JPH07180064A - 被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤 - Google Patents
被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤Info
- Publication number
- JPH07180064A JPH07180064A JP32385793A JP32385793A JPH07180064A JP H07180064 A JPH07180064 A JP H07180064A JP 32385793 A JP32385793 A JP 32385793A JP 32385793 A JP32385793 A JP 32385793A JP H07180064 A JPH07180064 A JP H07180064A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- steel sheet
- grain
- weight
- baking
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C22/00—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
- C23C22/73—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals characterised by the process
- C23C22/74—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals characterised by the process for obtaining burned-in conversion coatings
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C22/00—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
- C23C22/05—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
- C23C22/06—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6
- C23C22/07—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing phosphates
- C23C22/08—Orthophosphates
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐熱性が良好で変圧器製造過程における鉄心
加工性が優れると共に高張力の絶縁被膜により鉄損改善
効果が得られる。 【構成】 M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH
2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型
の複合金属水酸化物組成であることを特徴とする方向性
電磁鋼板用絶縁被膜処理剤 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,Ti
等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2-,SO
4 2-,SiO3 2-,HPO4 2-,CrO4 2-,(CH3
COO)2 2-,Fe(CN)6 3-,HBO3 等のn価の
アニオン 0<x<1.0 0<y<2.0 m;層間水の分子数 及びこれを用いた高張力絶縁被膜形成方法。
加工性が優れると共に高張力の絶縁被膜により鉄損改善
効果が得られる。 【構成】 M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH
2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型
の複合金属水酸化物組成であることを特徴とする方向性
電磁鋼板用絶縁被膜処理剤 M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,Ti
等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2-,SO
4 2-,SiO3 2-,HPO4 2-,CrO4 2-,(CH3
COO)2 2-,Fe(CN)6 3-,HBO3 等のn価の
アニオン 0<x<1.0 0<y<2.0 m;層間水の分子数 及びこれを用いた高張力絶縁被膜形成方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性が良好で、変圧器
製造過程における鉄心の加工性が優れると共に変圧器製
品の被膜特性と磁気特性を良好ならしめる方向性電磁鋼
板の絶縁被膜処理剤及びそれを用いた被膜特性の高張力
絶縁被膜形成方法に関する。
製造過程における鉄心の加工性が優れると共に変圧器製
品の被膜特性と磁気特性を良好ならしめる方向性電磁鋼
板の絶縁被膜処理剤及びそれを用いた被膜特性の高張力
絶縁被膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板はSiを例えば2〜4%
含有する珪素鋼スラブを熱間圧延し、焼鈍した後、1回
或いは焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚と
し、次いで脱炭焼鈍により一次再結晶と鋼板表面に酸化
層を形成した後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、最終仕上げ焼鈍を施してゴス方位を持つ二次再結晶
の発達とS,N等の不純物の除去を行うと同時にグラス
被膜の形成を行い、次いで絶縁被膜用のコーティング剤
を塗布し、乾燥と焼付けを行い、被膜形成をして最終製
品とするプロセスによって製造される。こうして得られ
る方向性電磁鋼板は主として電気機器、トランス等の鉄
心材料として使用され、磁束密度が高く、鉄損値が低い
ものであることが要求される。一方、方向性電磁鋼板が
トランスの鉄心として用いられる場合、所定の寸法にス
リットされたフープは連続的に巻解かれながら剪断機で
所定の長さに切断され、鉄心加工機によって順次巻かれ
或いは積重ねられて巻鉄心や積鉄心とされる。一般的に
巻鉄心の場合には、圧縮成型と歪取り焼鈍を経てレーシ
ングと呼ばれる巻線作業を行った後にケースに入れら
れ、トランスとされる。積鉄心の場合、必要に応じて歪
取り焼鈍後積層され、巻線作業を行って鉄心とされる。
含有する珪素鋼スラブを熱間圧延し、焼鈍した後、1回
或いは焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚と
し、次いで脱炭焼鈍により一次再結晶と鋼板表面に酸化
層を形成した後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、最終仕上げ焼鈍を施してゴス方位を持つ二次再結晶
の発達とS,N等の不純物の除去を行うと同時にグラス
被膜の形成を行い、次いで絶縁被膜用のコーティング剤
を塗布し、乾燥と焼付けを行い、被膜形成をして最終製
品とするプロセスによって製造される。こうして得られ
る方向性電磁鋼板は主として電気機器、トランス等の鉄
心材料として使用され、磁束密度が高く、鉄損値が低い
ものであることが要求される。一方、方向性電磁鋼板が
トランスの鉄心として用いられる場合、所定の寸法にス
リットされたフープは連続的に巻解かれながら剪断機で
所定の長さに切断され、鉄心加工機によって順次巻かれ
或いは積重ねられて巻鉄心や積鉄心とされる。一般的に
巻鉄心の場合には、圧縮成型と歪取り焼鈍を経てレーシ
ングと呼ばれる巻線作業を行った後にケースに入れら
れ、トランスとされる。積鉄心の場合、必要に応じて歪
取り焼鈍後積層され、巻線作業を行って鉄心とされる。
【0003】この鉄心製造工程においては、例えば、巻
鉄心の場合、巻加工と成型作業がスムースに行え、成型
後のコアの鋼板端面やラップ部に凹凸を生じず、形状が
優れていること並びに鋼板表面の滑り性と耐疵付き性が
優れることが重要である。又、焼鈍時においては、鋼板
被膜相互間の焼付きがなく、レーシング作業が行えるこ
とが鉄心加工能率の向上と焼付きによる鋼板への歪みの
誘起や被膜性能の劣化を防止する観点から重要である。
これらの問題に対しては、方向性電磁鋼板の絶縁被膜の
性状が大きく影響する。このため、前述のように、歪取
り焼鈍時に高速での巻加工が容易で鋼板表面の絶縁被膜
の焼付きがなく、レーシング作業がスムースに行えて鉄
損、磁歪等の改善のための被膜張力、耐食性、密着性等
の優れる絶縁被膜の開発が強く望まれている。
鉄心の場合、巻加工と成型作業がスムースに行え、成型
後のコアの鋼板端面やラップ部に凹凸を生じず、形状が
優れていること並びに鋼板表面の滑り性と耐疵付き性が
優れることが重要である。又、焼鈍時においては、鋼板
被膜相互間の焼付きがなく、レーシング作業が行えるこ
とが鉄心加工能率の向上と焼付きによる鋼板への歪みの
誘起や被膜性能の劣化を防止する観点から重要である。
これらの問題に対しては、方向性電磁鋼板の絶縁被膜の
性状が大きく影響する。このため、前述のように、歪取
り焼鈍時に高速での巻加工が容易で鋼板表面の絶縁被膜
の焼付きがなく、レーシング作業がスムースに行えて鉄
損、磁歪等の改善のための被膜張力、耐食性、密着性等
の優れる絶縁被膜の開発が強く望まれている。
【0004】このような、トランス鉄心加工性と磁気特
性の向上手段として、絶縁被膜形成時の塗布剤の改良が
なされてきた。特開昭61−4773号公報には、コー
ティング剤として第1リン酸塩に粒子径8nm以下の超微
粒子シリカ、クロム酸又はクロム酸塩の1種又は2種以
上からなる混合液を仕上げ焼鈍後の鋼板に塗布し、焼付
け処理することにより、鋼板表面に形成する絶縁被膜の
滑り性を改善する技術が開示されている。
性の向上手段として、絶縁被膜形成時の塗布剤の改良が
なされてきた。特開昭61−4773号公報には、コー
ティング剤として第1リン酸塩に粒子径8nm以下の超微
粒子シリカ、クロム酸又はクロム酸塩の1種又は2種以
上からなる混合液を仕上げ焼鈍後の鋼板に塗布し、焼付
け処理することにより、鋼板表面に形成する絶縁被膜の
滑り性を改善する技術が開示されている。
【0005】又、特開平3−207868号公報には絶
縁被膜剤として、粒径50nm以下のコロイダルシリカ5
0〜98重量%(SiO2 として)とクロム酸、クロム
酸塩、重クロム酸塩の1種又は2種以上10〜40重量
部と共に、Fe,Cu,Ba,Zn,Al,Ni,S
n,Cu,Cr,Nd,Mn,Mo,Si,Ti,W,
Bi,Sr,V等からなる酸化物、炭化物、窒化物、硫
化物、ほう化物、水酸化物、珪酸塩、炭酸塩、硝酸塩、
塩化物であってその粒子径が80〜3000nmのコロイ
ド状物質の1種又は2種以上を2〜50%添加した混合
物にリン酸塩、クロム酸塩等を配合した処理剤を塗布
し、焼付け処理することを特徴とする鉄心の加工性、耐
熱性、張力付与性の優れた方向性電磁鋼板の絶縁被膜形
成法が提案されている。
縁被膜剤として、粒径50nm以下のコロイダルシリカ5
0〜98重量%(SiO2 として)とクロム酸、クロム
酸塩、重クロム酸塩の1種又は2種以上10〜40重量
部と共に、Fe,Cu,Ba,Zn,Al,Ni,S
n,Cu,Cr,Nd,Mn,Mo,Si,Ti,W,
Bi,Sr,V等からなる酸化物、炭化物、窒化物、硫
化物、ほう化物、水酸化物、珪酸塩、炭酸塩、硝酸塩、
塩化物であってその粒子径が80〜3000nmのコロイ
ド状物質の1種又は2種以上を2〜50%添加した混合
物にリン酸塩、クロム酸塩等を配合した処理剤を塗布
し、焼付け処理することを特徴とする鉄心の加工性、耐
熱性、張力付与性の優れた方向性電磁鋼板の絶縁被膜形
成法が提案されている。
【0006】前者は超微粒子コロイダルシリカによる表
面の平滑化と粒子表面積増によるフリーリン酸の固定力
の向上により滑り性と焼付き性を向上させるものであ
る。後者は微粒子と粗粒子のコロイダル物質により作ら
れる表面の球面状突起効果と複合リン酸塩により滑り
性、耐疵付き性と焼鈍時の耐焼付き性を向上するもので
ある。これらは何れもそれなりの効果を上げている。
面の平滑化と粒子表面積増によるフリーリン酸の固定力
の向上により滑り性と焼付き性を向上させるものであ
る。後者は微粒子と粗粒子のコロイダル物質により作ら
れる表面の球面状突起効果と複合リン酸塩により滑り
性、耐疵付き性と焼鈍時の耐焼付き性を向上するもので
ある。これらは何れもそれなりの効果を上げている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術で
は、何れも絶縁被膜成分として、リン酸塩、コロイダル
シリカとクロム酸塩を主成分として使用するものであ
る。基本的には、被膜張力はコロイダルシリカとリン酸
塩の比率によって決まるものであり被膜張力の向上に限
界がある。リン酸塩によりもたらされる歪取り焼鈍時の
被膜焼付き性やクロム酸塩による鉄心加工作業環境汚染
問題等については、更なる改善が望まれているところで
ある。
は、何れも絶縁被膜成分として、リン酸塩、コロイダル
シリカとクロム酸塩を主成分として使用するものであ
る。基本的には、被膜張力はコロイダルシリカとリン酸
塩の比率によって決まるものであり被膜張力の向上に限
界がある。リン酸塩によりもたらされる歪取り焼鈍時の
被膜焼付き性やクロム酸塩による鉄心加工作業環境汚染
問題等については、更なる改善が望まれているところで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うな従来のリン酸塩、コロイダルシリカ、クロム酸塩系
処理液で形成する被膜では、歪取り焼鈍時での被膜成分
の分解、融着反応により焼付きが発生しやすいこと、曲
げ加工、成型工程での被膜剤の剥離した場合のクロム酸
塩、リン酸塩物質による作業環境の汚染問題に加えて、
方向性電磁鋼板においては、絶縁被膜の張力の向上が更
にはかれれば鉄損特性やトランス騒音の原因となる磁歪
特性の向上が得られる点に注目して新組成の被膜剤の開
発を検討した。その結果、2価及び3価金属の複合金属
水酸化物により、従来、単体酸化物物質ゾルで得られな
かったような低融点化効果が得られ、低温、短時間で高
張力の著しく良好な絶縁被膜が形成できることを見いだ
し、本発明を完成した。
うな従来のリン酸塩、コロイダルシリカ、クロム酸塩系
処理液で形成する被膜では、歪取り焼鈍時での被膜成分
の分解、融着反応により焼付きが発生しやすいこと、曲
げ加工、成型工程での被膜剤の剥離した場合のクロム酸
塩、リン酸塩物質による作業環境の汚染問題に加えて、
方向性電磁鋼板においては、絶縁被膜の張力の向上が更
にはかれれば鉄損特性やトランス騒音の原因となる磁歪
特性の向上が得られる点に注目して新組成の被膜剤の開
発を検討した。その結果、2価及び3価金属の複合金属
水酸化物により、従来、単体酸化物物質ゾルで得られな
かったような低融点化効果が得られ、低温、短時間で高
張力の著しく良好な絶縁被膜が形成できることを見いだ
し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明の要旨は以下の(1)〜
(4)である。 (1)M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH2 O
の一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型複合
金属水酸化物組成であることを特徴とする方向性電磁鋼
板用絶縁被膜処理剤。 (2)M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH2 O
の一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型複合
金属水酸化物組成物質100重量部に対し、ほう酸、酢
酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、ほう酸
塩、酢酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ク
ロム酸塩の1種又は2種以上を1〜50重量部配合した
組成であることを特徴とする方向性電磁鋼板用絶縁被膜
処理剤。 (3)最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の方向性電
磁鋼板に(1)記載の処理剤を、焼付け後の重量で1〜
5g/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲で焼付け
処理することを特徴とする被膜特性の優れる方向性電磁
鋼板の製造方法。 (4)最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の方向性電
磁鋼板に(2)記載の処理剤を、焼付け後の重量で1〜
5g/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲で焼付け
処理することを特徴とする被膜特性の優れる方向性電磁
鋼板の製造方法。 但し、M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,Ti
等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2-,SO
4 2-,SiO3 2-,HPO4 2-,CrO4 2-,(CH3
COO)2 2-,Fe(CN)6 3-,HBO3 等のn価の
アニオン 0<x<1.0 0<y<2.0 m;層間水の分子数 以下に、本発明の内容を詳細に説明する。本発明で使用
する無機化合物の種類は以下の通りである。本発明で
は、2価金属元素と3価金属元素により構成される複合
水酸化物をゾル状の水溶液として鋼板上に塗布焼付けす
る。その水酸化物物質の形態としては、M2+ 1-x M3+ x
(OH)2+x-nyAn- y ・mH2 Oで表される。基本組成
M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyに適用する2価金属元素
は、Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn等であり、3価金属元素と
しては、Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,T
i等である。
(4)である。 (1)M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH2 O
の一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型複合
金属水酸化物組成であることを特徴とする方向性電磁鋼
板用絶縁被膜処理剤。 (2)M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・mH2 O
の一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶型複合
金属水酸化物組成物質100重量部に対し、ほう酸、酢
酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、ほう酸
塩、酢酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ク
ロム酸塩の1種又は2種以上を1〜50重量部配合した
組成であることを特徴とする方向性電磁鋼板用絶縁被膜
処理剤。 (3)最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の方向性電
磁鋼板に(1)記載の処理剤を、焼付け後の重量で1〜
5g/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲で焼付け
処理することを特徴とする被膜特性の優れる方向性電磁
鋼板の製造方法。 (4)最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の方向性電
磁鋼板に(2)記載の処理剤を、焼付け後の重量で1〜
5g/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲で焼付け
処理することを特徴とする被膜特性の優れる方向性電磁
鋼板の製造方法。 但し、M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,Ti
等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2-,SO
4 2-,SiO3 2-,HPO4 2-,CrO4 2-,(CH3
COO)2 2-,Fe(CN)6 3-,HBO3 等のn価の
アニオン 0<x<1.0 0<y<2.0 m;層間水の分子数 以下に、本発明の内容を詳細に説明する。本発明で使用
する無機化合物の種類は以下の通りである。本発明で
は、2価金属元素と3価金属元素により構成される複合
水酸化物をゾル状の水溶液として鋼板上に塗布焼付けす
る。その水酸化物物質の形態としては、M2+ 1-x M3+ x
(OH)2+x-nyAn- y ・mH2 Oで表される。基本組成
M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyに適用する2価金属元素
は、Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn等であり、3価金属元素と
しては、Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,T
i等である。
【0010】これらによる結晶構造はブルーサイト〔M
g(OH)2 〕類似のプラスに荷電した基本層、アニオ
ンと層間水からなるマイナスに荷電した中間層の2種類
の層からなる層状構造物である。これらは、同時に3価
の水酸化物に2価の水酸化物を固溶したものを含む。そ
の置換量に依存してプラス荷電量が決まる。このプラス
荷電を中間層のアニオンが中和して結晶全体としての電
気的中和を保つ。中間層のアニオンが占めた残りのスペ
ースは層間水で満たされている。
g(OH)2 〕類似のプラスに荷電した基本層、アニオ
ンと層間水からなるマイナスに荷電した中間層の2種類
の層からなる層状構造物である。これらは、同時に3価
の水酸化物に2価の水酸化物を固溶したものを含む。そ
の置換量に依存してプラス荷電量が決まる。このプラス
荷電を中間層のアニオンが中和して結晶全体としての電
気的中和を保つ。中間層のアニオンが占めた残りのスペ
ースは層間水で満たされている。
【0011】本発明に用いる複合金属水酸化物の製造は
例えばM2+,M3+及びAn-の混合液にアルカリを加え、
pHを約7以上に保って反応させる方法により得られ
る。このような物質としては、例えば、3価の水酸化
物に2価の水酸化物を固溶したもの、2価の水酸化物
に3価の水酸化物を固溶したもの、或いはその両方が
用いられる。これらの固溶型の複合金属水酸化物物質で
は、主として固溶により、そして副次的にアニオン物質
と層間水による効果が相乗的に作用して、単体酸化物物
質では得られなかったような高反応性と低融点化が得ら
れる。このため、低温度且つ短時間焼付け条件でも高張
力の絶縁被膜を形成する。
例えばM2+,M3+及びAn-の混合液にアルカリを加え、
pHを約7以上に保って反応させる方法により得られ
る。このような物質としては、例えば、3価の水酸化
物に2価の水酸化物を固溶したもの、2価の水酸化物
に3価の水酸化物を固溶したもの、或いはその両方が
用いられる。これらの固溶型の複合金属水酸化物物質で
は、主として固溶により、そして副次的にアニオン物質
と層間水による効果が相乗的に作用して、単体酸化物物
質では得られなかったような高反応性と低融点化が得ら
れる。このため、低温度且つ短時間焼付け条件でも高張
力の絶縁被膜を形成する。
【0012】又、これらの被膜剤物質は従来のリン酸塩
−コロイダルシリカ−クロム酸系被膜に比較して、圧倒
的に低熱膨張率の成分が主体の被膜となるため、従来の
被膜剤に比し非常に大きい張力が得られる特徴がある。
本発明の複合水酸化物物質の粒子径は1μm以下であ
る。これは被膜剤の適用にあたっては焼付け工程におい
ては、低温且つ短時間の焼付け処理により造膜すること
が重要であり、このためには1μmより大きい粒子径で
は高速造膜性に不利になるからである。
−コロイダルシリカ−クロム酸系被膜に比較して、圧倒
的に低熱膨張率の成分が主体の被膜となるため、従来の
被膜剤に比し非常に大きい張力が得られる特徴がある。
本発明の複合水酸化物物質の粒子径は1μm以下であ
る。これは被膜剤の適用にあたっては焼付け工程におい
ては、低温且つ短時間の焼付け処理により造膜すること
が重要であり、このためには1μmより大きい粒子径で
は高速造膜性に不利になるからである。
【0013】本発明で使用する処理剤の組成は以下の通
りである。本発明ではアニオン基により複合水酸化物物
質の低融点化の効果は得られている。しかし、密着性の
向上と被膜形成を更に高速化する目的でほう酸、酢酸、
蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、ほう酸塩、酢
酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、クロム酸
塩の1種又は2種以上を複合水酸化物物質100重量部
に対し、0.5〜50重量部の割合で配合することが望
ましい。これらの物質の添加により絶縁被膜形成の低温
・短時間化が進み、被膜の鋼板への密着性が改善され
る。複合水酸化物物質100重量部に対する配合割合が
0.5重量部未満ではこのような効果が極端に小さくな
る。一方、50重量部超では、被膜張力の低下が生じた
り、過剰のほう酸、酢酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ
酸、クロム酸、ほう酸塩、酢酸塩、蓚酸園、蟻酸塩、リ
ン酸塩、ケイ酸塩、クロム酸塩による吸湿性による被膜
表面のベタつきや耐熱性低下の問題があり、又、歪取り
焼鈍での焼付き性が生じるため制限される。
りである。本発明ではアニオン基により複合水酸化物物
質の低融点化の効果は得られている。しかし、密着性の
向上と被膜形成を更に高速化する目的でほう酸、酢酸、
蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、ほう酸塩、酢
酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、クロム酸
塩の1種又は2種以上を複合水酸化物物質100重量部
に対し、0.5〜50重量部の割合で配合することが望
ましい。これらの物質の添加により絶縁被膜形成の低温
・短時間化が進み、被膜の鋼板への密着性が改善され
る。複合水酸化物物質100重量部に対する配合割合が
0.5重量部未満ではこのような効果が極端に小さくな
る。一方、50重量部超では、被膜張力の低下が生じた
り、過剰のほう酸、酢酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ
酸、クロム酸、ほう酸塩、酢酸塩、蓚酸園、蟻酸塩、リ
ン酸塩、ケイ酸塩、クロム酸塩による吸湿性による被膜
表面のベタつきや耐熱性低下の問題があり、又、歪取り
焼鈍での焼付き性が生じるため制限される。
【0014】次に上記処理剤の塗布量について述べる。
電磁鋼板表面に形成する絶縁被膜量は、焼付け後の重量
で1.0〜5.0g/m2 の範囲が適当である。1g/
m2 以下では十分な被膜張力と耐食性、絶縁性等が得ら
れにくい。特に、グラス被膜を持たない電磁鋼板に処理
する場合には不利となる。本発明の被膜剤組成では、付
着量1.0〜5.0g/m2 の範囲では、板厚0.23
mmに適用した場合は、0.5〜3.0kg/m2 のような
高張力の被膜が得られ、耐食性、絶縁性等においても良
好な被膜特性が得られる。付着量が5.0g/m2 以上
では占積率の低下や高張力による密着性の低下が生じる
場合があり、張力効果による鉄損の向上も5g/m2 近
傍の付着量で飽和するためコスト面からも不利となるた
め不必要である。
電磁鋼板表面に形成する絶縁被膜量は、焼付け後の重量
で1.0〜5.0g/m2 の範囲が適当である。1g/
m2 以下では十分な被膜張力と耐食性、絶縁性等が得ら
れにくい。特に、グラス被膜を持たない電磁鋼板に処理
する場合には不利となる。本発明の被膜剤組成では、付
着量1.0〜5.0g/m2 の範囲では、板厚0.23
mmに適用した場合は、0.5〜3.0kg/m2 のような
高張力の被膜が得られ、耐食性、絶縁性等においても良
好な被膜特性が得られる。付着量が5.0g/m2 以上
では占積率の低下や高張力による密着性の低下が生じる
場合があり、張力効果による鉄損の向上も5g/m2 近
傍の付着量で飽和するためコスト面からも不利となるた
め不必要である。
【0015】更に上記処理剤の塗布・焼付け条件につい
て述べる。処理液の塗布・焼付け方法としては、連続ラ
インにおいて処理液を水で適当濃度に希釈し、ロールコ
ーターで所定量塗布し、400〜1200℃で短時間の
焼付け処理を行う。焼付け温度が400℃より低いと複
合水酸化物溶融に時間がかかるため工業的な使用に耐え
なくなる問題がある。又、焼付け時の鋼板の熱膨張が不
足して被膜張力効果が小さくなる。一方、1200℃以
上では連続炉中での焼付けにおいて鋼板の伸びの制御が
難しくなるため制限される。好ましくは750〜950
℃である。
て述べる。処理液の塗布・焼付け方法としては、連続ラ
インにおいて処理液を水で適当濃度に希釈し、ロールコ
ーターで所定量塗布し、400〜1200℃で短時間の
焼付け処理を行う。焼付け温度が400℃より低いと複
合水酸化物溶融に時間がかかるため工業的な使用に耐え
なくなる問題がある。又、焼付け時の鋼板の熱膨張が不
足して被膜張力効果が小さくなる。一方、1200℃以
上では連続炉中での焼付けにおいて鋼板の伸びの制御が
難しくなるため制限される。好ましくは750〜950
℃である。
【0016】本発明の処理剤は最終仕上げ焼鈍を施した
方向性電磁鋼板に適用される。この場合、3つのケース
がある。第一は最終焼鈍後のグラス被膜上への塗布をす
る場合、第二はグラス被膜上に他の絶縁被膜剤を塗布し
た製品に塗布する場合、第三はこれらの被膜を酸洗等に
よって除去したり、焼鈍分離剤や最終焼鈍の条件の制御
によりグラス被膜の形成を防止したりする、いわゆるグ
ラスレス材への適用である。これらの適用にあたって
は、予備処理として軽酸洗等を行った後適用するのが被
膜の均一塗布性を得るのに良いが、これに限定するもの
ではない。これらの用途によって被膜材の塗布量や焼付
け処理のヒートサイクル等を制御して被膜形成が行われ
る。
方向性電磁鋼板に適用される。この場合、3つのケース
がある。第一は最終焼鈍後のグラス被膜上への塗布をす
る場合、第二はグラス被膜上に他の絶縁被膜剤を塗布し
た製品に塗布する場合、第三はこれらの被膜を酸洗等に
よって除去したり、焼鈍分離剤や最終焼鈍の条件の制御
によりグラス被膜の形成を防止したりする、いわゆるグ
ラスレス材への適用である。これらの適用にあたって
は、予備処理として軽酸洗等を行った後適用するのが被
膜の均一塗布性を得るのに良いが、これに限定するもの
ではない。これらの用途によって被膜材の塗布量や焼付
け処理のヒートサイクル等を制御して被膜形成が行われ
る。
【0017】本発明では、被膜成分として2価及び3価
の金属元素による微粒子の複合水酸化物物質と、必要に
応じて低融点化剤としてほう酸、ほう酸塩、リン酸、リ
ン酸塩等を添加して水溶液を適用することにより、40
0〜1200℃で短時間の焼付け処理を行い絶縁被膜を
形成する。このようにして得られた被膜は、緻密で耐熱
性、絶縁性、耐食性等に優れた絶縁被膜が形成できる。
更に本発明では、Mg,Al等の複合水酸化物ゾルを主
成分として利用する。本発明では添加剤の選択によって
は、従来の絶縁被膜に用いられてきたリン酸塩、クロム
酸塩、コロイダルシリカ系被膜のように、クロム酸化合
物を全く利用せず、リン酸化合物をほとんど利用しない
被膜組成とすることができるため、形成する被膜の熱膨
張率が小さく、飛躍的な高張力が得られる。又、この場
合、クロム化合物等による鉄心加工工程における被膜剥
離等による作業環境汚染の問題もない被膜形成が実現で
きる。
の金属元素による微粒子の複合水酸化物物質と、必要に
応じて低融点化剤としてほう酸、ほう酸塩、リン酸、リ
ン酸塩等を添加して水溶液を適用することにより、40
0〜1200℃で短時間の焼付け処理を行い絶縁被膜を
形成する。このようにして得られた被膜は、緻密で耐熱
性、絶縁性、耐食性等に優れた絶縁被膜が形成できる。
更に本発明では、Mg,Al等の複合水酸化物ゾルを主
成分として利用する。本発明では添加剤の選択によって
は、従来の絶縁被膜に用いられてきたリン酸塩、クロム
酸塩、コロイダルシリカ系被膜のように、クロム酸化合
物を全く利用せず、リン酸化合物をほとんど利用しない
被膜組成とすることができるため、形成する被膜の熱膨
張率が小さく、飛躍的な高張力が得られる。又、この場
合、クロム化合物等による鉄心加工工程における被膜剥
離等による作業環境汚染の問題もない被膜形成が実現で
きる。
【0018】複合水酸化物によるもう一つの大きい効果
として、アニオン物質や添加剤等の安定化がある。複合
水酸化物を利用しない場合、ガラス化のための焼付け温
度や時間を十分にとってガラス化を完了させても、アニ
オン物質や添加剤がもたらすフリーのリン酸、ほう酸等
やこれらの塩類の吸湿が十分に抑えられず、耐食性、耐
焼付き性等の向上が困難である。複合水酸化物では、理
由は明確ではないが、これらの吸湿性、焼付き性を極端
に小さくする効果があり、複合物質による被膜成分の安
定効果が大きい。
として、アニオン物質や添加剤等の安定化がある。複合
水酸化物を利用しない場合、ガラス化のための焼付け温
度や時間を十分にとってガラス化を完了させても、アニ
オン物質や添加剤がもたらすフリーのリン酸、ほう酸等
やこれらの塩類の吸湿が十分に抑えられず、耐食性、耐
焼付き性等の向上が困難である。複合水酸化物では、理
由は明確ではないが、これらの吸湿性、焼付き性を極端
に小さくする効果があり、複合物質による被膜成分の安
定効果が大きい。
【0019】
【実施例】 〔実施例1〕公知の方法で処理した板厚0.23mmの高
磁束密度方向性電磁鋼板の冷間圧延コイルをN2 25%
+H2 75%のウェット雰囲気で850℃×120秒間
の脱炭焼鈍を行い、脱炭と酸化膜形成を行った。次いで
焼鈍分離剤として、MgO100重量部、TiO2 5重
量部、ほう酸Na0.3重量部からなる組成のパウダー
を塗布した。次いで、1200℃×20時間の最終仕上
げ焼鈍を行い、二次再結晶、純化と共に鋼板表面にグラ
ス被膜形成を行って出発材とした。
磁束密度方向性電磁鋼板の冷間圧延コイルをN2 25%
+H2 75%のウェット雰囲気で850℃×120秒間
の脱炭焼鈍を行い、脱炭と酸化膜形成を行った。次いで
焼鈍分離剤として、MgO100重量部、TiO2 5重
量部、ほう酸Na0.3重量部からなる組成のパウダー
を塗布した。次いで、1200℃×20時間の最終仕上
げ焼鈍を行い、二次再結晶、純化と共に鋼板表面にグラ
ス被膜形成を行って出発材とした。
【0020】このコイルを水洗により表面の余剰MgO
を除去し、連続ライン中で2%H2SO4 、液温80℃
で10秒間の軽酸洗を行った後、表1に示す化学組成の
複合金属水酸化物とアニオン物質としてBO3 3-を一定
量含む水溶液を焼付け後の重量で4g/m2 になるよう
に塗布し、850℃×60秒間の焼付け処理を行った。
この時の被膜特性と磁気特性の結果を表2に示す。
を除去し、連続ライン中で2%H2SO4 、液温80℃
で10秒間の軽酸洗を行った後、表1に示す化学組成の
複合金属水酸化物とアニオン物質としてBO3 3-を一定
量含む水溶液を焼付け後の重量で4g/m2 になるよう
に塗布し、850℃×60秒間の焼付け処理を行った。
この時の被膜特性と磁気特性の結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】この結果、本発明によるものは、何れも高
張力で光沢のある透明なガラス状被膜を形成し、被膜の
密着性も良好であった。一方、比較例の複合水酸化物ゾ
ルを使用しないAl(OH)3 によるものは、ガラス化
が生じず、被膜密着性や鉄損改善効果も本発明に比較し
て著しく劣る結果となった。又、得られた製品の磁性も
被膜張力に応じた改善が見られ、何れも著しく鉄損が改
善され、比較材の従来のリン酸塩−コロイド状シリカ系
や複合水酸化物を用いないものに比較して良好な特性が
得られた。
張力で光沢のある透明なガラス状被膜を形成し、被膜の
密着性も良好であった。一方、比較例の複合水酸化物ゾ
ルを使用しないAl(OH)3 によるものは、ガラス化
が生じず、被膜密着性や鉄損改善効果も本発明に比較し
て著しく劣る結果となった。又、得られた製品の磁性も
被膜張力に応じた改善が見られ、何れも著しく鉄損が改
善され、比較材の従来のリン酸塩−コロイド状シリカ系
や複合水酸化物を用いないものに比較して良好な特性が
得られた。
【0024】〔実施例2〕実施例1と同様にして得た、
最終焼鈍後のコイルを連続ライン中で軽酸洗後、特開昭
61−4773号公報による被膜剤として50%リン酸
Al25ml、50%リン酸Mg25ml、粒子径6nmの2
0%コロイダルシリカ100mlからなる処理剤を塗布焼
付け後の重量で3.5g/m2 になるように塗布し、8
25℃×25秒間の焼付け処理を行った。
最終焼鈍後のコイルを連続ライン中で軽酸洗後、特開昭
61−4773号公報による被膜剤として50%リン酸
Al25ml、50%リン酸Mg25ml、粒子径6nmの2
0%コロイダルシリカ100mlからなる処理剤を塗布焼
付け後の重量で3.5g/m2 になるように塗布し、8
25℃×25秒間の焼付け処理を行った。
【0025】この鋼板に表3に示すような化学組成の複
合金属水酸化物とアニオン物質と添加剤としてメタほう
酸、ほう酸を配合した処理剤を水溶液とし、焼付け後の
重量で4.0g/m2 になるように塗布し、860℃×
45秒間の焼付け処理を行った。このようにして得られ
た製品の被膜特性と磁気特性の結果を表4に示す。
合金属水酸化物とアニオン物質と添加剤としてメタほう
酸、ほう酸を配合した処理剤を水溶液とし、焼付け後の
重量で4.0g/m2 になるように塗布し、860℃×
45秒間の焼付け処理を行った。このようにして得られ
た製品の被膜特性と磁気特性の結果を表4に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】この結果、本発明の複合金属水酸化物物質
にほう酸或いはメタほう酸を添加した場合には何れも良
好な特性が得られた。即ち、被膜特性として高張力で、
密着性の良い、均一なガラス状被膜を形成し、耐食性や
SRA時の耐焼付き性等が優れ、鉄損改善効果も著しか
った。一方、複合水酸化物を使用しない比較例では何れ
もガラス化が不足し、被膜特性としても耐食性や耐焼付
き性がかなり劣り、張力が小さいため、鉄損改善効果が
著しく小さい結果となった。
にほう酸或いはメタほう酸を添加した場合には何れも良
好な特性が得られた。即ち、被膜特性として高張力で、
密着性の良い、均一なガラス状被膜を形成し、耐食性や
SRA時の耐焼付き性等が優れ、鉄損改善効果も著しか
った。一方、複合水酸化物を使用しない比較例では何れ
もガラス化が不足し、被膜特性としても耐食性や耐焼付
き性がかなり劣り、張力が小さいため、鉄損改善効果が
著しく小さい結果となった。
【0029】
【発明の効果】本発明は耐熱性が良好で高い被膜張力を
有する方向性電磁鋼板を製造することができる。
有する方向性電磁鋼板を製造することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・
mH2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固
溶型複合金属水酸化物組成であることを特徴とする方向
性電磁鋼板用絶縁被膜処理剤。 - 【請求項2】 M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-nyAn- y ・
mH2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固
溶型複合金属水酸化物組成物質100重量部に対し、ほ
う酸、酢酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、
ほう酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸
塩、クロム酸塩の1種又は2種以上を1〜50重量部配
合した組成であることを特徴とする方向性電磁鋼板用絶
縁被膜処理剤。 - 【請求項3】 最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の
方向性電磁鋼板に、M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-ny・m
H2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶
型複合金属水酸化物組成である処理剤を、焼付け後の重
量で1〜5g/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲
で焼付け処理することを特徴とする被膜特性の優れる方
向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 最終焼鈍を終了し、二次再結晶完了後の
方向性電磁鋼板に、M2+ 1-x M3+ x (OH)2+x-ny・m
H2 Oの一般式で表される平均粒子径1μm以下の固溶
型複合金属水酸化物組成物質100重量部に対し、ほう
酸、酢酸、蓚酸、蟻酸、リン酸、ケイ酸、クロム酸、ほ
う酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、蟻酸塩、リン酸塩、ケイ酸
塩、クロム酸塩の1種又は2種以上を1〜50重量部配
合した組成である処理剤を、焼付け後の重量で1〜5g
/m2 塗布し、400〜1200℃の範囲で焼付け処理
することを特徴とする被膜特性の優れる方向性電磁鋼板
の製造方法。 但し、M2+;Be,Mg,Ca,Ba,Sr,Sn,M
n,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等の2価金属 M3+;Al,Fe,Cr,Co,In,B,Ga,Ti
等の3価金属 An-;OH- ,F- ,Cl- ,Br- ,CO3 2-,SO
4 2-,SiO3 2-,HPO4 2-,CrO4 2-,(CH3
COO)2 2-,Fe(CN)6 3-,HBO3 等のn価の
アニオン 0<x<1.0 0<y<2.0 m;層間水の分子数
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32385793A JP3009578B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32385793A JP3009578B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07180064A true JPH07180064A (ja) | 1995-07-18 |
JP3009578B2 JP3009578B2 (ja) | 2000-02-14 |
Family
ID=18159365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32385793A Expired - Fee Related JP3009578B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3009578B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07316831A (ja) * | 1994-05-23 | 1995-12-05 | Kaisui Kagaku Kenkyusho:Kk | セラミック被膜形成剤およびその製造方法 |
JP2007023329A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Nippon Steel Corp | クロムを含有しない電磁鋼板用絶縁被膜剤 |
EP1903125A1 (en) * | 2005-07-14 | 2008-03-26 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electromagnetic steel sheet having chromium-free insulation coating and insulation coating agent therefor |
WO2009113392A1 (ja) * | 2008-03-13 | 2009-09-17 | 新日本製鐵株式会社 | 熱伝導性に優れた絶縁被膜を持つ電磁鋼板及びその製造方法 |
WO2012043610A1 (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-05 | Jfeスチール株式会社 | 冷延鋼板 |
CN102630199A (zh) * | 2009-11-26 | 2012-08-08 | 杰富意钢铁株式会社 | 镀锌系钢板 |
JP2013139382A (ja) * | 2011-12-30 | 2013-07-18 | Industrial Technology Research Inst | 多孔質基材の修飾方法および修飾された多孔質基材 |
US9321246B2 (en) | 2010-09-29 | 2016-04-26 | Jfe Steel Corporation | Cold rolled steel sheet |
-
1993
- 1993-12-22 JP JP32385793A patent/JP3009578B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07316831A (ja) * | 1994-05-23 | 1995-12-05 | Kaisui Kagaku Kenkyusho:Kk | セラミック被膜形成剤およびその製造方法 |
JP2007023329A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Nippon Steel Corp | クロムを含有しない電磁鋼板用絶縁被膜剤 |
EP1903125A1 (en) * | 2005-07-14 | 2008-03-26 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electromagnetic steel sheet having chromium-free insulation coating and insulation coating agent therefor |
EP1903125A4 (en) * | 2005-07-14 | 2013-04-10 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | CORRORATED ELECTROMAGNETIC STEEL PLATE WITH CHROMATE INSULATION COATING AND ISOALTION COATING FOR THIS |
US7850792B2 (en) | 2005-07-14 | 2010-12-14 | Nippon Steel Corporation | Grain-oriented electrical steel sheet having insulating film not containing chromium and insulating film agent of same |
JPWO2009113392A1 (ja) * | 2008-03-13 | 2011-07-21 | 新日本製鐵株式会社 | 熱伝導性に優れた絶縁被膜を持つ電磁鋼板及びその製造方法 |
JP4608600B2 (ja) * | 2008-03-13 | 2011-01-12 | 新日本製鐵株式会社 | 熱伝導性に優れた絶縁被膜を持つ電磁鋼板及びその製造方法 |
WO2009113392A1 (ja) * | 2008-03-13 | 2009-09-17 | 新日本製鐵株式会社 | 熱伝導性に優れた絶縁被膜を持つ電磁鋼板及びその製造方法 |
CN102630199A (zh) * | 2009-11-26 | 2012-08-08 | 杰富意钢铁株式会社 | 镀锌系钢板 |
WO2012043610A1 (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-05 | Jfeスチール株式会社 | 冷延鋼板 |
JP2012072438A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Jfe Steel Corp | 冷延鋼板 |
CN103168116A (zh) * | 2010-09-29 | 2013-06-19 | 杰富意钢铁株式会社 | 冷轧钢板 |
US9175414B2 (en) | 2010-09-29 | 2015-11-03 | Jfe Steel Corporation | Cold rolled steel sheet |
US9321246B2 (en) | 2010-09-29 | 2016-04-26 | Jfe Steel Corporation | Cold rolled steel sheet |
JP2013139382A (ja) * | 2011-12-30 | 2013-07-18 | Industrial Technology Research Inst | 多孔質基材の修飾方法および修飾された多孔質基材 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3009578B2 (ja) | 2000-02-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100973071B1 (ko) | 크롬을 함유하지 않는 절연 피막을 가진 방향성 전자강판및 그 절연 피막제 | |
JP5026414B2 (ja) | 高張力絶縁被膜を有する方向性電磁鋼板及びその絶縁被膜処理方法 | |
EP2180082B1 (en) | Insulating coating treatment liquid for grain oriented electromagnetic steel sheet and process for manufacturing grain oriented electromagnetic steel sheet with insulating coating | |
EP2182091B1 (en) | Insulating film treating liquid for grain oriented electromagnetic steel plate, and process for producing grain oriented electromagnetic steel plate with insulating film | |
US4875947A (en) | Method for producing grain-oriented electrical steel sheet having metallic luster and excellent punching property | |
EP2186924B1 (en) | Solution for treatment of insulating coating film for oriented electromagnetic steel sheet, and method for production of oriented electromagnetic steel sheet having insulating coating film thereon | |
JP2000169972A (ja) | クロムを含まない方向性電磁鋼板用表面処理剤及びそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP5063902B2 (ja) | 方向性電磁鋼板とその絶縁被膜処理方法 | |
JPH06330338A (ja) | 被膜特性の極めて良好な無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2000169973A (ja) | クロムを含まない方向性電磁鋼板用表面処理剤及びそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3009578B2 (ja) | 被膜特性の優れる方向性電磁鋼板の製造方法及びその絶縁被膜処理剤 | |
CN113272459A (zh) | 方向性电磁钢板的制造方法 | |
JP4264362B2 (ja) | クロムを含まない方向性電磁鋼板用絶縁皮膜剤及びクロムを含まない絶縁皮膜を有する方向性電磁鋼板 | |
JP3276567B2 (ja) | 皮膜特性の優れる絶縁皮膜剤及びそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3209850B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の絶縁被覆剤、絶縁被膜形成方法及び方向性電磁鋼板 | |
JP2698549B2 (ja) | 酸化マグネシウム−酸化アルミニウム系複合被膜を有する低鉄損一方向性珪素鋼板およびその製造方法 | |
JP3324633B2 (ja) | 低鉄損一方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JPH101779A (ja) | 高張力絶縁皮膜形成剤及びその形成方法ならびに高張力絶縁皮膜を有する方向性電磁鋼板 | |
JP2673767B2 (ja) | 鉄心の加工性が優れ、磁気特性の良好な方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP3406801B2 (ja) | 低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JPH08333640A (ja) | 耐熱性と密着性の極めて優れる方向性電磁鋼板とその絶縁被膜形成方法 | |
JPH08239771A (ja) | 高張力絶縁被膜を有する方向性電磁鋼板とその絶縁被膜形成方法 | |
JP3451000B2 (ja) | 方向性珪素鋼板の絶縁皮膜形成方法 | |
JP2671084B2 (ja) | 鉄損特性の優れる高磁束密度方向性電磁鋼板及びその製造方法 | |
JP2671088B2 (ja) | 磁気特性が優れ、鉄心加工性が著しく優れた高磁束密度方向性電磁鋼板及びその製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19991026 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |