JPH07198926A - カラーフィルター - Google Patents

カラーフィルター

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JPH07198926A
JPH07198926A JP33677793A JP33677793A JPH07198926A JP H07198926 A JPH07198926 A JP H07198926A JP 33677793 A JP33677793 A JP 33677793A JP 33677793 A JP33677793 A JP 33677793A JP H07198926 A JPH07198926 A JP H07198926A
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Masaya Adachi
眞哉 足立
Takanori Watase
貴則 渡瀬
Tadayoshi Matsunaga
忠與 松永
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Abstract

(57)【要約】 【目的】色分解性、耐久性、耐熱性、導電性、ガスバリ
ヤ性、耐擦傷性、および耐薬品性に優れたカラーフィル
ターを提供する。 【構成】両面に染料受容層を設けたの成形体の各面の染
料受容層の少なくとも一部分が、染料によって染められ
ていることを特徴とするカラーフィルター。 【効果】色分解性、耐久性、耐熱性、導電性、ガスバリ
ヤ性、耐擦傷性、および耐薬品性に優れ、かつ軽量、薄
型で耐衝撃性に優れ、見掛け上の染色度が高いカラーフ
ィルターとして、各種液晶ディスプレイ等に使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、見掛上の染色度が高い
カラーフィルターに関するものであり、色分解性、耐久
性、耐熱性、導電性、ガスバリヤ性、耐擦傷性、および
耐薬品性などに優れ、かつ軽量、薄型で耐衝撃性にも優
れるため、カラー液晶表示素子、カラー固体撮像素子な
どにおいて色分解用途のカラーフィルターとして好適に
用いられる。
【0002】
【従来の技術】一般にプラスチック材料は軽量で、耐衝
撃性、加工性および大量生産性に優れることから、近年
光学フィルター、光学レンズおよび光ディスク等の光学
素子用材料としての需要が拡大しつつある。これらの光
学素子用プラスチック材料としては、現在、ポリメタク
リル酸メチル、ポリスチレンおよびポリカーボネートな
どの透明樹脂が主に用いられている。
【0003】また、これらのプラスチック成形体の上
に、染料受容物質よりなる染料受容層を設け三原色から
なる色パターンを形成し、カラー液晶表示素子、カラー
固体撮像素子などにおける色分解のためのカラーフィル
ターとして用いる検討が試みられている。
【0004】これらのカラーフィルターは、プラスチッ
ク基板上に、染色法、顔料分散法、電着法、蒸着法、印
刷法などの方法により、レッド、グリーン、ブルーのそ
れぞれの着色パターン層を形成した後、その上に保護膜
を形成して平滑化しカラーフィルター層としている。着
色パターン層の形成方法としては、染色法と顔料分散法
が中心である。その内顔料を用いた場合は、消偏作用が
起こり、問題が生じる場合があった。染色法によるカラ
ーフィルターの特徴は、染料の種類が豊富であり、かつ
複数の染料を組み合わせることにより、種々の分光特性
が得られことにある。この染色法によるカラーフィルタ
ーの製造法としては、通常、三原色からなる複数の染色
層を積層して構成される多層型のものが知られている。
このカラーフィルターは、一般的には、次の工程によっ
て製造される。
【0005】(1)基板上に、ゼラチンなどの染料受容
物質に重クロム酸アンモニウム等の感光剤を加えた液体
を塗布して感光性を有する染料受容層を形成し、次に、
この染料受容層をフォトリソグラフィー技術を用いて所
定のパターンに形成する。
【0006】(2)パターニングされた染料受容層を所
定の分光特性を有する染料によって染色し、第1の染色
層を形成する。
【0007】(3)第1の染色層の表面全体を、タンニ
ン酸などの化学薬品により防染処理する。
【0008】(4)(1)〜(3)と同様の工程を繰り
返すことにより、第1の染色層部分以外の部分に第2お
よび第3の染色層を形成する。
【0009】(5)得られた染色層の上に、透明な保護
膜を形成し、染色層の保護と平坦化を行う。
【0010】しかし、このような多層型カラーフィルタ
ーの製造方法においては、染料の種類によっては、染料
受容層への染料の固着効果や混染の防止効果が不十分で
あり、また、両面にパターンを形成することは、コスト
面、技術面からも困難である。さらに、これらのフォト
リソグラフィー技術を用いて得られた着色パターンは、
隣接するパターン間に遮光層あるいは隙間を設けなけれ
ばならないため、染料受容層上に透明な保護膜を形成し
た場合においても、特にスーパーツイステッドネマチッ
ク(STN)方式の場合に要求されるような平滑性(±
0.1 μm以内)を満足させることは困難である。
【0011】上記のような問題点を解決するためには、
単層型、すなわち単一の染料受容層が分光特性の異なる
複数の染料によって染め分けられた色パターンを有する
カラーフィルターの開発が必要であり、例えば、特開昭
61−285402号公報にその製造技術が開示されて
いる。該公報におけるカラーフィルターは、染料受容層
を構成する染料受容物質として、ゼラチンなどの天然タ
ンパク質やカチオン性基を含有する重合性単量体(2−
メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
リドなど)に由来する構成単位を有する重合体を用いて
いる。しかし、これらの染料受容層は、かかる染料受容
物質を基板上に塗布した後、塗膜を紫外線あるいは熱に
より架橋させて得られるものであり、架橋時の収縮によ
り表面に凹凸が生じやすく、また、染色後の染料成分の
溶出が起こりやすいので、表面の凹凸の解消および染料
成分の溶出の抑制のため、多層型カラーフィルターと同
様に染料受容層の表面にポリビニルアルコールの架橋体
からなる保護層を必要としている。しかし、これらの従
来の技術に基づくカラーフィルターを用いて、STN型
液晶ディスプレイを製作した場合、前記の染料受容層の
保護層を設けなければならないため、液晶ディスプレイ
全体の光線透過率を損ない、明確な明暗表示および色度
表示が得られにくくなる。また、STN型カラー液晶デ
ィスプレイでは、フィルター層すなわち染料受容層上に
透明導電膜を設ける必要があり、配向膜の焼成など液晶
ディスプレイ製作時に要する熱処理時に、保護層と透明
導電膜の間の熱膨張率の著しい差により、透明導電膜に
クラックが生じやすいという欠点を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような欠点を解消
するためには、保護層の不要な染料受容層の開発が必要
となる。すなわち、染料受容層の表面の凹凸が非常に小
さく(表面平滑性が±0.1 μm以内)、染料の溶出を防
ぎ、かつ染料受容層と透明導電膜間の線膨脹率差が小さ
く、加熱処理時や吸湿時において透明導電膜にクラック
が発生しないような染料受容層の開発がなされている。
しかし、染料受容層の材質によっては、染色度に限界が
あり、鮮明な画像が得られない問題もあり、特に、プラ
スチックシート、フィルムを用いた染色系カラーフィル
ターの弱点でもある。
【0013】本発明は、上記問題を解決しようとするも
のであり、耐久性、耐熱性、導電性、ガスバリヤ性、耐
擦傷性、および耐薬品性に優れ、かつ、見掛上の染色度
が高いカラーフィルターを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、下記の構成を有する。
【0015】「両面に染料受容層を有する成形体からな
るカラーフィルターにおいて、該両面の染料受容層それ
ぞれの少なくとも一部分が、染料によって染められてい
ることを特徴とするカラーフィルター。」 まず、本発明における成形体について説明する。
【0016】本発明における成形体としては、ガラス、
樹脂等特に限定されるものではないが、軽量、薄型でか
つ耐衝撃性の観点から樹脂が好ましい。特に、ガラス転
移温度130℃以上の透明樹脂が好適に用いられ、16
0℃以上のガラス転移温度を持つ樹脂であれば、耐熱性
が良好となりより好ましく用いられ、180℃以上がさ
らに好適である。ここで、ガラス転移温度とは、高分子
が非晶性のガラス状態からゴム状態へ変わる温度を示す
が、転移領域においては弾性率、膨脹率、熱含量、屈折
率、誘電率などの諸特性が変化する。これらの特性の変
化からガラス転移温度の測定が可能であり、具体的には
示差走査熱量分析(DSC)などによる公知の手法によ
り評価できる(例えばJIS K7121)。
【0017】成形体の機械的特性は、室温における曲げ
弾性率を指標として表した場合、好ましくは200kg
/mm2 以上であり、より好ましくは330kg/mm
2 以上である。さらに、成形体の透明性は、無着色時の
全光線透過率を指標として表した場合、60%以上が好
ましく、より好ましくは80%以上である。透明樹脂成
形体は、透明性を損なわない範囲で無機物などとの複合
系にすることも可能であり、また、シロキサン結合やフ
ォスファゼン結合などの無機性結合が含まれていてもよ
い。
【0018】ガラス転移温度が130℃以上の透明樹脂
の成分としては、例えば(i) ポリメタクリル酸、ポリカ
ルボキシフェニルメタクリルアミドなどのポリメタクリ
ル酸系樹脂やポリ(ビフェニル)スチレンなどのポリス
チレン系樹脂などに代表されるポリオレフィン系樹脂、
(ii)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキ
シド)に代表されるポリエーテル系樹脂、(iii) ポリ
(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレンイソプ
ロピリデン−1,4−フェニレン)に代表されるポリカ
ーボネート系樹脂、(iv)ポリ(オキシ−2,2,4,4
−テトラメチル−1,3−シクロブチレンオキシテレフ
タロイル)に代表されるポリエステル系樹脂、(v) ポリ
(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フ
ェニレン)、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンイソプ
ロピリデン−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェ
ニレンスルホニル−1,4−フェニレン)などに代表さ
れるポリスルホン系樹脂、(vi)ポリ(イミノイソフタロ
イルイミノ−4,4´−ビフェニレン)に代表されるポ
リアミド系樹脂、(vii) ポリ(チオ−1,4−フェニレ
ンスルホニル−1,4−フェニレン)に代表されるポリ
スルフィド系樹脂、(viii)不飽和ポリエステル系樹脂、
(ix)エポキシ系樹脂、(x) メラミン系樹脂、(xi)フェノ
ール系樹脂、(xii) ジアリルフタレート系樹脂、(xiii)
ポリイミド系樹脂、(xiv) ポリフォスファゼン系樹脂な
どを挙げることができる。
【0019】また、これらの高分子群において架橋構造
を導入して上記熱的特性を示す透明架橋樹脂を得ること
が可能である。特に、透明性および成形性の観点からポ
リオレフィン系樹脂が好ましく、180℃以上の耐熱性
が必要な用途には不飽和基を2個以上有する多官能単量
体を含有してなる組成物を重合してなるポリオレフィン
系共重合体がより好ましく用いられる。
【0020】上記共重合体としては、一般式(5)で表
される単量体を20〜98重量%、および不飽和基を2
個以上有する多官能単量体を2〜80重量%含有し、か
つ、該一般式(5)で表される単量体と該不飽和基を2
個以上有する多官能単量体との合計重量割合が、30重
量%以上である組成物を重合してなる共重合体が好まし
く用いられる。
【0021】
【化1】
(5) なお、式中、R3 、R4 は水素、メチル基およびエチル
基から選ばれる置換基を表わす。R5 は水素、炭素数1
〜20の炭化水素基から選ばれる置換基を表わす。
【0022】R3 とR4 については、互いに、同種であ
っても異種であってもよい。R5 が炭化水素基である場
合、具体例としては、(i) メチル基、エチル基、プロピ
ル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖状アルキ
ル基、(ii)イソプロピル基、sec-ブチル基、tert- ブチ
ル基、イソペンチル基などの分枝状アルキル基、(iii)
シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などの脂環
式炭化水素基、(iv)フェニル基、メチルフェニル基など
のアリール基、(v) ベンジル基、フェネチル基などのア
ラルキル基などを挙げることができる。
【0023】さらに、R3 、R4 およびR5 は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲノ基、シアノ基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基などの各種置換基で置換されたものであっても
よい。
【0024】一般式(3)で示される化合物の具体例と
しては、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニル
マレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−
p−メチルフェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフ
ェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイ
ミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メ
トキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニル
マレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N
−o−クロロフェニルマレイミド、N−m−クロロフェ
ニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、
N−o−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−カル
ボキシフェニルマレイミド、N−p−ニトロフェニルマ
レイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどが挙げら
れる。
【0025】これらの単量体は、1種で、あるいは2種
以上の混合物として用いられ得る。また、耐熱性テスト
後の黄変、耐候性の点からは、かかるマレイミド化合物
の中でも、特にN−アルキルマレイミド、N−シクロア
ルキルマレイミドが好ましく、とくにN−iso−プロ
ピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ま
しい。さらには、キャスト重合時のモノマ溶液の調製の
容易さ、および前記特性を満足させ得るという点から、
N−iso−プロピルマレイミドとN−シクロヘキシル
マレイミドなど、N−アルキルマレイミドとN−シクロ
アルキルマレイミドの併用が最も好ましい。併用時のN
−アルキルマレイミドとN−シクロアルキルマレイミド
の比率は、不飽和基を2個以上有する多官能単量体の種
類、量などにより、適宜実験的に定められるべきもので
あるが、併用の効果を発現させるためには、N−アルキ
ルマレイミド100重量部に対して、N−シクロアルキ
ルマレイミドを10重量部から500重量部の範囲で使
用することが好ましい。
【0026】不飽和基を2個以上有する多官能単量体と
は、前記マレイミドと共重合可能な不飽和官能基を2個
以上有するモノマであり、共重合可能な官能基として
は、ビニル基、メチルビニル基、アクリル基、メタクリ
ル基などが挙げられる。また、一分子中に異なる共重合
可能な官能基が2個以上含まれるモノマも本発明で言う
ところの多官能単量体に含まれる。
【0027】以上のような不飽和基を2個以上有する多
官能単量体の好ましい具体例としては、(i) エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、グリセロール(ジ/トリ)(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ジ/ト
リ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ジ
/トリ/テトラ)(メタ)アクリレートなどの多価アル
コールのジ−,トリ−,テトラ−(メタ)アクリレート
類、(ii)p−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼ
ン、m−ジビニルベンゼンなどの芳香族多官能モノマ、
(iii) (メタ)アクリル酸ビニルエステル、(メタ)ア
クリル酸アリルエステルなどのエステル類、(iv)ブタジ
エン、ヘキサジエン、ペンタジエンなどのジエン類、
(v) ジクロロホスファゼンを原料として重合多官能基を
導入したホスファゼン骨格を有するモノマ、(vi)トリア
リルイソシアヌレートなどの異原子環状骨格を有する多
官能モノマなどが挙げられる。
【0028】上記のポリオレフィン系共重合体組成物中
には、前記の一般式(5)で表わされる単量体が20〜
98重量%含有されていることが好ましく、20重量%
未満の場合には十分な耐熱性、機械的強度、光学等方性
などの特性を満足させることができない場合がある。ま
た、98重量%を越える場合には、架橋度が低下し、耐
溶剤性、低吸水率化などか不十分となる傾向がある。さ
らに、30〜80重量%であることが好ましく、さらに
好ましくは40〜60重量%である。
【0029】不飽和基を2個以上有する多官能単量体
は、架橋重合体組成物中に2〜80重量%の割合で含有
されていることが好ましい。2重量%未満の場合には架
橋が十分に進行せず、耐熱性、耐溶剤性などの低下が認
められる傾向がある。また、80重量%を越えると、耐
衝撃性などが低下し、プラスチックとしての特性低下が
著しくなるといった問題が生じる場合がある。
【0030】上記のポリオレフィン系共重合体組成物中
には、機械的強度の向上、光学等方性向上、高屈折率
化、低吸水率化、染色性向上、耐熱性向上、耐衝撃性向
上などを目的として、各種の共重合可能なモノマが好ま
しく併用される。かかる併用可能なモノマとしては、芳
香族ビニル系単量体、オレフィン系ビニル単量体、(メ
タ)アクリル酸およびそのエステル系単量体、多価カル
ボン酸無水物などが挙げられる。かかる芳香族ビニル系
単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロロスチレンおよびブロモスチ
レンなどが挙げられる。通常は、性能および工業的に入
手し易いなどの点からスチレン、α−メチルスチレンお
よびp−メチルスチレンなどが用いられる。また、その
他のビニル系単量体としては、(i)アクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、(i
i)メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル
酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリ
ル酸ベンジル、アクリル酸、メタクリル酸などの(メ
タ)アクリル酸(エステル)系単量体、(iii) 無水マレ
イン酸などが好ましい具体例として挙げられる。
【0031】上記のポリオレフィン系共重合体組成物に
おける一般式(5)で表されるモノマと、不飽和基を2
個以上有する多官能単量体との合計含有量は、架橋樹脂
組成物中、30重量%以上であることが好ましく、さら
に好ましくは40重量%以上である。すなわち、30重
量%未満では、透明性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性な
どが不十分なポリマとなる場合がある。
【0032】本発明における成形体には、耐光性、耐酸
化劣化性、帯電防止性を向上させる目的から各種紫外線
吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤を添加することも有用
である。特に、耐薬品性や耐熱性を低下させずに、これ
らの性能を向上させることが可能なことから、紫外線吸
収性、あるいは、酸化防止性を有するモノマを共重合す
ることが好ましい。かかるモノマの好ましい例として
は、不飽和二重結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸
収剤、不飽和二重結合を有するフェニルベンゾエート系
紫外線吸収剤、ヒンダードアミノ基を置換基として有す
る(メタ)アクリルモノマなどが挙げられる。これらの
共重合モノマは0.5〜20重量%の範囲で使用される
ことが好ましい。0.5重量%未満の場合には添加効果
が認められず、また、20重量%を越える場合には、耐
熱性、機械的強度などが低下する傾向がある。
【0033】透明樹脂の重合方法に関しては、特に制限
はなく、通常公知の方法で重合することができる。透明
樹脂がポリオレフィン系共重合体の場合、ラジカル開始
剤の存在下または非存在下に上記の単量体混合物を所定
の温度条件下に保つことによって重合することができ
る。塊状重合、溶液重合、懸濁重合および注型重合等各
種の方法を用いることができる。本発明の透明架橋樹脂
の重合度に関しては、特に制限はないが、重合率は高い
方が好ましく、透明被膜などの溶液コーティング、真空
蒸着などの後加工を考慮すると90%以上が好ましい。
本発明の透明樹脂の重合は、30〜250℃の温度範囲
で行うことが可能であるが、重合温度を130℃以上、
より好ましくは150℃以上にすることにより重合率を
高めることができる。
【0034】また、透明樹脂の成形法に関しても特に制
限はないが、押し出し成形、射出成形、溶液成膜および
注型重合等各種の方法を用いることができる。効果的な
成形法としては、注型重合法が挙げられる。また、ガラ
スにはない機械的特性を考慮して、成形体の厚みは、
0.7mm以下であることが好ましく、0.1〜0.5
mmであることがより好ましい。
【0035】次に染料受容層について説明する。
【0036】染料受容層としては特に制限はないが、耐
熱性、表面硬度の観点から、有機高分子、無機微粒子を
含む硬化被膜であることが好ましい。硬化被膜を構成す
る有機高分子の具体例としては、アクリル系樹脂、シリ
コーン系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、メ
ラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース類、
ポリビニルアルコール系樹脂、尿素樹脂、ナイロン樹
脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、
これらの樹脂はそれぞれ単独での使用あるいは2種以上
を併用することが可能であり、さらに各種硬化剤、架橋
剤などを用いて三次元架橋することも可能である。特に
表面硬度が重要な用途には、硬化可能な樹脂であること
が好ましく、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系
樹脂などの単独系ないしは複合系が好ましく使用され
る。また、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、透明性などの
諸特性を考慮した場合では、有機高分子としてシリコー
ン系樹脂を用いることが好ましく、下記一般式(1)で
示される有機ケイ素化合物ないしはその加水分解物から
得られるポリマを用いることがより好ましい。
【0037】 一般式(1) R1 a 2 b SiX4-a-b (ここで、R1 は炭素数1〜10の有機基であり、R2
は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1
である。) 具体的な例としては、(i) メチルシリケート、エチルシ
リケート、n−プロピルシリケート、iso−プロピル
シリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシ
リケート、およびt−ブチルシリケートなどのテトラア
ルコキシシラン類、およびその加水分解物、(ii)メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチ
ルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセ
トキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、
クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエ
トキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ
エチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキ
シシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキ
シシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−
グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキ
シシラン、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル
トリエトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリブトキシシラン、β−(3、4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−
(3、4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメト
キシシラン、γ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)
プロピルトリエトキシシラン、δ−(3、4−エポキシ
シクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−
(3、4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエメト
キシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアシルオ
キシシラン、またはトリフェノキシシラン類またはその
加水分解物、およびジメチルジメトキシシラン、フェニ
ルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチ
ルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ
−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキ
シシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキ
シメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチル
メチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチ
ルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジ
エトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメト
キシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシ
シラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルメトキシエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ンなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシランまた
はジアシルオキシシラン類またはその加水分解物が挙げ
られる。これらの有機ケイ素化合物は1種または2種以
上添加することが可能である。特に、染色性を付与する
目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケイ素
化合物の使用が好適である。
【0038】これらの有機ケイ素化合物は、キュア温度
を下げ、硬化をより促進させるためには加水分解して使
用することが好ましい。加水分解物は、純水または塩
酸、酢酸あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹拌す
ることによって得られる。純水あるいは酸性水溶液の添
加量を調節することによって加水分解の度合いをコント
ロールすることも容易に可能である。加水分解に際して
は、一般式(1)で示される化合物に含まれる加水分解
性基と等モル以上、3倍モル以下の純水または酸性水溶
液の添加が硬化促進の点で好ましい。
【0039】加水分解に際しては、加水分解によりアル
コール等が生成してくるため無溶媒で反応を行うことが
可能である。また、加水分解をさらに均一に行なう目的
で有機ケイ素化合物と溶媒とを混合した後、加水分解を
行なうことも可能である。また、目的に応じて加水分解
後のアルコール等を加熱および/または減圧下に適当量
除去して使用することも可能であるし、その後に適当な
溶媒を添加することも可能である。
【0040】また、表面平滑性の観点からは、上記有機
ケイ素化合物と併用して、エポキシ樹脂の使用が好まし
い。表面平滑性については、100オングストローム以
下であることが好ましいが、さらに透明導電膜等を染料
受容層上に設けた場合の、透明導電膜低抵抗化の観点か
らは、50オングストローム以下であることがさらに好
ましい。
【0041】エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノール
A型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラ
メチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモ
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型
エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールS型エポキ
シ樹脂、テトラブロモビスフェノールS型エポキシ樹
脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポ
キシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル
ビフェノール型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポ
キシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種あるいは、2
種以上を混合して使用してもさしつかえない。特に、塗
料化の容易さ、透明導電膜等を染料受容層上に設けた場
合の、透明導電膜の耐久性の観点からは、エポキシ当量
150〜600g/当量のビスフェノールA型エポキシ
樹脂が好ましく使用される。
【0042】エポキシ樹脂の添加量としては、80〜2
0重量%が好ましく、80重量%を越えると、耐熱性、
透明導電膜等を染料受容層上に設けた場合の透明導電膜
の耐久性が不十分となる傾向にあり、20重量%未満で
は、染料受容能力が低下し、表面平滑性、透明性が不十
分となる傾向にある。60〜30重量%がさらに好まし
い。
【0043】無機微粒子を添加する目的としては、表面
硬度の向上、屈折率の調節、機械的強度の向上、熱的特
性の向上、無機微粒子を含む硬化被膜上に設けられる金
属酸化物および/または金属窒化物膜、透明導電膜の耐
久性向上などが挙げられる。かかる無機微粒子として
は、被膜状態で透明性を損わないものであれば特に限定
されない。作業性向上、透明性付与の点から特に好まし
い例としては、コロイド状に分散したゾルが挙げられ
る。さらに具体的な例としては、シリカゾル、酸化アン
チモンゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、アルミナ
ゾル、酸化タングステンゾルなどが挙げられる。無機微
粒子の分散性を改良するために各種の微粒子表面処理を
行っても、あるいは、各種の界面活性剤やアミンなどを
添加してあっても何ら問題はない。
【0044】無機微粒子の添加量は、特に限定されない
が、効果をより顕著に表すためには、透明被膜中に20
重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。す
なわち、20重量%未満では、明らかな添加の効果が認
められず、また、80重量%を越えるとプラスチック基
体との接着性不良、染料受容能力の低下が起こったり、
被膜自体のクラックが発生したり、耐衝撃性が低下する
などの問題を生じる場合がある40〜70重量%がさら
に好ましい。
【0045】無機微粒子の粒子径は、特に限定されない
が、通常は1〜200nm、好ましくは5〜100n
m、さらに好ましくは20〜80nmのものが使用され
る。平均粒子径が約1nmに満たないものは分散状態の
安定性が悪く、品質の一定したものを得ることが困難で
あり、また200nmを越えるものは生成塗膜の透明性
が悪く、濁りの大きくなる傾向にある。
【0046】染料受容層となる硬化被膜は、作業性、被
膜厚さ調節などから揮発性溶媒により希釈してコーティ
ング組成物として透明樹脂成形体に塗布されることが好
ましい。溶媒として使用されるものは、特に限定されな
いが、使用にあたって被塗布物の表面性状を損なわない
ことが要求される。さらには、組成物の安定性、基材に
対するぬれ性、揮発性などをも考慮して、溶媒は決めら
れるべきである。また、溶媒は1種のみならず2種以上
の混合物として用いることも可能である。希釈溶剤とし
ては例えば、水、アルコール、エステル、エーテル、ハ
ロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシドなどが目的に応じて種々使用可能であり、必
要に応じて混合溶媒を使用することも可能である。微粒
子状無機酸化物の分散性などの点から、水、アルコー
ル、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ベンジル
アルコール、フェネチルアルコール、フェニルセロソル
ブなどの極性溶媒が好ましく用いられる。
【0047】また、無機微粒子を含む硬化被膜形成時に
使用されるコーティング組成物には、硬化促進や低温硬
化などを可能とする目的で各種の硬化剤を併用してもよ
い。これらの硬化剤の具体例としては、各種の有機酸お
よびそれらの酸無水物、窒素含有有機化合物、各種金属
錯化合物、あるいは金属アルコキシド、さらにはアルカ
リ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩などの各種塩、さら
には、過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのラ
ジカル重合開始剤などが挙げられる。これらの硬化剤は
2種以上混合して使用することも可能である。これらの
硬化剤の中でも、コーティング組成物の安定性、コーテ
ィング後の被膜の着色の有無などの点から、特に下記の
一般式(2)で示されるアルミニウムキレート化合物が
有用である。
【0048】一般式(2) AlXn 3-n 式中のXはOL(Lは低級アルキル基を示す)、Yは、
一般式(3)M1 COCH2 COM2 (M1 、M2 はい
ずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配
位子および、一般式(4)M3 COCH2 COOM
4 (M3 、M4 はいずれも低級アルキル基)で示される
化合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも一つで
あり、nは0、1または2である。
【0049】上記の一般式(2)で示されるアルミニウ
ムキレート化合物としては、各種化合物を挙げることが
できるが、組成物への溶解性、安定性、硬化触媒として
の効果などの観点から特に好ましいのは、アルミニウム
アセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセト
アセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−
ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、ア
ルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルア
セトアセテートなどである。これらのアルミニウムキレ
ート化合物は、1種または2種以上を混合して使用する
ことも可能である。これらの、アルミニウムキレート化
合物の添加量としては、10重量%以下が好ましく、5
重量%以下がさらに好ましい。10重量%を越えると、
染料受容層自体がに着色し、染色した際にのに色調の制
御が困難となる場合がある。染料受容層を形成するコー
ティング組成物には、塗布時におけるフローを向上さ
せ、硬化被膜の平滑性を向上させて被膜表面の摩擦係数
を低下させる目的で各種の界面活性剤を添加することも
可能であり、とくにジメチルポリシロキサンとアルキレ
ンオキシドとのブロックまたはグラフト共重合体、さら
にはフッ素系界面活性剤などが有効である。
【0050】無機微粒子を含む硬化被膜形成時に使用さ
れるコーティング組成物中には、被膜性能、透明性など
を大幅に低下させない範囲で、無機微粒子以外の無機酸
化物なども添加することができる。これらの添加物の併
用によって基材との密着性、耐薬品性、表面硬度、耐久
性、染色性などの諸特性を向上させることができる。添
加可能な無機材料としては以下の一般式(6)で表され
る金属アルコキシド、キレート化合物および/またはそ
の加水分解物が挙げられる。
【0051】一般式(6) M(OR)m (ここでRはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキ
ル基であり、mは金属Mの電荷数と同じ値である。Mと
してはケイ素、チタン、ジルコン、アンチモン、タンタ
ル、ゲルマニウム、アルミニウムなどである。)さらに
耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、また耐熱劣化
特性向上法として酸化防止剤を添加することも可能であ
る。
【0052】染料受容層となる硬化被膜のコーティング
組成物の塗布手段としては、刷毛塗り、浸漬塗り、ロー
ル塗り、スプレー塗装、スピン塗装、流し塗りなどの通
常行なわれる塗布方法が容易に使用可能である。透明樹
脂成形体の両面に染料受容層を設けるためには浸漬塗り
が好適である。
【0053】コーティング組成物の塗布にあたっては、
清浄化、密着性、耐水性等の向上を目的として各種の前
処理を施すことも有効な手段である。特に好ましく用い
られる方法としては活性化ガス処理、薬品処理、紫外線
処理などが挙げられる。これらの前処理は、連続的また
は段階的に併用して実施することも十分可能である。前
記の活性化ガス処理とは、常圧もしくは減圧下において
生成するイオン、電子あるいは励起された気体による処
理である。これらの活性化ガスを生成させる方法として
は、例えばコロナ放電、減圧下での直流、低周波、高周
波あるいはマイクロ波による高電圧放電などによるもの
である。
【0054】ここで使用されるガスは特に限定されるも
のではないが、具体例としては酸素、窒素、水素、炭酸
ガス、二酸化硫黄、ヘリウム、ネオン、アルゴン、フレ
オン、水蒸気、アンモニア、一酸化炭素、塩素、一酸化
窒素、二酸化窒素などが挙げられる。これらは一種のみ
ならず二種以上混合しても使用可能である。前記の中で
好ましいガスとしては、酸素を含んだものが挙げられ、
空気などの自然界に存在するものであっても良い。さら
に好ましくは、純粋な酸素ガスが密着性向上に有効であ
る。さらには同様の目的で前記処理に際しては被処理基
材の温度を上げることも可能である。
【0055】薬品処理の具体例としては、(i) 苛性ソー
ダなどのアルカリ処理、(ii)塩酸、硫酸、過マンガン酸
カリウム、重クロム酸カリウムなどの酸処理、(iii) 有
機溶剤処理などが挙げられる。
【0056】以上の前処理は連続的、または段階的に併
用して実施することも十分可能である。
【0057】染料受容層の膜厚は、特に限定されるもの
ではないが、接着強度の保持、硬度、などの点から0.
1〜50μmの間で好ましく用いられる。特に好ましく
は0.3〜10μmである。
【0058】染料受容層は、前記コーティング組成物を
硬化させることによって形成されるが、硬化は加熱処理
によって行なわれる。加熱温度はコーティング組成物の
組成、透明樹脂成形体の耐熱性を考慮して適宜選択され
るが、好ましくは50〜250℃である。50℃以下で
は、硬化が不十分であり、250℃以上では、硬化被膜
の着色や劣化を生ずる。
【0059】なお、染料受容層は、その耐熱性、耐擦傷
性および耐薬品性、染色性をさらに向上させる目的か
ら、同一組成比、あるいは異種組成比からなる組成物を
2層以上設けてなる多層膜として形成させても何ら問題
はない。染料受容層形成後の透明樹脂成形体の透明性
は、無着色時の全光線透過率を指標として表した場合、
60%以上が好ましく、さらには80%がより好まし
い。また、光学等方性が要求される、液晶ディスプレイ
用基板、カラーフィルター、光ディスク基板等の場合
は、複屈折は30nm以下が好ましく、さらには15n
m以下がより好ましい。本発明の染料受容層と透明樹脂
成形体の間には、ガスバリア性の観点から、酸素透過係
数が10[cc(STP)/m2 ・day ・atm ]以下の樹脂と無
機微粒子を主成分としてなる硬化被膜を設けることもで
きる。また、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day
・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分としてなる硬
化被膜中には、効果促進、耐水性向上の目的で、有機ケ
イ素化合物(またはその加水分解物)およびアルミニウ
ムキレート化合物を含有しても問題ない。
【0060】酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day
・atm ]以下の樹脂とは、各種の水溶性樹脂、例えばセ
ルロースのヒドロキシルアルキル置換誘導体、ポリアク
リルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属
塩、ポリ酢酸ビニルの完全または部分ケン化物、ポリビ
ニルピロリドン、さらにはポリヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートまたはその共重合体、アルキルポリア
ルキレンオキシド(メタ)アクリレートポリマーまたは
その共重合体、親水性ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン等のポリハロゲン化ビニリデンなどが挙げられるが、
液晶セル組み立て後のガスバリヤ性の発現が可能であれ
ば、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day ・atm ]
以上でも特にさしつかえない。特に、有機ケイ素化合物
を使用する場合、相溶性、架橋性の点からはヒドロキシ
基含有ポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロー
ス、一般にポリビニルアルコールと呼ばれるポリ酢酸ビ
ニルの完全または部分ケン化物、ポリヒドロキシ(メ
タ)アクリレートまたはその共重合体が好ましい。ヒド
ロキシアルキルセルロースのさらに具体例としては、ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
また、ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が2
50〜3000、ケン化度が50モル%以上のポリビニ
ルアルコールが本発明には好ましく用いられる。平均重
合度が250より小さい場合は耐久性、特に耐水性に乏
しく、また3000より大きい場合は塗料化した後粘度
が大きくなるため平滑な塗膜が得にくいなど作業上の問
題がある。さらにケン化度が50モル%より低い場合は
ガスバリヤ性の面で十分な性能が期待できない。
【0061】さらに、ポリヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレートとしては、ポリヒドロキシエチルアクリレ
ート、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリヒ
ドロキシプロピルアクリレート、ポリヒドロキシプロピ
ルメタアクリレートやこれらのポリマー中への他モノマ
ー、例えばメチルメタクリレートなどを共重合させたポ
リマーなどが挙げられる。
【0062】また、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2
・day ・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分として
なる硬化被膜においては、有機ケイ素化合物およびアル
ミニウムキレート化合物が耐久性、透明樹脂基材との接
着性、耐水性および導電膜設置後のエッチング処理時に
必要な耐塩酸性の向上の点で好ましく用いられる。ま
た、これらの親水性樹脂、有機ケイ素化合物およびアル
ミニウムキレート化合物は、それぞれ1種または2種以
上添加することが可能である。
【0063】これら、無機微粒子および、有機ケイ素化
合物、アルミニウムキレート化合物は先に述べた染料受
容層の説明中に詳細に記載しており、同様の硬化が期待
できる。
【0064】上記の酸素透過係数が10[cc(STP)/m2
・day ・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分として
なる硬化被膜は、染料受容層の形成と同様に通常揮発性
溶媒に希釈してコーティング組成物として塗布されるこ
とが好ましい。溶媒として塗布されるものは、特に限定
されないが、使用にあたっては被塗布物の表面性状を損
なわぬことが要求され、さらには組成物の安定性、基材
に対するぬれ性、揮発性などをも考慮して決められるべ
きである。また、溶媒は1種のみならず2種以上の混合
物として用いることも可能である。これらの溶媒として
は水、各種アルコール、エステル、エーテル、ケトン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチ
ルイミダゾリジノンなどの溶媒が挙げられる。
【0065】さらに、かかる硬化被膜には添加剤、各種
改良剤を含有させることも可能である。添加剤として
は、表面平滑性を改良する目的で各種の界面活性剤が使
用可能であり、具体的には、シリコン系化合物、フッ素
系界面活性剤、有機界面活性剤などが使用できる。改良
剤としては、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day
・atm ]以下の樹脂および有機ケイ素化合物と相溶性の
よい有機ポリマー、例えばアルコール可溶性ナイロン、
さらにはエチルシリケート、n−プロピルシリケート、
i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、se
c−ブチルシリケート、t−ブチルシリケートなどの4
官能シラン化合物も添加することが可能である。また、
各種エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂なども好
適である。さらには、硬化促進や低温硬化などを可能と
する目的で各種の硬化剤を併用してもよい。硬化剤とし
ては各種エポキシ樹脂硬化剤、あるいは各種有機ケイ素
樹脂硬化剤などが使用される。これらの硬化剤の具体例
としては、各種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素
含有有機化合物、各種金属錯化合物、あるいは金属アル
コキシド、さらにはアルカリ金属の有機カルボン酸塩、
炭酸塩などの各種塩、さらには、過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤などが挙げ
られる。これらの硬化剤は2種以上混合して使用するこ
とも可能である。これらの硬化剤の中でも、コーティン
グ組成物の安定性、コーティング後の被膜の着色の有無
などの点から、特に前記のアルミニウムキレート化合物
が有用である。
【0066】これらの酸素透過係数が10[cc(STP)/m
2 ・day ・atm ]以下の樹脂および無機微粒子以外の添
加成分は、ガスバリヤ性、耐熱性、耐候性、接着性ある
いは耐薬品性など本発明が適応される用途に応じて種々
の実用特性を改良し得るものである。
【0067】また、かかる硬化被膜を形成するための組
成物の調整においては、例えば各成分を単に混合する方
法あるいは成分によってはあらかじめ加水分解などの処
理を施したものを用いてさらに他の成分を混合する方法
などが挙げられ、これらはいずれも本発明の組成物製造
には有用な方法である。
【0068】かかる硬化被膜のコーティング組成物の透
明樹脂成形体上への形成手段は、前記染料受容層形成手
段と同様である。
【0069】酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day
・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分としてなる硬
化被膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、ガス
バリヤ性付与、接着強度の保持、硬度、金属酸化膜およ
び/または金属窒化膜の耐久性、透明導電膜の耐久性な
どの観点から0.1〜10μmの間で好ましく用いられ
る。特に好ましくは0.3〜2μmである。
【0070】また、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2
・day ・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分として
なる硬化被膜を付与した場合のカラーフィルターのガス
バリヤ性は、50[cc/m2 ・day ・atm ]以下が好まし
く、より好ましく10[cc/m2 ・day ・atm ]以下であ
り、1[cc/m2 ・day ・atm ]以下がさらに好ましい。
【0071】なお、かかる硬化被膜は、そのガスバリヤ
性、導電性、耐久性、耐熱性、耐擦傷性および耐薬品性
をさらに向上させる目的から、同一組成比、あるいは異
種組成比からなる組成物を2層以上設けてなる多層膜と
して形成させても何ら問題はない。
【0072】本発明における染料受容層の少なくとも片
面上には、ガスバリヤ性、低水蒸気透過性を向上させる
ため、金属酸化物および/または金属窒化物および/ま
たは透明導電膜を設けることもできる。透明導電膜とし
ては、インジウム・錫酸化物(ITO)、酸化錫、酸化
カドミウムなどの金属酸化物、金、銀、銅、パラジウ
ム、ニッケル、アルミニウム、クロムなどの金属、導電
性高分子などの導電性薄膜が用いられる。中でも透明
性、低抵抗などの諸特性を考慮した場合、ITOが好ま
しく用いられる。ITO膜などの金属酸化物薄膜、金属
薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、スパッタリング法、コーティング法、スプレ
イ法などの公知の手法を用いることができる。また、ス
パッタリング法としては、直流方式、高周波方式、マグ
ネトロン方式などの公知の方法が用いられる〔スパッタ
リング現象(金原粲著、東京大学出版会発行、1984
年刊行)参照〕。成膜時の基板温度は、透明性、低抵抗
化、接着性、耐熱性、耐薬品性を考慮し、透明樹脂、硬
化被膜の種類などによって適宜選択される。また、IT
Oの組成比は透明導電膜として要求される、表面抵抗
値、比抵抗、透明性等によって決定されることが好まし
いが、低抵抗化、透明性の観点から、SnO2 の含有量
を25重量%以下とすることが好ましく、さらに、より
低抵抗値にするためには、ITOターゲットをITOの
真密度に近づけた高密度ITOターゲットの使用が好適
である。透明導電膜の膜厚は、特に限定されないが、導
電性、成膜時間および機械的特性を考慮して、150〜
5000オングストロームの範囲から適宜選択されるこ
とが好ましい。
【0073】金属酸化物膜、金属窒化物膜を成膜する方
法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プ
ラズマCVD法、高周波放電方式、直流方式、マグネト
ロン方式などのスパッタリング法などの手法を用いるこ
とができるが、高ガスバリヤ性を付与するためには、ス
パッタリング法が好ましく使用され、その中でも高周波
放電方式スパッタリング法がより好ましく使用される。
高周波放電スパッタリング法により成膜された金属酸化
物膜は、誘電体、または絶縁体である金属酸化物をスパ
ッタリングゲートとして用い、不活性ガス雰囲気下およ
び/または活性ガス雰囲気下で成膜される。また、スパ
ッタリング用ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、
Xe、Rn等の不活性ガスが好ましく用いられるが、コ
スト、入手の容易性、スパッタリング率の観点から、A
rが特に好ましく使用される。また、活性化ガスとして
は、O2 、N2 、CO、CO2 等が用いられるが、金属
酸化物膜成膜に際しては、スパッタリング中の酸素欠損
を補う目的で、O2 が好ましく用いられる。O2 濃度
(不活性ガスに対する分圧)としては、無機微粒子を含
む硬化被膜の種類、基板温度、ターゲット材料、スパッ
タリングレイト、投入電力によって適宜選択されるが、
0.1〜10%が一般的である。本発明においては、染
色層のプラズマダメージの軽減の観点から5%以下が好
ましく、より好ましくは1%以下である。また、ガスバ
リヤ性、高透明性、接着性、耐熱性、耐薬品性の観点か
ら成膜時の基板温度は、透明樹脂、硬化被膜の種類など
によって適宜選択される。金属酸化物膜および/または
金属窒化物膜の材料としては、例えば、Si、Zr、T
i、Y、Yb、Mg、Ta、Ce、Hf、などからなる
金属、SiO2 、ZrO2 、TiO2 、Y2 3 、Yb
2 3 、MgO、Ta2 5 、CeO2 、HfO2 など
からなる金属酸化物膜、Si3 4 などの金属窒化物か
ら選ばれた1種、あるいは2種以上の混合物が挙げられ
るが、コスト、透明性、ガスバリア性、金属酸化物膜上
に設けられる透明導電膜の耐久性の観点から、Si、A
l、Tiから選ばれた1種、あるいは2種以上の混合物
の金属の酸化物あるいはSi3 4 などの金属窒化物が
好適である。金属酸化物膜および/または金属窒化物膜
のガスバリヤ性は、100[cc/m2 ・day ・atm ]以下
が好ましく用いられる。より好ましく0.01〜50
[cc/m2 ・day ・atm ]である。金属酸化物膜および/
または金属窒化物膜の膜厚は、特に限定されないが、成
膜時間、ガスバリヤ性付与、透明導電膜の耐久性の観点
から、好ましくは50〜2000オングストローム、よ
り好ましくは100〜1200オングストロームであ
る。
【0074】本発明のカラーフィルターにおいてはその
染色度向上のために、染料受容層は、成形体の両面に設
けられ、少なくとも各面の一部分が染められていること
が必要である。特に、分光特性の同じ染料が表と裏で重
なる方が色の鮮明さの点から好ましい。また、両面を染
色することによって、成形体の厚みのため、表面の色と
裏面の色が重なり、見る角度によっては、鮮明な画像が
得られない場合は、各色の境界に、ブラックマトッリッ
クスを設けることもでき、また、一方のパターンを小さ
めに転写し、液晶ディスプレイの視野角内では、異る色
の重なりを防ぐこともできる。
【0075】また、染料を用いることによって、顔料分
散型カラーフィルターで問題となる消偏作用をなくすこ
とができ、表示特性を向上することができる。しかし、
染色が片面のみの場合、染色濃度に限界があるためカラ
ー表示品位が、顔料分散型に比べ劣るため、両面を染め
る必要がある。
【0076】本発明のカラーフィルターは分光特性の異
なる複数の染料で染料受容層を染め分け色パターンを与
えることで形成される。染色方式は、湿式転写、昇華転
写、溶融転写等、特に限定されない。また、顔料を用い
て、染料受容層を染めても、光学特性が確保できればな
んらさしつかえない。さらに、染色方式につて詳細に説
明すると、(1)フォトリソグラフィー技術による染色
浴を用いる方法、または、(2)熱昇華性染料を用いた
色パターン転写方法などが挙げられる。
【0077】(1)法では、次の工程を経て色パターン
を形成することができる。染料受容層上にフォトレジス
トパターンを形成し、所定の分光特性を有する染料を
水、アルコールまたは有機溶剤などの溶媒中に溶解また
は均一に分散させ染料浴を形成し、染料受容層を染料浴
中で該染料と接触させこれを発色し、色パターンを形成
し、レジストパターンを、染料受容層表面から剥離す
る。この操作を反対面にも行う。
【0078】なお、レジスト層を構成するために使用す
るレジストの種類は特に制限されない。また、レジスト
の塗布方法は、特に限定されず、通常、乾燥後の膜厚が
0.5〜2μmになるように塗布する。また、レジスト
層のパターニングはパターンマスクを介して紫外線など
の放射線を照射し、続いて現像し、必要に応じてリンス
処理を行い、乾燥することにより行われる。また、
(1)法で用いられる染料は、特に限定されないが、酸
性染料、反応性染料、分散染料などが好ましく用いられ
る。
【0079】また、(2)法では、次の工程を経て色パ
ターンが形成することができる。まず、ニトロ系、アゾ
系、キノフタロン系、アントラキノン系等の熱昇華性染
料(分散染料)、カチオン染料、反応性染料、酸性染料
等の色料、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、セルロースアセテートプロピオネ−ト、水溶性ア
クリル樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ア
ルギン酸ナトリウム、加工澱粉、ロジン変性フェノー
ル、石油樹脂、重合アマニ油等の樹脂または油脂、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢
酸エチル、セロソルブ、キシレン、ミネラルターペン、
オクタノール、ブチルセロソルブ、アセトン、テトラヒ
ドロフラン、水、脂肪族炭化水素溶剤等の溶剤から、印
刷方式により適宜組み合わせて選択し、均一に分散させ
グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、
オフセットインキ(平版インキ)等とする。得られたイ
ンキを用い、紙、金属板、フィルム、樹脂板などのイン
キ受容体の表面に色パターンを印刷する。色パターンが
印刷されたインキ受容体を、染料受容層に密着させ、1
50〜250℃に加熱し、色パターンを染料受容層に転
写させる。あるいは各色単色のインキ受容体を作成し、
レーザー、サーマルヘッド、加熱ローラー等で所定のパ
ターンに加熱し染料を転写させる。これらを、両面に行
なう。あるいは、昇華染料を含むコーティング組成物を
調合し、染料受容層を設けた基板上にディップコート、
ロールコート等で、熱昇華性染料を含む硬化被膜を染料
受容層上に設ける。これを、レーザー、サーマルヘッ
ド、加熱ローラー等で両面から所定のパターンに加熱
し、両面同時に染料を転写する。(2)法で用いられる
熱昇華性染料、インキの調整方法や、印刷手法は特に限
定されないが、コスト的には、両面同時に染色法が好ま
しい。また、転写される染料は、染料受容層を越え、透
明樹脂成形体、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・da
y ・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分としてなる
硬化被膜に及んでも特に問題はない。
【0080】また、これらのインク中には、インク性能
の向上、調整を目的に流動性調整剤、乾燥性調整剤、色
調、濃度調整剤、光沢、耐久性調整剤、硬化促進剤等の
補助剤を添加することもできる。
【0081】本発明によって得られた染料受容層は、被
膜形成時に生じる架橋時の収縮が無機微粒子を含有する
分だけ緩和されるため、例えば、STN方式液晶ディス
プレイ用カラーフィルターに必要な±0.1μm以内の
表面の平滑性は十分保持される。また、無機微粒子を含
有する染料受容層中で染料は無機微粒子間に挟持されて
存在しているため、染料の溶出は起こりにくく、かつ、
染料の堅ろう度は向上する。さらに、酸素透過係数が1
0[cc(STP)/m2 ・day ・atm ]以下の樹脂と無機微粒
子を主成分としてなる硬化被膜、金属酸化物および/ま
たは金属窒化物膜を含むカラーフィルターにおいては、
染料受容層はこれらのガスバリヤ性に優れた被膜層に挟
まれ、酸素や水分の影響を受けにくく、染料の耐候性は
向上する。これらの理由により、染料受容層に対する保
護層は特に必要としない。
【0082】本発明によって得られるプラスチックカラ
ーフィルターは、色分解性、耐熱性、耐候性、ガスバリ
ヤ性、耐衝撃性、グレージング性、耐薬品性などに優れ
ることから、カラー液晶表示素子、カラー固体撮像素子
などにおいて好ましく用いられ、特に、軽量で薄く、ガ
ラスに比べ耐衝撃性も優れることから、携帯用情報機器
用カラー液晶ディスプレイや、反射型カラー液晶ディス
プレイに好適である。また、本発明の、ITOなどの透
明導電膜を有するプラスチックカラーフィルターは、そ
の透明導電膜の導電性が高温においても維持されること
から、特に、液晶ディスプレイ用途の基板兼カラーフィ
ルターとして好ましく使用される。この耐熱性透明導電
膜基板兼カラーフィルターはTN(Twisted Nematic)
型、STN(Super Twisted Nematic)型、強誘電液晶
(FLC:Ferroelectric Liquid Cristal)型などの単
純マトリックス型、MIM(Metal-Insulator-Metal)
型、TFT(Thin-Film Transistor)型などのアクティ
ブマトリックス型などの液晶ディスプレイに適用可能で
あるが、製造プロセスが比較的単純であることから単純
マトリックス型液晶ディスプレイに好ましく用いられ
る。
【0083】また、染料受容層を染料で染めずに透明導
電膜を設けて使用した場合、耐熱性透明導電膜基板とし
て利用でき、この耐熱性透明導電膜基板と耐熱性透明導
電膜基板兼カラーフィルターよって液晶を挟んだ構成に
おいて、液晶層を挟持した基板は、高度なガスバリヤ性
を有し、液晶層はこれら複数の高ガスバリヤ性層に挟持
された構造となる。よって、基板自身の通気性、透湿性
が大幅に低減するとともに、染料受容層および液晶層へ
の通気性、透湿性が大幅に軽減され、酸素の透過による
染料および液晶物質の劣化、水分の透過による表示装置
消費電力の増加等の問題が解決され、カラーフィルター
層および液晶ディスプレイ全体の寿命と信頼性が大きく
改善される。
【0084】本発明のカラーフィルターを用いた液晶デ
ィスプレイの製造方法としては、公知の方法を適用する
ことができる。例えば、単純マトリックス型液晶ディス
プレイの場合〔液晶デバイスハンドブック(日本学術振
興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、1989
年刊行)p.531参照〕、カラーフィルター付き基板
を洗浄後、透明導電膜成膜、透明導電膜微細加工(レジ
スト塗布、現像、エッチング、レジスト洗浄除去)、配
向膜形成、ラビング処理、洗浄、シール剤印刷、基板張
合せ、加熱・加圧、真空脱気、液晶注入、注入口封止、
液晶セル分断、偏向板・光反射板等の張付けなどの工程
を順次経ることによって液晶ディスプレイ素子が得られ
る。これらの液晶ディスプレイ製造工程においては、該
カラーフィルターを使用した液晶ディスプレイ用基板の
耐熱性、機械的特性、機械的特性などの諸特性を考慮し
て製造条件が設定されるべきである。
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとにさらに具体的
に説明する。
【0086】本発明中で用いられる全光線透過率、色度
は、スガ試験機(株)製、SMコンピューターを用いて
測定した。色度の測定は、各色について、1cm以上の
幅の測定用パターンを基板の端に設けその部分で行な
い、XYZ表色系(JIS Z8701)で表した。曲
げ試験は、JIS K−7203に基づいて行なった。
耐溶剤性は、アセトンを含浸させたガーゼで表面をラビ
ングし、その時の光沢変化を目視により評価した。ガラ
ス転移温度は、Mettler社製 DSC30を用い
て測定し、JIS規格K−7121に従ってデータ処理
し、2nd runのTmgを用いた。耐擦傷性は、#
0000のスチールウールで表面を擦り、傷つき具合か
ら判定した。接着性、は被膜表面に1mmの基材に達す
るゴバン目を被膜の上から鋼ナイフで100個いれて、
セロハン粘着テープ(商品名“セロテープ”、ニチバン
株式会社製)を強くはりつけ、90度方向に急速にはが
し、塗膜剥離の有無を調べた。被膜厚および表面粗さ
は、小坂研究所(株)製 表面粗さ測定器 SE−33
00で測定した。ガスバリヤ性は、MOCON 社製 OX−
TRAN 2/20 MHを用いて、等圧式クーロメト
リック法により酸素透過率を測定した。表面抵抗は、Lo
resta MCP-TESTER-FP (三菱油化(株)製)を使用し、
室温で測定した。透明導電膜耐熱性、150℃に設定し
たオーブン中に2時間加熱した後に室温まで冷却し、透
明導電膜を製膜した後のカラーフィルターの外観を目視
で観察した。透明導電膜耐薬品性は、40℃3%苛性ソ
ーダ水溶液中に5分間、透明導電膜を製膜した後のカラ
ーフィルターを浸漬し、その後流水で5分間洗浄を行
い、精製水で置換した後にガーゼで水切りを行って外観
を目視で観察した。
【0087】実施例1 (1)透明樹脂の調製 N−イソプロピルマレイミド 40g N−シクロヘキシルマレイミド 21g スチレン 23g α−メチルスチレン 9g ジビニルベンゼン 7g アゾビスイソブチロニトリル 0.05g を混合,溶解させ、キャスト重合により、注型成形し
た。キャスト重合は、次のように行った。
【0088】大きさ150mm×150mm、厚さ5mmの2
枚のガラス板の外周辺部を、軟質塩化ビニル製ガスケッ
トで貼り、2枚のガラス板の距離が0.5mmになるよう
に組立てた。この組立てたガラス板の中へ、前記の単量
体混合物を12g注入し、70℃で8時間、100℃で
1時間、さらに150℃で1時間重合させ、架橋構造か
らなる透明な成形板(以下、成形板(I)とする)を得
た。
【0089】この成形板(I)のガラス転移温度は20
0℃であり、全光線透過率は90%であった。また、室
温における曲げ弾性率は398kg/mm2 、曲げ強さ
9kg/mm2 を示し、耐溶剤性も良好なものであっ
た。
【0090】(2)染料受容層の形成 回転子を備えた反応器中にフェニルトリメトキシシラン
95.3gを仕込み、液温を10℃に保ち、マグネチッ
クススターラーで撹拌しながら0.01規定の塩酸水溶
液26gを徐々に滴下する。滴下終了後冷却をやめて、
フェニルトリメトキシシランの加水分解物を得た。
【0091】得られた加水分解物17.3gにメタノー
ル216g、ジメチルホルムアミド216g、シリコン
系界面活性剤0.5g、ビスフェノール−A型エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート82
7)167.5gを添加混合し、さらにコロイド状シリ
カゾル(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−1
235、平均粒子径40nm)540g、アルミニウム
アセチルアセトネート13.5gを添加し、充分撹拌し
た後、コーティング組成物(A)とした。
【0092】前記(1)によって得られた成形板(I)
に、コーティング組成物(A)を引上げ速度20cm/
分の条件で浸漬塗布し、ついで90℃/10分の予備硬
化を行い、さらに110℃/4時間加熱して、成形板
(I)上に透明な硬化被膜を設け、染料受容層とした。
以下、得られた染料受容層含む成形板を成形板(II) と
する。この染料受容層と成形板(I)の接着性は良好で
あり、耐擦傷も良好であった。
【0093】(3)染料受容層の染色 前記(2)によって得られた成形板(II)に、ポジ型レ
ジスト「PFR−3003」(日本合成ゴム(株)製)
を回転数3000rpmでスピンコートした後、80
℃、10分間乾燥処理し、成形板(II)上にフォトレジ
スト層を設けた。その後、所定のパターンを有するフォ
トマスクを介して紫外線を照射し、現像液「PD52
4」(日本合成ゴム(株)製)を用いて現像処理するこ
とによってレジストパターン層を得た。このレジストパ
ターン層付き成形板(II)を、赤色の分散染料ミケトン
・PS・レッド4BF1gと純水500gよりなる染色
浴に80℃で5分間浸漬し、染料受容層である硬化被膜
の染色を行った。その後、レジストパターン層全体に紫
外線を照射し、上記の現像液によってフォトレジスト層
を除去し、水洗乾燥の後、染料受容層に第一の色パター
ン(赤)を形成した。この操作を逆の面にもパターンが
重なるように行った。
【0094】次に、上記と同様の手順によって、レジス
トパターン層の形成−染色−レジストパターン層の除去
の操作を繰り返して行い、第二(緑)、第三(青)の色
パターンを形成し、カラーフィルター層を形成した。こ
の、カラーフィルター層形成後の成形板を成形板(III)
とし、各色の特性値を表1に示す。
【0095】(4)透明導電膜の製膜 前記(3)によって得られた成形板(III)の一方の表面
に、ITOを主成分とする透明導電膜を直流マグネトロ
ンスパッタリング法により、以下の条件で約1000オ
ングストローム製膜した。
【0096】スパッタリング条件 ターゲット材料 : ITO(SnO2 10wt
%) スパッタ導入ガス : ArおよびO2 スパッタ製膜真空度 : 2.0 ×10-3 Torr 投入電力 : 1.5 kw 基板温度 : 120 ℃ スパッタリングレイト : 100 オングストローム/分 このITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、
22オーム/□であった。このITO膜を設けた透明板
を180℃にて1時間加熱した後に室温まで冷却し、再
び表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ22オーム
/□であり、外観に何ら変化がなく、優れた耐熱性を有
することを確認した。また、耐薬品性も外観に異常なく
良好であった。
【0097】実施例2 実施例1において、(3)の操作を下のように代えて行
った。
【0098】(3)染料受容層の染色 赤色の昇華性染料であるカヤセット・レッドB(日本化
薬株式会社製)、10gに対し、ロジン変性フェノール
10gおよび舶純亜麻No7(東新油脂株式会社製)に
10g、300号ソルベント10g、バ−サミド125
(ヘンケル白水株式会社)を加え三本ロールで混練した
ものを赤色インクとして調整した。同様にカヤセット・
ブルーFR(日本化薬株式会社製)、カヤセット・ブル
ーFR/カヤセット・イエローA−G(1:1)混合物
(日本化薬株式会社製)それぞれ用いて、青色インクお
よび緑色インクを調整した。得られた3種類のインクを
用いて、オフセット印刷法により赤色、緑色、青色のパ
ターンを、上質紙にモザイク状に印刷し、染料供給物と
した。このパターンが印刷された上質紙を、成形板(I
I)の染料受容層となる無機微粒子を含む硬化被膜の表
面に10Kg/cmの圧力下で押し付け、200℃・
3分間の条件で成形板(II)の染料受容層にモザイク状
の赤色、緑色、青色のパターンを転写印刷し、カラーフ
ィルター層を形成した。この操作をパターンが重なるよ
うに逆の面にも行なった。この、カラーフィルター層形
成後の成形板を成形板(IV)とし、各色の特性値を表1
に示した。
【0099】実施例2によって得られたカラーフィルタ
ーのITO膜を形成した面の室温における表面抵抗は、
22オーム/□であった。このITO膜を設けた透明板
を180℃にて1時間加熱した後に室温まで冷却し、再
び表面抵抗を測定したところ初期の値と同じ22オーム
/□であり、外観に何ら変化がなく、優れた耐熱性を有
することを確認した。
【0100】実施例3 実施例1において、(2)以降の操作を下のように代え
て行った。
【0101】(2)酸素透過率10[cc(STP)/m2 ・da
y ・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分としてなる
硬化被膜の形成 (a)コーティング組成物(B)の調製 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン95.3gを仕込み、液温を10℃に
保ち、マグネチックススターラーで撹拌しながら0.0
1規定の塩酸水溶液26gを徐々に滴下する。滴下終了
後冷却をやめて、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの加水分解物を得た。
【0102】得られたγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン加水分解物5gと、ポリビニルアルコール
(平均重合度600、ケン化度91.0〜94.0モル%)の5
0重量%の水溶液90g をビーカーに秤量した後、攪拌
下で水260g 、1,4ジオキサン50g、シリコン系
界面活性剤0.5g、アルミニウムアセチルアセトナー
ト5gをそれぞれ添加し、さらにコロイド状シリカゾル
(触媒化成工業(株)製、商品名OSCAL−113
2、平均粒子径13nm)166.7g添加し、十分撹
拌混合してコーティング組成物(B)とした。
【0103】(b)塗布およびキュア 前記(1)によって得られた成形板(I)をカセイソー
ダ水溶液を用いて浸漬処理した後、コーティング組成物
(B)を用い、引上げ速度10cm/分の条件で浸漬塗
布し、ついで90℃/5分の予備硬化を行い、さらに1
40℃/2時間加熱して、成形板(I)上に硬化被膜を
設けた。得られた酸素透過率10[cc(STP)/m2 ・day
・atm ]以下の樹脂と無機微粒子を主成分としてなる硬
化被膜を有する成形板を、以下成形板(V)とする。こ
の硬化被膜と成形板(I)の接着性は良好であった。
【0104】(3)染料受容層の形成 実施例1と同様に染料受容層を成形板(V)上に形成
し、染料受容層を形成した成形板を成形板(VI)とし
た。
【0105】(4)染料受容層の染色 カヤセット・レッドB(日本化薬株式会社製)25g、
カヤセット・フラビンFG25g(日本化薬株式会社
製)、エチルセルロース50g、テトラヒドロフラン8
00g、イソプロピルアルコール100gを混合したも
のを赤色塗料として調整した。
【0106】この赤色塗料に、前記(3)によって得ら
れた成形板(VI)を浸漬し、引上げ速度20cm/分の
条件で浸漬塗布し、ついで60℃/10分の条件で加熱
し、成形板(VI)上に赤色染料供給層を設けた。ついで
200℃に加熱された0.08mmおきに深さ0.1m
m幅0.16mmの溝がある加熱ローラー間を1秒/c
mの速度で赤色染料供給層つき成形板(VI)を通し、ア
セトンで洗浄し、両面の染料受容層に赤色パターンを形
成した。
【0107】ついで、カヤセット・ブルーA−2R(日
本化薬株式会社製)50g、エチルセルロース50g、
テトラヒドロフラン800g、イソプロピルアルコール
100gを混合した青色塗料を調整し、赤色パターンを
形成した成形板上に上記同様に浸漬塗布し青色染料供給
層を設けた。ついで、赤色パターンに重ならないように
位置決めし、赤色同様上記加熱ローラー間を通し、転
写、洗浄し、両面の染料受容層に青色パターンを形成し
た。
【0108】ついで、カヤセット・ブルーFR(日本化
薬株式会社製)10g、カヤセット・フラビンFG40
g(日本化薬株式会社)エチルセルロース50g、テト
ラヒドロフラン800g、イソプロピルアルコール10
0gを混合したものを緑色塗料として調整し、赤色およ
び青色パターンを形成した成形板上に上記同様に浸漬塗
布し緑色染料供給層を設けた。ついで、赤色および青色
パターンに重ならないように位置決めし、赤色同様上記
加熱ローラー間を通し、転写、洗浄し、両面の染料受容
層に緑色パターンを形成した。この、カラーフィルター
層形成後の成形板を成形板(VII)とし、各色の特性値を
表1に示す。
【0109】(5)金属酸化物膜の製膜 前記(4)によって得られた成形板(VII)の一方の表面
に、金属酸化物のSiO2 を高周波放電スパッタリング
法により以下の条件で約200オングストローム製膜し
た。
【0110】スパッタリング条件 ターゲット材料 : SiO2 スパッタ導入ガス : Ar スパッタ製膜真空度 : 3.5 ×10-3 Torr 投入電力 : 1.5 kw 基板温度 : 120 ℃ スパッタリングレイト : 50オングストローム/分 得られたプラスチック光学部品を成形板(VIII) とす
る。
【0111】(6)透明導電膜の製膜 前記(5)によって得られた成形板(VIII) のSiO2
膜の表面に、ITOを主成分とする透明導電膜を直流マ
グネトロンスパッタリング法により、以下の条件で約2
000オングストローム製膜した。
【0112】スパッタリング条件 ターゲット材料 : ITO(SnO2 10wt
%) スパッタ導入ガス : ArおよびO2 スパッタ製膜真空度 : 2.0 ×10-3 Torr 投入電力 : 1.5 kw 基板温度 : 120 ℃ スパッタリングレイト : 100 オングストローム/分 得られたカラーフィルターのITO膜を形成した面の室
温における表面抵抗は、22オーム/□であった。この
ITO膜を設けた透明板を180℃にて1時間加熱した
後に室温まで冷却し、再び表面抵抗を測定したところ初
期の値と同じ22オーム/□であり、外観に何ら変化が
なく、優れた耐熱性を有することを確認した。また、耐
薬品性も良好であった。また、ガスバリア性も0.08
[cc(STP)/m2 ・day ・atm ]であり、カラーフィルタ
ーとして良好な値を示した。
【0113】得られたカラーフィルターを用い単純マト
リックス型液晶ディスプレイの製造方法の公知の方法の
一つである「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振
興会第142委員会編、日刊工業新聞社発行、1989
年刊行)p.531記載の方法に従い、透明導電膜微細
加工(レジスト塗布、現像、エッチング、レジスト洗浄
除去)、配向膜形成、ラビング処理、洗浄、シール剤印
刷、基板張合せ、加熱・加圧、真空脱気、液晶注入、注
入口封止、液晶セル分断、偏向板・光反射板等の張付け
などの工程を順次経て単純マトリックス型液晶ディスプ
レイを製作したところ、染料受容層への染料の固着が十
分な赤色、緑色、青色のパターンを有するカラー液晶デ
ィスプレイが得られた。
【0114】実施例4 実施例1の(2)中のビスフェノール−A型エポキシ樹
脂(油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート82
7)を同社“エピコート834”に変更した以外は、実
施例3と同様に行なった。各色の特性値を表1に示す。
【0115】得られたカラーフィルターのITO膜を形
成した面の室温における表面抵抗は、25オーム/□で
あった。このITO膜を設けた透明板を180℃にて1
時間加熱した後に室温まで冷却し、再び表面抵抗を測定
したところ初期の値と同じ25オーム/□であり、外観
に何ら変化がなく、優れた耐熱性を有することを確認し
た。また、耐薬品性も良好であった。また、ガスバリア
性も0.08[cc(STP)/m2 ・day ・atm ]であり、カ
ラーフィルターとして良好な値を示した。
【0116】比較例1 実施例1の(3)において、カラーフィルター層の形成
を片面だけにとどめた以外は同様に行った。各色の特性
値を表1に示す。
【0117】比較例2 実施例2の(3)において、カラーフィルター層の形成
を片面だけにとどめた以外は同様に行った。各色の特性
値を表1に示す。
【0118】比較例3 実施例3の(4)において、加熱ローラーの片方を加熱
しなかった以外は実施例3同様に行なった。各色の特性
値を表1に示す。製作した単純マトリックス型液晶ディ
スプレイは、染料受容層への染料の固着が十分な赤色、
緑色、青色のパターンを有するカラー液晶ディスプレイ
が得られたが、鮮やかに欠けていた。
【0119】
【発明の効果】本発明により、色分解性、耐久性、耐熱
性、導電性、ガスバリヤ性、耐擦傷性、および耐薬品性
に優れ、かつ軽量、薄型で耐衝撃性に優れ、見掛け上の
染色度が高いカラーフィルターが得られ、カラー液晶表
示素子、カラー固体撮像素子などにおいて色分解用途の
カラーフィルターに好適に用いられる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両面に染料受容層を有する成形体からなる
    カラーフィルターにおいて、該両面の染料受容層それぞ
    れの少なくとも一部分が、染料によって染められている
    ことを特徴とするカラーフィルター。
  2. 【請求項2】請求項1において、該染料受容層と該成形
    体との間に、酸素透過係数が10[cc(STP)/m2 ・day
    ・atm ]以下の樹脂と、無機微粒子とを主成分としてな
    る硬化被膜が設けられてなることを特徴とするカラーフ
    ィルター。
  3. 【請求項3】該染料受容層上に金属酸化物膜、金属窒化
    物膜および透明導電膜から選ばれる少なくとも1つを積
    層することを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    カラーフィルター。
  4. 【請求項4】該成形体の厚みが0.7mm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカ
    ラーフィルター。
  5. 【請求項5】該染料受容層の表面の平滑性が、100オ
    ングストローム以下であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
  6. 【請求項6】該染料受容層がエポキシ樹脂80〜20重
    量%、無機微粒子20〜80重量%、有機ケイ素化合物
    0〜60重量%、アルミニウムキレート化合物0〜10
    重量%を含有する硬化被膜であることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
  7. 【請求項7】請求項2において、酸素透過係数が10
    [cc(STP)/m2 ・day ・atm ]以下の樹脂が、ヒドロキ
    シ基含有ポリマであって、かつ、有機ケイ素化合物およ
    びアルミニウムキレート化合物を含有することを特徴と
    するカラーフィルター。
  8. 【請求項8】請求項2、6または7のいずれか1項に記
    載の該無機微粒子が、平均粒子径1〜300nmの、シ
    リカ、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニ
    アおよび酸化タングステンから選ばれる少なくとも一種
    の微粒子であることを特徴とするカラーフィルター。
  9. 【請求項9】請求項6または7記載の該有機ケイ素化合
    物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを
    特徴とするカラーフィルター。 一般式(1) R1 a 2 b SiX4-a-b (ここで、R1 は炭素数1〜10の有機基であり、R2
    は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
    基、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1
    である。)
  10. 【請求項10】請求項6または請求項7記載の該アルミ
    ニウムキレート化合物が下記一般式(2)で表される化
    合物であることを特徴とするカラーフィルター。 一般式(2) AlXn 3-n (ここで、式中のXはOL(Lは低級アルキル基を示
    す)、Yは、一般式(3)M1 COCH2 COM2 (M
    1 、M2 はいずれも低級アルキル基)および一般式
    (4)M3 COCH2 COOM4 (M3 、M4 はいずれ
    も低級アルキル基))で示される化合物に由来する配位
    子から選ばれる少なくとも一つであり、nは0、1また
    は2である。)
  11. 【請求項11】該成形体が、160℃以上のガラス転移
    温度を有するプラスチックであることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター。
  12. 【請求項12】該成形体が、架橋樹脂からなることを特
    徴とする請求項〜3のいずれか1項に記載のカラーフィ
    ルター。
  13. 【請求項13】該成形体が、マレイミド系単量体を20
    〜98重量%共重合してなる樹脂からなることを特徴と
    する請求項1記載のカラーフィルター。
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