JPH07170936A - ミネラル含有塩の製造方法 - Google Patents

ミネラル含有塩の製造方法

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JPH07170936A
JPH07170936A JP5322733A JP32273393A JPH07170936A JP H07170936 A JPH07170936 A JP H07170936A JP 5322733 A JP5322733 A JP 5322733A JP 32273393 A JP32273393 A JP 32273393A JP H07170936 A JPH07170936 A JP H07170936A
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JP5322733A
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Masao Akiyama
政夫 秋山
Kimio Masuko
公男 益子
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミネラル分の含有率が高く、かつ塩製品中の
ミネラル分含有量を所定量に調整した“やわらかく”、
“まろやかな”味を持ったミネラル含有塩を効率良く製
造する方法を提供する。 【構成】 イオン交換膜電気透析法により海水から食用
塩を製造するに際し、イオン交換膜電気透析装置に用い
る陽イオン交換膜として2価陽イオン難透過性の処理を
施していない膜と該処理を施した膜とを組み合わせて用
いることを特徴とするミネラル含有塩の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミネラル分を多く含む
食用塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者の健康志向、自然志向に伴
って、「ミネラル分」を含有した食用塩の需要が増加し
ている。ここでミネラル分とは、海水中に含有するナト
リウム以外の成分であるマグネシウム、カルシウム、カ
リウムを意味している。このような、ミネラル分を多く
含んだ塩は、精製塩、食塩等のNaCl純度の高い塩に
比べて“やわらかく”、“まろやかな”味を有すると言
われており、味覚の点でも消費者の嗜好が増している。
【0003】従来より、わが国で製造されているミネラ
ル分を多く含んでいる食用塩は、例えば専売塩として販
売されている並塩及び家庭塩がある。並塩とは、イオン
交換膜電気透析法により、海水を濃縮し得られるかん水
を煮つめて塩結晶を晶析させ、一旦にがり成分を分離し
た後、該塩結晶に対し、再度にがり成分を添加し遠心分
離したものである。また、家庭塩とは、並塩に更ににが
り液を添加したものである。ここで、にがりとは、海水
からの製塩の際に副産物として分離されるマグネシウム
(MgCl2等)、カルシウム(CaCl2等)、カリウ
ム(KCl等)を多量に含む液状物である。これらの
他、にがり含有率の高い食用塩には、特殊用塩、特例塩
として販売されているものが数種あり、近年、食味の良
い食用塩の需要増大に対し、その種類は増加傾向にあ
る。
【0004】現在、わが国における製塩は、イオン交換
膜電気透析装置を用いて海水(塩分3%程度)を濃縮し
濃い塩水(かん水)を得る工程(採かん工程)、真空蒸
発缶を用いてこれを更に濃縮・乾燥し塩結晶を得る工程
(せんごう工程)により行われている。
【0005】イオン交換膜電気透析法に用いているイオ
ン交換膜は、主目的とするNaClを多く濃縮し、ま
た、せんごう工程におけるスケール発生によるトラブル
を防止するために、陽イオン交換膜においては、主にカ
ルシウムイオン、マグネシウムイオンの透過を低減する
(難透過性)処理、陰イオン交換膜においては主に硫酸
イオンの透過を低減する処理(難透過性)が施されたも
のを使用している。
【0006】このイオン交換膜によるイオン交換膜電気
透析装置によって得られるかん水中のNaCl濃度は、
かん水中の全塩類濃度に対し90%以上であり、得られ
たかん水を乾燥し、かん水中の塩類全てを採取したとし
ても、NaCl以外の塩類(ミネラル分)の含有量を1
0%以上にすることは難しい。更に、かん水中のミネラ
ル分の濃度を所定量に調整することは困難である。
【0007】このかん水をせんごう工程において濃縮
し、塩製品を得る場合、NaClとミネラル分(にが
り)とは分離されるため、全塩分濃度に対するNaCl
の濃度は99%と更に高くなる。
【0008】ミネラル分を多く含んだ製品を製造するた
めには、分離されたにがりを再度NaCl結晶に添加し
て調整する必要がある。このような製品として、現在
「並塩」、「家庭塩」が販売されている。しかし「並
塩」、「家庭塩」ともにミネラル分の含有量は、5%以
下であり、これ以上多く添加しようとする場合、それに
伴って増加する水分のため、包装袋のぬれの発生や成分
の分離の問題があり、これ以上濃度を高めることは難し
い。
【0009】また、ぬれの発生を防止しながらミネラル
分を増加させる方法として、分離された塩結晶とにがり
分を再度所定量混合し、平釜で煮つめる方法も考えられ
るが、効率が悪く、製塩コストも増大する。
【0010】現行の製塩工程では用いられていないが、
陽イオン交換膜として2価陽イオン難透過性の処理を施
していない膜のみを用いて海水を濃縮した場合は、得ら
れるかん水中の全塩分濃度に対するNaCl濃度は72
%程度と低くなる。即ち、ミネラル分は28%程度と非
常に高くなる。しかし、このようなミネラル分含有の多
い食用塩は味に“苦み”、“渋み”があり、また後口に
残るため食用塩として利用するには範囲が相当限定され
る。
【0011】これまで行った味に関する官能検査の結果
からは、“やわらかく”、“まろやかな”味を持った塩
のミネラル分含有量は10〜25%の範囲が適当である
と官能検査等の結果から言われている。
【0012】このように、陽イオン交換膜として、2価
陽イオン難透過性の処理を施した膜のみ、あるいは2価
陽イオン難透過性の処理を施していない膜のみを用いた
場合は、前記濃度範囲のミネラル分を含有する塩を得る
のは難しい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
に鑑みてなされたもので、ミネラル分の含有率が高く、
かつ塩製品中のミネラル分含有量を所定量に調整した
“やわらかく”、“まろやかな”味を持ったミネラル含
有塩を効率良く製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、塩の食味に
影響を与えると言われているにがりに注目し、にがりの
成分であるマグネシウム、カルシウム、カリウム等のミ
ネラル分を多く含む、ミネラル含有塩を効率良く製造す
る方法について研究した結果、現在の製塩法であるイオ
ン交換膜法におけるイオン交換膜電気透析装置の陽イオ
ン交換膜を2価陽イオン難透過性の処理を施した膜と施
していない無処理の膜を組み合わせることにより、前記
目的が達成されることを見いだし本発明を完成した。
【0015】即ち、本発明は以下の発明を包含する。 (1)イオン交換膜電気透析法により海水から食用塩を
製造するに際し、イオン交換膜電気透析装置に用いる陽
イオン交換膜として2価陽イオン難透過性の処理を施し
ていない膜と該処理を施した膜とを組み合わせて用いる
ことを特徴とするミネラル含有塩の製造方法。 (2)イオン交換膜電気透析装置に用いる陰イオン交換
膜として2価陰イオン難透過性の処理を施した膜を用い
る前記(1)に記載の製造方法。 (3)2価陽イオン難透過性の処理を施していない膜と
該処理を施した膜の比が1:5〜1:1である前記
(1)に記載の製造方法。 (4)イオン交換膜電気透析により得られたかん水を濃
縮してミネラル分を多く含んだ食用塩を製造する前記
(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。 (5)2価陽イオン難透過性の処理を施していない膜と
該処理を施した膜の比を調節することにより全塩中のミ
ネラル分含有量を10〜16%とする前記(4)に記載
の製造方法。 (6)にがりを混合することなく、イオン交換膜電気透
析法により海水から製造された食用塩であって、全塩中
のミネラル分含有量が10〜16%であることを特徴と
する食用塩。 なお、本明細書において、特に明記しない限り、%は重
量%を表す。
【0016】本発明では、陽イオン交換膜として2価陽
イオン難透過性の処理を施していない膜(無処理膜)と
該処理を施した膜(処理膜)を組み合わせ、その割合を
変えることによって、ミネラル分の含有量が約10〜約
25%で、かつその濃度が、所定の値に調整されたかん
水を製造し、このかん水中の全成分を直接乾燥すること
によって、濃度を所定の値に調整したミネラル含有塩を
製造する。
【0017】本発明の製造方法は、陽イオン交換膜とし
て2価陽イオン難透過性の処理を施していない膜(無処
理膜)と該処理を施した膜(処理膜)を組み合わせる以
外は、通常のイオン交換膜電気透析法による製塩法と同
様に行うことができる。
【0018】イオン交換膜電気透析装置に用いる陰イオ
ン交換膜としては、好ましくは2価陰イオン難透過性の
処理を施した膜を用いる。
【0019】本発明の製造方法によれば、現行の真空蒸
発缶を用いてNaCl結晶を製造した後、分離したにが
り液を添加する方法に比較し、経済的で簡単にミネラル
分含有量が高く、かつその濃度を調整した塩を得ること
ができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。 (参考例1) (1)陽イオン交換膜として2価陽イオン難透過性処理
を施していない膜(無処理膜)のみを用いたかん水の製
造(ミネラル分含有量が高いかん水の製造) イオン交換膜1枚当りの有効膜面積200cm2 (2d
2 )を有するイオン交換膜電気透析装置に、陽イオン
交換膜として2価陽イオン難透過性の処理を施していな
い膜:無処理膜(アシプレックス K−101:旭化成
(株)社製)と陰イオン交換膜として2価陰イオン難透
過性の処理を施した膜:処理膜(アシプレックス A−
172:旭化成(株)社製)とを交互に組み合わせ(1
組み合わせを1対と呼ぶ)、これを30対配置したイオ
ン交換膜電気透析装置により、供給海水温度25±0.
5℃、脱塩室内平均流速5cm/sec、電流密度1.
0A/dm2 、3.0A/dm2 、5.0A/dm2
3水準、の条件で8時間運転し、かん水(濃縮された海
水)を採取した。このかん水を分析した結果、成分濃度
は表1に示すとおりであった。表1において、Nは規定
を表す。
【0021】
【表1】
【0022】前記イオン組成を結合計算し塩類組成に換
算し表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】かん水中の全塩分濃度は、電流密度が高く
なるに従って高くなる。また、全塩分中のミネラル分含
有量は逆に低くなるが、25. 5〜29. 5%の範囲に
ある。
【0025】(2)陽イオン交換膜として2価陽イオン
難透過性処理を施した膜(処理膜)のみを用いたかん水
の製造(ミネラル分含有量の低いかん水の製造方法) (1)とは別に、陽イオン交換膜として2価陽イオン難
透過性の処理を施した膜:処理膜(アシプレックス K
−172:旭化成(株)社製)と陰イオン交換膜として
2価陰イオン難透過性の処理を施した膜:処理膜(アシ
プレックス A−172:旭化成(株)社製)とを同様
に交互に組み合わせ、これを30対配置したイオン交換
膜電気透析装置を、(1)と同一の条件で運転し、かん
水を採取した。このかん水を分析した結果、成分濃度は
表3に示すとおりであった。表3において、Nは規定を
表す。
【0026】
【表3】
【0027】前記イオン組成を結合計算し塩類組成に換
算し表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】かん水中の全塩分濃度は、(1)と同様に
電流密度が高くなるに従って高くなるが、全塩分中のミ
ネラル分含有量は逆に低くなり、6. 5〜11%の範囲
にある。通常のイオン交換膜電気透析装置を用いた工業
的製塩において、電流密度は、低いと採かん効率が悪
く、また高すぎると水分解による膜の破損等のトラブル
が発生するため、3A/dm2 前後で運転しているのが
現状である。
【0030】(実施例1) (1)2価陽イオン難透過性処理を施した膜と施してい
ない膜の組み合わせによるかん水の製造 参考例1と同様に、イオン交換膜1枚当りの有効膜面積
200cm2 を有するイオン交換膜電気透析装置を用
い、陽イオン交換膜として2価陽イオン難透過性の処理
を施していない膜:無処理膜(アシプレックス K−1
01:旭化成(株)社製)及び陰イオン交換膜として2
価陰イオン難透過性の処理を施した膜:処理膜(アシプ
レックス A−172:旭化成(株)社製)を組み合わ
せた膜組をX対、陽イオン交換膜として2価陽イオン難
透過性の処理を施した膜:処理膜(アシプレックス K
−172:旭化成(株)社製)及び陰イオン交換膜とし
て2価陰イオン難透過性の処理を施した膜:処理膜(ア
シプレックス A−172:旭化成(株)社製)を組み
合わせた膜組をY対として、イオン交換膜電気透析装置
(膜組数30対)に組み込んだ。
【0031】総膜対数(X+Y)は30対とし、XとY
の対数を各々、(5:25)、(10:20)、(1
5:15)、(20:10)、(25:5)の5水準組
み合わせ、供給海水温度25±0. 5℃、脱塩室内平均
流速5cm/sec、電流密度3. 0A/dm2 の条件
で8時間運転し、かん水を採取した。このかん水を分析
した結果、塩類組成は表5に示すとおりであった。
【0032】
【表5】
【0033】全塩分中のNaClの濃度及びミネラル分
濃度は、参考例1で測定した陽イオン交換膜として処理
膜のみを用いて製造されたかん水中のそれらの濃度、及
び陽イオン交換膜として無処理膜のみを用いて製造され
たかん水中のそれらの濃度、の膜数比とほぼ一致してい
る。
【0034】(2)噴霧乾燥によるミネラル含有塩の製
造 (1)において2価陽イオン難透過性処理を施した膜と
施していない膜の組み合わせによって製造したかん水、
各々10リットルをプラスチック容器に採取し、スプレ
ードライヤー(L−8型:大川原製作所(株)社製)を
用いて、供給液量200ml/min、円板回転数30
000rpm、乾燥温度250℃の条件で噴霧乾燥し、
ミネラル含有塩各々約1600gを得た。この噴霧乾燥
により得られた塩を分析した結果は表6に示すとおりで
あった。
【0035】
【表6】
【0036】各々の成分割合は、原料かん水中の成分割
合とほぼ一致していた。また、電子顕微鏡で塩粒子の粒
径を測定したところ、約3〜5μmであった。
【0037】(3)蒸発乾固によるミネラル含有塩の製
造 (2)の噴霧乾燥法とは別に、(1)で製造したかん水
を各々、約2リットルをステンレス製の鍋に入れ電熱器
(1200W)で加熱した。液が蒸発、乾燥し、塩が析
出し、スラリー状になったら熱量を減らし、更に塩を木
製のへらで撹拌しながら水分が完全になくなるまで乾燥
し、各々のミネラル含有塩を得た。塩の形状は立方体及
び不定形が入り混じっており、粒径は広い分布を持って
いた。これらの塩を分析した結果は表7に示すとおりで
あった。
【0038】
【表7】
【0039】各々の成分割合は、(2)の噴霧乾燥と同
様に、原料かん水中の成分割合とほぼ一致していた。
【0040】(試験例) 味の官能検査 (1)澄まし汁(塩分濃度1%)による官能検査 2リットルのなべを4個用意し、この中にメスシリンダ
ーを用いて各々に水道水を1.5リットル秤量した。更
に、実施例1の(2)で作成した試料のうち、S1、S
3、S5の3種類及び対照として「市販塩A」(NaC
l濃度99%)を各々15g精秤し、水道水を入れたな
べに入れ、撹拌、溶解した。更に、各々のなべをガステ
ーブルに載せ、弱火で沸騰するまで加熱した。約30秒
間沸騰させた後、気泡が消えるまで静置した試料液を約
100mlずつお椀によそった。
【0041】作成した4種類の試料液を10人のパネル
(女性3名、男性7名、年齢構成26才〜45才)によ
り味の官能検査を実施した。評価は、「塩味の強さ」、
「苦渋み」、「後味」、「まろやかさ」を念頭におき、
各人の好みについて順位づけをし、1位を1点、2位を
2点、3位を3点、4位を4点の4段階として行った。
10人による点数の平均値及び順位は表8に示すとおり
であった。
【0042】
【表8】
【0043】パネルのコメントを要約すると、 S1 :全体としてまとまりがあり、まろやかさ、う
ま味が感じられる。 S3 :塩味に柔らかさがあるが、S1よりはやや劣
る。 S5 :塩味が鈍くなるとともに苦みが後口に残る。 「市販塩A」:塩味がシャープであり切れがよいが、ま
ろやかさ、柔らかさが不足している。 であり、ほぼ同じ傾向を示していた。
【0044】(2)フライドポテトによる味の官能検査 ポテトを約30個用意し、皮をむいた後、包丁で縦方向
に約0.7cm角に切り、約5リットルの水道水を入れ
たボールの中で2時間晒した。これを軽く水洗した後、
水から上げ、水切りをし、更に乾いた布巾で拭いた。こ
のスティックをコーンオイルで揚げ、柔らかくなった
後、引き上げ、金網上で約20分間冷やした。得られた
フライドポテトスティックを数本皿に盛りつけ、試料塩
を適量付け味覚を評価した。
【0045】試料塩は澄まし汁と同じS1、S3、S5
の3種類とし、対照として「市販塩A」(NaCl濃度
99%)を粉砕して用いた。これらの試料は、微粒塩の
ため、材料への付着は通常市販されている塩に比較して
良かった。
【0046】評価は、「塩味の強さ」、「苦渋み」、
「後味」、「まろやかさ」、「材料とのなじみ」を念頭
におき、各人の好みについて順位づけをし、1位を1
点、2位を2点、3位を3点、4位を4点の4段階とし
て行った。パネル10人の点数の平均値及び順位は表9
に示すとおりであった。
【0047】
【表9】
【0048】パネルのコメントを要約すると、 S1 :材料となじみが良く、うま味がでている。ま
たまろやかな感じがする。 S3 :塩味が抑えられており、まろやかな感じがす
るが、わずかに後口に残る。 S5 :味が材料と遊離しており、後口に苦み渋みが
残る。 「市販塩A」:S1より材料とのなじみは悪いが、塩味
が強調されていて切れがよい。まろやかさはないが、す
っきりしている。 であり、ほぼ同じ傾向を示していた。
【0049】(3)肉による官能検査 牛のひれ肉(厚さ約1cm、重さ約200g)を10枚
用意し、ナイフで約3cm角に切った後、牛脂をひいた
鉄板上で、肉の表面が軽く焦げ目がつく状態に焼き、皿
に盛りつけた。これに試料塩として蒸発乾固して作成し
たT1、T3、T5の3種類を適量振りかけ味覚を評価
した。対照として「市販塩A」(NaCl濃度99%)
を用いた。
【0050】評価は、「塩味の強さ」、「苦渋み」、
「後味」、「まろやかさ」、「材料とのなじみ」を念頭
におき、各人の好みについて順位づけをし、1位を1
点、2位を2点、3位を3点、4位を4点の4段階とし
て行った。10人による点数の平均値及び順位は表10
に示すとおりであった。
【0051】
【表10】
【0052】パネルのコメントを要約すると、 T1 :塩味のバランス、材料とのなじみが良く、材
料の味を引き出している。 T3 :塩味がやや鈍くなっているが、材料とのなじ
みは比較的よい。 T5 :苦渋みが強く出て、材料の味を消している。 「市販塩A」:塩味は強く出るが、すっきりしており、
後口残りもない。 であり、ほぼ同じ傾向を示していた。
【0053】以上のように、澄まし汁、フライドポテト
及び肉による味の官能検査結果から、材料となじみが良
く、まろやかさを有する塩は、比較した3点の中ではS
1及びT1と選定された。これらの塩は、陽イオン交換
膜の膜組比が2価陽イオン難透過性処理を施していない
膜(無処理膜):処理を施した膜(処理膜)=5:25
(即ち1:5)によって得られたかん水から製造されて
いる。このかん水の全塩分濃度中のミネラル分濃度は約
10. 3%であった。
【0054】また、比較した3点の中でS1、T1に次
いでS3、T3も比較的味が良い結果が得られているこ
とより、S1〜S3の範囲に適切なミネラル分含有濃度
範囲があると推定し、再度S1、S2、S3の試料塩に
ついて味の官能検査を実施した。方法は前述の(1)澄
まし汁及び(2)フライドポテトを用い、前述した方法
と同様に評価した。但し、評価は各人の好みについて1
位を1点、2位を2点、3位を3点の3段階として行っ
た。10人による点数の平均値及び順位は表11(澄ま
し汁による評価)及び表12(ポテトフライによる評
価)に示すとおりであった。
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】以上2種類の味の官能検査結果から、S2
の試料塩が最も良いと選定された。この試料塩のミネラ
ル分は約15%であった。これらの結果から、対象の材
料によっても異なるが、官能検査結果より、全塩中にミ
ネラル分が10〜16%程度含まれている塩が“やわら
かく”、“まろやかな”味を有しており、材料になじみ
が良いと考えられる。この濃度範囲のミネラル含有塩を
製造するためには、これまで述べてきたように2価陽イ
オン難透過性処理を施していない膜(無処理膜)と2価
陽イオン難透過性処理を施した膜(処理膜)の組み合わ
せ比は5:25〜15:15の範囲が適当である。
【0058】これらの官能検査結果から、“やわらか
く”、“まろやかな”味を有する塩のミネラル分濃度は
10〜16%であると推定されるが、この濃度範囲は対
象とする材料によっても異なるので、この範囲に限定さ
れるものではない。即ち、使用する材料によって適する
塩のミネラル分濃度が決定したら、2価陽イオン難透過
性処理を施していない膜(無処理膜)と2価陽イオン難
透過性処理を施した膜(処理膜)の膜組比の割合を変え
ることによって、必要なミネラル濃度を含有したかん水
を製造することにより最適なミネラル含有塩を製造する
ことができる。
【0059】
【発明の効果】本発明の製造方法により、所定量に設定
することが難しかったかん水中のミネラル分の濃度をイ
オン交換膜電気透析装置における性質の異なるイオン交
換膜の膜組比の割合を変えることにより、設定すること
ができ、所定濃度のミネラル含有食用塩を効率良く製造
することができる。これまでの製品に比較してより効率
的に“やわらかく”、“まろやかな”味を有する食用塩
をイオン交換膜電気透析装置から得られるかん水より作
ることができる。これによって商品種類の幅が広がり、
より食品仕様にあった食用塩が選べるようになる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換膜電気透析法により海水から
    食用塩を製造するに際し、イオン交換膜電気透析装置に
    用いる陽イオン交換膜として2価陽イオン難透過性の処
    理を施していない膜と該処理を施した膜とを組み合わせ
    て用いることを特徴とするミネラル含有塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 イオン交換膜電気透析装置に用いる陰イ
    オン交換膜として2価陰イオン難透過性の処理を施した
    膜を用いる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 2価陽イオン難透過性の処理を施してい
    ない膜と該処理を施した膜の比が1:5〜1:1である
    請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 イオン交換膜電気透析により得られたか
    ん水を濃縮してミネラル分を多く含んだ食用塩を製造す
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 2価陽イオン難透過性の処理を施してい
    ない膜と該処理を施した膜の比を調節することにより全
    塩中のミネラル分含有量を10〜16%とする請求項4
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 にがりを混合することなく、イオン交換
    膜電気透析法により海水から製造された食用塩であっ
    て、全塩中のミネラル分含有量が10〜16%であるこ
    とを特徴とする食用塩。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002292371A (ja) * 2001-01-23 2002-10-08 Goshu Yakuhin Kk 海洋深層水より分離した淡水と濃縮深層水とミネラル濃縮液と濃縮塩水と苦汁と特殊塩
KR100698899B1 (ko) * 2005-09-13 2007-03-22 김경숙 액상 소금의 제조방법
KR100761896B1 (ko) * 2005-09-16 2007-10-04 주식회사 태평소금 고농도 미네랄 소금 제조방법

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