JPH07180196A - 排水配管のユニット化工法と継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排水配管の工事を容易かつ短期間に行える工
法と、そ工法に好適な継手を提供する。 【構成】 フレキシブルな主排水配管３にフレキシブル
な枝排水配管５〜８を接続して排水配管ユニット１を製
作し、この排水配管ユニット１を施工現場に搬入して、
排水対象器具に接続することを特徴とする排水配管のユ
ニット化工法と、継手本体４ａに、フレキシブルな排水
配管を接着剤を介して外嵌接続する接続口ｃと、この外
嵌接続された排水配管の端部外面を覆う保護筒部ｄとを
一体に連設した継手である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排水配管の施工を短工
期で行う上で好適な排水配管のユニット化工法と、その
工法に用いる継手に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、集合住宅やオフィスビルなどの
床空間には、広範囲にわたって排水配管が設けられてい
る。図８は、従来の集合住宅１戸分の排水配管を示す。
縦Ｙは約３ｍ、横Ｘは約１０ｍである。

【０００３】従来、この排水配管の工事は、排水配管用
の定尺物（長さ４ｍあるいは５．５ｍの直管）の硬質塩
化ビニル管、鋼管等と、これらを接続するエルボやチー
ズ、レジューサーなどの各種の継手とを、それぞれ単品
の形で建築現場に搬入し、建築現場では、先ず、配管工
が排水配管を寸法取りして切断し、端部処理を行った
後、この排水配管Ａを支持材（図示せず）で支持して、
排水勾配を確保しながら、排水配管Ａどうしを継手Ｂで
接続し、ユニットバスＣ、洗面台Ｄ、洗濯機載置パン
Ｅ、流し台Ｆ等の排水対象器具に接続するといった手順
で行われている。継手Ｂと排水配管Ａとの接続は、図９
に示すように、排水配管Ａを継手Ｂの接続口Ｇの内側に
差し込み、排水配管Ａの外面と接続口Ｇの内面を接着す
ることによって行われていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、各種の工事が
輻輳して行われる建築現場において、排水配管を所定長
さに切断して端部処理したり、切断した排水配管を持ち
回ってこれを順次、各種の配管用継手で接続する作業
は、非常に煩雑で、手間と時間とがかゝり、更に、排水
配管の切断長さに僅かの誤りが生じたような場合には、
例えば、衛生器具等の排水対象器具や立管に対する排水
配管の接続が不能になったり、排水配管どうしを接続す
る継手に無理がかゝったりする問題点もあった。

【０００５】このような従来欠点の解消策としては、予
め、工場で排水配管を切断して端部処理し、その排水配
管を継手で接続して、例えば、一住戸単位や一水場単位
の排水配管ユニットを製作し、これを建築現場に搬入し
て、所定の排水勾配で床スラブ上に設置することも考え
られるのであるが、枝のように拡がりのある排水配管ユ
ニットを運搬し且つ施工現場に搬入することは、非常に
困難であり、現実には不可能である。

【０００６】そこで、本発明は、フレキシブルな排水配
管を用いて、排水の配管工事を短期間で施工できるよう
にした排水配管のユニット化工法と、その工法に用いて
好適なフレキシブルな排水配管用の継手を提供するもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明による排水配管のユニット化工法では、フレ
キシブルな主排水配管にフレキシブルな枝排水配管が継
手を介して接続された排水配管ユニットを製作し、この
排水配管ユニットを作業現場に搬入して、排水対象器具
に接続するようにしている。

【０００８】この工法に用いて好適なフレキシブル排水
配管の継手は、継手本体に、フレキシブルな排水配管を
接着剤を介して外嵌接続する接続口と、この外嵌接続さ
れた排水配管の端部外面を覆う保護筒部とを、一体に連
設した点に特徴がある。

【０００９】

【作用】上記の工法によれば、フレキシブルな排水配管
を選択したことで、上記の排水配管ユニットを、例えば
一住戸単位や一水場単位の規模でユニット化させたとし
ても、これの枝排水配管を主排水配管に沿わせるように
曲げた上で、更にこれをループ状や二つ折りの状態にす
るなど、枝のように拡がりのある排水配管ユニットをコ
ンパクトな形状にすることで、建築現場への運搬や施工
現場への搬入を容易に行うことができ、施工現場では、
所定の形状に拡げて排水対象器具に接続するだけで、所
定規模の排水設備が得られることになる。

【００１０】主排水配管ならびに枝排水配管のそれぞれ
がフレキシブルであるから、例えば、立管に対する排水
配管ユニットの接続や排水配管ユニットどうしの接続、
排水対象器具に対する接続等に際して、立管や排水対象
器具のユニット接続口や支持材のユニット設置位置に誤
差があっても、この誤差を吸収して無理なく接続するこ
とができる。

【００１１】一方、上記構成の継手によれば、継手本体
の接続口にフレキシブルな排水配管を外嵌合させて、そ
の両者を接着剤で接着させるようにしているので、フレ
キシブルな排水配管を誤って継手の近傍で踏み付けたと
しても、漏水の心配がなく安全である。

【００１２】即ち、排水配管ユニットの現場への運搬・
搬入等に支障がないように、フレキシブルな排水配管を
使用しているので、継手として、従来のように、排水配
管を継手本体の接続口に内嵌合させて接着させる形態を
とると、施工前の排水配管ユニットの取扱い中に、誤っ
て排水配管を踏み付けた場合には、フレキシブルな排水
配管が接着面から剥がれて空隙が生じ、これに起因して
漏水することが考えられるが、かゝる事態が未然に防止
されるのである。

【００１３】また、上述した外嵌合の接続形態をとっ
て、フレキシブルな排水配管を継手部分で露出させたま
まにしておくと、乱雑な取り扱いによって配管端部に亀
裂が入るなど、配管の端部がダメージを受け易くなる
が、排水配管の接続外面を保護筒部で保護するようにし
ているので、配管端部の損傷が防止されることになり、
排水配管のユニット化工法に好適である。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は広範囲にわたる規模の排水配管系を対象に
して、その配管系を複数のゾーンに対応させるように区
分けした内の端末の排水配管ユニット１を示している。

【００１５】具体的には、この実施例では、集合住宅に
おける一住戸分の排水配管系をユニット化しているもの
で、排水対象器具は、図８で説明したユニットバスＣ、
洗面台Ｄ、洗濯機載置パンＥ、流し台Ｆ等である。

【００１６】この排水配管ユニット１は、予め工場で製
作されて、排水配管の施工現場に運搬・搬入され、所定
の排水勾配をもたせて床スラブ上に設けた支持材に設置
されるものであり、図３にも示すように、立管２に接続
される主排水配管３の途中二箇所と端末とに、それぞれ
Ｙ型のチーズ４を接続し、立管２側のチーズ４の分岐口
にはユニットバスに対する枝排水配管５を接続し、次の
チーズ４の分岐口には洗面台に対する枝排水配管６を接
続し、端末のチーズ４については、それの一方の分岐口
に洗濯機載置パンに対する枝排水配管７を接続し、他方
の分岐口には流し台に対する枝排水配管８を接続して構
成されている。

【００１７】主排水配管３を構成する配管３ａ〜３ｃと
各種の枝排水配管５〜８のそれぞれは、立管２側のチー
ズ４に接続のものを例にして図３に示すように、周壁が
軸線方向で凹凸部ａ，ｂを連ねる形状のフレキシブル
な、例えば電気掃除機の吸塵用の蛇腹ホースに代表され
る螺旋状の構造であって、軟質の塩化ビニルなどの合成
樹脂によって製作されており、それの曲げ加工によっ
て、中間部の主排水配管３ｂと枝排水配管５〜８のそれ
ぞれにエルボ機能部９を有せしめている。

【００１８】図１に示す排水配管ユニット１は、フレキ
シブルな配管３、５〜８を、互いに設計寸法に基づいて
切断し且つ端部処理を施し、これらをチーズ４を介して
接続した工場製作の状態を示しており、各配管３ａ、５
〜８の各端末には、立管２やユニットバスなどの接続対
象に対するアダプター１０が接続されている。

【００１９】上記のチーズ４は、硬質合成樹脂によって
製作されたもので、この内の立管２に近い側のチーズ４
を例にして説明すると、図３に示すように、このチーズ
４は、Ｙ型のチーズ本体４ａの配管接続部のそれぞれを
二重筒の構造に構成した点に特徴がある。

【００２０】即ち、フレキシブルな排水配管３ａ，３
ｂ、５を密に外嵌合する内筒状の接続口ｃと、同じく排
水配管３ａ，３ｂ、５を密に内嵌合する外筒状の保護筒
部ｄとを、保護筒部ｄの端部を接続口ｃの端部からやゝ
控えさせる状態で、Ｙ型チーズ本体４ａの各端部に一体
に連設して成るものである。このチーズ４に対する排水
配管３ａ，３ｂ、５の接続に際しては、フレキシブルな
配管内面と接続口ｃ外面とに接着剤が塗布されるが、配
管外面と保護筒部ｄ内面とにも接着剤を塗布してもよ
く、これによって接着強度が倍加することは言うまでも
ない。

【００２１】前記アダプター１０は、上記のチーズ４と
同じように、硬質合成樹脂によって製作されたものであ
る。これについても立管２の接続口２ａに接続されるア
ダプター１０を例にして説明すると、図３に示すよう
に、このアダプター１０は、フレキシブルな排水配管３
ａを密に外嵌合する内筒状の接続口ｅと、同じく排水配
管３ａを密に内嵌合する外筒状の保護筒部ｆとを、その
内の保護筒部ｆの端部をやゝ控えさせる状態で、ストレ
ートな筒状本体１０ａの一端側に連設して構成したもの
である。筒状本体１０ａの他端側の外径は、接続対象で
ある接続口２ａの内径（従来の継手の接続口の内径）と
ほゞ同じに設定されている。

【００２２】このアダプター１０に対する排水配管３ａ
の接続に際しては、チーズ４の場合と同様に、フレキシ
ブルな排水配管内面と接続口ｅ外面とに接着剤が塗布さ
れるが、更に排水配管外面と保護筒部ｆ内面とにも接着
剤を塗布してもよく、これによって接着強度が倍加する
ことは既述した通りである。

【００２３】各配管３ａ、５〜８の各端末を立管２やユ
ニットバスなどの排水対象器具に接続する場合、図９で
説明した従来の継手に対する接続方法と同じように、各
端末を、立管２の接続口２ａやユニットバスなどの排水
対象器具の接続口の内側に差し込んで接着するようにし
てもよいが、アダプター１０を使用すれば、接続口近傍
での配管の変形による漏水を確実に防止できて、有利で
ある。

【００２４】チーズ４ならびにアダプター１０の配管接
続部を上記のように構成したことで、この接続部の近傍
でフレキシブルな排水配管３ａ，３ｂ、５を誤って踏み
付けたとしても、配管内面と接続口外面との接着面に
は、漏水事故に繋がるような空隙が生じず、更に、保護
筒部ｄ，ｆを設けているので、取り扱い上での配管端部
の損傷が防止される。

【００２５】排水の配管施工に用いる本発明の排水配管
ユニット１は、上記のように構成されており、例えば図
２に示すように、枝排水配管５〜８を主排水配管３（３
ａ〜３ｃ）に沿わせるように曲げた上で、この主排水配
管３をループ状や二つ折りの状態などに曲げて、コンパ
クトな形状と成し、かつ、適宜ワイヤーなどで形状を整
えることで、本来は枝のように拡がりのある排水配管ユ
ニット１であっても、この排水配管ユニット１の運搬や
施工現場への搬入を難なく行える。

【００２６】そして、施工現場に搬入された排水配管ユ
ニット１を、図１に示した実際の施工形状に戻して床ス
ラブ上の支持材に設置し、主排水配管３ａを立管２に、
枝排水配管５をユニットバスに、枝排水配管６を洗面台
に、枝排水配管７を洗濯機載置パンに、枝排水配管８を
流し台に、それぞれ接続することで、単位ユニットの排
水設備（例えば、集合住宅の一住戸分の排水設備）を得
ることができる。

【００２７】この接続に際して、主排水配管３ならびに
枝排水配管５〜８のそれぞれがフレキシブルであるか
ら、製作誤差があっても、立管２に対する主排水配管３
ａの接続、並びに各種枝排水配管５〜８のユニットバス
などの排水対象器具に対する接続を無理なく行えること
になる。

【００２８】上記の工法によれば、排水配管の切断や端
部処理、更には接続と言った現場での配管作業が一切不
要になることに加えて、既に接続を済ませた排水配管ユ
ニット１を現場に搬入して、排水対象器具等に接続する
だけであるから、作業能率の向上はもとより現場での配
管作業工数の大幅な削減が達成され、しかも、特殊な構
造のチーズ４とアダプター１０を用いているので、接続
部の止水の信頼性が高くなる。

【００２９】上記の実施例では、接続部を二重筒の構造
にした特殊なチーズ４によって主排水配管３ａ〜３ｃを
互いに接続し、更に、このチーズ４に枝排水配管５〜８
を接続して排水配管ユニット１を構成しているが、上記
のアダプター１０を使用すれば、上記の特殊なチーズ４
を使用しなくても、つまり、図４、図５に示すように、
一般に市販されている従来の合成樹脂製のチーズ４Ａを
使用しても、フレキシブルな主排水配管３ａ〜３ｃなら
びに枝排水配管５〜８の端部を、上記チーズ４Ａの各接
続口ｈに、接続部近傍での変形による漏水の心配がない
状態に、接続して、排水配管ユニット１を構成すること
ができる。

【００３０】また、一般に市販されている従来の合成樹
脂製のチーズ４Ａを使用しても、図６、図７に示すよう
に、フレキシブルな主排水配管３ａ〜３ｃと枝排水配管
５〜８の端部内面ならびにチーズ４Ａの接続口ｈ外面に
それぞれ接着剤を塗布し、配管端部をチーズ４Ａの接続
口ｈに外嵌合させて、排水配管ユニット１を構成するこ
ともできる。これら何れの態様の排水配管ユニット１を
用いる工法であっても、図２に照らして明らかなよう
に、これをコンパクトな形状に纏めることで、運搬や施
工現場への搬入を難なく行え、現場での配管作業工数の
大幅な削減が達成されることになり、それでいて、接続
部近傍でのフレキシブルな配管の変形による漏水の心配
がない

【００３１】尚、上記の各実施例では、主排水配管に対
する枝排水配管の分岐にＹ型チーズ４を用いているが、
Ｔ字状のチーズや十字状の所謂クロスなどによる分岐形
態をとることも可能であって、本発明では、これらのチ
ーズやクロス、ソケット、更には、アダプター１０等を
継手と総称している。そして、これらを硬質合成樹脂製
のものにして実施しているが、これに限らず、アルミや
鉄などの金属によって製作されたものであっても実施が
可能である。

【００３２】また、フレキシブルな主排水配管３や枝排
水配管５〜８を合成樹脂製としているが、これについて
もアルミや鉄などの金属製のものに変更可能であり、そ
の構造も凹凸部ａ，ｂを螺旋に連ねる構成としている
が、それぞれ独立した環状の凹凸部を軸線方向に連ねる
構成の排水配管や、凹凸部のないストレートな管壁の軟
質合成樹脂管、更に、伸縮可能に構成された排水配管に
変更しても、本発明を実施することが可能である。

【００３３】

【発明の効果】本発明による排水配管のユニット化工法
は、上述した構成よりなり、排水配管ユニットをループ
状や二つ折りの状態など、コンパクトな形状にして建築
現場への運搬や施工現場への搬入を行うことができ、施
工現場では、所定の形状に拡げて排水対象器具等に接続
するだけで、所定規模の排水設備が得られることにな
り、現場での配管作業工数の大幅な短縮、延てはコスト
ダウンが達成される等の効果がある。

【００３４】一方、本発明の継手によれば、接続部の止
水の信頼性が高くて漏水の心配がなく安全であり、配管
端部の損傷が効果的に防止されるので、上記のユニット
化工法に好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】集合住宅の一住戸分の排水配管系を対象にした
排水配管ユニットの概略斜視図である。

【図２】図１に示した排水配管ユニットをループ状に形
状を整えた状態を示す斜視図である。

【図３】要部の管接続部を示す断面図である。

【図４】別実施例の要部の管接続部を示す断面図であ
る。

【図５】図４に示す管接続の形態をとった排水配管ユニ
ットの概略斜視図である。

【図６】更なる別実施例の要部の管接続部を示す断面図
である。

【図７】図６に示す管接続の形態をとった排水配管ユニ
ットの概略斜視図である。

【図８】従来の集合住宅の一住戸分の排水配管系を示す
概略平面図である。

【図９】従来の継手と排水配管との接続構造を示す断面
図である。

【符号の説明】

１…排水配管ユニット、３…主排水配管、４…継手、４
ａ…継手本体、５〜８…枝排水配管、ｃ…接続口、ｄ…
保護筒部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 信田 徹 大阪市中央区本町４丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレキシブルな主排水配管にフレキシブ
   ルな枝排水配管が継手を介して接続された排水配管ユニ
   ットを製作し、この排水配管ユニットを作業現場に搬入
   して、排水対象器具に接続することを特徴とする排水配
   管のユニット化工法。
2. 【請求項２】 フレキシブルな排水配管の継手であっ
   て、継手本体に、フレキシブルな排水配管を接着剤を介
   して外嵌接続する接続口と、この外嵌接続された排水配
   管の端部外面を覆う保護筒部とを、一体に連設してある
   ことを特徴とする継手。