JPH0715139A - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents

多層配線基板の製造方法

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JPH0715139A
JPH0715139A JP14884693A JP14884693A JPH0715139A JP H0715139 A JPH0715139 A JP H0715139A JP 14884693 A JP14884693 A JP 14884693A JP 14884693 A JP14884693 A JP 14884693A JP H0715139 A JPH0715139 A JP H0715139A
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Isamu Tanaka
勇 田中
Hitoshi Oka
齊 岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】層間絶縁樹脂層と配線層との接着強度を高め、
信頼性の高い多層配線基板の製造方法を実現する。 【構成】第一の回路パターン101を形成した積層板1
00に、光硬化性と熱硬化性とを兼ね備えた絶縁樹脂層
102を成膜し、ビアホール103を露光、現像により
形成する。さらにビアホール部回路表面を耐粗化液性を
有する導電性保護104で被覆し、絶縁樹脂層102の
表面を粗化液で処理する。得られた粗化面102´(導
電性保護104上を含む)上に下地導電膜105を形成
した後、もしくは形成する前に、加熱により樹脂層を完
全硬化する。さらに下地導電膜105上に電気銅めっき
106し、これを配線パターンの形成されたマスクを用
いて露光、現像し、第二の回路パターン105´、10
6´を形成する。この後、絶縁樹脂層102の成膜工程
から第二の回路パターン105´、106´形成工程ま
でを繰返し、多層化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、層間絶縁膜を有する多
層配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の高機能化及び半導体デバイス
の高集積化に伴い、プリント基板も高密度化が求められ
ており、現在では層間絶縁膜を有する多層配線基板がそ
の主流となっている。多層プリント配線板の製造方法と
しては、大きく分けて、積層接着法とビルドアップ法の
2つの方法が知られている。
【0003】積層接着法としては、例えば、特開昭62
−205690号公報にみられるように、片面あるいは
両面に所定の導電パターンを形成した複数の絶縁基板
を、上記導電パターンの保護、層間絶縁、及び層間接着
の役目を果たすプリプレグを介して積層し、プレスによ
り成形して多層のプリント配線基板とし、上記各層の導
電パターン間において接続導通する必要のある個所には
スルーホールを設け、このスルーホール内をめっきする
ことにより各層間の導通をとる方法が一般的である。ま
た、スルーホールはドリルにより穴明けするため、その
口径は200ミクロン程度が限界である。
【0004】一方、民生用各種電子機器等の小型化や薄
型化に伴い、所定の電気回路を構成する配線基板を収納
するスペースは非常に限られたものとなってきており、
この限られたスペース内に所望通りの電気回路を構成す
る配線基板を収納するためには、多層プリント配線板も
ビルドアップ法による薄板化と高密度化が必要になって
きた。
【0005】従来のビルドアップ法としては、例えば、
特開昭57−72398号公報にみられるように、スル
ーホールめっきされた銅張り積層板をエッチングにより
一層目の回路を形成し、ランド部を残して層間絶縁膜と
なる絶縁樹脂によりマスキングを行い、その上に導電性
ペーストインクを印刷して回路を形成した後、導電性ペ
ーストインク上及びスルーホール部に化学銅めっき皮膜
を形成して二層目の配線回路を形成する。この二層目の
配線回路の形成工程を複数回繰り返すことで多層化する
方法等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の積層接
着法は、プリプレグを介して積層し、プレスにより成形
して製造するため、装置及び材料費等が嵩みコストが高
くなり、且つ、各層の位置合わせが難しく多層化が困難
である。また、各層の導電パターン間において接続導通
する必要のある個所には貫通スルーホールをドリルで穿
設し、このスルーホール内にスルーホールめっきを施し
て導通をとるため、スルーホールが回路配線の高密度化
を妨げるという欠点があった。
【0007】一方、ビルドアップ法では、確かにコスト
は低くなるが、この方法では導電性ペーストを印刷によ
り塗布するため、微細配線の形成が困難であると共に、
導電性ペーストとめっき皮膜との接着が困難である。基
材あるいは層間絶縁膜とめっき皮膜との接着性に関して
は、その向上方法が例えば特公昭55−48715号公
報等にもみられるが、この方法では、接着剤中のゴム変
性物を酸化力の強いクロム硫酸等によってエッチングし
粗面を形成するので、接着力に対しては効果があるが、
配線回路及び層間接続部であるスルーホールめっき膜
(いずれも銅)が容易に溶解し、導通不良の原因とな
る。また、接着剤中にゴム変性物を混合するため、耐熱
性に難点がある。
【0008】さらに、特開平4−148590号公報に
みられるようなビルドアップ法では、微細配線の形成は
達成されるが、層間絶縁膜形成工程における樹脂の硬化
が光硬化のみで行われるため、層間絶縁膜と配線層を形
成するめっき皮膜間の接着力が弱く、剥離等の問題があ
り信頼性が低い。
【0009】したがって、本発明の目的は上記従来技術
のビルドアップ法における問題点を解消することにあ
り、特に層間絶縁膜の表層部をエッチングにより粗面化
して層間絶縁膜とそれを介して積層される配線パターン
との接着力を向上させる際の問題点を解消し、信頼性の
高い高密度多層配線板の製造に好適な改良された多層配
線基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、第
一の配線層を有する配線基板上に、光硬化性と熱硬化
性とを兼ね備えた絶縁樹脂層を形成する工程と、所定
のマスクを介して前記絶縁樹脂層を露光、現像すること
によりビアホールを形成し、前記第一の配線層の層間接
続領域を露出せしめる工程と、前記ビアホール内の配
線層露出部表面に耐粗化液性を有する導電性保護膜を形
成する工程と、前記絶縁樹脂層の表面を酸化力の大き
な酸性粗化液でエッチングし粗化面を形成する工程と、
前記ビアホール内の導電性保護膜表面を含む絶縁樹脂
層の粗化面上に下地導電膜を形成する工程と、前記粗
化面が形成された絶縁樹脂層を熱硬化処理により完全硬
化する工程と、前記下地導電膜上にめっき膜を形成す
る工程と、前記下地導電膜及びめっき膜を所定の回路
パターンの形成されたレジストマスクを介してエッチン
グし、第二の配線層となる回路パターンを形成する工程
とを有すると共に、前記の絶縁樹脂層を形成する工程
からの第二の配線層となる回路パターンを形成する工
程までの各工程を多層配線の積層数に見合った回数分だ
け繰り返す工程を有して成る多層配線基板の製造方法に
より、達成される。
【0011】そして、好ましくは上記のビアホール内
の配線層露出部表面に耐粗化液性を有する導電性保護膜
を形成する工程を、前記配線層露出部表面にめっき触媒
を形成し、前記導電性保護膜を無電解めっきで形成する
工程とすると共に、上記のビアホール内の導電性保護
膜表面を含む絶縁樹脂層の粗化面上に下地導電膜を形成
する工程を、少なくとも前記絶縁樹脂層の粗化面上にめ
っき触媒を形成し、前記下地導電膜を無電解めっきで形
成する工程とすることである。
【0012】上記第一の配線層を有する配線基板として
は、例えば、銅張り積層板の少なくとも一方の面に予め
通常の方法で配線パターンが形成された積層基板で構成
したもの、さらには次に示すように絶縁基板上に上記第
二の配線層の形成方法と同一原理で第一の配線層を積み
上げて配線基板としたものが挙げられる。
【0013】すなわち、絶縁基板上に光硬化性と熱硬
化性とを兼ね備えた絶縁樹脂層を形成する工程と、前
記絶縁樹脂層を露光して半硬化状態とする工程と、前
記半硬化状態の絶縁樹脂層表面を酸化力の大きな酸性粗
化液でエッチングし粗化面を形成する工程と、前記絶
縁樹脂層の粗化面上に下地導電膜を形成する工程と、
前記粗化面が形成された絶縁樹脂層を熱硬化処理により
完全硬化する工程と、前記下地導電膜上にめっき膜を
形成する工程と、前記下地導電膜及びめっき膜を所定
の回路パターンの形成されたレジストマスクを介してエ
ッチングし、第一の配線層となる回路パターンを形成す
る工程とで形成して成る配線基板であり、この場合は第
一の配線層から積み上げて行くもので完全ビルドアップ
法ともいえる。
【0014】このような本発明において配線基板のベー
スとなる基板としては、例えば、ガラス布基材にエポキ
シ樹脂を含浸した通称「ガラスエポキシ基板」と称され
る有機基板、あるいは良熱伝導性の金属板(ヒートシン
クとする)上に絶縁層を形成した基板、更にこれらの絶
縁基板上には回路形成膜となる銅箔を張り合わせた通称
「銅張り積層板」と称されるもの等を含むものである。
【0015】
【作用】以下、図1に示した本発明の一製造工程例を代
表して具体的に説明する。図1(a)に示すように、両
面銅張り積層板100に予め周知のエッチング方法で回
路パターン101を形成し、第一の配線層とする。
【0016】図1(b)に示すように、両面に光硬化性
と熱硬化性とを兼ね備えた絶縁樹脂層(以下、単に絶縁
樹脂層と称す)102を成膜する。なお、この図では説
明の都合上、片面に成膜した場合を示している。
【0017】図1(c)に示すように、絶縁樹脂層10
2をレジストマスクを介して露光、現像し、ビアホール
103を形成する。なお、ビアホール103の形状を、
図示の如く正テーパ形状とすることが望ましく、そのた
めには樹脂の組成にもよるが露光処理を2段階で行うの
が好ましい。最初はパターン形成に最適な露光量(通
常、光硬化成分を完全に反応させずに未硬化成分を少し
残存させる)でパターン形成を行い、残りの光硬化成分
をその後の露光処理で完全に反応させる。
【0018】図1(d)に示すように、ビアホール10
3部の露出した回路パターン表面をめっき触媒により活
性化し、露出した回路パターン101の表面に耐粗化液
性を有する導電性保護膜104を形成する。
【0019】図1(e)に示すように、この基板を酸化
力の大きな酸性粗化液、例えば特定範囲組成のクロム硫
酸処理液に浸漬して絶縁樹脂層102の表面をエッチン
グ作用により粗化面102´を形成し、アルカリ水溶液
により中和処理を行ない表面劣化層残渣を取り除く。こ
の粗化処理は、絶縁樹脂層102の光硬化成分が、上記
露光により光硬化し樹脂全体として半硬化状態となった
時に行うことが重要であり、熱硬化成分は反応させずに
残しておく。
【0020】図1(f)に示すように、熱硬化により絶
縁樹脂層102を完全硬化する工程を含み、導電性保護
膜104の表面を含む絶縁樹脂層の粗化面102´上に
接着強度に優れた下地導電膜105を形成する。この熱
硬化による絶縁樹脂層102の完全硬化は、絶縁樹脂層
中の熱硬化成分を加熱により完全に硬化するためのもの
であり、熱硬化処理のタイミングは、粗化処理後であれ
ば下地導電膜105の形成工程前後のいずれでもよい
が、好ましくは下地導電膜105を形成した後が接着力
をより強化する上から望ましい。
【0021】図1(g)に示すように、下地導電膜10
5上にめっき導電膜106を形成する。図1(h)に示
すように、下地導電膜105及びめっき導電膜106上
にレジストマスクを形成し、図1(a)の回路パターン
形成工程と同様にしてエッチングにより回路パターン1
05´及び106´を形成し、第二の配線層とする。
【0022】この後、多層配線の積層数に応じて図1
(b)の絶縁樹脂層102を成膜する工程から図1
(h)の回路パターン105´及び106´形成工程ま
でを繰り返すことで多層化する。
【0023】以上の各製造工程を作用と共に更に詳細に
説明すると、以下の通りとなる。 (1)図1(a)の第一の配線層となる回路パターン1
01の形成工程としては、両面銅張り積層板100上の
銅箔を導体とし、これを所定の回路パターンが形成され
たドライフィルム、電着レジスト等を用いて周知のエッ
チング方法により回路パターン101を形成する。
【0024】(2)図1(b)の絶縁樹脂層102の形
成工程としては、基板上に周知のスクリーン印刷やロー
ルコータ、スプレーコータ等により膜厚約50μm程度
に塗布し、予備乾燥して成膜する。
【0025】(3)図1(c)のビアホール103の形
成工程としては、所定ビアホールのパターンが形成され
たフィルムマスクを介してUV光を露光した後、現像し
てビアホール103を形成する。必要によっては、前述
したとおり露光処理を2段階とし、このビアホール10
3形成後に、さらに全面にUV光を照射し、光硬化成分
を完全に硬化させて絶縁樹脂層102の光硬化をより強
固にすることもできる。
【0026】(4)図1(d)の導電性保護膜104の
形成工程としては、先ず、ビアホール103部の露出し
た回路パターン表面を硫酸パラジウム、塩化パラジウム
等のめっき触媒により活性化し、露出した回路パターン
表面に耐粗化液性を有する導電性保護膜104を無電解
めっきにより形成する。後工程(絶縁樹脂層の粗面化処
理工程)に用いる粗化液(無水クロム酸等の酸化力の大
きい酸水溶液)は、容易に銅回路を溶解し、その結果、
導通不良、層間接続不良となる。
【0027】従ってこのような不良を防ぐ目的で導電性
保護膜104を形成するものであり、銅回路表面に導電
性保護膜104を形成する工程は、図1(a)の回路パ
ターン101の形成後でも良く工程順を特定するもので
はない。耐粗化液性を有する導電性保護膜104として
は、例えば、Ni−P、Ni−Bの如き無電解めっきが
有効である。
【0028】(5)図1(e)の絶縁樹脂層102の表
面粗化処理工程としては、粗化液を酸化力の大きな酸性
溶液、例えば、硫酸、無水クロム酸の混合溶液で構成す
る場合には、液温50〜80℃で、図2に示すような斜
線部内の濃度範囲が好ましい。すなわち、硫酸(3.6
〜6mol/l)水溶液と無水クロム酸(硫酸濃度に対
する溶解度範囲内で2mol/l以上、飽和点濃度以
下)を含む処理液とし、これに3分〜10分間浸漬し、
後にアルカリ水溶液に5〜10分間浸漬して中和処理を
行ない、エッチングによる表面劣化層残渣を取り除くこ
とにより達成される。
【0029】(6)図1(f)の下地導電膜105の形
成工程としては、スパッタ等の気相法で成膜しても良い
し、また、無電解めっき法で成膜しても良い。成膜材料
としては、銅、ニッケル等が実用上好ましく、接着力は
銅よりもニッケルの方が優れている。また、膜厚として
は実用的に0.1〜0.5μmが好ましい。
【0030】無電解めっき法で形成する場合には、予め
絶縁樹脂層の粗化面102´上にパラジウム等の触媒を
付与し、活性を行なう。何れにしても、下地導電膜10
5は、絶縁樹脂層102と強い接着強度を必要とする。
これは、絶縁樹脂層102の表面を粗化する工程、下地
導電膜105を形成する工程、熱硬化により絶縁樹脂を
完全硬化する工程を含む接着強度向上処理を行うことで
達成される。
【0031】この接着強度を向上させる処理は、露光さ
れた絶縁樹脂層102表面を粗化する工程、粗化された
表面層102´上に下地導電膜103を形成する工程、
熱硬化により表面層102´を含む絶縁樹脂層102を
完全硬化する工程の順を経て行うか、あるいは熱硬化に
より完全硬化する工程の順を入れ替えて、露光された絶
縁樹脂102表面を粗化する工程の後に、熱硬化により
絶縁樹脂層を完全硬化する工程を行い、その後に導電性
保護膜104表面を含む絶縁樹脂層の粗化表面102´
に下地導電膜105を形成する工程の順を経て行う。
【0032】この熱硬化による完全硬化の工程は、好ま
しくは前者の下地導電膜105を形成した後の方が良
い。これは、下地導電膜105を凹表面に入り込ませた
後、熱硬化処理で入り込んだ下地導電膜周辺を締め付け
ることにより接着強度をさらに向上させることができる
からである。以上の工程順を経ることにより接着強度向
上が達成できる。
【0033】そして、接着強度を向上させるためには、
前述の通り絶縁樹脂層102として光硬化と熱硬化の併
用により完全硬化するものを用い、さらにUV光による
露光硬化後、加熱して樹脂層を完全硬化してしまわず、
半硬化の状態で粗化処理することが重要である。絶縁樹
脂層表面と下地導電膜の接着は、粗化された樹脂層表面
102´と下地導電膜105とのアンカー効果を利用し
ており、樹脂層が半硬化の状態で粗化されると表面に有
効な凸凹が形成され、接着強度を大きくすることができ
る。
【0034】また、露光により半硬化状態となった樹脂
102表面を粗化処理する前に、樹脂層102の表面を
予めO2プラズマやUV/O3によりエッチングしておく
ことも接着強度向上に有効である。
【0035】(7)図1(g)のめっき導電膜106の
形成工程としては、下地導電膜105の上に、めっきに
より厚い導電膜(膜厚約20μm)を形成するが、めっ
きとしては電気めっきでも無電解めっきでも良い。さら
に、無電解めっきの場合には下地導電膜105とその上
の厚い導電膜106とを区別せず連続して形成すること
もできる。また、めっき導電膜106の形成工程の代わ
りにスパッタによる形成も可能である。
【0036】(8)図1(h)の第二の配線層となる回
路パターンの形成工程としては、第一の配線層101の
回路パターン形成工程と同様に、所定の配線回路パター
ンが形成されたレジストマスクを用いて周知の方法でエ
ッチング処理を行い、回路パターン105´及び106
´を形成する。この回路パターン形成後に、アルカリ水
溶液に浸漬して無電解めっき時の前処理工程として付与
した不要部のめっき触媒(回路形成により絶縁樹脂層が
露出した部分に付着していたもの)を除去する。不要部
にめっき触媒が残ると、同一平面上の隣接する回路間及
び積層間に絶縁不良を引き起こすので、これを除去して
おくことが信頼性向上の点から望ましい。
【0037】ここで、絶縁樹脂層102を構成する絶縁
樹脂について更に詳述する。本発明に用いる絶縁樹脂
は、前述の如く回路パターンとの接着強度向上のために
光で重合可能な骨格(光硬化性)と、熱で重合可能な骨
格(熱硬化性)とを含んでいることが条件となる。さら
に、この絶縁樹脂の具備すべき特性を列挙すると次のよ
うになる。
【0038】a)UV露光の際には、フィルムマスクを
樹脂表面に密着して露光するので、フィルムマスクと樹
脂が接着しないよう、予備乾燥段階で樹脂表面は固化し
ていなければならない。そこで、本発明の絶縁樹脂に
は、少なくとも室温で固形の樹脂が含まれていることが
必要である。
【0039】b)フォトリソグラフィでビアホールを形
成を可能とするため、UV光照射により硬化した部分と
未硬化部分の現像液に対する溶解度差が適切で、かつ現
像後の溶解度が良好であることが必須である。換言すれ
ば適当な溶剤による優れた現像性を備えていなければな
らない。
【0040】c)塗布性が良好であることが必須であ
る。すなわち、基板上にスクリーン印刷やロールコー
タ、スプレーコータ等で樹脂を塗布する際、厚さが均一
で、且つ、ボイドが残らないように、適切なインクとし
ての粘度特性を備えている必要がある。
【0041】d)繰返しはんだ付けに耐える良好な耐熱
性を有することが必須である。すなわち、およそ260
℃、10秒のはんだ浸漬を約5回繰り返しても、あるい
は、これに相当する熱風、赤外線、溶剤蒸気等によるは
んだ付けによっても、樹脂層に膨潤、剥離等の異常が生
じないことが必須である。
【0042】e)多層配線の層間絶縁膜を構成すること
から高い絶縁性を保持できることが必須である。すなわ
ち、配線層間の絶縁劣化を生じない優れた絶縁性、特
に、吸湿時の絶縁性を保持できることが必要である。
【0043】このような条件を満足する絶縁樹脂として
は、例えば、少なくとも室温で固形の多官能不飽和化合
物、エポキシ樹脂、アクリレートモノマー、光重合開始
剤、及びアミン系の熱硬化剤を含む絶縁樹脂や、少なく
とも不飽和基を付加反応させた2官能以上の多官能固形
エポキシ樹脂、アクリレートモノマー、光重合開始剤、
及びアミン系の熱硬化剤を含む絶縁樹脂等が代表的なも
のとして挙げられる。
【0044】これら成分の内、特にアミン系熱硬化剤に
関しては、ジシアンジアミドあるいはジアミノトリアジ
ン化合物を用いるとめっき膜との接着性向上に効果があ
る。このような絶縁樹脂としては、本発明者等が先に提
案した例えば、特開昭62−265321号公報に記載
のもの等を利用することができる。
【0045】なお、本発明は、内層に抵抗体、コンデン
サー、インダクタンス等の機能を搭載した多層回路基板
の製造にも適用可能であり、それらを妨げるものではな
い。
【0046】
【実施例】以下、本発明の多層配線基板の製造方法につ
いて、幾つかの代表的な実施例を示し、これらに従って
本発明をさらに具体的に説明する。 〈実施例1〉図1に従って説明すると、先ず、図1
(a)に示す配線基板100として、ガラス布基材にエ
ポキシ樹脂を含浸固化し、その片面に銅箔を張り合わせ
た積層板(80mm×80mm×厚さ0.6mm、銅箔
厚さ18ミクロン)を準備し、銅箔に予め周知の方法に
より第一の配線層として回路パターン101形成したも
のを試料基板とした。
【0047】次いで図1(b)に示すように、この配線
基板上に下記の手順で調整した絶縁樹脂をスプレーコー
タで厚さ約50ミクロン塗布し、80℃で30分間の予
備乾燥を施し、絶縁樹脂層102を形成した。
【0048】〈絶縁樹脂の調整〉下記(イ)〜(ヘ)よ
りなる樹脂組成物を調整し、絶縁樹脂層102を形成す
る樹脂とした。 (イ)ジアリルフタレート樹脂 100g (ロ)エピコート828 30g (ハ)ペンタエリスリトールトリアクリレート 20g (ニ)ベンゾインイソプロピルエーテル 4g (ホ)ジシアンジアミド 4g (ヘ)2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル −(1’)〕−エチル−s−トリアジン 1g (ト)その他(塗布特性向上のための添加剤) 適量 先ず、上記(イ)〜(ハ)と適量の溶剤(エチルセロソ
ルブ)を混合し、80℃で30分間加熱撹拌した。次
に、樹脂組成物を常温にした後、他の成分(ニ)〜
(ト)を混合し三本ロールにて混練し、絶縁樹脂を得
た。
【0049】次いで、図1(c)に示すように、ビアホ
ールのパターンが形成されたネガマスクを介して400
w高圧水銀ランプを用い2分間UV光で露光し、現像に
より所望部にビアホール103を形成した。本実施例で
は、現像液に1.1.1.トリクロロエタンを用い1分
間スプレー現像を行って、孔径約100ミクロンのビア
ホール103を得た。
【0050】次いで、図1(d)に示すように、ビアホ
ール部の表面に、後工程の粗化液から露出した回路表面
を守り、導通不良、層間接続不良を防ぐために耐粗化液
性を有する導電性保護膜104を下記の無電解めっき液
組成及び条件に従って形成した。保護膜104として
は、Ni−P、もしくはNi−Bの無電解めっきを用い
た。図3にCuとNi−Pとの耐粗化液性について比較
した一例を示す。なお、図3にはNi−Bの例を載せて
いないがNi−Pと同様の特性を示した。
【0051】〈めっき液組成及び条件〉 (1)触媒処理液 硫酸水溶液 10vol% 硫酸パラジウム 0.2g/l 液温 室温 浸漬時間 1分 (2)無電解ニッケルめっき液 ブルーシューマー*(Ni−P) 原液使用 液温 80℃ めっき時間 5分 *カニゼン社製のめっき液に対する商品名 次いで、図1(e)に示すように、絶縁樹脂層102と
後工程の下地導電膜との接着強度を確保するために、樹
脂層102の表面粗化処理を行い、粗化面102´を形
成した。絶縁樹脂層表面の粗化処理方法としては、液温
50〜80℃で、図2に示すような斜線部内の条件、す
なわち、硫酸(3.6〜6mol/l)水溶液と無水ク
ロム酸(硫酸濃度に対する溶解度範囲内で2mol/l
以上、飽和点濃度以下)を含む処理液に3分〜10分間
浸漬し、後にアルカリ水溶液に5〜10分間浸漬して中
和処理を行ない表面劣化層残渣を取り除いた。
【0052】次に、図1(f)に示すように下地導電膜
105(膜厚0.1〜0.5ミクロン)を形成した。本
実施例では保護膜104の表面を含む絶縁樹脂表面10
2´にパラジウム触媒を付与し活性を行ない、下記の処
理条件で無電解めっき法による下地導電膜形成を行なっ
た。
【0053】 〈処理液及び処理条件〉 (1)触媒処理液(何れもシップレー社製の商品名で表示) キャタプリップ404 (270g/l) 30℃、3分 キャタプリップ404 (270g/l) 40℃、5分 キャタポジット44 (30ml/l) アクセレータ (170ml/l) 室温、3分 (2)下地導電膜(何れもシップレー社製の商品名で表示) カッパーミックス 328A (125ml/l) 室温、1分 カッパーミックス 328L (125ml/l) カッパーミックス 328C (25ml/l) 次いで、絶縁樹脂層102を完全硬化するため150℃
で30分間加熱硬化を行った。
【0054】次に、図1(g)に示すように厚付け電気
銅めっき106を下記の処理液及び処理条件で行った。
【0055】 〈処理液及び処理条件〉 (1)銅めっき前処理 ニュートラクリーン* (50vol%) 室温、3分 硫酸洗浄 (10vol%) 室温、1分 *シップレー社製の界面活性剤の商品名 (2)厚付け電気銅めっき CuSO4・5H2O (75ml/l) H2SO4 (98ml/l) HCl (0.15ml/l) Cu−ボードHAメーキャップ*(10ml/l) 液温 室温 電流密度 2A/dm2 めっき厚さ 20ミクロン *(株)荏原ユージライト製の界面活性剤に対する商品
名 次いで、図1(h)に示すように常法により基板に感光
性エッチングドライフィルムをラミネートし、所定のマ
スクパターンを介して露光し、現像、エッチング、剥離
の各工程により、絶縁樹脂層上に幅約50ミクロンの回
路パターンを形成し、不要な回路間の触媒を除去し第二
の配線層105´、106´を形成した。なお、触媒の
除去は、5wt%NaOHの強アルカリ水溶液に10分
間浸漬して行った。触媒の残渣については、螢光X線分
析で、Sn、Pdに相当するピークのカウント数で測定
でき、図4に示すように約10分程度で除去できること
がわかった。すなわち、図4は50℃におけるSn、P
dの付着量と浸漬時間との関係を示したものである。
【0056】この後、第三の配線層形成についても、上
記図1(b)の絶縁樹脂層102の形成から図1(h)
の第二の配線層を形成する工程までを繰返すことによ
り、三層構造の多層配線基板を製造した。
【0057】本実施例の多層配線基板の特性評価につい
ては、各実施例共に共通して主に重要な絶縁層に関連し
た下記の項目に従って判定した。 1)現像性:1,1,1,トリクロロエタンあるいは他
の溶剤のスプレー現像を常温で1分間行った際、未露光
部が完全に溶解し、かつ、露光部の樹脂に膨潤等がない
正テーパのフォトビアホールが形成できたものを良とし
た。 2)耐熱性:260℃のはんだ槽に10秒間浸漬して、
室温まで空冷する。この操作を5回繰り返した後の観察
で、樹脂に膨れ、剥離、あるいは、めっき皮膜のクラッ
ク、膨れ、剥離等の異常が無いものを良とした。 3)絶縁性:吸湿時の基板の絶縁抵抗が1010Ω以上と
なるものを良とした。 4)接着性:回路パターンと樹脂層との接着性をはかる
のが目的であり、電気銅めっき工程後、1cm幅にナイ
フで切り込み、90度に引き剥がしたときのピール強を
測定した。また、実用性を加味し目標値を500g/c
mと定めることとした。
【0058】以上の項目に従って多層配線基板の特性に
ついて評価を行った結果を表1に示す。これから明らか
なように得られた多層配線板は、いずれの評価項目につ
いても優れていることがわかった。
【0059】
【表1】
【0060】〈実施例2〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、図5に示す工程に従って多層配
線基板を製造した。この実施例の特徴は、第一の配線層
から第三の配線層まで、全ての配線層をビルドアップ法
により積層したことにある。先ず、図5(a)に示すよ
うに、ガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸固化した積層
板(80mm×80mm×厚さ0.6mm)を基板とし
て準備した。次いで、図5(b)に示すように、この基
板上にスプレーコータで厚さ約50ミクロン塗布し、8
0℃で30分間の予備乾燥を施し、絶縁樹脂層102を
形成した。
【0061】次いで、図5(c)に示すように、400
w高圧水銀ランプを用い2分間UV光で露光し、絶縁樹
脂層102を光硬化することにより半硬化状態とした。
この状態で粗化液を用いて絶縁樹脂層102の表面粗化
処理を行い、粗化面102´を形成した。なお、絶縁樹
脂層102の表面粗化処理方法は、実施例1と同様であ
る。
【0062】次いで、図5(d)に示すように、樹脂層
を完全硬化するため150℃で30分間加熱硬化を行っ
た。次に、粗化層表面102´を活性化するため触媒液
に浸漬し、下地導電膜105を無電解めっきし、後に厚
付け電気銅めっき106を施した。処理液及び処理条件
は下記に示す通りである。
【0063】 〈処理液及び処理条件〉 (1)触媒処理液(何れもシップレー社製の商品名で表示) キャタプリップ404 (270g/l) 45℃、3分 キャタプリップ404 (270g/l) 45℃、5分 キャタポジット44 (30ml/l) アクセレータ (170ml/l) 室温、3分 (2)下地導電膜の無電解めっき液(何れもシップレー社製の商品名で表示) カッパーミックス 328A (125ml/l) 室温、1分 カッパーミックス 328L (125ml/l) カッパーミックス 328C (25ml/l) (3)銅めっき前処理 ニュートラクリーン (50vol%) 室温、3分 硫酸洗浄 (10vol%) 室温、1分 (3)厚付け電気銅めっき液及びめっき条件 CuSO4・5H2O (75mg/l) H2SO4 (98ml/l) HCl (0.15ml/l) Cu−ボードHAメーキャップ(10ml/l) 液温 室温 電流密度 2A/dm2 めっき厚さ 20μm 以上、上記処理条件によりめっき処理を行った。
【0064】次いで、図5(e)に示すように、常法に
より基板のめっき膜上に感光性エッチングドライフィル
ムをラミネートし、所定の回路パターンが形成されたマ
スクを介して露光し、現像、エッチング、剥離の各工程
を経て、絶縁樹脂層上に幅約100ミクロンの第一の配
線層となる回路パターン101を形成した。次いで、不
要な回路間(エッチングにより露出した絶縁層)の触媒
を除去するために、5wt%NaOHの強アルカリ水溶
液に10分間浸漬した。
【0065】以下、第二の配線層及び第三の配線層形成
についても図5(f)〜図5(h)に示すように、それ
ぞれ実施例1と同様の工程を繰返し、三層の多層配線基
板を製造した。
【0066】実施例1と同様、得られた多層配線基板の
特性について評価を行った結果を表2に示す。実施例1
の場合と同様に、いずれの試料についても優れた特性を
有していることがわかった。
【0067】
【表2】
【0068】〈実施例3〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、実施例1と同様の工程で多層配
線基板を製造した。ただし、製造工程上実施例1と異な
る点は、絶縁樹脂層を完全硬化するための、150℃で
30分間の加熱硬化処理を実施例1とは逆に下地導電膜
105の形成工程前に行ったことである。つまり、この
例は粗化処理後の絶縁樹脂層を完全に硬化するタイミン
グが下地導電膜105の形成工程前後でどのように変化
するかを調べるために行ったものである。
【0069】実施例1と同様にして、得られた多層配線
基板の特性について評価を行った結果を表3に示す。こ
の場合も良好な結果が得られているが、接着性について
は、実施例1の場合よりも少し低下しているものが認め
られた。従って、加熱により絶縁樹脂層を完全に硬化す
るタイミングは、下地導電膜105を形成した後の方が
好ましいことを示している。例えば、表1の粗化条件3
の試料(実施例1)と表3の粗化条件21の試料(実施
例3)とを対比してみると、前者は873g/cmであ
ったのに対して、後者は825g/cmであった。
【0070】
【表3】
【0071】〈実施例4〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、実施例1と同様の工程で多層配
線基板を製造した。ただし、製造工程上実施例1と異な
る点は、下地導電膜105を無電解銅めっきとした代わ
りに、無電解ニッケルめっきとした点である。つまり、
この例は下地導電膜105の材質の違いが接着力にどの
ような影響を与えるかを調べるために行ったものであ
る。用いた無電解ニッケルめっき液(2種類)及びめっ
き条件は下記の通りである。
【0072】〈無電解ニッケルめっき液及びめっき条
件〉 (1)無電解ニッケルめっき液 SB−55 (Ni−B)* 原液使用 液温 60℃ めっき時間 1分 (2)無電解ニッケルめっき液 ブルーシューマー(Ni−P)* 原液使用 液温 80℃ めっき時間 1分 *何れもカニゼン社製めっき液の商品名 実施例1と同様にして、得られた多層配線基板の特性に
ついて評価を行った結果を表4に示す。いずれの試料も
優れた特性を有していることがわかった。特に、下地導
電膜105を銅で形成したときより、ニッケルを用いた
方が絶縁樹脂との接着強度が大きい傾向にあることがわ
かった。これは、銅よりニッケルの方が硬いためと考え
る。例えば、表1の粗化条件5の試料(実施例1)と表
4の粗化条件29の試料(実施例4)とを対比してみる
と、前者は956g/cmであったのに対して、後者は
1645g/cmであった。
【0073】
【表4】
【0074】〈実施例5〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、実施例1と同様の工程で多層配
線基板を製造した。ただし、製造工程上実施例1と異な
る点は、絶縁樹脂層102の表面粗化処理方法におい
て、前工程としてドライで表層をエッチングする工程を
付加したことにある。ここでは、前工程としてO2プラ
ズマアッシャ及びUV/O3処理の二通りの工程付加
し、次いで、実施例1と同様にクロム硫酸系の処理液で
粗化を行った。前処理工程として用いたドライエッチン
グ装置及び条件は次の通りである。
【0075】(1)O2プラズマアッシャ(アネルバ社
製のDEM−451Mを使用) O2流量 50sccm ガス圧 10Pa PFパワー 300W セルブバイアス −710V 処理時間 5〜20min (2)UV/O3処理 O3流量 8NL/min 一時電流 5A 温度 160℃±10 ランプからの距離 15cm 処理時間 5〜20min 実施例1と同様にして、得られた多層配線基板の特性に
ついて評価を行った結果を表5に示す。いずれの試料も
優れた特性を有していることがわかった。接着性につい
て実施例1の表1と比較して見ると、例えば表1の粗化
条件8の試料(実施例1)は1529g/cmであった
のに対して、本実施例の粗化条件37の試料では154
0g/cm、粗化条件41の試料では1600g/cm
であり、いずれもドライエッチングの前処理工程を付加
した場合の方が優れている。
【0076】
【表5】
【0077】〈実施例6〉この例は、実施例1と基本的
に同一工程で製造したものであるが、ビアホール形成工
程時のUV露光条件を一部変更したものである。すなわ
ち、実施例1の図1(c)に示したUV光よる露光、現
像により所望部にビアホール103を形成した後、再度
絶縁樹脂層102の全面にわたり2分間UV光を露光
し、絶縁樹脂中に含まれる光硬化成分を全て硬化した。
その結果、実施例1におけるビアホール103の正テー
パ歩留まりが90%であったものが、100%に向上し
た。
【0078】ビアホール103の形状が正テーパから外
れて逆テーパになると、この後の導電性保護膜104、
下地導電膜105、厚つけめっき膜106等のめっき工
程での歩留まりが低下したり、ビアホール103が当初
の設計パターン幅より大きくなり、線幅が実質的に拡張
されて高精細パターンの実現を困難にする等の問題を生
じさせるが、正テーパとすることにより格段に信頼性の
高い配線導体を形成することができる。
【0079】〈比較例1〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、実施例1と同様の工程で多層配
線基板を製造した。ただし、実施例1と異なる点は、絶
縁樹脂層を150℃で30分間で完全硬化させた後に、
粗化処理を行ったことである。すなわち、粗化処理工程
のタイミングを樹脂の半硬化状態でなく、完全硬化後と
しものである。
【0080】実施例1と同様、得られた多層配線基板の
特性について評価を行い、その結果を表6の粗化条件の
試料43〜46、49、50に示す。表から明らかなよ
うに、この工程で製造した多層配線板は、評価項目1)
の現像性については、優れた特性であったものの、それ
以外の2)〜4)の項目については、いずれも粗化処理
時間が1時間以下で不良となった。これは、実施例1と
比較し、接着強度が格段に弱いためである。また、粗化
時間(処理液浸漬時間)を長くすれば、不十分ではある
が、ある程度の強度がでる。これは、絶縁樹脂を完全硬
化したため、耐薬品性が向上し、粗化し難くなったため
と考えられる。さらには、これらの結果から、本発明に
より、粗化面形成時間の短縮に有効であることもわかっ
た。また、熱硬化を全くおこなわないものについては、
評価項目1)のみが良好なだけであることがわかった。
【0081】
【表6】
【0082】〈比較例2〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の絶縁樹脂を用い、実施例1と同様の工程で多層配
線基板を製造した。ただし、実施例1と異なる点は、保
護膜104を形成せずに樹脂の粗化を行なったことであ
る。実施例1と同様、基板特性について評価を行い、そ
の結果を表6の粗化条件の試料47、48、51に示
す。しかし、いずれの試料も粗化処理工程の段階でビア
ホール103内に露出した回路パターンあるいは層間接
続部の銅めっきが溶解し接続不良となった。
【0083】〈比較例3〉層間絶縁膜として実施例1と
同様の工程で多層配線基板を製造した。ただし、実施例
1と異なる点は、(1)用いた樹脂の熱硬化剤が酸無水
物を用いたもの、また、(2)用いた樹脂の組成が光硬
化成分のみであるものについて、それぞれ、実施例1と
同様に、得られた多層配線基板の特性について評価を行
った。用いた2種類の絶縁樹脂の組成は、以下の通りで
ある。
【0084】 (1)樹脂組成物 (イ)ジアリルフタレート樹脂 100g (ロ)エピコート828* 30g (ハ)ペンタエリスリトールトリアクリレート 20g (ニ)ベンゾインイソプロピルエーテル 4g (ホ)無水ピロメリット酸** 10g (ヘ)その他(塗布特性向上のための添加剤) 適量 *シェル石油社製のエポキシ樹脂の商品名 **熱硬化剤(酸無水物) (2)樹脂組成物 (イ)ジアリルフタレート樹脂 100g (ロ)ペンタエリスリトールトリアクリレート 20g (ハ)ベンゾインイソプロピルエーテル 4g (ニ)その他(塗布特性向上のための添加剤) 適量 この比較例で製造された多層配線板は、評価項目1)の
現像性については、優れた特性であったものの、それ以
外の2)〜4)の項目については、いずれも不良となっ
た。これは、実施例1と比較し、接着強度が弱いためで
ある。これらの結果から、本発明による特定の熱硬化剤
の重要性、さらには光硬化性成分のみならず、熱硬化性
樹脂成分の重要性が明らかとなった。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、絶縁基板上
に形成される導電膜の接着力が強く、信頼性の高い、高
密度多層配線基板が容易に製造することができるように
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理及び一実施例を説明するための製
造工程を示した要部断面図。
【図2】同じく絶縁樹脂層の表面を粗化処理する粗化液
の条件を示した特性図。
【図3】同じく導電性保護膜の耐粗化液性の一例を示す
特性図。
【図4】同じく配線パターン形成後の触媒除去効果を示
す特性図。
【図5】同じく他の実施例の製造工程を示した要部断面
図。
【符号の説明】
100…両面銅張り積層板、 101…回
路パターン、102…絶縁樹脂層、
102´…絶縁樹脂層の粗化面、103…バイヤホー
ル、 104…導電性保護膜、10
5、105´…下地導電膜、106、106´…めっき
導電膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 勇 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 岡 齊 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 谷口 幸弘 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所情報通信事業部内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の配線層を有する配線基板上に、光
    硬化性と熱硬化性とを兼ね備えた絶縁樹脂層を形成する
    工程と、所定のマスクを介して前記絶縁樹脂層を露
    光、現像することによりビアホールを形成し、前記第一
    の配線層の層間接続領域を露出せしめる工程と、前記
    ビアホール内の配線層露出部表面に耐粗化液性を有する
    導電性保護膜を形成する工程と、前記絶縁樹脂層の表
    面を酸化力の大きな酸性粗化液でエッチングし粗化面を
    形成する工程と、前記ビアホール内の導電性保護膜表
    面を含む絶縁樹脂層の粗化面上に下地導電膜を形成する
    工程と、前記粗化面が形成された絶縁樹脂層を熱硬化
    処理により完全硬化する工程と、前記下地導電膜上に
    めっき膜を形成する工程と、前記下地導電膜及びめっ
    き膜を所定の回路パターンの形成されたレジストマスク
    を介してエッチングし、第二の配線層となる回路パター
    ンを形成する工程とを有すると共に、前記の絶縁樹脂
    層を形成する工程からの第二の配線層となる回路パタ
    ーンを形成する工程までの各工程を多層配線の積層数に
    見合った回数分だけ繰り返す工程を有して成る多層配線
    基板の製造方法。
  2. 【請求項2】上記のビアホール内の配線層露出部表面
    に耐粗化液性を有する導電性保護膜を形成する工程を、
    前記配線層露出部表面にめっき触媒を形成し、前記導電
    性保護膜を無電解めっきで形成する工程とすると共に、
    上記のビアホール内の導電性保護膜表面を含む絶縁樹
    脂層の粗化面上に下地導電膜を形成する工程を、少なく
    とも前記絶縁樹脂層の粗化面上にめっき触媒を形成し、
    前記下地導電膜を無電解めっきで形成する工程として成
    る請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  3. 【請求項3】上記第一の配線層を有する配線基板を、銅
    張り積層板の少なくとも一方の面に予め配線パターンが
    形成された積層基板で構成して成る請求項1もしくは2
    記載の多層配線基板の製造方法。
  4. 【請求項4】上記第一の配線層を有する配線基板を、絶
    縁基板上に光硬化性と熱硬化性とを兼ね備えた絶縁樹
    脂層を形成する工程と、前記絶縁樹脂層を露光して半
    硬化状態とする工程と、前記半硬化状態の絶縁樹脂層
    表面を酸化力の大きな酸性粗化液でエッチングし粗化面
    を形成する工程と、前記絶縁樹脂層の粗化面上に下地
    導電膜を形成する工程と、前記粗化面が形成された絶
    縁樹脂層を熱硬化処理により完全硬化する工程と、前
    記下地導電膜上にめっき膜を形成する工程と、前記下
    地導電膜及びめっき膜を所定の回路パターンの形成され
    たレジストマスクを介してエッチングし、第一の配線層
    となる回路パターンを形成する工程とを有する工程で形
    成して成る請求項1もしくは2記載の多層配線基板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】上記の下地導電膜を形成する工程の後
    に、上記の絶縁樹脂層を熱硬化処理により完全硬化す
    る工程を施すようにして成る請求項1記載の多層配線基
    板の製造方法。
  6. 【請求項6】上記の絶縁樹脂層を熱硬化処理により完
    全硬化する工程の後に、上記の下地導電膜を形成する
    工程を施すようにして成る請求項1記載の多層配線基板
    の製造方法。
  7. 【請求項7】上記耐粗化液性を有する導電性保護膜を、
    Ni−PもしくはNi−Bの無電解めっきで構成して成
    る請求項1乃至4何れか記載の多層配線基板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】上記の半硬化状態の絶縁樹脂層表面を酸
    化力の大きな酸性粗化液でエッチングし粗化面を形成す
    る工程を、硫酸と無水クロム酸との混合水溶液からなる
    酸性粗化液中に液温50〜80℃で、上記半硬化状態の
    絶縁樹脂層を浸漬した後、アルカリ水溶液により中和処
    理を行う工程で構成して成る請求項1記載の多層配線基
    板の製造方法。
  9. 【請求項9】上記硫酸と無水クロム酸との混合水溶液
    を、3.6〜6mol/lの硫酸と、硫酸濃度に対する
    溶解度範囲内で2mol/l以上、飽和点濃度以下の無
    水クロム酸とで構成して成る請求項8記載の多層配線基
    板の製造方法。
  10. 【請求項10】上記のビアホール内の導電性保護膜表
    面を含む絶縁樹脂層の粗化面上に下地導電膜を形成する
    工程を、少なくとも前記絶縁樹脂層の粗化面上にめっき
    触媒を形成し、前記下地導電膜を無電解めっきで形成す
    る工程とした場合、の下地導電膜及びめっき膜をエッ
    チングにより回路パターンを形成する工程の後に、ア
    ルカリ水溶液処理により不要部のめっき触媒を除去する
    工程を付加して成る請求項1もしくは2記載の多層配線
    基板の製造方法。
  11. 【請求項11】上記の絶縁樹脂層の表面を酸化力の大
    きな酸性粗化液でエッチングし粗化面を形成する工程の
    前工程として、O2プラズマもしくはUV/O3により前
    記絶縁樹脂層の表面をエッチングする工程を付加して成
    る請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  12. 【請求項12】上記の光硬化性と熱硬化性とを兼ね備
    えた絶縁樹脂層を、室温で固形の多官能不飽和化合物、
    エポキシ樹脂、アクリレートモノマー、光重合開始剤、
    及びアミン系の熱硬化剤を含む樹脂層で構成して成る請
    求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  13. 【請求項13】上記の光硬化性と熱硬化性とを兼ね備
    えた絶縁樹脂層を、不飽和基を付加反応させた2官能以
    上の多官能固形エポキシ樹脂、アクリレートモノマー、
    光重合開始剤、及びアミン系の熱硬化剤を含む樹脂層で
    構成して成る請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
  14. 【請求項14】上記アミン系の熱硬化剤を、ジシアンジ
    アミドもしくはジアミノトリアジン化合物で構成して成
    る請求項12もしくは13記載の多層配線基板の製造方
    法。
JP14884693A 1993-06-21 1993-06-21 多層配線基板の製造方法 Expired - Lifetime JP3593351B2 (ja)

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