JP3421110B2 - ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法 - Google Patents

ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法

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JP3421110B2 JP35151093A JP35151093A JP3421110B2 JP 3421110 B2 JP3421110 B2 JP 3421110B2 JP 35151093 A JP35151093 A JP 35151093A JP 35151093 A JP35151093 A JP 35151093A JP 3421110 B2 JP3421110 B2 JP 3421110B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば野球場やサッカ
ー場などの運動競技施設、あるいはその他の大規模施設
に適用されるドーム式屋根架構におけるケーブル張力導
入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、室内の運動競技施設等には、大規
模な固定ドーム式屋根が採用されてきている。この固定
ドーム式屋根の構造形式としては、鉄骨トラス構造、ケ
ーブル構造、張弦梁構造などが知られている。
【0003】前記鉄骨トラス構造は、構成鉄骨材を複層
トラス状に接続して比較的良好な構造安定性が得られる
複層トラスドームと、図21に示す構成鉄骨材を平面ト
ラス状に接続してなる単層トラスドーム1とに分類され
ているが、前記複層トラスドームは、屋根の構造安定性
を得るための施工費用の増大、工期の長期化などの面で
種々問題がある。そのため、軽量化や施工費用の低減化
及び工期の短縮化などの点で有利な単層トラスドーム1
が採用される場合がある。
【0004】一方、固定ドーム式屋根としてのケーブル
構造は、図22に示すように、複数本の上弦材や下弦材
として多数本のケーブル2、3が配設され、それらケー
ブル2、3間に束材4が鉛直配置に支持された構造とさ
れ、外周方向に向けて大きな張力が導入されたケーブル
2が、ドーム境界部(ドーム式屋根の外周部)のコンプ
レッションリング5に締結される構造とされている。
【0005】ところで、上述した単層トラスドーム1
は、例えば積雪等の偏荷重により容易に崩壊しやすいと
いうドーム構成材の座屈耐力の面で問題があるととも
に、ドーム境界部構造は、ドーム境界部に矢印A方向に
加わる大きなスラスト(単層ドーム全体を支持するドー
ム内部力)を処理するために強靭なテンションリング6
としなければならず、このテンションリング6とこれを
支持するための外周構造体の構築にかかる建設コストが
大幅に増大してしまうという問題があった。
【0006】また、上述したケーブル構造においても、
可橈性のケーブル2、3が構成部材とされたフレキシブ
ルな構造であるため、構造安定性を高めるためにケーブ
ル2に大きなプレストレスが必要となる。そのため、前
記単層ドーム1とは逆に、ドーム境界部材を矢印B方向
の大きなスラスト荷重に対抗する強靭なコンプレッショ
ンリング5としなければならず、コンプレッションリン
グ5とこれを支持する外周構造体の構築にかかる建設コ
ストが大幅に増大してしまうという問題があった。
【0007】そこで、本出願人は、いわゆる「サスペン
・ドーム」と称して、単層トラスドームとケーブルドー
ムを組み合わせてハイブリッド構造とすることにより、
単層トラスドーム式屋根架構の持つ利点とケーブル式ド
ーム屋根架構の持つ利点を効果的に発揮させつつ欠点を
補う構成とし、これにより大幅な軽量化、並びに主架構
の外周境界部に加わるスラスト荷重を著しく低減させて
建設コストの削減化を図り、さらに主架構の上部中央を
補強して複層トラスドームと同様に優れた構造安定性が
得られるようにしたドーム式屋根構造(特願平5ー18
1659号)を既に提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな各種構造形式のドーム式屋根架構において、特に、
ケーブルドーム構造やサスペン・ドーム構造、あるいは
張弦梁構造などのようにケーブルを用いたドーム式屋根
架構では、その屋根架構を構成する多数本のケーブルに
対して張力を導入する作業を必要とするため、以下のよ
うな課題があった。即ち、この張力導入作業として、例
えばケーブルドームやサスペン・ドームでは、その屋根
架構の外周部に位置させた多数の放射ケーブルを外周構
造体側からジャッキにより引っ張って張力を導入する方
法で行われているが、使用するジャッキが放射ケーブル
の本数に対応する数だけ必要となるために張力導入のた
めのコストが大となる問題があった。特に、ケーブルド
ームなどのように張力を導入するケーブルも多大な本数
となり、しかも張力導入箇所が多重に重なったり交差し
たりする箇所も存在する構造となるものでは、ケーブル
への張力導入上の重要な問題となっていた。また、ケー
ブルドームなどのように、ジャッキによる張力導入を屋
根架構の外周部分から行う方法では、作業上必要な屋根
架構全体の把握が難しいという問題もあった。
【0009】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、ケーブルへの張力導入方法として束材の下
端を補強架構に接続する接続装置に着目し、その接続装
置として、束材の下端と補強架構との間隔を可変にする
長さ調整機構を備えた構造としておき、長さ調整機構に
より補強架構に反力をとり束材の下端を押し上げて主架
構及び補強架構間の間隔を拡げることによりケーブルに
張力を導入する方法とし、これにより張力導入作業が容
易なようにして施工コストの低減、張力管理の簡易化、
及びケーブル張力の均一化を図り、さらに、屋根架構全
体の把握が容易な屋根架構内部にて簡単かつ確実に張力
導入作業を実施できるドーム式屋根架構のケーブル張力
導入方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
屋根を支持するための外周構造体上に架設されるドーム
状の主架構と、この主架構の下面側に配設されてその主
架構を補強する補強架構と、この補強架構に下端が接続
装置を介して連結され上端が前記主架構に連結される束
材とを備え、かつ、前記主架構及び補強架構のうちの少
なくとも補強架構が、ケーブルにて構成されるドーム式
屋根架構のケーブル張力導入方法であって、前記接続装
置として、円孔が形成されたジョイントプレートに前記
束材の下端から突設された接続ボルトが挿通され、この
接続ボルトに螺合されて前記ジョイントプレートを上下
から挟む形態に締め付ける上部調整ナット及び下部調整
ナットにて締め付け、これにより前記ジョイントプレー
トに対する前記接続ボルトの上下方向の連結位置を可変
にすることで前記束材の下端と補強架構との間隔を可変
にする長さ調整機構を備えた構造としておき、この接続
装置及び束材の配設後に、長さ調整機構により補強架構
に反力をとり束材の下端を押し上げて主架構及び補強架
構間の間隔を拡げることによりケーブルに張力を導入す
ることを特徴としている。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載のド
ーム式屋根架構のケーブル張力導入方法において、前記
接続装置の長さ調整機構の動力源として、前記接続装置
に着脱可能に構成され前記補強架構に反力をとる反力治
具を備えた油圧ジャッキを用いることを特徴としてい
る。
【0012】
【作用】請求項1記載のドーム式屋根架構のケーブル張
力導入方法では、接続装置として、円孔が形成されたジ
ョイントプレートに前記束材の下端から突設された接続
ボルトが挿通され、この接続ボルトに螺合されて前記ジ
ョイントプレートを上下から挟む形態に締め付ける上部
調整ナット及び下部調整ナットにて締め付け、これによ
りジョイントプレートに対する前記接続ボルトの上下方
向の連結位置を可変にすることで前記束材の下端と補強
架構との間隔を可変にする長さ調整機構を備えた構造と
したものを用いているので、接続装置の配設時には、そ
の長さ調整機構により束材の下端と補強架構との間隔を
小さくした状態で配設しておき、接続装置の配設後にお
いて長さ調整機構により束材の下端を押し上げて補強架
構との間隔を大きくすると、接続装置を介して束材に発
生する軸方向(上下方向)の力が主架構及び補強架構間
の間隔を拡げるように作用する。このとき、主架構の鉛
直荷重は束材及び接続装置を介して補強架構に伝達され
るので、補強架構を構成するケーブルに大きな張力が導
入されていくが、この張力は逆に接続装置及び束材を介
して主架構を押し上げる反力として作用する。
【0013】請求項2記載のドーム式屋根架構のケーブ
ル張力導入方法では、前記接続装置の長さ調整機構の動
力源として、接続装置に着脱可能に構成され補強架構に
反力をとる反力治具を備えた油圧ジャッキを用いている
ので、油圧ジャッキの反力受けが、反力治具、接続装
置、並びに補強架構で構成されることになる。したがっ
て、張力導入のために必要な大きな反力受けを別途に構
築しなくても済む張力導入方法となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明のドーム式屋根架構におけるケ
ーブル張力導入方法の実施例を、図1ないし図20を参
照して説明する。図に示す実施例は、本発明によるドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法を、単層トラスド
ームとケーブルドームを組み合わせてハイブリッド構造
としたドーム式屋根架構「サスペン・ドーム」に適用し
た例を示すもので、本発明に係るケーブル張力導入方法
を説明する前に、まず、これらの図に示すドーム式屋根
架構の構造について説明する。
【0015】図示例のドーム式屋根架構は、側面視にお
いて上方に湾曲しているとともに平面視円形状に構築さ
れて大規模施設を覆う主架構10(図1および図2参
照)と、この主架構10の中央部において一体に構築さ
れた複層トラス部18(図3参照)と、主架構10を補
強する補強架構11(図4および図6参照)と、この補
強架構11に接続装置Sを介して下端が連結され上端が
前記主架構10に連結された複数の束材T…(図6、図
9、図11参照)とを備えた構成とされている。
【0016】主架構10は、複数の鉄骨材が相互に平面
トラス状に接続されて構築された直径200m、高さ3
0m(ライズ/スパン比0.15)前後のラチス形式構
造体である。即ち、図1に示すように平面視円形状に形
成される主架構10の外周縁部には、複数本の外周材1
2が相互に接合されて外周境界リング13が形成されて
いる。
【0017】そして、外周境界リング13より内部に
は、外周境界リング13と円中心Pを一致させた状態で
径を漸次縮小させながら、複数の円周材15を相互に接
合してなる8つの内周円14a、14b…が形成されて
いる。また、これら内周円14a、14b…は、円中心
Pに向かうに従い、漸次高さが上昇する形態で設けられ
ている。
【0018】また、外周境界リング13の円中心Pを通
過する径方向には、円中心Pに向かうに従い漸次高さを
上昇させた状態で複数の放射材16が相互に接合されて
いる。そして放射材16…相互は、円中心P側において
は径方向に接合されているが、外周境界リング13側に
向かうに従い漸次周方向に向いて接合されている。
【0019】これら、外周材12、円周材15及び放射
材16が相互に接続されることにより、平面視円形状で
上方に湾曲し、かつ上部中央に円形開口部17を有する
主架構10が構成されている。そして、前述した主架構
10の外周に設けられた外周境界リング13は、主架構
10の外周縁部に発生する側面視矢印方向のスラストF
1(主架構を支持する施設を推す力)を負担する構造と
されている。
【0020】一方、補強架構11は、主架構10の下方
位置に主架構10と一体に配置される。即ち、補強架構
11は、図4〜図6に示すように、主架構10の外周境
界リング13よりも小径のリング状に形成された円周ケ
ーブル11aと、この円周ケーブル11aと前記外周境
界リング13との間に張設された複数の放射ケーブル1
1b…とを備えて構成されている。
【0021】前記円周ケーブル11aのリング径(直
径)としては、実施例では、主架構10の外周境界リン
グ13よりも一つだけ内側に位置する内周円14aの直
径とほぼ同一とされており、したがって、各束材Tの上
端は、内周円14a上における円周材15と放射材16
との接合部Bに対して回動自在にそれぞれ連結された構
成とされている。
【0022】そして、上記構造とされた補強架構11は
図5及び図6に示すように、主架構10との中心を互い
に一致させた状態で主架構10の内面側に組み合わされ
て構築される。その際に、各束材Tの上端を主架構10
の接合部Bにそれぞれ連結するとともに、下端を円周ケ
ーブル11aと放射ケーブル11bとの交差部に対して
後述する接続装置Sを用いて連結し、また、全ての放射
ケーブル11bの外端部を、図7に示すように主架構1
0の外周境界リング13に締結する。
【0023】この図7および図8は、主架構10の外周
境界リング13の支持構造(周辺支持構造)例を示すも
ので、外周境界リング13部分を支持するための下部構
造である外周構造体Kの上部と外周境界リング13との
間に設けられたピンローラ機構20を介して支持されて
いる。このピンローラ機構20は、外周境界リング13
と一体に設けられた上シュー21と、外周構造体K上に
設けられた下シュー22と、これら上シュー21および
下シュー22との間に介在するベアリングプレート23
とを有する構成とされ、これにより外周境界リング13
は放射方向フリー、円周方向ピン支持となる形態で外周
構造体Kに支持された構成とされている。図8において
符号24は外周境界リング13の浮き上がり止めを示し
ている。
【0024】前記束材Tの下端は、本実施例においては
図9〜図11に示すように、円周ケーブル11aと放射
ケーブル11bを接続するための接続装置Sに連結され
ている。この接続装置Sは、厚肉の円盤状に形成された
ジョイントプレート30を備え、このジョイントプレー
ト30の中心部に形成された円孔31に、束材Tの下端
Tbから突設された大径の接続ボルト32が挿入され、
そしてこの接続ボルト32に螺合されてジョイントプレ
ート30を上下から挟む形態の上部調整ナット33及び
下部調整ナット34にて締め付けられて接続ボルト32
がジョイントプレート30に連結され、これによりジョ
イントプレート30に対する接続ボルト32の上下方向
の連結位置を可変にして束材Tの下端Tbと補強架構1
1との間の間隔を調整可能な長さ調整機構Lが構成され
ている。ここで、円孔31の内径は、接続ボルト32を
挿入するときにねじ山を痛めないように、接続ボルト3
2の外径よりも少し大きめに形成されている。
【0025】ジョイントプレート30の上面には、斜め
上方に向けて放射状に突出する一対の放射ブラケット3
5、35が溶接により固定され、そしてこれらの放射ブ
ラケット35、35に対して、図10に示すように、放
射ケーブル(実施例ではロッド)11bの内端部がボル
ト36、36を介してヒンジ結合されている。
【0026】また、ジョイントプレート30には、この
ジョイントプレート30の周縁部近くを上下から挟む形
態の一対のガセットプレート37、37の一端部がボル
ト38を介してジョイントプレート30の周方向回りに
水平回動自在に連結され、このガセットプレート37、
37の他端部にには、円周ケーブル11aを接続するた
めの交点金具39から突設された連結板38がボルト4
0により同じく水平回動自在に連結されている。この支
点金具39は、ここでは鉛直方向に間隔をおいて配され
る一対の円周ケーブル11a、11aを左右から挟んで
ボルト39c…にて保持(摩擦接合)する一対の保持板
39a、39bを備えた構成とされている。41は接続
ボルト32に螺合された固定ナットを示している。
【0027】図11は、ケーブルへの張力導入の際に、
接続装置Sの長さ調整機構Lの動力源として油圧ジャッ
キ(破線で図示)45を用いた場合に好適な例を示すも
ので、この油圧ジャッキ45は、補強架構11から反力
をとる反力治具50を備えた構成とされている。この反
力治具50は、ボルト止めにて組まれる全体として三角
柱型の骨組みを有するように構成されている。即ち、ジ
ョイントプレート30には、このジョイントプレート3
0に連結された各放射ブラケット35、35及びガセッ
トプレート37の間にそれぞれ等間隔で位置するように
形成された三つのボルト穴30aを利用しておねじ付き
の縦ロッド51が止めナット52…により着脱可能に吊
り下げられ、これらの縦ロッド51の下端部に円盤状の
台板53が支持ナット54…により支持され、そして、
この台板53の上に、油圧ジャッキ45が載置されると
共に、この油圧ジャッキ45のロッド46の先端が接合
ボルト32の下端に対して同軸的に近接する形態でボル
ト55により着脱式に固定される構成とされている。
【0028】このような構成となるドーム式屋根架構に
おける補強架構11に対してケーブル張力を導入する方
法の一例について、図12〜図20を参照して説明す
る。まず、図12に示すように、主架構10に束材Tの
上端を連結して各束材Tを吊り下げ、そして各束材Tの
下端Tfから突設した接続ボルト32に設造装置Sの長
さ調整機構Lを構成するジョイントプレート30を上部
調整ナット33及び下部調整ナット34により取り付け
て連結する。このとき、ジョイントプレート30の最初
の取り付け位置は、図示のように伸び分を考慮して最終
位置より高い位置にセットする。この際、ガセットプレ
ート37も取り付けておく。
【0029】次に、図14に示すように、放射ケーブル
11bを放射ブラケット35に取り付ける。この状態に
おいては、補強架構11の全ての放射ケーブル11b…
を主架構10の外周境界リング13に固定しておく。そ
の後、図15及び図16に示すように、完成時に所定の
張力となるような無負荷長を持つ円周ケーブル11a、
11aの交点金具39をガセットプレート37にボルト
40を介して取り付ける。
【0030】次に、図17に示すように、反力治具50
を組み立て、接続装置Sに装着し、さらに油圧ジャッキ
45を台板53に取り付けて固定する。次いで、ジョイ
ントプレート30の下面側の下部調整ナット34を十分
に緩めた状態としておき、しかる後、油圧ジャッキ45
を作動させて、図18に示すようにロッド46が突出す
る方向に摺動させる。すると、ロッド46の摺動に伴
い、束材Tが押し上げられる形態となるが、最初のうち
は逆に束材Tの反力を受けて接続装置Sの方が交点金具
39と共に下方へ引き下げられ、これに伴いジョイント
プレート30も下方へ引き下げられていく。このジョイ
ントプレート30及び交点金具39が下方へ引き下げら
れると、束材T下端Tbと接続装置Sの間隔が大きくな
る。即ち、束材Tの下端Tbと補強架構11との間隔が
大きくなる。
【0031】このとき、油圧ジャッキ45のジャッキ本
体に生じる反力は、反力治具50を介して接続装置Sに
伝達され、さらに接続装置Sから補強架構11へと伝達
される。したがって、油圧ジャッキ45の反力受けが反
力治具50、接続装置S、補強架構11で構成されるこ
とになる。また、この際、主架構10の鉛直荷重は束材
T、油圧ジャッキ45及び接続装置Sを介して補強架構
11に伝達されるので、まず、補強架構11を構成する
円周ケーブル11a、放射ケーブル11bに大きな張力
が導入される。
【0032】束材Tの下端Tbと補強架構11との間隔
がさらに大きくなると、補強架構11を構成する各ケー
ブルにさらに大きな張力が導入されるが、この張力は逆
に油圧ジャッキ45及び束材Tを介して主架構10を押
し上げる反力として作用する。そしてこの反力と主架構
10の鉛直荷重の一部を負担する状態となってドーム式
屋根架構が構成される。
【0033】目的とするケーブル張力を導入したら、図
19に示すようにジョイントプレート30の上下の各調
整ナット33、34…を回してそのジョイントプレート
30を上下から挟むようにねじ込み、ジョイントプレー
ト30と接続ボルト32とを連結して相互に保持させ
る。その後、図20に示すように油圧ジャッキ45及び
反力治具50を取り外す。
【0034】こうして張力が導入された状態において
は、束材Tの下端が補強架構11に対して接合ボルトに
よるいわゆる点接合の形態となるため、即ち、張力の作
用線が一点で交わるため、不必要な曲げ応力が生じるこ
とはない。また、水平方向の張力の釣り合いはジョイン
トプレート30内で成立することになるので、接合ボル
ト32も効果的に保護される。また、油圧ジャッキを押
す方向の力を利用する方法としているので小型の物で済
み、特殊なジャッキを用いる必要がなくなる。さらに、
束材Tの下端と補強架構11との連結が鉛直軸回り及び
水平軸回りに回動可能ないわゆる多関節構造となるの
で、例えば積雪などによる偏荷重時にも形状の変化で抵
抗し、この結果、円周ケーブル11a、放射ケーブル1
1bに均等な張力が発生する。
【0035】そして、このようなケーブル張力導入方法
によれば、接続装置Sの長さ調整機構Lの動力源とし
て、補強架構11に反力をとる反力治具50を備えた油
圧ジャッキ45を用いているので、油圧ジャッキ45の
反力受けが、反力治具50、接続装置S、並びに補強架
構11で構成されることになる。したがって、張力導入
のために必要な大きな反力受けを別途に構築しなくても
済む張力導入方法とすることができる。
【0036】各ケーブルへの張力導入に際しては、接続
装置Sを用いて補強架構11を構成する円周ケーブル1
1a及び各放射ケーブル11bと束材Tの下端を連結し
ておき、この状態で長さ調整機構Lを利用して束材Tを
押し上げて間隔を拡げる方法としているので、各放射ケ
ーブルの外端部からそれぞれの放射ケーブルに対してジ
ャッキを取り付けて引き寄せることにより張力を導入す
る方法に比べてジャッキ数も半分で済ますことができ、
したがって張力導入作業もその分、容易になり、これに
より施工コストの低減、張力管理の簡易化を図ることが
できる。
【0037】さらに、この張力導入作業は、屋根架構の
内部にて行うことになるので、屋根架構全体の架設状態
の把握も容易であり、したがって架設状態を把握しなが
ら行えるので、簡単かつ確実に張力導入作業を実施する
ことができる。
【0038】また、こうして張力が導入されたドーム式
屋根架構においては、主架構10単体では、外周境界リ
ング13に図2に示すように、矢印F1方向にスラスト
が発生するが、主架構10に補強架構11及び束材Tが
一体に組み合わされて屋根架構を構成するようになって
いるので、スラストF1に対抗する反力として放射ケー
ブル11b…に導入された張力T1が外周境界リング1
3にかかり、これにより外周境界リング13のスラスト
F1が軽減される。したがって、外周境界リング13の
構成部材として、引張耐力の優れた鋼材(テンション
材)を多く使用せずにこれを構成することができるだけ
でなく、その外周境界リング13を支持するための下部
構造である外周構造体K等の構築にかかる建設コストも
大幅に軽減することが可能になる。
【0039】また、複数の鉄骨材(外周材12、円周材
15、放射材16)を相互に平面トラス状に接続してな
る主架構10の下方位置に補強架構11が組み合わせら
れて構築され、補強架構11の全ての放射ケーブル11
b…に放射方向外方へ向く張力T1が導入されることに
より、鉛直配置された束材Tの束材軸力(束材が上昇し
て主架構の接合部を押し上げる力)によって主架構10
の鉄骨材相互の接合部Bが均一に押し上げられる。これ
により、複層トラスドームに比べて大幅な鉄骨重量の軽
減が図られ、補強架構11による主架構10のケーブル
補強により積雪などに対する構造安定性が複層トラスド
ームと同様のレベルとなるので、単層トラスドーム構造
を採用した主架構10の不安定性が十分に回避され、鉄
骨材の座屈耐力が十分に高められる。
【0040】また、外周境界リング13部分はピンロー
ラ機構20を介して放射方向フリー、円周方向ピン支持
となる形態で外周構造体Kに支持された構成とされてい
るので、スラスト、放射方向の地震力、温度応力等をリ
リースし、外周構造体Kに対する負担をさらに軽減させ
る作用を発揮する。
【0041】なお、実施例においては、長さ調整機構3
0の動力源として、反力治具50を備えた油圧ジャッキ
45を用いた例を示したが、補強架構11にそれほど大
きな張力を導入しなくて済むような場合、例えばスパナ
なとによって長さ調整機構Lの各調整ナット33、34
を回し、ジョイントプレート30を押し下げることによ
って補強架構11に張力を導入するようにしてもよい。
【0042】また、以上の実施例においては、束材及び
接続装置を利用した本発明のケーブル張力導入方法を、
単層トラスドームとケーブルドームを組み合わせてハイ
ブリッド構造とした「サスペン・ドーム」に適用した例
を示したが、主架構及び補強架構もケーブルで構成され
る公知のケーブルドーム構造、さらには張弦梁構造など
にも適用できることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法によれば、以下の
ような優れた効果を奏する。
【0044】請求項1に係る発明においては、ケーブル
への張力導入方法として束材の下端を補強架構に接続す
る接続装置に着目し、その接続装置として、円孔が形成
されたジョイントプレートに前記束材の下端から突設さ
れた接続ボルトが挿通され、この接続ボルトに螺合され
てジョイントプレートを上下から挟む形態に締め付ける
上部調整ナット及び下部調整ナットにて締め付け、これ
により前記ジョイントプレートに対する接続ボルトの上
下方向の連結位置を可変にすることで束材の下端と補強
架構との間隔を可変にする長さ調整機構を備えた構造と
しておき、長さ調整機構により補強架構に反力をとり束
材の下端を押し上げて主架構及び補強架構間の間隔を拡
げることによりケーブルに張力を導入する方法としたか
ら、各放射ケーブルの外端部からそれぞれの放射ケーブ
ルに対してジャッキを取り付けて引き寄せることにより
張力を導入する方法に比べてジャッキ数も半分で済ます
ことができ、したがって張力導入作業もその分、容易に
なり、これにより施工コストの低減、張力管理の簡易化
を図り、さらに、この張力導入作業は、屋根架構の内部
にて行うことになるので、屋根架構全体の架設状態の把
握も容易であり、したがって架設状態を把握しながら行
えるので、簡単かつ確実に張力導入作業を実施すること
ができる。特に本発明では、束材を押し上げることによ
り張力を導入するようにしているので、小さい力で張力
導入が可能となる。
【0045】請求項2に係る発明においては、接続装置
の長さ調整機構の動力源として、接続装置に着脱可能に
構成され補強架構に反力をとる反力治具を備えた油圧ジ
ャッキを用いているので、油圧ジャッキの反力受けが、
反力治具、設造装置、並びに補強架構で構成されること
になる。したがって、張力導入のために必要な大きな反
力受けを別途に構築しなくても済む張力導入方法とする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す主架構の平面図である。
【図2】本発明の実施例を示す主架構の側面図である。
【図3】本発明の実施例を示す主架構の断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す補強架構の平面図であ
る。
【図5】本発明の実施例を示す主架構の斜視図である。
【図6】本発明の実施例を示す補強架構の斜視図であ
る。
【図7】本発明の実施例を示す支持機構の断面図であ
る。
【図8】本発明の実施例を示す支持機構の側面図であ
る。
【図9】本発明の実施例を示す接続装置の側面図であ
る。
【図10】本発明の実施例を示す接続装置の平面図であ
る。
【図11】本発明の実施例を示す反力受けの側面図であ
る。
【図12】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図13】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図14】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図15】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図16】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図17】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図18】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図19】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図20】本発明の実施例による張力導入方法の工程図
である。
【図21】従来例を示す斜視図である。
【図22】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 主架構 11 補強架構 11a 円周ケーブル 11b 放射ケーブル 12 外周材 13 外周境界リング 15 円周材 16 放射材 30 ジョイントプレート 31 円孔 32 接続ボルト 33、34 調整ナット 37 ガセットプレート 39 交点金具 45 油圧シリンダ 50 反力治具 T 束材 S 接続装置 L 長さ調整機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑戸 龍夫 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (72)発明者 多賀 章 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (72)発明者 立道 郁生 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (72)発明者 藤原 智 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−287811(JP,A) 特開 昭64−6429(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 7/14 E04B 1/342

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根を支持するための外周構造体上に架
    設されるドーム状の主架構と、この主架構の下面側に配
    設されてその主架構を補強する補強架構と、この補強架
    構に下端が接続装置を介して連結され上端が前記主架構
    に連結される束材とを備え、かつ、前記主架構及び補強
    架構のうちの少なくとも補強架構が、ケーブルにて構成
    されるドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法であっ
    て、前記接続装置として、円孔が形成されたジョイント
    プレートに前記束材の下端から突設された接続ボルトが
    挿通され、この接続ボルトに螺合されて前記ジョイント
    プレートを上下から挟む形態に締め付ける上部調整ナッ
    ト及び下部調整ナットにて締め付け、これにより前記ジ
    ョイントプレートに対する前記接続ボルトの上下方向の
    連結位置を可変にすることで前記束材の下端と補強架構
    との間隔を可変にする長さ調整機構を備えた構造として
    おき、この接続装置及び束材の配設後に、長さ調整機構
    により補強架構に反力をとり束材の下端を押し上げて主
    架構及び補強架構間の間隔を拡げることによりケーブル
    に張力を導入することを特徴とするドーム式屋根架構の
    ケーブル張力導入方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のドーム式屋根架構のケー
    ブル張力導入方法において、前記接続装置の長さ調整機
    構の動力源として、前記接続装置に着脱可能に構成され
    前記補強架構に反力をとる反力治具を備えた油圧ジャッ
    キを用いることを特徴とするドーム式屋根架構のケーブ
    ル張力導入方法。
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