JPH07170070A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

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JPH07170070A
JPH07170070A JP5315585A JP31558593A JPH07170070A JP H07170070 A JPH07170070 A JP H07170070A JP 5315585 A JP5315585 A JP 5315585A JP 31558593 A JP31558593 A JP 31558593A JP H07170070 A JPH07170070 A JP H07170070A
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Eiji Takehara
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 第1の導体層上に、カルボン酸付加アクリレ
ート化合物と反応性の遅いエポキシ化合物よりなる組成
物により絶縁層を形成し、これに一度目の加熱処理を行
い、上記絶縁層表面を粗面化した後、メッキにより第2
の導体層を形成し、二度目の加熱処理を行う。なお、本
発明においては、上記組成物を上記の物の他、反応性の
速いエポキシ化合物,中程度な反応性のエポキシ化合物
のうち少なくとも1種類以上のエポキシ化合物を含有し
ているものとしても良い。また、本発明においては、一
度目の加熱処理の温度T1 を130℃≦T1 ≦170℃
の範囲とする、二度目の加熱処理の温度T2 を温度T1
よりも高いものとする、絶縁層表面の粗面化を酸化剤,
アルカリ,有機溶剤のうちの少なくとも1種類以上を用
いて行うものとしても良い。 【効果】 絶縁層とこの上にメッキにより形成する導体
層との密着強度を改善し、パターン欠損や部品の剥離を
解消し、特性の良好な多層プリント配線板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層プリント配線板の
製造方法に関し、詳細には絶縁層上に形成される導体層
の密着性を改善する多層プリント配線板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術における配線の高密度化
に伴い、プリント配線板としては複数の配線層を積層さ
せた多層構造の配線板が使用されるようになってきてい
る。このような多層プリント配線板としては、外層と称
されるプリント配線板間に内層と称されるプリント配線
板を接着層(Bステージプリプレグ)を介して挟み込ん
だ構造が一般的である。そして、該多層プリント配線板
においては、一般に、上下の外層の配線層間を接続する
スルーホールが形成されており、また近年では配線密度
を向上させるために、内層が積層板である場合には内層
の配線層間、あるいは内層の配線層と外層の配線層とを
接続するブラインドバイアホールが形成されるようにな
り、その重要性が増している。
【0003】上記ブラインドバイアホールを有する多層
プリント配線板の製造方法としては、内層となる積層板
にドリルによりブラインドバイアホールを形成するブラ
インド孔を開け、これをメッキすることによりブライン
ドバイアホールを有する積層板を形成し、このブライン
ドバイアホールを有する積層板に外層を積層プレスした
後、スルーホールを形成するスルーホール孔を開け、メ
ッキすることによりスルーホールを形成して多層プリン
ト配線板を製造する方法(所謂積層プレス法)が挙げら
れる。
【0004】また、他には下層の回路となる導体層上に
フォトレジストを塗布して絶縁層を形成し、その絶縁層
に露光、現像処理をすることによりブラインド孔を設
け、さらにポストキュアを行い、その上にメッキするこ
とにより上層の回路となる導体層と、その上層の導体層
と下層の導体層とを接続するブラインドバイアホールと
を形成して多層プリント配線板を製造する方法(所謂ビ
ルドアップ法)も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記積
層プレス法においては、積層プレス工程が必要となるの
で生産設備が大掛かりとなり、またブラインド孔の開孔
にドリルを使用するため生産性が低下するという問題点
がある。さらに、積層する個々の配線板に形成するブラ
インドバイアホールのメッキとスルーホールのメッキと
を別個に行わなくてはならないのでメッキ工程が増え、
製造コストが高くなるという問題点もある。そして、上
記のようにブラインドバイアホールとスルーホールのメ
ッキを別個に行うと、外層の最外層の導体層はメッキ層
が2層重なったものとなる。従って、エッチングして回
路を形成するにあたっては、メッキ厚が厚いため(通常
80μm以上)、ファインパターンの回路形成が困難に
なるという問題もある。また、ブラインドバイアホール
を形成した積層板の積層プレス時に、積層板相互の接着
剤機能を担うBステージプリプレグが溶融してブライン
ドバイアホールから外層にまで染み出し、染み出した樹
脂の除去作業が別途必要となるという問題もある。
【0006】一方、上記ビルドアップ法においては積層
プレス法のような問題点はないが、フォトレジストから
なる絶縁層とこの上にメッキにより形成した導体層との
密着強度が小さいので(通常300g/cm以下)、パ
ターン欠損や部品の剥離が生じるという問題点がある。
これに対しては、メッキの前処理として、絶縁層の表面
に対して過マンガン酸塩等により粗面化を行い、メッキ
アンカーを作成する方法が一般に用いられているもの
の、このようなメッキアンカーは非常に微細であるため
に、メッキにより形成した導体層と絶縁層との間に十分
な密着強度を付与することができず、パターン欠損の発
生を回避することは難しい。
【0007】そこで、上記ビルドアップ工法において
は、特公平 5−65074号公報に示されるように、
絶縁層インクとして酸化剤に溶けやすい予め硬化処理さ
れた耐熱性樹脂微粉末を含有するものを用い、該絶縁イ
ンクにより絶縁層を形成した後に酸化剤により処理して
上記耐熱性樹脂微粉末を溶かし出し、絶縁層表面にメッ
キアンカーを形成し、導体層と絶縁層の密着性を向上さ
せることも提案されている。
【0008】しかしながら、この方法では、絶縁層イン
クに含有される硬化処理された耐熱性樹脂を用意するた
めの処理コストがかかる、予め硬化処理された耐熱性樹
脂は硬化が進んでいるため、溶解する際に重クロム酸等
の強い酸化剤が必要である、絶縁層を硬化(ポストキュ
ア)させる際の必要露光量が多く加熱時間も長くなるた
め生産性が必ずしもよくない等の不都合が生じる。ま
た、溶解する際に強い酸化剤を使用するため、基板にダ
メージが生じたり、排水処理等にも問題が生じる。
【0009】そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、ビルドアップ法を用いた多層プリン
ト配線板の製造方法において、絶縁層とこの上にメッキ
により形成する導体層との密着強度を改善し、パターン
欠損や部品の剥離を解消し、特性の良好な多層プリント
配線板を製造できるプリント配線板の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討した結果、絶縁層を反応性を
制御できるような特定の組成物を用いて形成し、上記絶
縁層の形成時から粗面化までの間に加熱処理を行って絶
縁層を半硬化状態とした上で、この絶縁層表面を粗面化
剤により粗面化することにより、絶縁層の表面を充分な
粗さを有し、安定した粗面化形状とすることができるこ
とを見出した。また、本発明者等は、上記のように粗面
化させた絶縁層上にメッキを行い、メッキ後に加熱処理
を行う事により、絶縁層中の残留半硬化部分を硬化させ
て、メッキ層と接触する部分を接着剤として機能させ、
絶縁層とメッキによる導体層との密着強度を向上させる
ことができることを見い出した。
【0011】すなわち、本発明は、第1の導体層上に絶
縁層を形成し、上記絶縁層表面を粗面化した後、メッキ
を行い第2の導体層を形成する多層プリント配線板の製
造方法において、上記絶縁層をカルボン酸付加アクリレ
ート化合物と反応性の遅いエポキシ化合物よりなる組成
物により形成し、該絶縁層形成から粗面化までの間に一
度目の加熱処理を行い、かつメッキを行った後に二度目
の加熱処理を行うことを特徴とするものである。
【0012】本発明のように、絶縁層を形成する組成物
中に反応性の遅い、すなわち硬化の遅いエポキシ化合物
を含有させれば、一度目の加熱処理では上記エポキシ化
合物の中には未硬化状態のものが残るため、絶縁層は半
硬化状態となる。そして、これを粗面化した場合には、
表面上の未硬化状態のエポキシ化合物が除去されること
となり、凹凸面が形成され、絶縁層表面は良好な粗化面
とされ、絶縁層表面にメッキアンカーが形成される。従
って、この上にメッキにより第2の導体層を形成した場
合、絶縁層と導体層の密着強度が向上される。そして、
メッキを行った後に、二度目の加熱処理を行うと、残留
していた未硬化状態のエポキシ化合物が完全に硬化さ
れ、絶縁層と導体層の密着強度が更に向上される。
【0013】また、本発明は、上記のような多層プリン
ト配線板の製造方法において、絶縁層を形成する組成物
をカルボン酸付加アクリレート化合物と反応性の遅いエ
ポキシ化合物の他に、反応性の速いエポキシ化合物,中
程度な反応性のエポキシ化合物のうち少なくとも1種類
以上のエポキシ化合物を含有しているものとしても良
い。
【0014】上記のように、絶縁層を形成する組成物中
に、カルボン酸付加アクリレート化合物と反応性の遅い
エポキシ化合物の他に、反応性の速いエポキシ化合物,
中程度な反応性のエポキシ化合物のうち少なくとも1種
類以上を含有させれば、一度目の加熱処理にて絶縁層を
半硬化状態とする場合に、エポキシ化合物の反応性の差
から硬化の比較的進んだ部分と硬化の進んでいない部分
を短時間で作り出すことができ、メッキアンカーが短時
間に形成される。
【0015】このとき、上記絶縁層を形成する組成物中
に含有されるカルボン酸付加アクリレート化合物は、ア
ルカリ現像性を発現させるためのカルボン酸と光硬化さ
せるためのアクリレートを兼ね備えた化合物で、本発明
においては、通常のアルカリ現像型レジストインクに用
いられているカルボン酸付加アクリレート化合物と同様
の物を使用すれば良い。
【0016】さらに、上記絶縁層を形成する組成物に含
有される反応性の遅いエポキシ化合物,反応性の速いエ
ポキシ化合物,中程度な反応性のエポキシ化合物として
は以下に示すようなものが挙げられる。ただし、以下に
おいては上記組成物をアルカリ現像型レジストインクと
称することとする。
【0017】ここでいう反応性とは、エポキシ化合物を
アルカリ現像型レジストインク中に含有させて加熱した
場合の反応速度を言い、このとき起こる反応として主に
考えられる反応としては、カルボキシル基とエポキシ
基、および水酸基とエポキシ基、およびエポキシ基同士
の反応が挙げられる。
【0018】そして、上記反応速度を評価する方法とし
ては、以下のようなJIS C−2104に基づくゲル
化試験法が挙げられる。
【0019】〔ゲル化試験法〕先ず、カルボン酸付加ア
クリレート化合物100部に各エポキシ化合物をカルボ
ン酸当量に対してエポキシ当量で等量配合したものに、
ジシアンジアミド1部とカルビトールアセテート60部
を配合し、3本ロールミルで練肉分散させて試料を作製
する。次に、これらの試料を0.5g取り、日新化学社
製GT−D型ゲル化試験器を用いて150℃におけるそ
れぞれのゲル化タイムの測定を行う。
【0020】そして、本発明においては、上記ゲル化タ
イムを反応速度とし、各エポキシ化合物を反応速度(ゲ
ル化タイム)により以下の3グループに区分して、反応
性の遅いエポキシ化合物,中程度な反応性のエポキシ化
合物,反応性の速いエポキシ化合物とした。
【0021】すなわち、第1にゲル化タイムが9分以上
であったものを反応性の遅いエポキシ化合物(グループ
A)とし、第2にゲル化タイムが5分以上,9分未満で
あったものを中程度な反応性のエポキシ化合物(グルー
プB)とし、第3にゲル化タイムが5分未満であったも
のを反応性の速いエポキシ化合物(グループC)とし
た。
【0022】上記反応性の遅いエポキシ樹脂(グループ
A)の具体例としては、油化シェル社製 エピコート1
001,エピコート1004、大日本インキ化学工業社
製エピクロン900,エピクロン1050、東都化成社
製 エポトートYD−134,YD−011、ダウケミ
カル社製 D.E.R.661、チバガイギー社製アラ
ルダイド6071、旭化成工業社製 AER−661、
住友化学工業社製スミーエポキシELA−134,ES
A−011等(何れも商品名)のフェノキシ型エポキシ
化合物や、油化シェル社製 エピコートYL903,Y
L906、大日本インキ化学工業社製 エピクロン15
2,エピクロン1120、東都化成社製 エポトートY
DB−400,YDB−500、ダウケミカル社製
D.E.R.511、チバガイギー社製 アラルダイド
8011、旭化成工業社製AER−711,AER−7
55、住友化学工業社製 スミーエポキシELB─24
0,ESB−500等(何れも商品名)のブロム化エポ
キシ化合物、大日本インキ化学工業社製 エピクロンT
SR−930,TSR−601、東都化成社製 エポト
ートYR−207,YR−450,YR−102等(何
れも商品名)のゴム変性エポキシ化合物、或いは東都化
成社製 エポトートYD−172(商品名)等のダイマ
ー酸変性エポキシ化合物等が挙げられる。
【0023】また、上記中程度な反応性のエポキシ化合
物(グループB)の具体例としては、油化シェル社製
エピコート807,828、大日本インキ化学工業社製
エピクロン840、東都化成社製 エポートYD−1
28、ダウケミカル社製 D.E.R.331、チバガ
イギー社製 アラルダイドGY260、旭化学工業社製
AER331、住友化学工業社製 スミーエポキシE
LA−128等(何れも商品名)のビスフェノールA型
エポキシ化合物や、油化シェル社製 エピコート15
4,181、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN
−740,N−865,N−665,N−695、東都
化成社製 エポトートYDPN−638,YDCN−7
04、ダウケミカル社製 D.E.N.431,D.
E.R.438,チバガイギー社製 アラルダイドEP
N1138,ECN1235,ECN1299、日本化
薬社製 RE−306,EPPN−201,EOCN−
1020,EOCN−104S、旭化成工業社製 AE
R ECN−235,ECN−299、住友化学工業社
製 スミーエポキシESCN−195X,ESCN−2
20等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ化合
物、或いは大日本インキ化学工業社製 エピクロン83
0、東都化成社製 エポトートYDF−170、チバガ
イギー社製 アラルダイドXPY306等(何れも商品
名)のビスフェノールF型エポキシ化合物、油化シェル
社製 YL−933、ダウケミカル社製 T.E.N.
等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型
エポキシ化合物、または油化シェル社製 YX−400
0、大日本インキ化学工業社製 EXA−1514等
(何れも商品名)のビフェニル型エポキシ化合物、東都
化成社製エポトートST−3000(商品名)等の水添
ビスフェノールA型エポキシ化合物、油化シェル社製
エピコートE157S(商品名)等のビスAノボラック
型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0024】さらに、上記反応性の速いエポキシ化合物
(グループC)の具体例としては、油化シェル社製 エ
ピコート604、東都化成社製 エポートYH−43
4、チバガイギー社製 アラルダイドMY720、住友
化学工業社製 スミーエポキシELM−120等(何れ
も商品名)のグリシジルアミン型エポキシ化合物や、油
化シェル社製 エピコートYL−931、チバガイギー
社製 アラルダイド163等(何れも商品名)のテトラ
フェニロールエタン型エポキシ化合物、或いはチバガイ
ギー社製 アラルダイドPT810、日産化学社製 T
EPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ化合
物、チバガイギー社製 アラルダイドCY350(商品
名)等のヒダントイン型エポキシ化合物、ダイセル化学
工業社製 セロキサイド2021、チバガイギー社製
アラルダイドCY175,CY179等(何れも商品
名)の脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
【0025】また、上記グループA,B,Cのエポキシ
化合物のアルカリ現像型レジストインク中の含有量は、
グループAのみが含有される場合においては、カルボン
酸付加アクリレート化合物の固形分100重量部に対し
て20〜220重量部とされることが好ましく、グルー
プA及びBが含有される場合においては、カルボン酸付
加アクリレート化合物の固形分100重量部に対してA
が20〜200重量部、Bが1〜80重量部とされるこ
とが好ましく、グループA及びCが含有される場合にお
いては、カルボン酸付加アクリレート化合物の固形分1
00重量部に対してAが20〜200重量部、Cが1〜
80重量部とされることが好ましく、グループA及び
B,Cが含有される場合においては、カルボン酸付加ア
クリレート化合物の固形分100重量部に対してAが2
0〜200重量部、Bが1〜70重量部、Cが1〜70
重量部とされることが好ましい。
【0026】さらに、上記グループAのエポキシ化合物
は、上記のような様々な組み合わせにおいて、エポキシ
化合物全体の総重量の30重量%以上を占める必要があ
り、50重量%以上とされることが好ましい。
【0027】上記グループAのエポキシ化合物の含有量
が、カルボン酸付加アクリレート化合物の固形分100
重量部に対して20重量部未満、或いはエポキシ化合物
全体の総重量の30重量%未満であると、一度目の加熱
処理の後の未硬化状態のエポキシ化合物の量が少なく、
粗面化を行っても、除去される表面上の未硬化状態のエ
ポキシ化合物が少なく、絶縁層表面を良好な粗化面とす
ることが難しく、メッキアンカーを形成することが困難
である。
【0028】また、上記グループAのエポキシ化合物の
含有量が、カルボン酸付加アクリレート化合物の固形分
100重量部に対して220重量部よりも多いと、アル
カリ現像が困難となり好ましくない。
【0029】なお、本発明に用いるアルカリ現像型レジ
ストインクには、公知慣用の光重合開始剤、光重合性モ
ノマーを含有させても良く、必要に応じて公知慣用のフ
ィラー、着色顔料、消泡レベリング剤、有機溶剤、エポ
キシ硬化剤も含有させても良い。
【0030】さらに、上記アルカリ現像型レジストイン
クにより絶縁層を形成する方法としては、スクリーン印
刷法やスプレー法、カーテンコート法等公知慣用の方法
を使用する事ができる。
【0031】また、本発明は、上記のような多層プリン
ト配線板の製造方法において、絶縁層形成から粗面化ま
での間の一度目の加熱処理の温度T1 が130℃≦T1
≦170℃の範囲とされていても良く、メッキを行った
後の二度目の加熱処理の温度T2 が一度目の加熱処理の
温度T1 よりも高いものとされていても良い。
【0032】なお、一度目の加熱処理条件は、温度T1
が130℃の時60〜120分、170℃の時5〜20
分程度が適当であり、好ましくは140℃〜160℃で
15〜60分である。
【0033】温度T1 が130℃未満ではアルカリ現像
型レジストインクの硬化が不十分となり、例えばスルー
ホールを形成しようとした場合に、ドリリング性(スミ
ア、キズ)または金型を用いたパンチング孔開時のキズ
等の問題が生じる。また、温度T1 が170℃よりも高
くなると、エポキシ化合物の硬化反応が短時間で進むた
め制御できず、未硬化状態のエポキシ化合物を残留さ
せ、絶縁層を半硬化状態とすることができない。なお、
プリント配線板に使用する基板の材料の種類にもよる
が、基板の収縮,反りを考慮すると温度T1 の上限は1
70℃近辺である。
【0034】さらに、本発明は、上記のような多層プリ
ント配線板の製造方法において、絶縁層表面の粗面化を
酸化剤,アルカリ,有機溶剤のうちの少なくとも1種類
以上を用いて行うものとしても良い。
【0035】上記酸化剤としては、過マンガン酸カリウ
ム、重クロム酸カリウム、濃硫酸等が挙げられ、上記ア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
が挙げられ、上記有機溶剤としては、N−メチル−2−
ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルオキシド(DMSO)等が挙げられる。
【0036】
【作用】本発明の多層プリント配線板の製造方法におい
ては、絶縁層をカルボン酸付加アクリレート化合物と反
応性の遅い、すなわち硬化の遅いエポキシ化合物よりな
る組成物により形成しており、これに一度目の加熱処理
を行って半硬化状態とした後に、上記絶縁層表面を粗面
化するため、表面上の未硬化状態のエポキシ化合物が除
去されることとなり、凹凸面が形成され、絶縁層表面は
良好な粗化面とされる。そして、この後、メッキを行い
第2の導体層を形成した場合には、絶縁層と導体層の密
着強度が向上される。さらに、メッキを行った後に、二
度目の加熱処理を行うと、残留していた未硬化エポキシ
化合物が完全に硬化され、絶縁層が完全に硬化されるた
め、絶縁層と導体層の密着強度が更に向上される。
【0037】また、本発明は、上記のような多層プリン
ト配線板の製造方法において、絶縁層を形成する組成物
をカルボン酸付加アクリレート化合物と反応性の遅いエ
ポキシ化合物の他、反応性の速いエポキシ化合物,中程
度な反応性のエポキシ化合物のうち少なくとも1種類以
上のエポキシ化合物を含有しているものとしても良く、
一度目の加熱処理にて絶縁層を半硬化状態とする場合
に、エポキシ化合物の反応性の差から、硬化の比較的進
んだ部分と硬化の進んでいない部分が短時間で作り出さ
れ、粗面化が短時間で達成される。
【0038】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、本実施
例の多層プリント配線板の製造方法により製造される多
層プリント配線板の構造について説明する。上記多層プ
リント配線板は、図1に示すように、積層基板1の上面
に第1の絶縁層2を介して所定の配線パターンを有する
第1の導体層4が形成され、積層基板1の下面に第2の
絶縁層3を介してやはり所定の配線パターンを有する第
6の導体層5が形成されるものである。
【0039】上記積層基板1は、3枚の基板6,7,8
が順次積層されて接合されたものである。そして、基板
6の基板7との接合面の反対側の主面6aには所定の配
線パターンを有する第2の導体層9が形成され、基板6
と基板7間には所定の配線パターンを有する第3の導体
層10が形成され、基板7と基板8間には所定の配線パ
ターンを有する第4の導体層11が形成され、基板8の
基板7との接合面の反対側の主面8aには所定の配線パ
ターンを有する第5の導体層12が形成されており、上
記積層基板1は、都合4層の導体層を有する積層基板と
されている。従って、上記多層プリント配線板は6層の
導体層を有する積層基板となる。
【0040】また、上記多層プリント配線板には、第1
の導体層4のコネクション部4a,第4の導体層11の
コネクション部11a,第6の導体層5のコネクション
部5aを電気的に接続するスルーホール13が設けられ
ている。上記スルーホール13は、第1の絶縁層2,積
層基板1,第2の絶縁層3を貫通し、第1の導体層4の
コネクション部4aから第6の導体層5のコネクション
部5aまで各コネクション部4a,11a,5aの中央
部を貫通するように設けられた孔部であり、孔部の周壁
に導電材料が配され、各コネクション部4a,11a,
5aを電気的に接続するものである。
【0041】さらに、上記多層プリント配線板には、第
1の導体層4のコネクション部4bと第2の導体層9の
コネクション部9b、第6の導体層5のコネクション部
5bと第5の導体層12のコネクション部12b、第6
の導体層5のコネクション部5cと第5の導体層12の
コネクション部12cを電気的に接続するブラインドバ
イアホール14,15,16が設けられている。これら
ブラインドバイアホール14,15,16も上記スルー
ホール13と略同様の構造で各コネクション部4b,9
b間、コネクション部5b,12b間、コネクション部
5c,12c間の電気的接続を図るものである。
【0042】次に、本実施例の多層プリント配線板の製
造方法について説明する。本実施例の多層プリント配線
板の製造方法は、基本的にはビルドアップ工法に従うも
のである。ただし、以下の説明においては、スルーホー
ル13、ブラインドバイアホール14,16の形成部分
に限定して説明する。
【0043】本実施例の多層プリント配線板の製造方法
においては、先ず、図2に示すように、積層基板21の
両面に銅箔を形成した後、所定の配線パターンを有する
第2,5の導体層22,23を形成する。このとき、上
記第2,5の導体層22,23は、それぞれコネクショ
ン部22b,23cを有するものとされている。ただ
し、上記積層基板21は、図示を省略する3枚の基板が
積層され、各基板間に所定の配線パターンを有する第
3,4の導体層が形成されるものである。
【0044】次に、図3に示すように、積層基板21の
第2,5の導体層22,23上にアルカリ現像型レジス
トインクをスクリーン印刷法やスプレー法,カーテンコ
ート法により塗布し、絶縁層24,25を形成する。上
記アルカリ現像型レジストインクは、前述のように、カ
ルボン酸付加アクリレート化合物と反応性の遅いエポキ
シ化合物よりなる組成物、或いは上記組成物に反応性の
速いエポキシ化合物,中程度な反応性のエポキシ化合物
のうち少なくとも1種類以上のエポキシ化合物が含有さ
れるものである。また、上記反応性の遅いエポキシ化合
物,中程度の反応性のエポキシ化合物,反応性の速いエ
ポキシ化合物の反応性について、その具体例についても
前述の通りである。
【0045】そして、図4に示すように、上記絶縁層2
4,25のコネクション部22b,23cに対応する位
置に、写真法によってブラインドバイアホールを形成す
るためのブラインド孔26,27をそれぞれ設ける。上
記のようなブラインド孔26,27の形成方法として
は、フォトツールを介して露光し、現像を行って所望の
孔を開ける写真法を挙げることができる。また、レーザ
ー光で孔を開けてもよく、サンドブラストで開けてもよ
い。
【0046】続いて、ポストキュアとよばれる一度目の
加熱処理を行い、このときの温度,時間条件を制御する
ことにより絶縁層24,25を半硬化状態とする。ここ
でいう半硬化状態とは、絶縁層24,25を後工程にお
いてドリリングできる程度の硬化状態から後工程の粗面
化によって十分な凹凸が得られる範囲の硬化状態を指
す。なお、この際の加熱温度,時間の条件は前述の通り
である。
【0047】本実施例においては、絶縁層24,25を
構成するアルカリ現像型レジストインクとして、上記の
ように少なくとも反応性の遅いエポキシ化合物を含有す
るものを使用していることから、一度目の加熱処理後、
絶縁層24,25の中に未硬化状態の反応性の遅いエポ
キシ化合物28,29が残るために、上記絶縁層24,
25は半硬化状態となる。さらに、アルカリ現像型レジ
ストインクに中程度な反応性のエポキシ化合物,反応性
の速いエポキシ化合物を含有する場合には、エポキシ化
合物の反応性の差から硬化の比較的進んだ部分と硬化の
進んでいない部分を短時間で作り出すことができ、半硬
化状態が短時間で得られる。
【0048】次に、図4中に示すように、絶縁層24,
積層基板21,絶縁層25を貫通するようなスルーホー
ルを形成するためのスルホール孔30を形成する。上記
スルーホール孔30は、通常はドリル(ドリル径0.2
〜0.4mm程度)で孔を開けて形成すればよいが、金
型を用いてパンチで開けてもよく、またレーザー光で孔
を開けてもよい。
【0049】そして、図5に示すように、絶縁層24,
25の表面24a,25aの粗面化を行う。本実施例に
おいては、粗面化剤を用いて絶縁層24,25の表面2
4a,25a近傍の未硬化状態のエポキシ化合物28,
29を溶かし出して粗面化を行う。上記粗面化剤として
は、前述のように、過マンガン酸カリウム、重クロム酸
カリウム、濃硫酸等の酸化剤、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルオキ
シド(DMSO)等の有機溶剤等が挙げられる。
【0050】ここでは、粗面化剤として酸化剤を使用す
る例を示す。粗面化を行うに際し、先ず、絶縁層24,
25をジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン
(NMP)、ピリジン等を用いて膨潤させる。次いで、
膨潤させた絶縁層24,25の表面24a,25aを過
マンガン酸カリウム,重クロム酸カリウム,濃硫酸等の
酸化剤により粗面化する。
【0051】本実施例においては、半硬化状態とされて
いる絶縁層24,25に粗面化を行い、絶縁層24,2
5の表面24a,25a近傍の未硬化状態のエポキシ化
合物28,29を溶かし出して除去することから、絶縁
層24,25の表面24a,25aが安定して図5中に
示すように凹凸面化され、良好に粗面化される。すなわ
ち、表面24a,25aには十分な深さを有するメッキ
アンカーが形成されることとなる。なお、上述のよう
に、絶縁層24,25を形成するアルカリ現像型レジス
トインクに中程度な反応性のエポキシ化合物,反応性の
速いエポキシ化合物を含有する場合においても、安定し
て良好な粗化面を形成することが可能である。
【0052】また、本実施例においては、未硬化状態の
反応性の遅いエポキシ化合物28,29を溶かし出すた
めに、比較的弱い酸化剤での処理が可能となり、基板へ
のダメージが比較的少なくなり、排水処理にも問題が生
じにくい。
【0053】次に、図6に示すように、絶縁層24,2
5の表面24a,25a上にメッキを行い、メッキ層3
1を形成する。上記メッキ層31は、ブラインド孔2
6,27及びスルホール孔30内の全面を覆うように形
成される。なお、上記メッキ層31は、常法に従って無
電解メッキを行って形成すればよいが、無電解メッキと
電解メッキとを併用して形成しても良い。
【0054】ところで、従来においては、絶縁層を構成
するアルカリ現像型ソルダーンジストインクとして反応
性の速いエポキシ化合物を含有するものを使用していた
ために、上記のように絶縁層を半硬化状態とすることが
困難であり、粗面化を行っても、安定して良好な粗化面
を形成することが難しく、この上にメッキにより導体層
を形成しても絶縁層と導体層の密着強度を確保すること
が難しかった。
【0055】しかしながら、本実施例においては、上記
のように絶縁層24,25の表面24a,25aが安定
して良好に粗面化されており、メッキアンカーが形成さ
れていることから、上記のようにメッキによりメッキ層
31を形成した場合、、絶縁層24,25とメッキ層3
1間の密着強度を向上させることが可能となる。
【0056】この後、絶縁層24,25を完全に硬化さ
せて該絶縁層24,25とメッキ層31間の密着を更に
強固なものとし、実用に耐え得るものとする。すなわ
ち、絶縁層24,25に残っている未硬化状態のエポキ
シ化合物28,29を二度目の加熱処理(アニール処
理)により完全に硬化させ、絶縁層24,25とメッキ
層31間の接着剤として機能させ、密着強度を向上させ
る。上記加熱処理の温度T 2 としては、140℃以上が
好ましく、一度目の加熱処理の温度T1 よりも高い温度
であることがより好ましい。
【0057】次に、常法に従って、絶縁層24の表面2
4a側及び絶縁層25の表面25a側のメッキ層31に
所定の配線パターンを形成し、図7に示すように第1の
導体層32及び第6の導体層33を形成する。上記第1
の導体層32は、スルーホール孔30上に設けられるコ
ネクション部32a、ブラインド孔26上に設けられる
コネクション部32bを有するものであり、第6の導体
層33は、スルーホール孔30上に設けられるコネクシ
ョン部33a、ブラインド孔27上に設けられるコネク
ション部33cを有するものである。
【0058】このとき、上述のように、スルーホール孔
30の内壁にもメッキ層31が形成されており、その結
果、第1の導体層32のコネクション部32a、第6の
導体層33のコネクション部33a間はスルーホール孔
30内のメッキ層31により電気的に接続されることと
なり、スルーホール34が形成される。なお、積層基板
21中の図示しない第4の導体層にもコネクション部が
設けられており、これとも電気的に接続されていること
は言うまでもない。
【0059】一方、ブラインド孔26においても、内壁
にメッキ層31が形成されており、その結果、第1の導
体層32のコネクション部32bと第2の導体層22の
コネクション部22b間はブラインド孔26内のメッキ
層31により電気的に接続されることとなり、ブライン
ドバイアホール35が形成される。また、ブラインド孔
27においても同様であり、第6の導体層33のコネク
ション部33cと第5の導体層23のコネクション部2
3cを電気的に接続するブラインドバイアホール36が
形成される。従って、図1に示されるような多層プリン
ト配線板が完成される。
【0060】なお、本実施例においては、積層基板上に
絶縁層,導体層を設ける例について述べたが、積層基板
の代わりに片面基板或いは両面基板を使用しても同様の
効果が得られることは言うまでもない。
【0061】本実施例の多層プリント配線板の製造方法
により多層プリント配線板を製造すれば、絶縁層を構成
するアルカリ現像型レジストインクを反応性の遅いエポ
キシ化合物を含有するものとしていることから、一度目
の加熱処理においては絶縁層は半硬化状態となり、該絶
縁層の粗面化を行った場合においては、絶縁層表面近傍
の未硬化状態のエポキシ化合物を溶かし出すこととなる
ため、安定して良好な粗化面が形成され、十分な深さを
有するメッキアンカーが形成される。従って、この上に
メッキ層を形成した場合においては、絶縁層とメッキ層
(導体層)の密着強度が向上される。さらに、メッキ後
の二度目の加熱処理により未硬化状態のエポキシ化合物
を硬化させることにより、絶縁層と導体層との密着強度
をより向上させることができ、パターン欠損や部品の剥
離が解消される。
【0062】また、本実施例の多層プリント配線板の製
造方法により多層プリント配線板を製造すれば、その製
造設備は既存のプリント配線板の製造設備で足り、特殊
な設備は不要である。さらには、本実施例においては、
絶縁層の粗面化の際に強い粗面化剤を必要とせず、比較
的弱い粗面化剤にて処理できることから、多層プリント
配線板を構成する基板へのダメージが少なくて済み、ま
た排水処理等の問題も生じにくい。
【0063】さらにまた、本実施例の多層プリント配線
板の製造方法によれば、ビルドアップ法により多層プリ
ント配線板を製造するので、従来の積層プレス法のよう
な、積層プレス工程を必要とせず、生産設備を縮小でき
る。そして、ドリルを使用することなくブラインドバイ
アホールを形成するためのブラインド孔を形成できるの
で、大幅に生産性を向上させることができ、製造コスト
を低下させることが可能となる。さらに、ブラインドバ
イアホールのメッキとスルーホールのメッキとを同時に
行うことができるので、これによっても製造コストを低
下させることができる。しかも、最外層の導体層(本実
施例においては第1,6の導体層)を構成するメッキ層
が1層となりその厚さを薄くできることから、ファイン
パターンの回路形成が可能となる。
【0064】次に、本実施例の効果を確認すべく、以下
のような実験を行った。実験例1 本実験例においては、本実施例の多層プリント配線板の
製造方法に従って多層プリント配線板を製造し、導体層
と絶縁層の密着強度及びパターン欠損の有無について調
査した。
【0065】先ず、絶縁層を形成するアルカリ現像型レ
ジストインクの製造を行った。そして、最初にアルカリ
現像型レジストインクに使用するカルボン酸付加アクリ
レート化合物(以下、化合物Aと略す)の合成を行っ
た。すなわち、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(商品名;エピクロンN−695 大日本インキ化学工
業社製)をカルビトールアセテートに溶解した後、当量
のアクリル酸を反応させて感光基の付与を行い、次にこ
の反応で生成した2級の水酸基に対して70モル%のヘ
キサヒドロ無水フタル酸を反応させてアルカリ可溶性の
感光性樹脂(化合物A)を製造した。なお、上記化合物
Aの固形分は70重量%であった。
【0066】次に、上記化合物Aを用いて以下に示すよ
うなアルカリ現像型レジストインクの実施サンプル1,
2,3,4と比較サンプル1,2,3を製造した。
【0067】<実施サンプル1の製造>化合物A50.
0部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商
品名KAYARAD DPHA;日本化薬社製)8.0
部、硫酸バリューム(商品名BARIFINE BF−
10;堺化学工業社製)15.0部、2−メチル−l−
〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリンプロ
パノン−1(2−Methyl−l−〔4−(meth
ylthio)phenyl〕−2−morholin
opropanone−1)(商品名Irgaoure
907;チバガイギー社製)4.0部、ジシアンジアミ
ド1.0部、フタロシアニングリーン0.5部、カルビ
トールアセテート11.5部、およびエポキシ化合物と
して前述のグループA(反応性の遅いエポキシ化合物)
のゴム変性エポキシ化合物(商品名エピクロンTSR−
601;大日本インキ化学工業社製)25.0部を配合
して予備混合後、3本ロールミルで練肉分散を行いアル
カリ現像型レジストインク組成物である実施サンプル1
を得た。すなわち、実施サンプル1には反応性の遅いエ
ポキシ化合物のみが含有される。
【0068】<実施サンプル2の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分をグループAのビスフェノ
ールA型エポキシ化合物(商品名エピコート1001;
油化シェル社製)10.0部とグループAのゴム変性エ
ポキシ化合物(商品名エピクロンTSR−601;大日
本インキ化学工業社製)15.0部に置き換えて配合し
た以外は、実施サンプル1に準じて製造を行い、実施サ
ンプル2を得た。すなわち、実施サンプル2には反応性
の遅いエポキシ化合物のみが含有される。
【0069】<実施サンプル3の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分を前述のグループC(反応
性の速いエポキシ化合物)の脂環式エポキシ化合物(商
品名セロキサイド2021;ダイセル化学工業社製)1
0.0部とグループAのゴム変性エポキシ化合物(商品
名エピクロンTSR−601;大日本インキ化学工業社
製)15.0部に置き換えて配合した以外は、実施サン
プル1に準じて製造を行い、実施サンプル3を得た。す
なわち、実施サンプル3には反応性の遅いエポキシ化合
物と反応性の速いエポキシ化合物が含有される。
【0070】<実施サンプル4の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分をグループCの複素環式エ
ポキシ化合物(商品名アラルダイドPT810;チバガ
イギー社製)5.0部、と前述のグループB(中程度の
反応性のエポキシ化合物)のビフェニル型エポキシ化合
物(商品名EXA−1514;大日本インキ化学工業社
製)5.0部、とグループAのビスフェノールA型エポ
キシ化合物(商品名エピコート1001;油化シェル社
製)15.0部に置き換えて配合した以外は、実施サン
プル1に準じて製造を行い、実施サンプル4を得た。す
なわち、実施サンプル4には反応性の遅いエポキシ化合
物と反応性の速いエポキシ化合物,中程度の反応性のエ
ポキシ化合物が含有される。
【0071】<比較サンプル1の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分をグループCの複素環式エ
ポキシ化合物(商品名TEPIC;日産化学社製)2
5.0部単独に置き換えた以外は、実施サンプル1に準
じて製造を行い、比較サンプル1を得た。すなわち、比
較サンプル1には反応性の速いエポキシ化合物のみが含
有される。
【0072】<比較サンプル2の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分をグループBのビスフェノ
ールA型エポキシ化合物(商品名エピコート828;油
化シェル社製)10.0部とグループBのノボラック型
エポキシ化合物(商品名エピクロンN−865;大日本
インキ化学工業社製)15.0部に置き換えて配合した
以外は、実施サンプル1に準じて比較サンプル1を得
た。すなわち、比較サンプル2には中程度の反応性のエ
ポキシ化合物のみが含有される。
【0073】<比較サンプル3の製造>実施サンプル1
のエポキシ化合物の配合部分をグループCの複素環式エ
ポキシ化合物(商品名アラルダイドPT810;チバガ
イギー社製)5.0部、とグループBのビスフェノール
A型エポキシ化合物(商品名エピコート828;油化シ
ェル社製)15.0部とグループAのビスフェノールA
型エポキシ化合物(商品名エピコート1001;油化シ
ェル社製)5.0部に置き換えて配合した以外は、実施
サンプル1に準じて製造を行い、比較サンプル3を得
た。すなわち、比較サンプル3には反応性の遅いエポキ
シ化合物と反応性の速いエポキシ化合物,中程度の反応
性のエポキシ化合物が含有される。
【0074】そして、上記実施サンプル1〜4及び比較
サンプル1〜3を用い、本実施例の多層プリント配線板
の製造方法に従って多層プリント配線板の製造を行っ
た。ただし、この場合、上述の積層基板の代わりに片面
基板を使用した。なお、上記片面基板としては、絶縁層
の厚さが0.6mm、銅箔の厚さが35μmの基板(東
芝ケミカル社製、TCL−551(商品名))を使用し
た。
【0075】先ず、片面基板の銅箔により第2の導体層
を形成した。すなわち、銅箔の表面をバフ及びスクラブ
により整面し、銅箔の全面にそれぞれドライフィルム
(旭化成工業社製、サンフォートAQ5044(商品
名))を貼り合わせ、次いでパターンフィルムを介して
露光機(オーク社製、HMW−551D(機種名))に
より露光し、3%炭酸ソーダで30℃で60秒間現像
し、塩化第2鉄溶液でエッチングし、3%苛性ソーダで
ドライフィルムを剥離して、配線ラインの幅100μ
m,配線ライン間の距離100μmの所定の配線パター
ンを有する第2の導体層を形成した。
【0076】次いで第2の導体層の表面をバフ及びスク
ラブにより整面し、第2の導体層上に絶縁層を形成し
た。すなわち、上述の実施サンプル1〜4及び比較サン
プル1〜3の各サンプルをテトロン80メッシュのスク
リーン版を用いて、スクリーン印刷法により第2の導体
層上に塗布した。なお、印刷機としては、ニューロング
社製 LS−50(機種名)を用いた。そして、上記絶
縁層を指触乾燥させるために、ボックスオーブン(タバ
イエスペック社製 PHH−200(機種名))にて、
70℃,20分の条件で処理した。
【0077】その後、絶縁層のブラインドバイアホール
形成位置に直径0.2mmのブラインド孔を形成するた
め、所定のパターンを有するフォトマスクフィルムを絶
縁層に密着させて露光した。なお、露光機としては、オ
ーク社製のHMW−551D(機種名)を使用し、露光
量は500mJ/cm2 とした。そして、2%炭酸ソー
ダ溶液により現像を行い、ブラインド孔を所定の位置に
形成した。
【0078】次に、絶縁層を半硬化状態にするために、
ボックスオーブンを用い、150℃,30分の条件で一
度目の加熱処理を行った。
【0079】そして、スルーホール孔をNCドリルマシ
ン(日立精工社製 H−MARK90J(機種名))に
直径0.35mmのドリルを装着して開孔し形成した。
【0080】次にコンディショナー(上村工業社製 エ
レクトロブライトMLBテスミアイニシエーターDI−
464(機種名))に浸漬し、過マンガン酸カリウムに
より絶縁層の表面を粗面化した。
【0081】続いて、絶縁層上に無電解銅メッキ後、電
解メッキを行い、パネルメッキを施し、ブラインド孔と
スルーホール孔内、絶縁層表面の全面にわたってメッキ
層を形成した。
【0082】そして、ボックスオーブンを用いて二度目
の加熱処理を行い、絶縁層の硬化を完全なものとし、絶
縁層と導体層の密着強度をさらに向上させた。なお、加
熱処理条件は170℃,20分間とした。
【0083】最後に、メッキ層に所定の配線パターンを
形成し、第1の導体層とし、片側2層の多層プリント配
線板を完成した。なお、実施サンプル1〜4のアルカリ
現像型レジストインクを使用して製造した多層プリント
配線板をそれぞれ実施例1〜4とし、比較サンプル1〜
3のアルカリ現像型レジストインクを使用して製造した
多層プリント配線板をそれぞれ比較例1〜3とした。
【0084】このようにして得られた多層プリント配線
板の絶縁層と第1の導体層との密着強度(ピール強度)
をJIS C−6481の方法に従って測定した。ま
た、パターン欠損の有無をJIS C−5010の方法
で確認した。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】表1の結果を見てわかるように、絶縁層を
形成するアルカリ現像型レジストインクに含有される各
グループのエポキシ化合物の組み合わせ,含有量が前述
した通りであり、かつグループAのエポキシ化合物の含
有量が、エポキシ化合物全体の総重量の30重量%以上
とされている実施例1〜4においては、良好なピール強
度(密着強度)を得ることができ、パターン欠損も生じ
ていなかった。
【0087】一方、絶縁層を形成するアルカリ現像型レ
ジストインクに含有される各グループのエポキシ化合物
の組み合わせ,含有量が前述したもの以外である比較例
1,2及びグループAのエポキシ化合物の含有量が、エ
ポキシ化合物全体の総重量の30重量%未満とされてい
る比較例3においては、ピール強度は低く、パターン欠
損も生じていた。ただし、比較例1においては、絶縁層
と第1の導体層の密着強度が弱いために、二度目の加熱
処理にてこれらの間に隙間が生じてしまい、測定が不可
能であった。
【0088】実験例2 次に、本実施例の多層プリント配線板の製造方法におけ
る一度目の加熱処理条件の影響を考慮して、一度目の加
熱温度,時間を変更して多層プリント配線板を製造し、
これらの密着強度及びパターン欠損の有無について調査
した。すなわち、上記のような実施サンプル2,4と比
較サンプル1,3を用い、一度目の加熱処理の温度と時
間を130℃,30分、130℃,120分、170
℃,20分、170℃,30分に変更して多層プリント
配線板を製造し、実験例1と同様にこれらのピール強度
及びパターン欠損の有無を調査した。なお、本実験例に
おいては、実施サンプル2を用い、一度目の加熱処理条
件を130℃,30分としたものを実施例5、130
℃,120分としたものを実施例6、170℃,20分
としたものを実施例7、170℃,30分としたものを
実施例8とし、実施サンプル4を用いたものも同様に実
施例9〜12とし、比較サンプル1を用いたものも同様
に比較例4〜7とし、比較サンプル3を用いたものも同
様に比較例8〜11とした。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】表2の結果を見てわかるように、一度目の
加熱処理条件を変更しても実施サンプル2,4を使用し
た実施例5〜12においては、良好なピール強度が得ら
れ、パターン欠損も生じていなかった。
【0091】一方、一度目の加熱処理条件を変更しても
比較サンプル1,3を使用した比較例4〜11において
は、ピール強度は低く、パターン欠損も生じていた。こ
の場合においてもやはり測定不可能な場合が生じた。
【0092】実験例3 次に、本実施例の多層プリント配線板の製造方法におけ
る二度目の加熱処理条件の影響を考慮して、二度目の加
熱温度,時間を変更して多層プリント配線板を製造し、
これらの密着強度及びパターン欠損の有無について調査
した。すなわち、上記のような実施サンプル2,4と比
較サンプル1,3を用い、二度目の加熱処理の温度と時
間を130℃,30分、150℃,30分、150℃,
60分、170℃,40分に変更して多層プリント配線
板を製造し、実験例1と同様にこれらのピール強度及び
パターン欠損の有無を調査した。なお、本実験例におい
ては、実施サンプル2を用い、二度目の加熱処理条件を
130℃,30分としたものを実施例13、150℃,
30分としたものを実施例14、150℃,60分とし
たものを実施例15、170℃,40分としたものを実
施例16とし、実施サンプル4を用いたものも同様に実
施例17〜20とし、比較サンプル1を用いたものも同
様に比較例12〜15とし、比較サンプル3を用いたも
のも同様に比較例16〜19とした。結果を表3に示
す。
【0093】
【表3】
【0094】表3の結果を見てわかるように、二度目の
加熱処理条件を変更しても実施サンプル2,4を使用し
た実施例13〜20においては、良好なピール強度が得
られ、パターン欠損も生じていなかった。また、二度目
の加熱処理温度が一度目の加熱処理温度150℃よりも
高い場合には、より高いピール強度を示した。
【0095】一方、二度目の加熱処理条件を変更しても
比較サンプル1,3を使用した比較例12〜19におい
ては、ピール強度は低く、パターン欠損も生じていた。
この場合においてもやはり測定不可能な場合が生じた。
【0096】従って、実験例1〜3の結果により、本実
施例の多層プリント配線板の製造方法に従って多層プリ
ント配線板を製造すれば、密着強度が良好で、パターン
欠損等の生じない多層プリント配線板を製造できること
が確認された。
【0097】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明は、第1の導体層上に絶縁層を形成し、上記絶縁層表
面を粗面化した後、メッキを行い第2の導体層を形成す
る多層プリント配線板の製造方法において、絶縁層をカ
ルボン酸付加アクリレート化合物と反応性の遅い、すな
わち硬化の遅いエポキシ化合物よりなる組成物により形
成しており、これに一度目の加熱処理を行って半硬化状
態とした後に、上記絶縁層表面を粗面化するため、表面
上の半硬化状態のエポキシ化合物が除去されることとな
り、凹凸面が形成され、絶縁層表面は良好な粗化面とさ
れる。そしてこの後、メッキを行い第2の導体層を形成
した場合には、絶縁層と導体層の密着強度が向上され
る。さらに、メッキを行った後に、二度目の加熱処理を
行うと、残留していた未硬化エポキシ化合物が完全に硬
化され、絶縁層と導体層の密着強度が更に向上され、パ
ターン欠損や部品の剥離が解消される。
【0098】また、本発明は、上記のような多層プリン
ト配線板の製造方法において、絶縁層を形成する組成物
を反応性の速いエポキシ化合物,中程度な反応性のエポ
キシ化合物のうち少なくとも1種類以上のエポキシ化合
物を含有しているものとしても良く、一度目の加熱処理
にてエポキシ化合物を半硬化状態とする場合に、エポキ
シ化合物の反応性の違いにより、硬化の比較的進んだ部
分と硬化の進んでいない部分が短時間で作り出され、粗
面化が短時間で達成される。
【0099】さらに、本発明の多層プリント配線板の製
造方法は、ビルドアップ法によるものであるので、従来
の積層プレス法のような、積層プレス工程を必要とせ
ず、生産設備を縮小できる。また、ドリルを使用するこ
となくブラインドバイアホールを形成するためのブライ
ンド孔を形成できるので、大幅に生産性を向上させるこ
とができ、製造コストを低下させることが可能となる。
さらに、ブラインドバイアホールのメッキとスルーホー
ルのメッキとを同時に行うことができるので、これによ
っても製造コストを低下させることができる。しかも、
最外層の導体層を構成するメッキ層が1層となりその厚
さを薄くできることから、ファインパターンの回路形成
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方
法の実施例により製造される多層プリント配線板の要部
の断面を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した多層プリント配線板の製造方
法の実施例を工程順に示すものであり、積層基板に第
2,5の導体層を形成する工程を模式的に示す要部拡大
断面図である。
【図3】第2,5の導体層上に絶縁層を形成する工程を
模式的に示す要部拡大断面図である。
【図4】絶縁層にブラインド孔,スルーホール孔を設け
る工程を模式的に示す要部拡大断面図である。
【図5】絶縁層の表面を粗面化する工程を模式的に示す
要部拡大断面図である。
【図6】絶縁層上にメッキ層を形成する工程を模式的に
示す要部拡大断面図である。
【図7】第1,6の導体層、スルーホール,ブラインド
バイアホールを形成する工程を模式的に示す要部拡大断
面図である。
【符号の説明】
21・・・積層基板 22・・・第2の導体層 22b,23c,32a,32b,33a,33c・・
・コネクション部 23・・・第5の導体層 24,25・・・絶縁層 24a,25a・・・表面 26,27・・・ブラインド孔 28,29・・・エポキシ化合物 30・・・スルーホール孔 31・・・メッキ層 32・・・第1の導体層 33・・・第6の導体層 34・・・スルーホール 35・・・ブラインドバイアホール 36・・・ブラインドバイアホール
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】 すなわち、本発明は、第1の導体層上に
絶縁層を形成し、上記絶縁層表面を粗面化した後、メッ
キを行い第2の導体層を形成する多層プリント配線板の
製造方法において、上記絶縁層をカルボン酸付加アクリ
レート化合物と反応性の遅いエポキシ化合物よりなる組
成物により形成し、該絶縁層形成から粗面化までの間に
一度目の加熱処理を行い、かつメッキを行った後に二度
目の加熱処理を行うことを特徴とするものである。ここ
で言う第1の導体層とは、図1に示すような多層プリン
ト配線板において形成される導体層を上側から1層目,
2層目,3層目と順次数えた場合に、2層目の導体層と
5層目の導体層を指す。一方、第2の導体暦は1層目の
導体層と6層目の導体層を指す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【実施例】 以下、本発明を適用した具体的な実施例に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、本実
施例の多層プリント配線板の製造方法により製造される
多層プリント配線板の構造について説明する。上記多層
プリント配線板は、図1に示すように、積層基板1の上
面に第1の絶縁層2を介して所定の配線パターンを有す
1層めの導体層4(第2の導体層)が形成され、積層
基板1の下面に第2の絶縁層3を介してやはり所定の配
線パターンを有する6層めの導体層5(第2の導体層)
が形成されるものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】 上記積層基板1は、3枚の基板6,7,
8が順次積層されて接合されたものである。そして、基
板6の基板7との接合面の反対側の主面6aには所定の
配線パターンを有する2層目の導体層9(第1の導体
層)が形成され、基板6と基板7間には所定の配線パタ
ーンを有する3層目の導体層10が形成され、基板7と
基板8間には所定の配線パターンを有する4層目の導体
層11が形成され、基板8の基板7との接合面の反対側
の主面8aには所定の配線パターンを有する5層目の導
体層12(第1の導体層)が形成されており、上記積層
基板1は、都合4層の導体層を有する積層基板とされて
いる。従って、上記多層プリント配線板は6層の導体層
を有する積層基板となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】 また、上記多層プリント配線板には、
層目の導体層4のコネクション部4a,4層目の導体層
11のコネクション部11a,6層目の導体層5のコネ
クション部5aを電気的に接続するスルーホール13が
設けられている。上記スルーホール13は、第1の絶縁
層2,積層基板1,第2の絶縁層3を貫通し、1層目の
導体層4のコネクション部4aから6層目の導体層5
コネクション部5aまで各コネクション部4a,11
a,5aの中央部を貫通するように設けられた孔部であ
り、孔部の周壁に導電材料が配され、各コネクション部
4a,11a,5aを電気的に接続するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】 さらに、上記多層プリント配線板には、
1層目の導体層4のコネクション部4bと2層目の導体
層9のコネクション部9b、6層目の導体層5のコネク
ション部5bと5層目の導体層12のコネクション部1
2b、6層目の導体層5のコネクション部5cと5層目
の導体層12のコネクション部12cを電気的に接続す
るブラインドバイアホール14,15,16が設けられ
ている。これらブラインドバイアホール14,15,1
6も上記スルーホール13と略同様の構造で各コネクシ
ョン部4b,9b間、コネクション部5b,12b間、
コネクション部5c,12c間の電気的接続を図るもの
である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】 本実施例の多層プリント配線板の製造方
法においては、先ず、図2に示すように、積層基板21
の両面に銅箔を形成した後、所定の配線パターンを有す
2層目,5層目の導体層22,23(第1の導体層)
を形成する。このとき、上記2層目,5層目の導体層2
2,23は、それぞれコネクション部22b,23cを
有するものとされている。ただし、上記積層基板21
は、図示を省略する3枚の基板が積層され、各基板間に
所定の配線パターンを有する3層目,4層目の導体層
形成されるものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】 次に、図3に示すように、積層基板21
2層目,5層目の導体層22,23(第1の導体層)
上にアルカリ現像型レジストインクをスクリーン印刷法
やスプレー法,カーテンコート法により塗布し、絶縁層
24,25を形成する。上記アルカリ現像型レジストイ
ンクは、前述のように、カルボン酸付加アクリレート化
合物と反応性の遅いエポキシ化合物よりなる組成物、或
いは上記組成物に反応性の速いエポキシ化合物,中程度
な反応性のエポキシ化合物のうち少なくとも1種類以上
のエポキシ化合物が含有されるものである。また、上記
反応性の遅いエポキシ化合物,中程度の反応性のエポキ
シ化合物,反応性の速いエポキシ化合物の反応性につい
て、その具体例についても前述の通りである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】 次に、常法に従って、絶縁層24の表面
24a側及び絶縁層25の表面25a側のメッキ層31
に所定の配線パターンを形成し、図7に示すように1層
目の導体層32(第2の導体層)及び6層目の導体層3
3(第2の導体層)を形成する。上記1層目の導体層3
は、スルーホール孔30上に設けられるコネクション
部32a、ブラインド孔26上に設けられるコネクショ
ン部32bを有するものであり、6層目の導体層33
は、スルーホール孔30上に設けられるコネクション部
33a、ブラインド孔27上に設けられるコネクション
部33cを有するものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】 このとき、上述のように、スルーホール
孔30の内壁にもメッキ層31が形成されており、その
結果、1層目の導体層32のコネクション部32a、
層目の導体層33のコネクション部33a間はスルーホ
ール孔30内のメッキ層31により電気的に接続される
こととなり、スルーホール34が形成される。なお、積
層基板21中の図示しない4層目の導体層にもコネクシ
ョン部が設けられており、これとも電気的に接続されて
いることは言うまでもない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】 一方、ブラインド孔26においても、内
壁にメッキ層31が形成されており、その結果、1層目
の導体層32のコネクション部32bと2層目の導体層
22のコネクション部22b間はブラインド孔26内の
メッキ層31により電気的に接続されることとなり、ウ
ラインドバイアホール35が形成される。また、ブライ
ンド孔27においても同様であり、6層目の導体層33
のコネクション部33cと5層目の導体層23のコネク
ション部23cを電気的に接続するブラインドバイアホ
ール36が形成される。従って、図1に示されるような
多層プリント配線板が完成される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】 さらにまた、本実施例の多層プリント配
線板の製造方法によれば、ビルドアップ法により多層プ
リント配線板を製造するので、従来の積層プレス法のよ
うな、積層プレス工程を必要とせず、生産設備を縮小で
きる。そして、ドリルを使用することなくブラインドバ
イアホールを形成するためのブラインド孔を形成できる
ので、大幅に生産性を向上させることができ、製造コス
トを低下させることが可能となる。さらに、ブラインド
バイアホールのメッキとスルーホールのメッキとを同時
に行うことができるので、これによっても製造コストを
低下させることができる。しかも、最外層の導体層(本
実施例においては1層目,6層目の導体層)を構成する
メッキ層が1層となりその厚さを薄くできることから、
ファインパターンの回路形成が可能となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】 先ず、絶縁層を形成するアルカリ現像型
レジストインクの製造を行った。そして、最初にアルカ
リ現像型レジストインクに使用するカルボン酸付加アク
リレート化合物(以下、化合物Aと称する。)の合成を
行った。すなわち、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂(商品名;エピクロンN−695大日本インキ化学工
業社製)をカルビトールアセテートに溶解した後、当量
のアクリル酸を反応させて感光基の付与を行い、次にこ
の反応で生成した2級の水酸基に対して70モル%のヘ
キサヒドロ無水フタル酸を反応させてアルカリ可溶性の
感光性樹脂であるカルボン酸付加アクリレート化合物
(化合物A)を製造した。なお、上記化合物Aの固形分
は70重量%であった。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】 そして、上記実施サンプル1〜4及び比
較サンプル1〜3を用い、本実施例の多層プリント配線
板の製造方法に従って多層プリント配線板の製造を行っ
た。ただし、この場合、上述の積層基板の代わりに片面
基板を使用し、片側2層の多層プリント配線板を製造す
ることとした。なお、上記片面基板としては、絶縁層の
厚さが0.6mm、銅箔の厚さが35μmの基板(東芝
ケミカル社製、TCL−551(商品名))を使用し
た。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】 先ず、片面基板の銅箔により2層目の導
体層(第1の導体層)を形成した。すなわち、銅箔の表
面をバフ及びスクラブにより整面し、銅箔の全面にそれ
ぞれドライフィルム(旭化成工業社製、サンフォートA
Q5044(商品名))を貼り合わせ、次いでパターン
フィルムを介して露光機(オーク社製、HMW−551
D(機種名))により露光し、3%炭酸ソーダで30℃
で60秒間現像し、塩化第2鉄溶液でエッチングし、3
%苛性ソーダでドライフィルムを剥離して、配線ライン
の幅100μm,配線ライン間の距離100μmの所定
の配線パターンを有する2層目の導体層(第1の導体
層)を形成した。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】 次いで2層目の導体層の表面をバフ及び
スクラブにより整面し、2層目の導体層上に絶縁層を形
成した。すなわち、上述の実施サンプル1〜4及び比較
サンプル1〜3の各サンプルをテトロン80メッシュの
スクリーン版を用いて、スクリーン印刷法により2層目
の導体層上に塗布した。なお、印刷機としては、ニュー
ロング社製 LS−50(機種名)を用いた。そして、
上記絶縁層を指触乾燥させるために、ボックスオーブン
(タバイエスペック社製 PHH−200(機種名))
にて、70℃,20分の条件で処理した。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正内容】
【0083】 最後に、メッキ層に所定の配線パターン
を形成し、1層目の導体層(第2の導体層)とし、片側
2層の多層プリント配線板を完成した。なお、実施サン
プル1〜4のアルカリ現像型レジストインクを使用して
製造した多層プリント配線板をそれぞれ実施例1〜4と
し、比較サンプル1〜3のアルカリ現像型レジストイン
クを使用して製造した多層プリント配線板をそれぞれ比
較例1〜3とした。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】 このようにして得られた多層プリント配
線板の絶縁層と1層目の導体層(第2の導体層)との密
着強度(ピール強度)をJIS C−6481の方法に
従って測定した。また、パターン欠損の有無をJIS
C−5010の方法で確認した。結果を表1に示す。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】 一方、絶縁層を形成するアルカリ現像型
レジストインクに含有される各グループのエポキシ化合
物の組み合わせ,含有量が前述したもの以外である比較
例1,2及びグループAのエポキシ化合物の含有量が、
エポキシ化合物全体の総重量の30重量%未満とされて
いる比較例3においては、ビール強度は低く、パターン
欠損も生じていた。ただし、比較例1においては、絶縁
層と1層目の導体層(第2の導体層)の密着強度が弱い
ために、二度目の加熱処理にてこれらの間に隙間が生じ
てしまい、測定が不可能であった。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】 本発明を適用した多層プリント配線板の製造
方法の実施例を工程順に示すものであり、積層基板に
層目,5層目の導体層を形成する工程を模式的に示す要
部拡大断面図である。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】 2層目,5層目の導体層上に絶縁層を形成す
る工程を模式的に示す要部拡大断面図である。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】 1層目,6層目の導体層、スルーホール,ブ
ラインドバイアホールを形成する工程を模式的に示す要
部拡大断面図である。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 21・・・積層基板 22・・・2層目の導体層 22b,23c,32a,32b,33a,33c・・
・コネクション部 23・・・5層目の導体層 24,25・・・絶縁層 24a,25a・・・表面 26,27・・・ブラインド孔 28,29・・・エポキシ化合物 30・・・スルーホール孔 31・・・メッキ層 32・・・1層目の導体層 33・・・6層目の導体層 34・・・スルーホール 35・・・ブラインドバイアホール 36・・・ブラインドバイアホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 素直 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 米田 豊 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 柿沼 正久 埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388 太陽イ ンキ製造株式会社嵐山事業所内 (72)発明者 竹原 栄治 埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388 太陽イ ンキ製造株式会社嵐山事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導体層上に絶縁層を形成し、上記
    絶縁層表面を粗面化した後、メッキを行い第2の導体層
    を形成する多層プリント配線板の製造方法において、 上記絶縁層をカルボン酸付加アクリレート化合物と反応
    性の遅いエポキシ化合物よりなる組成物により形成し、
    該絶縁層形成から粗面化までの間に一度目の加熱処理を
    行い、かつメッキを行った後に二度目の加熱処理を行う
    ことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  2. 【請求項2】 絶縁層を形成する組成物に反応性の速い
    エポキシ化合物,中程度な反応性のエポキシ化合物のう
    ち少なくとも1種類以上のエポキシ化合物が含有されて
    いることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 絶縁層形成から粗面化までの間の一度目
    の加熱処理の温度T1が130℃≦T1 ≦170℃の範
    囲とされていることを特徴とする請求項1または2記載
    の多層プリント配線板の製造方法。
  4. 【請求項4】 メッキを行った後の二度目の加熱処理の
    温度T2 が一度目の加熱処理の温度T1 よりも高いこと
    を特徴とする請求項3記載の多層プリント配線板の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 絶縁層表面の粗面化が酸化剤,アルカ
    リ,有機溶剤のうちの少なくとも1種類以上を用いて行
    われることを特徴とする請求項1,2または3記載の多
    層プリント配線板の製造方法。
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