JPH07189383A - 構築用パネル体の接合方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熟練工を必要とすることなく短時間に施工で
きて強度の大きな壁体が得られ、しかも綺麗な表面で仕
上げることができるようにする。 【構成】 下段パネル体Ｐの上に上段パネル体Ｐを設置
した後、上段パネル体Ｐの裏側上部に設けた係止具４か
ら下段パネル体Ｐの裏側上部に設けた係止具４に向けて
連結棒６を配設した状態とし、上段パネル体Ｐの裏側上
部で操作して連結棒６を下段パネル体Ｐの係止具４に固
定する。連結棒６を操作するだけでパネル体Ｐ同士の接
合ができ、しかも積み上げた上段のパネル体Ｐの上部か
ら連結作業が行える。表側に化粧材２を備えたパネル体
Ｐを使用することによりそのまま外壁材として利用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物回りの塀や建物の
外壁、内壁又は間仕切り壁、さらには擁壁等のコンクリ
ート構築物を形成するのに使用される構築用パネル体の
接合方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、建物回りの塀や建物の外壁、内壁
又は間仕切り壁、擁壁等を構築する場合、型枠を組み立
ててその中に躯体コンクリートを打設した後、型枠を取
り除き必要に応じて表面にタイル等の化粧材を貼り付け
たりモルタル仕上げを行うようにしている。また、コン
クリートブロックやプレキャストコンクリートを用い、
中空部に補強鉄筋を挿通してこれらを組積する方法も採
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、型枠を
使用する場合には、上記したように型枠の組立工事と解
体工事が必要であり、さらに表面を綺麗にする場合には
タイル等による仕上げ工事を行うため、多くの時間と労
力を要するとともに作業自体に熟練を要することから、
近年の職人不足とあいまって工事費の高騰や工期の遅延
を招くという問題点を有している。

【０００４】また、コンクリートブロックやプレキャス
トコンクリートを使用する場合には、これらの位置決め
に時間を要するために作業能率が悪いとともに、重量物
を取り扱うために作業に危険性が伴うなどの不具合があ
る。また、仕上がった塀や擁壁はコンクリートの地肌を
露出したものが多く、このため組積後しばらくすると自
動車の排ガス等による空気の汚れや湿気によるカビやコ
ケの付着により表面が黒ずんだ状態となり、美観的にも
よくないばかりかこれらを除去するのも困難であった。

【０００５】本発明は、上述のような問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、熟練工の
技術や手間を必要とすることなく短時間に施工できて強
度の大きな壁体を得られ、しかも綺麗な表面で仕上げる
ことのできる構築用パネル体の連結方法を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る構築用パネル体の接合方法は、壁面を
構成する構築用パネル体を上方に組積みして互いに接合
する方法であって、下段パネル体の上に上段パネル体を
設置した後、上段パネル体の裏側上部に設けた係止具か
ら下段パネル体の裏側上部に設けた係止具に向けて連結
棒を配設した状態とし、上段パネル体の裏側上部で操作
して連結棒を下段パネル体の係止具に固定することによ
り下段パネル体と上段パネル体を接合することを要旨と
している。そして、基板の表側に化粧材を備えたパネル
体を使用することが好ましいものである。

【０００７】

【作用】上述の接合方法においては、パネル体を上下に
積み重ねた状態で連結棒を操作するだけで下段パネル体
に対して上段パネル体が接合される。そして、連結棒の
固定操作が上段パネル体の裏側上部にて行われるので、
狭い場所においても接合作業が容易となる。また、基板
の表側に化粧材を備えたパネル体を使用すれば、パネル
体がそのまま外壁材としての役目を果たす。

【０００８】

【実施例】以下、本発明に係る構築用パネル体の接合方
法を複数の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。

【０００９】図１〜図３により第１実施例について説明
する。

【００１０】本発明で使用するパネル体Ｐは、矩形状を
した基板１とその表面に一体的に取り付けられた化粧材
２とからなる。このうち基板１としては金属、硬質合成
樹脂或いはこれらの複合体が用いられ、一方化粧材２と
してはパネル体Ｐの使用目的によってコンクリート、モ
ルタル、合成樹脂、石材、タイル等の硬質素材が適宜用
いられる。基板１と化粧材２を一体化する手段は種々考
えられるが、化粧材２にコンクリート、モルタル、合成
樹脂を用いる場合は、基板１の表面に鉤状等の突起を多
数設けておき、この突起を覆うようにして型枠を取り付
けた状態とし、その中にコンクリート、モルタル、合成
樹脂等の流動固化材を流し込んで基板１の表面に化粧材
２を形成すればよい。また、化粧材２として大理石等の
石材やタイルを用いる場合は、基板１と化粧材２とを多
数のネジにより取り付けるか或いは強力な接着剤を用い
て互いに固着するなどの方法が採られる。また、このパ
ネル体Ｐには、基板１と化粧材２がインロー継ぎのため
の段差３を形成するようにして一体化されている。な
お、このような段差３は基板１や化粧材２の端縁に設け
てあってもよく、かみ合わせのための形状も任意であ
る。また、本発明で使用するパネル体Ｐは、基板１と化
粧材２を同一材料で一体に形成したものであってもよ
い。

【００１１】本実施例では、最下段のパネル体Ｐとし
て、図示の如く左右に挿通溝４ａ，４ｂを有する係止具
４を裏側上部に取り付けたパネル体Ｐを使用する。ま
た、２段目以上のパネル体Ｐとして、裏側上部に同様な
係止具４とこの係止具４の下方の裏側下部に軸受５を取
り付けるとともに、この軸受５に連結棒６を回動可能に
支持させたパネル体Ｐを使用する。ここで、連結棒６は
さや管６ａの部分で軸受５の軸芯５ａにピン５ｂ止めさ
れて回動可能になっており、下端に係止板６ｂを備える
とともに上端はネジ６ｃが切られてナット７で係止具４
の右上傾斜面４ｃに仮固定されている。なお、係止具
４、軸受５及び連結棒６は工場にて予めパネル体Ｐに取
り付けておくものである。

【００１２】パネル体Ｐを敷設するには、まず基礎Ｃに
一対ごとに並んで固設されたアンカー８に対しベース板
９をナット１０で固定して設置する。そして、最下段の
パネル体Ｐをベース板９に沿って設置してから、下段連
結棒１１を係止具４の右側挿通溝４ｂに挿通し、ベース
板９のネジ切り筒９ａに螺合した後、連結棒１１の上端
のネジ１１ａにナット１２を螺合して係止具４に固定す
る。このようにして１段目のパネル体Ｐを順次横方向に
敷設しながら、横方向の連結をターンバックル１３で行
う。すなわち、ターンバックル１３のフックを係止具４
の取付体１４に引っ掛けて締め付ける。

【００１３】続いて２段目（上段）のパネル体Ｐのナッ
ト７を緩め、軸受５の軸芯５ａを中心に連結棒６を右側
に若干回転させた状態とし、この状態で１段目（下段）
のパネル体Ｐの上に２段目のパネル体Ｐを設置して位置
決めする。これにより、上段パネル体Ｐの裏側上部にあ
る係止具４から下段パネル体Ｐの裏側上部にある係止具
４に向けて連結棒６が配設された状態になる。そして、
連結棒６の上部を手で持って左側に回転させると、連結
棒６の下部が下段パネル体Ｐにおける係止具４の左側挿
通溝４ａに入り込むと同時に、連結棒６下端の係止板６
ｂが係止具４の左下傾斜面４ｄにすり付いて上段パネル
体Ｐが下段パネル体Ｐに接合される。このように連結棒
６の下端を下段パネル体Ｐに固定してから、連結棒６の
上端にあるナット７を上段パネル体Ｐにおける係止具４
の右上傾斜面４ｃに締め付けて固定する。このようにし
て２段目のパネル体Ｐを順次横方向に敷設しながら、前
記と同様にしてターンバックル１３にて横方向の連結を
行う。このような横方向の連結は、パネル体Ｐの施工状
況に応じて１段ごと、１段置き、２段置きという具合に
適宜施される。なお、パネル体Ｐの敷設は、図示のよう
に上下段のパネル体Ｐの目地を上下方向に揃えて行う場
合に限らず、千鳥状となるようにして行うことも可能で
ある。

【００１４】ここで、図３のようにパネル体Ｐが対向し
て設置される場合は、係止具４の取付体１４にターンバ
ックル１３を引っ掛けて対向するパネル体Ｐ同士を連結
すればよい。

【００１５】上記の手順を繰り返して上方向にパネル体
Ｐを組積みした後、パネル体Ｐの裏側の空間に、或いは
パネル体Ｐを対向して設置した場合にはその間の空間に
コンクリートを打設する。この場合、連結棒やターンバ
ックルが鉄筋の役目を果たすので好都合である。そし
て、コンクリートの硬化後は、パネル体Ｐを外壁材とし
てそのまま使用することができる。

【００１６】図４及び図５により第２実施例について説
明する。

【００１７】本実施例ではパネル体Ｐとして、裏側上部
に図示の如き水平な板状の係止具２１を有したものを使
用する。この係止具２１はパネル体Ｐの基板１にボルト
やネジ又は接着剤で取り付けたり、埋め込んだりするこ
とで取り付けられる。また、パネル体Ｐ全体又は基板１
が金属や硬質合成樹脂である場合には、係止具２１を一
体成形して作成することができる。

【００１８】本実施例では、第１実施例と同様にして、
まず基礎Ｃに固設したアンカー８にベース板９を取り付
ける。そして、１段目のパネル体Ｐをベース板９に沿っ
て設置してから、座金２２の孔に連結棒２３を挿通し、
この連結棒２３を係止具２１の調整孔２１ａに挿通させ
た後、連結棒２３の下端にある雄ネジ２３ａをベース板
９のネジ切り筒９ａに螺合する。この場合、連結棒２３
の上端ナット部２３ｂをレンチ又はドライバーにより締
め付けるようにするが、調整孔２１ａは大きくなってい
るので位置調整が可能である。このようにして１段目の
パネル体Ｐを順次横方向に敷設し、係止具２１の直立部
２１ｂ同士を直接ボルトで止めるか、係止具２１の孔２
１ｃを利用して板部材２４により横連結を行う。

【００１９】続いて、２段目（上段）のパネル体Ｐを同
じ要領で敷設する。すなわち、１段目（下段）のパネル
体Ｐの上に２段目のパネル体Ｐを設置し、座金２２を通
した連結棒２３を上段パネル体Ｐにおける係止具２１の
調整孔２１ａに挿通させ、このように上段パネル体Ｐの
裏側上部にある係止具２１から下段パネル体Ｐの裏側上
部にある係止具２１に向けて連結棒２３を配設した後、
連結棒２３の下端にある雄ネジ２３ａを下段パネル体Ｐ
における係止具２１の連結孔２１ｄに螺合することによ
り、上段パネル体Ｐを下段パネル体Ｐに接合する。そし
て、横方向の連結を１段目のパネル体Ｐの場合に述べた
のと同様にして行う。また対向するパネル体Ｐ同士の連
結は、係止具２１の孔２１ｅを利用してターンバックル
等により行う。

【００２０】図６〜図９により第３実施例について説明
する。

【００２１】本実施例で使用するパネル体Ｐは、裏側上
部に２条のアリ溝１ａ，１ｂと下部に１条のアリ溝１ｃ
を有している。このアリ溝はパネル体Ｐの裏側に一体成
形して作成すればよいが、形成するのが難しい場合に
は、アリ溝の形状をしたプラスチック材を射出成形で作
っておき、コンクリート型枠にこのプラスチック材を設
置してコンクリートを流し込み、プラスチック材を埋め
殺しにすることでアリ溝を形成することができる。

【００２２】上記のパネル体Ｐを用いてコンクリート構
築物を形成するには、まず基礎Ｃに予め固設されたアン
カーに沿って１段目のパネル体Ｐを設置し、図８に示す
如きネジ棒３１ａのあるアリ溝係合部材３１をパネル体
Ｐ下部のアリ溝１ｃに挿入してから、Ｌ型部材３３と２
個の蝶ナット３２を用いて図示の如く基礎Ｃに対してパ
ネル体Ｐを自立状態で固定する。このようにして１段目
のパネル体Ｐを順次横方向に敷設する。次いで、パネル
体Ｐにおける上部のアリ溝１ａ，１ｂのうちの上側のア
リ溝１ａにアリ溝係合部材３１を挿入し、そのネジ棒３
１ａに係止具３４の孔を通して蝶ナット３２で固定する
ことでパネル体の裏側上部に係止具３４を取り付ける。
なお、１段目のパネル体Ｐにおける上部のアリ溝１ａ，
１ｂのうちの下側のアリ溝１ｂは不要であるが、パネル
体Ｐを組み立てた後でコンクリートを打設した際のパネ
ル体Ｐとコンクリートの付着に対しては有効である。１
段目のパネル体Ｐとしてこの部分のないパネル体を使用
するか否かは、パネル体の形状及び材質により適宜使い
分けるとよい。

【００２３】続いて、１段目（下段）のパネル体Ｐの上
に２段目（上段）のパネル体Ｐを設置するが、このパネ
ル体Ｐには予めその上部のアリ溝１ａ，１ｂのうちの下
側のアリ溝１ｂに対し、図８に示すアリ溝係合部材３１
により連結棒３５をその上端で仮固定しておく。そし
て、下段パネル体Ｐの係止具３４における偏心軸３４ａ
の内側に連結棒３５を差し込むようにして上段パネル体
Ｐを設置した後、連結棒３５を位置決めしてからその上
部を蝶ナット３２を締めて固定する。このように上段パ
ネル体Ｐの裏側上部にある係止具３４から下段パネル体
Ｐの裏側上部にある係止具３４に向けて連結棒３５を配
設した後、先端にリング３６ａのある操作棒３６を使用
し、下段パネル体Ｐの係止具３４における偏心軸３４ａ
のツメ３４ｂにリング３６ａを掛けた状態で引き上げて
偏心軸３４ａを図９に示す如く回動させ、連結棒３５の
下端にある凹部３５ａに嵌入させることで連結棒３５を
固定する。別の方法としては、偏心軸３４ａに設けた係
止ナット３４ｃにスパナ（工具）を差し込み回転させて
締め付けるようにすることもできる。また、パネル体Ｐ
の他の連結方法として、予め工場にて係止具３４及び連
結棒３５をアリ溝係合部材３１と蝶ナット３２で固定し
ておき、現場にてパネル体Ｐをそれぞれ連結するように
してもよい。この場合、係止具３４の偏心軸３４ａを連
結棒３５の幅より長くするとともに図９に示すように連
結棒３５との間に隙間αを設けておけば、余裕ができる
ので現場にて微調整を行いながらの連結が可能である。

【００２４】なお、隣接するパネル体Ｐ同士の横連結は
係止具３４の孔３４ｄを利用してターンバックル１３に
より行えばよく、また対向するパネル体Ｐ同士の連結は
係止具３４の孔３４ｅを利用してターンバックルにて行
うようにすればよい。

【００２５】図１０〜図１３により第４実施例について
説明する。

【００２６】この実施例では、１段目のパネル体Ｐとし
て裏側下部に１本のアリ溝１ｃと裏側上部に１本の台形
突条１ｄを有したものを、２段目以上のパネル体Ｐとし
て裏側上部にのみ１本の台形突条１ｅを有したものを使
用する。

【００２７】まず、１段目のパネル体Ｐを第３実施例の
場合と同様に下部のアリ溝１ｃを利用して基礎Ｃに対し
て自立状態で固定した後、上部の台形突条１ｄをに対し
フック４１ａ付きの係止具４１を取り付ける。この場
合、蝶ナット３２やセパレーター取付具４２をねじ込む
ことにより係止具４１を固定する。そして、このセパレ
ーター取付具４２にターンバックル１３をかけ渡して横
に隣接するパネル体Ｐ同士を連結するとともに、対向す
るパネル体Ｐがある場合にはセパレーター取付具４２の
リング部分ターンバックルを引っ掛けて連結する。

【００２８】続いて、１段目（下段）のパネル体Ｐの上
に２段目（上段）のパネル体Ｐを設置した後、上段パネ
ル体Ｐの台形突条１ｅに対し係止具４３を固定する。こ
の係止具４３には２股の係止板４３ａが突設され、係止
板４３ａの間に腕部材４４が回動可能に支持されるとと
もに、腕部材４４の途中に連結棒４５がその上端で回動
可能に支持されており、係止具４３は図１１に示す如く
連結棒４５下端の鉤部分４５ａが下段パネル体Ｐにおけ
る係止具４１のフック４１ａに対向するようにして位置
決めして固定する。なお、係止具４３の固定は、前記の
場合と同様に蝶ナット３２やセパレーター取付具４２を
ねじ込むことによって行う。このように上段パネル体Ｐ
の裏側上部にある係止具４３から下段パネル体Ｐの裏側
上部にある係止具４１に向けて連結棒４５を配設した
後、腕部材４４を図１１の矢印方向に回動させ、連結棒
４５下端の鉤部分４５ａを係止具４１のフック４１ａに
かみ合わせて緊張させることで図１２に示す如く連結棒
４５を下段パネル体Ｐの係止具４１に固定する。このよ
うにして２段目以降のパネル体Ｐを次々と組積して接合
していくようにする。そして、セパレーター取付具４２
にターンバックル１３をかけ渡して横に隣接するパネル
体Ｐ同士を連結するとともに、対向するパネル体Ｐがあ
る場合にはセパレーター取付具４２のリング部分にター
ンバックルを引っ掛けて連結する。

【００２９】３段目以上のパネル体Ｐを組積みして接合
するに際しては、図１３に示すように係止具４３の係止
板４３ａに設けた溝４３ｂに係止棒４６を挿入してナッ
ト４７で固定し、この係止棒４６をフックとして使用す
る。すなわち、上段パネル体Ｐから配設された連結棒下
端の鉤部分をこの係止棒４６にかみ合わせるようにして
３段目以降のパネル体Ｐを接合する。なお、連結棒４５
が係止棒４６に当たらない範囲で移動する場合には、係
止棒４６を係止板４３ａに直接取り付けてあってもよ
い。

【００３０】また、本実施例における別の方法として
は、係止具４３に上記のような係止棒４６を設けず、台
形突条１ｅに対して前記したフック４１ａ付きの係止具
４１を係止具４３と並べて固定するようにし、連結棒４
５を千鳥状に配置するようにしてもよい。さらに別の方
法としては、２段目以降のパネル体Ｐの裏側上部に２本
の台形突条を設けておき、その下側の台形突条に係止具
４３を、上側の台形突条にフック４１ａ付きの係止具４
１を固定するようにしてもよい。

【００３１】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は第１〜４実施例の図面に限定されるものではなく、
パネル体の種類と係止具の固設手段は種々の組合せが可
能である。例えば、第２実施例で用いた如き係止具２１
は第３，４実施例で示したようなアリ溝や台形突条を有
するパネル体にも適用でき、また第３，４実施例に示し
た如き係止具３４，４１は第１，２実施例のようにアリ
溝や台形突条のないパネル体にも適用できる。さらに第
３実施例の如き係止具３４は第４実施例のパネル体に、
第４実施例の如き係止具４１は第３実施例のパネル体に
各々適用することができる。

【００３２】また、構築物の角部に使用するパネル体は
出隅用又は入隅用として水平断面形状がＬ形状をしたも
のを適宜使用することは言うまでもない。また、コンク
リート構築物の場合、組積みしたパネル体の裏側の空間
に、或いはパネル体を対向して設置した場合にはその間
の空間にコンクリートを打設するわけであるが、図１４
に示す如き裏側に窪み５１を設けたパネル体Ｐや、或い
は図１５に示す如き窪みの中に網５２を取り付けたパネ
ル体Ｐを使用すれば、埋殺し型枠としても利用でき、コ
ンクリートの打設時にコンクリートの付着が良くなって
構築物全体の強度が増すようになる。

【００３３】なお、連結棒を固定する手段によっては、
連結棒に引張力が働き、その反作用でパネル体Ｐの接合
面が押されると共に接合部分に曲げ応力が発生する場合
があるので、このような場合は上下段のパネル体Ｐの接
合面に図１６に示す如き凹凸状の嵌合を設けてこの応力
に対処する。すなわち、曲げ応力が殆どない場合にはフ
ラットな接合面でもよいが、無視できない曲げ応力が作
用する場合にはその大きさに応じて（ａ）〜（ｃ）のよ
うな形状で接合面を設ければよい。ここで、（ｃ）のよ
うな形状の場合、接合面に沿って全体に凹凸を設けずと
も、適宜の箇所に設けておき、ずらした状態で接合面同
士を当接させた後でスライドさせて正規の位置で嵌合さ
せるようにすることもできる。このように接合面に凹凸
状の嵌合を設けることにより接合効果も増大する。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の構築用パ
ネル体の接合方法は、下段パネル体の上に上段パネル体
を設置した後、上段パネル体の裏側上部に設けた係止具
から下段パネル体の裏側上部に設けた係止具に向けて連
結棒を配設した状態とし、上段パネル体の裏側上部で操
作して連結棒を下段パネル体の係止具に固定することに
より下段パネル体と上段パネル体を接合するようにした
ので、何らの熟練を必要とせず、連結棒を操作するだけ
で簡単にパネル同士の接合ができ、しかも積み上げた上
段のパネル体の上部から連結作業が行なえるため、少な
い労力で短期間にコンクリート構築物を施工することが
できる。

【００３５】また、表側に化粧材を備えた構築用パネル
体を使用することにより、該パネル体がコンクリート型
枠と化粧材を兼ね備えており、施工後においてそのまま
で綺麗な表面となることから、型枠の解体作業とタイル
貼り等の表面仕上げが不要となる。さらに、施工後にお
いて連結棒が埋め殺された状態になり、躯体用の鉄筋が
具備されたものとなるので、鉄筋工による作業も不要と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る接合方法の第１実施例を説明する
ための図である。

【図２】連結棒を固定する状態を示す説明図である。

【図３】パネル体を対向して設置した状態を示す断面図
である。

【図４】本発明に係る接合方法の第２実施例を説明する
ための図である。

【図５】第２実施例の接合手順を示す説明図である。

【図６】本発明に係る接合方法の第３実施例を説明する
ための図である。

【図７】第３実施例の接合手順を示す説明図である。

【図８】第３実施例で使用するアリ溝係合部材を示す斜
視図である。

【図９】第３実施例で連結棒を固定する手順を示す説明
図である。

【図１０】本発明に係る接合方法の第４実施例を説明す
るための図である。

【図１１】第４実施例で連結棒を固定する手順を示す説
明図である。

【図１２】同じく連結棒を固定した状態を示す説明図で
ある。

【図１３】第４実施例で連結棒をかみ合わせるための係
止棒を取り付ける状態を示す説明図である。

【図１４】パネル体の変形例を示す斜視図である。

【図１５】パネル体の変形例を示す斜視図である。

【図１６】パネル体の接合面を説明するための断面図で
ある。

【符号の説明】

Ｐ 構築用パネル体 ２ 化粧材 ４ 係止具 ６ 連結棒 ２１ 係止具 ２３ 連結棒 ３４ 係止具 ３５ 連結棒 ４１，４３ 係止具 ４５ 連結棒

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁面を構成する構築用パネル体を上方に
   組積みして互いに接合する方法であって、下段パネル体
   の上に上段パネル体を設置した後、上段パネル体の裏側
   上部に設けた係止具から下段パネル体の裏側上部に設け
   た係止具に向けて連結棒を配設した状態とし、上段パネ
   ル体の裏側上部で操作して連結棒を下段パネル体の係止
   具に固定することにより下段パネル体と上段パネル体を
   接合することを特徴とする構築用パネル体の接合方法。
2. 【請求項２】 基板の表側に化粧材を備えたパネル体を
   使用することを特徴とする請求項１記載の構築用パネル
   体の接合方法。