JPH07172165A - 車両用ウインドガラスのマウント構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着タイプの車両用ウインドガラスのマウン
ト構造において、ウインドガラスの周縁を支持する支持
部材を、ウインドガラスの周縁コーナ部に正確に沿うよ
うに曲げることができ、かつガラス受け面に押し付けら
れたときに支持安定性の良好な構造とすることである。 【構成】 ウインドガラス２の周縁に沿って設ける支持
部材８Ａを、硬質材の外周部８１と、軟質材内周部８２
と、外周部８１から突出する軟質材のシール部８３とか
らなる一体成形体とし、かつ支持部材８Ａのガラス受け
面１１へ接地部８４の外端をウインドガラス２の端面と
同一またはそれよりも内側に位置せしめ、支持部材８Ａ
よりも内側位置でウインドガラス２をガラス受け面１１
に接着剤３で接着する構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両の前後のウインドガ
ラスのマウント構造、特に接着タイプのマウント構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図７に示すような自動車において、前後
のウインドガラス２を車体のウインド開口縁１にマウン
トする手段として、接着剤により固定する手段がとられ
ている。

【０００３】図８は従来一般に用いられているマウント
構造を示すもので、ウインドガラス２の外周がウインド
開口縁１のガラス受け面１１に接着剤３により固定して
ある。接着剤３の内側には硬化前の接着剤３が流出する
のを防ぐとともに、ウインドガラス２を所定の高さに位
置決めするダム４が設けてある。ドア開口縁１とウイン
ドガラス２の端面との間には隙間をシールするモール５
が挿置してある。

【０００４】上記マウント構造を簡素化するものとし
て、ダムとモールを一体化した構造が提案されている。
図９に示す構造（米国特許第５，１５４，０２８号）で
は、ダムとシールを兼ねる合成樹脂の支持部材６により
ウインドガラス２がウインド開口縁１のガラス受け面１
１にマウントされており、支持部材６の底面凹所に接着
剤３が盛られている。

【０００５】一方、近時、硬化速度の速い接着剤が開発
され、それに伴ってダムを設けないマウント構造が提案
されている。図１０に示す構造（米国特許出願第８８・
２５３７８５／３８）では、硬質合成樹脂のインナメン
バ７１と、軟質合成樹脂のアウタメンバ７２とを一体の
コ字形構造とし、アウタメンバ７２からシールリツプ７
３が伸び出す枠部材７がウインドガラス２に、その周縁
を接着剤７３を介してつかむように取付けられている。
そして、枠部材７を介してウインドガラス２の外周をウ
インド開口縁１のガラス受け面１１に押付けるととも
に、枠部材７の内側でウインドガラス２をガラス受け面
１１に接着剤３で接着する構造としている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図９に示す
構造では、接着剤３を包む支持部材６は幅が広くなる。
この幅の広い押出成形品をウインドガラス２の周縁に沿
って貼着する場合、ガラス２のコーナ部に沿って曲げる
ことは困難である。従って実際は、支持部材６はこれを
ウインドガラス２の周縁に沿って射出成形している。

【０００７】一方、図１０のマウント構造では、支持部
材７のウインドガラスコーナ追従性は良いが、次のよう
な問題がある。即ち、ウインドガラス２の周縁をつかむ
枠部材７はウインドガラス２の端面よりも外側に出た位
置でウインドガラス２を支持しており、このためウイン
ドガラス２の周縁をガラス受け面１１に押付けたとき押
付力が枠部材７の内側部分に作用するので、枠部材７の
下面部がガラス２の端面から外側方向へはみ出す方向に
押し出される。

【０００８】そこで本発明は、支持部材がシール部を一
体に備えて簡素な構造であり、支持部材をウインドガラ
スの周縁に沿ってコーナ追従性良好に取付けることがで
きるとともに、支持部材がウインドガラスからはずれる
方向にずれることがない、接着タイプのウインドガラス
のマウント構造を提供することを課題としてなされたも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は図１に示すよう
に、ウインドガラス２の周縁を車体のウインド開口縁１
のガラス受け面１１に支持せしめる支持部材８Ａを、硬
質材の外周部８１と、軟質材の内周部８２と、外周部８
１から突出するシール部８３とからなる一体構造体と
し、かつ支持部材８の接地部８４の外端をウインドガラ
ス２の端面と同一またはそれよりも内側位置でガラス受
け面１１に接地させ、かつ支持部材８よりも内側でウイ
ンドガラス２をガラス受け面１１に接着剤３で接着す
る、ウインドガラスのマウント構造とする。

【００１０】

【作用】支持部材８Ａは、硬質材が外周側にあるので、
外周側を湾曲中心として曲げられる。従って、外周部８
１を薄くすることで支持部材８Ａをその外周部８１がウ
インドガラス２の周縁に正確に沿うように容易に曲げる
ことができる。また、この外周部８１に設けたシール部
８３はドア開口縁１への当りが全周均一となる。また、
支持部材８Ａの接地位置がガラス端面よりも外側に出な
いようにしたから、ウインドガラス押付け時に支持部材
８Ａにはウインドガラス２からはずれる方向への力は作
用しない。

【００１１】

【実施例】図１は、本発明の第１実施例の図３のＡーＡ
線に沿う断面を示すものである。断面Ｚ字形をなす車体
のウインド開口縁１のガラス受け面１１に、ウインドガ
ラス２の周縁がマウントされる。ウインドガラス２の周
縁にはこれに沿って支持部材８Ａが取付けてある。

【００１２】支持部材８Ａは一体押出成形体で、底面部
８１１を高く（厚く）した断面コ字形の外周部８１と、
上記底面部８１１の内側に接する内周部８２と、外周部
８１の外面から膨出する中空状のシール部８３を備えて
いる。底面部８１１の外側面８１２は内側方向へ傾斜す
る傾斜面としてある。外周部８１は硬質ゴムからなり、
内周部８２およびシール部８３は軟質ゴム（スポンジゴ
ム）からなる。

【００１３】支持部材８Ａは外周部８１により、ウイン
ドガラス２の周縁に、これをつかむように取付けられ
る。この場合、支持部材８Ａのガラスつかみ部に接着剤
を塗着することが望ましい。そして、支持部材８Ａの内
側に沿うようにしてウインドガラス２の外周内面に接着
剤３を盛る。接着剤３は、硬化速度の速いもの、例えば
ホットメルト型ウレタン接着剤を用いる。ウインドガラ
ス２はその外周を、支持部材８Ａおよび接着剤３を介し
てガラス受け面１１に押付けることにより固定される。

【００１４】支持部材８Ａをウインドガラス２の周縁に
取付けるとき、支持部材８Ａはウインドガラス２のコー
ナ部に沿って曲げられる。このとき、支持部材８Ａの湾
曲外径側の硬質ゴムの外周部８１が湾曲中心となって曲
げられるから、外周部８１を薄肉とすることで、作業性
容易に、かつコーナ部に正確に沿う湾曲形状に曲げるこ
とができる。従って外周部８１に設けられたシール部８
３のウインド開口縁１への当りは全周にわたり均一であ
る。更に、支持部材８Ａの接地底部８４はウインドガラ
ス２の端面よりも内側にあるから、強く押付けられても
ウインドガラスからはずれる方向への力は作用しない。
また、外周部８１の内側には軟質ゴムの内周部８２があ
り、この接地面が追従性良く受け面１１に密着する。

【００１５】図２は本発明の第２実施例を示すもので、
支持部材として、軟質ゴムからなる断面コ字形の内周部
８２と、これに包まれる硬質ゴムからなる外周部８１
と、外周部８１から伸び出す軟質ゴムからなるシール部
８３を一体に備えた押出成形の支持部材８Ｂが用いられ
る。

【００１６】この支持部材８Ｂは、ウインドガラス２の
周縁に沿い、コーナ部では外周部８１を外径として曲げ
られて、ウインドガラス２に接着剤で接合される。支持
部材８Ｂは、これを容易に曲げることができ、かつ硬質
の外周部８１を湾曲中心として曲がるから、ウインドガ
ラス２のコーナ部において、ガラス端面と外周部８１の
側面とを完全に一致させることができる。そして、支持
部材８Ｂの接地部８４の外端はウインドガラス２の端面
と合致する。

【００１７】ウインドガラス２は、先の実施例と同様に
その周縁部を支持部材８Ｂおよび接着剤３を介してガラ
ス受け面１１に押付けることにより固定される。支持部
材８Ｂの外周部８１側面は、ウインドガラス２の端面と
合致しているから、シールリップ８３のウインド開口縁
１への当りは全周にわたり均一となる。また支持部材８
Ｂはスポンジゴムの内周部８２によりガラス受け面１１
に接地するから、密着性が良好である。

【００１８】上記の実施例ではいずれも、支持部材の内
周部８２と外周部８１が内外方向に重合する構造として
ある。以下の実施例では、内周部８２を外周部８１の下
端内側に形成し、内周部８２で支持せしめる構造として
ある。

【００１９】図３は本発明の第３実施例を示すもので、
ウインドガラス２の端面をつかむ支持部材８Ｃの硬質ゴ
ムの外周部８１は断面コ字形で、その下端内側には外周
部８１よりも軟質の内周部８２が一体形成してある。内
周部８２の受け面１１への接地底面８４は受け面１１へ
の追従性をよくするためにひれ状としてある。外周部８
１からは軟質のリップ状シール部８３が伸出している。
他の構造は第１実施例と実質的に同一であって、説明を
省略する。

【００２０】図４は本発明の第４実施例を示すもので、
支持部材８０の内周部８２を中空状とした点において第
３実施例と相違する。

【００２１】図５は本発明の第５実施例を示すもので、
支持部材８Ｅは、ウインドガラス２の端面をつかむ断面
コ字形をなす硬質ゴムの外周部８１と、外周部の側面か
ら伸出するリップ状シール部８３と、外周部８１の下面
内側位置から突出するスポンジゴムの内周部８２とより
なる。外周部８１の下面内端８１３は内周部８２よりも
更に内側に延出しており、内端８１３は接着剤３内へ突
出している。これにより接着剤３、支持部材８Ｅおよび
ウインドガラス２の相互の結合力を高めている。

【００２２】図６は本発明の第６の実施例を示すもの
で、支持部材８Ｆの接着剤３の内へ入り込む内端８１３
はスポンジゴムからなり、接着剤３との結合力を良好に
している。第５、第６実施例において、他の構造は第１
実施例と実質的に同じである。

【００２３】第３ないし第６実施例はいずれも第１実施
例と同様の作用効果を奏する。

【００２４】

【発明の効果】本発明のウインドガラスのマウント構造
では、ガラス支持部材をウインドガラスのコーナ部に正
確に沿うように曲げてウインドガラスに取付けることが
できる。従って支持部材から突出するシール部のウイン
ド開口縁への当りを全周均一とすることができる。ま
た、支持部材が、ガラス受け面に押付けられたときにガ
ラスに対してずれが生じることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図２】本発明の第２実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図３】本発明の第３実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図４】本発明の第４実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図５】本発明の第５実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図６】本発明の第６実施例の、図７のＡ−Ａ線に沿う
位置での断面図である。

【図７】本発明が適用される自動車の斜視図である。

【図８】従来例の断面図である。

【図９】他の従来例の断面図である。

【図１０】更に他の実施例の断面図である。

【符号の説明】

１ ウインド開口縁 １１ ガラス受け面 ２ ウインドガラス ３ 接着剤 ４，６，７ 従来の支持部材 ８Ａ，８Ｂ，８Ｃ，８Ｄ，８Ｅ，８Ｆ 本発明の支持部
材 ８１ 内周部 ８２ 外周部 ８３ シール部 ８４ 接地部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウインドガラスの周縁を車体のウインド
   開口縁のガラス受け面にゴムまたは合成樹脂からなる支
   持部材を介して支持せしめるとともに、該支持部材に沿
   ってウインドガラスをガラス受け面に接着剤により接着
   せしめた車両用ウインドガラスのマウント構造におい
   て、上記支持部材を、硬質材の外周部と、軟質材の内周
   部と、外周部から突出するシール部とからなる一体成形
   体とし、かつ支持部材のガラス受け面への接地部外端を
   ウインドガラスの周縁端面と同一またはそれよりも内側
   に位置せしめ、支持部材よりも内側位置でウインドガラ
   スをガラス受け面に接着剤で接着したことを特徴とする
   車両用ウインドガラスのマウント構造。