JPH07185780A - 出湯装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保持炉から取鍋への溶湯の切出し、取鍋から
型枠への注湯を自動的に過不足なく行えるようにする。 【構成】 溶湯を保持する保持炉と、この保持炉を傾斜
させ注ぎ口から溶湯を排出させる第一の駆動手段と、注
ぎ口から出湯する溶湯を受ける取鍋と、この取鍋を吊り
下げ保持炉の位置から型枠の注湯位置に運搬するホイス
トと、取鍋の重量を検出する重量検出手段と、プログラ
ム制御手段とを備え、取鍋の重量を電気信号として検出
し、この検出出力を監視してあらかじめ入力された設定
値に達したときに第一の駆動手段を制御して注ぎ口から
の溶湯の出湯を停止する。 【効果】 作業工数を小さくし、製品歩留りを向上さ
せ、溶湯の無駄をなくすことが可能となり、それに伴っ
て製品コストを低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属部品の鋳造工場で
利用する。本発明は、型枠に金属を加熱溶融させた溶湯
を注湯し、その型枠を冷却し、その型枠内で固化した金
属部品をその型枠から取り出すことにより金属部品を製
造する工程で利用する。特に、型枠に注湯すべき溶湯を
過不足なく取鍋に切出すとともに、型枠に溶湯を過不足
なく注湯するための装置として利用する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関のシリンダ、シリンダヘッドを
はじめ、内燃機関および自動車には多種類の鋳造された
後に切削加工が施される金属部品が用いられる。これら
の金属部品の製造工程には、型枠に加熱溶融した溶湯を
注湯し、その型枠の中で長い時間かけて冷却する工程が
含まれる。

【０００３】溶湯の注湯は、電気炉により加熱溶融され
た金属材料をいったん保持炉に取込み、この保持炉で温
度管理をしながら溶湯を保持し、これを取鍋に切出し、
取鍋を型枠の位置に運搬し、型枠の注湯口から注湯する
ことにより行われる。従来から、この取鍋への切出しは
取鍋の中を作業者がのぞき込み、その作業者の操作によ
り保持炉の傾斜を制御する目分量により行われていた。
また、その取鍋から型枠への注湯についても、型枠内の
はみ出し量を見ながら目分量により注湯が行われてい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】保持炉から取鍋への溶
湯の切出しは、取鍋に切出される湯量がちょうど型枠に
注湯される量と等しくなるように行われることが望まし
い。その切出し量が多すぎると取鍋の中に残った溶湯を
固化前に保持炉へ戻す必要があり、またその切出し量が
少なすぎると型枠の中に空間ができて製造される部品の
形状が不完全になり不良品を製造することになる。特
に、この切出し作業を短縮し、取鍋の中の溶湯温度を下
げないように効率的に注湯作業を行うために、取鍋に切
出す溶湯の量を一つの型枠に注湯する量ではなく多数の
型枠、例えば一つの製造ロットとして４〜１２個の型枠
に注湯する分をいちどに取鍋に切出すような作業が行わ
れている。

【０００５】従来のように目分量でこの取鍋への切出し
を行うと、どうしても余分が出たり不足分が出たりし
て、材料が無駄になるとともに溶湯を製造するためのエ
ネルギが無駄になる欠点があった。また、この取鍋から
型枠に注湯を行う際にその注湯量に過不足があると、正
確に取鍋に切出しが行われてもなお取鍋の湯量に過不足
が生じることになる。

【０００６】このような作業には熟練者が立ち会うこと
が必要であり、そのための作業工数が大きくなる欠点が
あった。

【０００７】本発明はこのような背景に行われたもので
あって、保持炉から取鍋への溶湯の切出しを過不足なく
行うことができる出湯装置を提供することを目的とす
る。さらに本発明は、取鍋から型枠への注湯を過不足な
く行うことができる出湯装置を提供することを目的とす
る。すなわち本発明は、出湯装置を自動化し作業工数を
小さくすることを目的とする。本発明は、不良品を製造
することなく製品歩留りがよく、また溶湯を無駄にする
ことがなく、製造コストが経済化される出湯装置を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、鋳造工程にお
いて型枠に注湯すべき溶湯を過不足なく取鍋に切出し、
型枠に溶湯を過不足なく注湯する装置に関するものであ
って、溶湯を保持する保持炉と、この保持炉を傾斜させ
その注ぎ口から溶湯を出湯させる第一の駆動手段と、前
記注ぎ口から出湯する溶湯を受ける取鍋と、この取鍋を
吊り下げ前記保持炉の位置から型枠の注湯位置に運搬す
るホイストとを備えた出湯装置において、前記取鍋の重
量を電気信号として検出する重量検出手段と、この重量
検出手段の検出出力を監視しあらかじめ入力された設定
値に達したときに前記駆動手段を制御して前記注ぎ口か
らの溶湯の出湯を停止させるプログラム制御手段とを備
えたことを特徴とする。

【０００９】前記設定値よりやや小さい重量に対応して
予備設定値が設定され、前記プログラム制御手段はこの
予備設定値に達したときに前記駆動手段を制御して前記
注ぎ口から出湯する溶湯の流速を小さく制御する手段を
含み、前記型枠の注湯位置で前記取鍋を傾斜させる第二
の駆動手段を備え、前記取鍋の容量は複数の型枠に対し
て注湯すべき湯量を収容する容量であり、この複数の型
枠のそれぞれに注湯すべき湯量に対応する注湯設定値が
設定され、前記重量検出手段の検出出力を監視し注湯量
が注湯設定値に達したときに前記第二の駆動手段を制御
して注湯を停止させるプログラム制御手段を備えること
が望ましい。

【００１０】

【作用】保持炉を傾斜させ注ぎ口から溶湯を取鍋に出湯
する。この出湯工程で取鍋内の溶湯の重量を検出し、こ
の検出出力を監視してあらかじめ定められた設定値に達
したときに、注ぎ口からの出湯を停止する。次いで、所
定量の溶湯が切出された取鍋をホイストで注湯位置まで
運搬し型枠の注湯口から注湯する。

【００１１】これにより、自動的に型枠に注湯すべき溶
湯を正確に計測して過不足なく取鍋に切出すとともに、
型枠に溶湯を過不足なく注湯することができる。それに
伴って、作業工数を小さくし、製品歩留りを向上させ、
溶湯の無駄をなくし、製造コストを低減することができ
る。

【００１２】

【実施例】次に、本発明実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本発明実施例の要部の構成を示す図、図２は
本発明実施例に係わる鋳造工程を示す図である。

【００１３】本発明実施例は、溶湯を保持する保持炉１
と、この保持炉１を傾斜させその注ぎ口１ａから溶湯を
出湯させる第一の駆動手段２と、注ぎ口１ａから出湯す
る溶湯を受ける取鍋３と、この取鍋３を吊り下げ保持炉
１の位置から型枠４の注湯位置に運搬するホイスト５と
を備え、本発明の特徴として、取鍋３の重量を電気信号
として検出する重量検出手段６と、この重量検出手段６
の検出出力を監視しあらかじめ入力された設定値に達し
たときに第一の駆動手段２を制御して注ぎ口１ａからの
溶湯の出湯を停止させるプログラム制御手段７とを備え
る。

【００１４】前記設定値よりやや小さい重量に対応して
予備設定値が設定され、プログラム制御手段７はこの予
備設定値に達したときに第一の駆動手段２を制御して注
ぎ口１ａから出湯する溶湯の流速を小さく制御する手段
を含み、型枠４の注湯位置で取鍋３を傾斜させる第二の
駆動手段８を備え、取鍋３の容量は複数の型枠４に対し
て注湯すべき湯量を収容する容量であり、プログラム制
御手段７には、この複数の型枠４のそれぞれに注湯すべ
き湯量に対応する注湯設定値が設定され、重量検出手段
６の検出出力を監視し注湯量が注湯設定値に達したとき
に第二の駆動手段８を制御して注湯を停止させる手段を
備える。

【００１５】次に、このように構成された本発明実施例
の動作について説明する。図３は本発明実施例における
プログラム制御回路の動作の流れを示す流れ図である。

【００１６】図２に示す合金材秤量装置２１で秤量され
た合金材が電気炉２２で溶融され、溶湯として保持炉１
に保持される。一方、造型、中子据え込み、および枠合
せ工程を経た複数（約２０セット）の型枠４がローラコ
ンベア２３上に順次送り出される。

【００１７】最初の型枠４が注湯位置に送り出され、操
作卓１１に配置された出湯開始ボタン１４が押される
と、プログラム制御手段７は、油圧ポンプ１２および電
磁弁１３を制御して第一の駆動手段（油圧シリンダ）２
に圧油を供給し、溶湯が保持されている保持炉１を図１
の破線で示すように傾斜させる。保持炉１の傾斜により
注ぎ口１ａから取鍋３に溶湯が注ぎ込まれる。この溶湯
の注ぎ込みが開始されると、ホイスト５と取鍋３との間
に配置された重量検出手段（ロードセル）６が注ぎ込ま
れてくる溶湯の重量を電気信号として検出し、プログラ
ム制御回路７に送出する。プログラム制御手段７はこの
重量値を監視し、あらかじめ定められた設定値Ｗよりや
や小さい重量に対応する予備設定値に達したときに、油
圧ポンプ１２および電磁弁１３を制御して第一の駆動手
段（油圧シリンダ）２の油圧を下げ、注ぎ口１ａから取
鍋３に出湯する溶湯の流速を小さくし、注ぎ込まれる溶
湯の量が設定値Ｗに対し過不足のないように制御する。

【００１８】重量検出手段（ロードセル）６の検出値が
設定値Ｗに達したときに、油圧ポンプ１２および電磁弁
１３を制御して、第一の駆動手段（油圧シリンダ）２の
加圧動作を停止し、保持炉１を図１の実線で示す位置に
戻す。

【００１９】このようにして取鍋３への溶湯の注ぎ込み
が終了したときに、ホイスト５を起動し取鍋３をローラ
コンベア２３近傍の注湯位置に移動させる。ローラコン
ベア２３上には複数の型枠４が載置され取鍋３の位置に
順次移動してくる。取鍋３にはこれら複数の型枠４に対
して注湯すべき湯量が過不足なく収容されている。ま
た、プログラム制御手段７には、これら複数の型枠４の
それぞれに注湯する湯量に対応した注湯設定値が保持さ
れている。型枠４への注湯は、プログラム制御手段７の
制御にしたがって、移動してきた最初の型枠４に対し、
第二の駆動手段８を駆動して取鍋３を傾斜させ注湯を行
い、以降送り出されてくるすべての型枠４に対し同様の
注湯を実施する。

【００２０】このような個々の型枠４への注湯の際に、
プログラム制御手段７は重量検出手段（ロードセル）６
からの検出出力を常時監視していて、それぞれの型枠４
についてその注湯量が注湯設定値に達したときに、第二
の駆動手段８を制御して取鍋３に与えた傾斜を水平位置
に戻し注湯を停止する。

【００２１】すべての型枠４に対する注湯が終了したと
きに、ホイスト５を起動し、取鍋３を保持炉１からの受
湯位置に戻し、次の型枠４に対する溶湯の切出しを受け
る状態で待機させる。

【００２２】この装置を利用することにより、２０個程
度の型枠に注湯する溶湯をいちどに切出すことができ
る。

【００２３】取鍋３から各型枠４への注湯はローラコン
ベア２３上にすべての型枠４を配列しておき、ホイスト
５により取鍋３を個々の型枠４の位置に順次移動させて
行うこともできる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、保
持炉から取鍋への溶湯の切出し、取鍋から複数の型枠へ
の注湯を自動的に過不足なく行うことができ、これによ
り、作業工数を小さくし、製品歩留りを向上させ、溶湯
の無駄をなくすことが可能となり、製品コストを低減す
ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の要部の構成を示す図。

【図２】本発明実施例に係わる鋳造工程を示す図。

【図３】本発明実施例におけるプログラム制御回路の動
作の流れを示す流れ図。

【符号の説明】

１ 保持炉 １ａ 注ぎ口 ２ 第一の駆動手段（油圧シリンダ） ３ 取鍋 ４ 型枠 ５ ホイスト ６ 重量検出手段（ロードセル） ７ プログラム制御手段 ８ 第二の駆動手段 １１ 操作卓 １２ 油圧ポンプ １３ 電磁弁 １４ 出湯開始ボタン ２１ 合金材秤量装置 ２２ 電気炉 ２３ ローラコンベア

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶湯を保持する保持炉と、この保持炉を
   傾斜させその注ぎ口から溶湯を出湯させる第一の駆動手
   段と、前記注ぎ口から出湯する溶湯を受ける取鍋と、こ
   の取鍋を吊り下げ前記保持炉の位置から型枠の注湯位置
   に運搬するホイストとを備えた出湯装置において、 前記取鍋の重量を電気信号として検出する重量検出手段
   と、この重量検出手段の検出出力を監視しあらかじめ入
   力された設定値に達したときに前記駆動手段を制御して
   前記注ぎ口からの溶湯の出湯を停止させるプログラム制
   御手段とを備えたことを特徴とする出湯装置。
2. 【請求項２】 前記設定値よりやや小さい重量に対応し
   て予備設定値が設定され、前記プログラム制御手段はこ
   の予備設定値に達したときに前記駆動手段を制御して前
   記注ぎ口から出湯する溶湯の流速を小さく制御する手段
   を含む請求項１記載の出湯装置。
3. 【請求項３】 前記型枠の注湯位置で前記取鍋を傾斜さ
   せる第二の駆動手段を備え、 前記取鍋の容量は複数の型枠に対して注湯すべき湯量を
   収容する容量であり、 この複数の型枠のそれぞれに注湯すべき湯量に対応する
   注湯設定値が設定され、前記重量検出手段の検出出力を
   監視し注湯量が注湯設定値に達したときに前記第二の駆
   動手段を制御して注湯を停止させるプログラム制御手段
   を備えた請求項１または２記載の出湯装置。