JPH07172994A - 薄膜超伝導体の製造方法 - Google Patents
薄膜超伝導体の製造方法Info
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- JPH07172994A JPH07172994A JP5316191A JP31619193A JPH07172994A JP H07172994 A JPH07172994 A JP H07172994A JP 5316191 A JP5316191 A JP 5316191A JP 31619193 A JP31619193 A JP 31619193A JP H07172994 A JPH07172994 A JP H07172994A
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- superconductor
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 加熱した基体上に「その場成長」させる方法
により、結晶粒界を含まない高品質で優れた超伝導特性
を示す水銀系超伝導体からなる薄膜超伝導体を得る。 【構成】 Ba2 CuO3 及びHgOの粉末を組成H
g:Ba:Cu=2.5:2:1となるように混合し円
盤状に成形したものをターゲットとして用いる。1×1
0-1気圧以下のアルゴンと酸素の混合ガス中でプラズマ
放電によるスパッタリングを行うことにより、550℃
に加熱したチタン酸ストロンチウムSrTiO3 単結晶
(100)面基体上に水銀系超伝導体HgBa2 CuO
4 の薄膜を「その場成長」させる。被膜を堆積させる際
の酸素分圧は0.2Pa以下にする。
により、結晶粒界を含まない高品質で優れた超伝導特性
を示す水銀系超伝導体からなる薄膜超伝導体を得る。 【構成】 Ba2 CuO3 及びHgOの粉末を組成H
g:Ba:Cu=2.5:2:1となるように混合し円
盤状に成形したものをターゲットとして用いる。1×1
0-1気圧以下のアルゴンと酸素の混合ガス中でプラズマ
放電によるスパッタリングを行うことにより、550℃
に加熱したチタン酸ストロンチウムSrTiO3 単結晶
(100)面基体上に水銀系超伝導体HgBa2 CuO
4 の薄膜を「その場成長」させる。被膜を堆積させる際
の酸素分圧は0.2Pa以下にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、最近新しく発見された
水銀を含む銅酸化物超伝導体からなる薄膜超伝導体の製
造方法に関する。
水銀を含む銅酸化物超伝導体からなる薄膜超伝導体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高温超伝導体としては、ミューラー(Mu
ller)等によってペロブスカイト類型構造の酸化物超伝
導体が発見されて以来、種々の化学組成を有するペロブ
スカイト類型構造の酸化物系で超伝導性の確認がなされ
た。その後、最近になって、主体成分に水銀を含むペロ
ブスカイト類型構造の物質が高温で超伝導を示すことが
発見された。この水銀系超伝導体において、HgBa2
CuO4 化合物が臨界温度94ケルビン、HgBa2 C
aCu2 O6 とHgBa2 Ca2 Cu3 O8 が臨界温度
130ケルビン程度を示すことが報告されている。
ller)等によってペロブスカイト類型構造の酸化物超伝
導体が発見されて以来、種々の化学組成を有するペロブ
スカイト類型構造の酸化物系で超伝導性の確認がなされ
た。その後、最近になって、主体成分に水銀を含むペロ
ブスカイト類型構造の物質が高温で超伝導を示すことが
発見された。この水銀系超伝導体において、HgBa2
CuO4 化合物が臨界温度94ケルビン、HgBa2 C
aCu2 O6 とHgBa2 Ca2 Cu3 O8 が臨界温度
130ケルビン程度を示すことが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この水銀を含む超伝導
体を電子デバイスに応用するに当たっては、薄膜の形態
に加工することが必須となる。しかし、この系の物質は
蒸気圧の高い水銀元素を含んでいるため、400℃以上
の加熱基体上に薄膜として作製することは困難であっ
た。これまでに作製が成功した方法としては、加熱を行
わない基体上に構成元素の被膜をアモルファス状態で付
着させ、任意雰囲気中で熱処理を施すという方法がある
(足立ほか、特願平5−11284号)。この方法で作
製した薄膜は、熱処理によって結晶化されるために完全
な単結晶薄膜とはなり得ず、本質的に結晶粒界を含んだ
ものとなる。このため、薄膜中を流れる超伝導電流が粒
界に阻害され、臨界電流密度などの超伝導特性には限界
があった。また、デバイスへの応用に際しては積層構造
を作る必要があるが、熱処理によって作る方法では上部
層に水銀系超伝導薄膜を使用することができないため、
用途が限定されたものとなっていた。従って、水銀を含
む超伝導体についても、従来のYBa2 Cu3 O 7 超伝
導体と同様に加熱した基体上に成膜し、作製した時点で
結晶構造が構築される「その場成長」を実現することが
望まれていた。
体を電子デバイスに応用するに当たっては、薄膜の形態
に加工することが必須となる。しかし、この系の物質は
蒸気圧の高い水銀元素を含んでいるため、400℃以上
の加熱基体上に薄膜として作製することは困難であっ
た。これまでに作製が成功した方法としては、加熱を行
わない基体上に構成元素の被膜をアモルファス状態で付
着させ、任意雰囲気中で熱処理を施すという方法がある
(足立ほか、特願平5−11284号)。この方法で作
製した薄膜は、熱処理によって結晶化されるために完全
な単結晶薄膜とはなり得ず、本質的に結晶粒界を含んだ
ものとなる。このため、薄膜中を流れる超伝導電流が粒
界に阻害され、臨界電流密度などの超伝導特性には限界
があった。また、デバイスへの応用に際しては積層構造
を作る必要があるが、熱処理によって作る方法では上部
層に水銀系超伝導薄膜を使用することができないため、
用途が限定されたものとなっていた。従って、水銀を含
む超伝導体についても、従来のYBa2 Cu3 O 7 超伝
導体と同様に加熱した基体上に成膜し、作製した時点で
結晶構造が構築される「その場成長」を実現することが
望まれていた。
【0004】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、加熱した基体上に「その場成長」させる方法によ
り、結晶粒界を含まない高品質で優れた超伝導特性を示
す水銀系超伝導体からなる薄膜超伝導体の製造方法を提
供することを目的とする。
ため、加熱した基体上に「その場成長」させる方法によ
り、結晶粒界を含まない高品質で優れた超伝導特性を示
す水銀系超伝導体からなる薄膜超伝導体の製造方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る薄膜超伝導体の製造方法は、1×10
-1気圧以下の真空中で、400〜650℃の範囲に加熱
した基体上に、水銀、アルカリ土類元素、銅からなる酸
素物被膜を堆積させることを特徴とする。
め、本発明に係る薄膜超伝導体の製造方法は、1×10
-1気圧以下の真空中で、400〜650℃の範囲に加熱
した基体上に、水銀、アルカリ土類元素、銅からなる酸
素物被膜を堆積させることを特徴とする。
【0006】また、前記本発明方法の構成においては、
加熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるの
が好ましい。また、前記本発明方法の構成においては、
被膜を堆積させる際の酸素分圧が0.2Pa以下である
のが好ましい。
加熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるの
が好ましい。また、前記本発明方法の構成においては、
被膜を堆積させる際の酸素分圧が0.2Pa以下である
のが好ましい。
【0007】また、前記本発明方法の構成においては、
被膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるのが好ま
しい。また、前記本発明方法の構成においては、被膜を
堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すのが好ま
しい。
被膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるのが好ま
しい。また、前記本発明方法の構成においては、被膜を
堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すのが好ま
しい。
【0008】また、前記本発明方法の構成においては、
被膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるのが好ましい。
被膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるのが好ましい。
【0009】また、前記本発明方法の構成においては、
アルカリ土類元素(A)がバリウム元素であるのが好ま
しい。
アルカリ土類元素(A)がバリウム元素であるのが好ま
しい。
【0010】
【作用】前記本発明方法の構成によれば、水銀系超伝導
体の薄膜を加熱した基体上に「その場成長」させること
ができるので、結晶粒界を含まない単結晶薄膜を作製す
ることが可能となり、その結果、超伝導特性を飛躍的に
向上させることができる。
体の薄膜を加熱した基体上に「その場成長」させること
ができるので、結晶粒界を含まない単結晶薄膜を作製す
ることが可能となり、その結果、超伝導特性を飛躍的に
向上させることができる。
【0011】また、前記本発明方法の構成において、加
熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるとい
う好ましい構成によれば、超伝導転移温度が90ケルビ
ン以上の薄膜超伝導体を得ることができる。
熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるとい
う好ましい構成によれば、超伝導転移温度が90ケルビ
ン以上の薄膜超伝導体を得ることができる。
【0012】また、前記本発明方法の構成において、被
膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるという好ま
しい構成によれば、取り扱いの困難な水銀元素の供給を
容易に行うことができる。
膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるという好ま
しい構成によれば、取り扱いの困難な水銀元素の供給を
容易に行うことができる。
【0013】また、前記本発明方法の構成において、被
膜を堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すとい
う好ましい構成によれば、超伝導特性の再現性を向上さ
せることができる。
膜を堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すとい
う好ましい構成によれば、超伝導特性の再現性を向上さ
せることができる。
【0014】また、前記本発明方法の構成において、被
膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるという好ましい構成によれば、水銀元素の欠損があ
っても銅元素で補う形になるので、元素の相互拡散がな
く、超伝導特性が劣化することはない。
膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるという好ましい構成によれば、水銀元素の欠損があ
っても銅元素で補う形になるので、元素の相互拡散がな
く、超伝導特性が劣化することはない。
【0015】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。水銀系超伝導体HgBa2 CuO4 の薄膜
を、チタン酸ストロンチウムSrTiO3 単結晶(10
0)面基体上に「その場成長」させる試みを行った。B
a2CuO3 及びHgOの粉末を組成Hg:Ba:Cu
=2.5:2:1となるように混合し円盤状に成形した
ものをターゲットとし、1×10-1気圧以下のアルゴン
と酸素との混合ガス中でプラズマ放電によるスパッタリ
ングを行った。そして、チタン酸ストロンチウム基体の
加熱温度及びスパッタガスを変化させて、作製される薄
膜の分析を行った。
に説明する。水銀系超伝導体HgBa2 CuO4 の薄膜
を、チタン酸ストロンチウムSrTiO3 単結晶(10
0)面基体上に「その場成長」させる試みを行った。B
a2CuO3 及びHgOの粉末を組成Hg:Ba:Cu
=2.5:2:1となるように混合し円盤状に成形した
ものをターゲットとし、1×10-1気圧以下のアルゴン
と酸素との混合ガス中でプラズマ放電によるスパッタリ
ングを行った。そして、チタン酸ストロンチウム基体の
加熱温度及びスパッタガスを変化させて、作製される薄
膜の分析を行った。
【0016】図1に、基体を550℃に加熱したときに
形成される薄膜の水銀含有量(Hg/Ba)とスパッタ
ガス中の酸素分圧との関係を示す。図1から明らかなよ
うに、基体が加熱されているにもかかわらず、酸素分圧
が0.2Pa以下のときに膜中に水銀元素が取り込ま
れ、水銀系超伝導体のHgBa2 CuO4 構造ができて
いることが分かる。この点、通常のYBa2 Cu3 O7
等の超伝導薄膜の作製においては酸素量を多くして酸化
を促進させているのと異なる。尚、上記のようにして得
られた水銀系薄膜超伝導体の厳密な化学組成は、金属元
素比がHg:Ba:Cu=1−x:2:1+x(0<x
<0.7)となっており、水銀元素の欠損があっても銅
元素が補う形になっている。このため、元素の相互拡散
がなく、超伝導特性が劣化することはない。
形成される薄膜の水銀含有量(Hg/Ba)とスパッタ
ガス中の酸素分圧との関係を示す。図1から明らかなよ
うに、基体が加熱されているにもかかわらず、酸素分圧
が0.2Pa以下のときに膜中に水銀元素が取り込ま
れ、水銀系超伝導体のHgBa2 CuO4 構造ができて
いることが分かる。この点、通常のYBa2 Cu3 O7
等の超伝導薄膜の作製においては酸素量を多くして酸化
を促進させているのと異なる。尚、上記のようにして得
られた水銀系薄膜超伝導体の厳密な化学組成は、金属元
素比がHg:Ba:Cu=1−x:2:1+x(0<x
<0.7)となっており、水銀元素の欠損があっても銅
元素が補う形になっている。このため、元素の相互拡散
がなく、超伝導特性が劣化することはない。
【0017】図2に、上記のようにして得られた水銀系
薄膜超伝導体のX線回折パターンを示す。図2から明ら
かなように、HgBa2 CuO4 構造のc軸が基体に垂
直に配向しているのが分る。薄膜はチタン酸ストロンチ
ウム基体の結晶方位を反映して単結晶的に成長してお
り、熱処理によって結晶化させた場合に問題となってい
た結晶粒界はほとんど認められなかった。基体の加熱温
度が400℃以上で作製された薄膜において超伝導体の
結晶構造が現われたが、高温の650℃以上では水銀元
素が膜中から再蒸発して取り込まれないことも併せて確
認した。このように、基体温度としては400〜650
℃の範囲にあるのが好ましいが、さらには500〜60
0℃の範囲にあるのが好ましく、この基体温度において
は超伝導転移温度が90ケルビン以上の薄膜を得ること
ができる。
薄膜超伝導体のX線回折パターンを示す。図2から明ら
かなように、HgBa2 CuO4 構造のc軸が基体に垂
直に配向しているのが分る。薄膜はチタン酸ストロンチ
ウム基体の結晶方位を反映して単結晶的に成長してお
り、熱処理によって結晶化させた場合に問題となってい
た結晶粒界はほとんど認められなかった。基体の加熱温
度が400℃以上で作製された薄膜において超伝導体の
結晶構造が現われたが、高温の650℃以上では水銀元
素が膜中から再蒸発して取り込まれないことも併せて確
認した。このように、基体温度としては400〜650
℃の範囲にあるのが好ましいが、さらには500〜60
0℃の範囲にあるのが好ましく、この基体温度において
は超伝導転移温度が90ケルビン以上の薄膜を得ること
ができる。
【0018】また、上記のように「その場成長」させる
方法によって作製した薄膜に、さらに酸素中で500℃
程度の低温熱処理を施したところ、超伝導特性の再現性
の向上が見られた。この方法によって作製された薄膜に
おいて、液体窒素温度(77ケルビン)での臨界電流密
度は1×105 A/cm2 と大きな値を示し、従来の熱
処理で結晶化させる方法によって得られる薄膜の10倍
にも達した。
方法によって作製した薄膜に、さらに酸素中で500℃
程度の低温熱処理を施したところ、超伝導特性の再現性
の向上が見られた。この方法によって作製された薄膜に
おいて、液体窒素温度(77ケルビン)での臨界電流密
度は1×105 A/cm2 と大きな値を示し、従来の熱
処理で結晶化させる方法によって得られる薄膜の10倍
にも達した。
【0019】尚、本実施例においては、被膜の堆積手段
としてプラズマ放電を用いたスパッタリングを例に挙げ
て説明したが、必ずしもこの方法に限定されるものでは
なく、例えばイオンビームスパッタやレーザースパッタ
であっても同様の効果を得ることができる。また、反応
性蒸着法等のスパッタリング以外の一般の薄膜作製法を
採用した場合にも、膜中の水銀元素量と酸素分圧との間
には同様の関係が成立すると推察される。
としてプラズマ放電を用いたスパッタリングを例に挙げ
て説明したが、必ずしもこの方法に限定されるものでは
なく、例えばイオンビームスパッタやレーザースパッタ
であっても同様の効果を得ることができる。また、反応
性蒸着法等のスパッタリング以外の一般の薄膜作製法を
採用した場合にも、膜中の水銀元素量と酸素分圧との間
には同様の関係が成立すると推察される。
【0020】また、本実施例においては、アルカリ土類
元素としてバリウム(Ba)を用いた場合を例に挙げて
説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、
ストロンチウム(Sr)やカルシウム(Ca)、あるい
はこれらの複数の組合せを用いた場合であっても同様の
効果を得ることができる。
元素としてバリウム(Ba)を用いた場合を例に挙げて
説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、
ストロンチウム(Sr)やカルシウム(Ca)、あるい
はこれらの複数の組合せを用いた場合であっても同様の
効果を得ることができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る薄膜
超伝導体の製造方法によれば、水銀系超伝導体の薄膜を
加熱した基体上に「その場成長」させることができるの
で、結晶粒界を含まない単結晶薄膜を作製することが可
能となり、その結果、超伝導特性を飛躍的に向上させる
ことができる。また、水銀系超伝導体を用いた積層構造
も、本発明方法を採用することによって初めて可能とな
り、この系の物質の電子デバイスへの応用を促進するこ
とができるので、本発明の工業的価値は大きい。
超伝導体の製造方法によれば、水銀系超伝導体の薄膜を
加熱した基体上に「その場成長」させることができるの
で、結晶粒界を含まない単結晶薄膜を作製することが可
能となり、その結果、超伝導特性を飛躍的に向上させる
ことができる。また、水銀系超伝導体を用いた積層構造
も、本発明方法を採用することによって初めて可能とな
り、この系の物質の電子デバイスへの応用を促進するこ
とができるので、本発明の工業的価値は大きい。
【0022】また、前記本発明方法の構成において、加
熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるとい
う好ましい構成によれば、超伝導転移温度が90ケルビ
ン以上の薄膜超伝導体を得ることができる。
熱する基体の温度が500〜600℃の範囲にあるとい
う好ましい構成によれば、超伝導転移温度が90ケルビ
ン以上の薄膜超伝導体を得ることができる。
【0023】また、前記本発明方法の構成において、被
膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるという好ま
しい構成によれば、取り扱いの困難な水銀元素の供給を
容易に行うことができる。
膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法であるという好ま
しい構成によれば、取り扱いの困難な水銀元素の供給を
容易に行うことができる。
【0024】また、前記本発明方法の構成において、被
膜を堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すとい
う好ましい構成によれば、超伝導特性の再現性を向上さ
せることができる。
膜を堆積した後、酸素を含むガス中で熱処理を施すとい
う好ましい構成によれば、超伝導特性の再現性を向上さ
せることができる。
【0025】また、前記本発明方法の構成において、被
膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるという好ましい構成によれば、水銀元素の欠損があ
っても銅元素で補う形になるので、元素の相互拡散がな
く、超伝導特性が劣化することはない。
膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類元素(A)、銅
(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1−x:2:1+
xで表記され、かつ、xが0から0.7の範囲内の値で
あるという好ましい構成によれば、水銀元素の欠損があ
っても銅元素で補う形になるので、元素の相互拡散がな
く、超伝導特性が劣化することはない。
【図1】本発明の一実施例で得られた薄膜超伝導体の水
銀含有量とスパッタガス中の酸素分圧との関係を示す図
である。
銀含有量とスパッタガス中の酸素分圧との関係を示す図
である。
【図2】本発明の一実施例で得られた薄膜超伝導体のX
線回折パターン図である。
線回折パターン図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA B // H01B 12/06 ZAA
Claims (7)
- 【請求項1】 1×10-1気圧以下の真空中で、400
〜650℃の範囲に加熱した基体上に、水銀、アルカリ
土類元素、銅からなる酸素物被膜を堆積させることを特
徴とする薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項2】 加熱する基体の温度が500〜600℃
の範囲にある請求項1に記載の薄膜超伝導体の製造方
法。 - 【請求項3】 被膜を堆積させる際の酸素分圧が0.2
Pa以下である請求項1に記載の薄膜超伝導体の製造方
法。 - 【請求項4】 被膜の堆積手段がスパッタリング蒸着法
である請求項1に記載の薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項5】 被膜を堆積した後、酸素を含むガス中で
熱処理を施す請求項1に記載の薄膜超伝導体の製造方
法。 - 【請求項6】 被膜中の、水銀(Hg)、アルカリ土類
元素(A)、銅(Cu)の組成比がHg:A:Cu=1
−x:2:1+xで表記され、かつ、xが0から0.7
の範囲内の値である請求項1に記載の薄膜超伝導体の製
造方法。 - 【請求項7】 アルカリ土類元素(A)がバリウム元素
である請求項1に記載の薄膜超伝導体の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5316191A JP2781331B2 (ja) | 1993-12-16 | 1993-12-16 | 薄膜超伝導体の製造方法 |
US08/239,963 US5462921A (en) | 1993-05-14 | 1994-05-09 | Method of forming Hg-containing oxide superconducting films |
EP94303459A EP0624910B1 (en) | 1993-05-14 | 1994-05-13 | Method of fabricating a Hg-based superconducting thin film |
DE69404214T DE69404214T2 (de) | 1993-05-14 | 1994-05-13 | Verfahren zur Herstellung einer supraleitenden dünnen Schicht vom Hg-Typ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5316191A JP2781331B2 (ja) | 1993-12-16 | 1993-12-16 | 薄膜超伝導体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07172994A true JPH07172994A (ja) | 1995-07-11 |
JP2781331B2 JP2781331B2 (ja) | 1998-07-30 |
Family
ID=18074316
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5316191A Expired - Fee Related JP2781331B2 (ja) | 1993-05-14 | 1993-12-16 | 薄膜超伝導体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2781331B2 (ja) |
-
1993
- 1993-12-16 JP JP5316191A patent/JP2781331B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2781331B2 (ja) | 1998-07-30 |
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