JP2016189762A - フレッシュクリームの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレッシュクリームの本来の特徴であるコクや濃厚感を生かしつつ、すっきりとした後味を有し、口に入れた時に冷感を感じるフレッシュクリームを提供する。【解決手段】ナトリウム及びカリウムを含有する乳由来のミネラル成分含有液を、乳脂原料、又は乳脂原料から分離した分離クリームに添加するミネラル成分添加工程を含む、フレッシュクリームの製造方法において、前記ミネラル成分添加工程は、フレッシュクリーム中の無脂乳固形分、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量が以下の式を充足するように行われる。【選択図】なし

Description

本発明は、フレッシュクリームの製造方法に関する。
フレッシュクリームは、「生乳、牛乳、又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの」であり、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)における「クリーム」の規格に適合する製品である。
フレッシュクリームは、十分なコクや濃厚感を有することから、高級感のある味わいを訴求する菓子の原料として高い価値を有し、ケーキのデコレーションやチルドデザートのトッピングとして広く利用されている。
ところで、乳製品の製造において、乳原料中の特定の成分を濃縮し乳原料の風味を調整する目的、或いは、乳原料中の好ましくない成分を除去する目的で、乳原料を膜処理する技術が知られている。膜処理においては、除去しようとする成分の分子量に応じた孔径を有する膜が用いられ、脱塩を目的とする膜処理においては、例えば、ナノフィルトレーション膜(NF膜)が使用される。
このような膜処理は、クリームの製造において、ミルク風味やコクを向上させる目的で使用されることが知られている。
例えば、特許文献1には、クリームの製造方法において、生乳を膜濃縮処理することで、ミルク風味を特徴づける成分が濃縮され、従来のクリームに比べてミルク風味が強くなることが記載されている。
また、特許文献2には、フレッシュクリームの製造方法において、ナノろ過処理によって原料乳を濃縮し、脱塩処理を行うことで、比較的低脂肪でも強いコクを有するフレッシュクリームを製造できることが記載されている。
特開2008−109940号公報 国際公開第2012/176721号
フレッシュクリームは、そのコクや濃厚感が好まれる一方で、後味のくどさ、重さ、ホイップドクリームの形態で口に入れた時のぬるさが指摘されることもあった。
そこで、本発明は、フレッシュクリームの本来の特徴であるコクや濃厚感を生かしつつ、すっきりとした後味を有し、口に入れた時に冷感を感じるフレッシュクリームを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、フレッシュクリームの製造工程について模索する中で、乳製品の加工における膜処理の副産物として生ずるミネラル成分を含む膜透過液を、フレッシュクリームの製造の原料として用いたところ、驚くべきことに、フレッシュクリームにすっきりとした後味と、口に入れた時の冷感を付与できることを見出した。
そして、このような膜透過液の添加において、フレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対する特定のミネラルの含有量を、一定の範囲に調整することで、フレッシュクリームの本来の特徴であるコクや濃厚感を十分に生かしつつ、すっきりとした後味、口に入れた時の冷感を付与することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、前記課題を解決する本発明は、ナトリウム及びカリウムを含有する乳由来のミネラル成分含有液を、乳脂原料又は該乳脂原料から分離した分離クリームに添加するミネラル成分添加工程を含む、フレッシュクリームの製造方法において、
前記ミネラル成分添加工程は、フレッシュクリーム中の無脂乳固形分、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量が以下の式(1)を充足するように行われることを特徴とする。
フレッシュクリームの製造において、乳脂原料又は該乳脂原料から分離した分離クリームに、乳由来のミネラル成分含有液を、前記式(1)を充足するように添加することで、コクや濃厚感を有し、かつ、すっきりとした後味、口に入れた時の冷感を有するフレッシュクリームを製造することができる。
本発明の好ましい形態では、前記ミネラル成分添加工程は、前記フレッシュクリームにおける、ナトリウムイオンの含有量が0.02〜0.04質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.07〜0.12質量%となるように行われる。
フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量が前記範囲となるようにミネラル成分含有液を添加することで、コクや濃厚感と、すっきりとした後味のバランスが良好なフレッシュクリームを製造することができる。
本発明の好ましい形態では、前記ミネラル成分含有液における、ナトリウムイオンの含有量は0.01〜0.03質量%であり、かつカリウムイオンの含有量は0.05〜0.12質量%である。
このようなミネラル成分含有液を用いることで、フレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量の割合の調整を効率的に行うことができる。
本発明の好ましい形態では、前記ミネラル成分添加工程における、前記分離クリームに対する前記ミネラル成分含有液の添加量は、1〜20質量%である。
ミネラル成分含有液の添加量を前記範囲とすることで、フレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量の割合の調整を効率よく行うことができる。加えて、フレッシュクリームの本来のコクや濃厚感を存分に生かしながら、すっきりとした後味、口に入れた時の冷感を実現することができる。
本発明の好ましい形態では、前記ミネラル成分含有液は、乳原料をナノフィルトレーション膜処理して得られる膜透過液である。
このような膜透過液を用いることで、前述したフレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量の調整を効率よく行うことができることに加え、乳に含まれる香気成分も好ましい範囲に調整することができ、極めて優れた風味のフレッシュクリームを製造することができる。また、このような形態により、クリームの分離等の乳製品の加工において生ずる副産物の有効利用が可能となる。
本発明によれば、コクや濃厚感を有し、かつ、すっきりとした後味、口に入れた時の冷感を有する、良好な風味のフレッシュクリームを製造することができる。
また、ミネラル成分含有液として、乳製品の加工における膜処理によって生ずる透過液等の乳由来のミネラル成分含有液を用いる形態によれば、極めて優れた風味のフレッシュクリームを簡便な方法で製造することができる。また、同時に、従来、使途に乏しかった乳由来のミネラル成分含有液の有効利用にもつながるものである。
本発明のフレッシュクリームの製造方法の実施形態を示す概略工程図である。 本発明のフレッシュクリームの製造方法の他の実施形態を示す概略工程図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、乳及び乳製品に関する用語の定義は、特段の断りがない限り、乳等省令における用語の定義と同一である。
フレッシュクリームは、通常、乳脂原料をクリームと脱脂乳とに分離する工程を経て製造される(図1及び図2参照)。
本発明のフレッシュクリームの製造方法は、前記分離工程に供される乳脂原料、又は、前記分離工程によって得られる分離クリームに対し、乳由来のミネラル成分含有液を添加する、ミネラル成分添加工程を含むことを特徴とする。
はじめに、図1に示される実施形態について説明する。
図1は、本発明のフレッシュクリームの製造方法の概略工程図である。本製造方法は、乳脂原料から製造された分離クリームに乳由来のミネラル成分含有液を添加することを特徴とする。
<分離クリームの調製>
本実施形態では、まず、乳脂原料から分離クリームを調製する。分離クリームの調製は、ディスク型クリームセパレーターを用いて常法により行うことができる。
分離クリームの脂肪率は、本製造方法の製造の目的とするフレッシュクリームの脂肪率、及び、後述するミネラル成分添加工程における乳由来のミネラル成分含有液の添加量を考慮して決定することができるが、例えば、フレッシュクリームの脂肪率+(プラス)15質量%以下の範囲となるように、好ましくはフレッシュクリームの脂肪率+(プラス)7質量%以下の範囲となるように調整することが好ましい。
例えば、ホイップドクリーム等に好適に用いられる35〜50質量%の脂肪率のフレッシュクリームを製造しようとする場合には、分離クリームの脂肪率は、好ましくは36〜55質量%とすることができ、より好ましくは40〜53質量%とすることができる。
分離クリームの脂肪率は、前記ディスク型クリームセパレーターのクリーム出口の流量調節を行うことで、調整することができる。
また、分離クリームの調製においては、通常のクリームの製造方法において行われる、乳脂原料の加温、分離クリームの冷却等を適宜行うことができる。
このようにして調製された分離クリームは、次に説明するミネラル成分添加工程に供される。また、後に詳述するが、分離クリームの調製における副産物である脱脂乳は、ミネラル成分含有液を得るための原料として使用することができる。
なお、本発明においては、分離クリームとして、市販のフレッシュクリームを用いてもよい。
<ミネラル成分添加工程>
本発明の製造方法は、前述の方法により得られた分離クリームに、乳由来のミネラル成分含有液を添加することを特徴とする。
(1)ミネラル成分含有液
本工程において用いられる乳由来のミネラル成分含有液は、起源を乳とし、かつミネラル成分を主要成分として含む水溶液であり、乳以外の原料を起源とする成分は含まないものである。
前記ミネラル成分含有液としては、例えば、乳製品の加工における膜濃縮処理の副産物である膜透過液を好ましく用いることができる。このような膜透過液は、従来使途に乏しかったものであり、廃棄物の削減という観点からも好適に用いられる。
膜透過液としては、例えば、乳原料を精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノフィルトレーション膜(NF膜)等の濾過膜で膜処理(濾過膜処理)して得られる膜透過液(濾過膜透過液)が例示され、これらの濾過膜を単独で処理しても良く、又は複数の濾過膜を組み合わせて処理しても良い。その中でも、少なくともナノフィルトレーション膜処理して得られる膜透過液(本明細書において、「ナノフィルトレーション膜透過液」、「NF膜透過液」とも言う。)を好ましく用いることができる。
濾過膜処理に供される乳原料としては、ミネラル成分を含有する乳由来の液状原料であれば特に限定されず、具体的には、生乳、脱脂乳、部分脱脂乳、ホエイ、クリーム、バターミルク、これら乳原料を予め濾過膜(精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)等)によって処理した濾過膜透過液等を例示することができる。
例えば、前述した分離クリームの調製において分離した脱脂乳をナノフィルトレーション膜処理して膜透過液を回収することにより、ミネラル成分含有液を調製することも、副産物の有効利用の観点から好ましい。
前記濾過膜のうち、ナノフィルトレーション膜を使用して膜透過液を調製する場合は、例えば、MgSO阻止率95%以上であり、NaCl阻止率30〜70%であるナノフィルトレーション膜を使用することが好ましい。
ナノフィルトレーション膜処理に用いるナノフィルトレーション膜としては、7250HG(日東電工株式会社)などの市販品を用いることができる。
本工程において用いられる乳由来のミネラル成分含有液は、濾過膜にナノフィルトレーション膜を使用した場合、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の1価のミネラルに加え、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、リンイオン等の2価のミネラルや、乳に含まれる香気成分として、例えば、Butanoic acid、Hexanoic acid、Octanoic acid、Decanoic acid等の脂肪酸や、2-Propanone、Ethyl acetate、2-Butanone、Hexanal、Heptanal、d-Limonene、Octanal、2-Nonanone、Nonanal、1-Octanol、2-Undecanone、γ-Butyrolactone等のアルデヒド・ケトン等のカルボニル化合物を微量に含むと考えられる。
そのため、ミネラル成分含有液としてナノフィルトレーション膜透過液(NF膜透過液)を用いることにより、すっきりとした後味及び口に入れた時の冷感を付与するのみならず、乳に含まれる香気成分も付与することができ、全体として、フレッシュクリームの良好な風味を実現することが可能となる。
また、前述した膜透過液におけるナトリウムイオン、カリウムイオン、脂肪、タンパク質、糖質等の組成を参考にして、乳原料を適宜処理することによりミネラル成分含有液を調製することもできる。但し、この場合にも、全ての原料を乳由来のものとすることが必要である。
以下に、前述した膜透過液を含む本発明のミネラル成分含有液の好ましい組成について説明する。
本発明の製造方法に用いられるミネラル成分含有液は、ナトリウムイオンとカリウムイオンを含む。
該ミネラル成分含有液におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総含有量は、好ましくは0.08〜0.2質量%であり、より好ましくは0.1〜0.15質量%である。
また、ミネラル成分含有液におけるナトリウムイオンの含有量は、好ましくは0.01〜0.03質量%であり、より好ましくは0.02〜0.03質量%である。また、ミネラル成分含有液におけるカリウムイオンの含有量は、好ましくは0.05〜0.12質量%であり、より好ましくは0.08〜0.12質量%である。
特に、ナトリウムイオンの含有量が、0.01〜0.03質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.05〜0.12質量%である形態が好ましい。中でも、ナトリウムイオンの含有量が、0.02〜0.03質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.08〜0.12質量%である形態が好ましい。
また、ミネラル成分含有液におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの含有質量の比は、通常のフレッシュクリームにおける比と同様、1:3〜1:5を目安とすることができる。
ミネラル成分含有液におけるナトリウムイオン、カリウムイオンの組成について、前述した範囲を目安とすることにより、常法により調製した分離クリームを原料として、後述する最終製品としてのフレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオンとカリウムイオンの割合の調整を効率よく行うことができる。
また、ミネラル成分含有液における、脂肪の含有量は好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
また、ミネラル成分含有液において、タンパク質の含有量は好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.3質量%以下である。さらに、ミネラル成分含有液において、糖質の含有量は好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。
ミネラル成分含有液は、脂肪、タンパク質、及び糖質を実質的に含有しないことが好ましい。このようなミネラル成分含有液を用いることで、常法により調製した分離クリームを原料として、後述する最終製品としてのフレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオンとカリウムイオンの割合の調整を効率よく行うことができる。
(2)ミネラル成分含有液の添加
前述したミネラル成分含有液の分離クリームへの添加は、フレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合、すなわち下記式(1)の値が、0.02〜0.0264となるように、好ましくは0.022〜0.0264となるように、より好ましくは0.023〜0.0262となるように行われる。
前記式(1)の値が前記範囲となるように、乳由来のミネラル成分含有液を分離クリームに添加することによって、コクや濃厚感を有し、かつすっきりとした後味や口に入れた時の冷感を有する、良好な風味を有するフレッシュクリームを製造することができる。
ここで、無脂乳固形分(%)とは乳脂肪以外の乳固形分のことを言い、バブコック法等により脂肪量を定量し、直接乾燥法により水分量を定量したのち、これらの定量値から以下の式に基づいて無脂乳固形分を定量することができる。
無脂乳固形分=100−(脂肪量+水分量)
また、ナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度はICP発光分析法により定量することができる。
例えば、試料1gに硝酸5mLを添加し、DigiTUBES(GLサイエンス社製)の分解プログラムに従って試料を分解した後、30%過酸化水素水(原子吸光用、和光純薬工業社製)1mLを添加し、純水(Milli−Q水)にて試料を50mLに定容して測定用試料を調製する。次いで、調製した測定用試料をICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPE−9000)にて測定し、標準試料にて作成した検量線から、試料中のナトリウムとカリウムのイオン濃度を決定する。
ナトリウムの測定波長:589.592nm
カリウムの測定波長:766.490nm
ここで、分離クリームに対するミネラル成分含有液の添加量は、ミネラル成分含有液におけるナトリウムイオン及びカリウムイオンの濃度、及びミネラル成分含有液が添加される対象である分離クリームにおける無脂乳固形分、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの濃度を考慮して決定することができるが、通常1〜20質量%であり、より好ましくは6〜15質量%である。
ミネラル成分添加工程を経て製造されるフレッシュクリームにおけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総含有量は、製造されるフレッシュクリームの脂肪率によって異なるが、0.06〜0.16質量%を目安とすることができる。ホイップドクリームに好適である35〜50質量%の脂肪率のフレッシュクリームを製造しようとする場合には、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総含有量が0.08〜0.13質量%となるように、ミネラル成分含有液を添加することが好ましい。
また、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンの含有量も、フレッシュクリームの脂肪率によって異なるが、例えば、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンの含有量が0.02〜0.04質量%となるように、ミネラル成分含有液を添加することが好ましい。また、ホイップドクリームに好適である35〜50質量%の脂肪率のフレッシュクリームを製造しようとする場合には、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンの含有量が0.022〜0.035質量%となるように、ミネラル成分含有液を添加することが好ましい。
同様に、フレッシュクリームにおけるカリウムイオンの含有量も、フレッシュクリームの脂肪率によって異なるが、例えば、フレッシュクリームにおけるカリウムイオンの含有量が0.07〜0.12質量%となるように、ミネラル成分含有液を添加することが好ましい。また、ホイップドクリームに好適である35〜50質量%の脂肪率のフレッシュクリームを製造しようとする場合には、フレッシュクリームにおけるカリウムイオンの含有量が0.06〜0.1質量%となるように、ミネラル成分含有液を添加することが好ましい。
また、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンの含有量が、0.02〜0.04質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.07〜0.12質量%となるようにミネラル成分含有液を添加することが好ましい。
また、より好ましい形態では、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンの含有量が、0.022〜0.035質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.06〜0.1質量%となるようにミネラル成分含有液を添加することが好ましい。
また、フレッシュクリームにおけるナトリウムイオンとカリウムイオンの含有質量の比は、乳脂原料におけるこれらの比率の通常の範囲である1:3〜1:5を目安とすればよい。
また、ミネラル成分添加工程を経て製造されるフレッシュクリームにおける無脂乳固形分は、通常のフレッシュクリームが有する範囲であれば特に制限はされないが、程よいコクを得るという観点から、好ましくは3〜7質量%、より好ましくは3.5〜7質量%、さらに好ましくは4〜7質量%とすることができる。特に、無脂乳固形分のうち、タンパク質の含有量は、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは1.55質量%以上であり、さらに好ましくは1.6質量%以上であり、特に好ましくは1.7質量%以上である。
また、フレッシュクリームにおける脂肪率は、通常のフレッシュクリームが有する範囲であれば特に制限はされないが、程よい濃厚感を得るという観点から、好ましくは18〜50質量%であり、より好ましくは35〜50質量%である。
本実施形態の製造方法によれば、コクや濃厚感を有し、かつすっきりとした後味及び口に入れた時の冷感を有する良好な風味のフレッシュクリームを提供することができる。
また、本実施形態に示したように、分離クリームに、ミネラル成分含有液を添加する態様では、分離クリームの調製において副産物として生成される脱脂乳を利用することができるという利点を有する。
また、本発明の製造方法においては、図2に示すように、乳等の乳脂原料にミネラル成分含有液を添加した後に、クリームを分離する実施形態としてもよい。
本実施形態においては、ミネラル成分含有液を乳脂原料に添加することにより乳脂原料を希釈した後、常法によりクリームを分離してフレッシュクリームを製造する。
ここで、ミネラル成分含有液の好ましい形態やクリームの分離方法は、前述した実施形態におけるものと同じである。
また、本実施形態においても、ミネラル成分含有液の添加量は、製造するフレッシュクリームの脂肪率を考慮して調整することができるが、乳脂原料が1.03〜1.3質量倍に希釈されるような量を目安にすることができる。また、ミネラル成分含有液の添加量は、乳脂原料に対し1〜30質量%を目安とすることができ、1〜20質量%が好ましく例示できる。
また、本実施形態において製造されるフレッシュクリームのナトリウムイオン、カリウムイオン、及び無脂乳固形分等の各成分の含有量や比率の好ましい範囲についても、前述した実施形態と同じである。
以上、本発明の製造方法の実施形態について説明したが、本発明の製造方法においては、前記説明した工程の他、通常のフレッシュクリームの製造において行われる、殺菌、冷却、エージング等の工程を必要に応じて行うことができる。なお、図1に示されるミネラル成分含有液(NF膜透過液)の添加は、殺菌前、殺菌後、冷却後、エージング後のいずれのタイミングでもよく、それぞれ本発明の効果は十分に発揮されるものである。
このようにして製造されたフレッシュクリームは、特に、ホイップドクリームの状態で食したときに、コクと濃厚感を有しつつ、すっきりとした後味、口に入れた時の冷感を有するものである。
以下、実施例を示しながら、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されないことはいうまでもない。
なお、実施例において、パーセンテージ(%)による表記は、特記する場合以外は質量によるものである。
<実施例1>
以下の製造方法によりフレッシュクリームを製造した。
原乳をプレート式熱交換機によって35℃〜70℃に加温し、ディスク型クリームセパレーターを用いて脂肪率が48%の分離クリームと脱脂乳に分離した。分離クリームの脂肪率は、ディスク型クリームセパレーターのクリーム側出口、脱脂乳側出口の流量を制御することによって調整した。
クリームの分離により得られた脱脂乳(副産物)をプレート式熱交換機で10℃以下まで冷却した。
この冷却した脱脂乳をナノフィルトレーション膜(日東電工製:7250HG)によって処理することで、透過液(NF膜透過液)と濃縮脱脂乳に分離した。この時の脱脂乳の濃縮率は固形分で2.5質量倍であった。
分離したNF膜透過液は保持タンクにて全量採取した。
このようにして調製したNF膜透過液におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度をICP発光分析法によって測定した。ナトリウムとカリウムの標準液は、それぞれ以下の濃度のものを使用した。
Na(ppm):0.5、2.5、5.0、12.5、25.0
K(ppm):1.0、5.0、10.0、25.0、50.0
その結果、NF膜透過液に含まれるナトリウムイオンの含有量は0.0255質量%(25.5mg/100g)であり、カリウムイオンの含有量は0.0987質量%(98.7mg/100g)であった。また、NF膜透過液は、実質的に脂肪を含有しないものであった(0.01質量%以下)。
このようにして調製したNF膜透過液と、前記分離クリームとを以下の配合比(分離クリームに対するNF膜透過液の添加量は6.6質量%)で混合することで、脂肪率が45%のフレッシュクリームを得た。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:93.8g
NF膜透過液:6.2g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を測定したところ、4.4質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を、分析機器SUMIGRAPH NC−220F(株式会社住化分析センター)を用いてデュマ法により測定したところ、1.65質量%であった。
また、ナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を前記方法によって測定したところ、それぞれ、0.025質量%(25mg/100g)と0.080質量%(80mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、その値は0.024であった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法にて、脂肪率が45%の分離クリームと、NF膜透過液を得た。NF膜透過液におけるナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量、脂肪の含有量は、実施例1と同じであった。
このようにして調製したNF膜透過液と、前記分離クリームとを以下の配合比(分離クリームに対するNF膜透過液の添加量は12.5質量%)で混合することで、脂肪率が40%のフレッシュクリームを得た。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:88.9g
NF膜透過液:11.1g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、4.24質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、1.55質量%であった。
また、ナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を前記の方法によって測定したところ、それぞれ0.027質量%(27mg/100g)と0.084質量%(84mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.0262であった。
<実施例3>
以下の製造方法により、フレッシュクリームを製造した。
実施例1と同様の方法によって原乳から脱脂乳を分離し、これをプレート式熱交換機で10℃以下まで冷却した。この冷却した脱脂乳をナノフィルトレーション膜処理することで、NF膜透過液を調製した。
このようにして調製したNF膜透過液を原乳に添加し、原乳を1.13倍(原乳に対するNF膜透過液の含有量は14質量%)に希釈した。
この希釈した原乳をプレート式熱交換機によって35℃〜70℃に加温し、ディスク型クリームセパレーターを用いてフレッシュクリームと脱脂乳に分離した。この時、分離クリームの脂肪率が45%となるように分離した。
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、4.4質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、1.6質量%であった。
また、前記方法によってナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を測定したところ、それぞれ0.025質量%(25mg/100g)と0.081質量%(81mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.024であった。
<比較例1>
実施例1におけるNF膜透過液を脱脂乳に代えて、以下の製造方法によりフレッシュクリームを製造した。
実施例1と同様の方法で、脂肪率48%の分離クリームと脱脂乳を得た。
得られた脱脂乳と、前記分離クリームとを以下の配合比(分離クリームに対する脱脂乳の添加量は6.6質量%)で混合することで、脂肪率が45%のフレッシュクリームを得た。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:93.8g
脱脂乳:6.2g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、5.1質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、1.85質量%であった。
また、前記方法によってナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を測定したところ、それぞれ0.026質量%(26mg/100g)と0.081質量%(81mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.0214であった。
<比較例2>
実施例2におけるNF膜透過液を脱脂乳に代えて、以下の製造方法によりフレッシュクリームを製造した。
実施例2と同様の方法によって脂肪率45%の分離クリームと脱脂乳を得た。
得られた脱脂乳と、前記分離クリームとを以下の配合比(分離クリームに対する脱脂乳の添加量は12.5質量%)で混合することで、脂肪率が40%のフレッシュクリームを得た。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:88.9g
脱脂乳:11.1g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、5.6質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、2.1質量%であった。
また、前記方法によってナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を測定したところ、それぞれ0.027質量%(27mg/100g)と0.084質量%(84mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.0198であった。
<比較例3>
実施例1におけるミネラル成分含有液を、10%塩化ナトリウム水溶液と10%塩化カリウム水溶液に代えて、以下に示す製造方法によりフレッシュクリームを製造した。
実施例1と同様の方法によって脂肪率48%の分離クリームを得た。また、食塩(塩化ナトリウム99%以上、公益財団法人塩事業センター製)と塩化カリウム(純度99.5%以上、エフシー化学株式会社製)をそれぞれ水に溶解し、10%塩化ナトリウム水溶液と、10%塩化カリウム水溶液を調製した。
前記分離クリームと水溶液とを、ナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量が実施例1におけるフレッシュクリームと同量になるように、以下の配合比で混合した。その後、以下に示す配合比でイオン交換水を分離クリームに添加することで、脂肪率45%のフレッシュクリームを得た。なお、分離クリームに対する前記水溶液イオン交換水の合計添加量は、6.6質量%であった。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:93.8g
10%塩化ナトリウム水溶液:0.016g
10%塩化カリウム水溶液:0.061g
イオン交換水:6.123g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、4.4質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、1.65質量%であった。
また、前記方法によってナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を測定したところ、それぞれ0.025質量%(25mg/100g)と0.080質量%(80mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.024であった。
<比較例4>
実施例1において、48%分離クリームとNF膜透過液の配合比を以下のように変えて脂肪率が40%のフレッシュクリームを製造した。
・配合比(100gあたり)
分離クリーム:83.3g
NF膜透過液:16.6g
このようにして調製したフレッシュクリームの無脂乳固形分を前記方法によって測定したところ、3.94質量%であった。また、フレッシュクリームのタンパク質含量を前記方法によって測定したところ、1.45質量%であった。
また、前記方法によってナトリウムイオンとカリウムイオンの含有量を測定したところ、それぞれ0.028質量%(28mg/100g)と0.085質量%(85mg/100g)であった。
これらの測定値に基づいて、下記式(1)によりフレッシュクリーム中の無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合を求めたところ、0.0286であった。
<試験例>
実施例1〜3及び比較例1〜4の製造方法によるフレッシュクリームの製造後、0〜5℃で12時間のエージングを行った。その後、卓上型ミキサー(愛工舎製作所製、「ケンミックス」)を用いてホイップを行い、ホイップドクリームを調製した。
それぞれのフレッシュクリームについてのホイップ条件(ホイップ温度、ホイップ時間)、調製したホイップドクリームの粘度、比重、かたさ(ペネトロ値)と状態を表1に示す。
粘度は、粘度計(B型粘度計RB−80L、東機産業社製)により、ホイップドクリーム200gをトールビーカーに分取し、回転数60rpmで、30秒間、温度5℃の条件で粘度[mPa・s]測定した。
また、比重は、容積100ml(水で満たした場合に100g)の容器に、ホイップドクリームを摺り切りまで満たし、その時の重量A(容器+ホイップドクリーム)を測定して、以下の式により比重を算出した。
比重=(重量A−容器重量)/100 [g/cm3
さらに、ペネトロ値の測定は、 ペネトロメーター(中村医科理科器械社製)を使用し、先端角40度(°)、重さ12g、底面直径24mm、高さ33.5mmの円錐型コーンを、ホイップドクリーム表面から自重で落下させ、5秒後に円錐がどのくらいムース中に落下したかを測定し、ペネトロ値を決定した。ペネトロ値の単位は[mm]である。
このようにして調製したホイップドクリームについて、専門パネラーによる官能試験にて、後味のすっきり感、口に入れた時の冷感、及び乳風味を、以下の基準により評価した。また、総合的な風味についても評価した。結果を表2に示す。
・後味のすっきり感
5点・・・くどさを全く感じず、すっきりとした後味である。
4点・・・くどさをほとんど感じず、すっきりとした後味である。
3点・・・ややくどさを感じ、後味に多少の雑味を感じる。
2点・・・くどさを感じ、後味に雑味を感じる。
1点・・・明らかにくどさを感じ、しばらく後味に雑味を感じる。
・口に入れた時の冷感
5点・・・明確に冷感を感じる。
4点・・・やや冷感を感じる。
3点・・・ややぬるさを感じる。
2点・・・ぬるさを感じる。
1点・・・明確にぬるさを感じる。
・乳風味
5点・・・乳のコクと濃厚感が強い
4点・・・乳のコクと濃厚感がやや強い
3点・・・乳のコクと濃厚感がやや弱い
2点・・・乳のコクと濃厚感が弱い
1点・・・乳のコクと濃厚感がない
表2に示すように、実施例1〜3の製造方法により製造したフレッシュクリームは、口に入れた時の冷感、後味のすっきり感、及び乳のコクや濃厚感の何れにおいても高評価であった。これにより、フレッシュクリームの製造において、乳由来のミネラル成分含有液を用いることで、程よいコクや濃厚感を有し、かつすっきりとした後味と口に入れた時の冷感を有するフレッシュクリームを製造できることが分かった。また、乳由来のミネラル成分含有液の添加は、クリームの分離後に分離クリーム対して行うこともできるし、クリームを分離する前の乳脂原料に対して行うこともできることが分かった。
一方、分離クリームに脱脂乳を添加する比較例1及び2の製造方法により製造したフレッシュクリームは、乳風味については、乳のコクや濃厚感は十分に有していたが、口に入れた時のぬるさ、くどさを感じ、後味に雑味を感じるものであった。
これにより、良好な乳風味と、すっきりとした後味及び口に入れた時の冷感のバランスを実現するためには、乳由来のミネラル成分含有液を用いることが重要であることが分かった。
また、分離クリームに塩化ナトリウム水溶液と塩化カリウム水溶液を添加して製造した比較例3のフレッシュクリームは、口に入れた時の冷感や後味のすっきり感は有するものであったが、乳のコクや濃厚感は全く感じられないものであった。
これにより、フレッシュクリームの本来のコクや濃厚感等の乳風味を生かすためには、分離クリームに添加するミネラル成分含有液として、乳由来のミネラル成分含有液を用いることが重要であることが分かった。
また、フレッシュクリームにおける無脂乳固形分に対するナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量の割合が前記式(1)の範囲外となるように製造した比較例4のフレッシュクリームは、口に入れた時の冷感は有するものであったが、後味にくどさを感じるものであり、乳のコクや濃厚感は全く感じられないものであった。また、後味に雑味を感じるものであった。
これにより、前記式(1)の値が0.02〜0.0264となるように、好ましくは0.022〜0.0264となるように、より好ましくは0.023〜0.0262となるように、乳由来のミネラル成分含有液を分離クリームに添加することが、コクや濃厚感と、後味のすっきり感及び口に入れた時の冷感とをバランスよく有するフレッシュクリームを製造するために重要であることが分かった。
以上示した試験例の結果から、フレッシュクリームの製造において、脱脂乳から得られたNF膜透過液等のナトリウム及びカリウムを含有する乳由来のミネラル成分含有液を乳脂原料又は乳脂原料から分離された分離クリームに添加すること、及び製造されるフレッシュクリームにおける前記式(1)の値が0.02〜0.0264となるように、好ましくは0.022〜0.0264となるように、より好ましくは0.023〜0.0262となるように、ミネラル成分含有液を添加することによって、乳本来のコクや風味を有しながらも、すっきりとした後味と冷感を有するフレッシュクリームを製造することが可能であることが分かった。特に、乳脂原料から分離した分離クリームに乳由来のミネラル成分含有液を添加する方法を用いることにより、乳原料の有効利用をしながら前記目的のフレッシュクリームを効率よく製造できることが分かった。
本発明はフレッシュクリームの製造方法に応用することができる。
また、本発明によれば、乳原料の精製工程中において副産物として発生するNF膜透過液等の濾過膜透過液を、産業上有効に活用することができる。

Claims (5)

  1. ナトリウム及びカリウムを含有する乳由来のミネラル成分含有液を、乳脂原料、又は乳脂原料から分離した分離クリームに添加するミネラル成分添加工程を含む、フレッシュクリームの製造方法において、
    前記ミネラル成分添加工程は、フレッシュクリーム中の無脂乳固形分、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの含有量が以下の式を充足するように行われることを特徴とする、製造方法。
  2. 前記ミネラル成分添加工程は、前記フレッシュクリームにおける、ナトリウムイオンの含有量が0.02〜0.04質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.07〜0.12質量%となるように行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ミネラル成分含有液における、ナトリウムイオンの含有量が0.01〜0.03質量%であり、かつカリウムイオンの含有量が0.05〜0.12質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ミネラル成分添加工程における、前記分離クリームに対する前記ミネラル成分含有液の添加量が、1〜20質量%であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 前記ミネラル成分含有液が、乳原料をナノフィルトレーション膜処理して得られる膜透過液であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の製造方法。


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