JPH07179408A - アミン系不飽和化合物及びそれを含む光硬化性組成物 - Google Patents

アミン系不飽和化合物及びそれを含む光硬化性組成物

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JPH07179408A
JPH07179408A JP32443493A JP32443493A JPH07179408A JP H07179408 A JPH07179408 A JP H07179408A JP 32443493 A JP32443493 A JP 32443493A JP 32443493 A JP32443493 A JP 32443493A JP H07179408 A JPH07179408 A JP H07179408A
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acrylate
amine
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俊夫 川口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式 【化1】 で表されるアミン系不飽和化合物、並びに該アミン系不
飽和化合物を重合促進剤として含有する光硬化性組成
物。 【効果】 本発明のアミン系不飽和化合物はそれ自身単
独で重合させる事も可能であるが、光硬化性組成物中の
重合促進剤として用いる事によって重合阻害が少なく高
感度な硬化体が得られるため、特に歯科分野における修
復用充填材料や、接着材として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光硬化時の重合促進剤
として有用な新規アミン系不飽和化合物及びそれを含み
硬化後に未重合単量体や溶出物の少ない光硬化性組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に光硬化性組成物は、必須成分とし
て重合性単量体および光重合開始剤を含有する。光重合
開始剤としては、芳香族ケトンやカンファーキノンなど
の光増感剤にアミン系化合物などの重合促進剤が組み合
わせて用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の光硬化性組成物
は、接着性を付与するために用いる酸性基含有単量体や
酸素によって重合活性が阻害され易いため、重合促進剤
であるアミン系化合物を多量に用いる必要が生じ、その
結果重合硬化後の表面硬度が不充分となったり深部の未
重合単量体が増えるために接着材として用いた場合に接
着力が低下するなどの短所があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した様
な光増感剤とアミン系化合物からなる光重合開始剤とし
ての欠陥を解決すべく種々の研究を重ねた結果、特定の
構造を有する新規なアミン系不飽和化合物を重合促進剤
として用いる事によって酸性基含有単量体や酸素による
重合阻害が少なく高感度な光硬化性組成物が得られる事
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、下記一般式
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R1 、R2 は水素原子又はアルキ
ル基を、R3 はアルキル基を、iは2又は3の整数を、
jおよびkは0又は1の整数を各々示す)で表わされる
アミン系不飽和化合物、並びに該アミン系不飽和化合物
を重合促進剤として含有する光硬化性組成物に関する。
【0008】本発明で提供するアミン系不飽和化合物は
上記一般式で示され、R1 、R2 は水素原子又はメチル
基、エチル基等のアルキル基を示し、R3 はR1 、R2
と同様のアルキル基を示す。又、jの整数はiの値によ
って変わり0又は1の整数であり、kは0又は1の整数
であり、iは2又は3の整数を示す。
【0009】上記アミン系不飽和化合物として好適なも
のを具体的に以下例示する。
【0010】
【化4】
【0011】これらアミン系不飽和化合物は常温常圧で
淡黄色透明な粘稠液体であり、ベンゼン、エーテル、ク
ロロホルム、アルコールなど通常の有機溶媒に可溶であ
るが水には不溶である。また、その沸点は非常に高く2
〜3mmHgの減圧下でも100℃以上の加熱を必要と
する。
【0012】本発明のアミン系不飽和化合物の製造方法
は特に限定されないが、以下代表的な製造方法を説明す
る。
【0013】下記一般式
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R1 、R2 は水素原子又はアルキ
ル基を、iは2又は3の整数を、jおよびkは0又は1
の整数を示す)で表わされるアルコール性不飽和化合物
と、下記一般式
【0016】
【化6】
【0017】(式中、R3 はアルキル基を示す)で表わ
されるアミン化合物を反応させて得ることが出来る。
【0018】さらに具体的に説明すると、先ず前記一般
式で表わされるアルコール性不飽和化合物をベンゼン等
の有機溶媒下で前記一般式で表わされるアミン化合物と
混合し、p−トルエンスルホン酸等の触媒を用いて2日
間還流脱水する事によりエステル化反応を終了させる。
次に、炭酸水素ナトリウム等で弱アルカリ性に調整した
水溶液を上記有機溶媒層と同量加えて、水洗する事によ
り未反応のアミン化合物を除去した後、有機溶媒層を取
り出し溶媒を減圧留去させて目的の化合物を得ることが
できる。
【0019】本発明アミン系不飽和化合物は、下記
(a)〜(d)の各種分析によりその構造を確認するこ
とができる。
【0020】(a)赤外吸収スペクトル(I.R.) 一般にメタクリル酸エステル(あるいはアクリル酸エス
テル)において、カルボニル基の吸収は1720cm-1
に、二重結合による吸収は1640cm-1に観察され
る。一方ベンゼン環に結合したカルボン酸およびそのエ
ステルは1670cm-1および1690cm-1に観察さ
れる。
【0021】本発明の前記一般式で示されるアミン系不
飽和化合物をI.R.分析すると、メタクリル酸エステ
ル又はアクリル酸エステルのカルボニル基の吸収が17
20cm-1に、ベンゼン環に隣接したカルボニル基の吸
収が1690cm-1に、アルキル基のC−Hに基づく吸
収が2850cm-1付近に、二重結合に基づく吸収が1
640cm-1にそれぞれ表われる。
【0022】従ってI.R.分析によって、メタクリル
酸エステル又はアクリル酸エステルに基づくカルボニル
基、ベンゼン環に隣接したカルボン酸エステルに基づく
カルボニル基、アルキル基および炭素同志の二重結合の
有無についての確認ができる。
【0023】(b)カーボン13核磁気共鳴スペクトル1 Hをデカップリングした13C核磁気共鳴スペクトルに
おいて、環境の異なる炭素はそれぞれ一本のピークを示
す。この化学シフトを調べる事によって生成物を同定す
ることが出来る。本発明の化合物についての具体的な同
定については後述する実施例で述べるが、本発明の化合
物の構造はカーボン13核磁気共鳴スペクトルでほぼ完
全に確認することができる。
【0024】(c)元素分析 アミン系不飽和化合物のほぼ確実な同定は、前記カーボ
ン13核磁気共鳴スペクトルで判明するが、該化合物に
おけるH,C,N各元素の理論計算値と実際に得られる
化合物との各元素分析結果を比較することにより更に明
確な同定が可能となる。
【0025】(d)質量スペクトル フィールドイオン−質量スペクトル法を用いて前記一般
式で示される(メタ)アクリレートを測定することによ
り分子イオンピークM+ を確認することができる。
【0026】以上(a)〜(d)に述べたような分析手
段で本発明のアミン系不飽和化合物を同定することがで
きる。
【0027】本発明のアミン系不飽和化合物は前記した
ように新規物質であり、後述の光硬化性組成物の原料と
して広く利用できる。
【0028】本発明の光硬化性組成物の成分の一つは重
合性単量体であり、通常(メタ)アクリレート系単量体
が用いられる。該(メタ)アクリレート系単量体として
は、光重合触媒によって重合する公知のものが特に限定
されることなく使用できる。
【0029】一般に好適に使用される(メタ)アクリレ
ート系単量体を具体的に例示するとメチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリ
デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレング
リコール(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アク
リレート系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジ
オールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート、2,2′−ビス〔(メタ)アク
リロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,
2′−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒ
ドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロ
ールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエ
タントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタ
ンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アク
リレート系単量体等が用いられる。
【0030】又、本発明の光硬化性組成物を接着材とし
て用いる場合には、重合性単量体として分子内にカルボ
キシル基やリン酸基等の酸性基を有する酸性基含有単量
体を上記(メタ)アクリレート系単量体と混合して用い
ることが好ましい。
【0031】該酸性基含有単量体として好ましいものを
一般式で例示すれば、
【0032】
【化7】
【0033】{式中、R6 はアルキル基又は水素原子、
7 は炭素数2〜20の有機残基、Yはカルボキシル基
(1=2の場合、Yは酸無水基の形で存在してもよい)
又は−OPO(OH)R8 基(R8 は水酸基、アルコキ
シル基又はアリーロキシル基)、pは1〜3の整数、l
は1又は2の整数、mは0又は1の整数で、p+l=2
〜4である}で表わされる酸性基含有単量体が挙げられ
る。
【0034】上記一般式中、R6 で示される基は水素原
子又はアルキル基であり、アルキル基としては具体的に
メチル基、エチル基が挙げられる。
【0035】又、R7 は主鎖が酸素で中断されることも
ある炭素数2〜20の2〜4価の有機残基である。炭素
数1以下の場合は、湿潤下での接着耐久性が低い。炭素
数21以上の場合は、材料の入手が困難であり、しかも
硬化体の強度が得られないため接着力が低い。該有機残
基は、上記炭素数を満足する限り脂肪族系あるいは芳香
族系有機残基のいづれでもよく、さらにハロゲン、アミ
ノ基、水酸基等の置換基によって一部が置換されていて
もよい。
【0036】上記一般式中、Yはカルボキシル基又は−
OPO(OH)R8 基であり、上記有機残基に1又は2
個結合している。ここでR8 で示される基は水酸基;メ
トキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル
基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリーロキシ
ル基のいずれかである。
【0037】酸性基含有単量体として、一般に好適に使
用されるものを具体的に例示すると、
【0038】
【化8】
【0039】等の分子内に1つのカルボキシル基を有す
る酸性基含有単量体;
【0040】
【化9】
【0041】等の分子内に2つのカルボキシル基を有す
る酸性基含有単量体;
【0042】
【化10】
【0043】等の分子内に1つのリン酸基を有する酸性
基含有単量体;
【0044】
【化11】
【0045】等の分子内に2つのリン酸基を有する酸性
基含有単量体が挙げられる。
【0046】優れた接着性を発現させるための特に好ま
しい酸性基含有単量体を具体的に例示すると、7−メタ
クリロキシ−1,1−ヘプタンジカルボン酸、11−メ
タクリロキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、13
−メタクリロキシ−1,1−トリデカンジカルボン酸等
の分子内にカルボキシル基を2個有するジカルボン酸類
が挙げられる。
【0047】かかる酸性基含有単量体は、通常光硬化性
組成物中の全重合性単量体100重量部あたり1〜50
重量部含有させる。
【0048】本発明の光硬化性組成物の他の成分の一つ
は光増感剤である。該光増感剤としては、紫外線用又は
可視光線用に用いられる公知のものが特に限定されるこ
となく使用できる。
【0049】具体的に例示するとジアセチル、アセチル
ベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3
−オクタジオン、4,4′−ジメトキシベンジル、α−
ナフチルβナフチル、4,4′−オキシベンジル、カン
ファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセ
ナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピ
ルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−
ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサント
ン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;
ベンゾフェノン、P,P′−ジメチルアミノベンゾフェ
ノン、P,P′−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフ
ェノン誘導体が好適に使用される。
【0050】特に好ましいのはα−ジケトンであり、中
でもカンファーキノンが好ましい。
【0051】上記光増感剤はそれぞれ単独で用いられる
だけでなく、必要に応じて複数の種類を組合わせて用い
ることもできる。
【0052】これらの光増感剤は、光硬化性組成物中の
全重合性単量体100重量部に対して、0.05〜10
重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加することが望
ましい。
【0053】本発明の光硬化性組成物の更に他の成分の
ひとつは、前述のアミン系不飽和化合物である。該化合
物は、重合性官能基を2個以上持ち、しかも末端に3級
アミンを有するため単に重合促進剤として働くだけでな
く硬化後は化合物自身がポリマー中に架橋した状態で組
み込まれる事になる。又、硬化体の変色は、アミノ基が
酸化される事によって生じる現象と考えられているが、
本発明の新規アミン系不飽和化合物は、ポリマー中で架
橋されるため酸素などによる酸化が起こりにくく変色の
少ない硬化体を得ることが可能となる。
【0054】かかるアミン系不飽和化合物は、通常光硬
化性組成物中の全重合性単量体100重量部あたり0.
05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加す
ることが望ましい。
【0055】さらに本発明における光硬化性組成物に
は、所望により重合禁止剤、着色剤、充填材および紫外
線吸収剤等を添加することができる。また、う食窩洞の
修復用充填材料などの用途に用いる時は充填材を全重合
性単量体100重量部当り100〜500重量部添加す
るのが一般的である。
【0056】上記充填材としては、無機充填材と有機充
填材があり、前者の例を具体的に示すと、石英粉末、ア
ルミナ粉末、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、
フルオロアルミナシリケートガラス、硫酸バリウム、酸
化チタン、ジルコニア粉末、超微粒子シリカ、球状シリ
カ、球状シリカ−チタニア、球状シリカ−ジルコニア、
不定形シリカ−チタニア、不定形シリカ−ジルコニアな
どが挙げられ、後者の例としてはポリメチルメタクリレ
ート粉末、ポリエチレンメタクリレート粉末などが挙げ
られる。
【0057】本発明の光硬化性組成物は最終的には、全
成分を混合するが保存中における劣化を防止するため必
要に応じて安定な2包に分けて包装することもできる。
例えば、酸性基含有単量体、(メタ)アクリレート系単
量体の一部および光増感剤から成る包装(A)と、重合
促進剤及び(メタ)アクリレート系単量体の一部から成
る包装(B)の組み合わせなどが一般的である。
【0058】
【発明の効果】本発明のアミン系不飽和化合物はそれ自
身単独で重合させる事も可能であるが、光硬化性組成物
中の重合促進剤として用いる事によって重合阻害が少な
く高感度な硬化体が得られるため、特に歯科分野におけ
る修復用充填材料や、接着材として有用である。
【0059】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。実施例に使用する(メタ)アクリレート
系単量体、酸性基含有単量体、光増感剤、アミン系不飽
和化合物および重合禁止剤を以下の様に略記する。
【0060】11−メタクリロキシ−1,1−ウンデカ
ンジカルボン酸;11−MUDCA 2−メタクリロキシエチルコハク酸;2−MEC 6−メタクリロキシヘキシルホスフェート;6−MHP ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート;Bis
GMA トリエチレングリコールジメタクリレート;TEGDM
A 2−ヒドロキシエチルメタクリレート;HEMA ネオペンチルグリコールジメタクリレート;NPG カンファーキノン;CQ ハイドロキノンモノメチルエーテル;HQME
【0061】
【化12】
【0062】実施例1 300mlのナス形フラスコに、1,3−ジメタクリロ
キシグリセリン22.8g、N,N−ジメチルアミノ安
息香酸17.1g、p−トルエンスルホン酸1.0gお
よびベンゼン180mlを入れて充分攪拌しながら加熱
し、共沸脱水反応を行なった。脱水反応で生じた水の量
が理論値に近くなったところで反応を止め室温に戻した
後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え未反応物を水層で
除去した。ベンゼン層の溶媒を減圧除去させ目的物2
9.3gを得た。収率は78%であった。得られた反応
生成物の赤外吸収スペクトルによれば、1670cm-1
付近のベンゼン環に隣接したカルボン酸に基因する吸収
が消失し1690cm-1にベンゼン環に結合したカルボ
ン酸のエステルによる吸収が現われた。又、メタクリル
酸エステルのカルボニル基の吸収が1720cm-1に観
察された。
【0063】次に生成物の13C核磁気共鳴スペクトルを
用いて同定を行なった。結果は以下の通りである。
【0064】
【化13】
【0065】更に生成物の元素分析の結果を以下に示
す。
【0066】 更にまた生成物の質量分析スペクトルによりm/e=3
75の分子イオンピークが観察された。これらの結果よ
り、反応生成物は上記構造の化合物であることが確認で
きた。
【0067】実施例2 300mlのナス形フラスコに、下記化合物
【0068】
【化14】
【0069】を20.0gとN,N−ジメチルアミノ安
息香酸17.2g、p−トルエンスルホン酸1.0gお
よびベンゼン180mlを入れて加熱還流し、共沸脱水
によりエステル化反応を行なった。反応終了後、実施例
1と同様に分離精製し、粘稠な液体24.3gを得た。
(収率70%)得られた生成物の赤外吸収スペクトルに
よれば、1670cm-1のベンゼン環に隣接したカルボ
ン酸に基因する吸収が消失し1690cm-1にベンゼン
環に結合したカルボン酸のエステルによる吸収が現われ
た。又、メタクリル酸エステルのカルボニル基の吸収が
1720cm-1に観察された。
【0070】次に生成物の13C核磁気共鳴スペクトルを
用いて同定を行なった。結果は以下の通りである。
【0071】
【化15】
【0072】実施例3 300mlのナス形フラスコに、下記化合物
【0073】
【化16】
【0074】を34.0gとN,N−ジメチルアミノ安
息香酸17.5g、p−トルエンスルホン酸1.0gお
よびベンゼンを入れて加熱還流し、共沸脱水によりエス
テル化反応を行なった。反応終了後、実施例1と同様に
分離精製し、粘稠な液体36.5gを得た。(収率75
%)得られた生成物の赤外吸収スペクトルによれば、1
670cm-1のベンゼン環に隣接したカルボン酸に基因
する吸収が消失し1690cm-1にベンゼン環に結合し
たカルボン酸のエステルによる吸収が現われた。又、メ
タクリル酸エステルのカルボニル基の吸収が1720c
-1に観察された。
【0075】次に生成物の13C核磁気共鳴スペクトルを
用いて同定を行なった。結果は以下の通りである。
【0076】
【化17】
【0077】更に生成物の元素分析の結果を以下に示
す。
【0078】 更にまた生成物の質量分析スペクトルによりm/e=4
87の分子イオンピークが観察された。これらの結果よ
り、反応生成物は上記構造の化合物であることが確認で
きた。
【0079】実施例4 300mlのナス形フラスコに、下記化合物
【0080】
【化18】
【0081】を34.0gとN,N−ジメチルアミノ安
息香酸21.0g、p−トルエンスルホン酸1gおよび
ベンゼンを入れて加熱還流し、共沸脱水によりエステル
化反応を行なった。反応終了後、実施例1と同様に分離
精製し、粘稠な液体35.4gを得た。(収率72%)
得られた生成物の赤外吸収スペクトルによれば、167
0cm-1のベンゼン環に隣接したカルボン酸に基因する
吸収が消失し1690cm-1にベンゼン環に結合したカ
ルボン酸のエステルによる吸収が現われた。又、メタク
リル酸エステルのカルボニル基の吸収が1720cm-1
に観察された。
【0082】次に生成物の13C核磁気共鳴スペクトルを
用いて同定を行なった。結果は以下の通りである。
【0083】
【化19】
【0084】更に生成物の元素分析の結果を以下に示
す。
【0085】 更にまた生成物の質量分析スペクトルによりm/e=5
15の分子イオンピークが観察された。これらの結果よ
り、反応生成物は上記構造の化合物であることが確認で
きた。
【0086】実施例5〜8、比較例1 以下に示す組成を乳鉢に所定量分けとり、次いで練和し
てペースト状の光硬化性組成物を調製した。各実施例、
比較例で用いた光増感剤及び重合促進剤の種類、量は表
1に示す通りである。
【0087】 組成 ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート 15重量部 トリチレングリコールジメタクリレート 10重量部 光増感剤 x重量部 重合促進剤 y重量部 ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05重量部 球状シリカジルコニア(平均粒径0.2μ、シラン処理済み)75重量部 これら光硬化性組成物についての各種物性測定は以下に
示す方法に準じて行なった。
【0088】(1)表面硬度 ペーストを直径6mm、深さ3mmの孔を有するステン
レス製割型に填入しポリプロピレン製フィルムで圧接し
た。次に圧接面に可視光線照射器ホワイトライト(商品
名、タカラベルモント社製)の石英ロッド先端を固定し
60秒間光照射を行なった。照射後、重合硬化体を割型
から取り外し、37℃の蒸留水中に24時間浸漬保存し
た。保存後、森試験機製ミクロブリネル硬さ試験機を用
いて照射面の表面硬度を測定した。圧縮強度;ペースト
を直径4mm、深さ3mmの孔を有するステンレス製割
型に填入し、ポリプロピレン製フィルムで圧接した。次
に圧接面にホワイトライトの石英ロッド先端を固定し3
0秒間光照射を行なった。照射後、重合硬化体を割型か
ら取り外し、更に硬化体の底面に30秒間光照射した。
次いで、硬化体を37℃の蒸留水中に24時間浸漬保存
した後、島津オートグラフAG5000Dを用いて圧接
強度を測定した。なお、クロスヘッドスピードは10m
m/minとした。
【0089】(2)引張強度 ペーストを直径6mm、深さ3mmの孔を有するステン
レス製割型に填入しポリプロピレン製フィルムで圧接し
た。次に、圧接面にホワイトライトの石英ロッド先端を
固定し、30秒間光照射を行なった。照射後、重合硬化
体を割型から取り外し、更に硬化体の底面に30秒間光
照射した。次いで、硬化体を37℃の蒸留水中に24時
間浸漬保存した後、島津オートグラフAG5000Dを
用いて引張強度を測定した。なお、クロスヘッドスピー
ドは10mm/minとした。
【0090】(3)歯ブラシ摩耗深さ ペーストを縦10mm、横10mm、深さ1.5mmの
孔を有するテフロン製モールドに填入し、ポリプロピレ
ン製フィルムで圧接した。次に圧接面に可視光線照射器
ホワイトライトの石英ロッド先端を固定し60秒間光照
射を行なった。照射後、重合硬化体をモールドから取り
外し、37℃の蒸留水中に7日間浸漬保存した。重合硬
化体を荷重400gで歯ブラシ1500mm摩耗した。
摩耗深さは摩耗重量を重合硬化体の密度で除して求め
た。
【0091】(4)色素による変色 ペーストを直径6mm、深さ3mmの孔を有するステン
レス製割型に填入し、ポリプロピレン製フィルムで圧接
した。次に、圧接面にホワイトライトの石英ロッド先端
を固定し、30秒間光照射を行なった。
【0092】次いで、硬化体を37℃の蒸留水中に24
時間浸漬保存した後、照射面をソフレックス(商品名:
3H社製)で研磨しインスタントコーヒー粉末(ネスカ
フエ・ネッスル日本製)を8%含むコーヒー水溶液に硬
化体を浸漬し、24時間後の色調変化量を測定する。色
調変化量は、コーヒー水溶液に浸漬する前の色調とコー
ヒー水溶液に24時間浸漬した後の色調との差ΔEで表
わされる。ここでΔEはハンター(Hunter)によ
り提案されたΔE(L.a.b)である。
【0093】硬化体の測定には、東京電色社製の測色色
差計TC−1800MKII型を用いた。
【0094】得られた結果は表1に併記した。
【0095】
【表1】
【0096】実施例9〜11、比較例2 実施例5〜8に準じて表2に示す各種組成の光硬化性組
成物を調製し、これらを用いて象牙質に対する接着強度
の測定を行った。結果を表2に併せて記す。測定方法は
以下のとおりである。
【0097】屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注
水下、#800のエメリーペーパーで唇面に水平になる
ように象牙質を削り出した。次にその面に圧縮空気を約
10秒間吹きつけて乾燥した後、この象牙質の面に直径
4mmφの穴のあいたパラフィンワックスを両面テープ
により固定して、該面を底面とする模擬窩洞を形成し
た。その面に、圧縮空気を吹きつけて乾燥し、引き続き
表1に示した各成分を通法により混合して得たペースト
状硬化性組成物を塗布し、次いで市販の可視光照射器
「ホワイトライト」(タカラベルモント社製)を用いて
10秒間光照射した。さらにその上に市販硬化型コンポ
ジットレジン「パルフィークエステライト」(徳山曹達
社製)を填入、圧接した後、再度30秒間光照射して硬
化させた。
【0098】コンポジットレジンが硬化後、パラフィン
ワックスを取り除き、37℃の水中に24時間放置し
た。次いで前記牛前歯とコンポジットレジン硬化体にそ
れぞれ金属製のアタッチメントを取り付け、引張り試験
機(クロスヘッドスピード:10mm/min)で象牙
質と光硬化型組成物との接着強度の測定を行なった。
【0099】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1 、R2 は水素原子又はアルキル基を、R3
    はアルキル基を、iは2又は3の整数を、jおよびkは
    0又は1の整数を各々示す)で表わされるアミン系不飽
    和化合物。
  2. 【請求項2】 (a)重合性単量体、(b)光増感剤、
    及び(c)重合促進剤から成り、(c)重合促進剤が下
    記一般式 【化2】 (式中、R1 、R2 は水素原子又はアルキル基を、R3
    はアルキル基を、iは2又は3の整数を、jおよびkは
    0又は1の整数を各々示す)で表わされるアミン系不飽
    和化合物であることを特徴とする光硬化性組成物。
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