JPH07189338A - ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法 - Google Patents

ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法

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JPH07189338A
JPH07189338A JP32921793A JP32921793A JPH07189338A JP H07189338 A JPH07189338 A JP H07189338A JP 32921793 A JP32921793 A JP 32921793A JP 32921793 A JP32921793 A JP 32921793A JP H07189338 A JPH07189338 A JP H07189338A
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frame
cable
tension
main frame
bundle
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JP32921793A
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English (en)
Inventor
Kimimasa Hirasawa
仁正 平沢
Tatsuo Hatato
龍夫 畑戸
Akira Taga
章 多賀
Ikuo Tatemichi
郁生 立道
Satoshi Fujiwara
智 藤原
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Maeda Corp
Original Assignee
Maeda Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 張力導入作業が容易なようにして施工コスト
の低減、張力管理の簡易化、及びケーブル張力の均一化
を図り、さらに、屋根架構全体の把握が容易な屋根架構
内部にて簡単かつ確実に張力導入作業を実施できるドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法を提供する。 【構成】上端を主架構10に接続し、下端を補強架構に
11に接続する接続装置Sとして、束材Tの下端と補強
架構11との間隔を可変にする長さ調整機構30を備え
た構造としておき、この接続装置S及び束材Tの配設後
に長さ調整機構30により束材Tの下端と補強架構11
との間隔を大きくして主架構10及び補強架構11間の
間隔を拡げることによりケーブルに張力を導入する方法
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば野球場やサッカ
ー場などの運動競技施設、あるいはその他の大規模施設
に適用されるドーム式屋根架構におけるケーブル張力導
入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、室内の運動競技施設等には、大規
模な固定ドーム式屋根が採用されてきている。この固定
ドーム式屋根の構造形式としては、鉄骨トラス構造、ケ
ーブル構造、張弦梁構造などが知られている。
【0003】前記鉄骨トラス構造は、構成鉄骨材を複層
トラス状に接続して比較的良好な構造安定性が得られる
複層トラスドームと、図15に示す構成鉄骨材を平面ト
ラス状に接続してなる単層トラスドーム1とに分類され
ているが、前記複層トラスドームは、屋根の構造安定性
を得るための施工費用の増大、工期の長期化などの面で
種々問題がある。そのため、軽量化や施工費用の低減化
及び工期の短縮化などの点で有利な単層トラスドーム1
が採用される場合がある。
【0004】一方、固定ドーム式屋根としてのケーブル
構造は、図16に示すように、複数本の上弦材や下弦材
として多数本の放射ケーブル2、3が配設され、それら
放射ケーブル2、3間に束材4が鉛直配置に支持された
構造とされ、外周方向に向けて大きな張力が導入された
ケーブル2が、ドーム境界部(ドーム式屋根の外周部)
のコンプレッションリング5に締結される構造とされて
いる。
【0005】ところで、上述した単層トラスドーム1
は、例えば積雪等の偏荷重により容易に崩壊しやすいと
いうドーム構成材の座屈耐力の面で問題があるととも
に、ドーム境界部構造は、ドーム境界部に矢印A方向に
加わる大きなスラスト(単層ドーム全体を支持するドー
ム内部力)を処理するために強靭なテンションリング6
としなければならず、このテンションリング6とこれを
支持するための外周構造体の構築にかかる建設コストが
大幅に増大してしまうという問題があった。
【0006】また、上述したケーブル構造においても、
可橈性のケーブル2、3が構成部材とされたフレキシブ
ルな構造であるため、構造安定性を高めるためにケーブ
ル2に大きなプレストレスが必要となる。そのため、前
記単層ドーム1とは逆に、ドーム境界部材を矢印B方向
の大きなスラスト荷重に対抗する強靭なコンプレッショ
ンリング5としなければならず、コンプレッションリン
グ5とこれを支持する外周構造体の構築にかかる建設コ
ストが大幅に増大してしまうという問題があった。
【0007】そこで、本出願人は、いわゆる「サスペン
・ドーム」と称して、単層トラスドームとケーブルドー
ムを組み合わせてハイブリッド構造とすることにより、
単層トラスドーム式屋根架構の持つ利点とケーブル式ド
ーム屋根架構の持つ利点を効果的に発揮させつつ欠点を
補う構成とし、これにより大幅な軽量化、並びに主架構
の外周境界部に加わるスラスト荷重を著しく低減させて
建設コストの削減化を図り、さらに主架構の上部中央を
補強して複層トラスドームと同様に優れた構造安定性が
得られるようにしたドーム式屋根構造(特願平5ー18
1659号)を既に提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな各種構造形式のドーム式屋根架構において、特に、
ケーブルドーム構造やサスペン・ドーム構造、あるいは
張弦梁構造などのようにケーブルを用いたドーム式屋根
架構では、その屋根架構を構成する多数本のケーブルに
対して張力を導入する作業を必要とするため、以下のよ
うな課題があった。即ち、この張力導入作業として、例
えばケーブルドームやサスペン・ドームでは、その屋根
架構の外周部に位置させた多数の放射ケーブルを外周構
造体側からジャッキにより引っ張って張力を導入する方
法で行われているが、使用するジャッキが放射ケーブル
の本数に対応する数だけ必要となるために張力導入のた
めのコストが大となる問題があった。特に、ケーブルド
ームなどのように張力を導入するケーブルも多大な本数
となり、しかも張力導入箇所が多重に重なったり交差し
たりする箇所も存在する構造となるものでは、ケーブル
への張力導入上の重要な問題となっていた。また、ケー
ブルドームなどのように、ジャッキによる張力導入を屋
根架構の外周部分から行う方法では、作業上必要な屋根
架構全体の把握が難しいという問題もあった。
【0009】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、ケーブルへの張力導入方法として束材の下
端を補強架構に接続する接続装置に着目し、その接続装
置として、接続装置自体が前記束材の軸方向に伸縮可能
な長さ調整機構を備えた構造としておき、長さ調整機構
により接続装置自体を伸張させて主架構及び補強架構間
の間隔を拡げることによりケーブルに張力を導入する方
法とし、これにより張力導入作業が容易なようにして施
工コストの低減、張力管理の簡易化、及びケーブル張力
の均一化を図り、さらに、屋根架構全体の把握が容易な
屋根架構内部にて簡単かつ確実に張力導入作業を実施で
きるドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法を提供し
ようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
屋根を支持するための外周構造体上に架設されるドーム
状の主架構と、この主架構の下面側に配設されてその主
架構を補強する補強架構と、この補強架構に下端が接続
装置を介して連結され上端が前記主架構に連結される束
材とを備え、かつ、前記主架構及び補強架構のうちの少
なくとも補強架構が、ケーブルにて構成されるドーム式
屋根架構のケーブル張力導入方法であって、前記接続装
置として、前記束材の下端と補強架構との間隔を可変に
する長さ調整機構を備えた構造としておき、この接続装
置及び束材の配設後に長さ調整機構により束材の下端と
補強架構との間隔を大きくして主架構及び補強架構間の
間隔を拡げることによりケーブルに張力を導入すること
を特徴としている。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載のド
ーム式屋根架構のケーブル張力導入方法において、前記
接続装置の長さ調整機構の動力源として、束材に反力を
とる反力治具を備えた油圧ジャッキを用いることを特徴
としている。
【0012】
【作用】請求項1記載のドーム式屋根架構のケーブル張
力導入方法では、接続装置として、前記束材の下端と補
強架構との間隔を可変にする長さ調整機構を備えた構造
としたものを用いているので、接続装置の配設時には、
その長さ調整機構により束材の下端と補強架構との間隔
を小さくした状態で配設しておき、接続装置の配設後に
おいて長さ調整機構により束材の下端と補強架構との間
隔を大きくすると、接続装置を介して束材に発生する軸
方向(上下方向)の力が主架構及び補強架構間の間隔を
拡げるように作用する。このとき、主架構の鉛直荷重は
束材及び接続装置を介して補強架構に伝達されるので、
まず、補強架構を構成するケーブルに張力が導入され
る。束材の下端と補強架構との間隔をさらに拡げると、
補強架構を構成するケーブルにさらに大きな張力が導入
されていくが、この張力は逆に接続装置及び束材を介し
て主架構を押し上げる反力として作用する。
【0013】請求項2記載のドーム式屋根架構のケーブ
ル張力導入方法では、前記接続装置の長さ調整機構の動
力源として、束材に反力をとる反力治具を備えた油圧ジ
ャッキを用いているので、油圧ジャッキの反力受けが、
反力治具、束材、並びに主架構で構成されることにな
る。したがって、張力導入のために必要な大きな反力受
けを別途に構築しなくても済む張力導入方法となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明のドーム式屋根架構におけるケ
ーブル張力導入方法の実施例を、図1ないし図14を参
照して説明する。図に示す実施例は、本発明によるドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法を、単層トラスド
ームとケーブルドームを組み合わせてハイブリッド構造
としたドーム式屋根架構「サスペン・ドーム」に適用し
た例を示すもので、本発明に係るケーブル張力導入方法
を説明する前に、まず、これらの図に示すドーム式屋根
架構の構造について説明する。
【0015】図示例のドーム式屋根架構は、側面視にお
いて上方に湾曲しているとともに平面視円形状に構築さ
れて大規模施設を覆う主架構10(図1および図2参
照)と、この主架構10の中央部において一体に構築さ
れた複層トラス部18(図3参照)と、主架構10を補
強する補強架構11(図4および図6参照)と、この補
強架構11に接続装置Sを介して下端が連結され上端が
前記主架構10に連結された複数の束材T…(図6、図
9、図10参照)とを備えた構成とされている。
【0016】主架構10は、複数の鉄骨材が相互に平面
トラス状に接続されて構築された直径200m、高さ3
0m(ライズ/スパン比0.15)前後のラチス形式構
造体である。即ち、図1に示すように平面視円形状に形
成される主架構10の外周縁部には、複数本の外周材1
2が相互に接合されて外周境界リング13が形成されて
いる。
【0017】そして、外周境界リング13より内部に
は、外周境界リング13と円中心Pを一致させた状態で
径を漸次縮小させながら、複数の円周材15を相互に接
合してなる8つの内周円14a、14b…が形成されて
いる。また、これら内周円14a、14b…は、円中心
Pに向かうに従い、漸次高さが上昇する形態で設けられ
ている。
【0018】また、外周境界リング13の円中心Pを通
過する径方向には、円中心Pに向かうに従い漸次高さを
上昇させた状態で複数の放射材16が相互に接合されて
いる。そして放射材16…相互は、円中心P側において
は径方向に接合されているが、外周境界リング13側に
向かうに従い漸次周方向に向いて接合されている。
【0019】これら、外周材12、円周材15及び放射
材16が相互に接続されることにより、平面視円形状で
上方に湾曲し、かつ上部中央に円形開口部17を有する
主架構10が構成されている。そして、前述した主架構
10の外周に設けられた外周境界リング13は、主架構
10の外周縁部に発生する側面視矢印方向のスラストF
1(主架構を支持する施設を推す力)を負担する構造と
されている。
【0020】一方、補強架構11は、主架構10の下方
位置に主架構10と一体に配置される。即ち、補強架構
11は、図4〜図6に示すように、主架構10の外周境
界リング13よりも小径のリング状に形成された円周ケ
ーブル11aと、この円周ケーブル11aと前記外周境
界リング13との間に張設された複数の放射ケーブル1
1b…とを備えて構成されている。
【0021】前記円周ケーブル11aのリング径(直
径)としては、実施例では、主架構10の外周境界リン
グ13よりも一つだけ内側に位置する内周円14aの直
径とほぼ同一とされており、したがって、各束材Tの上
端は、内周円14a上における円周材15と放射材16
との接合部Bに対して回動自在にそれぞれ連結された構
成とされている。
【0022】そして、上記構造とされた補強架構11は
図5及び図6に示すように、主架構10との中心を互い
に一致させた状態で主架構10の内面側に組み合わされ
て構築される。その際に、各束材Tの上端を主架構10
の接合部Bにそれぞれ連結するとともに、下端を円周ケ
ーブル11aと放射ケーブル11bとの交差部に対して
後述する接続装置Sを用いて連結し、また、全ての放射
ケーブル11bの外端部を、図7に示すように主架構1
0の外周境界リング13に締結する。
【0023】この図7および図8は、主架構10の外周
境界リング13の支持構造(周辺支持構造)例を示すも
ので、外周境界リング13部分を支持するための下部構
造である外周構造体Kの上部と外周境界リング13との
間に設けられたピンローラ機構20を介して支持されて
いる。このピンローラ機構20は、外周境界リング13
と一体に設けられた上シュー21と、外周構造体K上に
設けられた下シュー22と、これら上シュー21および
下シュー22との間に介在するベアリングプレート23
とを有する構成とされ、これにより外周境界リング13
は放射方向フリー、円周方向ピン支持となる形態で外周
構造体Kに支持された構成とされている。図8において
符号24は外周境界リング13の浮き上がり止めを示し
ている。
【0024】前記束材Tの下端は、本実施例においては
図9、図10に示すように、円周ケーブル11aと放射
ケーブル11bを接続するための接続装置Sに連結され
ている。この接続装置Sは、互いに間隔をおいて上下に
配置される円盤状の固定板31、及び可動板32を備
え、固定板31の上面から突設された対ブラケット30
a、30aに、前記束材Tの下端のブラケットTaがボ
ルト30bを介して縦回動自在にヒンジ結合されてい
る。
【0025】固定板30には、その下面から下方へ突出
する形態となる4本の支持ボルト33…のそれぞれの一
端部が熔接により固定されている。これら4本の支持ボ
ルト33は、円盤状の固定板31の周方向に等間隔で設
けられ、かつ、これら4本の支持ボルト33の他端部が
可動板32を貫通する形態で設けられている。そしてこ
れら4本の支持ボルト33には、それぞれについて3個
の調整ナット34が、合計で12個の調整ナット34が
螺合されている。即ち、固定板31と可動板32の間に
2個づつ、可動板32の下面側に1個づつ螺合されてお
り、これにより接続装置S自体の上下方向の長さを伸縮
させて束材Tの下端と補強架構との間の間隔を調整する
長さ調整機構30が構成されている。
【0026】可動板32の下面には、図11で明示する
ように、ほぼ十字状に交差する放射ブラケット35、3
5が熔接により固定され、そしてこの放射ブラケット3
5、35に対して、図12に示すように、放射ケーブル
11bの内端部が一対の連結板36、36、及びボルト
37、37を介してヒンジ結合されている。また、この
放射ケーブル11bの途中には、この放射ケーブル11
bの長さを調整するためのターンパックル38がそれぞ
れ設けられている。
【0027】また、放射ブラケット35、35の下に
は、円周ケーブル11aを接続するための支点金具39
が熔接により固定されて設けられている。この支点金具
39は、ここでは水平方向に間隔をおいて配される一対
の円周ケーブル11a、11aを上下から挟んで保持
(摩擦接合)する一対の保持板39a、39bを備えた
構成とされている。
【0028】図13及び図14は、ケーブルへの張力導
入の際に、接続装置Sの長さ調整機構30の動力源とし
て油圧ジャッキ40を用いた場合に好適な例を示すもの
で、この油圧ジャッキ40は、束材Tから反力をとる反
力治具50を備えた構成とされている。この反力治具5
0は、ボルト止めにて組まれる全体として箱型の骨組み
を有するように構成されている。即ち、束材Tの下端を
左右から挟むように配置される溝形鋼等からなる上辺材
51、51と、同じく溝形鋼からなる下向き配置の下辺
材52と、上下方向に配置されてこれら上辺材51、5
1及び下辺材52を連結する複数(4つ)の縦材53…
とを備え、前記上辺材51、51の上面が束材Tのフラ
ンジTfの下面に当接するように構成されている。そし
て、油圧ジャッキ40のロッド41が下辺材52を貫通
して、接続装置Sの支点金具39に着脱可能に取り付け
られ、油圧ジャッキ40のシリンダ本体43部分が下辺
材52の下面側に位置するように構成されている。
【0029】このような構成となるドーム式屋根架構に
おける補強架構11に対してケーブル張力を導入するに
は、主架構10及び補強架構11間に束材T及び接続装
置Sを配設する際に、長さ調整機構30の調整ナット3
4をねじ込んで、予め固定板31及び可動板32間の間
隔をいっぱいに小さくした状態で配設し、この状態にお
いて補強架構11の全ての放射ケーブル11b…を主架
構10の外周境界リング13に固定しておく。
【0030】次に、図13、図14に示すように、反力
治具50を組み立て、接続装置Sに装着し、さらに油圧
ジャッキ40のロッド41を支点金具39に取り付けて
固定する。次いで、可動板32の下面側の調整ナット3
4を十分に緩めた状態としておき、しかる後、油圧ジャ
ッキ40を作動させて、ロッド41を収縮させる。する
と、ロッド41の収縮に伴い、支点金具39が下方へ引
き下げられ、これに伴い可動板32も下方へ引き下げら
れていく。この可動板32及び支点金具39が下方へ引
き下げられると、固定板31と可動板32の間隔が大き
くなる。即ち、束材Tの下端と補強架構11との間隔が
大きくなる。
【0031】このとき、油圧ジャッキ40のシリンダ本
体43に生じる反力は、反力治具50を介して束材Tに
伝達され、さらに束材Tから主架構10へと伝達され
る。したがって、油圧ジャッキ40の反力受けが反力治
具50、束材T、主架構10で構成されることになる。
また、この際、主架構10の鉛直荷重は束材T及び接続
装置Sを介して補強架構10に伝達されるので、まず、
補強架構11を構成する円周ケーブル11a、放射ケー
ブル11bに大きな張力が導入される。
【0032】束材Tの下端と補強架構11との間隔がさ
らに大きくなると、補強架構11を構成する各ケーブル
にさらに大きな張力が導入されるが、この張力は逆に接
続装置S及び束材Tを介して主架構10を押し上げる反
力として作用する。そしてこの反力と主架構10の鉛直
荷重が釣り合い状態となってドーム式屋根架構が構成さ
れる。
【0033】目的とするケーブル張力を導入したら、可
動板32の上下の各調整ナット34…を回してその可動
板32を上下から挟むようにねじ込み、可動板32と固
定板31との間隔を保持させる。その後、油圧ジャッキ
40及び反力治具50を取り外す。
【0034】このようなケーブル張力導入方法によれ
ば、接続装置Sの長さ調整機構30の動力源として、束
材Tに反力をとる反力治具50を備えた油圧ジャッキ4
0を用いているので、油圧ジャッキ40の反力受けが、
反力治具50、束材T、並びに主架構10で構成される
ことになる。したがって、張力導入のために必要な大き
な反力受けを別途に構築しなくても済む張力導入方法と
することができる。
【0035】各ケーブルへの張力導入に際しては、接続
装置Sを用いて補強架構11を構成する円周ケーブル1
1a及び各放射ケーブル11bと束材Tの下端を連結し
ておき、この状態で長さ調整機構30を利用して放射ケ
ーブル11bと円周ケーブル11aの接続部をジャッキ
により引き下げて間隔を拡げる方法としているので、各
放射ケーブルの外端部からそれぞれの放射ケーブルに対
してジャッキを取り付けて引き寄せることにより張力を
導入する方法に比べてジャッキ数も半分で済ますことが
でき、したがって張力導入作業もその分、容易になり、
これにより施工コストの低減、張力管理の簡易化を図る
ことができる。
【0036】さらに、この張力導入作業は、屋根架構の
内部にて行うことになるので、屋根架構全体の架設状態
の把握も容易であり、したがって架設状態を把握しなが
ら行えるので、簡単かつ確実に張力導入作業を実施する
ことができる。
【0037】また、こうして張力が導入されたドーム式
屋根架構においては、主架構10単体では、外周境界リ
ング13に図2に示すように、矢印F1方向にスラスト
が発生するが、主架構10に補強架構11及び束材Tが
一体に組み合わされて屋根架構を構成するようになって
いるので、スラストF1に対抗する反力として放射ケー
ブル11b…に導入された張力T1が外周境界リング1
3にかかり、これにより外周境界リング13のスラスト
F1が軽減される。したがって、外周境界リング13の
構成部材として、引張耐力の優れた鋼材(テンション
材)を多く使用せずにこれを構成することができるだけ
でなく、その外周境界リング13を支持するための下部
構造である外周構造体K等の構築にかかる建設コストも
大幅に軽減することが可能になる。
【0038】また、複数の鉄骨材(外周材12、円周材
15、放射材16)を相互に平面トラス状に接続してな
る主架構10の下方位置に補強架構11が組み合わせら
れて構築され、補強架構11の全ての放射ケーブル11
b…に放射方向外方へ向く張力T1が導入されることに
より、鉛直配置された束材11cの束材軸力(束材が上
昇して主架構の接合部を押し上げる力)によって主架構
10の鉄骨材相互の接合部Bが均一に押し上げられる。
これにより、複層トラスドームに比べて大幅な鉄骨重量
の軽減が図られ、補強架構11による主架構10のケー
ブル補強により積雪などに対する構造安定性が複層トラ
スドームと同様のレベルとなるので、単層トラスドーム
構造を採用した主架構10の不安定性が十分に回避さ
れ、鉄骨材の座屈耐力が十分に高められる。
【0039】また、外周境界リング13部分はピンロー
ラ機構20を介して放射方向フリー、円周方向ピン支持
となる形態で外周構造体Kに支持された構成とされてい
るので、スラスト、放射方向の地震力、温度応力等をリ
リースし、外周構造体Kに対する負担をさらに軽減させ
る作用を発揮する。
【0040】なお、実施例においては、長さ調整機構3
0の動力源として、反力治具50を備えた油圧ジャッキ
40を用いた例を示したが、補強架構11にそれほど大
きな張力を導入しなくて済むような場合、例えばスパナ
なとによって長さ調整機構30の各調整ナット34を回
し、可動板32を押し下げることによって補強架構11
に張力を導入するようにしてもよい。
【0041】また、以上の実施例においては、束材及び
接続装置を利用した本発明のケーブル張力導入方法を、
単層トラスドームとケーブルドームを組み合わせてハイ
ブリッド構造とした「サスペン・ドーム」に適用した例
を示したが、主架構及び補強架構もケーブルで構成され
る公知のケーブルドーム構造、さらには張弦梁構造など
にも適用できることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法によれば、以下の
ような優れた効果を奏する。
【0043】請求項1記載の発明においては、ケーブル
への張力導入方法として束材の下端を補強架構に接続す
る接続装置に着目し、その接続装置として、接続装置自
体が前記束材の軸方向に伸縮可能な長さ調整機構を備え
た構造としておき、長さ調整機構により接続装置自体を
伸張させて主架構及び補強架構間の間隔を拡げることに
よりケーブルに張力を導入する方法としたから、各放射
ケーブルの外端部からそれぞれの放射ケーブルに対して
ジャッキを取り付けて引き寄せることにより張力を導入
する方法に比べてジャッキ数も半分で済ますことがで
き、したがって張力導入作業もその分、容易になり、こ
れにより施工コストの低減、張力管理の簡易化を図り、
さらに、この張力導入作業は、屋根架構の内部にて行う
ことになるので、屋根架構全体の架設状態の把握も容易
であり、したがって架設状態を把握しながら行えるの
で、簡単かつ確実に張力導入作業を実施することができ
る。
【0044】請求項2記載の発明においては、接続装置
の長さ調整機構の動力源として、束材に反力をとる反力
治具を備えた油圧ジャッキを用いているので、油圧ジャ
ッキの反力受けが、反力治具、束材、並びに主架構で構
成されることになる。したがって、張力導入のために必
要な大きな反力受けを別途に構築しなくても済む張力導
入方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す主架構の平面図である。
【図2】本発明の実施例を示す主架構の側面図である。
【図3】本発明の実施例を示す主架構の断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す補強架構の平面図であ
る。
【図5】本発明の実施例を示す主架構の斜視図である。
【図6】本発明の実施例を示す補強架構の斜視図であ
る。
【図7】本発明の実施例を示す支持機構の断面図であ
る。
【図8】本発明の実施例を示す支持機構の側面図であ
る。
【図9】本発明の実施例を示す接続装置の斜視図であ
る。
【図10】本発明の実施例を示す接続装置の背面図であ
る。
【図11】本発明の実施例を示すもので、図10のイー
イ線に沿う矢視断面図である。
【図12】本発明の実施例を示す接続装置の部分平面図
である。
【図13】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
るもので、反力治具を備えた油圧ジャッキの概略斜視図
である。
【図14】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
るもので、反力治具を備えた油圧ジャッキの概略側面図
である。
【図15】従来例を示す斜視図である。
【図16】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 主架構 11 補強架構 11a 円周ケーブル 11b 放射ケーブル 12 外周材 13 外周境界リング 15 円周材 16 放射材 30 長さ調整機構 35 放射ブラケット 39 支点金具 40 油圧シリンダ 50 反力治具 T 束材 S 接続装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立道 郁生 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内 (72)発明者 藤原 智 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前 田建設工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根を支持するための外周構造体上に架
    設されるドーム状の主架構と、この主架構の下面側に配
    設されてその主架構を補強する補強架構と、この補強架
    構に下端が接続装置を介して連結され上端が前記主架構
    に連結される束材とを備え、かつ、前記主架構及び補強
    架構のうちの少なくとも補強架構が、ケーブルにて構成
    されるドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法であっ
    て、前記接続装置として、前記束材の下端と補強架構と
    の間隔を可変にする長さ調整機構を備えた構造としてお
    き、この接続装置及び束材の配設後に長さ調整機構によ
    り束材の下端と補強架構との間隔を大きくして主架構及
    び補強架構間の間隔を拡げることによりケーブルに張力
    を導入することを特徴とするドーム式屋根架構のケーブ
    ル張力導入方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のドーム式屋根架構のケーブ
    ル張力導入方法において、前記接続装置の長さ調整機構
    の動力源として、束材に反力をとる反力治具を備えた油
    圧ジャッキを用いることを特徴とするドーム式屋根架構
    のケーブル張力導入方法。
JP32921793A 1993-12-27 1993-12-27 ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法 Pending JPH07189338A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101874932B1 (ko) * 2017-02-16 2018-08-02 주식회사 디유이엔지 지오데식 돔 건축물 용 판넬 지지체
CN110424610A (zh) * 2019-07-08 2019-11-08 北京建筑大学 一种索穹顶结构

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KR101874932B1 (ko) * 2017-02-16 2018-08-02 주식회사 디유이엔지 지오데식 돔 건축물 용 판넬 지지체
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