JPH0717998B2 - 無端金属ベルトの表面処理方法 - Google Patents

無端金属ベルトの表面処理方法

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JPH0717998B2
JPH0717998B2 JP16892286A JP16892286A JPH0717998B2 JP H0717998 B2 JPH0717998 B2 JP H0717998B2 JP 16892286 A JP16892286 A JP 16892286A JP 16892286 A JP16892286 A JP 16892286A JP H0717998 B2 JPH0717998 B2 JP H0717998B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、無端金属ベルトの表面処理方法に関し、詳細
には、マルエージング鋼製の無端金属ベルトの外表面の
表面処理方法に関する。
〔従来の技術〕
自動車等の車両用にベルト駆動式の無段変速機が開発さ
れている。第6図に無段変速機100を示す。この無段変
速機100において、2個のV形プーリ102、104と、それ
にトルク伝達ベルト106が掛装されており、トルク伝達
ベルト106は、キャリア108とその上を摺動移動可能に、
横部材110が多数配列されている。また、キャリヤ108
は、第7図に示すように、複数の無端金属ベルト108aな
いし108eを積層状に重ねたものである。
そして、トルク伝達ベルト106がトルクを伝達する時に
は、キャリヤ108が、上記2個のV形プーリ102、104の
間を回転運動することから、キャリヤ108を構成する無
端金属ベルト108aないし108eは、横部材110により曲げ
応力を受けることになる。なお、これらのプーリの径を
可変とすることにより、連続的にプーリの回転伝達比を
変化させるようにしている。
このように、無端金属ベルト108aないし108eは、この曲
げ応力を繰返し受けるため、その曲げ疲労強度が十分で
ない場合には、疲労破断に至るという欠点がある。
これに対し、マルエージング鋼をキャリヤ108に用いる
ことにより、高疲労強度、高靱性を持たせることが行わ
れている。マルエージング鋼製のキャリヤに軟窒化処理
を施し、さらに強度を向上させることも検討されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、近年、高トルクエンジン用として、極め
て高い疲労強度が求められるようになっており、上記の
対策をもってしても十分な性能が得られていない。
したがって、本発明の目的は、強度、靱性を満足した上
で、極めて高い疲労強度を有する無端金属ベルトを提供
することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
ところで、本発明者等の研究によれば、曲げ疲労強度を
向上するには、溶体化処理状態のマルエージング鋼を用
い、使用時の応力分布において曲げ応力の高くなる無端
金属ベルトの外表面に、圧縮残留応力を付与するのが有
効であることが明らかとなった。すなわち、従来知られ
たところでは、軟窒化処理で付与される圧縮残留応力も
しくは強度と前加工との間に因果関係は明確になってお
らず、軟窒化処理前に疲労強度の向上を狙って積極的に
加工をするということはないが、本発明者等の知見によ
れば、両者の組み合わせが極めて疲労強度の向上に有効
でなることが判ったものである。
また、圧縮残留応力の付与には、所定の塑性変形を施し
たベルトに軟窒化処理を行うことが大変有効であること
を知見するに到った。
そこで、本発明は、所定の塑性変形量として1.0ないし
%を付与したマルエージング鋼製のベルトに軟窒化処理
を施すことを特徴とする。
具体的には、本発明の無端金属ベルトの表面処理方法
は、次の構成からなる。
第1図の工程図に示すように、まず、マルエージング鋼
からなる無端金属ベルトを準備する〔工程(a)〕。次
に、無端金属ベルトに溶体化処理を施す〔工程
(b)〕。そして、溶体化処理状態の無端金属ベルト
を、少なくとも2個のローラに掛装し、回転させながら
ローラ間隔を拡張することにより、塑性変形量が1.0な
いし8.0%となるように塑性領域に至る引張応力を無端
金属ベルト素材に負荷して、無端金属ベルトの外表面を
優先的に塑性変形させる〔工程(c)〕。最後に、その
外表面に軟窒化処理を行う〔工程(d)〕。
上記の本発明構成において、ローラのローラ径は適宜選
択することができるが、無端金属ベルトが、無段変速機
作動時に負荷される最大曲げ応力の、2倍以上の曲げ応
力を発生させうるローラ径とすれば、無段変速機におけ
る耐疲労強度の点から望ましい。
マルエージング鋼からなる無端金属ベルトに溶体化処理
を施した後の時効処理は、軟窒化処理時に併せて行うこ
とができる。その場合、加熱を同時にすることにより、
工程およびエネルギーコストの節約になるという利点が
ある。
また、軟窒化処理は、タフトライド等の塩浴によるもの
の他、ガス軟窒化、イオン窒化を用いることができる。
〔作用〕
本発明において、無端金属ベルト外表面に圧縮残留応力
を付与することによって、無端金属ベルトの曲げ疲労強
度が向上するのは、無端金属ベルトに曲げ荷重が負荷さ
れた時、圧縮残留応力が無端金属ベルト外表面に発生す
る引張応力を緩和することによるものである。
圧縮残留応力の付与は、無端金属ベルトの塑性変形およ
び軟窒化処理により行われるが、塑性変形量が1.0%未
満では、圧縮残留応力が十分でなく、大きな疲労強度が
得られない。また、塑性変形量が8.0%以上では、無端
金属ベルトを損傷して、かえって、曲げ疲労強度を低下
するのでないし8.0%に限定した。
なお、塑性変形および軟窒化処理との組み合わせによっ
て、極めて高い表面圧縮残留応力が発生する理由につい
て、メカニズムの詳細は不明であるが、塑性変形を加え
たことにより窒素原子が固溶し易い表面状態が生ずるも
のと推測される。
すなわち、引張応力の負荷工程以外の同一工程とし、加
工率1.0%で負荷を行ったものは、X線回折による測定
の結果、格子定数が2.894Åであり、負荷を行わなかっ
た場合の格子定数2.888Åに比べて格子間隔が大きいこ
とにより窒素の固溶量の増加と考えられる。
〔実施例〕
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例を説明す
る。
第2図は、無端金属ベルトに、引張応力負荷装置の概略
図、第3図は、本実施例のベルトの塑性変形量と表面圧
縮残留応力の関係を表すグラフ、第4図は、疲労試験装
置の概略図、そして、第5図は、本実施例のベルトの疲
労試験のグラフである。
まず、無端金属ベルトを準備する。無端金属ベルトは、
250ksi級のマルエージング鋼板の素材を溶接により筒状
とし、冷間圧延により板圧0.2mmとした後、幅位10.0mm
で切断し、周長700mmの無端金属ベルトとした。
次に、この無端金属ベルトに約800℃の温度で溶体化処
理を施した後、ただちに引張応力の負荷を行った。
この引張応力の負荷は、第2図に示す装置を用いた。
第2図において、符号10および12はローラ、14は無端金
属ベルト、16は引張側ローラ12のガイド、18はシリンダ
である。各ローラ10、12のローラ径は、40mmである。
また、ローラ10は、図示されないモータにより回転され
る構造となっている。
そして、2個のローラ10および12に掛装された無端金属
ベルト14は、2個のローラ10および12の間隔を拡張する
ことにより、引張力が負荷されるとともに、図示されな
いモータにより、ローラ10を回転して、無端金属ベルト
14が規定寸法となるまで引き伸ばされて、その外表面が
優先的に塑性変形されるものである。
この引張応力負荷装置を用いて、種々のエキスパンド加
工率で引張応力の負荷を行った。
なお、エキスパンド加工率εは、次式で表される。
ε=(l−l0)/l0×100 ただし、 l=エキスパンド加工後のベルト周長 l0=エキスパンド加工前のベルト周長 引張応力の負荷された無端金属ベルトは、タフトライド
処理による軟窒化処理が施された。
タフトライド処理は、(K、Na)CNを35%、(K、Na)
CNOを3%と残部(K、Na)CO3とした塩浴に540℃で20分間
浸漬することにより行われた。なお、この軟窒化処理自
体は、TF1処理(デグサ社の商品名)として知られてい
るものである。
このようにして得られた無段変速機のキャリヤとしての
無端金属ベルトの各種エキスパンド加工率における外表
面の圧縮残留応力を調べた。
その結果、第3図に示すように、エキスパンド加工率1.
0%以上で略120kg/mm2の表面圧縮残留応力が得られ、そ
れ以上では、一定となっていることが分る。
また、この無端金属ベルトを第4図に示す疲労試験装置
に掛装し、繰り返し曲げ疲労試験を行った。無端金属ベ
ルト14は、ローラ20、22の間に掛装され、ローラ20、22
の回転により繰り返し曲げ応力を受けるようにされてい
る。なお、ローラ20のローラ径は、150mmである。一
方、ローラ22のローラ径は、試験の設定応力によって25
mmから35mmまでのものを使い分けて試験を実施した。
エキスパンド加工率が0%、0.4%、1.0%のものにつ
き、疲労試験を実施した結果を第5図に示す。図より明
らかなように、エキスパンド加工率0%、すなわち軟窒
化処理のみを施したものに比べ、1.0%の加工率のもの
は、疲労寿命が極めて高いことが分る。また、エキスパ
ンド加工を施した加工率が0.4%のものは、1.0%のもの
に比べ、疲労寿命が劣ることが分る。
したがって、エキスパンド加工率が1.0%以上のもの
は、表面圧縮残留応力が高く、疲労寿命が長いことが分
る。ただし、図示しないが、エキスパンド加工率が8.0
%以上のものは、塑性変形量が大き過ぎ、破断を生ずる
ので、1.0%ないし8.0%が望ましい。
以上、本発明の特定の実施例について説明したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許の範囲
内において種々の実施態様を包含するものである。
〔発明の効果〕
以上により明らかなように、本発明にかかる無端金属ベ
ルトへの圧縮残留応力付与方法によれば、少なくとも2
個のローラに無端金属ベルトを掛装し、回転させながら
ローラ間隔を拡張することにより、無端金属ベルト材の
塑性領域に至る引張応力を負荷して、無端金属ベルトの
外表面を優先的に塑性変形させた後、軟窒化処理を施す
ことによって、極めて高い圧縮残留応力を得、結果とし
て無端金属ベルトの曲げ疲労強度を、飛躍的に向上させ
ることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の無端金属ベルト表面処理方法の工程
図、 第2図は、無端金属ベルトに、引張応力負荷装置の概略
図、 第3図は、本実施例のベルトの塑性変形量と表面圧縮残
留応力の関係を示すグラフ、 第4図は、疲労試験装置の概略図、 第5図は、本実施例のベルトの疲労試験のS−N線図、 第6図は、無段変速機の概略図、 そして、第7図は、第6図のVII−VII線矢視断面図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルエージング鋼からなる無端金属ベルト
    を準備し、該無端金属ベルトに溶体化処理を施して、溶
    体化処理状態の無端金属ベルトを、少なくとも2個のロ
    ーラに掛装し、回転させながらローラ間隔を拡張するこ
    とにより、塑性変形量が1.0ないし8.0%となるように引
    張応力を無端金属ベルト素材に負荷して、無端金属ベル
    トの外表面を優先的塑性変形させ、その後、その無端金
    属ベルトの外表面に軟窒化処理を行うことを特徴とする
    無端金属ベルトの表面処理方法。
  2. 【請求項2】前記ローラのローラ径を、無端金属ベルト
    が、無段変速機作動時に負荷される最大曲げ応力の、2
    倍以上の曲げ応力を発生させうるローラ径としたことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の無端金属ベルト
    の表面処理方法。
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