JPH0716604A - チタンクラッド鋼板及びその製造方法 - Google Patents

チタンクラッド鋼板及びその製造方法

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JPH0716604A
JPH0716604A JP16805793A JP16805793A JPH0716604A JP H0716604 A JPH0716604 A JP H0716604A JP 16805793 A JP16805793 A JP 16805793A JP 16805793 A JP16805793 A JP 16805793A JP H0716604 A JPH0716604 A JP H0716604A
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steel
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ordinary steel
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JP16805793A
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Hideaki Yamagishi
英明 山岸
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YAMAKI KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】合せ材と母材の接合強度が大きく、圧延性に優
れ、生産性が高く、しかも曲げ加工性に優れ、且つ美麗
な表面を有するチタンクラッド鋼板を提供することにあ
る。 【構成】合せ材であるチタンと母材である普通鋼とを爆
着法により接合したチタンクラッド普通鋼スラブのチタ
ン層側に捨て材を接合させたチタンクラッド普通鋼複合
材を熱間圧延後捨て材を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、普通鋼に高耐久性を有
するチタンを被覆したチタンクラッド鋼板及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは耐候性、耐食性に非常に優れた
金属である。日本は、海に囲まれており、従って、湿度
も高く、環境変化に伴なう金属の腐食は、資源の減少、
又、腐食による外観の見苦しさなど社会資源の大きな損
失にも繋がるものである。
【0003】このため耐食性が良く、軽量で強度にも優
れ、塗装などの表面処理など行わなくてよい、いわゆる
メンテナンスフリーの金属材料であるチタンが屋根材、
外壁材をはじめとして各種の外装材として使用されつつ
あるが、高価格で汎用材料としては採用されていないの
が現状である。一方、普通鋼はコスト的には圧倒的に有
利であるが、チタンに比して耐食性、耐久性が不充分
で、特に長期寿命の求められる外装材としては不適であ
る。
【0004】このような問題を解決するために、チタン
を合せ材として、母材である普通鋼に接合した複合材が
提案されている。例えば、合せ材のチタンを中間層とし
てCuを介して母材の普通鋼に接合した複合材が提供さ
れている。しかしながら、この複合材の製造に際して
は、合わせ材と中間のCu板と母材の全体をカバー材で
覆い、且つカバー材の一部に加熱時の内部残留空気の抜
け孔を設ける必要がある等熱間圧延の準備及び圧延自体
が技術的に難しいという問題があった。
【0005】一方、爆着法によりチタンクラッド鋼材を
製造する方法が考えられ、この方法によれば、合せ材と
母材の接合界面が冷間で瞬時に形成されるので、炭化物
や窒化物あるいは層状のTi−Fe系金属化合物が形成
されず、清浄な境界を有し、接合強度が大きい複合材が
提供される。この爆着スラブは界面近傍部の硬度分布が
なだらかなので、以降の熱延、冷延作業条件が幅広く設
定可能で製造条件の範囲が広くなり、用途に応じた材質
確保のための熱延及び冷延条件の設定の自由度が大き
く、品質的に優れた特性を確保できる。
【0006】更に、合せ材と母材との界面に生成する金
属間化合物や脆化層による接合強度の低下を回避する方
法として、母材、金属中間層、合せ材のサンドイッチ構
成により脆化層の形成を抑制し、圧延する方法(特開昭
60−170586号)とか、チタンと母材との間に接
合中間材を介在させ、且つ接合中間材とチタンとの間隔
を規定することにより接合中間材によりチタンと母材と
の金属間化合物の生成を回避して圧延する方法(特開昭
63−56370号)、又、チタンにFe系薄金属を爆
着し、このものと母材でコンポジットスラブを組立て熱
間圧延する方法(特開平2−295682号)が提案さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、いずれ
の方法にしろ熱間圧延工程は必須だが、母材の鋼にとっ
ては、熱間圧延は約900℃以上で行われるのが好まし
い。又、チタンにあっても熱間圧延温度は変態点(約8
80℃)以上が好ましいが、酸化雰囲気下では厚くて硬
い酸化膜が生成してしまう。この酸化膜は下部の酸素含
有硬化層まで含めると、厚さは数100μmにも達して
高価なチタンの損失になるだけでなく、この酸化膜は次
の冷間圧延時に破砕されて微小な粉末となり、この粉末
によりチタン表面に無数の細かい疵を形成してしまうと
いう問題があった。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、合せ材と母
材の接合強度が大きく、圧延性に優れ、生産性が高く、
しかも曲げ加工性に優れ、且つ美麗な表面を有するチタ
ンクラッド鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の物の発明は、
合せ材であるチタンと母材である普通鋼とを爆着法によ
り接合したチタンクラッド普通鋼スラブのチタン層側に
捨て材を接合させたチタンクラッド普通鋼複合材を熱間
圧延後捨て材を除去して成ること特徴とするものであ
る。
【0010】請求項5の方法の発明は、合せ材であるチ
タンと母材である普通鋼とを爆着法により接合したチタ
ンクラッド普通鋼スラブのチタン層側に捨て材を接合さ
せたチタンクラッド普通鋼複合材を熱間圧延し、次いで
捨て材を除去すること特徴とするものである。
【0011】
【作用】爆着法によりスラブを製造するので、接合界面
が冷間で瞬時に形成され、炭化物や窒化物あるいはTi
−Fe系金属間化合物が形成されず、清浄な境界を有
し、接合強度が大きい。又、爆着スラブは界面近傍部の
硬度分布がなだらかなので、圧延時の界面剥離や形状不
良に心配がなく、品質的に優れた特性を確保できる。更
に、爆着スラブ界面には金属間化合物がなく、冶金的に
密着した組織であり、しかもスラブのチタン層側に捨て
材を接合させたチタンクラッド普通鋼複合材を熱間圧延
するので、チタンが捨て材により保護され、真空中や減
圧下で圧延する必要がなく、大気中で熱間圧延が可能
で、装置的、経済的に負担が小さくてすむだけでなく、
熱間圧延の温度条件を変形抵抗の小さい高温に設定で
き、高圧下率を採用でき、電力費、ロール寿命及びエネ
ルギーの損失がなく、しかも、酸化や酸素による硬化に
伴うチタンの損失がなくコスト面で極めて有利となる。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
あっては、母材は普通鋼であるが、炭素含有量は0.0
8重量%以下であるのが好ましい。炭素含有量が0.0
8重量%を超えるとチタンとの接合界面に脆化層となる
炭化物が形成される傾向にある。又、合せ材のチタンは
表面が平滑で清浄なものが採用され、母材よりも縦幅及
び横幅が、例えば50mm程度大きいものが好適であ
る。又、チタンの厚さは圧延後の製品厚で100μ以上
で、母材に対して1/5〜1/20が好ましい。1/5
よりも大きいと、高価なチタンの占める割合が大きすぎ
て、クラッド鋼板にしようとする経済的効果がなく、
又、チタンと普通鋼の材質特性の差が緩和されず、各種
の形状の製品に成形加工しがたくなるものである。逆
に、1/20よりも小さいと、熱延時とか成形加工時
に、チタンが局部的に破断し、母材の普通鋼が露出する
恐れがあり、又、目的とする耐食性、耐久性の確保が困
難になる傾向にある。尚、本発明にあっては合せ材のチ
タンは純チタンだけでなく、耐食合金チタン、α合金チ
タン、ニアα合金チタン、α−β合金チタン、β合金チ
タン等のチタン合金も採用できるものである。
【0013】次に、本発明にあっては、母材の普通鋼と
合せ材のチタンを爆着法により接合するのであるが、ま
ず、普通鋼スラブをスカーフィング等で平滑に仕上げ、
且つスケールを除去して母材とする。強固な界面接合強
度を得るために普通鋼スラブと合せ材のチタンとは一定
の間隙を有するように配置する。例えば、1mmであ
る。これを適当な爆速、例えば2000m/sec以下
の爆速を有する爆薬により爆着する。次いで、爆薬の配
置場所にもよるが、合せ材たるチタンの周縁部が普通鋼
スラブ端部よりはみ出た形状になるので、機械的に切断
除去して端面形状の優れたチタンクラッド普通鋼スラブ
を製造する。この場合、スラブの普通鋼とチタン層との
間に純鉄(炭素含有量0.003%以下)又はNiを中
間材として挿入してスラブ加熱および熱間圧延時のチタ
ン炭化物の生成を抑制するようにしてもよい。この中間
材の厚みは1mm以下が好ましく、例えば、スラブを製
造する際に母材たる普通鋼と合せ材たるチタンの間に挟
んで同時に爆着圧着させればよい。この中間材により、
炭化物が生成しなくなり、金属間化合物はTi−Fe系
のみとなり、接合強度及び耐変形性が著しく向上する。
【0014】本発明にあっては、チタンクラッド普通鋼
スラブのチタン層側に捨て材が接合されてチタンクラッ
ド普通鋼複合材が形成されている。この捨て材により、
チタンクラッド普通鋼複合材の熱間圧延前及び熱間圧延
時のチタンへの酸素侵入による酸化膜及び硬化層の生成
が確実に阻止でき、大気中で熱間圧延できるだけでな
く、チタンの損失がなくなる。従って、普通鋼及びチタ
ンのいずれも熱間圧延時の変形抵抗が低く、容易に圧延
できる温度、例えば、その溶体温度である800℃以上
の圧延温度を採用できる。捨て材としては、普通鋼とか
5%Cr鋼やSi含有低合金鋼、Mn含有低合金鋼等、
あるいはアルミナ系酸化物、水ガラスのようなシリカ系
酸化物等の酸化物を採用できるが、コスト、除去性及び
作業性の点で普通鋼が好ましい。この捨て材は、例え
ば、普通鋼の場合、普通鋼とチタンを爆着法により接合
しておき、この複合材と普通鋼を爆着法により接合する
ことにより設けてもよく、又、捨て材たる普通鋼、チタ
ン、母材たる普通鋼を同時に爆着させて設けるようにし
てもよく、更にはチタンの片面に捨て材たる普通鋼をシ
ーム溶接等により接合しておき、この複合材と母材たる
普通鋼とを爆着法により接合するようにして設けてもよ
い。又、アルミナ系酸化物の場合は、チタンクラッド普
通鋼スラブのチタン層側にロール等で塗布し、乾燥して
設ければよい。又、捨て材の厚みは、熱間圧延後に除去
を考慮すれば、圧延終了時に数10μm残存する程度が
好ましい。薄すぎると熱間圧延時下層のチタンが露出し
て酸化してしまうおそれがある。
【0015】このようにして製造したチタンクラッド普
通鋼複合材は、好ましくは800℃〜1050℃で1〜
5時間加熱し、リバースまたはタンデム式で数段、例え
ば5スタンドを使用するパススケジュールで熱間圧延す
る。この場合、製品板厚を爆着スラブの1/20以下
(全圧延率95%以上)とする場合には、熱間圧延だけ
で所望の板厚を得るの困難であるので、引き続いて冷間
圧延が必要となる。
【0016】製品板厚が爆着スラブの1/20以上、圧
延率90〜95%の場合は、冷間圧延は必ずしも必要で
なく、熱間圧延機の能力、製品たる鋼板表面に求められ
る平滑さ、鋼板自身の形状によって決められる。冷間圧
延で仕上げた方が、これら特性は良好となるが、製造コ
ストが上昇するので、適宜選択をすればよい。いずれに
しても、熱間圧延後、酸化膜を含む捨て材及び母材たる
普通鋼上の酸化膜を除去する。この除去は、酸洗法等の
化学的手段あるいは、研削法等の機械的手段を採用でき
る。例えば、捨て材として普通鋼を採用した場合は、塩
酸や硫酸の酸洗液に浸漬してスケールと共に除去する。
【0017】捨て材をスケールと共に除去した後冷間圧
延を行う。冷間圧延率は製造する製品の板厚によって当
然異なり、パス回数も異なってくるが、変形抵抗差が製
品の反りを生む程大きな冷間圧延率をとる必要がある場
合には、異周速圧延その他上下面でロールと材料間の摩
擦抵抗を変える必要がある。
【0018】この場合、ワークロール自身はできるだけ
小径のロールの方が、圧延率の確保、形状向上、エネル
ギー低減の点で有利である。冷間圧延により鋼板の表面
の平滑さが得られるが、冷間圧延後の鋼板は、用途によ
り焼き鈍し、調質圧延を施してもよい。このようにして
製造したチタンクラッド普通鋼板は、耐酸、耐海水、耐
腐食性ガス等の耐食性及び耐熱性に優れる工業材料とし
て、種々の分野に好適に採用できるものである。
【0019】次に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。以下において成分の割合を示す%は重量%で
ある。 (実施例1)成分がC:0.06%、Si:0.01
%、Mn:0.01%、P:0.002%、S:0.0
01%、Fe:Bal.で、厚さ30mm、縦2000
mm、横900mmの普通鋼スラブをスカーフィングに
より平滑に仕上げ、且つスケールを除去して母材とし
た。
【0020】次に、合せ材である厚さ3.0mm、縦2
100mm、横1000mmのJIS第1種の工業用純
チタン板の片面に同じ大きさで厚さ0.5mmの鋼板を
シーム溶接で接合し、このものを鋼板を上面にして上記
スラブ上に間隔が1mmとなるように配置して、150
0m/sec以下の爆速を有する爆薬により爆着した。
【0021】次いで、合せ材たるチタン板の上記スラブ
端部よりはみ出た周縁部を機械的に切断除去してチタン
クラッド普通鋼複合材を製造した。この後、チタンクラ
ッド普通鋼複合材を900℃で5時間加熱し、リバース
式で1スタンドを使用して熱間圧延して、チタンクラッ
ド熱延鋼板を得た。圧延率は80%であった。この場
合、捨て材及び母材たる普通鋼板にはスケールの生成が
認められた。
【0022】この後、40℃の15%の塩酸中に浸漬し
て、熱間圧延時に生成したスケールと残存している普通
鋼層を完全に除去して厚さ6.6mmのチタンクラッド
鋼板を製造した。 (実施例2)チタンクラッド普通鋼複合材を950℃で
5時間加熱し、熱間圧延率を92%とした以外は実施例
1と同様にして厚さ2.5mmのチタンクラッド鋼板を
製造した。 (実施例3)成分がC:0.06%、Si:0.01
%、Mn:0.01%、P:0.002%、S:0.0
01%、Fe:Bal.で、厚さ30mm、縦2000
mm、横900mmの普通鋼スラブをスカーフィングに
より平滑に仕上げ、且つスケールを除去して母材とし
た。
【0023】次に、合せ材である厚さ3.0mm、縦2
100mm、横1000mmのJIS第1種の工業用純
チタン板の片面に同じ大きさで厚さ0.5mmの鋼板を
シーム溶接で接合し、このものを鋼板を上面にして上記
スラブ上に間隔が1mmとなるように配置して、150
0m/sec以下の爆速を有する爆薬により爆着した。
【0024】次いで、合せ材たるチタンの上記スラブ端
部よりはみ出た周縁部を機械的に切断除去してチタンク
ラッド普通鋼複合材を製造した。この後、チタンクラッ
ド普通鋼複合材を950℃で5時間加熱し、リバース式
で1スタンドを使用して熱間圧延して、チタンクラッド
熱延鋼板を得た。圧延率は80%であった。この場合、
捨て材及び母材たる普通鋼にはスケールの生成が認めら
れた。
【0025】この後、40℃の15%の塩酸中に浸漬し
て、熱間圧延時に生成したスケールと残存している普通
鋼層を完全に除去した。この後、6ハイの冷間圧延機
(ワークロール径200mm)2スタンドを使用して冷
間圧延を行った。圧延油は鉱物油を使用した。圧延率は
80%であった。このようにして全圧延率が96%で製
品厚みが1.3mmのチタンクラッド冷延鋼板を製造し
た。 (実施例4)熱間圧延率を60%とし、冷間圧延率を8
0%とした以外は実施例3と同様にして全圧延率が92
%で製品厚みが2.5mmのチタンクラッド冷延鋼板を
製造した。 (実施例5)チタンクラッド普通鋼スラブを普通鋼スラ
ブとチタン板との間に中間材として0.1mm厚さの純
鉄板を配置して爆着させて製造した以外は、実施例1と
同様にして全圧延率が92%で製品厚さが2.6mmの
チタンクラッド熱延鋼板を製造した。 (実施例6)チタンクラッド普通鋼スラブを普通鋼スラ
ブとチタン板との間に中間材として0.1mm厚さの純
度99.9%のNi板を配置して爆着させて製造した以
外は、実施例5と同様にして全圧延率が92%で製品厚
さが2.6mmのチタンクラッド冷延鋼板を製造した。 (実施例7)普通鋼の代わりに、フレーク状の200メ
ッシュ以下のアトマイズ粉100重量部とキシレン60
%、フタル酸アルキド樹脂40%に懸濁させたブロンズ
粉80重量部とトルエン100重量部とを混合させてス
ラリー状のアルミナ系酸化物を調製し、このものをチタ
ン板の片面に塗布し、乾燥させて重量20g/m2 の捨
て材を設けた以外は実施例4と同様にして全圧延率が9
2%で製品厚みが2.5mmのチタンクラッド冷延鋼板
を製造した。 (比較例1)チタン板の片面に鋼板を接合しないで熱間
圧延後チタンクラッド普通熱延鋼板の酸洗時間を4倍と
して両面のスケールを完全に除去した以外は、実施例1
と同様にして全圧延率が80%で製品厚さが6.6mm
のチタンクラッド熱延鋼板を製造した。 (比較例2)チタン板の片面に鋼板を接合しないで熱間
圧延後チタンクラッド熱延鋼板の酸洗時間を4倍として
両面のスケールを完全に除去した以外は、実施例2と同
様にして全圧延率が92%で製品厚さが2.5mmのチ
タンクラッド冷延鋼板を製造した。 (比較例3)チタン板の片面に鋼板を接合しないで熱間
圧延後チタンクラッド熱延鋼板の酸洗時間を4倍として
両面のスケールを完全に除去した後冷間圧延を行った以
外は、実施例4と同様にして全圧延率が92%で製品厚
さが2.3mmのチタンクラッド冷延鋼板を製造した。
このようにして製造したチタンクラッド普通鋼鋼板につ
いて以下の品質を評価した。結果を第2表に示す。 A.外観 外観を目視観察して異常の有無を観察した。
【0026】◎:均一な外観 ○:略均一な外観 ×:表面欠陥(荒れ、チタン層のめくれ、母材層の露出
等)が有る場合B.非接合部の有無 JISG3603に準拠して超音波探傷により非接合部
の有無を調べた。
【0027】○:非接合部が認められなかった △:僅かな非接合部が認められた ×:かなりの非接合部が認められた C.接合部における炭化物の有無 JISG3603に準拠して接合部断面を顕微鏡観察
し、炭化物の析出状況を調べた。
【0028】◎:全く炭化物の析出が認められなかった ○:極わずかな炭化物の析出が認められた ×:かなりの炭化物の析出が認められた D.剪断強度(kgf/mm2 ) E.曲げ、曲げ戻し試験 合せ材を上面にしてポンチ(厚さ10×幅30mm)で
押し込んで試料90°の曲げを加え、次いで母材を上面
にしてポンチで押し込み試料を真っ直ぐに戻す。この過
程で母材と合せ材の接合面に大きな剪断力が作用する。
剥離状況を目視観察した。
【0029】○:剥離なし ×:剥離発生 F.耐食性及び耐久性試験 評価Eで実施した曲げ試験後のサンプルを30日間、7
0℃、5%の塩水へ浸漬して界面部への塩水の浸透及び
それにともなう剥離の進行の有無を観察した。
【0030】○:剥離が認められなかったもの ×:剥離は認められたもの 又、この場合、切断端面等における母材の錆の発生を観
察した。 ○:錆の発生が認められなかった ×:錆の発生が認められた 第1表 製造条件 母材 合せ材 中間材 捨て材 製品 圧延率( %) 厚(mm) 厚(mm) 種 厚(mm) 厚(mm) HR CR TR 実施例1 30 3 無 Fe 0.5 6.6 80 - 80 2 30 3 無 Fe 0.5 2.5 92 - 92 3 30 3 無 Fe 0.5 1.3 80 80 96 4 30 3 無 Fe 0.5 2.5 60 80 92 5 30 3 有(Fe) Fe 0.5 2.6 60 80 92 6 30 3 有(Ni) Fe 0.5 2.6 60 80 92 7 30 3 無 Al2o3 0.5 2.5 60 80 92 比較例1 30 3 無 無 6.4 80 - 80 2 30 3 無 無 2.3 92 - 92 3 30 3 無 無 2.3 60 80 92 第2表 品質評価試験 外観 非接合部 炭化物 剪断強度 曲げ試験 浸漬試験 剥離 錆 実施例1 ○ ○ ○ 30 ○ ○ ○ 2 ○ ○ ○ 33 ○ ○ ○ 3 ◎ ○ ○ 42 ○ ○ ○ 4 ◎ ○ ○ 39 ○ ○ ○ 5 ◎ ○ ○ 48 ○ ○ ○ 6 ◎ ○ ○ 43 ○ ○ × 7 ○ ○ ○ 43 ○ ○ ○ 比較例1 × × ○ 20 × × ○ 2 × × ○ 22 × × ○ 3 × △ ○ 25 × × ○ 第2表の結果より、実施例のものにあっては、高温での
熱間圧延にも拘わらず、捨て材によりチタンの酸化が防
止されて均一で美麗な外観を有していた。又、炭化物の
生成もなく、接合強度が大きく、特に、中間材を介在さ
せた実施例6及び7にあっては、非接合部が全く形成さ
れなく、接合強度が非常に大きなものとなっている。こ
のように本発明の実施例にあっては、全ての品質に優
れ、屋根材、壁材等の外装材として好適に採用できるこ
とが判る。
【0031】これに対して、比較例のものにあっては、
チタン表面に荒れが認められた。これは、高温での熱間
圧延により生成したチタンの酸化膜が原因であり、特
に、比較例3及び4にあっては、酸化膜が冷間圧延によ
り破砕され、チタン表面に無数の疵を形成していた。
又、比較例にあっては、非接合部が存在し、従って、剪
断強度が低く、曲げ試験及び浸漬試験において剥離が見
られたのは、熱間圧延時に生成する酸化膜は硬いが不均
一なため圧延荷重が接合界面に伝達されにくいためであ
ると考えられる。又、この酸化膜の生成により、第1表
から明らかなように製品厚が実施例のものに比して小さ
くなり、チタンが損失してしまっていることが判る。
【0032】
【発明の効果】本発明にあっては、爆着法により合せ材
と母材の接合界面が冷間で瞬時に形成されるので、炭化
物や窒化物あるいは層状のTi−Fe系金属化合物が形
成されず、清浄な境界を有し、接合強度が大きくなる。
又、爆着スラブは界面近傍部の硬度分布がなだらかなの
で、圧延時の界面剥離や形状不良に心配がなく、品質的
に優れた特性を確保できる。又、爆着スラブ界面には金
属間化合物がなく、冶金的に密着した組織であり、しか
もスラブのチタン層側に捨て材を接合させたチタンクラ
ッド普通鋼複合材を熱間圧延するので、チタンが捨て材
により保護され、真空中や減圧下で圧延する必要がな
く、大気中で熱延可能で、装置的、経済的に負担が小さ
くてすむだけでなく、熱間圧延の温度条件を変形抵抗の
小さい高温に設定でき、高圧下率を採用でき、電力費、
ロール寿命及びエネルギーの損失がなく、しかも、酸化
や酸素による硬化に伴うチタンの損失がなくコスト面で
極めて有利となる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合せ材であるチタンと母材である普通鋼と
    を爆着法により接合したチタンクラッド普通鋼スラブの
    チタン層側に捨て材を接合させたチタンクラッド普通鋼
    複合材を熱間圧延後捨て材を除去して成ること特徴とす
    るチタンクラッド鋼板。
  2. 【請求項2】捨て材を除去した後冷間圧延させて成るこ
    とを特徴とする請求項1記載のチタンクラッド鋼板。
  3. 【請求項3】普通鋼とチタン層の間に中間材層を介在さ
    せて成ることを特徴とする請求項1又は2記載のチタン
    クラッド鋼板。
  4. 【請求項4】捨て材が普通鋼であることを特徴とする請
    求項1、2又は3記載のチタンクラッド鋼板。
  5. 【請求項5】合せ材であるチタンと母材である普通鋼と
    を爆着法により接合したチタンクラッド普通鋼スラブの
    チタン層側に捨て材を接合させてチタンクラッド普通鋼
    複合材を熱間圧延し、次いで捨て材を除去することを特
    徴とするチタンクラッド鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】捨て材を除去した後冷間圧延することを特
    徴とする請求項5記載のチタンクラッド鋼板の製造方
    法。
  7. 【請求項7】熱間圧延を温度800℃以上で行うことを
    特徴とする請求項5又は6記載のチタンクラッド鋼板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】チタンクラッド普通鋼スラブを、普通鋼と
    チタン層の間に中間材層を介在させて爆着法により接合
    させて製造することを特徴とする請求項5、6又は7記
    載のチタンクラッド鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】捨て材が普通鋼であることを特徴とする請
    求項5、6、7又は8記載のチタンクラッド鋼板の製造
    方法。
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