JPH07196799A - ポリアリーレンスルフィド重合体の製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド重合体の製造法

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JPH07196799A
JPH07196799A JP5353533A JP35353393A JPH07196799A JP H07196799 A JPH07196799 A JP H07196799A JP 5353533 A JP5353533 A JP 5353533A JP 35353393 A JP35353393 A JP 35353393A JP H07196799 A JPH07196799 A JP H07196799A
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dcb
mol
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sulfide
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JP5353533A
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Inventor
Seiichi Ota
誠一 太田
Osamu Komiyama
治 小味山
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐熱性と機械的強度に加えて、結晶化温
度が低く、結晶化速度が小さいという特性を兼ね備えた
高分子量のポリアリーレンスルフィドを経済的かつ簡便
に製造する方法を提供する。 【構成】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物と
ジハロ芳香族化合物を反応させてポリアリーレンスルフ
ィドを製造する方法において、パラジハロ芳香族化合
物、及び該パラジハロ芳香族化合物に対して0.1〜2
0モル%のメタジハロ芳香族化合物を反応系に同時的に
添加し、かつ反応中、反応缶の気相部分を冷却すること
により反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に
還流せしめることを特徴とするポリアリーレンスルフィ
ド重合体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド(以下、PASと略すことがある)重合体の製造法
に関し、更に詳しくはパラアリーレンスルフィド単位と
メタアリーレンスルフィド単位を持つポリアリーレンス
ルフィドランダム共重合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のパラフェニレンスルフィドホモポ
リマーは結晶性ポリマーであり、高い耐熱性と機械的強
度を有する。しかし、高結晶化温度、高結晶化速度とい
う欠点も同時に有している。上記欠点は、例えばフィル
ム又は繊維製造時に問題となる。結晶化温度が高いと、
溶融処理及び押出し成形後の熱処理による配向化に悪影
響を与える。結晶化速度が大きいと、フィルム状に押出
し成形した際、押出し直後に結晶化が起り、安定した特
性のフィルムが得られ難い。以上の点から、PASは結
晶化温度が低く、結晶化速度が小さいという特性を兼ね
備えることが望ましい。
【0003】上記の特性を得るために、パラフェニレン
スルフィドとメタフェニレンスルフィドの共重合体が開
発された。
【0004】特開昭50‐83500号公報には、m‐
ジハロベンゼン、p‐ジハロベンゼン及びアルカリ金属
スルフィドの反応において、該m‐ジハロベンゼンをジ
ハロベンゼンの全モル数の35〜90モル%の量で使用
してPPSを製造する方法が開示されている。しかし、
製造されたPPSは、高分子量でなく、融点が低く、非
結晶性であり、かつ耐熱性も低く実用性に問題があっ
た。
【0005】特開平2‐103232号公報には、パラ
ジハロゲン化芳香族化合物、アルカリ金属硫化物、触媒
例えばアルカリ金属カルボン酸塩、及び所定量のメタジ
ハロベンゼンを反応させることによりPASを製造する
方法が開示されている。アルカリ金属カルボン酸塩等の
触媒のためにPASの製造コストが増大して、工業化を
図るためには大変不利である。また、上記触媒を無公害
に製品から分離、回収処理を行うには、多大な付帯設備
と技術と費用が必要であり、この面からも著しく不利で
ある。
【0006】また、特公平4‐80053号公報には、
パラジハロベンゼン及びアルカリ金属硫化物からパラフ
ェニレンスルフィドポリマーを含む反応液を生成させ、
この反応液にメタジハロベンゼンを添加してPPSブロ
ック共重合体を得る方法、及びメタジハロベンゼン及び
アルカリ金属硫化物からメタフェニレンスルフィドポリ
マーを含む反応液を生成させ、この反応液にパラジハロ
ベンゼンを添加してPPSブロック共重合体を得る方法
が開示されている。しかし、これらの方法はいずれも複
雑な重合工程を経る必要があり、生産効率が悪く経済性
にも劣り現実的でなく、より簡便な方法の開発が望まれ
ていた。
【0007】特開平1‐126334号公報には、非プ
ロトン極性有機溶媒の存在下アルカリ金属硫化物にパラ
ジハロ芳香族化合物とメタジハロ芳香族化合物を一括同
時に仕込み、メタジハロ芳香族化合物のみが主として反
応する温度範囲において、仕込みメタジハロ芳香族化合
物の50モル%以上を反応させ、その後に更に昇温して
反応を完結させるPPSブロック共重合体の製造方法が
開示されている。しかし、該方法では、先ずメタジハロ
芳香族化合物のみを所定量反応させなければならない。
従って、反応工程が複雑であり経済的でないという欠点
があり、上記同様、より簡便な方法の開発が望まれた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のパラ
アリーレンスルフィドホモポリマーの持つ高い耐熱性と
機械的強度に加えて、結晶化温度が低く、結晶化速度が
小さいという新たな特性を兼ね備えた高分子量PASを
経済的かつ簡便に製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パラジハ
ロ芳香族化合物と所定量のメタジハロ芳香族化合物を反
応系に同時点に添加し、かつ反応中に反応缶の気相部分
を冷却することによって、上記課題の全てを効率的に達
成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、有機アミド系溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させてポ
リアリーレンスルフィドを製造する方法において、パラ
ジハロ芳香族化合物、及び該パラジハロ芳香族化合物に
対して0.1〜20モル%のメタジハロ芳香族化合物を
反応系に同時的に添加し、かつ反応中、反応缶の気相部
分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮さ
せ、これを液相に還流せしめることを特徴とするポリア
リーレンスルフィド重合体の製造法である。
【0011】本発明で添加するパラ及びメタジハロ芳香
族化合物において、メタジハロ芳香族化合物はパラジハ
ロ芳香族化合物に対して0.1〜20モル%、好ましく
は0.5〜10モル%、特に好ましくは1.0〜5.0
モル%である。上記下限未満では、製造されたPASが
高結晶化温度、高結晶化速度及び低流動性となるため好
ましくない。上記上限を超えては、共重合体中のメタア
リーレンスルフィド単位が増加して、製造されたPAS
が高分子量でなく、融点が低く、非結晶性であり、かつ
耐熱性も低く実用性に問題が生じ好ましくない。
【0012】該パラ及びメタジハロ芳香族化合物は、反
応系に同時的に添加することを要し、以下に述べるアル
カリ金属硫化物中の脱水終了後に添加することもでき
る。パラ及びメタジハロ芳香族化合物は混合物として添
加してもよく、また別々に添加してもよい。このように
両者を同時的に添加することにより、p/m‐PASラ
ンダム共重合体を得ることができる。反応系に添加する
パラ及びメタジハロ芳香族化合物の合計量は、アルカリ
金属硫化物1モルに対して、好ましくは0.9〜1.1
モル、特に好ましくは0.98〜1.05モルである。
該範囲内で使用することにより、高分子量のPASを得
ることができる。該添加量が上記下限未満では、高分子
量のPASを得ることができず、上記上限を超えては、
解重合を起すので好ましくない。
【0013】本発明の方法において用いられるパラ及び
メタジハロ芳香族化合物は公知である。例えば、特公昭
45‐3368号公報、特開平2‐103232号公報
又は特公平4‐64618号公報記載のものから選ぶこ
とができる。
【0014】パラジハロ芳香族化合物としては、例えば
p‐ジクロロベンゼン、p‐ジブロモベンゼン、1‐ク
ロロ‐4‐ブロモベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン、
あるいは2,5‐ジクロロトルエン、2,5‐ジクロロ
キシレン、1‐エチル‐2,5‐ジクロロベンゼン、1
‐エチル‐2,5‐ジブロモベンゼン、1‐エチル‐2
‐ブロモ‐5‐クロロベンゼン、1,3,4,6‐テト
ラメチル‐2,5‐ジクロロベンゼン、1‐シクロヘキ
シル‐2,5‐ジクロロベンゼン、1‐フェニル‐2,
5‐ジクロロベンゼン、1‐ベンジル‐2,5‐ジクロ
ロベンゼン、1‐フェニル‐2,5‐ジブロモベンゼ
ン、1‐p‐トルイル‐2,5‐ジクロロベンゼン、1
‐p‐トルイル‐2,5‐ジブロモベンゼン、1‐ヘキ
シル‐2,5‐ジクロロベンゼン等の置換ジハロゲン化
ベンゼン等が挙げられる。上記のうちジハロゲン化ベン
ゼンが好ましく、このうちp‐ジクロロベンゼンが特に
好ましい。また、これらの化合物は、夫々単独で又は混
合物として使用することができる。
【0015】メタジハロ芳香族化合物としては、例えば
m‐ジクロロベンゼン、m‐ジブロモベンゼン、1‐ク
ロロ‐3‐ブロモベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン、
あるいは2,4‐ジクロロトルエン、2,4‐ジクロロ
キシレン、1‐エチル‐2,4‐ジブロモベンゼン、1
‐エチル‐2‐ブロモ‐4‐クロロベンゼン、1,2,
4,6‐テトラメチル‐3,5‐ジクロロベンゼン、1
‐シクロヘキシル‐2,4‐ジクロロベンゼン、1‐フ
ェニル‐2,4‐ジクロロベンゼン、1‐ベンジル‐
2,4‐ジクロロベンゼン、1‐フェニル‐2,4‐ジ
ブロモベンゼン、1‐p‐トルイル‐2,4‐ジクロロ
ベンゼン、1‐p‐トルイル‐2,4‐ジブロモベンゼ
ン、1‐ヘキシル‐2,4‐ジクロロベンゼン等の置換
ジハロゲン化ベンゼン等が挙げられる。上記のうちジハ
ロゲン化ベンゼンが好ましく、このうちm‐ジクロロベ
ンゼンが特に好ましい。これらの化合物は、夫々単独で
又は混合物として使用することができる。
【0016】本発明の反応缶の気相部分を冷却すること
により反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に
還流せしめる方法としては、特開平5‐222196号
公報に記載の方法を使用することができる。
【0017】還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸
気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。
この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率
の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫
化物(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例
えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有さ
れるようになる。従来法においては230℃以上の高温
下で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物
とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが
得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解
重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。し
かし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやるこ
とによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害
するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PA
Sを得ることができるものと思われる。但し、本発明は
上記現象による効果のみにより限定されるものではな
く、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響
によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0018】本発明においては、従来法のように反応の
途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加
することを全く排除するものではない。但し、水を添加
する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われ
る。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反
応の間中一定である。
【0019】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0020】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0021】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モル
とする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくな
り、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成
物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満で
は、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ること
ができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ず
る。
【0022】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0023】こうして得られた高分子量PASは、当業
者にとって公知の後処理法によって副生物から分離され
る。また、熱的安定性を向上させるために、PAS分子
のナトリウム末端数を低下させる目的で重合終了後に酢
酸等を用いて酸処理を施してもよい。
【0024】ここで使用する有機アミド系溶媒は、PA
S重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロ
リドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、
N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプロラク
タム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ま
しい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0025】本発明で用いられるアルカリ金属硫化物も
公知であり、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及び
これらの混合物である。これらの水和物及び水溶液であ
っても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及
び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用
いることができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0026】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメ
タジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モ
ル%以下の濃度で使用することもできる。
【0027】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0028】このようにして得られた、結晶化温度が低
く、結晶化速度の小さいPASは、押出成形、射出成形
又は通常の他の方法により加工してフィルム、成形品又
は繊維にすることができる。特に、フィルム製造に適し
ている。即ち、本発明の方法により製造されたPAS
は、上記のように通常のPASと同等の耐熱性及び強度
等の物性を保持しながら、結晶化温度が低く、結晶化速
度が小さいという新たな特性を有するため、フィルム製
造の際の押出し成形直後、あるいは繊維製造の際の溶融
紡糸中に結晶化することがない。
【0029】また、本発明の方法により製造されたPA
Sでは急激な結晶化が進行しないので、成形収縮等によ
るクラック発生等を抑制することができる。従って、電
子部品の封止材等としても有用である。
【0030】本発明のPASを成形加工する際には、慣
用の添加材、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化チタン等の粉末状充填剤、又は炭素繊
維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ポリアラミド繊維等
の繊維状充填剤を混入することができる。
【0031】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0032】
【実施例】実施例において、溶融粘度V6 は、島津製作
所フローテスターCFT‐500Cを用いて300℃、
荷重20kgf/cm2 、L/D=10で6分間保持し
た後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0033】DSCにより、結晶化温度Tc 及び融点T
m を測定した。装置としては、セイコー電子製示差走査
熱量計SSC/5200を用い、以下のようにして測定
した。試料10mgを窒素気流中、昇温速度20℃/分
で室温から320℃まで昇温した後、320℃で5分間
保持して溶融した。次いで20℃/分の速度で冷却し
た。このときの発熱ピーク温度を結晶化温度Tc とし
た。再び室温から320℃まで10℃/分の速度で昇温
した時の吸熱ピーク温度を融点Tm とした。
【0034】パラジクロロベンゼン(以下ではp‐DC
Bと略すことがある)とメタジクロロベンゼン(以下で
はm‐DCBと略すことがある)全体の反応率は、ガス
クロマトグラフィーによる測定結果から算出した。該反
応率は下記式により求めた。 p‐DCBとm‐DCB全体の反応率(%)={1−
(残存p‐DCBとm‐DCB重量)/(仕込p‐DC
Bとm‐DCB重量)}×100 ナトリウム含量は、樹脂粉末を700℃マッフル炉で燃
焼し、その残渣を塩酸で溶解し、原子吸光分析計(島津
製作所製、AA‐670)で測定して求めた。
【0035】
【実施例1】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.9重量%Na2 S)19.22
2kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNM
Pと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら204℃まで昇温して、水4.438
kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル
当り1.14モル)。その後、オートクレーブを密閉し
て180℃まで冷却し、p‐DCB21.721kg、
m‐DCB0.219kg(p‐DCBに対して1.0
モル%)及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温15
0℃で窒素ガスを用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇
温を開始した。液温220℃で3時間攪拌しつつ、オー
トクレーブ上部の外側に巻き付けたコイルに80℃の冷
媒を流し冷却した。その後昇温して、液温260℃で3
時間攪拌し、次に降温させると共にオートクレーブ上部
の冷却を止めた。オートクレーブ上部を冷却中、液温が
下がらないように一定に保持した。反応中の最高圧力
は、8.91kg/cm2 Gであった。
【0036】得られたスラリーを常法により濾過温水洗
を二回繰り返し、水を約50重量%含む濾過ケークを得
た。次に、この濾過ケークに水60kg及び酢酸100
gを加えて再スラリー化し、50℃で30分間攪拌後、
再度濾過した。この際、上記スラリーのpHは4.6で
あった。ここで得られた濾過ケークに、水60kgを加
え30分間攪拌後、再度濾過する操作を5回繰り返し
た。その後に得られた濾過ケークを120℃で4.5時
間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状の製品を得
た。p‐DCBとm‐DCB全体の反応率は98.3%
であった。
【0037】
【実施例2】p‐DCBを21.243kg、m‐DC
Bを0.658kg(p‐DCBに対して3.1モル
%)とした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0038】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.1%であった。
【0039】
【実施例3】p‐DCBを20.404kg、m‐DC
Bを1.097kg(p‐DCBに対して5.4モル
%)とした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0040】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.1%であった。
【0041】
【実施例4】p‐DCBを19.719kg、m‐DC
Bを2.144kg(p‐DCBに対して10.9モル
%)とした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0042】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.0%であった。
【0043】
【比較例1】p‐DCBを21.940kg使用し、m
‐DCBを使用しなかった以外は、実施例1と同一の条
件で実施した。
【0044】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.3%であった。
【0045】
【比較例2】p‐DCBを21.890kg、m‐DC
Bを0.011kg(p‐DCBに対して0.05モル
%)とした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0046】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.3%であった。
【0047】
【比較例3】p‐DCBを17.082kg、m‐DC
Bを4.818kg(p‐DCBに対して28.2モル
%)とした以外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0048】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は97.8%であった。
【0049】
【比較例4】m‐DCBのオートクレーブへの添加時期
を、液温220℃で3時間攪拌した後とした以外は、実
施例1と同一の条件で実施した。
【0050】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は98.3%であった。
【0051】
【比較例5】オートクレーブ上部の冷却をしなかった以
外は、実施例1と同一の条件で実施した。
【0052】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は97.6%であった。
【0053】
【比較例6】m‐DCBのオートクレーブへの添加時期
を、液温220℃で3時間攪拌した後とした以外は、実
施例2と同一の条件で実施した。
【0054】白色粉末状の製品を得た。p‐DCBとm
‐DCB全体の反応率は97.9%であった。
【0055】以上の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】 実施例1は、m‐DCBを添加しなかった比較例1と比
べて結晶化温度Tc が低い。一般にナトリウム含量が増
すとTc が低下することが知られているが、実施例1と
比較例1とではナトリウム含量が同じなので、上記のT
c の差はナトリウム含量の違いによるものではない。比
較例2は、m‐DCB添加量を0.05モル%として本
発明の範囲未満としたものである。実施例1と比べて、
c が高い。比較例3は、m‐DCB添加量を28.2
モル%として本発明の範囲を超えたものである。実施例
1と比べて、Tc は低いが、Tm が著しく低いので、耐
熱性が劣る。比較例4は、実施例1に対してm‐DCB
の添加時期を反応開始後としたものである。実施例1と
比べて、Tc が高い。比較例5は、実施例1においてオ
ートクレーブの上部冷却をしなかったものである。得ら
れたPASの溶融粘度つまり分子量が、実施例1と比べ
て著しく小さい。実施例2〜4は、実施例1に対して本
発明の範囲内でm‐DCBの添加量を変化させたもので
ある。m‐DCBの添加量を増加すると、結晶化温度が
低下してゆき、フィルム等の材料として好適であること
が判る。比較例6は、実施例2に対してm‐DCBの添
加時期を反応開始後としたものである。実施例2と比べ
て、Tc が高く、また著しく低粘度化した。
【0057】
【発明の効果】本発明の方法は、従来のパラアリーレン
スルフィドホモポリマーの持つ高い耐熱性と機械的強度
に加えて、結晶化温度が低く、結晶化速度が小さく、か
つ流動性が高いという新たな特性を兼ね備えた高分子量
PASを経済的かつ簡便に製造する。従って、フィル
ム、繊維、電子材料等の分野に有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
    物とジハロ芳香族化合物を反応させてポリアリーレンス
    ルフィドを製造する方法において、パラジハロ芳香族化
    合物、及び該パラジハロ芳香族化合物に対して0.1〜
    20モル%のメタジハロ芳香族化合物を反応系に同時的
    に添加し、かつ反応中、反応缶の気相部分を冷却するこ
    とにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相
    に還流せしめることを特徴とするポリアリーレンスルフ
    ィド重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 0.5〜10モル%のメタジハロ芳香族
    化合物を添加する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 1.0〜5.0モル%のメタジハロ芳香
    族化合物を添加する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応を、温度が異なる二段階以上で行う
    請求項1又は2記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007204616A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Polyplastics Co 円筒形状部位保有成形品用ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及び円筒形状部位保有成形品
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