI)法などによるイオン化を行うイオン源2、イオンを収束させつつ輸送するイオンレンズ3、イオン光軸Cの周りに配置された4本のロッド電極から成る四重極マスフィルタ4、円盤状であって円形のイオン通過開口が形成されたアパーチャ電極5、及び、コンバージョンダイノード61と二次電子増倍管62とを含む検出部6、が配置されている。検出部6による検出信号はアナログデジタル変換器(ADC)7によりデジタルデータに変換されて制御・処理部9に入力される。電源部8は、各部に所定の電圧を印加するものであり、制御・処理部9は上記データを受け取って所定のデータ処理を実施するとともに、電源部8等の動作を制御する。
制御・処理部9は機能ブロックとして、マススペクトル作成部91、化合物データベース92、スペクトルパターン判定部93、分析制御部94、スペクトルパターン調整制御部95、CD(コンバージョンダイノード)電圧調整部96、レンズ電圧調整部97、等を含む。化合物データベース92には、様々な化合物について、化合物名、分子量、化学式(構造式)、標準マススペクトルなどの情報が格納されている。この化合物データベース92は一般に提供されているものである場合もあれば、装置メーカがユーザに提供するものである場合もある。なお、この制御・処理部9の実体はパーソナルコンピュータであり、該コンピュータにインストールされた専用のソフトウェアを該コンピュータ上で動作させることで上述した各ブロックの機能を実現する構成とすることができる。
次に、本実施例の四重極型質量分析装置における特徴的なマススペクトルパターン調整処理について、図2、図3を参照して説明する。図2はマススペクトルパターン調整処理の手順を示すフローチャート、図3はマススペクトルパターン調整を説明するための図である。このマススペクトルパターン調整処理は、或る化合物の標準マススペクトルを基準として、この化合物を含む試料を当該装置で測定したときに得られるマススペクトルのスペクトルパターンを上記標準マススペクトルのマススペクトルのスペクトルパターンに一致させるように装置のパラメータを調整する処理である。
処理が開始されると、まずCD電圧調整部96は予め決められた初期電圧をコンバージョンダイノード61に印加するように電源部8を制御する。ここでは初期電圧は−10kVであり、コンバージョンダイノード61に−10kVの高電圧が印加される(ステップS1)。なお、言うまでもないが、CD電圧の極性が負であるのは、測定対象のイオンが正イオンであるためであって、測定対象のイオンが負イオンである場合には、CD電圧の極性は正である。
分析制御部94はその状態で所定の試料に対するスキャン測定が実行されるように電源部8を制御する。これにより、その試料に対する所定の質量電荷比範囲に亘る検出信号が検出部6から出力され、マススペクトル作成部91は該検出信号がデジタル化されたデータに基づいてマススペクトルを作成する(ステップS2)。測定する試料は標準試料を用いればよく、ここでは一例としてパーフルオロトリブチルアミン(PFTBA)を用いるものとする。
スペクトルパターン判定部93はステップS2で得られた実測マススペクトルにおいてm/z 69のピークの信号強度値S1とm/z 502のピークの信号強度値S2とを求め、その信号強度比率A((S2/S1)×100)を計算する(ステップS3)。ここでは信号強度比率がスペクトルパターンである。いま、この実測マススペクトルが図3(b)に示すような状況であり、信号強度比率Aは10%であるものとする。スペクトルパターン判定部93はまた、化合物データベース92に収録されているPFTBAの標準マススペクトルを読み出し、上記と同じ二つの質量電荷比のピークの信号強度比率を計算する。この信号強度比率が目標値である。いま、標準マススペクトルが図3(a)に示すような状況であり、目標値は2%であるものとする。
そしてスペクトルパターン判定部93はステップS3で算出した実測の信号強度比率Aが目標値である2±Δ%の範囲内であるか否かを判定する(ステップS4)。ここで、±Δは許容範囲であり、適宜に定めておけばよい。ステップS4でYesと判定された場合には、実測マススペクトルのスペクトルパターンは標準マススペクトルのスペクトルパターンとほぼ一致しているとみなせるので、スペクトルパターン調整制御部95は、そのときのCD電圧をCD電圧の設定値として決定する(ステップS5)。
一方、ステップS4でNoと判定された場合、スペクトルパターン調整制御部95は、そのときのCD電圧の絶対値が2kV以下であるか否かを判定する(ステップS6)。CD電圧の絶対値を2kV以下に下げると、コンバージョンダイノード61の電子放出動作が適切に行われないおそれがあるため、CD電圧の絶対値を2kV以下に下げることは望ましくない。そこで、ステップS6でYesと判定された場合には、スペクトルパターン調整制御部95はCD電圧の設定値を−2kVに決定し(ステップS8)ステップS9へ進む。一方、ステップS6でNoと判定された場合には、未だCD電圧を下げる余地がある。そこで、CD電圧調整部96はCD電圧の絶対値を0.1kVだけ減少させて(ステップS7)ステップS2へと戻る。
したがって、ステップS7からS2へと戻りステップS2〜S4の処理を実施する際には、その1回前のステップS2〜S4の処理時に比べてCD電圧の絶対値は0.1kVだけ低い状態で先と同じ処理が行われる。
四重極マスフィルタ4及び接地されているアパーチャ電極5をイオン光軸Cに沿って通り抜けて来たイオンは、アパーチャ電極5とコンバージョンダイノード61との間の電位差によってその間の空間に形成されている引き込み電場の作用で、その軌道を徐々に曲げてコンバージョンダイノード61に誘引される。CD電圧の絶対値を下げると上記引き込み電場が弱まり、四重極マスフィルタ4を通過して来たイオンがコンバージョンダイノード61に到達しにくくなる。引き込み電場が弱まる影響は質量電荷比が大きなイオンほど大きいため、CD電圧の絶対値を下げると、相対的に低い質量電荷比のピークに比べて相対的に高い質量電荷比のピークの信号強度の低下が大きい。そのため、一般的には、CD電圧の絶対値を下げるに従い、上記の信号強度比率Aは小さくなる。
即ち、上述したようにCD電圧の初期電圧に対し信号強度比率Aが10%である状態からCD電圧の絶対値を下げていくと、信号強度比率Aは目標値である2%に徐々に近づいていく。そして、ステップS2〜S7の処理の複数回の繰り返しの過程でステップS4でYesと判定されると、その時点でステップS4からS5へと進み、CD電圧の設定値が決まる。
一方、ステップS2〜S7の処理を繰り返している過程でステップS4でYesと判定される前にステップS6でYesと判定された場合には、CD電圧の調整のみで信号強度比率Aを目標値に一致させるのは不可能である。そこで、上述したようにステップS8においてCD電圧を−2kVに設定したあと、ステップS9へと進み、それ以降はイオンレンズ3に印加するレンズ電圧を調整することで信号強度比率Aを2±Δ%の範囲に収めるようにする。即ち、レンズ電圧調整部97がレンズ電圧を所定のステップ幅で変化させるように電源部8を制御し、レンズ電圧が変化する毎に上記ステップS2〜S4及びS7と同様の処理を実行する。そして、信号強度比率Aが2±Δ%の範囲に入った時点でレンズ電圧の設定値を決めればよい。
もちろん、レンズ電圧を変化させたくない場合にはステップS9の処理を省くことができる。
上記実施例では、コンバージョンダイノード61に印加する電圧を変えることで、実測マススペクトルのスペクトルパターンを変化させるようにしていたが、それ以外の構成要素に印加する電圧を変えるようにしてもよい。図4、図5はそうした変形例による四重極型質量分析装置の概略構成図である。これら図において、上記実施例の四重極型質量分析装置と同じ構成要素には同じ符号を付している。
図4に示した四重極型質量分析装置では、検出部6は、アパーチャ電極5とコンバージョンダイノード61との間に配置されているシールド電極63を含む。このシールド電極63は、例えばPCT/JP2017/018454号に開示されているものであり、イオン光軸Cの延長線上に位置する阻止壁と、該阻止壁に連続して形成されている、該延長線に対して所定角度傾いているイオン誘引電場調整壁と、を有し、そのイオン誘引電場調整壁にはイオン通過開口が形成されている。このシールド電極63には、電源部から、コンバージョンダイノード61への印加電圧とアパーチャ電極5の電位(ここでは0V)との間の所定の電圧が印加される。
シールド電極63の阻止壁は、四重極マスフィルタ4を通り抜けて来た各種の中性粒子等の通過を阻止する。一方、イオン誘引電場調整壁はシールド電極63に印加されている電圧になるから、シールド電極63とアパーチャ電極5との間の電場における電位勾配は、その印加電圧によって変化する。そのため、コンバージョンダイノード61への印加電圧が一定でも、シールド電極63に印加する電圧を変えるとイオンの引き込み電場の状態が変化し、コンバージョンダイノード61へ到達するイオンの量が変化する。これにより、コンバージョンダイノード61への印加電圧を変えた場合と同様の効果を奏し、これによって上記実施例と同様に、マススペクトルのスペクトルパターンを調整することができる。
図5に示した四重極型質量分析装置では、四重極マスフィルタ4の出口と検出部6との間に、2枚のレンズ電極51、52を含むイオン収束レンズ50が配置されている。このイオン収束レンズ50は、例えば特許文献2に開示されているものであり、2枚のレンズ電極51、52にはそれぞれ異なる所定の電圧が印加される。2枚のレンズ電極51、52には印加する電圧を変化させると、イオン収束レンズ50を通過するイオンの収束性が変化するとともに、レンズ電極52とコンバージョンダイノード61との電位差が変化して両者の間の電場の状態も変化する。即ち、イオンの収束性とイオンの引き込み電場の状態とがともに変化するため、コンバージョンダイノード61へ到達するイオンの量が変化する。これにより、コンバージョンダイノード61への印加電圧を変えた場合と同様の効果を奏し、これによって上記実施例と同様に、マススペクトルのスペクトルパターンを調整することができる。
また、図1に示した四重極型質量分析装置において、二次電子増倍管62に印加する電圧(通常は初段のダイノードに印加する高電圧)を変化させると電子増倍率が変化するため、この電圧を変化させることでマススペクトルのスペクトルパターンを調整するようにしてもよい。
また、上記実施例はいずれも本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…真空チャンバ
2…イオン源
3…イオンレンズ
4…四重極マスフィルタ
5…アパーチャ電極
50…イオン収束レンズ
51、52…レンズ電極
6…検出部
61…コンバージョンダイノード
62…二次電子増倍管
63…シールド電極
7…アナログデジタル変換器
8…電源部
9…制御・処理部
91…マススペクトル作成部
92…化合物データベース
93…スペクトルパターン判定部
94…分析制御部
95…スペクトルパターン調整制御部
96…CD電圧調整部
97…レンズ電圧調整部
C…イオン光軸

Claims (5)

  1. 測定対象のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置であって、
    a)前記四重極マスフィルタを通過して来たイオンを検出する検出部と、
    b)前記検出部におけるゲインを決める電圧、又は前記四重極マスフィルタを通り抜けたイオンが該検出部に到達するまでの経路に電場を形成する電極に印加する電圧のいずれかを調整する電圧調整部と、
    c)所定の試料について当該装置での測定により得られた実測マススペクトルにおける少なくとも一部のスペクトルパターンが目標となるマススペクトルにおける該当するスペクトルパターンに一致する又は近づくように前記電圧調整部による電圧を調整する制御部と、
    を備えることを特徴とする四重極型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
    前記検出部はコンバージョンダイノード及び二次電子増倍管を含み、前記電圧調整部は該コンバージョンダイノードに印加する電圧を調整することを特徴とする四重極型質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
    前記四重極マスフィルタの出口と前記検出部との間に該四重極マスフィルタの出口から出射したイオンを収束させる電場を形成する電極をさらに備え、前記電圧調整部は該電極に印加する電圧を調整することを特徴とする四重極型質量分析装置。
  4. 請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
    前記四重極マスフィルタの出口と前記検出部との間に該検出部へとイオンを誘引する電場の状態を変化させる電極をさらに備え、前記電圧調整部は該電極に印加する電圧を調整することを特徴とする四重極型質量分析装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の四重極型質量分析装置であって、
    試料成分由来のイオンを生成するイオン源と前記四重極マスフィルタとの間にイオン輸送光学系をさらに備え、
    前記制御部は、前記電圧調整部による電圧を調整したときに実測マススペクトルにおける少なくとも一部のパターンと目標となるマススペクトルにおける該当するパターンとの差異が許容範囲内にならない場合、該差異が該許容範囲内になるように前記イオン輸送光学系に印加する電圧を調整することを特徴とする四重極型質量分析装置。
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