JPH07192389A - スピンドルモータ - Google Patents

スピンドルモータ

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JPH07192389A
JPH07192389A JP34993893A JP34993893A JPH07192389A JP H07192389 A JPH07192389 A JP H07192389A JP 34993893 A JP34993893 A JP 34993893A JP 34993893 A JP34993893 A JP 34993893A JP H07192389 A JPH07192389 A JP H07192389A
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thrust
dynamic pressure
sleeve
thrust plate
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Noriaki Hishida
典明 菱田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】流体動圧軸受からオイル等の流体潤滑剤が漏れ
でることを、簡単な構造で確実に防止することができ、
信頼性と生産性の向上が図ること。 【構成】 ハウジングに一端部が固定される軸部材と、
この軸部材に流体潤滑剤を介して回転支持されるロータ
ハブとを具備したスピンドルモータである。前記軸部材
には、全周にわたり半径方向外方へ張り出したスラスト
プレートが設けられ、このスラストプレートの上下両端
面は、軸方向に対して各々実質上直角に設けられる。そ
して、その外周端縁は軸方向の断面形状が弧状をなす突
状部が形成される。また前記ロータハブにはスリーブと
スラストカバーとが設けられ、それぞれのスラストプレ
ート対応部には、同じく断面形状が弧状の凹状部が形成
される。前記突状部と前記凹状部とにより、半径方向外
方に増加する間隙が形成され、さらに、前記スリーブの
一端部には、モータ外部へ連通する孔部が設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光・磁気ディスク駆動
装置等の記録ディスクを回転駆動行う為に好適な流体動
圧軸受を用いたスピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】光・磁気ディスク等を回転駆動するスピ
ンドルモータは、ディスク搭載方向、即ち軸方向にロー
タハブのがたつきが防止されると共に精度良く回転支持
される必要がある。このため、ロータハブの軸受手段と
して従来のボールベアリングから、オイル等の流体潤滑
剤を用いた動圧軸受手段が採用されている。この動圧軸
受手段には、回転軸に対して半径方向に動圧支持するラ
ジアル動圧軸受と回転軸方向に位置規制すると共に動圧
支持するスラスト動圧軸受とから構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のような構造によ
るスピンドルモータにおいて、モータ内部には流体潤滑
剤としてオイルが注入されているが、流体動圧軸受不良
を起こす最大の原因は、このオイルがモータ外部へ漏れ
出てしまうことにある。即ち、流体動圧軸受の組み立て
時やモータ回転時に流体動圧軸受のオイルに空気が混入
することがある。こうした場合、流体動圧軸受部位の温
度上昇や、流体動圧軸受部位に対してモータ外部等が低
圧になると、大幅に上記空気が膨張して、流体動圧軸受
から外部へオイルが押し出されて、オイル漏れが発生す
る。また、スラスト動圧軸受部において、停止及び回転
動作の繰り返しに伴い、この部位に保持される流体潤滑
剤が移動し、その際に流体潤滑剤が外部へ漏れ出ようと
作用する。
【0004】本発明は、従来技術に存した上記のような
問題点に鑑み行われたものであって、その課題とすると
ころは、流体動圧軸受からオイル等の流体潤滑剤が漏れ
出ることを、簡単な構造で確実に防止することができ、
信頼性と生産性の向上が図れるスピンドルモータを提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明に係るスピンドルモータは、ハウジングに一
端部が固定される軸部材と、前記軸部材に流体潤滑剤を
介して回転支持されるロータハブと、を備えたスピンド
ルモータにおいて;前記軸部材には、全周にわたり半径
方向外方へ張り出したスラストプレートが設けられ、前
記スラストプレートの上下両端面は、軸方向に対して各
々実質上直角に設けられ、前記スラストプレートの前記
上下両端面からこれに連続する外周端縁には、軸方向の
断面形状が弧状をなす突状部が形成され;前記ロータハ
ブには、前記軸部材に外嵌されて半径方向に動圧軸受支
持されるスリーブと、前記軸部材スラストプレートを前
記スリーブの一端部と共に挟み且つこのロータハブを軸
方向に位置規制して動圧軸受支持するスラストカバー
と、が設けられ;前記スラストプレートの前記突状部に
対向する、前記スリーブの一端部並びに前記スラストカ
バーの各々内周部位は、軸方向の断面形状が弧状をなす
凹状部が形成され;前記突状部と前記凹状部とにより、
半径方向外方に増加する間隙が形成され、前記スリーブ
の前記一端部には、前記間隙がモータ外部へ連通する孔
部が穿設されてなるものである。
【0006】
【作用】本発明のスピンドルモータによれば、ロータハ
ブを軸方向へ位置規制して動圧軸受支持する、スラスト
プレートの上下両端面とこれに対応するスラストカバー
並びにスリーブの一端部との間には、それぞれ別々に流
体潤滑剤が介在して充填されている。そしてこれらの流
体潤滑剤は、ロータハブの回転に伴い動圧中心部(動圧
発生部)に集まり保持され、回転停止により動圧中心部
からそれぞれの半径方向外方へ拡って移動する。スラス
トプレートの外周端縁には、突状部が形成されており、
一方、この突状部に対応するスリーブの一端部並びにス
ラストカバーには、凹状部が形成されている。これら突
状部と凹状部とによる間隙は、半径方向外方にそれぞれ
増加するように形成されている。
【0007】このため、ロータハブの回転及び停止動作
に伴い、上記のそれぞれ流体潤滑剤が半径方向外方に移
動した場合、上記間隙の間で毛細管現象により保持され
る。その際、間隙は増加するように形成されているた
め、潤滑剤が外方に拡るように作用しても、所定の保持
力に対応した間隙の部位にて保持されることになる。こ
れにより、流体潤滑剤がスラストプレート外周側へ流れ
出して漏出することが防止される。そして再度ロータハ
ブが回転して、潤滑剤が動圧中心部に引き寄せられる
(戻される)よう作用しても、間隙は潤滑剤の移動方向
に対して減少方向となるため、毛細管現象により流体潤
滑剤は容易に動圧中心部へ移動することができる。ま
た、流体潤滑剤に気泡等が含まれており、モータの温度
上昇等によって、流体潤滑剤が押し出されて移動するよ
うなことが生じても、上記と同様に流体潤滑剤は、間隙
にて保持されると共に、気泡はこの間隙にて脱泡され
る。従ってこの場合も流体潤滑剤の漏出が防止される。
【0008】そして上記間隙は、スリーブの一端部に設
けられた孔部を経て、モータ外部へ連通しているため、
スラストプレートの上下両端面と、前記スリーブの一端
部並びにスラストカバーとは、モータ外部と同気圧に保
たれる。このため、流体潤滑剤が保持される部位には、
気圧差による作用力を受けることがなく、ロータハブの
回転・停止等により、上記間隙をスムーズに移動するこ
とができる。そしてこの間隙において脱泡された空気に
より、気圧差が生じることもない。
【0009】
【実施例】本発明に従うスピンドルモータの実施例につ
いて、添付の図面を参照しながら説明する。図1及び図
2は、例えば磁気ディスクを駆動する第1の実施例のス
ピンドルモータであり、図1はその全体を示す断面図、
図2は図1の一部を拡大して示した要部拡大断面図であ
る。図1及び図2において、部材1は磁気ディスク駆動
装置の一部をなすハウジングであり、直接または間接的
に駆動装置のベース部材に取り付けられている。ハウジ
ング1は例えばアルミ合金により形成されている。ハウ
ジング1の中央部には、環状に突出したボス部22が一
体に形成されており、このボス部22には孔部23が穿
設されている。そして孔部23には、シャフト2の一端
部が嵌め込まれて固定されている。シャフト2は、例え
ば鉄基合金材等から形成されている。上記ハウジング1
及びシャフト2により、本スピンドルモータの静止部材
となす。
【0010】ハウジング1のボス部22の上端部の外周
側には、切り欠き部60が形成され、この切り欠き部6
0にステータ4が外嵌して固定されている。ステータ4
は、電磁鋼板が複数枚積層されて形成されたステータコ
ア18と、ステータコア18に巻回された(電機子)コ
イル17とから構成されている。ハウジング1の下部に
は、フレキシブル回路基板10が貼り付けられて固定さ
れており、このフレキシブル回路基板10の端部はモー
タ外部へ延びて設けられている。従って、コイル17か
ら引き出されたコイル線61は、ハウジング1の基部1
4に穿設された孔部16を通して、その下部に位置付け
られたフレキシブル回路基板10へ電気接続され、これ
により電気的にモータ外部へ導出される。
【0011】ハウジング1に固定されたシャフト2の他
端部は、縮径されて形成されており、その軸心部には孔
部11が穿設されている。孔部11は、図示省略の磁気
ディスク駆動装置の上側蓋体にネジ止めされて固定され
る。そしてシャフト2の他端部側には、半径方向外向へ
全周にわたり張り出して形成されたスラストプレート6
が一体に形成されている。シャフト2とスラストプレー
ト6とは同軸状に構成されている。またスラストプレー
ト6の上下端面38、39は、シャフト2に対して実質
上直角に形成されている。すなわち、上下端面38、3
9は実質上平行に形成されている。上下端面38、39
のそれぞれから、これに連続する外周端縁(図2におけ
るスラストプレート6の右端)には、突状部40が形成
されている。突状部40はスラストプレート6の全周に
わたり形成されると共に、軸方向における断面形状が、
弧状に形成されている。
【0012】そしてその上下端面38、39には、図示
省略するが、周方向に所定の間隔で設けられた(図示省
略する)ヘリングボーン状の動圧グルーブが形成されて
いる。また一方、シャフト2の略中央部における外周部
24には、ヘリングボーン状の動圧グルーブが周方向に
所定の間隔で設けられると共に、これらは上下方向に二
列が整列して設けられている。
【0013】次に、シャフト2に対して回転支持される
ロータハブ3は、軸受支持されるスリーブ8、スラスト
カバー7、ハブ9そしてロータマグネット5から構成さ
れている。スリーブ8は、例えば銅基合金等が用いられ
て形成されており、筒状の垂下部29と、この垂下部2
9よりも大径に形成されると共にこれと同軸状に設けら
れた筒状の周壁(大径周壁)48とから構成からされ
る。垂下部29と大径周壁48とは、これらと同じく一
体に形成された基部21により連結固定されている。
【0014】スラストカバー7は、略円盤状をなし、中
央部にシャフト2の端部が挿通する孔部62が穿設され
ている。スラストカバー7は、その外周側においてスリ
ーブ8に固定されている。すなわち、スラストカバー7
における外周側の下端面63が、スリーブ8の基部21
へ載置され、またスラストカバー7の外周端部37と、
大径周壁48の上部内周壁56とが当接されて保持され
る。そして大径周壁48の上壁47を軸側(内側)へ塑
性変形加工等により加締められて、スラストカバー7は
スリーブ8にきつく固定される。その際、スラストカバ
ー7の下端面42並びにスリーブ8の垂下部29の上端
面43は、それぞれ僅かな隙間をもって、スラストプレ
ート6の上下端面38、39と対向配置されており、こ
のそれぞれの隙間には流体潤滑剤としてオイルが充填さ
れている。なお、スラストカバー7の下端面42におけ
る、シャフト2側には溝44が形成されており、この溝
44は、オイルの貯溜溝となす。
【0015】スラストカバー7の下端面42のうち、ス
ラストプレート6の突状部40の対応部位には、半径方
向外方(図2における右方)へ垂下して形成された凹部
41が設けられている。凹部41は、軸方向における断
面形状が弧状に形成されている。従って、突状部40と
凹部41との間に生成される間隙13は、スラストプレ
ート6を全周にわたると共に、半径方向外方に増加して
設けられる。そして凹部41の垂下端にあたる、スラス
トカバー7の下端面36は、スリーブ8の基部21の段
部上端面33に対して間隙をおいて対向配置されてい
る。なお、間隙13は、突状部49と凹部41との幾何
学的な曲率を変えることによって、半径方向外方へ増加
するように設定される他、同じ曲率同士であっても相対
距離を持たせた配置により、同様の増加を規定すること
ができる。
【0016】またスリーブ8の垂下部29の上端面43
のうち、スラストプレート6の突状部40の対応部位に
は、半径方向外方へせり上がって形成された凹部32が
設けられている。凹部32は、凹部41と同様に、軸方
向における断面形状が弧状に形成されている。そして突
状部40と凹部32との間に生成される間隙34は、ス
ラストプレート6を全周にわたると共に、半径方向外方
に増加して設けられる。そして凹部32のせり上がり端
にあたる、スリーブ8の基部21の段部上端面33は、
スラストカバー7の下端面に間隙をおいて対向配置され
る。従ってこの間隙34も上記の間隙13と同様に、曲
率を変えて間隙を増加させるように設定できる他、同一
の曲率同士で相対距離を変えて間隙を増加させるように
してもよい。なお、スラストプレート6の厚みが大きい
(軸方向の寸法が大きい)場合、スラストカバー7の下
端面36とスリーブ8の段部上端面33とによる間隙空
間35に対向する、スラストプレート6の突状部40
は、全域にわたり弧状に形成する必要はない。突状部4
0は、少なくとも図における上下端側、すなわち凹部4
1、32に対向する部位、が弧状に形成されていればよ
い。
【0017】スリーブ8の基部21(段部上端面33)
には、軸方向へ貫通する孔部20が穿設されており、モ
ータ外部へ連通している。加えて、この孔部20は、ス
ラストカバー7の下端面36とスリーブ8の段部上端面
33とによる間隙空間35を経て、間隙13、34に連
通する。孔部20は、シャフト2の軸芯を中心として、
基部21の周方向に複数個が均等配置されている。本実
施例では、二箇所回転対称状に(図1において左右に表
われている)設けられている。
【0018】従って、スラストカバー7の下端面42と
スラストプレート6の上端面38、及びスラストプレー
ト6の下端面39と(スリーブ8の)垂下部29の上端
面43、によりスラスト動圧軸受手段が構成され、これ
により、ロータハブ3を軸方向に位置規制すると共に、
動圧軸受による軸方向の回転支持を行なう。なお、スラ
スト動圧軸受として、動圧グルーブがスラストプレート
6に設けられたものに代えて、スラストカバー7及びス
リーブ8(の垂下部29)側に設けられていてもよい。
【0019】スリーブ8の垂下部29の内周部53と、
シャフト2の外周部24とは、僅かな隙間をもって軸方
向に沿って対向配置されている。そして、この隙間には
流体潤滑剤としてオイルが充填されている。これによ
り、ロータハブ3はシャフト2に対して、半径(ラジア
ル)方向に動圧軸受支持される。本実施例では、ラジア
ル動圧軸受として、動圧グルーブがシャフト2側に設け
られているが、これとは逆に、スリーブ8側に設けられ
ていてもよい。
【0020】スリーブ8の大径周壁48の外周部にはア
ルミ合金等により形成されるハブ9が固定されており、
このハブ9の内周部64にロータマグネット5が環状に
配設されている。ロータマグネット5は周方向へ所定の
磁極数が着磁されている。なお、ロータマグネット5
は、スリーブ8における大径周壁48の下端49に当接
して軸方向の高さ位置決めが行なわれており、即ちステ
ータ4の高さ位置に対応してハブ9に固定されている。
従って、フレキシブル回路基板10の導出端部に所要の
信号が通電されると、ステータ4とロータマグネット5
との電磁気的作用によって、ロータハブ3が回転駆動さ
れる。なお、図示省略の磁気ディスクは、ハブ9の外周
部28に嵌め込まれて装着され、下方に形成された鍔部
12にて受け止められ、そして既に公知のクランプ手段
により、固定される。
【0021】上述の通り、本発明のスピンドルモータに
は、ラジアル及びスラスト動圧軸受支持されており、所
定部位には流体潤滑剤としてのオイルが介在して充填さ
れている。充填されたオイルがモータ外部へ漏れ出るこ
とを防止するために、本発明のスピンドルモータにおい
ては同様の図1及び図2を用いて、以下に説明する構成
がなされている。これらの図において、まずラジアル動
圧軸受として、まず一方(図の下側;モータ外側)につ
いて説明する。シャフト2の外周部24と、スリーブ8
の垂下部29との間には、その下端側において、空隙5
0が設けられている。空隙50は、シャフト2の外周部
24と垂下部29の内周部53とに、それぞれ全周にわ
たる凹部65、66が形成され、これらが半径方向に対
向して配置されることにより形成される。しかもこの凹
部65、66の表面には、オイルを溌油する溌油剤が塗
布されている。
【0022】従って、動圧グルーブ19におけるオイル
が、モータ外方(図の下側方向)へ漏れ出ようとして
も、シャフト2の外周部24と垂下部29の内周部53
との隙間が、この空隙50により急激に開口しているた
め、しかもそれぞれの凹部65、66に溌油剤が塗布し
てあるため、表面張力により漏れでることが防止され
る。なお、万一空隙50に漏れでても、垂下部29に設
けられた突状部55により保持される。空隙50のモー
タ内側、即ち図の上側において、垂下部29の内周部5
3には、溝51が設けられている。この溝51は、モー
タの回転及び停止等に伴い、動圧グルーブ19に保持さ
れるオイルが移動し、その移動によって余分になるオイ
ルを貯溜する貯溜溝である。この溝51はシャフト2の
外周部24との間隙を、動圧軸受部よりも大きく、毛管
現象による張力でオイルを保持しえる程度に形成されて
いる。本実施例では、0.05mmの間隙に設定されて
いる。
【0023】ラジアル動圧軸受の他方(図の上側;モー
タ内側)にも、前記空隙50と同様、空隙54が形成さ
れている。空隙54は、スラストプレート6の根元部と
スリーブ8との隅部にて形成されている。そして作用と
しては、前記空隙50と同様であり、また垂下部29に
設けられた溝52は、オイルの貯溜溝である。そしてス
リーブ8の垂下部29の一端部側にあたる上端面43に
は、スラスト動圧軸受の下側が連設している。
【0024】スラスト動圧軸受においては、スラストプ
レート6を挟み、この上端38とスラストカバー7の下
端面42、及びスラストプレート6の下端面39と垂下
部29の上端面43、のそれぞれの間隙(即ち動圧発生
部をなす)にオイルが充填されている。特にスラスト動
圧軸受の場合、モータの回転及び停止の動作に伴い、ロ
ータハブ3の荷重により、それぞれの動圧軸受の間隙が
変化する。しかも回転による動圧発生時と回転停止時と
で、動圧発生部の中心部(動圧発生グルーブが設けられ
ている)におけるオイルの保持量が変化する。このた
め、この動圧発生部において保持しきれないオイルは、
動圧発生部とスラストプレート6の根元側(シャフト2
側)、動圧発生部とスラストプレート6の突状部40
側、の方向へ移動する。
【0025】この状態を図3の部分断面図を用いて説明
する。図3(a)はスピンドルモータが回転している状
態を示し、図3(b)は回転停止している時の状態を示
している。これらの図において、図3(a)では、スラ
スト動圧発生により、(図示省略する)動圧グルーブの
中心部にオイルが引き寄せられる。このため、動圧発生
部にて保持しきれないオイルはほとんどなく、従って間
隙13、34及び溝44には、オイルが僅かに貯溜され
るのみである。
【0026】次に図3(b)では、回転が停止している
ため、動圧グルーブに引き寄せられていたオイルが保持
されず、動圧発生部にて保持しきれない余分のオイル
が、グルーブ中心部から外側(図における左右方向、す
なわちスラストプレート6の根元側とスラストプレート
6の突状部40側)に移動する。このオイルは、溝44
に貯溜される一方で、間隙13、34にも貯溜される。
【0027】特に間隙13及び34は、オイルの移動方
向(半径方向外方)に対応して、間隙量が増加するよう
に形成されている、このため、オイルが外方に拡るよう
に作用しても、移動するオイルの量の保持力に対応した
間隙の部位において、このオイルが保持されることにな
る。しかもこの間隙13及び34は連続して増加してい
るので、オイルは確実に所定の部位で毛細管現象による
保持が実行される。図における溝44においては、オイ
ルの貯溜できる量が、溝44の形状により決まり、これ
より多い量のオイルは貯溜して保持することができな
い。このため、溝44は予め十分なオイルが貯溜できる
量に対応した設定が必要である。しかしながら、間隙1
3及び14においては、オイルの量に対応して、保持で
きる間隙の部位が連続して変わることができる。これに
より、確実にオイルが保持され、スラストプレート6の
外周側へ流れ出して漏出することが防止される。
【0028】なお、溝44に貯溜して保持されるオイル
のより高い漏出防止について、後に述べる。また、回転
停止時はロータハブ3の荷重により、スラストプレート
6を重力方向、つまり図の下方向へ押し下げる状態とな
る。このため、スラストプレート6の下端側は、(スリ
ーブ8の)垂下部29の上端43との隙間が大きくな
り、グルーブが設けられている領域にて保持されるオイ
ルの量が、スラストプレート6の上端側に比べて相対的
に多くなる。
【0029】そして次に、スピンドルモータが再度回転
駆動されると、図3(a)の状態に戻る。この時、間隙
13、34及び溝44に保持されていたオイルは、動圧
発生部に引き寄せられる。特に間隙13及び34におい
ては、オイルの移動方向に対応して、間隙量が減少方向
となるため、毛細管現象によりオイルは容易に動圧発生
部に移動することができる。そして取り残しなくオイル
が動圧発生部に戻ることができるため、オイルの枯渇等
が防がれ寿命が高い。
【0030】さらに、図3において、スラストプレート
6の外周側には、間隙13、34による空隙が形成され
ている。これにより、スラストプレート6の図の上側に
保持されるオイルと、図の下側に保持されるオイルと
は、これら空隙により、分離独立した状態でスラストプ
レート6に保持される。すなわち、スラストプレート6
の突状部40によりオイルは分離されており、上下側の
オイルは一つに連続した状態とはならない。このため、
充填されるオイルに気泡が混入していた場合、モータの
温度上昇や気圧の変化等により、気泡が膨張しても、上
下両側の連続したオイルがモータ外部へ押し出すように
作用することはない。
【0031】加えてオイルに気泡が混入していても、こ
の間隙13、34にて容易に脱泡され、しかも脱泡に伴
うオイルの移動をこの間隙13、34にて許容される。
すなわちオイルが気泡の膨張により、スラストプレート
6の外周側に移動して、間隙13、34の外側に移動し
ても、所定の間隙部位にてオイルが保持されて脱泡さ
れ、また内側に移動して所定の間隙部位に落ち着く。
【0032】さらに、モータ外部へ連通する孔部20に
より、モータ内外部との気圧差が実質上なくなる。この
ため、オイルが保持される部位には、気圧差による作用
力を受けることがない。そして、スピンドルモータの回
転、停止等により、間隙13、14等をスムーズにオイ
ルが移動でき、また脱泡された空気により、気圧差が生
じることもない。このように、モータ温度上昇や気圧の
変化によるオイルの押し出し作用が働かず、オイルの漏
出がよりよく防止されることになる。なお、この孔部2
0(連通孔)は、図例では二箇所設けられているが、も
ちろん一ヶ所のみ設けても構わない。そして孔部20の
径寸法は、少なくともオイルが溌油されて球状になる際
の直径寸法よりも小さく設定することが望ましい。本実
施例では、この孔径は0.3mmに設定してある。
【0033】スラストカバー7とスラストプレート6と
による空隙45は、スラストプレート6の上側に保持さ
れるオイルの漏洩を防止するものである。すなわち空隙
45は、スラストカバー7の下端に形成された凹部58
とスラストプレート6の上端に形成された凹部59とに
より規定される。従って、溝44において保持しきれな
かったオイルは、空隙45による開口部において、オイ
ルの表面張力により、漏出が防止される。この開口部に
おいて、万一保持しきれなかったオイルは、空隙45内
に滞留され、モータ外部へ漏れでることがない。凹部5
8、59には、溌油剤が塗布されることにより、より効
果的である。さらに、スラストカバー7の内周部31と
シャフト2の外周部30とは、各々溌油剤が塗布される
と共に、これらは僅かな隙間をもって構成されている。
このため、よりオイルの漏出を防止する効果を上げるこ
とができる。
【0034】なお、モータ内部に存在する、オイルを含
む不浄な空気がモータ外部へ漏出することを防止するた
めに、図1に示すように、ハウジング1の周壁15とハ
ブ9との間隙を狭くしてラビリンスシール構造を形成し
ている。すなわち周壁15の内周部27とハブ9の外周
部26との間において、ロータハブ3の回転による空気
のシール層を形成している。また、図1及び図2に示
す、スラストカバー7がスリーブ8に加締めて固定され
る接合部69は、加締め固定のみのため、微小な隙間を
有している。この接合部69にはあえてシール処理は行
なってない。というのは、もしモータ組み立て中に、誤
って、オイルが凹部35に落ちた場合、そのオイルは接
合部69から滲み出すことになる。従って、そのオイル
がモータ外部に現われ、容易に視認することができるた
め、早期に不良を発見することができる。
【0035】次に、図4に示す拡大断面図は、第2の実
施例を示すものである。図において、既に用いた第1の
実施例と同様の部材及び部位には同じ番号が付してあ
る。図4に示す第2の実施例における、第1の実施例と
異なる点は、図1乃至図3にて示した、オイルの貯溜の
ための溝44、及びスラストカバー7とスラストプレー
ト6とによる空隙45等のオイル漏出防止構造・・に代
えて、次の如く構成されている。
【0036】スラストカバー7の内周部31の下端が、
軸方向において断面形状が弧状に形成された、突状部8
1が形成されている。そしてこれに対向するシャフト2
の外周部30の対応部には、同様に断面形状が弧状に形
成された凹部82が形成されている。そして突状部81
と凹部82との間隙83が、動圧発生部側からみて、半
径方向外方に、増加するように設けられている。この間
隙83は、内周部31と外周部30とが実質上平行に対
向する部位で、間隙が小さくなっている。従って、スラ
ストプレート6の上端側に保持されたオイルは、スピン
ドルモータの回転、停止等の動作に加えて、温度上昇や
気泡の含有等による、漏出原因に対して既に説明した第
1の実施例と同様の作用により、確実にオイル漏出を防
止することができる。
【0037】以上、本発明のスピンドルモータの実施例
について説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲で
設計変更乃至修正等自由である。即ち本実施例で示した
種々の部分的な構成を組み合わせて用いることができる
他、動圧軸受の動圧グルーブの形態や数量等、自由に選
定することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明のスピンドルモータは、上述の構
成を有しているので、次の効果を奏する。即ち、本発明
のスピンドルモータによれば、スラストプレート6の外
周端縁には、突状部40が形成されており、またこの突
状部40に対応するスラストカバー7並びにスリーブ8
には凹部41、32が設けられている。そしてこれら突
状部40と凹部41、32とによる間隙13、34はそ
れぞれ増加するように形成されている。またこの間隙と
モータ外部とを連通する孔部20が設けられている。こ
のため、動圧軸受手段に流体潤滑剤として用いられるオ
イルが、モータ外部へ漏出することが防止され、しかも
簡単な構成により確実に阻止することができ、従って、
信頼性と生産性の向上が図れるスピンドルモータが得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るスピンドルモータ
の全体を示す断面図である。
【図2】図1におけるスピンドルモータの一部を示す要
部拡大断面図である。
【図3】図1におけるスピンドルモータの部分拡大断面
図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るスピンドルモータ
の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 シャフト 3 ロータハブ 4 ステータ 5 ロータマグネット 6 スラストプレート 7 スラストカバー 13,34,45,50,54,83 間隙 10 フレキシブル回路基板 20 連通孔 32,41 凹部 40 突状部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングに一端部が固定される軸部材
    と、前記軸部材に流体潤滑剤を介して回転支持されるロ
    ータハブと、を備えたスピンドルモータにおいて、 前記軸部材には、全周にわたり半径方向外方へ張り出し
    たスラストプレートが設けられ、 前記スラストプレートの上下両端面は、軸方向に対して
    各々実質上直角に設けられ、 前記スラストプレートの前記上下両端面からこれに連続
    する外周端縁には、軸方向の断面形状が弧状をなす突状
    部が形成され、 前記ロータハブには、前記軸部材に外嵌されて半径方向
    に動圧軸受支持されるスリーブと、前記軸部材のスラス
    トプレートを前記スリーブの一端部と共に挟み且つこの
    ロータハブを軸方向に位置規制して動圧軸受支持する、
    スラストカバーと、が設けられ、 前記スラストプレートの前記突状部に対向する、前記ス
    リーブの一端部並びに前記スラストカバーの各々内周部
    位は、軸方向の断面形状が弧状をなす凹状部が形成さ
    れ、 前記突状部と前記凹状部とにより、半径方向外方に増加
    する間隙が形成され、 前記スリーブの前記一端部には、前記間隙がモータ外部
    へ連通する孔部が穿設された、ことを特徴とするスピン
    ドルモータ。
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