JPH0736007A - 液晶画像表示方法及びその装置 - Google Patents

液晶画像表示方法及びその装置

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JPH0736007A
JPH0736007A JP5556893A JP5556893A JPH0736007A JP H0736007 A JPH0736007 A JP H0736007A JP 5556893 A JP5556893 A JP 5556893A JP 5556893 A JP5556893 A JP 5556893A JP H0736007 A JPH0736007 A JP H0736007A
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JP
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liquid crystal
phase
heating
temperature
image
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JP5556893A
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English (en)
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Minoru Koshimizu
実 小清水
Takeo Kakinuma
武夫 柿沼
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い反射コントラストを有する液晶の光散乱
を利用した受光型のディスプレイにおいて、画像の書き
換えを高速で行うことができ、しかも画像の書き換えを
行わない時には画像の保持ができるようにする。 【構成】 動画像情報に応じたパターンからなる電界を
印加する電界印加手段5と、その電界に対応して液晶の
配向状態が制御され、使用環境温度下でスメクティック
A相を示し且つ使用環境温度よりも高い温度下でネマテ
ィック相に相転移する液晶3を高分子樹脂中に分散した
液晶−高分子複合膜2を備えた液晶表示素子1と、その
液晶−高分子複合膜2における液晶3を少なくともスメ
クティックA相及びネマティック相の相状態に維持でき
る複数の加熱レベルに設定可能な加熱手段4により液晶
画像表示装置を構成し、特に、画像の書き換えを、加熱
手段4により少なくともネマティック相への相転移温度
以上の温度に加熱してネマティック相に相転移させた時
点で、電界印加手段5により動画像情報に応じたパター
ンからなる電界を印加して液晶3の配向状態を制御する
ことにより行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークステーションや
パソコン等における受光型の電子ディスプレイとして用
いられる液晶画像表示装置の改良に係り、詳しくは、高
速な動画像表示ができ、しかも電界を印加することなし
に表示画像の保持ができる液晶画像表示方法とその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、受光型の液晶画像表示装置として
は、液晶の光散乱モードを利用したデイスプレイが知ら
れている。この光散乱モードのデイスプレイは、垂直配
向時に液晶と屈折率がほぼ等しくなるような透明材料と
液晶を混合した液晶膜を備えた液晶表示素子を使用し、
その液晶の配向を熱や電界の作用により画像情報に応じ
て制御することで、液晶表示素子の垂直配向している領
域は光が透過し、ランダムに配向している領域は透明材
料と液晶との屈折率の違いから光が散乱されて不透過に
なるという特性を利用することにより、画像表示を行う
ものである。この種のディスプレイは受光型であるため
目に優しく、かつ偏光板を用いる必要がないため比較的
明るく、高い反射コントラストが得られるという利点が
ある。
【0003】このような光散乱モードのディスプレイに
用いられる液晶表示素子に関する材料技術としては、カ
プセルに包含した液晶をポリマー中に液晶滴として分散
させてフィルム化する技術が知られている(特表昭58
−501631号公報、米国特許第4,435,047
号明細書)。このフィルム化された液晶表示素子は、ポ
リマーのマトリスク中に液晶の小さな球を分散させたN
CAP(Nematic Curvilinear A
ligned Phase:ネマティック曲線式整列
相)液晶と呼ばれる液晶が使用環境温度で正の誘電率異
方性のネマチック相を示すもので、電界中に置かれた場
合には、その液晶の配向ベクトルが電界方向に配列し、
液晶の屈折率とポリマーの屈折率とが等しくなるため透
明になり、一方、電界が除かれた場合には、その液晶が
ランダムに配列し、フィルム中の液晶滴の境界面で光を
散乱して透過光を遮断するため白濁するという両特性を
利用し、画像情報を表示できるものである。また、特表
昭63−501512号公報や特開昭63−15502
2号公報においては、液晶として常温でスメクチック相
を示すものを使用し、その液晶表示素子にメモリ性を付
与するという材料技術が提案されている。
【0004】そして、これらの液晶表示素子材料を用い
た液晶画像表示装置としては、以下のものが具体的に知
られている。例えば、前掲の特開昭63−155022
号公報においては、スメクテイック相を示す液晶を内包
したマイクロカプセルを含有する合成樹脂シート状又は
フィルム状の光変調材料にて液晶表示素子を構成し、そ
の光変調材料に電圧を印加するとともに、画像情報に応
じて駆動するサーマルヘッドにより光変調材料表面を走
査して加熱することにより液晶の配向を制御し、光の透
過部分若しくは不透過部分を形成することで画像表示を
行うという表示装置が提案されている。また、特開平2
−93432号公報においては、ネマティック相を示す
液晶をポリマー料中に不規則に分散したポリマー分散型
液晶を対向配置された基板とマトリクス電極板の間に充
填することによって液晶表示素子を構成し、その液晶表
示素子にマトリクス電極を介して画像情報に応じた電界
を印加するすることにより液晶の配向を制御し、光の透
過部分若しくは不透過部分を形成することで画像表示を
行うという表示装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た液晶画像表示装置のうち、前者(特開昭63−155
022号公報)のものは、メモリ性を有するスメクテイ
ック相を示す液晶を使用しているため表示画面の保持は
可能であるが、表示画像の書き換え速度がサーマルヘッ
ドの伝熱速度によって制限されてしまい、しかも、その
書き換えに際してはサーマルヘッド若しくは液晶表示媒
体を一方向に機械的に走査しなくてはならないため通常
の電子ディスプレイのような高速の画像書き換え表示が
できない。また、その液晶表示媒体が、スメクテイック
相液晶をマイクロカプセルに包含させた液晶滴をポリマ
ー中に分散した構造であるため、この液晶滴にはポリマ
ー及びカプセルを介して電界が作用することになり、そ
の結果、液晶の配列に変化を与えるために高い駆動電圧
が必要になるうえ、液晶の配列をスメクチック相で保持
するためにはその配列に変化を与える以上の高い印加電
圧(保持電界)が必要になる。更に、このことにより、
実用上画像メモリ性をもたせるために印加する高圧電圧
による通電破壊の危険性が発生したり、液晶に対して電
界が作用し易くなるようにするために液晶層を薄くする
ことによるコントラストの低下が生じる等の不具合を招
いてしまう。
【0006】また、後者(特開平2−93432号公
報)のものは、常温でネマティック相の液晶に電界を印
加することによって画像を書き込んでいるため高速な画
像の書き換えが可能であるが、その液晶自体にはメモリ
性がないため表示画面を保持しておくことができない。
なお、このような液晶表示素子にメモリ性を付与するた
めには、ポリマーとして熱可塑性樹脂を使用し、一旦そ
の樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱して配向能力を
消失させてから、その状態で電圧をかけながらゆっくり
と冷却して配向性を持たせたり(特公表63−5015
12号公報)、或いは、アゾ系色素を配合してポリマー
と液晶との界面に介在せしめ、シス−トランス異性化を
可視光やUV光により制御する(小野木、林、水嶋、山
本による「アゾベンゼン構造の光異性化による液晶−高
分子混合系の液晶形成の制御」日本化学会誌1990
年、No.8、p815〜818)ことによって可能で
ある。しかしながら、このようなメモリ性付与のための
配向制御はきわめて煩雑であるばかりか、このように配
向制御しても単純なメモリ性しか得られないという問題
がある。
【0007】以上のように従来においては、高速な画像
書き換えが可能であり、しかも容易に画像の保持が可能
であるという両特性を兼備した画像表示技術がなかっ
た。そのため、動画像にも充分に対応できる液晶画像表
示技術が望まれていた。
【0008】本発明の目的は、高い反射コントラストを
有する液晶の光散乱を利用した受光型のディスプレイに
おいて、画像の書き換えを高速で行うことができるとと
もに、画像の書き換えを行わない時には画像の保持がで
きる液晶画像表示方法とその装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶画像表示方
法は、液晶表示素子として、使用環境温度下でスメクテ
ィックA相を示し且つ使用環境温度よりも高い温度下で
ネマティック相に相転移する液晶を高分子樹脂中に分散
した液晶−高分子複合膜を備えたものを使用し、その液
晶−高分子複合膜における液晶を、加熱手段により、使
用環境温度よりも高く且つネマティック相への相転移温
度よりも低い温度に加熱してスメクティックA相に保っ
た状態で画像表示を行うとともに、同じく加熱手段によ
り、ネマティック相への相転移温度よりも高い温度に加
熱してネマティック相に相転移させた時点で、電界印加
手段により動画像情報に応じたパターンからなる電界を
印加して液晶の配向状態を制御することにより画像の書
き換えを行うことを特徴とするものである。
【0010】一方、本発明の液晶画像表示装置は、動画
像情報に応じたパターンからなる電界を印加する電界印
加手段と、その電界に対応して液晶の配向状態が制御さ
れ、使用環境温度下でスメクティックA相を示し且つ使
用環境温度よりも高い温度下でネマティック相に相転移
する液晶を高分子樹脂中に分散した液晶−高分子複合膜
を備えた液晶表示素子と、その液晶−高分子複合膜にお
ける液晶を使用環境温度より高い温度で且つ少なくとも
ネマティック相への相転移温度よりも低い温度及びその
相転移温度以上の温度を含む温度状態に加熱できる複数
の加熱レベルに設定可能な加熱手段とを有することを特
徴とするものである。
【0011】ここで、液晶−高分子複合膜における液晶
の各相状態については、複合膜における光学的特性の違
い(透明、不透明)を利用した光学センサーや、複合膜
の温度を直接測定するサーモセンサー等を用いて検知す
ることにより把握することができる。特に、画像の書き
換えは、複合膜の液晶がネマティック相にあるときに行
われるため、液晶がネマティック相になる時点を正確に
検知して書き換えのタイミングを図る必要がある。
【0012】そして、本発明の画像表示方法とその装置
は、上記の技術的手段において、加熱手段として、少な
くとも、液晶−高分子複合膜における液晶がスメクティ
ックA相を示す使用環境温度よりも高い温度に加熱する
加熱レベルと、その液晶が一旦液相化される温度に加熱
する加熱レベルとに設定できるものを使用し、画像の書
き換えを、液晶−高分子複合膜における液晶を加熱手段
の加熱により一旦液相化させてから自然冷却によりネマ
ティック相に相転移させた時点で行うものである。この
ような加熱手段による複数レベルの加熱を行うことによ
り、より高速な画像書き換えと、残像がない良好な画像
消去が可能になる。
【0013】また、本発明の装置は、上記の技術的手段
において、加熱手段として、液晶−高分子複合膜に接触
状態で設置する加熱用電極を備えたものを使用するもの
である。このような加熱手段を適用してその加熱用電極
に通電して加熱を行うことにより、熱伝達効率が良く、
迅速に液晶−高分子複合膜を加熱することができるた
め、より高速な画像の書き換えが可能になる。
【0014】更に、本発明の装置は、上記の技術的手段
において、加熱手段として、その加熱用電極が電界印加
手段としての電極を兼ねているものを使用するものであ
る。このような加熱手段を適用することにより、液晶表
示素子における電極構造が簡単になるため、装置の小型
化や薄型化、さらには低コスト化を図ることができる。
【0015】更にまた、本発明の装置は、上記の技術的
手段において、加熱手段として、加熱用電極に通電する
電流パルスのピーク値、パルス幅又はパルス数の少なく
とも1種以上を調節して複数の加熱レベルが設定される
加熱レベル切り換え手段を有しているものを使用するも
のである。このように電流パルスのピーク値を変えるこ
とにより所定の加熱レベルに設定して適宜切り換えるよ
うにすれば、常に一定の速度で加熱レベルの切り替えを
行うことが可能になり、また、電流パルスのパルス幅や
パルス数を変えることにより所定の加熱レベルに設定し
て適宜切り換えるようにすれば、微妙な加熱レベルの制
御が可能になる。加熱レベルの設定は、これら電流パル
スのピーク値、パルス幅及びパルス数の各要素を個々に
変えて行うことに限定されず、それらの要素を複数同時
に変えて行うことも可能である。
【0016】また、上述した技術的手段において、液晶
表示素子としては、例えば、画像情報に基づく光学像に
応じた電界を印加することにより画像の書き込みを行う
ように構成したものが適用できる。すなわち、透明電極
をそれぞれ内面側に設けてなる2つの透明フィルム基材
との間に、電界印加手段としての光導電層及び光遮断層
と、液晶−高分子複合膜とを順次積層したものを挟持し
た構造からなるものである。このように構成した場合、
加熱手段としての加熱用電極は複合膜側の透明フィルム
基材上に積層するようにして別途に設けることができる
が、その複合膜側の透明フィルム基材における透明電極
を加熱用電極として兼用することが好ましい。そして、
このような液晶表示素子の場合には、その光導電層側に
画像情報に応じたレーザービーム等を照射して画像の書
き込みを行う光学的画像書き込み装置を設置する。この
光学的画像書き込み装置からのレーザービームを光導電
層に照射することにより、その照射部分において電界が
発生し、それに対応して液晶の配向が制御されて画像の
書き込みがなされる。
【0017】このように光導電層に対してレーザービー
ム等を照射して画像の書き込みを行うように構成した場
合には、高解像度の画像書き込みを行うことができる。
また、このときの光導電層としては、照射する光の強度
に対して高速のインピーダンス変化が現れる光導電特性
を有するものであれば使用することができ、例えば、光
導電特性が両極性であるような均一単層構造を有する無
機又は有機材料からなる光導電層が最適である。
【0018】また、液晶表示素子としては、2次元的な
画素を駆動する素子が集積されたマトリクス電極を設け
た透明フィルム基材の間に、液晶−高分子複合膜を挟持
した構造からなり、その2つの透明フィルム基材の少な
くとも一方を電界印加用電極に加えて加熱用電極として
兼用するように構成したものであってもよい。このよう
な液晶表示素子においては、マトリクス電極に対して画
像情報に応じた通電を行うことにより、その通電部分に
おいて電界が発生し、それに対応して液晶の配向が制御
されて画像の書き込みがなされる。このように構成した
場合には、前記した液晶表示素子例のような光学的画像
書き込み装置が不要であるため、装置の小型化が可能に
なる。
【0019】
【作用】本発明の作用について、図1を参照しながら説
明する。まず、初期画像も含む画像表示時(画像書き替
え前)においては、図1(a)に示すように、液晶素子
素子1における液晶−高分子複合膜2内部の液晶3が、
加熱手段4の加熱(加熱レベルI)によって使用環境温
度よりも高く且つネマティック相への相転移温度よりも
低い温度に維持されてメモリ性を有するスメクティック
A相になっている。このとき表示されている画像パター
ンは、画像内容に対応した液晶の配向状態により上記複
合膜2に形成される光透過部分と光散乱部分によって構
成されており、しかも電界を印加しないでも保持されて
いる。すなわち、垂直配向している液晶が存在する複合
膜部分は光透過性になり、ランダム配向している液晶が
存在する複合膜部分は光散乱性になる。
【0020】この表示画像の書換えを行うに際しては、
図1(b)に示すように、液晶−高分子複合膜2内部に
おける液晶3が、加熱手段4の加熱によって少なくとも
ネマティック相への相転移温度以上の温度下におかれて
ネマティック相に転移する(液晶3a)。この状態でも
画像の書き換えは可能ではあるが、好ましくは、液晶3
をすばやく加熱(加熱レベルII)して一旦液相化させ
てから自然冷却し、液相からネマティック相に相転移さ
せてから書き換えを行うようにする。このようにした場
合には、画像パターンの完全な消去を行うことができ
る。
【0021】複合膜2中の液晶3が全てネマティック相
(液晶3a)になった時点で、図1(c)に示すよう
に、電圧印加手段5から書き換え用の画像情報に応じた
パターンの電界を印加する。すなわち、電界が印加され
た複合膜2の領域Eは、液晶3が電界により垂直配向さ
れるため透明な状態になり、一方、電界が印加されない
複合膜2の領域Nは、液晶の配向がランダムになって不
透明な状態になり、これにより書き換え用の画像パター
ンが形成される。そして、この電界印加による書き換え
が行われている間に、液晶3はさらに自然冷却されてス
メクティック相に相転移するが、複合膜2全体は加熱手
段4の加熱(加熱レベルI)によって使用環境温度より
も高く且つネマティック相への相転移温度よりも低い温
度に保たれる。
【0022】このようにして画像の書換えが行われる
が、この書き換えが不要で電界の印加を終了しても、液
晶がスメクティック相状態にあるため、最後の表示画像
はそのままで保持される。また、この画像書き換えは、
加熱手段によって前記加熱レベルIから液晶が少なくと
もネマティック相に転移する温度(相転移温度)まで加
熱するという、わずかな加熱を行うだけでできるため、
高速な書き換えが可能であり、動画像のような高速な書
き換えが要求される場合であっても充分に対応すること
ができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明について更に詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0024】実施例1 図2は、本発明の一実施例に係る液晶画像表示装置を示
す概略構成図である。図中1は液晶表示素子であり、こ
の液晶表示素子1は次のようにして作製した。液晶材料
3として、シアノビフェニル系スメクチック液晶混合物
(BDH社製「S2」)を使用し、この液晶材料80重
量%と、重合性化合物としてのアクリル酸−2−エチル
ヘキシル(関東化学製)11.6重量%及びウレタンア
クリレートオリゴマー(ダイセル・ユーシービー社製
「エベクリル204」)8重量%と、重合開始剤として
の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン
−1−オン(メルク・ジャパン社製「ダロキュア117
3」)0.4重量%とによる重合性組成物とを混合し
た。この混合物にさらにスペーサとして平均粒径8μm
のガラス球(積水ファインケミカル社製「ミクロパール
SP208」)を少量加え、超音波洗浄器で混合した
後、脱気して混合溶液を調製した。
【0025】そして、この混合溶液を、スパッタリング
法によりITO透明電極6を形成したポリイミドフィル
ム基材7aの電極形成面側に、光導電層8及び遮光層9
を積層したものと、加熱用電極と兼用のITO透明電極
10をスパッタリング法により形成したPETフィルム
基材7bとの間に、充填した。なお、光導電層8はプラ
ズマCVD法により、水素化アモルファスシリコンナイ
トライドからなるキャリア注入阻止層、ホウ素をドープ
した真性水素化アモルファスシリコンからなる感光層、
水素化アモルファスシリコンナイトライドからなるキャ
リア注入阻止層を順次積層したものであり、遮光層9は
CdTeからなるものである。次いで、その全体を25
°Cに保ちつつ、PETフィルム全体に対して均一にブ
ラックランプ光源から波長が360nm程度の紫外線を
数秒間照射して重合性組成物の硬化反応を行った。これ
により、充填した混合溶液からなる、均一に白濁して不
透明状態になった液晶−高分子複合膜2が得られた。
【0026】PETフィルム7bに付設した加熱用電極
10は、幅200μm、ピッチ250μmの短冊状に分
離配列したもので、その電極一本当たりの抵抗値は約4
kΩである。この加熱用電極による加熱を行うに当たっ
ては、全電極に同時に電圧を印加しても良いが、その各
加熱用電極に対して電圧印加用電極を走査して電極1本
単位で順次電圧を印加するようにしてもよく、このよう
な電圧印加を行うことにより各加熱用電極における蓄熱
の影響を低減してより迅速な温度調整が可能になる。
【0027】また、この加熱用電極10には、加熱レベ
ル切り換え回路11により、電流パルスのピーク値を異
ならしめて2種の加熱レベルT1、T2に設定された直流
電圧V1、V2が適宜切り換えられて印加されるようにな
っている。すなわち、加熱レベル切り換え回路11によ
り、画像の表示や保持を行うモード時には、加熱レベル
1としての直流電圧V1が加熱用電極10に印加され、
電極の抵抗により発生するジュール熱により複合膜2
が、液晶がネマティック相に相転移する温度(この場合
48°C)よりも低く使用環境温度よりも高い温度(約
45°C)に加熱される。また、画像の書き換えモード
時には、加熱レベルT 2に切り換えられ、その加熱レベ
ルT2としての直流電圧V2が加熱用電極10に印加さ
れ、それに応じて発生するジュール熱により複合膜2
が、液晶がネマティック相を越えて液相に転移する温度
(この場合49°C程度)よりも高い温度(約50°
C)に加熱される。
【0028】一方、この液晶表示素子1の光導電層8側
には、光学的画像書き込み装置20が設置されている。
この画像書き込み装置20は、画像情報に応じて発光す
る半導体レーザー光源21より出射されたレーザービー
ムを、コリメータ22で平行光にした後にポリゴンミラ
ー23とガルバノミラー24によって2次元的に偏向さ
せ、fθ集束光学系25によって液晶表示素子1上にス
ポット状に集光させるようになっている。
【0029】液晶表示素子1の複合膜2のみからなり電
界も印加されない領域である非画像部には、複合膜にお
ける液晶の相状態を検知する光学センサー12が取り付
けてある。この光学センサー12は、発光素子12aと
受光素子12bを液晶ー高分子複合膜2を挟むようにし
て設置したもので、加熱によって液晶3が液相化してい
る間は複合膜2が透明な状態であるため発光素子12a
からの光が受光素子12bに常に受光され、液晶が自然
冷却により液相からネマティック相に相転移すると複合
膜2が不透明な状態になるため発光素子12aからの光
が複合膜2によって遮断されて受光素子12bに受光さ
れない。このような受光状態の違いを相状態の変化とし
て検知し、その検知信号を装置全体の各動作タイミング
などを制御するタイミング制御回路13に送信するよう
になっている。
【0030】以上の構成からなる本実施例装置において
画面の書き換えを行う場合の駆動タイミングについて以
下に説明する。図3は、この装置の動作内容を示すタイ
ミングチャートである。
【0031】まず、画像の書き換えが行う直前において
は、加熱手段4の加熱レベル切り換え回路11から加熱
用電極10に加熱レベルT1である直流電圧V1が印加さ
れ、これにより液晶−高分子複合膜2は、液晶3がスメ
クティックA相(Sm−A相)を示し使用環境温度より
も高い温度である約45°Cになるように加熱されて保
持される。このときの電流パルスのパルス幅は10ms
程度に全て設定されている。
【0032】そして、画像情報に応じてタイミング制御
回路15から、画像の書器換え動作の開始を知らせる信
号S1が発せられる。すると、加熱レベル切り換え回路
11から加熱レベルT2である直流電圧V2が加熱用電極
10に印加され、これにより複合膜2は、液晶3がネマ
ティック相を通過して液相化される温度である約50°
Cまで加熱される。
【0033】この加熱レベルT2である直流電圧V2が印
加されると、液晶3が液相になって複合膜2が透明にな
り、これにより光学センサー12が作動する。そして、
自然冷却により液晶3がネマティック相(Nm相)に転
移すると、その相変化が光学センサー12により検知さ
れて、その検知信号S2がタイミング制御回路に送ら
れ、この信号を受けて画像の書き込みが開始される。
【0034】この書き込みに先だって、加熱用電極はス
イッチ14の切り換え動作により交流電源15と接続さ
れ、これにより複合膜2全体に液晶を配向するに十分な
交流電圧(50V)が印加される。但し、この交流電圧
の印加は通常、液晶が液相になった直後に開始されるも
ので、この電圧印加により画像の書き込みが良好になさ
れるようになっている。
【0035】画像の書き込みは、光学的画像書き込み装
置20からの画像情報に応じたレーザー光が光導電層8
に照射されることによって行われる。このとき電極6、
10の間にはあらかじめ交流電圧が加わっているため、
露光によって即座に光学像に対応した電界が複合膜2に
印加されて液晶の配向制御がなされる。この画像書き込
み用の露光動作と交流電圧の印加は、液晶がネマティッ
ク相からスメクティックA相に相転移する前に完了する
よう予め設定されている。
【0036】以上の動作を連続して繰り返すことによ
り、画像の書き換えが周期的に行われる。実際、ビデオ
信号発生回路からの動画像を入力して動作させてみたと
ころ、1フレーム当たり数十〜数百msで画像の書き換
えが行われた。また、最後に書き込まれた画像はそのま
まの内容で保持されることが確認された。
【0037】実施例2 図4は実施例2に係る液晶画像表示装置を示すもので、
この実施例装置は、画像の書き込み手段としてマトリク
ス電極を付設したPETフィルム基材を適用して構成し
た点で実施例1と異なり、それ以外は実施例1と同様の
構成からなるものである。図4において、実施例1と同
じ機能のものには同一の符号を付した。すなわち、この
実施例装置は、液晶表示素子1が、マトリクス電極1
6、17をそれぞれ内面側に設けたPETフィルム基材
7a、7bにより液晶−高分子複合膜2を挟持した構造
からなり、マトリクス電極の少なくとも一方を加熱用電
極として使用できるよう(ここでは電極17を加熱用兼
電圧印加電極として使用した)構成されている。図中1
8は画像情報に応じた電界をマトリクス電極により印加
するためのマトリクス電界制御回路を示す。
【0038】このような構成からなる本実施例装置によ
る画像表示や画像書き換え動作については、画像の書き
込みがマトリクス電界制御回路18にて制御されるマト
リクス電極16、17による電界印加によってなされる
点を除けば、実施例1の装置と同様の動作原理と動作タ
イミングによりなされる。特に本実施例装置の場合は、
実施例1の装置のような光学的画像書き込み装置が不要
でその設置スペースを必要としないため、装置全体の小
型が期待できる。
【0039】
【発明の効果】本発明の液晶画像表示方法とその装置に
よれば、高い反射コントラストを有する液晶の光散乱を
利用した受光型のディスプレイにおいて、高速な画像の
書き換えと、容易な画像の保持とを同時に実現すること
ができ、動画像の液晶表示などを良好に行うことができ
る。
【0040】また、画像の書き換えを、液晶が一旦液相
になるまで加熱してから自然冷却によりネマチック相に
なった時点で行うようにすることにより、残像のない画
像の消去が可能で、しかもより高速な画像の書換えが可
能になる。
【0041】また、加熱手段における加熱用電極を液晶
−高分子複合膜に直接接触するように設置して構成する
ことにより、消費エネルギーの少ない、より高速な画像
の書換えが可能になる。
【0042】更に、加熱手段における加熱用電極を電界
印加手段としての電極と兼用するように構成することに
より、装置の小型化や薄型化、さらには低コスト化を図
ることができる。
【0043】更にまた、加熱用電極に通電する電流パル
スのピーク値、パルス幅又はパルス数の少なくとも1種
以上を調節して複数の加熱レベルが設定される加熱レベ
ル切り換え手段を備えた加熱手段を適用することによ
り、一定した高速な加熱レベルの切り替えや微妙な加熱
レベルの制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶画像表示方法とその装置及びそ
の作用を説明するための説明図である。
【図2】 実施例1に係る液晶画像表示装置を示す概略
構成図である。
【図3】 実施例1の駆動タイミングを示すタイミング
チャート図である。
【図4】 実施例2に係る液晶画像表示装置を示す概略
構成図である。
【符号の説明】
1…液晶表示素子、2…液晶−高分子複合膜、3…液
晶、4…加熱手段、5…電界印加手段、10…加熱用電
極、11…加熱レベル切り換え回路、17…加熱用兼電
界印加用電極。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示素子として、使用環境温度下で
    スメクティックA相を示し且つ使用環境温度よりも高い
    温度下でネマティック相に相転移する液晶を高分子樹脂
    中に分散した液晶−高分子複合膜を備えたものを使用
    し、 その液晶−高分子複合膜における液晶を、加熱手段によ
    り、使用環境温度よりも高く且つネマティック相への相
    転移温度よりも低い温度に加熱してスメクティックA相
    に保った状態で画像表示を行うとともに、同じく加熱手
    段により、ネマティック相への相転移温度よりも高い温
    度に加熱してネマティック相に相転移させた時点で、電
    界印加手段により動画像情報に応じたパターンからなる
    電界を印加して液晶の配向状態を制御することにより画
    像の書き換えを行うことを特徴とする液晶画像表示方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、画像の書
    き換えを、液晶−高分子複合膜における液晶を加熱手段
    の加熱により一旦液相化させてから自然冷却によりネマ
    ティック相に相転移させた時点で行うことを特徴とする
    液晶画像表示方法。
  3. 【請求項3】 動画像情報に応じたパターンからなる電
    界を印加する電界印加手段と、その電界に対応して液晶
    の配向状態が制御され、使用環境温度下でスメクティッ
    クA相を示し且つ使用環境温度よりも高い温度下でネマ
    ティック相に相転移する液晶を高分子樹脂中に分散した
    液晶−高分子複合膜を備えた液晶表示素子と、その液晶
    −高分子複合膜における液晶を使用環境温度より高い温
    度で且つ少なくともネマティック相への相転移温度より
    も低い温度及びその相転移温度以上の温度を含む温度状
    態に加熱できる複数の加熱レベルに設定可能な加熱手段
    とを有することを特徴とする液晶画像表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の装置において、加熱手段
    が、少なくとも、液晶−高分子複合膜における液晶がス
    メクティックA相を示す使用環境温度よりも高い温度に
    加熱する加熱レベルと、その液晶が一旦液相化される温
    度に加熱する加熱レベルとに設定できるものであること
    を特徴とする液晶画像表示装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の装置において、加熱手段
    が、液晶−高分子複合膜に接触状態で設置する加熱用電
    極を備えていることを特徴とする液晶画像表示装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の装置において、加熱用電
    極が、電界印加手段としての電極を兼ねていることを特
    徴とする液晶画像表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の装置において、加熱手段
    が、加熱用電極に通電する電流パルスのピーク値、パル
    ス幅又はパルス数の少なくとも1種以上を調節して複数
    の加熱レベルが設定される加熱レベル切り換え手段を有
    していることを特徴とする液晶画像表示装置。
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