JPH07199213A - 光書き込み型液晶表示記録装置 - Google Patents

光書き込み型液晶表示記録装置

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JPH07199213A
JPH07199213A JP6000029A JP2994A JPH07199213A JP H07199213 A JPH07199213 A JP H07199213A JP 6000029 A JP6000029 A JP 6000029A JP 2994 A JP2994 A JP 2994A JP H07199213 A JPH07199213 A JP H07199213A
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柿沼武夫
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 調光層の特性を劣化させることもなく、濃度
むらのない良好な画像を得ることのできる光書き込み型
液晶表示記録装置。 【構成】 液晶を含む調光層1と、調光層1の一方の側
に配置された光導電層2と、この2層に印加する電圧の
極性を制御する電圧制御手段3と、光導電層2を繰り返
し走査露光する露光手段4と、走査露光のタイミングを
検知する検知手段5と、検知手段5による検知信号によ
って電圧印加のタイミングを制御する制御手段3を有す
る光書き込み型液晶表示記録装置において、各画面の走
査露光において、各画素が露光された瞬間に与えられる
電圧の極性が、その直前及び直後の画面の走査露光時に
その画素に印加される電圧の極性と常に逆になるよう
に、検知手段5による検知信号に基づいて電圧制御手段
3により制御されるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光書き込み型液晶表示
記録装置に関し、特に、可逆的記録媒体及びそれを用い
た記録装置、画像表示装置及び画像蓄積装置等に用いら
れる液晶を応用した光書き込み型液晶表示記録装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】光導電層と調光層を積層し、全体に電界
を印加しながら光導電層を画像情報に基づいて露光し、
調光層の液晶の配向を制御して画像を書き込むような表
示装置は、微細加工を必要とせず、高精細な画像を高速
に書き込むことができるため、液晶ライトバルブ等とし
て実用化されている。
【0003】従来、このような装置としては、特開平4
−94281号、特開平4−130420号、特開平4
−218021号に開示された装置等が知られている。
これらの装置は、書き込み光源としてレーザービームを
用いることが示されており、発明の目的としては、低い
製造コストで高解像度な画像を得る(特開平4−942
81号)、露光と逆極性電圧パルスの印加を同期的に制
御して部分的な書き換えを行う(特開平4−21802
1号)等をあげ、そのための構成や駆動方法を提案して
いる。また、特開平3−5729号、特開平4−539
28号には、光導電層にアモルファスシリコンを用い、
レーザー走査露光によって液晶層に画像を書き込む場合
が示されている。これらには、光導電層と電極との接合
によって生じるショットキー構造の整流性によって、液
晶層に直流電圧成分が印加されることを防ぐ目的で、新
たなダイオード構造やショットキー構造を付加する工夫
が開示されている。
【0004】一方、近年、ユーザーインターフェース改
善の見地から、人間の目に対する見やすさや取扱いのし
やすさを追求した電子機器に対する需要が高まってい
る。その中でも、特に、電子ディスプレイは、文書の作
成や表示を主体とする作業に多用されるため、目に優し
い受光型の表示が可能で、高い反射コントラストを有
し、高速な表示と表示のメモリ性とが両立するようなデ
ィスプレイの実現が望まれる。これらの要請の一部を満
たすディスプレイ技術は、現在いくつか提案されてい
る。その一つに、液晶の光散乱モードを利用したディス
プレイが知られている。
【0005】光散乱モードのディスプレイは、垂直配向
時に液晶と屈折率がほぼ等しくなるような透明材料と液
晶を混合し、熱や電界によって液晶の配向を制御するこ
とで、垂直配向時には光が透過し、ランダム配向時に
は、屈折率の違いから光が散乱され不透過になることを
利用している。このディスプレイは、受光型であるため
に、目に優しく、かつ、偏光板を用いる必要がないた
め、比較的明るく、高い反射コントラストが得られる長
所がある。
【0006】このような光散乱モードのディスプレイに
用いられる材料技術として、カプセル化した液晶をポリ
マー中に液晶滴として分散させてフィルム化する方法が
知られている(特表昭58−501631号、米国特許
第4,435,047号)。この技術においては、Ne
matic Curvilinear Aligned
Phase(NCAP)中に封入された液晶は、使用
環境温度で正の誘電率異方性のネマチック相を示し、電
界中に置かれるとその配向ベクトルが電界の方向に配列
し、液晶の屈折率n0 とポリマーの屈折率np とが等し
くなってフィルムは透明になり、電界が除かれた場合に
は、液晶はランダム配列となり、フィルム中の液晶滴の
境界面で光が散乱して透過光を遮断し、フィルムは白濁
し、記録情報を表示する。また、特表昭63−5015
12号や特開昭63−155022号には、液晶として
常温でスメクチック相を示すものを使用し、フィルムの
光変調にメモリ性を付与することが開示されている。こ
のような材料を用いた場合は、液晶のメモリ性によって
書き込まれた画像を無電源状態で保持し、かつ、媒体の
フィルム化が可能なため、表示画面をハードコピーのよ
うに扱うことが可能になる。
【0007】さて、これらの液晶材料と、先に述べた光
導電層を積層した光書き込み型素子の組合せは、高いコ
ントラストで高解像な画像を低エネルギーで高速に得ら
れる利点がある。このような技術の従来例としては、以
下のものが公知となっている。特開平3−155525
号に開示されている情報記録媒体は、高分子・液晶複合
膜とアモルファスシリコンからなる光導電層を組み合せ
た構成のデバイスであり、光学像を光導電層上に結像
し、露光パターンに応じた電界強度分布を調光層に与え
るものである。この時、これらの光書き込み型素子の書
き込み光としては、CRTを応用した画発光デバイス等
の他に、時系列的な画像信号に基づいて発光するレーザ
ー光源のようなものと、何らかの光走査装置を組み合わ
せたものも採用できる。この場合、電子化された画像情
報の出力を容易に実現することが可能になり、より広い
用途が期待される。
【0008】
【発明が解決しうよとする課題】このような装置におい
て、走査露光を行いながら、交流電界を印加し、画像の
書き込みを行った場合、印加電界の波形や露光とのタイ
ミングの不規則性に起因し、書き込まれる画像に濃度む
らが発生するという問題があった。
【0009】以下、この濃度むらの発生原因を例をあげ
て説明する。従来、高分子・液晶複合膜等の液晶を含む
調光層の透過率等を制御するためには、直流成分による
液晶層の劣化等を防ぐ目的で、交流電界を印加する場合
が多い。高分子・液晶複合膜の場合、電圧の印加が行わ
れた場合は、高分子中の液晶が配向し、高分子と液晶の
界面での屈折率差が無視できるようになって透明化す
る。また、電界が印加されなかった部分は、高分子樹脂
と液晶は相分離を起こしたままで、光散乱状態になる。
この時、場所によって電界の与えられる強さが異なる
と、液晶の配向状態に差が生じ、画像の濃度むらとな
る。また、印加される電圧の極性が連続して同極であっ
たりすると、直流成分が生じ、液晶材料自身の分解等や
特性の劣化につながる。ここで取り上げたような高分子
・液晶複合膜と光導電層からなる素子に交流電界をかけ
ながら、レーザービーム等によって光導電層への走査露
光を繰り返し行うと、実際に高分子・液晶複合膜中の1
画素に与えられる電圧は交流電圧波形の一部を切り取っ
たような非常に短時間のバルス電圧になる。
【0010】したがって、図2に概略の構成を示す従来
例のように、高分子・液晶複合膜からなる調光層1と光
導電層2からなる情報記録媒体に露光手段4によって走
査露光する際、交流電源31からの印加電圧極性や波形
の制御を行わずに画像の書き込みを行うと、同一画素に
繰り返し与えられるパルス電圧の実効値や極性は不規則
なものになってしまう。前述した従来技術には、この走
査露光と交流電界印加の組み合せに起因する濃度むらや
直流成分の印加に対する解決策については何ら示されて
いない。
【0011】本発明はこれら従来技術の欠点を解消する
ためになされたものであり、その目的は、調光層の特性
を劣化させることもなく、濃度むらのない良好な画像を
得ることのできる光書き込み型液晶表示記録装置を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の光書き込み型液晶表示記録装置は、少なくとも液晶
を含む調光層と該調光層の一方の側に配置された光導電
層とからなる表示記録媒体と、前記表示記録媒体の前記
2層に所定極性の電圧を印加する電圧印加手段と、前記
電圧印加手段により印加される電圧の極性を制御する電
圧制御手段と、前記光導電層を走査露光する露光手段
と、走査露光のタイミングを検知する検知手段と、前記
検知手段による検知信号に応じて前記電圧印加手段によ
る電圧印加タイミングを制御する制御手段とを有する光
書き込み型液晶表示記録装置において、前記電圧制御手
段は、前記表示記録媒体の所定領域への前記露光手段に
よる走査露光時に、前記電圧印加手段により印加される
電圧の極性が、該領域に対する前記露光手段による直前
の露光時に前記電圧印加手段により印加される電圧の極
性と逆極性になるように、前記電圧印加手段を制御する
ことを特徴とするものである。
【0013】この場合、電圧印加手段によって与えられ
る電圧の波形が矩形波であることが望ましい。また、露
光手段としては、レーザービーム光源と、そのビームを
少なくとも一方向に走査可能な走査装置とからなるもの
を用いることができる。
【0014】さらにまた、印加電圧の極性の反転は、走
査露光領域中の画像領域外において行うことが望まし
い。
【0015】さらに、調光層として、液晶を高分子樹脂
中に分散した高分子・液晶複合膜を用いると、良好な反
射コントラストが得られるため、望ましいが、本発明は
もちろんこれに限定されるものではない。その他の調光
層として、ネマチッチク液晶を用いた場合、相転移モー
ド、ツイストネマチックモード、電界誘起複屈折モー
ド、ゲストホストモード、光散乱モードが利用できる。
また、スメクチック液晶を用いた場合、複屈折モード、
ゲストホストモード、光散乱モードが利用できる。その
他、強誘電液晶も利用できる。
【0016】また、この液晶・高分子複合膜が、使用環
境温度でスメクチックA相を示し、使用環境温度以上で
ネマチック相に相転移する液晶を高分子樹脂中に分散し
たものからなる場合は、良好な画像のメモリ性を有する
ので、望ましい一つの形態である。この場合、液晶と高
分子樹脂とは、互いに3次元的に連結し、かつ、その液
晶が高分子樹脂中にほぼ均一に分散していることが、強
い光散乱と低い駆動電圧を得る上で望ましい。
【0017】また、この高分子・液晶複合膜を使用環境
温度以上の複数の加熱レベルに設定可能な加熱手段を有
することが望ましい。さらに、この加熱手段は、液晶の
相状態を検知する液晶相検知手段によってその加熱タイ
ミングが決められることが望ましい。また、光導電層
が、水素化アモルファスシリコンからなることが望まし
い。
【0018】さらに、電圧印加手段としては、無アルカ
リガラス等の無機透明性固体、PES(ポリエーテルサ
ルホン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポ
リスチレン、ポリイミド等の有機透明性固体等の透明基
板上に形成されたITO(酸化インジウム・錫)やSn
2 等の無機透明性電極やイオンドープポリアセチレン
等の有機透明性電極によって、調光層と光導電層を挟
み、電源と接続したものでもよい。
【0019】また、露光手段としては、レーザービーム
を走査する方法をあげたが、本発明はこれに限定される
ものではなく、この他に、LEDアレイ、真空蛍光管ア
レイ、プラズマディスプレイアレイ、端面発光型のEL
アレイ等のように、自発光型のイメージバーや液晶シャ
ッタアレイ、PLZTシャッタアレイ等、光シャッタ型
の1次元のイメージバーを2次元的に走査して用いた場
合にも適用できる。
【0020】
【作用】以下、図1を参照にして、本発明の作用を説明
する。全面が光散乱状態になっている調光層1と光導電
層2に、電圧制御手段3によって外部より交流電圧を与
えながら、光導電層2側から露光手段4によって画像情
報に従った露光が繰り返し行われる。露光が行われた部
分の光導電層2は導電性になるので、印加電圧はほぼ全
て調光層1に加わり、その部分の液晶は電界の向きに沿
って配向し、調光層1の露光が行われた部分全体が透明
化する。また、電界の印加されなかった部分は光散乱状
態になる。電界は、検知手段5によって検知された1画
面分の走査露光の開始タイミングに同期して印加され、
1画面分の走査露光の終了若しくは走査1ライン分の走
査露光の終了に応じ、何れの場合も画像領域外の走査領
域において印加電圧の極性を反転させる。また、この時
の電圧波形は矩形波である。このため、1画面分の画像
を書き込むために印加される電圧の実効値の大きさは、
画面上の場所によらず同一になる。さらに、露光手段に
よる走査露光が繰り返し行われても、印加される電圧の
極性は、画面上の同じ画素において、常に交互に反転す
るようになるため、濃度むらがなく、かつ、液晶の劣化
の少ない画像が書き込まれる。
【0021】調光層1に、使用環境温度でスメクチック
A相を示し、使用環境温度以上でネマチック相に相転移
する液晶を高分子樹脂中に分散したものを用いた場合、
光散乱状態にするためには、加熱手段6によって液晶を
液相への転移点以上に一旦加熱し、常温まで冷却する。
画像の書き込みは、加熱手段によって再び液晶をネマチ
ック相への転移点以上に加熱し、冷却中の液晶相状態を
液晶相検知手段によって検知しながら、電圧制御手段3
による調光層1と光導電層2への電圧印加及び露光手段
4による光導電層2への露光を行う。画像の書き換えが
行われなければ、そのまま画像を表示した調光層はスメ
クチックA相に冷却され、電界の印加がなくとも画像が
保持されることになる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の光書き込み型液晶表示記録装
置を実施例に基づいて詳細に説明する。図3は、本発明
を適用した液晶表示記録装置に用いられる表示記録媒体
の断面を示す図である。この表示記録媒体30は、ま
ず、ポリイミドからなる一方の透明基板7にスパッタリ
ングにより酸化インジウム・錫(ITO)からなる透明
電極8を成膜し、その上にキャリアの注入を防止するた
めのキャリア注入阻止層9としてTaOx を0.1μm
の厚さに成膜した。さらに、その上に光導電層2とし
て、シランガスと水素ガスを原料として用い、少量のボ
ロンをドープしてプラズマCVD法により、水素化アモ
ルファスシリコンを5μmの厚さで成膜した。そして、
その上にキャリア注入阻止層と遮光層を兼ねて、カーボ
ンブラックをアクリル系樹脂に分散させたものをスピナ
ーにより厚さ1μmで塗布し、露光によって光重合させ
た後、200℃程度で焼成した。この遮光層10は、ま
た、白地に黒字という良好な直視型の白黒反射表示を実
現するための光吸収層の役割も兼ねている。
【0023】調光層1の液晶材料としては、シアノビフ
ェニル系スメクチック液晶混合物(BDH社製「S
2」)を使用し、この液晶材料80重量%と重合化合物
としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日
本化薬社製「カヤラッドHDDA」)11.6重量%及
びウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセル・ユーシ
ービー社製「エベクリル204」)8重量%と、重合開
始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニ
ルプロパン−1−オン(メルク・ジャパン社製「ダロキ
ャア1173」)0.4重量%とによる重合性組成物と
を混合した。この混合物にさらに直径10μmの球形ス
ペーサ(積水ファインケミカル社製「ミクロパールSP
210」)を少量加え、超音波洗浄器で混合した後、脱
気して混合溶液を調製した。この混合溶液を、上記の光
導電層2等を積層した基板7とPETフィルム12にI
TO透明電極11を着膜したもう一方の基板12との間
に挟み込み、全体を25℃に保ちつつ、均一にブラック
ランプ光源から波長が360nm程度の紫外線を数秒間
照射して硬化を行った。以上のようにして表示記録媒体
30を作製した。
【0024】図4は、このような表示記録媒体30を用
いた本発明による液晶表示記録装置の1実施例の全体の
構成を示す概略図である。図中に示す表示記録媒体30
の手前の基板7であるPETフィルムには、幅200μ
mの短冊型電極13が230μm間隔で分離形成されて
おり、これに加熱用の直流電流パルスを流すことで調光
層1を加熱し、液晶層の相状態を制御することができる
ようになっている。ここで、図中、表示記録媒体30の
右下部に示された非画像部であって、電界が印加されな
い領域の一部に、液晶の相状態を検知するセンサー14
が取り付けてある。センサー14は、発光素子と受光素
子を液晶セルを挟んで設置したものである。加熱によっ
て一旦液相化した液晶層1を挟んで設置したセンサー1
4は、液晶が液相で透明な状態にある間は、発光素子か
らの光を受光素子が常に受けている。自然冷却によって
液晶が液相からネマチック相に相転移すると、センサー
14の間にある液晶セルの領域には電界が印加されない
ため、液晶の配向が乱れ、光を散乱し、受光素子への光
を遮ることになる。この変化が液晶層1の相の変化を示
す信号となる。タイミング制御回路15がこの信号を取
り込み、この信号を基に、光学像の走査の開始タイミン
グや電界の印加を行うきっかけになる画像出力開始タイ
ミングが決定される。光導電層2への露光は、外部から
入力される画像信号を取り込み、タイミング制御回路1
5により決定されたタイミングで、レーザードライバ2
0の駆動により波長690nmの半導体レーザー16か
ら出射されるビームをコリメート後に、ポリゴンミラー
17とガルバノミラー18によって2次元的に偏向し、
fθ集束光学系19によってスポット状に集光されて行
われる。なお、調光層1の加熱手段、相転移センサー1
4等の構成、動作については、本出願人の特願平5−5
5568号に詳細に説明してある。
【0025】上記構成からなる表示記録装置において、
表示記録媒体30の加熱制御及び電圧印加と画像情報に
従った走査露光のタイミングを同期的に制御する具体的
方法について、以下に述べる。図5に、画面の書き込み
に関する駆動のタイミングチャートを示す。まず、画像
情報に基づいて、液晶セルへの画像の書き込みが起こる
直前に、それを知らせる画像準備信号S1が図4に示し
たタイミング制御回路15から発せられる。この信号S
1を受けて、加熱手段である加熱用電極13に外部電源
から直流の電流パルスが流される。電流パルスの幅は、
約10ms程度である。液晶は、加熱電流パルスによる
ジュール熱で一旦液体化した後、ネマチック相に転移す
る。液晶が液相からネマチック相に転移したことを、相
転移センサー14の出力から検知し、その検知信号S2
を受けて始めて光導電層2への露光が開始される。露光
周期を検知する走査ライン同期信号S3が後記のように
出力され、この走査ライン同期信号S3に対応して、画
像情報に従ったレーザー16の変調、ガルバノスキャナ
ー18の駆動が行われるのである。
【0026】前述したように、まず半導体レーザー16
からのビームは、ポリゴンスキャナー17で1次元方向
に走査され、ガルバノスキャナー18に入射する。この
時、画像情報に従ってオン・オフが制御される半導体レ
ーザー16とは別に、ポリゴンスキャナー17による走
査のライン周期を検出するために、もう一つの半導体レ
ーザー22からのビームをポリゴンスキャナー17に入
射させ、その反射光を光センサー23で受け、電気パル
ス走査ライン同期信号S3を出力する。この走査ライン
同期信号S3は、タイミング制御回路15に入力され、
さらに画像出力開始信号が入力されると、この走査ライ
ン同期信号S3に同期をとりながら画像情報に従って半
導体レーザー16のオン・オフが制御される。同時にま
た、ガルバノスキャナー18は、この走査ライン同期信
号S3に同期しながら所定の角度ずつ反射面を一方向に
回転させ、1画面分の画像を出力した後に初期位置に戻
るといった動作を連続的に行う。また、表示記録媒体3
0へは、同時に、液晶を配向するに十分な交流矩形波電
圧(ここでは、30VRMS ) が印加され、その極性は、
電圧極性反転回路21によって1画面分の画像を書き終
わった直後で、次の画面を書き始めるまでの間に反転さ
れる。なお、この極性の反転は、1ライン毎に走査ライ
ン同期信号S3に同期し、画像領域以外の走査を行って
いる時に反転を行うようにしてもよい。ただし、この時
は、画面の1ライン目の電圧極性を電圧極性反転回路2
1に接続したメモリに記憶しておいて、次の画面の書き
出し時にはその極性を参照し、反転する必要がある。
【0027】以上のようにして、表示記録媒体30の加
熱制御、光導電層2への2次元的なレーザー露光と表示
記録媒体30への電圧印加が同期的に制御され、連続的
な画像の書き込みが行われる。
【0028】なお、露光及び電圧の印加のタイミング
は、上記の画面の書き込みを行う場合のタイミング制御
によって、液晶がネマチック相からスメクチック相に相
転移する前に、十分間に合って終了するように予め設定
されている。画像の書き換えが周期的に行われる場合
は、上述した画像書き込み動作を連続して行うことにな
り、画像の書き換えがない場合は、液晶は常温でメモリ
性を持つスメクチックA相で存在するため、図5に示す
ように、液晶がメクチックA相に相転移する前の最後に
書き込まれた画像が無電源で保持されることになる。
【0029】次の実施例について、図6を参照にして説
明する。図4の実施例では、画像を書き込みながら同時
に表示像を観察できるような電子ディスプレイ装置に、
本発明を適用した場合の構成であった。本発明は、これ
に限定されるものではなく、図6に示すような円筒形ド
ラム24にフィルム状に構成された図3のような記録媒
体30を巻き付け、1次元的なレーザー走査を同一ライ
ンに対して複数回繰り返した後に、ドラム24を徐々に
回転させることによって、記録媒体30に2次元的な画
像の書き込みを行い、その書き込み画像をメモリしてハ
ードコピーのように扱うことのできる可逆記録プリンタ
ーに応用することもできる。この時、記録媒体30に印
加する交流電圧は、光センサー23から発せられる1ラ
イン毎の走査ライン同期信号S3に同期して、画像領域
以外の走査を行っている時に液晶層1に印加する電圧の
極性の反転を行う。
【0030】以上、本発明の光書き込み型液晶表示記録
装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれ
ら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光書き込み型液晶表示記録装置においては、各画面の
走査露光において、各画素が露光された瞬間に与えられ
る電圧の極性が、その直前及び直後の画面の走査露光時
にその画素に印加される電圧の極性と常に逆になるよう
に制御されるので、各画素に同じ極性の電圧が連続的に
加わって、直流電流が高分子・液晶複合膜中の液晶を流
れることによる液晶層の劣化を防ぐことができる。
【0032】また、この印加電圧波形を矩形波とするこ
とによって、1画面の全ての領域で同じ実効電圧が与え
られ、濃度むらのない高いコントラストを有する反射画
像を実現することができる。
【0033】また、露光手段として、レーザービーム光
源と、そのビームを少なくとも一方向に走査可能な走査
装置とからなるものを用いることによって、比較的低コ
ストなシステムで画像の書き込みを実現し、画像の解像
度を容易に変更できる。
【0034】さらに、印加電圧の極性の反転を、走査露
光領域中の画像領域外において行うようにすることによ
り、画像領域中での印加電圧の極性反転が起こらないた
め、反転時の瞬間的な印加電圧の不安定さに起因する画
像への悪影響を防止することができる。
【0035】また、調光層として、液晶を高分子樹脂中
に分散した高分子・液晶複合膜からなるものを用いるこ
とにより、良好な反射コントラストを有し、フレキシブ
ルなディスプレイを実現することができる。また、液晶
・高分子複合膜を、使用環境温度でスメクチックA相を
示し、使用環境温度以上でネマチック相に相転移する液
晶を高分子樹脂中に分散したものを用いると、電源を必
要とせずに表示の保持が行えるため、表示画面を取り外
して紙のように手軽に扱うことができる。また、高分子
・液晶複合膜を使用環境温度以上の複数の加熱レベルに
設定可能な加熱手段を有することにより、画像の書き込
みを液晶層がネマチック相になった時に行うことができ
るため、書き込みの駆動電圧を下げることができる。さ
らに、この加熱手段として、液晶の相状態を検知する液
晶相検知手段によってその加熱タイミングが決められる
ものを用いると、正確なタイミングで確実に画像を書き
込むことができる。
【0036】さらに、光導電層として、水素化アモルフ
ァスシリコンを用いることにより、高速な画像表示を行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光書き込み型液晶表示記録装置の構
成と作用を説明する図。
【図2】 従来の同様の液晶表示記録装置を説明する
図。
【図3】 本発明の1実施例に用いる液晶表示記録媒体
の断面図。
【図4】 1つの実施例の液晶表示記録装置の全体の構
成を示す概略図。
【図5】 図4の液晶表示記録装置の同期的駆動のタイ
ミングチャートを示す図。
【図6】 別の実施例2の構成を示す概略図。
【符号の説明】
1…調光層(液晶・高分子複合膜)、2…光導電層、3
…電圧制御手段、4…露光手段、5…検知手段、6…加
熱手段、7…透明基板(ポリイミドフィルム)、8…透
明電極、9…キャリア注入阻止層、10…遮光層兼キャ
リア注入阻止層(光吸収層)、11…透明電極、12…
透明基板(PETフィルム)、13…短冊型電極(兼加
熱電極)、14…液晶相検知用光学センサー、15…タ
イミング制御回路、16…半導体レーザー、17…ポリ
ゴンミラー、18…ガルバノミラー、19…fθ集束光
学系、20…レーザードライバ、21…電圧極性反転回
路、22…同期検出用半導体レーザー、23…同期検出
用光センサー、24…円筒形ドラム、30…表示記録媒

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも液晶を含む調光層と該調光層
    の一方の側に配置された光導電層とからなる表示記録媒
    体と、前記表示記録媒体の前記2層に所定極性の電圧を
    印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段により印加
    される電圧の極性を制御する電圧制御手段と、前記光導
    電層を走査露光する露光手段と、走査露光のタイミング
    を検知する検知手段と、前記検知手段による検知信号に
    応じて前記電圧印加手段による電圧印加タイミングを制
    御する制御手段とを有する光書き込み型液晶表示記録装
    置において、 前記電圧制御手段は、前記表示記録媒体の所定領域への
    前記露光手段による走査露光時に、前記電圧印加手段に
    より印加される電圧の極性が、該領域に対する前記露光
    手段による直前の露光時に前記電圧印加手段により印加
    される電圧の極性と逆極性になるように、前記電圧印加
    手段を制御することを特徴とする光書き込み型液晶表示
    記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記電圧印加手段に
    よって与えられる電圧の波形が矩形波であることを特徴
    とする光書き込み型液晶表示記録装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記露光手段が、レ
    ーザービーム光源と、そのビームを少なくとも一方向に
    走査可能な走査装置とからなることを特徴とする光書き
    込み型液晶表示記録装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記印加電圧の極性
    の反転は、前記走査露光領域中の画像領域外において行
    うことを特徴とする光書き込み型液晶表示記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記調光層が、液晶
    を高分子樹脂中に分散した高分子・液晶複合膜からなる
    ことを特徴とする光書き込み型液晶表示記録装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記液晶・高分子複
    合膜が、使用環境温度でスメクチックA相を示し、使用
    環境温度以上でネマチック相に相転移する液晶を高分子
    樹脂中に分散したものからなることを特徴とする光書き
    込み型液晶表示記録装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記高分子・液晶複
    合膜を使用環境温度以上の複数の加熱レベルに設定可能
    な加熱手段を有することを特徴とする光書き込み型液晶
    表示記録装置。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記加熱手段は、液
    晶の相状態を検知する液晶相検知手段によってその加熱
    タイミングが決められることを特徴とする光書き込み型
    液晶表示記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項1において、前記光導電層が、水
    素化アモルファスシリコンからなることを特徴とする光
    書き込み型液晶表示記録装置。
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