JP6926927B2 - Alめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品 - Google Patents

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Description

本発明は、Alめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品に関する。
近年、環境保護及び地球温暖化の抑制のために、化石燃料の消費を抑制する要請が高まっており、この要請は、様々な製造業に対して影響を与えている。例えば、移動手段として日々の生活や活動に欠かせない自動車についても例外ではなく、車体の軽量化などによる燃費の向上等が求められている。しかしながら、自動車では単に車体の軽量化を実現することは製品品質上許されず、適切な安全性を確保する必要がある。
自動車の構造の多くは、鋼材(特に、鋼板や鋼管)により形成されており、これら鋼材の質量を低減することが、車体の軽量化にとって重要である。しかしながら、上述の通り、単に鋼材の質量を低減することは許されず、鋼材の機械的強度を確保することもが求められる。このような鋼材に対する要請は、自動車製造業のみならず、様々な製造業でも同様に高まっている。よって、鋼材の機械的強度を高めることにより、以前使用されていた鋼材より薄くしても機械的強度を維持又は高めることが可能な鋼材について、研究開発が行われている。
一般的に、鋼管は、その閉断面形状に起因して質量に対する剛性を保ちやすいという特徴があり、種々の部材の軽量化に貢献する可能性がある。ただし、高い機械的強度を有する鋼管材料は、曲げ加工等の成形加工において、成形性及び形状凍結性が低下する傾向にあり、複雑な形状に加工する場合、加工そのものが困難となる。この鋼管の成形性についての問題を解決する手段の一つとして、近年、STAF(Steel Tube Air Forming)(登録商標)工法と呼ばれる方法が提案されている(例えば、以下の特許文献1及び特許文献2を参照。)。このSTAF工法では、成形対象である鋼管を金型で挟持したうえで、一旦高温(例えば、オーステナイト域)まで通電加熱し、加熱により軟化した鋼管の中空部に対して所定の圧力の気体を供給することでブロー成形した後に、冷却する。このSTAF工法によれば、鋼管を一旦高温に加熱して軟化させるため、鋼管を容易にブロー加工することができ、更に、成形後の冷却による焼き入れ効果により、鋼管の機械的強度を高めることができる。従って、かかるSTAF工法により、良好な形状凍結性と高い機械的強度とを両立したフランジ部を有する中空部材を、容易に製造することができる。
ここで、STAF工法と類似する技術として、鋼管に対して加熱、成形及び焼入れを行う3DQ(Three−dimensional hot bending and direct quench)と呼ばれる技術がある。3DQは、内圧を付与するわけでないために、拡管/縮管加工が困難であり、また、フランジを付与することも難しい一方で、STAF工法は、拡管/縮管加工が可能であり、また、フランジを付与することも可能である。そのため、STAF工法により製造された中空部材は、その後、部品として他の部品との接合が容易になるという特徴を有している。
特開2016− 36816号公報 特開2016−112567号公報
上記特許文献1及び特許文献2に開示されているようなSTAF工法を、例えば酸素を含む大気中で実施した場合、鋼管を例えば800℃以上の高温に加熱することで表面の鉄などが酸化して、スケール(酸化物)が発生する。従って、STAF工法を適用した後に、表面に発生したスケールを除去する工程(デスケーリング工程)が必要となり、生産性が低下する。また、耐食性を必要とする部材等では、加工後に部材表面へ防錆処理や金属被覆を実施する必要があり、表面清浄化工程、表面処理工程が必要となって、やはり生産性が低下する。更に、デスケーリングの目的でショットブラストを使用した場合には、かかるショットブラスト工程による形状劣化の懸念があり、また、デスケーリングの目的で酸洗を使用した場合には、酸処理液の廃棄工程が必要となる。
このような生産性の低下等を抑制するために、本発明者らは、STAF工法に供される鋼管の表面を被覆することを検討した。かかる被覆の一例として、自動車鋼板等に広く用いられている、犠牲防食作用のある亜鉛系めっき被覆が考えられる。しかしながら、STAF工法における加熱温度(例えば、800〜1000℃程度)は、有機系材料の分解温度やZnの沸点(907℃)より高くなる可能性があり、STAF工法において材料を加熱したときに表面のめっき層が蒸発して、表面性状の著しい劣化の原因となることが懸念される。そこで、本発明者らが更なる検討を行った結果、高温に加熱するSTAF工法を実施する鋼管に対しては、Zn系の金属被覆に比べて沸点が高いAl系の金属を被覆した鋼管(いわゆるAlめっき鋼管)を使用することが望ましいのではないか、との知見を得るに至った。
ここで、Alめっき鋼管を製造する方法としては、例えば、鋼板の両面にAlめっきが施されたAlめっき鋼板を曲げ加工し、両端部を押しつけて電縫溶接する方法や、鋼管を溶融Alめっき浴に浸漬したり、アルミイオンを含む非水溶液を用いて電気めっきしたりするなどして、鋼管の表面にAlめっき層を形成する方法等が考えられる。かかる方法により製造されたAlめっき鋼管の少なくとも外表面には、Alめっき層が存在する。かかるAlめっき鋼管をSTAF工法により加工してAlめっき鋼管部品とした場合、Alめっき鋼管のAlめっきは合金化されてFe−Al合金層となる。
一方、STAF工法により製造されるAlめっき鋼管部品のうち、フランジ部の端部は、180度0T曲げという厳しい加工を受けるが、上記のFe−Al合金層はAlよりも硬いために、フランジ部の端部でめっきの割れが生じてFeが露出してしまうことが懸念される。めっきに割れが生じてFeが露出してしまうと、フランジ部の端部における耐食性が低下して、STAF工法による高温成形中にFeOスケールが成長したり、製造されたAlめっき鋼管部品を使用している際に赤錆が発生したりする可能性が高くなる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より優れたフランジ部耐食性を有するAlめっき鋼管部品を実現することが可能なAlめっき鋼管部品の製造方法と、より優れたフランジ部耐食性を有するAlめっき鋼管部品と、を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、STAF工法により製造されるAlめっき鋼管部品において、生成されるめっき層を特定の合金相を主体とするめっき層とすることで、より優れたフランジ部耐食性を実現できるのではないか、との着想を得ることができた。
すなわち、フランジ部の耐食性を向上させるためには、STAF工法において、フランジ部を形成するための加工が加えられた場合であっても、めっき層が加えられた加工に追随すればよいと考えられる。一方、Al及びSiを含むAlめっき層は、STAF工法により熱間ブロー成形される際に、Fe−Al系合金相へと変化する。そこで、本発明者らは、Fe−Al系合金について、高温での延性に着目して鋭意検討した結果、(1)Fe−Al系合金のうち高温での延性が大きい合金相は、FeAl相である、(2)Al相と比較して塑性能の温度依存性が小さく、かつ、高温での延性が小さい合金相は、Fe−Al系合金のε相である、という2つの知見を得ることができた。かかる知見に基づき、本発明者らは、少なくともフランジ部については、FeAl相を選択的に成長させ、かつ、ε相が成長しないようにすることで、フランジ部のより優れた耐食性を実現できることに想到した。
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱して、当該加熱温度を1秒以上5分以下保持する加熱工程と、前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。
[2]Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、1102℃未満の所定の温度まで予熱する予熱工程と、予熱された前記Alめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱する加熱工程と、前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。
[3]前記Alめっき層の付着量は、一面あたり10g/m〜100g/mの範囲内である、[1]又は[2]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[4]前記Alめっき層は、Al−6〜15質量%Siめっき層、又は、55質量%Al−Zn−1.6質量%Siめっき層である、[1]〜[3]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[5]前記成形工程後の前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[1]〜[4]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[6]前記加熱工程では、少なくとも前記張出工程において前記張出部となる位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、前記張出部とはならない位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、を別個に設けておき、前記張出部となる位置に対応する前記Alめっき鋼管の部位を、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで加熱する、[1]〜[4]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[7]前記成形工程後の前記フランジ部を被覆する前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[6]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[8]前記Alめっき鋼管の素地鋼の化学組成は、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.003〜0.050%、S:0.05%以下、Cr:0.1〜0.5%、Ti:0.01〜0.10%、Al:1%以下、B:0.0002〜0.004%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなる、[1]〜[7]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[9]前記Alめっき鋼管の素地鋼は、残部のFeの一部に換えて、1質量%以下のCu、2質量%以下のNi、1質量%以下のMo、1質量%以下のV、及び、1質量%以下のNbの少なくとも何れかを更に含有する、[8]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[10]所定の断面形状を有する中空部と、前記中空部の外表面から突出するフランジ部と、を少なくとも備え、前記中空部及び前記フランジ部は、同一の鋼材を素材とし、かつ、前記中空部と前記フランジ部との間で接合面が存在せずに一体となっており、前記中空部及び前記フランジ部の表面は、Fe−Al系合金を含むめっき層で被覆されており、前記フランジ部の端部を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、Alめっき鋼管部品。
[11]前記中空部の表面を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[10]に記載のAlめっき鋼管部品。
12]前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:34°〜35°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:37°〜38°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:35°〜37°の範囲内のピークの最大強度をIとしたときに、以下の式(3)で表される関係が成立する、[10]又は11]に記載のAlめっき鋼管部品。
13]前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:43.5°〜44.5°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:46°〜47°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:44.5°〜45.4°の範囲内のピークの最大強度をIとしたときに、以下の式(5)で表される関係が成立する、[10]〜[12]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品。
14]連続した異形閉断面構造を有する、[10]〜[13]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品。
Figure 0006926927
以上説明したように本発明によれば、より優れたフランジ部耐食性を有するAlめっき鋼管部品を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの他の一例を示した流れ図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の他の一例を模式的に示した説明図である。 Fe−Al系合金のうちFeAl相について説明するための説明図である。 Fe−Al系合金のε相について説明するための説明図である。 めっき層に存在しうるAlについて説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(Alめっき鋼管部品の製造方法について)
以下では、図1〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。図2A〜図2Cは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について説明するための説明図である。図3は、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの他の一例を示した流れ図である。
本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法は、Alめっき鋼管を素材として、かかるAlめっき鋼管を以下で例示するようなSTAF工法により熱間ブロー成形することで、中空部とフランジ部とを有するAlめっき鋼管部品を製造する方法である。
<Alめっき鋼管の製造方法について>
まず、STAF工法に供するAlめっき鋼管の製造方法について、説明する。
STAF工法に供するAlめっき鋼管は、公知の方法を用いて製造することが可能である。例えば、以下で詳述するような化学成分を有する鋼板に対し、公知の方法によりAlめっきを施してAlめっき鋼板を製造した後、得られたAlめっき鋼板を曲げ加工し、両端部を押付けて電縫溶接することで製管して、Alめっき鋼管(より詳細には、Alめっき溶接管)とすることができる。電縫溶接としては、高周波溶接が用いられることが多い。通常、溶接ビード部となる部位のめっき層は、予め研削等で除去してから溶接することが好ましい。また、溶接後に溶接ビード部を平坦にするために、切削加工等を用いることが好ましい。更に、溶接ビード部にはめっきが被覆されていないため、その後の熱間プレス加工時の表面酸化とそれに伴う表層からの脱炭、及び、使用時の腐食等が生じうる。上記の可能性を回避するために、溶接ビード部に対してAlを含有する金属を溶射して、溶接ビード部上に溶射皮膜を形成することが好ましい。ここで、Alを含有する金属とは、純Al、Al−Zn、Al−Si、Al−Mg等を挙げることができる。Alは、耐熱性に優れるために、熱間プレス時の保護性に優れる。この際の溶射皮膜の厚みは、例えば、5〜100μmが好ましい。ここで、溶射は、鋼管外面に対して行うものとする。
また、STAF工法に供するAlめっき鋼管は、以下で詳述するような化学成分を有する鋼塊を用いて製造された鋼管に対して、公知の方法によりAlめっきを施したり、かかる鋼塊を用いて製造された鋼板に対して、公知の方法によりAlめっき及び造管加工を施したりすることで、製造することが可能である。
かかるAlめっき鋼管の素地鋼としては、STAF工法による加工後に高い機械的強度(例えば、引張強度、降伏点、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さなどの機械的な変形又は破壊に関する諸性質を意味する。)を有するように設計された鋼材(例えば、焼入れ性の高い鋼材)を使用することが好ましい。本実施形態で使用されうる、高い機械的強度を実現する鋼材の成分の一例は、以下の通りである。
かかる素地鋼の化学組成は、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.003〜0.050%、S:0.05%以下、Cr:0.1〜0.5%、Ti:0.01〜0.10%、Al:1%以下、B:0.0002〜0.004%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなることが好ましい。また、かかる素地鋼は、残部のFeの一部に換えて、1質量%以下のCu、2質量%以下のNi、1質量%以下のMo、1質量%以下のV、及び、1質量%以下のNbの少なくとも何れかを更に含有してもよい。
上記のような成分を含有する鋼材は、Alめっきされた後、STAF工法における通電加熱及び金型での冷却によって焼入れされて、引張強度で約1500MPa以上の機械的強度を有するようになる。このように高い機械的強度を有する鋼材ではあるが、STAF工法を採用することで、通電加熱により軟化した状態でブロー加工を行うことができるので、容易に成形することができる。また、鋼材は、高い機械的強度を実現でき、ひいては、軽量化のために薄くしたとしても機械的強度を維持又は向上することができる。
かかる素地鋼を用いた鋼管の少なくとも外表面には、アルミニウム系めっき層を備える鋼管をAc3点以下の温度で合金化処理することで生成された、Al及びSiを含有するAlめっき層が形成されている。かかるAlめっき層は、50質量%以上のAlとSiとを含有する各種Al合金を含む合金めっき層を意味している。かかるAlめっき層としては、例えば、Al−6〜15質量%Siめっき層、又は、55質量%Al−Zn−1.6質量%Siめっき層を挙げることができる。かかるAlめっき層は、溶融めっき法により形成されたアルミニウム系めっき層を合金化処理することで形成してもよいし、電気めっき法により形成してもよい。
かかるAlめっき層の付着量は、例えば、Alめっき鋼管の一面あたり、STAF工法に供する前の時点で10g/m〜100g/mの範囲内であることが好ましい。Alめっき層の付着量が10g/m未満となる場合には、製造されるAlめっき鋼管部品の耐食性が十分ではなくなる可能性があるため、好ましくない。また、Alめっき層の付着量が100g/mを超える場合には、Alめっき鋼管部品の耐食性が飽和する一方で、Alめっき鋼管部品の製造コストが増加するため、好ましくない。また、Alめっき層の付着量が100g/mを超える場合、Alめっき鋼管を以下で詳述するようなSTAF工法により加工する際に、溶融したAlめっきの一部が液タレとなり、STAF工法による加工に追随できなくなる可能性があるため、好ましくない。Alめっき層の付着量は、より好ましくは、20g/m〜80g/mの範囲内である。なお、上記のめっき付着量は、Alめっき層中に含有されるFeやSi等も加算したものとする。
また、得られたAlめっき鋼管の表面に、予めZnOを主体とする皮膜(表面皮膜層)を付与してもよい。かかる表面皮膜層は、Alめっき層の表面に積層させる。この表面皮膜層は、少なくとも、ZnOを含有するものとする。ZnOの微粒子を水溶液中に懸濁させた液を用い、かかる懸濁液をロールコーター等で塗布及び乾燥させることで、表面皮膜層を形成することができる。かかる表面皮膜層がAlめっき層の表面に存在することで、製造されたAlめっき鋼管部品に対して各種の化成処理を施す場合に、化成処理液との反応性を改善する(換言すれば、化成処理皮膜との塗膜密着性を向上させる)ことができる。また、かかる表面皮膜層は、STAF工法における潤滑性(すなわち、素材であるAlめっき鋼管と、STAF工法に用いられる金型との間の潤滑性)を改善することができる。
表面皮膜層において、ZnO以外の成分としては、例えば有機物のバインダー成分を含有させることができる。有機性バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シランカップリング剤などの水溶性樹脂が挙げられる。また、表面皮膜層に対し、ZnO以外の酸化物(例えば、SiO、TiO、Al等)を含有させることも可能である。
上記のようなバインダー成分を含む表面皮膜層の形成方法としては、例えば、ZnOを含有する懸濁液を所定の有機性のバインダーと混合してAlめっき層の表面に塗布する方法や、粉体塗装による塗布方法などが挙げられる。また、表面皮膜層の形成方法は、上記の例に限定されるものではなく、公知の様々な方法により形成可能である。
かかる表面皮膜層の付着量は、Alめっき鋼管の一面あたり、金属Znとして、0.1g/m〜1g/mの範囲内であることが好ましい。表面皮膜層の付着量が0.1g/m以上である場合に、上記のような塗膜密着性向上効果や潤滑性向上効果などを効果的に発揮させることができる。一方、表面皮膜層の付着量が1g/m2を超える場合には、必要以上の皮膜を付与しているために、経済合理性に欠ける。なお、自動車等に用いられる高強度鋼管部品において、鋼管部品の内面は腐食環境に晒される可能性は低いため、表面皮膜層を、Alめっき鋼管の外面となる側だけに付与することも可能である。
<STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法について>
次に、図1〜図2Cを参照しながら、STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係るAlめっき鋼管部品は、例えば上記特許文献1又は特許文献2に開示されているような、STAF工法に適した成形装置を用いて、Alめっき鋼管を素材として製造される。
STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法は、図1に示したように、加熱工程(ステップS101)と、張出工程(ステップS103)と、成形工程(ステップS105)と、を含む。
加熱工程(ステップS101)は、図2Aに模式的に示したように、上記のような化学成分を有する鋼管101と、鋼管101上に位置する、上記のようなAlめっき層103と、を有するAlめっき鋼管100を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型200の間(図2Aにおける上型201と、下型203との間)に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで、通電加熱により加熱して、かかる加熱温度を1秒以上5分以下保持する工程である。
かかる加熱工程において、上型201及び下型203を含む金型200を完全に閉めるのではなく、素材となるAlめっき鋼管100が金型200に完全に密着しない程度に金型を開けて、通電加熱を行うことが好ましい。
Alめっき鋼管100が上記のような特定の加熱温度まで加熱されることで、Alめっき鋼管100は柔らかくなり、金型200と接触した部分は、変形し始めるとともに、金型200により熱が奪われて、部分的に冷却が始まる。また、Alめっき層103の合金化が進行し、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層へと変化していく。
Fe−Al系合金のFeAl相は、先だって言及したように、Fe−Al系合金の様々な合金相のうち高温での延性が大きい合金相である。一方で、Fe−Al系合金の様々な合金相のうち、ε(FeAl)相は、Al相と比較して塑性能の温度依存性が小さく、かつ、高温での延性が小さい合金相である。そこで、STAF工法により製造されるAlめっき鋼管部品のめっき層(特に、フランジ部におけるめっき層)を、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、ε相を含まないめっき層とすることで、フランジ部の成形の際に、例えば180度0T曲げのような厳しい加工が加えられたとしても、めっき層の割れが生じずに、フランジ部の耐食性を向上させることができる。また、Alめっき鋼管部品のめっき層中に未合金のAlが残存した場合、未合金のAlが残存する部位のみが急速に腐食して、装後耐食性において塗膜膨れが極めて起こりやすくなるために好ましくない。そこで、本実施形態では、加熱工程における加熱温度を適切に制御することで、STAF工法によって生成されるめっき層を、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層とする。
加熱工程における加熱温度を、Ac3変態点以上1102℃未満とすることで、選択的にFeAl相を成長させ、ε相を含まない合金相を得ることが可能となる。加熱温度がAc3変態点未満である場合には、Alめっき鋼管を焼き入れすることができず、機械的強度に優れるAlめっき鋼管部品を製造することができない。ここで、Ac3変態点の具体的な温度は、Alめっき鋼管の素地鋼の化学成分に依存するが、例えば700℃〜800℃程度の範囲内となる。一方、加熱温度が1102℃以上となる場合には、Fe−Al系合金のε相が選択的に成長してしまい、FeAl相を主体とするめっき層を生成することができない。かかる加熱温度は、好ましくは、900℃以上1000℃以下である。
また、かかる加熱温度の保持時間が1秒未満である場合には、STAF工法により製造されたAlめっき鋼管部品のめっき層(特に、フランジ部のめっき層)に、未合金のAlが残存する可能性が高まるため、好ましくない。一方、保持時間が5分を超える場合には、Al中へのFe拡散が進むことでFeAl相が減少し、高温延性の劣るFeAl相やFeAl相が成長してフランジ部端面耐食性の劣化原因となるため、好ましくない。保持時間は、好ましくは、4秒〜15秒の範囲内である。
ここで、通電加熱方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることが可能である。また、Ac3変態点以上1102℃未満の加熱温度までの平均昇温速度については、例えば、50℃/秒〜150℃/秒程度とすることが好ましい。
ここで、本実施形態に係る加熱工程において、STAF工法に供されるAlめっき鋼管の加熱温度を、鋼管全体にわたってAc3変態点以上1102℃未満とした場合、製造されるAlめっき鋼管部品の全体を被覆するめっき層の成分は、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となる。
しかしながら、Alめっき鋼管を通電加熱する通電加熱設備として、(a)後述する張出工程において張出部となる位置(換言すれば、Alめっき鋼管部品のフランジ部となる部位)のAlめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、(b)張出部とはならない位置のAlめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、を別個に設けておくことで、フランジ部となる部分の加熱温度と、フランジ部以外となる部分の加熱温度と、を別個に制御することが可能となる。これにより、Alめっき鋼管部品のフランジ部を被覆するめっき層の成分と、Alめっき鋼管部品のフランジ部以外(すなわち、中空部)を被覆するめっき層の成分と、を別個のものとすることができる。
先ほどから言及しているように、Alめっき鋼管部品のフランジ部となる部分に対して、STAF工法において厳しい曲げ加工が加えられるため、めっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層とすることが必要である。一方で、フランジ部以外のめっき層として、Fe−Al系合金の他の合金相を成長させることで、フランジ部以外のめっき層に他の機能を付加することも可能となる。
例えば、Fe−Al系合金のε相は、高温での延性という観点では、FeAl相に劣るものの、ε相は、FeAl相を含めた他の合金相と比較して、相対的に柔らかい合金相であるため、めっき層としてFe−Al系合金のε相を成長させることで、加工後の耐摩耗性を向上させることができる。かかるε相は、加熱温度を1102℃以上1232℃以下とすることで、選択的に成長させることが可能である。
張出工程(ステップS103)では、図2Bに模式的に示したように、所望の加熱温度まで達したAlめっき鋼管100の中空部に対して、空気圧が抜けないようにした上で、所定圧力の空気を供給することで、Alめっき鋼管100を熱間ブロー成形する。かかる張出工程においても、金型200の型閉めを行わずに、所定圧力の空気が供給される。これにより、Alめっき鋼管100は、中空部に供給される高圧空気により変形して、図2Bに模式的に示したような張出部105が形成されていく。ここで、Alめっき鋼管100の中空部に供給される空気の圧力は、15MPa〜17MPa程度とすることが好ましい。
かかる張出工程は、張出部105の大きさが、製造物であるAlめっき鋼管部品に求められるフランジ幅となるまで継続される。
成形工程(ステップS103)は、図2Cに模式的に示したように、金型200を所定の圧力で型締めした後に、鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部3と、中空部3の外表面から突出するフランジ部5と、を成形する工程である。ここで、鋼管の中空部に供給される空気の圧力は、張出工程で供給される空気の圧力よりも高い圧力であることが好ましく、例えば、20MPa〜40MPaとすることが好ましい。
上記のような高圧空気が供給されることで、Alめっき鋼管100は、型締めされた金型200に完全に密着するようになり、上型201及び下型203で規定される形状に、Alめっき鋼管が変形していく。これにより、中空部3とフランジ部5と、を有するAlめっき鋼管部品1が製造される。ここで、製造されるAlめっき鋼管部品1の鋼材11は、Alめっき鋼管100の鋼管101に由来し、Alめっき鋼管部品1のめっき層13は、Fe−Al系合金のε相を主体とするめっき層となる。
ここで、上記張出工程及び成形工程において、金型200による冷却速度(平均冷却速度)は、例えば20℃/秒以上とすることが好ましい。かかる冷却速度は、焼入により高強度部材を得るために、重要な条件である。なお、冷却速度の上限値は、特に規定するものではないが、実用上300℃/秒以上とすることは困難である。金型による急冷の冷却速度は、より好ましくは、30℃/秒以上300℃/秒以下である。
なお、STAF工法に用いられる上型201及び下型203において、製造されたAlめっき鋼管部品1と、金型200との間の潤滑性を更に向上させるために、上型201及び下型203においてAlめっき鋼管に当接する部分に対し、ZnOを主体とする皮膜を形成してもよい。
<STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法の変形例について>
次に、図3を参照しながら、STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法の変形例について、簡単に説明する。
先だって説明したSTAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法は、Alめっき鋼管を、はじめから通電加熱により、焼き入れが可能であり、Fe−Al系合金のFeAl相が生成され、かつ、ε相が生成しない温度域まで加熱して、所定時間保持するものであった。しかしながら、以下で説明するような方法を用いても、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層を形成することができる。
すなわち、本変形例に係るAlめっき鋼管部品の製造方法は、図3に示したように、予熱工程(ステップS111)と、加熱工程(ステップS113)と、張出工程(ステップS115)と、成形工程(ステップS117)と、を含む。
予熱工程(ステップS111)は、上記のような化学成分を有する鋼管と、鋼管上に位置する、上記のようなAlめっき層と、を有するAlめっき鋼管を、1102℃未満の所定の温度まで予熱する工程である。ここで、Alめっき鋼管の予熱方法は、特に限定されるものではなく、電気炉等の高温に保持された炉内にAlめっき鋼管を通過させることで加熱する方式や、近赤外線加熱炉や高周波加熱、通電加熱を用いる方式など、公知の加熱方法を用いることができる。Alめっき鋼管を1102℃未満の温度まで予熱しておくことで、Alめっき層が金型200に凝着してしまう可能性を低減することが可能となる。また、かかる予熱工程を設けることで、後段で実施される加熱工程において、保持時間を短縮したり、保持時間をゼロとしたりすることが可能となる。また、予熱工程の後に一旦室温まで冷却して保管した後、後段の加熱工程に移ってもよい。
上記予熱工程において、Alめっき鋼管の予熱温度は、例えば、700℃〜900℃の範囲内とすることが好ましい。
予熱工程の後に実施される加熱工程(ステップS113)は、予熱されたAlめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで、通電加熱により加熱する工程である。ここで、本変形例に係る加熱工程は、Ac3変態点以上1102℃未満の加熱温度の保持時間を特に規定しない点を除いては、先だって説明したような、図1及び図2Aに示した加熱工程と同様のものであり、また、同様の効果を奏するものであるため、以下では詳細な説明は省略する。
また、加熱工程(ステップS113)の後に実施される張出工程(ステップS115)及び成形工程(ステップS117)についても、先だって説明したような図1、図2B及び図2Cに示した張出工程及び成形工程と同様のものであり、また、同様の効果を奏するものであるため、以下では詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法では、Alめっき層の形成されたAlめっき鋼管をAc3変態点以上1102℃未満という特定の温度域まで加熱することで、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しない、特定の合金相を生成させる。これにより、フランジ部の耐食性を向上させることができる。
(Alめっき鋼管部品について)
次に、図4A〜図7を参照しながら、上記のようなSTAF工法により製造されるAlめっき鋼管部品について、詳細に説明する。図4Aは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の一例を模式的に示した説明図であり、図4Bは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の他の一例を模式的に示した説明図である。図5は、Fe−Al系合金のうちFeAl相について説明するための説明図であり、図6は、Fe−Al系合金のε相について説明するための説明図であり、図7は、めっき層に存在しうるAlについて説明するための説明図である。
<Alめっき鋼管部品の全体構造について>
本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1は、Alめっき鋼管を素材として、かかるAlめっき鋼管を、上記のようなSTAF工法により成形することで製造される。このAlめっき鋼管部品1は、図4Aに模式的に示したように、中空部3と、フランジ部5と、を有している。
中空部3は、所定の断面形状を有している。ここで、中空部3における断面形状は特に限定されるものではなく、図4Aに示したような矩形状であってもよいし、円形状であってもよいし、楕円形状や多角形状などの各種の異形形状であってもよい。かかる中空部3の断面形状は、STAF工法で使用する金型の形状に依存し、金型の形状を所望の形状とすることで、中空部3の断面形状を調整することができる。
フランジ部5は、中空部3の外表面から突出するように設けられている。ここで、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1におけるフランジ部5の個数や、フランジ部5が設けられている位置については、特に限定されるものではなく、1以上の任意の個数のフランジ部5を、中空部3の任意の箇所に設けることができる。また、フランジ部5の形状についても、図4Aに示した例に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。かかるフランジ部5の形状、個数、設置位置についても、STAF工法で使用する金型の形状に依存し、金型の形状を所望の形状とすることで、フランジ部5の形状、個数、設置位置等を調整することができる。
これら中空部3及びフランジ部5は、同一の鋼材11を素材とし、かつ、図4Aに模式的に示したように、中空部3とフランジ部5との間で接合面が存在せずに、一体となっている。このような一体構造は、素材であるAlめっき鋼管を、STAF工法により熱間ブロー成形することで実現される。
また、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1において、中空部3及びフランジ部5の表面は、めっき層13で全体が被覆されている。かかるめっき層13のうち、少なくともフランジ部5の端部を被覆するめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となっている。また、FeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層は、フランジ部5の全体を被覆していてもよいし、中空部3及びフランジ部5の全体を被覆していてもよい。
また、フランジ部5の端部以外のめっき層13は、上記のようなFe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層以外の、Fe−Al系合金(例えば、ε相等)を含有するめっき層であってもよい。
このようなフランジ部5におけるめっき層と、フランジ部5以外の部分におけるめっき層と、の造り分けは、先だって説明したような、STAF工法の加熱工程における加熱温度を適切に制御することで、実現することができる。
ここで、めっき層13において、FeAl相が主体となっているか否かについては、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、確認することができる。
かかる場合、まず、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、X線回折スペクトルを得る。めっき層13中にFeAl相が存在する場合、得られたX線回折スペクトルのうち回折角2θ=54°〜55.3°に該当する範囲に、FeAl相に帰属される特徴的なピークが観測される。従って、かかるピークが存在するか否かで、FeAl相の存在を確認することができる。
続いて、図5に模式的に示したように、得られたX線回折スペクトルを解析して、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度Iと、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度Iと、を特定する。また、FeAl相に帰属される、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度Iを特定する。その上で、以下に示す式(101)が成立する場合に、めっき層13中において、Fe−Al合金のFeAl相が主体となって存在していると判断することができる。
Figure 0006926927
ここで、上記式(101)の左辺の分母は、回折角2θが40.6°〜59°の範囲内において、X線回折スペクトルの平均ベースライン強度を与えるものである。従って、上記式(101)は、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内に観測されるピークの最大ピーク強度が平均ベースライン強度の5倍超過である場合に、めっき層13中において、FeAl相が主体となっていると判断できることを示している。
また、めっき層13において、Fe−Al系合金のε相が存在しているか否かについては、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、同様に、確認することができる。
かかる場合、まず、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、X線回折スペクトルを得る。めっき層13中にFe−Al系合金のε相が存在する場合、得られたX線回折スペクトルのうち回折角2θ=35°〜37°に該当する範囲に、ε相に帰属される特徴的なピークが観測される。従って、かかるピークが存在するか否かで、ε相の存在を確認することができる。
続いて、図6に模式的に示したように、得られたX線回折スペクトルを解析して、回折角2θ:34°〜35°の範囲の平均強度Iと、回折角2θ:37°〜38°の範囲の平均強度Iと、を特定する。また、Fe−Al系合金のε相に帰属される、回折角2θ:35°〜37°の範囲内のピークの最大強度Iを特定する。その上で、以下に示す式(103)が成立する場合に、めっき層13中にFe−Al合金のε相が存在しないと判断することができる。
Figure 0006926927
ここで、上記式(103)の左辺の分母は、回折角2θが34°〜38°の範囲内において、X線回折スペクトルの平均ベースライン強度を与えるものである。従って、上記式(103)は、回折角2θ:35°〜37°の範囲内に観測されるピークの最大ピーク強度が平均ベースライン強度の8倍以下である場合に、めっき層13中にFe−Al系合金のε相が存在しないと判断できることを示している。
更に、めっき層13において、Alが存在しているか否かについては、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、同様に、確認することができる。
かかる場合、まず、Co管球を用いたX線回折装置によりめっき層13を測定することで、X線回折スペクトルを得る。めっき層13中にAlが存在する場合、得られたX線回折スペクトルのうち回折角2θ=44.5°〜45.4°に該当する範囲に、Alに帰属される特徴的なピークが観測される。従って、かかるピークが存在するか否かで、Alの存在を確認することができる。
続いて、図7に模式的に示したように、得られたX線回折スペクトルを解析して、回折角2θ:43.5°〜44.5°の範囲の平均強度Iと、回折角2θ:46°〜47°の範囲の平均強度Iと、を特定する。また、Alに帰属される、回折角2θ:44.5°〜45.4°の範囲内のピークの最大強度Iを特定する。その上で、以下に示す式(105)が成立する場合に、めっき層13中にAlが存在しないと判断することができる。
Figure 0006926927
ここで、上記式(105)の左辺の分母は、回折角2θが43.5°〜47°の範囲内において、X線回折スペクトルの平均ベースライン強度を与えるものである。従って、上記式(105)は、回折角2θ:44.5°〜45.4°の範囲内に観測されるピークの最大ピーク強度が平均ベースライン強度の5倍以下である場合に、めっき層13中にAlが存在しないと判断できることを示している。
従って、めっき層13がFe−Al系合金のFeAl相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層である場合、上記式(101)、式(103)及び式(105)が同時に満たされることとなる。
STAF工法に供する前のAlめっき鋼管におけるAlを主体とするめっき付着量は、10g/m〜100g/mの範囲内である。かかるめっきは、STAF工法の加熱処理に伴う鋼材からのFeの拡散による合金化反応によって、めっき層13は、FeAl相(質量比Fe45:Al55)を主体とするめっき層となり、Fe−Al系合金を含む付着量は、元のめっき付着量の約2倍の20g/m〜200g/mとなる。めっき層13の付着量が20g/m未満となる場合には、Alめっき鋼管部品1の耐食性が十分ではなくなる可能性があるため、好ましくない。また、めっき層13の付着量が200g/mを超える場合には、Alめっき鋼管部品1の耐食性が飽和する一方で、Alめっき鋼管部品1の製造コストが増加するため、好ましくない。めっき層13の付着量は、より好ましくは、20g/m〜160g/mの範囲内である。なお、上記のめっき層13の付着量は、STAF工法の加熱処理に伴う鋼材からの拡散等によってめっき層13中に含有されるFeやSi等も加算したものとする。従って、STAF工法における熱処理において生成したFe−Al系合金は、めっき付着量に算入される。
以上のような層構造を有するAlめっき鋼管部品1は、中空部3及びフランジ部5の双方が、(接合面の存在しない)連続した鋼材11及びめっき層13で構成された、連続した異形閉断面構造を有している。
なお、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1について、図4Aに示した例では、中空部3及びフランジ部5の外形が直線で構成されているが、Alめっき鋼管部品1の外形は、曲線で構成されていてもよいし、直線と曲線の双方で構成されていてもよい。また、中空部3及びフランジ部5の角部(コーナー部位)は、R形状を有していてもよい。
また、図4Aに示した例では、めっき層13が鋼材11の外面及び内面の双方に存在している場合を示しているが、例えば図4Bに示したように、めっき層13は、鋼材11の外面側又は内面側の何れか一方にのみ存在していてもよい。めっき層13が、鋼材11の一方の面側にのみ存在するのか、鋼材11の両方の面に存在するのか、については、Alめっき鋼管部品1の素材としたAlめっき鋼管でのAlめっき層の付着状態に依存する。
図4A及び図4Bに示したような、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1において、めっき層13の表面に、更に、ZnOを主体とする皮膜(すなわち、表面皮膜層。図示せず。)が形成されていてもよい。かかるZnOを主体とする皮膜は、素材であるAlめっき鋼管にSTAF工法を適用して、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1を製造した後に、めっき層13上に形成してもよいし、素材であるAlめっき鋼管の表面にZnOを主体とする皮膜を形成した上で、かかるAlめっき鋼管に対してSTAF工法を適用することで形成することもできる。ZnOを主体とする皮膜がめっき層13の表面に存在することで、Alめっき鋼管部品1に対して各種の化成処理を施す場合に、化成処理液との反応性を改善する(換言すれば、化成処理皮膜との塗膜密着性を向上させる)ことができる。
かかるZnOを主体とする皮膜の付着量は、Alめっき鋼管部品1の片面あたり、金属Znとして、0.1g/m〜1g/mの範囲内であることが好ましい。ZnOを主体とする皮膜の付着量が0.1g/m以上である場合に、上記のような塗膜密着性向上効果を効果的に発揮させることができる。一方、ZnOを主体とする皮膜の付着量が1g/m2を超える場合には、必要以上の皮膜を付与しているために、経済合理性に欠ける。なお、自動車等に用いられる高強度鋼管部品において、鋼管部品の内面は腐食環境に晒される可能性は低いため、ZnOを主体とする皮膜を、鋼材11の外面となる側だけに付与することも可能である。
以上、図4A及び図4Bを参照しながら、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1の全体構造について説明した。
以下では、実験例を示しながら、本発明に係るAlめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品について、具体的に説明する。なお、以下に示す実験例は、あくまでも本発明に係るAlめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品の一例にすぎず、本発明に係るAlめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品が下記の例に限定されるものではない。
まず、化学組成として、質量%で、C:0.2%、Si:0.2%、Mn:1.3%、P:0.013%、S:0.003%、Cr:0.2%、Al:0.040%、B:0.0014%、Ti:0.02%、N:0.003%を含有し、残部がFe及び不純物である鋼材スラブを、常法で熱延、酸洗、冷延して、2.0mm厚の冷延鋼板(フルハード板)を製造した。この成分のAc3点は789℃である。得られた冷延鋼板に対して、連続めっきラインで常法に沿って還元焼鈍を施した後、Al−6質量%Siめっき、Al−9質量%Siめっき、Al−12質量%Siめっき、Al−15質量%Siめっき、又は、Zn−55%Al−1.6%Si(ガルバリウム、以下「GL」と略記する。)めっきを施し、ガスワイピングで付着量を調整して、常法で冷却した。また、比較のために、非めっき鋼板も準備した。得られたこれらの鋼板を、常法により電縫溶接鋼管に成形した。電縫溶接鋼管の寸法は、外径50.8mmとした。
得られた電縫溶接鋼管の一部に対しては、めっきのコーターで、平均粒径70nmのZnO、ウレタン系樹脂エマルション、及び、シランカップリング架橋剤の混合液を塗布し、約80℃で焼き付けた。
このようにして得られた電縫溶接鋼管を、長さ400mmで輪切り切断して、以降の試験プロセスに供し、図1又は図3に示したSTAF工法によりAlめっき鋼管部品を製造した。
STAF工法における加熱工程において、通電加熱による平均昇温速度、及び、保持時間は、試験ごとに変更した。平均昇温速度及び保持時間の詳細は、以下の表1に示した通りである。また、図3に示したSTAF工法における予熱工程は、大気雰囲気の電気マッフル炉を900℃に保持し、採取した管を炉内に5分間保持し、大気中に取り出して放冷することで行った。冷却は、すべて金型との接触冷却で行われ、管の内側に溶接した熱電対による実測値では、最高温度から200℃までの平均で、80℃/秒の冷却速度であった。また、張出工程において供給した空気の圧力は、15MPaとし、成形工程において供給した空気の圧力は、25MPaとした。
成形後の寸法(すなわち、Alめっき鋼管部品の寸法)は、32mm×22mmの角材とし、二つの22mmの辺のそれぞれ中央部から、長さ15mmのフランジが垂直に伸びている形状(すなわち、図4Aに示した形状と類似した形状)とした。
上記のようにして得られた、フランジを有する各Alめっき鋼管部品について、フランジ部分から10mm角の試験片を採取し、測定装置としてリガク社製SmartLabを用いて、X線回折測定を実施した。管球は、Coを用いた。得られた回折角2θ及び回折強度のプロファイルから、上述の方法に則して、式(101)、式(103)及び式(105)の値を算出した。
また、上記のようにして得られた各Alめっき鋼管部品について、Feスケールの有無、溶接継手強度、耐摩耗性、及び、耐食性の観点から、評価を行った。
(Feスケールの有無)
Feスケールの有無は、試験後の外観を目視観察することで評価した。Feスケールが生成されていれば「NG」とし、生成されていなければ「OK」とした。
(フランジ端部耐食性)
作成した材料を、長さ150mmに輪切り切断し、次いで、フランジの存在しない辺の中央で軸方向に沿って(すなわち、図4Aにおいて左右均等になるように)切断した。日本パーカライジング社製PB−SX35Tを用いて化成処理した後、日本ペイント社製パワーニクス110を用いて電着塗装を膜厚20μm狙いで施し、170℃で焼き付けた。その後、フランジ端部に沿って、カッターナイフでカットした。カットの際には、冶具を作製してカットがフランジ端部から外れないように行った。腐食試験機の中でフランジが真上を向くよう試験片を固定し、自動車技術会JASO M609に規定する腐食試験を180サイクル=60日実施し、塗膜の膨れ幅を片側最大値で評価することで、フランジ端部耐食性を評価した。
得られた結果を、以下の表1にまとめて示した。
Figure 0006926927
No.1は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、STAFプロセスに供する前の状態である。この時点で、めっき皮膜中にはε相もFeAl相も検出されず、Al相のみが検出された。
No.2〜6は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度は150℃/sの一条件とし、最高加熱温度は910〜1300℃の範囲で変化させ、保持時間は0.1秒としたものである。最高加熱温度がAc3〜1102℃の範囲では、めっき層中にAl相が残り、また、最高加熱温度1102℃以上では、めっき層中にε相が生成されており、いずれの場合でも、フランジ端面耐食性が劣ることがわかる。保持時間0.1秒では、適正な温度範囲が存在しないことがわかる。
No.7〜10は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度30℃/秒で昇温し、最高加熱温度を800℃とし、保持時間を0〜500秒の範囲で変化させたものである。保持時間が0秒の場合には、めっき層中にAl相が残存してフランジ端面耐食性に劣るが、保持時間が10〜50秒の場合には、めっき層中にAl相が残存せずにFeAl相が生成して、フランジ端面耐食性が向上することがわかる。しかしながら、保持時間が500秒の場合には、FeAl相が存在しなくなり、フランジ端面耐食性が劣化することがわかる。かかる結果より、保持時間には適正範囲が存在することがわかる。
No.11〜15は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度30℃/秒で昇温し、最高加熱温度1000℃で、保持時間を0〜350秒の範囲で変化させたものである。保持時間が0秒の場合には、めっき層中にAl相が残存してフランジ端面耐食性が劣るが、保持時間が1〜40秒の場合には、Al相が残存せずにFeAl相が生成して、フランジ端面耐食性が向上することがわかる。しかしながら、保持時間が350秒の場合には、FeAl相が存在しなくなり、フランジ端面耐食性が劣化することがわかる。かかる結果より、保持時間には適正範囲が存在することがわかる。
No.16,17、12は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度30℃/秒で昇温し、最高加熱温度を1000〜1080℃の範囲で変化させながら、1秒間保持したものである。いずれの場合においても、めっき層は、FeAl相が主体でε相もAl相も存在せず、フランジ端面耐食性に優れることがわかる。
No.18は、GL(Zn−55%Al−1.6%Si)めっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、STAFプロセスに供する前の状態である。この時点で、めっき皮膜中には、ε相もFeAl相も検出されず、Al相のみが検出された。
No.19〜22は、GLめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度150℃/秒で昇温し、最高加熱温度を910〜1300℃の範囲で変化させて、保持時間は0.1秒としたものである。最高加熱温度が910℃の場合には、めっき層中にAl相が残存し、フランジ端面耐食性に劣ることがわかる。最高加熱温度が1110〜1200℃の場合には、めっき層中にε相が生成し、最高加熱温度が1200〜1300℃の場合には、めっき層中にFeAl相が存在しなくなって、いずれの場合も、フランジ端面耐食性に劣ることがわかる。かかる結果より、保持時間が0.1秒では、適正な温度範囲が存在しないことがわかる。
No23〜26は、GLめっき鋼を平均昇温速度30℃/秒で昇温し、最高加熱温度800〜1000℃の範囲で変化させるとともに、保持時間を0〜5秒の範囲で変化させたものである。保持時間が0秒の場合には、最高加熱温度が800℃と1000℃のいずれの場合であっても、めっき層中にAl相が残存し、フランジ端面耐食性に劣ることがわかる。保持時間が5秒の場合には、最高加熱温度が800℃と1000℃のいずれの場合であっても、めっき層はFeAl相が主体であり、フランジ端面耐食性に優れることがわかる。かかる結果から、保持時間と最高加熱温度の適正範囲がわかる。
No.27〜31は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnO塗布なく、予熱し、平均昇温速度を150〜1000℃/秒の範囲で変化させるとともに、最高加熱温度を900〜1110℃の範囲で変化させて、保持時間は0秒としたものである。最高加熱温度が900〜1010℃の範囲内である場合には、FeAl相主体のめっき層が生成し、フランジ端面耐食性に優れることがわかる。しかしながら、最高加熱温度が1110℃の場合には、ε相主体のめっき層が生成し、フランジ端面耐食性に劣ることがわかる。かかる結果から、保持時間がゼロ秒であっても予熱をすることでFeAl相主体で耐食性に優れるめっき層が得られること、ただし、予熱をした場合であっても、最高加熱温度は、ε相が生成する1102℃以上を避ける必要があること、がわかる。
No.32〜36は、めっき種がGLである以外は、No.27〜31と同様の条件となっている。すなわち、GLめっきであっても、Al−9Siめっきと同様に、保持時間がゼロ秒であっても予熱をすることでFeAl相主体で耐食性に優れるめっき層が得られること、ただし、予熱をした場合であっても、最高加熱温度は、ε相が生成する1102℃以上を避ける必要があること、がわかる。
No.37〜39は、Al−9%Siめっきを付着量20〜100g/mで形成し、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度150℃/秒で昇温し、最高加熱温度1010℃で3秒保持したものである。いずれの条件においても、FeAl相主体でフランジ端面耐食性に優れるめっき層が得られた。めっき付着量20〜100g/mの範囲内では、同様の製法により、同様に耐食性に優れるめっき層が得られることがわかる。
No.40〜42は、No.37〜39とめっき種が異なる以外は、同様の条件となっている。すなわち、めっき種がGLであっても、付着量20〜100g/mの範囲内でFeAl相主体でフランジ端面耐食性に優れるめっき層を得ることができる。
No.43〜46は、Al−9%Siめっきを付着量70g/mで形成し、ZnOを、Zn換算で0.03〜3g/m含有する塗膜を塗布し、平均昇温速度60℃/秒で最高加熱温度1000℃まで昇温し、1秒保持したものである。めっき層の相構造は、ZnO塗布がなく、めっき・加熱条件が類似するNo.12と同様であった。しかしながら、フランジ端面耐食性は、ZnO付着量がZn換算で0.03g/mであれば塗布なしの場合と大差ないが、ZnO付着量がZn換算で0.1〜1.0g/mの場合には、塗布なしの場合と比較して、耐食性が向上することがわかる。しかしながら、更にZnO付着量を増やし、Zn換算で3.0g/mとしても、ZnO付着量が1.0g/mである場合からの更なる向上は少ないことがわかる。かかる結果から、ZnOの適切な付着量は、Zn換算で0.1〜1.0g/mであることがわかる。
No.47〜49は、Al−Siめっき中のSi濃度を6〜15質量%の範囲で変化させて、めっき付着量は70g/mとし、ZnO塗布も予熱もなく、平均昇温速度150℃/秒で昇温し、最高加熱温度1000℃で1秒保持したものである。Si濃度が6〜15質量%の範囲内では、上記のような加熱条件により、FeAl相主体でフランジ端面耐食性に優れるめっき層が得られている。
No.50は、非めっき鋼をSTAFプロセスに供した比較例である。Fe酸化物のスケールが生成し、外観が劣化した。また、自動車用部品製造に際し、Feスケールが化成処理性を劣化させるのは既知である。かかる結果から、本プロセスには、めっき鋼を用いるのが適切であることわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 Alめっき鋼管部品
3 中空部
5 フランジ部
11 鋼材
13 めっき層
100 Alめっき鋼管
101 鋼管
103 Alめっき層
200 金型
201 上型
203 下型

Claims (14)

  1. Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱して、当該加熱温度を1秒以上5分以下保持する加熱工程と、
    前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、
    前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、
    を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。
  2. Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、1102℃未満の所定の温度まで予熱する予熱工程と、
    予熱された前記Alめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱する加熱工程と、
    前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、
    前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、
    を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。
  3. 前記Alめっき層の付着量は、一面あたり10g/m〜100g/mの範囲内である、請求項1又は2に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
  4. 前記Alめっき層は、Al−6〜15質量%Siめっき層、又は、55質量%Al−Zn−1.6質量%Siめっき層である、請求項1〜3の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
  5. 前記成形工程後の前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、
    前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、
    回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、請求項1〜4の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
    Figure 0006926927
  6. 前記加熱工程では、
    少なくとも前記張出工程において前記張出部となる位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、前記張出部とはならない位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、を別個に設けておき、
    前記張出部となる位置に対応する前記Alめっき鋼管の部位を、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで加熱する、請求項1〜4の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
  7. 前記成形工程後の前記フランジ部を被覆する前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、
    前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、
    回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、請求項6に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
    Figure 0006926927
  8. 前記Alめっき鋼管の素地鋼の化学組成は、質量%で、
    C:0.1〜0.3%
    Si:0.01〜0.50%
    Mn:0.5〜3.0%
    P:0.003〜0.050%
    S:0.05%以下
    Cr:0.1〜0.5%
    Ti:0.01〜0.10%
    Al:1%以下
    B:0.0002〜0.004%
    N:0.01%以下
    を含有し、残部がFe及び不純物からなる、請求項1〜7の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
  9. 前記Alめっき鋼管の素地鋼は、残部のFeの一部に換えて、1質量%以下のCu、2質量%以下のNi、1質量%以下のMo、1質量%以下のV、及び、1質量%以下のNbの少なくとも何れかを更に含有する、請求項8に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
  10. 所定の断面形状を有する中空部と、
    前記中空部の外表面から突出するフランジ部と、
    を少なくとも備え、
    前記中空部及び前記フランジ部は、同一の鋼材を素材とし、かつ、前記中空部と前記フランジ部との間で接合面が存在せずに一体となっており、
    前記中空部及び前記フランジ部の表面は、Fe−Al系合金を含むめっき層で被覆されており、
    前記フランジ部の端部を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、
    前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、
    回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、Alめっき鋼管部品。
    Figure 0006926927
  11. 前記中空部の表面を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFeAl相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、
    前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、
    回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、請求項10に記載のAlめっき鋼管部品。
    Figure 0006926927
  12. 前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:34°〜35°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:37°〜38°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:35°〜37°の範囲内のピークの最大強度をIとしたときに、以下の式(3)で表される関係が成立する、請求項10又は11に記載のAlめっき鋼管部品。
    Figure 0006926927
  13. 前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:43.5°〜44.5°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:46°〜47°の範囲の平均強度をIとし、回折角2θ:44.5°〜45.4°の範囲内のピークの最大強度をIとしたときに、以下の式(5)で表される関係が成立する、請求項10〜12の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品。
    Figure 0006926927
  14. 連続した異形閉断面構造を有する、請求項10〜13の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品。
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