JP2004309732A - 液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度域を2以上の動作温度域に分割する。また、各動作温度域ごとに、選択期間を定める。このとき、低温側の動作温度域ほど選択期間が長くなるように定める。そして、個々の動作温度域で、温度に応じて、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧Vdを定める。Vdは、例えば、所望の表示品位を実現できる上限値と下限値の平均値として求める。温度に応じて定めた選択期間およびVdに基づいて、液晶表示装置を駆動する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カイラルネマチック液晶を備える液晶表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、TN、STN、TFT液晶表示素子が広く使用されている。これらの液晶表示素子は、所定の駆動を常時行って表示を行う。これに対し、メモリ性の動作モードを有するカイラルネマチック液晶等のメモリ性液晶が注目され、それを備えた液晶表示装置の実用化が検討されている。
【0003】
一対の平行基板間に挟持されたメモリ性液晶は、その液晶ディレクタが一定周期でねじれた「ねじれ構造」を有する。そのねじれの中心軸(以下、ヘリカル軸という。)が基板に対して平均的に垂直方向になる配列が存在する。
【0004】
複数の液晶ドメインの各ヘリカル軸の平均的な方向が基板面に対してほぼ垂直となる状態をプレーナ状態という。プレーナ状態では、入射光のうちの、液晶層のねじれの向きに対応した円偏光を選択反射する。選択反射される波長λは、液晶組成物の平均屈折率nAVGと液晶組成物のピッチpの積にほぼ等しい(λ=nAVG・p)。
【0005】
ピッチpは、カイラル剤等の光学活性物質の添加量cと光学活性物質の定数HTP(Helical Twisting Power)から、p=1/(c・HTP)によって決まる。したがって、選択反射波長は、光学活性物質の種類と添加量によって調整できる。メモリ性液晶の選択反射波長を可視域外となるようにピッチを設定すれば、選択反射時に目視では透明になり透過散乱の動作モードを呈する。
【0006】
選択反射を呈するプレーナ状態に対して、複数の液晶ドメインのヘリカル軸が基板面に対してランダム方向または非垂直方向に配列したフォーカルコニック状態をとることもできる。一般的に、フォーカルコニック状態の液晶層は全体として弱い散乱状態を示す。選択反射時のように特定の波長の光を反射することはない。また、フォーカルコニック状態およびプレーナ状態は、無電界時でも安定に存在する。図21(a)はプレーナ状態、図21(b)はフォーカルコニック状態の模式図であり、鼓型で示す液晶ドメインの配列状態を示す。
【0007】
図21(b)のフォーカルコニック状態のときに、裏面側に吸収層を設けることよって吸収層の色の表示が得られる。したがって、明状態であるプレーナ状態と、暗状態(吸収層が黒の場合)であるフォーカルコニック状態の2状態を利用したメモリ型の表示動作を実現できる。
【0008】
次に、液晶表示装置の駆動法について説明をする。カイラルネマチック液晶を備える液晶表示装置を駆動する場合、駆動電圧の振幅の大きさによって、プレーナ状態をフォーカルコニック状態に、またフォーカルコニック状態をプレーナ状態にそれぞれ変化させる。後者の場合は、液晶分子が電圧印加方向にほぼ平行になるホメオトロピック状態を経由して起こすので、最も高い電圧が必要とされる。
【0009】
メモリ性液晶では、一連の印加電圧波形の実効値が直接電圧消去後の状態を決定するのではなく、電圧消去後の表示は、直前に印加された電圧パルスの印加時間および振幅値に依存する。
【0010】
次に、液晶表示装置におけるマトリクス表示について説明する。フォーカルコニック状態に転移させる電圧をVFとし、プレーナ状態に転移させる下限電圧をVPとし、電圧を印加しても表示状態が変わらない上限電圧をVSとする。
【0011】
線順次駆動を行う場合、行電極に電圧振幅Vrの電圧パルスを入力し、それに同期して列電極には電圧振幅Vcの電圧パルス(選択パルス)を入力する。各行電極に対して1度ずつ選択パルスを入力して、1表示シーケンスを完了する。表示シーケンスにおいて、オン表示が選択された場合には表示画素に(Vr+Vc)の電圧振幅が1度だけ入力され、オン表示の非選択期間では電圧Vcが印加される。また、オフ表示が選択された場合には表示画素に(Vr−Vc)の電圧振幅が1度だけ入力され、オフ表示の非選択期間では電圧Vcが印加される。オン時にはプレーナ状態が選択され、オフ時にはフォーカルコニック状態が選択されるとすると、それぞれの条件は以下の通りである。
【0012】
Vr+Vc>VP、Vr−Vc=VF
【0013】
さらに、書き込まれた状態が変化しないように、Vc<VSでなければならない。以上のように印加電圧の制御を行えばマトリクス表示が可能になる。
【0014】
液晶表示装置では走査電極数が増加しても、表示データが書き込まれた状態での表示品位は悪化しない。また、電極数が増加しても駆動電圧は増大しない。
【0015】
また、カイラルネマチック液晶を有する液晶表示装置における表示が、残像を残さない良好な表示になるような駆動方法も提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にした後に、所望の画像を書き込む駆動方法が開示されている。また、本出願人は、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にした後に所望の画像を書き込む駆動方法を特願2001−290263号としても出願している。
【0016】
また、カイラルネマチック液晶を有する液晶表示装置を積層して4色以上の多色表示を実現する技術が特許文献2で開示されている。特許文献2では、図22に示すようなC.I.E.1931色度座標を用いて液晶表示装置を設計する手法が紹介されている。さらに、カイラルネマチック液晶を有する液晶表示装置を電子棚札として使用可能であることが特許文献3で示されている。
【0017】
【特許文献1】
欧州特許出願公開第1296311号明細書
【0018】
【特許文献2】
欧州特許出願公開第1298635号明細書
【0019】
【特許文献3】
欧州特許出願公開第1298631号明細書
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
カイラルネマチック液晶を有する液晶表示装置で所望の表示品位を実現しようとする場合、Vr+Vc(この和を以下、Vdと記す。)の電圧値は、ある上限値と下限値の間に収まっている必要がある。ここで、所望の表示品位とは、例えば、以下の二つの条件を同時に満たすような表示品位である。第一の条件は、吸収層の色と選択反射を呈する際の色とのコントラストが良好であることである。第二の条件は、補色関係にある色を表示する他の液晶層と重ね合わせた場合、選択反射時に白色を呈することである。この表示品位を満足するようなVdの上限値および下限値は、温度によって変化し、上限値および下限値は、温度低下とともに上昇する。
【0021】
また、電源の供給電圧を昇圧し、昇圧後の電圧を用いて、各電極にVr,Vc等の電圧振幅を入力する。しかし、昇圧できる幅には限界がある。従って、所望の表示品位を実現するためには、温度が低くなるほど液晶に印加する電圧Vdを高くしなければならないが、液晶に電圧Vdを印加するための電圧振幅を電極に入力できなくなる場合が生じる。この結果、低温時には、所望の表示品位が得られないという問題が生じる。
【0022】
また、選択期間を長く設定すれば、Vdを高くしなくても表示品位を維持することができる。しかし、選択期間を長くすると、電圧印加時間が長くなるので、消費電流量が増加してしまう。
【0023】
本発明者は、19.05cm(7.5インチ)のVGA(Video Graphics Array)2層パネルを駆動して消費電流量を計測した。この2層パネルのセルギャップは4.0μmであった。駆動時には、Vr/Vc=8となる電圧振幅Vr,Vcを用いて駆動した。また、駆動時の温度は25℃であった。
【0024】
このような条件の下で、選択行の画素全てに対し電圧Vdを印加するようにして2回の走査を行い、その後所望の表示に応じた電圧を印加するようにして2回の走査を行った。選択期間を10ms、Vd=23Vとした場合の消費電流量は231.9mAsであった。選択期間を20ms、Vd=21Vとした場合の消費電流量は、391.7mAsであった。選択期間を50ms、Vd=19Vとした場合の消費電流量は、851.4mAsであった。このように、選択期間を長くするとVdを低く抑えることができるが、消費電流量が増加してしまう。特に、選択期間を50msとした場合の消費電流量は、選択期間を10msとした場合の3倍以上となった。
【0025】
そこで、本発明は、低温時にも良好な表示品位を実現することができ、また、消費電流量の増加を抑えることができる液晶表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様1は、複数の行電極と複数の列電極との間に少なくとも2つの安定状態を呈するカイラルネマチック液晶が挟持された液晶表示装置を線順次駆動で駆動する際に、信号電極に信号電圧を印加し、行電極の選択時に行電極に選択電圧を印加することによって、選択画素に電圧選択パルスを印加し、各選択画素をプレーナ状態にした後に、所定の表示状態に対応する電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法であって、動作温度域を少なくとも2以上設け、それぞれの動作温度域のなかで、電圧選択パルスの選択期間と、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧である電圧とを定め、低温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間を、高温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間よりも長くすることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0027】
本発明の態様2は、態様1において、各動作温度域のなかで所定の表示品位を実現可能な、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧の電圧上限値と電圧下限値とを温度に応じた値として予め見い出し、液晶表示装置の周囲の温度に応じて、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧を電圧下限値から電圧上限値までの範囲内の値として定める液晶表示装置の駆動方法を提供する。そのような方法によれば、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧を温度に応じて定めることができる。
【0028】
本発明の態様3は、態様2において、液晶表示装置の周囲の温度に応じた電圧上限値と電圧下限値の平均値をA(V)とし、電圧上限値と電圧下限値との差の20%の電圧をB(V)とした場合に、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧をA−B(V)からA+B(V)までの範囲内の値として定める液晶表示装置の駆動方法を提供する。そのような方法によれば、温度検知の誤差や温度変化の検知の多少の遅れが生じてしまったとしても、液晶をプレーナ状態にするための電圧が、温度変化後における下限値より小さくなってしまったり、上限値より大きくなってしまうことを防止できる。
【0029】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれかにおいて、動作温度域のなかで最高の動作温度域における選択期間をTH(ms)とし、最低の動作温度域における選択期間をTL(ms)としたときに、TL/TH≧4が成立するようにTHおよびTLを定める液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0030】
本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれかにおいて、動作温度域の境界となる境界温度が5〜15℃の範囲内にある液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0031】
本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれかにおいて、動作温度域のなかで最高の動作温度域における選択期間を10ms以内とする液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0032】
本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれかにおいて、少なくとも20〜50℃の温度域を一つの動作温度域内に収める液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0033】
本発明の態様8は、態様1から態様7のいずれかにおいて、2層に積層された2つの液晶表示装置であって、各層のカイラルネマチック液晶がプレーナ状態で呈する色が補色関係にあり、各層のカイラルネマチック液晶がプレーナ状態になったときに白色を呈する液晶表示装置を駆動する液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0034】
本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれかにおいて、電子棚札用液晶表示装置、広告用液晶表示装置または公衆表示用液晶表示装置を駆動する液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の液晶表示装置の模式的断面図を示す。図1に示す液晶表示装置は、ガラス基板1A、1B、電極2A、2B、高分子薄膜3A、3B、液晶組成物(メモリ性液晶)4、および裏面側に黒色の光吸収体5が配置され、フォーカルコニック状態とプレーナ状態を安定に表示する液晶パネルである。電極2A、2Bの一方は行電極であり、他方は列電極である。以下の説明では、電極2Aが列電極であり、電極2Bが行電極であるとする。
【0036】
高分子薄膜3A、3Bの代わりにシリカなどの無機薄膜を形成してもよい。しかし、メモリ性液晶に接する薄膜の表面をラビング処理すると、薄膜の種類によってはメモリ性液晶のフォーカルコニック状態の安定性が失われてしまうことがある。よって、ラビング無しの薄膜を設けるか、または、電極と液晶組成物が直接接するように設ける。
【0037】
電極間間隙はスペーサー等で保持し、2〜15μmが好ましい。さらには、3〜6μmが好ましい。電極間隙が小さすぎると表示のコントラスト比が低下し、大きすぎると駆動電圧が上昇するからである。
【0038】
表示の態様は、例えば、ドットマトリックス表示である。コモン電極を走査する表示態様であれば、セグメント表示などの非フルドットマトリックス表示であってもよい。基板は、ガラス基板でも樹脂基板でもよく、また、ガラス基板と樹脂基板の組み合わせでもよい。反射表示素子として用いる場合には、どちらか一方の基板の内面または外面に光吸収体を設置するか、または、基板として光吸収機能を有するものを用いてもよい。
【0039】
電極面内に微量のスペーサーを散布し、対向させた基板の四辺を注入孔を除いてエポキシ樹脂等のシール材で封止し、真空注入によって液晶組成物をセルに満たす。
【0040】
図2は、液晶パネル(液晶表示装置)を駆動する駆動装置の構成例を示すブロック図である。制御装置11は、行ドライバ12に行電極への電圧パルス入力を指示し、列ドライバ13に列電極への電圧パルス入力を指示する。電源装置14は、行ドライバ12および列ドライバ13に必要な電圧を供給する。行ドライバ12および列ドライバ13は、制御装置11の指示に従い、行電極2Bおよび列電極2Aに電圧パルスを入力する。制御装置11は、各電極の電位を切り替えて、メモリ性液晶4をプレーナ状態やフォーカルコニック状態に移行させる。以下、プレーナ状態の表示をオン表示、フォーカルコニック状態の表示をオフ表示と記す。
【0041】
なお、制御装置12は、先頭行からの走査開始を指示する信号(FRと記す。)を行ドライバ12に出力し、行ドライバ12は、FR入力後、第一行から走査を開始する。また、制御部12は、選択行切り替えを指示するラッチパルス(LPと記す。)を行ドライバ12,列ドライバ13に出力し、各ドライバはLPが入力される度に選択行を切り替えて、走査を行う。また、制御部12は、液晶に電圧を印加する際、行電極電位と列電極電位のどちらの電位を高くすべきかを指示する信号(Mと記す。)を行ドライバ12,列ドライバ13に出力し、各ドライバはMに応じた極性で液晶に電圧を印加する。
【0042】
また、制御装置12は、選択期間内に1画素分のデータ取得を指示する信号(CPと記す。)を列電極数だけ列ドライバ13に出力し、列ドライバ13に1行分のデータ(DATA)を取得させる。
【0043】
さらに、制御信号12は、液晶表示装置の表示を切り替えない場合、行ドライバ12と列ドライバ13に、それぞれ/DOFF(ディスプレイオフ信号)1、/DOFF2をハイレベルにして出力する。各ドライバは、/DOFF1、/DOFF2がハイレベルの場合、各行電極および各列電極の電位を例えば0Vとし、液晶への電圧印加を停止する。
【0044】
温度センサ81は、液晶パネル100の近傍に設けられ、液晶パネル100の周囲の温度を検出し、その温度を制御部12に通知する。記憶装置40は、温度に応じた選択期間を記憶する。また、選択行に入力される電圧振幅Vrと、各列電極に入力される電圧振幅Vcとを、温度に応じて記憶する。制御部11は、温度センサ81から通知される温度に応じたVcおよびVrを記憶装置40から読み出す。そして、行電極や列電極に供給すべき電圧Vr、Vcを指示する電圧レベル指示信号を電源装置14に出力する。電源装置14は、指示された電圧Vrを行ドライバ12に供給し、指示された電圧Vcを列ドライバ12に供給する。また、制御部11は、温度センサ81から通知される温度に応じた選択期間を記憶装置40から読み出し、その選択期間毎に選択行を切り替える。
【0045】
MPU20は、制御装置11に、表示の書き換えを指示する信号(START信号と記す。)を出力する。制御装置11は、START信号が入力されると、液晶パネル100内のカイラルネマチック液晶をプレーナ状態に変化させ、その後、表示データに応じた電圧を印加して表示を書き込む。なお、MPU20を設けなくてもよい。この場合、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態に変化させ、その後、表示データに応じた電圧を印加して表示を書き込む制御を制御部11が定期的に実行してもよい。
【0046】
次に、液晶パネル100の表示を書き換えるときの動作について説明する。ただし、制御部11は、記憶装置40から、温度に応じた選択期間、VrおよびVcを読み込み、その電圧を指示する電圧レベル指示信号を電源装置14に出力しているものとする。まず、液晶駆動装置は、行電極2Bを1本ずつ選択しながら線順次走査し、各画素に配置されたメモリ性液晶4をプレーナ状態に移行させるための電圧(オン表示とするための電圧)を印加する。この電圧が印加されるとメモリ性液晶4はホメオトロピック状態になる。そして、電圧印加が終了するとメモリ性液晶4はプレーナ状態に移行し、オン表示となる。行電極2Bを走査しながら全画素をオン表示にするので、これまで表示されていた画面が消去される。液晶駆動装置は、全ての行電極2Bを一本ずつ選択する行電極2Bの走査を少なくとも1回行い、画面全体をオン表示にする。
【0047】
オン表示とするための走査を複数回行う場合には、各走査毎に印加電圧の極性を逆転させる。すなわち、各走査毎にコモン電極の電位とセグメント電極の電位の高低関係を逆転させる。例えば、1回目の走査では、選択した行電極2Bの電位を各列電極2Aの電位よりも高く設定することによってメモリ性液晶4に電圧を印加したとする。このとき2回目の走査では、選択した行電極2Bの電位を各列電極2Aの電位よりも低く設定することによって電圧を印加する。
【0048】
画面全体をオン表示とした後に、液晶駆動装置は、行電極2Bを線順次走査して、表示データに対応する電圧を印加する。この電圧を印加するときには、各行電極2Bを選択してメモリ性液晶4に電圧を印加する時間内で極性を逆転させながら電圧を印加する。すなわち、行電極2Bの電位と列電極2Aの電位の高低関係を少なくとも1回逆転させて電圧を印加する。画面全体をオン表示とする走査を行う場合では、各走査毎に極性を逆転させるが、表示データに対応する電圧を印加するときには、各行電極2Bの選択期間内で極性を逆転させる。
【0049】
表示データに対応する電圧を印加することで所望の表示が書き込まれ、表示の書き換えが完了する。液晶駆動装置は、行電極2Bの走査を少なくとも1回行って、表示データを書き込む。
【0050】
図3は、表示書換時の駆動波形の例を示す説明図である。図3は、画面全体をオン表示とするための走査と、表示データを書き込むための走査をそれぞれ2回ずつ行ったときの例を示す。時間Tp1,Tp2は、それぞれオン表示とするための1回目の走査時間と2回目の走査時間を示す。同様に、時間Td1,Td2は表示データを書き込むための1回目の走査時間と2回目の走査時間を示す。
【0051】
図3(a)は一つの行電極2Bに印加される駆動波形の例であり、図3(b)は一つの列電極2Aに印加される駆動波形の例である。図3(a),(b)に示すように、行ドライバ12は選択された行電極2Bに電圧振幅Vrの電圧パルスを入力する。列ドライバ13は、列電極2Aに電圧振幅Vcの電圧パルスを入力する。図3(c)は、図3(a),(b)に示す電圧パルスが入力されたときにメモリ性液晶4に印加される電圧の波形を示す。図3(c)では、行電極2Bの電位が列電極2Aの電位よりも高く設定された場合の電圧を正として示し、行電極2Bの電位が列電極2Aの電位よりも低く設定された場合の電圧を負として示している。
【0052】
時間Tp1において、行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位をVrに設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。また、列ドライバ13は、時間Tp1の間、全ての列電極2Aの電位を−Vcに設定する。この結果、図3(c)に示すように、選択された行の画素のメモリ性液晶4には、電圧Vr+Vcが印加され、電圧印加終了後、その画素はオン表示へ移行する。また、選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vcが印加される。電圧Vcが印加されても、画素の表示状態は変化しない。
【0053】
時間Tp2では、電圧の極性を反転させて、メモリ性液晶4に−(Vr+Vc)の電圧を印加する。行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位を−Vrに設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。また、列ドライバ13は、時間Tp2の間、全ての列電極2Aの電位をVcに設定する。このように2回目の走査では、1回目の走査(時間Tp1での走査)における行電極2Bおよび列電極2Aの電位の高低関係を逆転させる。選択された行の画素のメモリ性液晶4には、−(Vr+Vc)の電圧が印加され、電圧印加終了後、画素はオン表示へ移行する。選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には−Vcの電圧が印加されるが、画素の表示状態は変化しない。
【0054】
図4は、表示書換時の画面変化の例を示す説明図である。最初に図4(a)に示す画面が表示されていたとする。時間Tp1において、オン表示とするための1回目の走査を行うと、全画素がオン表示に移行し、図4(b)に示すように、表示が消え始める。時間Tp2において、2回目の走査を行うとさらに表示が消え、図4(c)に示すように残像が消える。
【0055】
時間Td1において、行ドライバ12は、選択された行電極2Bの電位をVrおよび−Vrに交互に設定し、選択されていない行電極の電位を0とする。ここでは、選択期間においてVr,−Vrの順に電位を設定するものとする。列ドライバ13は、各列電極2Aを、選択された行の表示データに応じて、Vcおよび−Vrに交互に設定する。オン表示を書き込む列電極では−Vc,Vcの順に電位を設定し、オフ表示を書き込む列電極ではVc,−Vcの順に設定する。この結果、オン表示を書き込む画素のメモリ性液晶4には、Vr+Vc,−(Vr+Vc)の電圧が交互に印加され、オフ表示を書き込む画素のメモリ性液晶4には、Vr−Vc、−Vr+Vcの電圧が交互に印加される。そして、各画素は、オン表示またはオフ表示に移行する。各行電極2Bが走査されることにより所望の表示に書き換えられる。
【0056】
なお、選択されていない行の画素のメモリ性液晶4には電圧Vc,−Vcが交互に印加される。電圧Vc,−Vcが印加されても、画素の表示状態は変化しない。行ドライバ12および列ドライバ13は、時間Td2における走査でも、同様に電圧を印加する。
【0057】
図3では、時間Td1,Td2において、オン表示を書き込む画素にVr+Vc,−(Vr+Vc)の電圧を交互に印加する場合を示した。
【0058】
時間Tp2における走査の後、時間Td1において表示データを書き込むための走査を行うと、図4(d)に示すように所望の表示が書き込まれる。時間Td2において、表示データを書き込むための2回目の走査を行うと、図4(e)に示すように表示データの書き込みが完了する。
【0059】
ここでは、オン表示とするための走査と、表示データを書き込むための走査を2回ずつ行う場合を示したが、各走査回数は2回でなくてもよい。
【0060】
また、ここでは、画面全体をオン表示とする際、各走査毎に、選択された行電極2Bと各列電極2Aの電位の高低関係を逆転させる場合を示した。このような極性の反転を各走査毎に行わなくてもよい。また、表示データを書き込む場合、選択期間内で、選択された行電極2Bと各列電極2Aの電位の高低関係を逆転させる場合を示したが、選択期間内でこのような極性の反転を行わなくてもよい。
【0061】
また、画面全体をオン表示とした後に、画面全体をオフ表示にしてから表示データを書き込んでもよい。
【0062】
次に、記憶装置40が記憶する選択期間、VrおよびVcについて説明する。駅長パネル100が動作する温度範囲は、予め2以上の範囲に分割される。この分割された温度範囲を、動作温度域と記す。ここでは、0〜10℃(ただし、10℃未満)、10〜15℃(ただし15℃未満)および15〜50℃という3つの動作温度域を定めた場合を例に説明する。記憶装置40は、この各動作温度域毎と選択期間とを対応させて記憶する。例えば、0〜10℃の動作温度域に対応させて50msという選択期間を記憶する。同様に、10〜15℃の動作温度域と対応させて20msという選択期間を記憶する。また、15〜50℃の動作温度域と対応させて10msという選択期間を記憶する。選択期間と動作温度域とは、動作温度域が低くなるほど、選択期間が長くなるように対応付けられる。
【0063】
さらに、記憶装置40は、動作温度域をさらに分割した一定温度幅毎に、選択行の行電極に入力するべき電圧振幅Vrと、各列電極に入力するべき電圧振幅Vcとを記憶する。例えば、0〜10℃の動作温度域において、1℃毎にVrおよびVcを記憶する。同様に、他の動作温度域でも、1℃毎にVrおよびVcを記憶する。
【0064】
記憶装置40に記憶させる動作温度域と選択期間との対応関係は、以下のように定める。まず、選択期間を定める。そして、その選択期間で所定の表示品位を実現することができるVd(=Vr+Vc)の下限値および上限値を一定の温度毎(例えば、1℃毎)に見いだす。
【0065】
本例では、所定の表示品位とは、以下の二つの条件を満たす表示品位であるものとする。第一の条件は、光吸収体5による黒色と選択反射時の色(例えば、橙色)とのコントラストが良好であることである。第二の条件は、補色関係にある色を表示する他の液晶層と重ね合わせた場合、選択反射時に白色を呈することである。例えば、表示パネル100内の液晶が選択反射時に橙色を呈するとする。この場合、表示パネル100と青色の選択反射を呈する他の液晶パネル(図2において図示せず。)とを重ねたときに、表示パネル100の液晶の選択反射によって白色を呈するように表示パネル100を駆動できることが第二の条件となる。
【0066】
図5は、選択期間を10msとしたときにおける所望の表示品位を実現するためのVdの上限値と下限値の例を示す説明図である。ただし、ここでは選択反射時に橙色を呈するカイラルネマチック液晶(選択反射波長:620nm)を用いた場合の例を示す。図5に示す破線は、Vdの上限値および下限値を示す。また、実線は、上限値と下限値の平均値を示す。例えば、40℃において、所定の表示品位を実現するためのVdの上限値および下限値は、それぞれ21V、18Vである。その平均値20Vは実線上に表される。図5に示すように、低温になるほど、上限値、下限値は上昇していく。しかし、電源装置14が供給できる電圧(昇圧後の電圧)にも上限がある。この上限が、例えば30Vであるとする。この場合、Vdの上限値および下限値が30Vに達する前の温度で、温度域を分割し、一つの動作温度域とする。ここでは、15〜50℃の範囲を一つの動作温度域とし、その動作温度域と10msという選択期間とを対応づける。記憶装置40は、この動作温度域と選択期間との対応関係を予め記憶する。
【0067】
また、この動作温度域内で、例えば1℃毎に、Vdを定める。例えば、上限値と下限値の平均値をVdとする。そして、Vr+Vc=Vdや、既に説明したVr−Vc=VF、Vc<VSという条件を満たす値として、Vr、Vcを定める。記憶装置40は、温度毎に定めたVr、Vcを記憶する。
【0068】
なお、ここでは、Vdを、上限値と下限値の平均値として定める場合を例に示したが、Vdは上限値と下限値の平均値でなくてもよい。上限値と下限値の平均値をA(V)とし、上限値と下限値の差分の20%の電圧値をB(V)とする。このとき、A−B(V)からA+B(V)までの範囲内の値としてVdを定めてもよい。
【0069】
同様に、15℃未満の温度域でも、選択期間と動作温度域との対応関係を定める。動作温度域が低くなるほど、選択期間が長くなるように選択期間と動作温度域とを対応付けるので、例えば、選択期間を20ms(>10ms)と定める。この場合、Vdの上限値および下限値は、図6に示すようになる。この上限値および下限値が30Vに達する前の温度で、温度域を分割し、例えば10〜15℃の温度域を一つの動作温度域とする。この動作温度域内でも、例えば1℃毎にVdを定め、さらにVrおよびVcを定める。10℃未満の温度域でも、同様に選択期間、動作温度域を定め、また、Vdを定める。ここでは、選択期間を50ms(>20ms)とする場合を例示する。そして、VrおよびVcを定める。図7に、選択期間50msにおける上限値、下限値およびVdの例を示す。図7に示すように、0〜10℃の温度域では、上限値および下限値は30Vに達していないので、0〜10℃を一つの動作温度域と定めることができる。
【0070】
図8は、例示した3つの動作温度域におけるVdの変化を示す説明図である。なお、図8では、便宜上Vdの変化を連続する曲線で示しているが、動作温度域の境界温度10℃および15℃でVdは不連続に変化する。また、図9に1℃毎に定めたVdの値と、選択期間の値の例を示す。記憶装置40は、このようなVdから定められたVr,Vcの値を温度毎に記憶する。
【0071】
また、ここで説明した選択期間等の値は、例示である。選択期間等の各値は、ここに示した値でなくてもよい。例えば、最も高温となる動作温度域における選択期間を10ms以下の期間、あるいは10ms以上の期間として定めてもよい。また、ここでは最も高温となる動作温度域を15〜50℃の範囲と定めたが、15〜50℃の範囲を包含する温度域を一つの動作温度域としてもよい。また、ここでは、3つの動作温度域を定める場合を例示したが、動作温度域は2つ以上であればよい。また、ここでは、10℃および15℃を動作温度域の境界温度とする場合を示したが、10〜15℃の範囲内に動作温度域の境界温度を定めてもよい。さらに、他の温度を境界温度としてもよい。
【0072】
また、動作作温度域のなかで最高の動作温度域における選択期間をTH(ms)とし、最低の動作温度域における選択期間をTL(ms)としたときに、例えば、TL/TH≧4が成立するようにTHおよびTLを定めてもよい。本例では、最高の動作温度域における選択期間THは10msであり、最低の動作温度域における選択期間TLは50msである。従って、TL/TH=5であり、TL/TH≧4が成立している。
【0073】
図5から図9では、選択反射時に橙色を呈するカイラルネマチック液晶を用いる場合のグラフや表の例を示した。液晶の種類等によって、これらのグラフ等は変化する。例えば、選択反射時に青色を呈するカイラルネマチック液晶(選択反射波長:490nm)を用いたとする。そして、3種類の選択期間10ms、20msおよび50msを定め、それぞれに対応させて15〜50℃、10〜15℃および0〜10℃の動作温度域を定めたとする。この場合の3つの動作温度域におけるVdの変化の例を図10に示す。なお、図10では、便宜上Vdの変化を連続する曲線で示しているが、動作温度域の境界温度10℃および15℃でVdは不連続に変化する。また、1℃毎に定めたVdと、選択期間の値の例を図11に示す。ただし、Vdは、上限値と下限値の平均値として定めている。
【0074】
このように液晶パネルの種類によって、Vdは異なるので、記憶装置40に記憶させるデータは、液晶パネルに応じて定めておく。
【0075】
記憶装置40は、温度に応じたVdから定められたVc,Vrを記憶し、また、動作温度域に対応した選択期間を記憶する。そして、制御部11は、温度センサ81から通知される温度に応じた選択期間、VcおよびVrを記憶装置40から読み込み、その読み込んだ値で液晶パネル100を制御する。従って、図3に例示した駆動波形における選択期間やVc,Vrは、温度に応じて変化する。
【0076】
なお、ここでは記憶装置40が、温度に応じたVcおよびVrを記憶する場合を例に説明したが、温度に応じたVdを記憶してもよい。そして、制御装置11が記憶装置40からVdを読み込み、そのVdに応じた電圧レベル指示信号を電源装置14に出力してもよい。このとき、電源装置14は、Vr/Vcが常に一定になるようにVr,Vcを各ドライバに供給する。例えば、電源装置14は、Vr/Vc=8となるようにVr,Vcを供給する。そして、電源装置14は、制御装置11からの電圧レベル指示信号に応じて特定されるVdに応じて、Vd=Vr+VcおよびVr/Vc=8という関係を満足するVr、Vcを、行ドライバ12、列ドライバ13に供給する。なお、このように供給されるVr、Vcは、Vr−Vc=VF、Vc<VSという条件を満足する。
【0077】
本発明によれば、動作温度域と選択期間とを対応付け、より低い温度の動作温度域になるほど、選択期間を長く定める。従って、所定の表示品位を実現するための電圧Vd(=Vr+Vc)の上昇を抑えることができる。従って、電源装置から供給できる電圧(昇圧後の電圧)の上限値より低い電圧で液晶パネルを駆動することができる。
【0078】
また、常温域を含む動作温度域(例えば、15〜50℃の動作温度域)では、低温域(例えば、0〜10℃の動作温度域)よりも短い選択期間が定められる。従って、低温域における選択期間を常温においても適用する場合に比べ、消費電流量の増加を抑えることができる。
【0079】
さらに、VdをA−B(V)からA+B(V)の範囲内の値としているので、Vdが上限値や下限値に近接した値になることはない。従って、液晶パネル100の周囲の温度が変化した場合、温度センサ81による温度変化の検知誤差や、温度変化の検知の多少の遅れが生じたとしても、Vdが温度変化後における下限値より小さくなってしまったり、上限値より大きくなってしまうことを防止できる。
【0080】
また、ここでは、選択期間を定めてから、電源装置から供給できる電圧を考慮して動作温度域を定める場合を示したが、先に動作温度域を定めてから、その動作温度域における選択期間を定めてもよい。この場合、定めた動作温度域において、所定の表示品位を実現することができるVdの下限値および上限値が、電源装置から供給できる電圧を越えないような選択期間を定めればよい。
【0081】
上記の例では、複数の動作温度域をあらかじめ想定し、それぞれの動作温度域において、電圧選択パルスの選択期間を定める等により、選択期間と動作温度域とを対応させた。そして、所定の範囲の駆動電圧レンジ条件のなかで、ほぼ一定の見ばえの表示をできるように構成した。言い換えると、選択期間を半固定とし、駆動電圧を調整することで表示特性を調整する手法である。
【0082】
これに対して、選択期間をアナログ的に可変できるように構成し、周囲温度に応じて、あらかじめ定めた選択期間で駆動できるようにすることができる。この場合、駆動電圧をほぼ一定とし、選択期間を1次の調整要素として表示特性をあわせこむことができる。
【0083】
選択期間は、フレームレートで決まるので、もっぱらフレーム発生回路(制御装置11)を温度によって制御することで、温度に応じた選択期間を発生させることができる。
【0084】
図2では、一つの液晶パネル100を示したが、積層された二つの液晶パネルを駆動してもよい。この場合、積層された各液晶パネル毎に行ドライバおよび列ドライバを設ける。また、記憶装置40は、温度に応じたデータ(選択期間、Vc、Vr等)を個々の液晶パネル毎に記憶する。そして、制御装置11は、温度センサ81から通知された温度に対応する選択期間などのデータを、個々の液晶パネル毎に読み込んで、各液晶パネル毎に個別に制御する。また、制御装置11は、電源装置14に対して、各液晶パネルの電圧レベル指示信号を出力する。電源装置14は、第一層の液晶パネルに対応する電圧レベル指示信号に基づいて、第一層の液晶パネルの各ドライバに電圧を供給する。また、第二層の液晶パネルに対応する電圧レベル指示信号に基づいて、第二層の液晶パネルの各ドライバに電圧を供給する。電源装置14は、各層のドライバ(行ドライバ、列ドライバ)に対して、個別に電圧を供給する。
【0085】
図12は、積層された二つの液晶パネルを示す説明図である。二つの液晶パネル71,72には、選択反射波長が異なるカイラルネマチック液晶が封止されている。選択反射波長が短い方のカイラルネマチック液晶が封止された第一の液晶パネル71は、観察者73側に配置される。そして、選択反射波長が長い方のカイラルネマチック液晶が封止された第二の液晶パネル72は、第一の液晶パネル71の下層(観察者73から遠ざかる層)に配置される。光吸収体5は、下層側に位置する第二の液晶パネル72の背面に設けられる。
【0086】
第一の液晶パネル71内に封止された液晶がプレーナ状態で呈する色と、第二の液晶パネル72内に封止された液晶がプレーナ状態で呈する色とは、補色関係にある。図13は、二色の補色関係の例を示す説明図である。図13に示す座標は、C.I.E.1931色度座標であり、「C light source」は、C光源(白色の基準となる光源)の座標である。二つの選択反射色の色度座標がC光源の座標を中心に互いに反対側に位置し、C光源の座標からの等距離にあれば、その二つの選択反射色は補色関係にある。例えば、図13に例示するように、波長600nmの橙色と、波長480nmの青色とは補色関係にある。また、波長620nmの橙色と、波長490nmの青色とは補色関係にある。同様に、波長570nmの橙色と、波長440nmの青色とは補色関係にある。
【0087】
第一の液晶パネル71および第二の液晶パネル72内の液晶をいずれもプレーナ状態に変化させれば、各層が呈する色の間で補色関係が成立し、白色を呈することができる。
【0088】
図14は、白色を呈する色度座標空間を示す説明図である。一般的に定義される白表示とは、上記C.I.E.1931色度座標上における4点(0.29,0.29),(0.35,0.29),(0.29,0.44),(0.35,0.44)を結ぶ色度座標空間(図14に示す点線枠内)に含まれる色純度である。二種類の液晶の選択反射波長の組み合わせを、(530nm、635nm)とした場合、(520nm、635nm)とした場合、および(505nm、650nm)とした場合、いずれも白色を呈することができる。
【0089】
次に、本発明の駆動方法により駆動される液晶表示装置の使用例について説明する。本発明の駆動方法により駆動される液晶表示装置は、電子棚札として用いることができる。例えば、図15に示すように価格等を液晶表示装置に表示させることにより、液晶表示装置を棚札として用いることができる。メモリ性液晶を用いているので、表示の書換頻度にもよるが、基本的に低消費電力である。周辺回路を含めても、コイン電池1〜12個、好ましくは1〜6個で駆動できる。電源として商用電源の他、一次電池、二次電池を使用することができる。電池は大きさが小さく、公称容量が大きく、標準電流が大きいものであれば特に限定されないが、円筒状、直方体形状、コイン型など様々な形状のものを用途や設置場所に合わせて選択することができる。電池の種類としてはマンガン電池、アルカリ電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池、ニッケル水素電池、ニッカド電池など挙げることができ、駆動回路の入力電圧および消費電流を考慮して複数個を並列または・および直列に接続して用いることができる。
【0090】
また、商品棚に取り付ける使用態様に限らず、POP(Point of Purchase)広告を表示する液晶表示装置を本発明の駆動方法で駆動してもよい。図16は、POP広告の表示例を示す。広告の内容は、商品の広告であっても、サービスの広告であってもよい。さらに、個人のスケジュール表を表示する表示装置に本発明の駆動方法を適用してもよい。
【0091】
また、カイラルネマチック液晶を用いた公衆表示用液晶表示装置に本発明の駆動方法を適用してもよい。公衆表示用液晶表示装置は、公共の場で公衆に情報を提供する液晶表示装置である。公衆表示用液晶表示装置は、例えば、道案内表示、位置表示、時刻表示、天気表示、ニュース表示、あるいは企業広告等に利用される。公衆表示用液晶表示装置による表示の具体例を図17から図20に例示する。
【0092】
本実施の形態において、Vrは選択電圧に相当する。Vcは信号電圧に相当する。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、動作温度域を少なくとも2以上設け、それぞれの動作温度域のなかで、電圧選択パルスの選択期間と、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧とを定め、低温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間を、高温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間よりも長くする。従って、低温になっても、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧の上昇を抑えることができ、電源装置から供給できる電圧の上限値より低い電圧で液晶パネルを駆動することができる。この結果、低温時でも表示品位を保てる。
また、常温における選択期間は低温時における選択期間よりも短くなるので、通常時に、消費電流量の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メモリ性液晶を用いた液晶パネルの概略構成を示す断面図。
【図2】液晶パネルを駆動する駆動装置の構成例を示すブロック図。
【図3】表示書換時の駆動波形の例を示す説明図。
【図4】表示書換時の画面変化の例を示す説明図。
【図5】選択期間10msでのVdの上限値と下限値の例を示す説明図。
【図6】選択期間20msでのVdの上限値と下限値の例を示す説明図。
【図7】選択期間50msでのVdの上限値と下限値の例を示す説明図。
【図8】各動作温度域におけるVdの変化の例を示す説明図。
【図9】温度に応じたVdおよび選択期間の具体例を示す説明図。
【図10】各動作温度域におけるVdの変化の例を示す説明図。
【図11】温度に応じたVdおよび選択期間の具体例を示す説明図。
【図12】積層された二つの液晶パネルを示す説明図。
【図13】補色関係の例を示す説明図。
【図14】白色を呈する色度座標空間を示す説明図。
【図15】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図16】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図17】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図18】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図19】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図20】本発明が適用される液晶表示装置による表示の具体例を示す説明図。
【図21】液晶ドメインの配列状態を示す説明図。
【図22】C.I.E.1931色度座標の例を示す説明図。
【符号の説明】
11 制御装置
12 行ドライバ
13 列ドライバ
40 記憶装置
81 温度センサ
100 液晶パネル
Claims (9)
- 複数の行電極と複数の列電極との間に少なくとも2つの安定状態を呈するカイラルネマチック液晶が挟持された液晶表示装置を線順次駆動で駆動する際に、信号電極に信号電圧を印加し、行電極の選択時に行電極に選択電圧を印加することによって、選択画素に電圧選択パルスを印加し、各選択画素をプレーナ状態にした後に、所定の表示状態に対応する電圧を印加する液晶表示装置の駆動方法であって、
動作温度域を少なくとも2以上設け、
それぞれの動作温度域のなかで、電圧選択パルスの選択期間と、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧とを定め、
低温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間を、高温側の動作温度域の電圧選択パルスの選択期間よりも長くする
ことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。 - 各動作温度域のなかで所定の表示品位を実現可能な、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧の電圧上限値と電圧下限値とを温度に応じた値として予め見い出し、液晶表示装置の周囲の温度に応じて、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧を電圧下限値から電圧上限値までの範囲内の値として定める請求項1に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 液晶表示装置の周囲の温度に応じた電圧上限値と電圧下限値の平均値をA(V)とし、電圧上限値と電圧下限値との差の20%の電圧をB(V)とした場合に、カイラルネマチック液晶をプレーナ状態にするための電圧をA−B(V)からA+B(V)までの範囲内の値として定める請求項2に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 動作温度域のなかで最高の動作温度域における選択期間をTH(ms)とし、最低の動作温度域における選択期間をTL(ms)としたときに、TL/TH≧4が成立するようにTHおよびTLを定める請求項1,2または3に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 動作温度域の境界となる境界温度が5〜15℃の範囲内にある請求項1,2,3または4に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 動作温度域のなかで最高の動作温度域における選択期間を10ms以内とする請求項1,2,3,4または5に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 少なくとも20〜50℃の温度域を一つの動作温度域内に収める請求項1,2,3,4,5または6に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 2層に積層された2つの液晶表示装置であって、各層のカイラルネマチック液晶がプレーナ状態で呈する色が補色関係にあり、各層のカイラルネマチック液晶がプレーナ状態になったときに白色を呈する液晶表示装置を駆動する請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の液晶表示装置の駆動方法。
- 電子棚札用液晶表示装置、広告用液晶表示装置または公衆表示用液晶表示装置を駆動する請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の液晶表示装置の駆動方法。
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