JP3338146B2 - ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法 - Google Patents

ドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法

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JP3338146B2 JP28694193A JP28694193A JP3338146B2 JP 3338146 B2 JP3338146 B2 JP 3338146B2 JP 28694193 A JP28694193 A JP 28694193A JP 28694193 A JP28694193 A JP 28694193A JP 3338146 B2 JP3338146 B2 JP 3338146B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば野球場やサッカ
ー場などの運動競技施設、あるいはその他の大規模施設
に適用されるドーム式屋根架構におけるケーブル張力導
入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、室内の運動競技施設等には、大規
模な固定ドーム式屋根が採用されてきている。この固定
ドーム式屋根の構造形式としては、鉄骨トラス構造、ケ
ーブル構造、張弦梁構造などが知られている。
【0003】前記鉄骨トラス構造は、構成鉄骨材を複層
トラス状に接続して比較的良好な構造安定性が得られる
複層トラスドームと、図21に示す構成鉄骨材を平面ト
ラス状に接続してなる単層トラスドーム1とに分類され
ているが、前記複層トラスドームは、屋根の構造安定性
を得るための施工費用の増大、工期の長期化などの面で
種々問題がある。そのため、軽量化や施工費用の低減化
及び工期の短縮化などの点で有利な単層トラスドーム1
が採用される場合がある。
【0004】一方、固定ドーム式屋根としてのケーブル
構造は、図22に示すように、複数本の上弦材や下弦材
として多数本の放射ケーブル2、3が配設され、それら
放射ケーブル2、3間に束材4が鉛直配置に支持された
構造とされ、外周方向に向けて大きな張力が導入された
ケーブル2が、ドーム境界部(ドーム式屋根の外周部)
のコンプレッションリング5に締結される構造とされて
いる。
【0005】ところで、上述した単層トラスドーム1
は、例えば積雪等の偏荷重により容易に崩壊しやすいと
いうドーム構成材の座屈耐力の面で問題があるととも
に、ドーム境界部構造は、ドーム境界部に矢印A方向に
加わる大きなスラスト(単層ドーム全体を支持するドー
ム内部力)を処理するために強靭なテンションリング6
としなければならず、このテンションリング6とこれを
支持するための外周構造体の構築にかかる建設コストが
大幅に増大してしまうという問題があった。
【0006】また、上述したケーブル構造においても、
可橈性のケーブル2、3が構成部材とされたフレキシブ
ルな構造であるため、構造安定性を高めるためにケーブ
ル2に大きなプレストレスが必要となる。そのため、前
記単層ドーム1とは逆に、ドーム境界部材を矢印B方向
の大きなスラスト荷重に対抗する強靭なコンプレッショ
ンリング5としなければならず、コンプレッションリン
グ5とこれを支持する外周構造体の構築にかかる建設コ
ストが大幅に増大してしまうという問題があった。
【0007】そこで、本出願人は、いわゆる「サスペン
・ドーム」と称して、単層トラスドームとケーブルドー
ムを組み合わせてハイブリッド構造とすることにより、
単層トラスドーム式屋根架構の持つ利点とケーブル式ド
ーム屋根架構の持つ利点を効果的に発揮させつつ欠点を
補う構成とし、これにより大幅な軽量化、並びに主架構
の外周境界部に加わるスラスト荷重を著しく低減させて
建設コストの削減化を図り、さらに主架構の上部中央を
補強して複層トラスドームと同様に優れた構造安定性が
得られるようにしたドーム式屋根構造(特願平5ー18
1659号)を既に提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな各種構造形式のドーム式屋根架構において、特に、
ケーブルドーム構造やサスペン・ドーム構造、あるいは
張弦梁構造などのようにケーブルを用いたドーム式屋根
架構では、その屋根架構を構成する多数本のケーブルに
対して張力を導入する作業を必要とするため、以下のよ
うな課題があった。即ち、この張力導入作業として、例
えばケーブルドームやサスペン・ドームでは、その屋根
架構の外周部に位置させた多数の放射ケーブルを外周構
造体側からジャッキにより引っ張って張力を導入する方
法で行われているが、使用するジャッキが放射ケーブル
の本数に対応する数だけ必要となるために張力導入のた
めのコストが大となる問題があった。特に、ケーブルド
ームなどのように張力を導入するケーブルも多大な本数
となり、しかも張力導入箇所が多重に重なったり交差し
たりする箇所も存在する構造となるものでは、ケーブル
への張力導入上の重要な問題となっていた。また、ケー
ブルドームなどのように、ジャッキによる張力導入を屋
根架構の外周部分から行う方法では、作業上必要な屋根
架構全体の把握が難しいという問題もあった。
【0009】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、ケーブルへの張力導入方法として束材と円
周ケーブルと放射ケーブルとが集中して接続される接続
部に着目し、予め前記放射ケーブルの長さを短く設定す
ると共に、この放射ケーブルの内端部と前記束材の下端
を接続装置を用いて接続しておき、しかる後、前記接続
装置部分と円周ケーブルとをジャッキにて引き寄せて相
互に接続することによりケーブルに張力を導入する方法
とし、これにより張力導入作業が容易なようにして施工
コストの低減、張力管理の簡易化、及びケーブル張力の
均一化を図り、さらに、屋根架構全体の把握が容易な屋
根架構内部にて簡単かつ確実に張力導入作業を実施でき
るドーム式屋根架構のケーブル張力導入方法を提供しよ
うとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
屋根を支持するための外周構造体上に架設されるドーム
状の主架構と、この主架構の下面側に配設されてその主
架構を補強する補強架構と、この補強架構に下端が連結
され上端が前記主架構に連結される束材とを備え、か
つ、前記主架構及び補強架構のうちの少なくとも補強架
構が、前記主架構の外周境界リングよりも内側に位置す
るように環状に配置される円周ケーブルと、この円周ケ
ーブルと主架構の外周境界リングとの間に張設される複
数の放射ケーブルとで構成されるドーム式屋根架構のケ
ーブル張力導入方法であって、予め前記放射ケーブルの
長さを短く設定すると共に、この放射ケーブルの内端部
と前記束材の下端を接続装置を用いて接続しておき、し
かる後、前記接続装置部分と円周ケーブルとをジャッキ
にて引き寄せて相互に接続することによりケーブルに張
力を導入することを特徴としている。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載のド
ーム式屋根架構のケーブル張力導入方法であって、前記
接続装置として、円周ケーブルと放射ケーブルとの間の
接続部分に自在継ぎ手機構を備えていることを特徴とし
ている。
【0012】
【作用】請求項1記載のドーム式屋根架構のケーブル張
力導入方法では、放射ケーブルの長さを予め短く設定す
ることによりその分、ケーブルへの張力導入代が形成さ
れる。そして、この放射ケーブルの内端部と前記束材の
下端を接続装置を用いて接続しておき、しかる後、前記
接続装置部分と円周ケーブルとをジャッキにて引き寄せ
て相互に接続することにより放射ケーブルおよび円周ケ
ーブルに大きな張力が導入される。このとき、束材の下
端は放射ケーブルの一端に接続され、上端は主架構に連
結されているので、補強架構を構成するケーブルに張力
が導入されていく過程において、束材に上向きの軸力が
発生し、この軸力が主架構を上方へ押し上げる力として
作用する。即ち、ジャッキによって補強架構を構成する
ケーブルに大きな張力が導入されると、この張力は逆に
束材を介して主架構を押し上げる反力として作用する。
【0013】請求項2記載のドーム式屋根架構のケーブ
ル張力導入方法では、前記接続装置として、円周ケーブ
ルと放射ケーブルとの間の接続部分に自在継ぎ手機構を
備えているので、この自在継ぎ手機構の作用により、ジ
ャッキによる張力導入の際に発生しやすい円周ケーブル
と放射ケーブルとの間のねじれや曲げなどを効果的に防
止する。
【0014】
【実施例】以下、本発明のドーム式屋根架構におけるケ
ーブル張力導入方法の実施例を、図1ないし図20を参
照して説明する。図に示す実施例は、本発明によるドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法を、単層トラスド
ームとケーブルドームを組み合わせてハイブリッド構造
としたドーム式屋根架構「サスペン・ドーム」に適用し
た例を示すもので、本発明に係るケーブル張力導入方法
を説明する前に、まず、これらの図に示すドーム式屋根
架構の構造について説明する。
【0015】図示例のドーム式屋根架構は、側面視にお
いて上方に湾曲しているとともに平面視円形状に構築さ
れて大規模施設を覆う主架構10(図1および図2参
照)と、この主架構10の中央部において一体に構築さ
れた複層トラス部18(図3参照)と、主架構10を補
強する補強架構11(図4および図6参照)と、この補
強架構11に下端が連結され上端が前記主架構10に連
結された複数の束材T…(図6、図9〜図11参照)と
を備えた構成とされている。
【0016】主架構10は、複数の鉄骨材が相互に平面
トラス状に接続されて構築された直径200m、高さ3
0m(ライズ/スパン比0.15)前後のラチス形式構
造体である。即ち、図1に示すように平面視円形状に形
成される主架構10の外周縁部には、複数本の外周材1
2が相互に接合されて外周境界リング13が形成されて
いる。
【0017】そして、外周境界リング13より内部に
は、外周境界リング13と円中心Pを一致させた状態で
径を漸次縮小させながら、複数の円周材15を相互に接
合してなる8つの内周円14a、14b…が形成されて
いる。また、これら内周円14a、14b…は、円中心
Pに向かうに従い、漸次高さが上昇する形態で設けられ
ている。
【0018】また、外周境界リング13の円中心Pを通
過する径方向には、円中心Pに向かうに従い漸次高さを
上昇させた状態で複数の放射材16が相互に接合されて
いる。そして放射材16…相互は、円中心P側において
は径方向に接合されているが、外周境界リング13側に
向かうに従い漸次周方向に向いて接合されている。
【0019】これら、外周材12、円周材15及び放射
材16が相互に接続されることにより、平面視円形状で
上方に湾曲し、かつ上部中央に円形開口部17を有する
主架構10が構成されている。そして、前述した主架構
10の外周に設けられた外周境界リング13は、主架構
10の外周縁部に発生する側面視矢印方向のスラストF
1(主架構を支持する施設を推す力)を負担する構造と
されている。
【0020】一方、補強架構11は、主架構10の下方
位置に主架構10と一体に配置される。即ち、補強架構
11は、図4〜図6に示すように、主架構10の外周境
界リング13よりも小径のリング状に形成された円周ケ
ーブル11aと、この円周ケーブル11aと前記外周境
界リング13との間に張設された複数の放射ケーブル1
1b…とを備えて構成されている。
【0021】前記円周ケーブル11aのリング径(直
径)としては、実施例では、主架構10の外周境界リン
グ13よりも一つだけ内側に位置する内周円14aの直
径とほぼ同一とされており、したがって、各束材Tの上
端は、内周円14a上における円周材15と放射材16
との接合部Bに対して回動自在にそれぞれ連結された構
成とされている。
【0022】そして、上記構造とされた補強架構11は
図5及び図6に示すように、主架構10との中心を互い
に一致させた状態で主架構10の内面側に組み合わされ
て構築される。その際に、各束材Tの上端を主架構10
の接合部Bにそれぞれ連結するとともに、下端を円周ケ
ーブル11aと放射ケーブル11bとの交差部に対して
後述の接続装置を用いて連結し、また、全ての放射ケー
ブル11bの外端部を、図7に示すように主架構10の
外周境界リング13に締結する。
【0023】この図7および図8は、主架構10の外周
境界リング13の支持構造(周辺支持構造)例を示すも
ので、外周境界リング13部分を支持するための下部構
造である外周構造体Kの上部と外周境界リング13との
間に設けられたピンローラ機構20を介して支持されて
いる。このピンローラ機構20は、外周境界リング13
と一体に設けられた上シュー21と、外周構造体K上に
設けられた下シュー22と、これら上シュー21および
下シュー22との間に介在するベアリングプレート23
とを有する構成とされ、これにより外周境界リング13
は放射方向フリー、円周方向ピン支持となる形態で外周
構造体Kに支持された構成とされている。図8において
符号24は外周境界リング13の浮き上がり止めを示し
ている。
【0024】前記束材Tの下端は、本実施例においては
図9に示すように、円周ケーブル11aと放射ケーブル
11bを接続するための接続装置Sに連結されている。
この接続装置Sは、上面が閉塞された円筒状の本体部3
0を備え、この本体部30の上面から突設された対ブラ
ケット31に、前記束材Tの下端がボルト31aを介し
て縦回動自在にヒンジ結合されている。
【0025】また、この本体部30の外周面には、そこ
から放射状に延びる放射ブラケット32、32がそれぞ
れ突設され、この放射ブラケット32に対して、図10
に示すように、放射ケーブル11bの内端部が一対の連
結板33、33、及びボルト34、34を介してヒンジ
結合されている。また、この放射ケーブル11bの途中
には、この放射ケーブル11bの長さを調整するための
ターンパックル35、35がそれぞれ設けられている。
【0026】また、本体部30には、円周ケーブル11
aを接続するためのクランプ36が自在継ぎ手機構37
を介して横軸回り及び縦軸回りに回動自在に設けられて
いる。クランプ(支点金具)36は、ここでは上下に配
される一対の円周ケーブル11a、11aを挟んで保持
(摩擦接合)する一対の保持板36a、36aと、両保
持板36a、36aを一体に固定するボルト・ナット3
6bとにより構成されると共に、中央部に貫通孔36c
が設けられている。
【0027】前記円筒状の本体部30の内部には、その
本体部30の径方向に延在する水平游動板37aが、本
体部30の直径方向の対向する外周部分からねじ込まれ
た横ボルト37b、37bにより取り付けられて、これ
らの横ボルトを回動軸として上下方向に回動自在に設け
られ、この水平游動板37aに対して連結ロッド37c
が水平游動板37aの板厚方向に貫通する形態で設けら
れた縦ボルト37dを回動軸として左右方向に回動自在
に設けられ、さらに本体部30には連結ロッド37の回
動を許容するための切り欠き38が設けられ、これによ
り連結ロッド37が横軸回り及び縦軸回りに回動可能な
前記自在継ぎ手機構37が構成されている。したがっ
て、前記クランプ36は、この連結ロッド37cに対し
て自身の貫通孔36cを利用してはめ込まれてナット3
7eにより取り付けられている。
【0028】前記連結ロッド37cの端部には、後述す
るように、ジャッキによるケーブル張力導入時にこれを
センターホールジャッキの作動ロッドとして利用するた
めの引込ロッド39が連結される。この連結構造として
は種々あるが、例えば、連結ロッド37cの端部にその
軸方向に延びるねじ孔を設け、このねじ孔に螺合するお
ねじを引込ロッド39の端部外周に設けて着脱可能に接
続する方法などが採用される。
【0029】このような構成となるドーム式屋根架構に
おける補強架構11に対してケーブル張力を導入する方
法について、以下説明する。
【0030】(ステップ1)まず、図13に示すよう
に、架設済みの主架構10に対して各束材Tの上端を連
結してこれら吊り下げておく。その場合、作業台あるい
は足場となる架台40を設置して行う。 (ステップ2)図14に示すように、設置した架台40
上に、接続装置S、円周ケーブル11a、などのケーブ
ル接続に必要な部材、治具を仮置きする。
【0031】(ステップ3)図15に示すように、接続
装置Sを束材Tの直下に置き、必要に応じて調整台41
を用いて接続装置Sの上下位置を調整し、束材Tの下端
を接続装置Sの上面の対ブラケット31にボルト31a
により連結する。そして連結ロッド37cにクランプ3
6を固定するナット37eを螺合し、さらに、連結ロッ
ド37cに引込ロッド39を連結した状態でナット37
eを十分に緩めてこれを引込ロッド39上に游動状態で
位置させておく。
【0032】(ステップ4)図16に示すように、長さ
調整用としてのターンパックル35を備えた全ての放射
ケーブル11bの外端部を主架構10の外周境界リング
13に各々固定し、内端部を接続装置Sにそれぞれ連結
する。そして、ターンパックル35の巻き締め操作を行
って各放射ケーブル11bの長さを予め短くし、束材T
を放射ケーブル側へ傾斜させ、これによりケーブル張力
導入に必要な導入代を予め形成しておく。
【0033】(ステップ5)図17に示すように、引込
ロッド39を作動ロッドとするセンターホールジャッキ
45をセットすると共に、このセンターホールジャッキ
45とクランプ36との間に支圧部材となる筒状のラム
チェアー39aを取り付け、ケーブル張力導入準備を行
う。この場合、放射ケーブル11bの内端部と束材Tの
下端、及び円周ケーブル11aとの接続箇所の全てにセ
ンターホールジャッキ45をセットしてケーブル張力導
入準備を行う。
【0034】(ステップ6)図18に示すように、各セ
ンターホールジャッキ45を同期して作動させ、引込ロ
ッド39を順次引き込むと、接続装置Sの本体部30と
クランプ36とが次第に近づき、これにより円周ケーブ
ル11a、および放射ケーブル11bに次第に大きな張
力が導入されていく。そして、接続装置Sの本体部30
とクランプ36とが図9で示したような所定の位置まで
接近した状態において目的とする張力が導入される。こ
のとき、束材Tは鉛直状態となり、また、この束材Tが
傾斜状態から鉛直状態に移行する間において束材Tに上
向き軸力が発生し、この軸力が主架構10を押し上げる
力として作用する。
【0035】(ステップ7)引込ロッド39の引込作業
を終えたら、次に、ナット37eをねじ込み、クランプ
36を図9に示すような定位置に位置決め固定する。し
かる後、図19に示すように、センターホールジャッキ
45を取り外す。この状態においては、束材Tの下端と
放射ケーブル11bの内端部とが接続装置Sにより一体
に接続されるが、これらはそれぞれのヒンジ及び自在継
ぎ手機構37の存在によりねじれや曲げ、偏荷重などが
発生しにくい状態となる。 (ステップ8)図20に示すように、架台40を解体
し、各ケーブルへの張力導入作業を完了とする。
【0036】このようなケーブル張力導入方法によれ
ば、放射ケーブル11bの長さをターンパックル35の
調整により予め短く設定することにより、接続装置Sの
本体部30と、円周ケーブル11aを保持して固定する
ためのクランプ36が離れた状態となるので、その離れ
た分、両者を引き寄せることによりケーブルへ張力を導
入するための張力導入代が形成される。
【0037】そして、この放射ケーブル11bの内端部
と前記束材Tの下端を接続装置Sを用いて接続してお
き、しかる後、前記接続装置S部分と円周ケーブル11
aとをセンターホールジャッキ45にて引き寄せて相互
に接続することにより放射ケーブル11bおよび円周ケ
ーブル11aに大きな張力が導入される。このとき、束
材Tの下端は放射ケーブル11bの内端部に接続され、
上端は主架構10に連結されているので、補強架構11
を構成するケーブルに張力が導入されていく過程におい
て、束材Tに上向きの軸力が発生し、この軸力が主架構
10を上方へ押し上げる力として作用する。即ち、セン
ターホールジャッキ45によって補強架構11を構成す
るケーブルに大きな張力が導入されると、この張力は逆
に束材Tを介して主架構10を押し上げる反力として作
用する。
【0038】また、前記接続装置Sとして、円周ケーブ
ル11aと放射ケーブル11bとの間の接続部分に自在
継ぎ手機構37を備えているので、この自在継ぎ手機構
37の作用により、センターホールジャッキによる張力
導入の際に発生しやすい円周ケーブル11aと放射ケー
ブル11bとの間のねじれや曲げなどを効果的に防止す
ることができる。
【0039】即ち、実施例においては、クランプ36を
介して円周ケーブル11aを取り付ける連結ロッド37
cが本体部30に対して縦ボルト37dを中心に横方向
に左右20〜30度程度の範囲で回動自在となってお
り、かつ、横ボルト37bを中心として縦方向に回動自
在となっており、その上、一方の放射ケーブル11bの
内端部は本体部30に対してボルトを介してヒンジ結合
されて縦方向に回動自在とされ、さらに上端が主架構1
0に回動自在に結合された束材Tの下端部は本体部30
にヒンジ結合されて回動自在となっているので、これら
の作用により各ケーブルどうし及び束材との接続部分に
ねじれや曲げなどが発生することはない。
【0040】各ケーブルへの張力導入に際しては、接続
装置Sを用いてまず各放射ケーブル11bと束材Tの下
端を連結しておき、この状態で放射ケーブルと円周ケー
ブルをジャッキにより引き寄せて接続する方法としてい
るので、各放射ケーブルの外端部からそれぞれの放射ケ
ーブルに対してジャッキを取り付けて引き寄せることに
より張力を導入する方法に比べてジャッキ数も半分で済
ますことができ、したがって張力導入作業もその分、容
易になり、これにより施工コストの低減、張力管理の簡
易化を図り、さらに、この張力導入作業は、屋根架構の
内部にて行うことになるので、屋根架構全体の架設状態
の把握も容易であり、したがって架設状態を把握しなが
ら行えるので、簡単かつ確実に張力導入作業を実施する
ことができる。
【0041】また、こうして張力が導入されたドーム式
屋根架構においては、主架構10単体では、外周境界リ
ング13に図2に示すように、矢印F1方向にスラスト
が発生するが、主架構10に補強架構11及び束材Tが
一体に組み合わされて屋根架構を構成するようになって
いるので、スラストF1に対抗する反力として放射ケー
ブル11b…に導入された張力T1が外周境界リング1
3にかかり、これにより外周境界リング13のスラスト
F1が軽減される。したがって、外周境界リング13の
構成部材として、引張耐力の優れた鋼材(テンション
材)を多く使用せずにこれを構成することができるだけ
でなく、その外周境界リング13を支持するための下部
構造である外周構造体K等の構築にかかる建設コストも
大幅に軽減することが可能になる。
【0042】また、複数の鉄骨材(外周材12、円周材
15、放射材16)を相互に平面トラス状に接続してな
る主架構10の下方位置に補強架構11が組み合わせら
れて構築され、補強架構11の全ての放射ケーブル11
b…に放射方向外方へ向く張力T1が導入されることに
より、鉛直配置された束材11cの束材軸力(束材が上
昇して主架構の接合部を押し上げる力)によって主架構
10の鉄骨材相互の接合部Bが均一に押し上げられる。
これにより、複層トラスドームに比べて大幅な鉄骨重量
の軽減が図られ、補強架構11による主架構10のケー
ブル補強により積雪などに対する構造安定性が複層トラ
スドームと同様のレベルとなるので、単層トラスドーム
構造を採用した主架構10の不安定性が十分に回避さ
れ、鉄骨材の座屈耐力が十分に高められる。
【0043】また、外周境界リング13部分はピンロー
ラ機構20を介して放射方向フリー、円周方向ピン支持
となる形態で外周構造体Kに支持された構成とされてい
るので、スラスト、放射方向の地震力、温度応力等をリ
リースし、外周構造体Kに対する負担をさらに軽減させ
る作用を発揮する。
【0044】なお、以上の実施例においては、束材を利
用した本発明のケーブル張力導入方法を、単層トラスド
ームとケーブルドームを組み合わせてハイブリッド構造
とした「サスペン・ドーム」に適用した例を示したが、
主架構及び補強架構もケーブルで構成される公知のケー
ブルドーム構造、さらには張弦梁構造などにも適用でき
ることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るドー
ム式屋根架構のケーブル張力導入方法によれば、以下の
ような優れた効果を奏する。
【0046】請求項1記載の発明においては、ケーブル
への張力導入方法として束材と円周ケーブルと放射ケー
ブルとが集中して接続される接続部に着目し、予め前記
放射ケーブルの長さを短く設定すると共に、この放射ケ
ーブルの内端部と前記束材の下端を接続装置を用いて接
続しておき、しかる後、前記接続装置部分と円周ケーブ
ルとをジャッキにて引き寄せて相互に接続することによ
りケーブルに張力を導入する方法としたから、各放射ケ
ーブルの外端部からそれぞれの放射ケーブルに対してジ
ャッキを取り付けて引き寄せることにより張力を導入す
る方法に比べてジャッキ数も半分で済ますことができ、
したがって張力導入作業もその分、容易になり、これに
より施工コストの低減、張力管理の簡易化を図り、さら
に、この張力導入作業は、屋根架構の内部にて行うこと
になるので、屋根架構全体の架設状態の把握も容易であ
り、したがって架設状態を把握しながら行えるので、簡
単かつ確実に張力導入作業を実施することができる。
【0047】請求項2記載の発明においては、前記接続
装置として、円周ケーブルと放射ケーブルとの間の接続
部分に自在継ぎ手機構を備えているので、この自在継ぎ
手機構の作用により、センターホールジャッキによる張
力導入の際に発生しやすい円周ケーブルと放射ケーブル
との間のねじれや曲げなどを効果的に防止することがで
きる。特に、積雪などにより偏在荷重がドームに作用し
た場合において、ケーブルに作用する負荷張力を常に均
一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す主架構の平面図である。
【図2】本発明の実施例を示す主架構の側面図である。
【図3】本発明の実施例を示す主架構の断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す補強架構の平面図であ
る。
【図5】本発明の実施例を示す主架構の斜視図である。
【図6】本発明の実施例を示す補強架構の斜視図であ
る。
【図7】本発明の実施例を示す支持機構の断面図であ
る。
【図8】本発明の実施例を示す支持機構の側面図であ
る。
【図9】本発明の実施例を示す接続装置の斜視図であ
る。
【図10】本発明の実施例を示す接続装置一部断面平面
図である。
【図11】本発明の実施例を示す接続装置の要部の側面
図である。
【図12】本発明の実施例を示す接続装置の部分平面図
である。
【図13】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図14】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図15】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図16】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図17】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図18】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図19】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図20】本発明の実施例による張力導入方法を説明す
る概略工程図である。
【図21】従来例を示す斜視図である。
【図22】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 主架構 11 補強架構 11a 円周ケーブル 11b 放射ケーブル 12 外周材 13 外周境界リング 15 円周材 16 放射材 30 本体部 35 ターンパックル 36 クランプ 37 自在継ぎ手機構 37C 連結ロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立道 郁生 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (72)発明者 藤原 智 東京都千代田区富士見二丁目10番26号 前田建設工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−287811(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/32 102 E04G 21/12 104 E04H 3/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根を支持するための外周構造体上に架
    設されるドーム状の主架構と、この主架構の下面側に配
    設されてその主架構を補強する補強架構と、この補強架
    構に下端が連結され上端が前記主架構に連結される束材
    とを備え、かつ、前記主架構及び補強架構のうちの少な
    くとも補強架構が、前記主架構の外周境界リングよりも
    内側に位置するように環状に配置される円周ケーブル
    と、この円周ケーブルと主架構の外周境界リングとの間
    に張設される複数の放射ケーブルとで構成されるドーム
    式屋根架構のケーブル張力導入方法であって、予め前記
    放射ケーブルの長さを短く設定すると共に、この放射ケ
    ーブルの内端部と前記束材の下端を接続装置を用いて接
    続しておき、しかる後、前記接続装置部分と円周ケーブ
    ルとをジャッキにて引き寄せて相互に接続することによ
    りケーブルに張力を導入することを特徴とするドーム式
    屋根架構のケーブル張力導入方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のドーム式屋根架構のケー
    ブル張力導入方法であって、前記接続装置として、円周
    ケーブルと放射ケーブルとの間の接続部分に自在継ぎ手
    機構を備えていることを特徴とするドーム式屋根架構の
    ケーブル張力導入方法。
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