JPH071915Y2 - マイクロホン防振装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、例えばセンサ用マイクロホンに於いて、ケ
ース又はホルダ等とマイクロホンユニットの間に配置さ
れて外部からの振動がケース又はホルダ等を伝わってマ
イクロホンユニットに伝達されるのを防止するマイクロ
ホン防振装置に関する。

〔従来の技術〕

従来から、マイクロホンのケース等を通じてマイクロホ
ンユニットに伝達される外部からの振動を遮断する為の
簡単な防振手段として、マイクロホンユニットの周囲に
ゴムのような弾性体シートを巻付け、その状態でケース
の中に挿入した構造が一般的である。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このような構造を有する従来のマイクロホン防振装置
は、ケースの内壁とマイクロホンユニットの外側面との
間に弾性体が充填された状態で介在し、弾性体の外周接
触面積が最も大きい状態で使用されている為弾性体の単
位面積当たりのストレスは小さく、従って振動吸収に寄
与するコンプライアンスが極めて低いのでケースに加わ
った外部振動は充分吸収されることなくマイクロホンユ
ニットに直接伝達するという欠点が有り、その上マイク
ロホンユニットを覆うシールドケース自体が外部振動や
騒音によって振動し、内部に保持したマイクロホンユニ
ットを振動せしめて、測定のS/Nを低下させるという問
題があった。

そこで本考案は、マイクロホンユニットを保持するシー
ルドケースに吸振性を保有させると共に、吸振性とした
該シールドケースを防振保持することにより上記従来例
の有する問題点を解決することを目的とする。

〔問題点を解決する為の手段〕

上記した目的を達成する為の本考案に係るマイクロホン
防振装置の第１実施例を示す第１図〜第２図を用いて説
明すると、本考案は、内部にマイクロホンユニット１を
保持すると共に主軸方向に形成した欠如部2aの両端縁部
が弾性体３で連結されている筒状構造のシールドケース
２と、当該シールドケース２の端面に固定されて取付基
部４との間に介在させた防振弾性体５とから成ることを
特徴とするマイクロホン防振装置である。

また、第４図に示す第２実施例は、前記シールドケース
２には複数の欠如部2aが形成されると共に各欠如部2aの
両端縁部は弾性体３で連結されることを特徴とするマイ
クロホン防振装置である。

一方、第５図に示す第３実施例は、防振弾性体15に溝1
6、17を形成し、シールドケース12及び取付基部14がそ
の溝16、17に嵌合されたことを特徴とするマイクロホン
防振装置である。

〔作用〕

そして、このような構成のマイクロホン防振装置では、
ホルダ或いはマイクロホンを設置した取付基部４から伝
播される振動は防振弾性体５によって吸収され、更にシ
ールドケース２に達した振動並びにシールドケース２自
体がピックアップした外部振動は、該シールドケース２
に組み込まれた弾性体３がシールドケース２の振動に伴
う変形によって生じる振動エネルギー吸収作用によって
抑制され、外部振動がマイクロホンユニット１に伝播す
るのを防止する。

また、前記シールドケース２は複数の弾性体３を設ける
ことで、振動エネルギーをより多く吸収することがで
き、外部振動がマイクロホンユニット１に伝達しない。
更に、シールドケース12は防振弾性体15の溝16に嵌入
し、防振弾性体15は取付基部14の孔14Aに溝17を介して
嵌入しているので、取付基部４からの振動がマイクロホ
ンユニット１に伝達しない。

〔実施例〕

第１図〜第２図により、本考案の第１実施例を詳述する
と、１はマイクロホンユニットで本実施例では直径10mm
のエレクレット・コンデンサマイクロホンユニットを使
用している。

２はシールドケースで厚さ0.5mmのパンチングメタルで
大略円筒形に形成され、主軸に平行して１箇所に欠如部
2aが形成されて径方向の弾力性が付与され、この弾力性
によって以下に記載の弾性体３を保持させる。

３は上記シールドケース２の欠如部2aに組込まれている
弾性体で弾性ゴムから成り、本実施例では断面が略Ｈ字
状をなし、側面に溝部にシールドケース２の欠如部2aの
端縁部が嵌合され、更に必要に応じて接着剤を併用して
パンチングメタルと結合され、筒状構造のシールドケー
ス２を構成する。

上記により全体が円筒形となったシールドケース２の内
部に、マイクロホンユニット１が収納され、保持部材６
によって保持される。

マイクロホンユニット１が収納されたシールドケース２
の下端面に円環状で、弾性ゴムから成る防振弾性体５が
接着され、当該防振弾性体５を介して取付基部４に取付
けられる。

以上の構成によるマイクロホンは、更にシールドケース
２の上から保護金網（図示せず）で覆われて、取付基部
４によって、例えば機械の近傍等、騒音を監視すべき場
所に取付けられて使用されるが、場合によっては防振弾
性体５を直接に機器や他の構築部材に取付けてもよい。

第３図に本考案第１実施例の外部振動遮断効果を周波数
特性によって示す。

取付基部４を加振動機に取付け、広帯域の振動を印加し
てマイクロホンユニット１から出力電圧を記録した。

Ｏレベルは取付基部に1Gの振動加速度を与えた場合の、
実施例の出力電圧ピーク値である。

実線で示した実施例は、点線で示す前述の従来例と比較
して、ほぼ全帯域で、平均して20DB程度レベルが低下し
て著しい振動遮断効果を示し、本考案の構成がマイクロ
ホン防振装置として優れていることが明瞭である。

また、第４図には本考案の第２実施例が示されている。
第４図に於いて、シールドケース２に欠如部2a、2a…が
３箇所形成され、その各欠如部2a、2a…に前記弾性体
３、３…が組込まれている。これによって、更に振動エ
ネルギーをより多く吸収することができるようになる。
これにより外部振動がマイクロホンユニット１に伝達す
るのを防止することが出来る。

また、第５図には本考案の第３実施例を示す要部断面図
が示されている。第５図に示すように、防振弾性体15に
円周溝16に形成し、シールドケース12の端部の折曲片を
前記溝16に嵌合させる。更に、取付基部14の孔14Aに防
振弾性体15を円周溝17を介して嵌入する。これにより、
取付基部14からの振動をより完全に吸収することが出来
る。

以上、本考案に係るマイクロホン防振装置について代表
的と思われる実施例を基に詳述したが、本考案によるマ
イクロホン防振装置の実施態様に於いて、例えばマイク
ロホンユニットの型式、弾性体のシールドケースの材
質、形状等は上記実施例の構造に限定されるものではな
く、マイクロホンユニットや弾性体を始めシールドケー
ス、防振弾性体並びに取付基部等の係合関係が前記した
クレーム記載の構成要件を具備し、本考案にいう作用を
呈し、以下に述べる効果を有する限りにおいて、適宜改
変して実施しうるものである。

〔考案の効果〕

本考案に係るマイクロホン防振装置は以下に述べる効果
を有する。

（１）シールドケースに組み込まれた弾性体の振動エネ
ルギー吸収作用によってシールドケース自体が振動抑制
作用を有し、外部から直接シールドケースに作用する振
動雑音を吸収して完全に遮断することができる。

（２）取付基部から伝播される振動は防振弾性体によっ
て吸収されるので、マイクロホンの機械的な対振動性能
を向上させることができる。

以上の利点によって簡単な構造で、外部振動に影響され
ない高S/Nの測定並びに騒音監視が可能になるという効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はマイクロホン防振装置の第１実施例
を示す上面図及び同主軸方向断面図、第３図は第１実施
例の防振効果を示す周波数特性図、第４図はマイクロホ
ン防振装置の第２実施例を示す上面図、第５図はマイク
ロホン防振装置の第３実施例を示す同主軸方向要部断面
図である。 １……マイクロホンユニット、２、12……シールドケー
ス、３……弾性体、４、14……取付基部、５、15……防
振弾性体。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部にマイクロホンユニット（１）を保持
   すると共に主軸方向に形成した欠如部（2a）の両端縁部
   が弾性体（３）で連結されている筒状構造のシールドケ
   ース（２）と、当該シールドケース（２）の端面に固定
   されて取付基部（４）との間に介在させた防振弾性体
   （５）とからなることを特徴とするマイクロホン防振装
   置。
2. 【請求項２】前記シールドケース（２）には複数の欠如
   部（2a）が形成されると共に各欠如部（2a）の両端縁部
   は弾性体（３）で連結されることを特徴とする請求項
   （１）項記載のマイクロホン防振装置。
3. 【請求項３】シールドケース（12）は防振弾性体（15）
   の円周溝（16）に嵌入して取付けられ、防振弾性体（1
   5）は取付基部（14）の孔（14A）に嵌入して取付けられ
   ることを特徴とする請求項（２）項記載のマイクロホン
   防振装置。