JPH0718952Y2 - 冷温蔵配膳庫 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えば病院等において食事を患者等に配る
際に、温蔵食品と冷蔵食品を同時に盛り付けた配膳用ト
レーを上下複数段に亘って収納し、両食品を同時に保温
および保冷しつつ運搬、保管するようになされた冷温蔵
配膳庫に関する。

従来の技術 従来、病院等において配膳用トレーを上下複数段に亘っ
て収納しうるようになされた配膳庫が広く用いられてい
る。しかし、かかる従来品では、温蔵食品と冷蔵食品と
を同時に盛り付けた配膳用トレーを上下複数段に亘って
多数収納した状態で運搬、保管する場合、比較的早く温
蔵食品の温度が低下する一方、冷蔵食品の温度が上昇し
てしまうという難を有する。かかる問題点を解決するも
のとして、例えば実公昭53-19427号公報、実開昭61-149
084号公報等に示されるように、配膳庫本体内が縦仕切
壁により冷蔵領域と温蔵領域とに仕切られると共に、該
縦仕切壁が上下複数段に亘って複数の単位仕切壁に分割
され、かつ隣接する上下単位仕切壁間に配膳用トレーが
その中間仕切部を介在せしめられた状態で上下複数段に
亘って出入自在に収納されるようになされたものが提案
されている。而して、上記提案にかかる配膳庫にあって
は、温蔵食品と冷蔵食品とをそれぞれ保温および保冷状
態に保持しつつ配膳することができて好都合である。

考案が解決しようとする課題 ところで、この種の配膳庫内への配膳用トレーの収納は
各トレーの中間仕切部の挿入端縁を隣接する上下単位仕
切壁間より挿入することによって行われるが、そのトレ
ー挿入作業はその挿入に際して目視で位置決めして行う
ものであるため些かやり辛いものであり、特に下段位の
挿入作業ほど困難性が増す。ましてや盛り付けた状態の
重い配膳用トレーでは尚更である。

一方において、かかる挿入作業を容易に行いうるように
する目的で、配膳用トレーとして中間仕切部の挿入端縁
部に凹状切欠部を形成し、挿入時に先ずトレーの両側縁
部をトレー受け棚に載置して位置決めし得るようにした
トレーを用いることが提案されている。しかし、かかる
トレーは、その収納状態において冷蔵室と温蔵室とを気
密状態を保持しうるパッキン部材を備えた配膳庫にのみ
用いられるものであり、従来より使用している配膳庫に
そのまま使用することはできず従来の配膳庫とは互換性
のないものであった。従って、そのような特殊なトレー
を用いる場合にはそれに応じた特殊なパッキン構造を有
する専用の配膳庫を新たに購入しなければならず経済的
な負担が増大するものであった。

この考案は、上述の問題点に鑑みてなされたものであ
り、従来の配膳庫に使用されている配膳用トレーをその
まま用いることができ、それでいてその挿入作業を容易
に行いうるようになされた冷温蔵配膳庫を提供すること
を目的とするものである。

課題を解決するための手段 而して、この考案においては、配膳用トレーは従来のま
まとして、配膳庫の単位仕切壁の端縁部に、トレーの中
間仕切部の挿入端縁部を係止するトレー挿入ガイドを設
けたものである。

即ち、この考案は、配膳庫本体内が縦仕切壁により冷蔵
室と温蔵室とに仕切られると共に、該縦仕切壁が上下複
数段に亘って複数の単位仕切壁に分割され、かつ隣接す
る上下単位仕切壁間に配膳用トレーがその中間仕切部を
介在せしめられた状態で上下複数段に亘って出し入れ自
在に配設され、該配膳用トレー（Ｔ）として前記中間仕
切部（Ta）の挿入端縁部（Tc）に凹状切欠部等の形成さ
れていないものを用いる冷温蔵配膳庫において、 上記単位仕切壁のトレー出し入れ側端縁部に、前記トレ
ーの中間仕切部の挿入端縁部を隣接単位仕切壁間に位置
させた状態で係止するトレー挿入ガイドが外方突出状に
設けられてなることを特徴とする冷温蔵配膳庫を要旨と
するものである。

単位仕切壁間に配設されたパッキンの交換を容易に行い
得るようにする等の目的で上記トレー挿入ガイドとし
て、配膳用トレーの中間仕切部の挿入端縁部を係止する
板状のガイド部が上下方向に沿って設けられた取付本体
を有するものを用い、該取付本体を単位仕切壁の端縁部
に着脱自在に嵌合固定するようにしても良い。

作用 上記のように構成された冷温蔵配膳庫に配膳用トレーを
収納する場合、配膳用トレーの中間仕切部の挿入端縁部
をトレー挿入ガイドに係止させることにより位置決めさ
れる。そしてその係止状態からトレーを押し込めば収納
作業は完了する。

実施例 以下、この考案を図示実施例に基づいて説明する。

なお、説明の便宜上、第１図の紙面手前側を前方、裏面
側を後方という。

図示実施例の冷温蔵配膳庫は、配膳庫本体（１）の内部
が通風路を兼ねた中央区画壁（２）により左右に区画さ
れ、その両側に配膳用トレー収納部（Ａ）（Ａ）を有す
るものとなされており、前記配膳庫本体（１）の下端に
取り付けられたキャスター（３）により移動自在となさ
れている。

前記配膳庫本体（１）は、第２図に示すように、内装壁
板（1a）と外装壁板（1b）との間に発泡ポリウレタン合
成樹脂等の断熱材（1c）を充填した断熱性を有する周壁
で構成されている。この配膳庫本体（１）の前後両面
は、開放されており、その両開口面にそれぞれ上記本体
（１）と同様な断熱構造の観音開式の開閉扉（４）
（４）が取り付けられ、前後両面側から配膳用トレー
（Ｔ）…を出し入れしうるようになされている。

上記両配膳用トレー収納部（Ａ）（Ａ）は、いずれも前
後方向に沿った縦仕切壁（５）により内側の温蔵室
（Ｈ）と外側の冷蔵室（Ｃ）とに仕切られている。

この温蔵室（Ｈ）の上部には空気強制循環用のブロア
（Ｂ）が設置されており、これにより両温蔵室（Ｈ）
（Ｈ）内の空気が前記中央区画壁（２）内の上端部に導
かれ、同下端開口部（2a）より両温蔵室（Ｈ）（Ｈ）内
に循環されるようになされている。この間に、循環空気
は上記区画壁（２）内に設置されたヒータ（９）により
所定温度に加熱される。また各冷蔵室（Ｃ）（Ｃ）の上
部にも空気強制循環用のファン（Ｆ）（Ｆ）がそれぞれ
設置されており、これにより各冷蔵室（Ｃ）（Ｃ）内の
空気が配膳庫本体（１）の左右両側壁内面とこれに所定
間隙を隔てて配設された内側パネル（10）との間に供給
され、該パネル（10）に上下複数段に亘って穿設された
スリット（10a）より各冷蔵室（Ｃ）（Ｃ）に循環され
るようになされている。この間に循環空気はファン
（Ｆ）の吹出口に載置された冷熱源（11）により冷却さ
れる。

前記両縦仕切壁（５）（５）は、第１図および第２図に
示すように、上下方向に分割され、上下複数段に亘る複
数の単位仕切壁（６）により構成されている。各単位仕
切壁（６）には、特に第３図に示すように、その対向す
る上下両端縁にパッキン部材（７）が図示しないバネに
より退出方向に付勢された状態で退入作動自在に設けら
れている。なお、このパッキン部材（７）としては、ト
レー挿入抵抗を少なくすると共に耐久性を向上させる目
的で例えば硬質ナイロン、ポリカーボネイト、ABS樹脂
等の硬質合成樹脂からなるものが好適に使用される。

而して、配膳用トレー（Ｔ）は、その中間仕切部（Ta）
を上記両パッキン部材（７）（７）間に介在配置せしめ
ると共に、一側縁部（Tb）を中央区画壁（２）に固着さ
れた断面略コ字状のトレー受け枠（12）に嵌め合わせた
状態で上下複数段に亘って収納されるようになされてい
る。

この配膳用トレー（Ｔ）は、その中間仕切部（Ta）を境
にして一側部側に温蔵食品、他側部側に冷蔵食品をそれ
ぞれ載置しうるようになされたもので、中間仕切部（T
a）の挿入端縁部（Tc）には凹状切欠部等が形成されて
いない従来から汎用されているものである。

ところで、この実施例にかかる上記単位仕切壁（６）に
は、トレー（Ｔ）の収納作業を容易に行い得るようにす
る目的で、そのトレー出し入れ側端縁部（6a）に硬質合
成樹脂製一体成形品からなるトレー挿入ガイド（８）が
取付けられている。

このガイド（８）は、第３図に示すように、単位仕切壁
（６）の端縁部（6a）の端面に対応する形状の端面壁
（13a）、その両側縁より延設された一対の対向する側
面壁（13b）（13b）およびその上端縁より内方に延設さ
れた上面壁（13c）（13c）で構成された取付本体（13）
を有する。上記両側面壁（13b）（13b）の内側面には、
単位仕切壁（６）の端縁部（6a）外側面に形成された係
合孔（6b）に対応する係合突起（13d）が設けられてい
る。

而して、上記取付本体（13）は単位仕切壁（６）の端縁
部（6a）に、上記係合突起（13d）を係合孔（6b）に強
制嵌合させることによって着脱自在に取付けられてい
る。このように着脱自在に取付けることによって、パッ
キン部材（７）（７）等の交換を容易かつ迅速に行うこ
とができるという利点がある。なお、上記実施例では強
制嵌合手段としてガイド（８）側に係合突起（13d）、
単位仕切壁側（６）に係合孔（6b）を形成したものを示
したが、これとは逆にガイド（８）側に係合孔、単位仕
切壁側（６）に係合突起を形成したものとしても良い。
また上述のような強制嵌合手段により着脱自在に固定す
ることが好ましいが、ビスやボルト等を用いて固定して
も良い。

上記取付本体（13）の端面壁（13a）の外側面には、そ
の左右方向の中間部にやや上方にずらせた状態で板状の
ガイド部（14）が上下方向に沿って外方突出状に設けら
れている。このガイド部（14）は、その上端縁が取付状
態において上下パッキン部材（７）（７）の当接面の高
さ位置に略一致した水平状態となされるもので、トレー
（Ｔ）を収納する際にその中間仕切部（Ta）の挿入端縁
部（Tc）を係止することによってトレー（Ｔ）を位置決
めするものである。このガイド部（14）は、上述のよう
に板状に形成されているため開閉扉（４）（４）を閉扉
した状態においてそれらの間に介在配置された状態とな
される。

上記トレー挿入ガイド（８）は単位仕切壁（６）の前後
両端縁部（6a）（6a）に取付けられている。

この配膳庫において、配膳用トレー（Ｔ）を上下複数段
に亘って収納する作業は、トレー（Ｔ）の中央仕切部
（Ta）の挿入端縁部（Tc）をトレー挿入ガイド（８）の
ガイド部（14）に係止する。この係止状態においてトレ
ー（Ｔ）の挿入端縁部（Tc）は、隣接する上下パッキン
部材（７）（７）の当接面に略一致した状態となされて
いる。従って、その係止状態からトレー（Ｔ）を押し込
むことによってその中間仕切部（Ta）が両パッキン部材
（７）（７）間に介在配置され、収納作業は完了する。

なお、この考案におけるトレー挿入ガイド（８）は、要
するにトレー（Ｔ）を収納する際にその中間仕切部（T
a）の挿入端縁部（Tc）を隣接単位仕切壁（６）（６）
間に位置させた状態で係止し得るものであれば、上記実
施例において示した構造以外のものであっても良い。

考案の効果 この考案に係る冷温蔵配膳庫は、上述のとおり、配膳庫
本体内が縦仕切壁により冷蔵室と温蔵室とに仕切られる
と共に、該縦仕切壁が上下複数段に亘って複数の単位仕
切壁に分割され、かつ隣接する上記単位仕切壁間に配膳
用トレーがその中間仕切部を介在せしめられた状態で上
下複数段に亘って出し入れ自在に収納されてなるもので
あるから、同一のトレーに盛り付けた温蔵食品と冷蔵食
品とをそれぞれ温蔵領域と冷蔵領域において同時に保温
および保冷することができる。従って、配膳庫に収納し
てから配膳するまでに長時間を要するような場合にあっ
ても、温い食べ物を温い状態として、また冷たい食べ物
を冷たい状態として配膳することができる。

また、単位仕切壁のトレー出し入れ側端縁部に、前記ト
レーの中間仕切部の挿入端縁部を隣接単位仕切壁間に位
置させた状態で係止するトレー挿入ガイドが外方突出状
に設けられているから、冷温蔵配膳庫に、中間仕切部の
挿入端縁部に凹状切欠部等の形成されていない従来汎用
されている配膳用トレーを収納する場合、その配膳用ト
レーの中間仕切部の挿入端縁部を上記トレー挿入ガイド
に係止させることにより位置決めすることができる。従
って、その係止状態からトレーを押し込むだけで収納作
業を完了させることができ、下段位に収納する場合であ
っても、また盛り付けた状態の重い配膳用トレーであっ
てもその作業を容易かつ確実に行うことができる。

更に、この配膳庫は特殊な配膳用トレーを使用すること
なく単位仕切壁にトレー挿入ガイドを取付けただけのも
のであるから、かかる配膳庫を採用しても従来のトレー
をそのまま使用することができ、新たに専用トレーを購
入する必要もないので経済的である。

また、請求項（２）に記載のようにトレー挿入ガイドと
して、取付本体に、配膳用トレーの中間仕切部の挿入端
縁部を係止する板状のガイド部が上下方向に沿って設け
られたものを採用すれば、閉扉状態において該板状ガイ
ド部が開閉扉間に介在配置された状態とすることができ
るので開閉扉の開閉に支障がないばかりか、閉扉状態に
おいて温蔵室と冷蔵室を密閉状態にすることができる。
しかも、上記取付本体が単位仕切壁の端縁部に着脱自在
に嵌合固定されてなるものを採用すれば、その取付作業
を容易かつ迅速に行うことができるのはもとより、特殊
な工具を使用することなく取り外せるのでパッキン部材
の交換作業を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示すものであり、第１図は
開閉扉を開いた状態を示す冷温蔵配膳庫の全体斜視図、
第２図は第１図II-II線の断面図、第３図はトレー挿入
ガイドを一部取り外して示した要部拡大斜視図である。 （１）……配膳庫本体、（４）……開閉扉、（５）……
縦仕切壁、（６）……単位仕切壁、（6a）……トレー出
し入れ側端縁部、（８）……トレー挿入ガイド、（13）
……取付本体、（14）……ガイド部、（Ｔ）……配膳用
トレー、（Ta）……中間仕切部、（Tc）……挿入端縁
部、（Ｈ）……温蔵室、（Ｃ）……冷蔵室。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】配膳庫本体（１）内が縦仕切壁（５）によ
   り冷蔵室（Ｃ）と温蔵室（Ｈ）とに仕切られると共に、
   該縦仕切壁（５）が上下複数段に亘って複数の単位仕切
   壁（６）に分割され、かつ隣接する上下単位仕切壁
   （６）（６）間に、配膳用トレー（Ｔ）がその中間仕切
   部（Ta）を介在せしめられた状態で上下複数段に亘って
   出し入れ自在に配設され、該配膳用トレー（Ｔ）として
   前記中間仕切部（Ta）の挿入端縁部（Tc）に凹状切欠部
   等の形成されていないものを用いる冷温蔵配膳庫におい
   て、 上記単位仕切壁（６）のトレー出し入れ側端縁部（6a）
   に、前記トレー（Ｔ）の中間仕切部（Ta）の挿入端縁部
   （Tc）を隣接単位仕切壁（６）（６）間に位置させた状
   態で係止するトレー挿入ガイド（８）が外方突出状に設
   けられてなることを特徴とする冷温蔵配膳庫。
2. 【請求項２】トレー挿入ガイド（８）は、取付本体（1
   3）に、配膳用トレー（Ｔ）の中間仕切部（Ta）の挿入
   端縁部（Tc）を係止する板状のガイド部（14）が上下方
   向に沿って設けられたもので、上記取付本体（13）が単
   位仕切壁（６）の端縁部（6a）に着脱自在に嵌合固定さ
   れてなる、請求項（１）に記載の冷温蔵配膳庫。