JP6926927B2 - Alめっき鋼管部品の製造方法及びAlめっき鋼管部品 - Google Patents
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Description
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[2]Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、1102℃未満の所定の温度まで予熱する予熱工程と、予熱された前記Alめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱する加熱工程と、前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。
[3]前記Alめっき層の付着量は、一面あたり10g/m2〜100g/m2の範囲内である、[1]又は[2]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[4]前記Alめっき層は、Al−6〜15質量%Siめっき層、又は、55質量%Al−Zn−1.6質量%Siめっき層である、[1]〜[3]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[5]前記成形工程後の前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFe2Al5相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI A とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI B とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI C としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[1]〜[4]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[6]前記加熱工程では、少なくとも前記張出工程において前記張出部となる位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、前記張出部とはならない位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、を別個に設けておき、前記張出部となる位置に対応する前記Alめっき鋼管の部位を、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで加熱する、[1]〜[4]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[7]前記成形工程後の前記フランジ部を被覆する前記Alめっき層は、Fe−Al系合金のFe2Al5相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層となり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI A とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI B とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI C としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[6]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[8]前記Alめっき鋼管の素地鋼の化学組成は、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.003〜0.050%、S:0.05%以下、Cr:0.1〜0.5%、Ti:0.01〜0.10%、Al:1%以下、B:0.0002〜0.0014%、N:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなる、[1]〜[7]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[9]前記Alめっき鋼管の素地鋼は、残部のFeの一部に換えて、1質量%以下のCu、2質量%以下のNi、1質量%以下のMo、1質量%以下のV、及び、1質量%以下のNbの少なくとも何れかを更に含有する、[8]に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
[10]所定の断面形状を有する中空部と、前記中空部の外表面から突出するフランジ部と、を少なくとも備え、前記中空部及び前記フランジ部は、同一の鋼材を素材とし、かつ、前記中空部と前記フランジ部との間で接合面が存在せずに一体となっており、前記中空部及び前記フランジ部の表面は、Fe−Al系合金を含むめっき層で被覆されており、前記フランジ部の端部を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFe2Al5相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI A とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI B とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI C としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、Alめっき鋼管部品。
[11]前記中空部の表面を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFe2Al5相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI A とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI B とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI C としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、[10]に記載のAlめっき鋼管部品。
[12]前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:34°〜35°の範囲の平均強度をIDとし、回折角2θ:37°〜38°の範囲の平均強度をIEとし、回折角2θ:35°〜37°の範囲内のピークの最大強度をIFとしたときに、以下の式(3)で表される関係が成立する、[10]又は[11]に記載のAlめっき鋼管部品。
[13]前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定し、回折角2θ:43.5°〜44.5°の範囲の平均強度をIGとし、回折角2θ:46°〜47°の範囲の平均強度をIHとし、回折角2θ:44.5°〜45.4°の範囲内のピークの最大強度をIJとしたときに、以下の式(5)で表される関係が成立する、[10]〜[12]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品。
[14]連続した異形閉断面構造を有する、[10]〜[13]の何れか1つに記載のAlめっき鋼管部品。
以下では、図1〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。図2A〜図2Cは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法について説明するための説明図である。図3は、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の製造方法の流れの他の一例を示した流れ図である。
まず、STAF工法に供するAlめっき鋼管の製造方法について、説明する。
STAF工法に供するAlめっき鋼管は、公知の方法を用いて製造することが可能である。例えば、以下で詳述するような化学成分を有する鋼板に対し、公知の方法によりAlめっきを施してAlめっき鋼板を製造した後、得られたAlめっき鋼板を曲げ加工し、両端部を押付けて電縫溶接することで製管して、Alめっき鋼管(より詳細には、Alめっき溶接管)とすることができる。電縫溶接としては、高周波溶接が用いられることが多い。通常、溶接ビード部となる部位のめっき層は、予め研削等で除去してから溶接することが好ましい。また、溶接後に溶接ビード部を平坦にするために、切削加工等を用いることが好ましい。更に、溶接ビード部にはめっきが被覆されていないため、その後の熱間プレス加工時の表面酸化とそれに伴う表層からの脱炭、及び、使用時の腐食等が生じうる。上記の可能性を回避するために、溶接ビード部に対してAlを含有する金属を溶射して、溶接ビード部上に溶射皮膜を形成することが好ましい。ここで、Alを含有する金属とは、純Al、Al−Zn、Al−Si、Al−Mg等を挙げることができる。Alは、耐熱性に優れるために、熱間プレス時の保護性に優れる。この際の溶射皮膜の厚みは、例えば、5〜100μmが好ましい。ここで、溶射は、鋼管外面に対して行うものとする。
次に、図1〜図2Cを参照しながら、STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係るAlめっき鋼管部品は、例えば上記特許文献1又は特許文献2に開示されているような、STAF工法に適した成形装置を用いて、Alめっき鋼管を素材として製造される。
次に、図3を参照しながら、STAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法の変形例について、簡単に説明する。
先だって説明したSTAF工法によるAlめっき鋼管部品の製造方法は、Alめっき鋼管を、はじめから通電加熱により、焼き入れが可能であり、Fe−Al系合金のFe2Al5相が生成され、かつ、ε相が生成しない温度域まで加熱して、所定時間保持するものであった。しかしながら、以下で説明するような方法を用いても、Fe−Al系合金のFe2Al5相を主体とし、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層を形成することができる。
次に、図4A〜図7を参照しながら、上記のようなSTAF工法により製造されるAlめっき鋼管部品について、詳細に説明する。図4Aは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の一例を模式的に示した説明図であり、図4Bは、本実施形態に係るAlめっき鋼管部品の断面構造の他の一例を模式的に示した説明図である。図5は、Fe−Al系合金のうちFe2Al5相について説明するための説明図であり、図6は、Fe−Al系合金のε相について説明するための説明図であり、図7は、めっき層に存在しうるAlについて説明するための説明図である。
本実施形態に係るAlめっき鋼管部品1は、Alめっき鋼管を素材として、かかるAlめっき鋼管を、上記のようなSTAF工法により成形することで製造される。このAlめっき鋼管部品1は、図4Aに模式的に示したように、中空部3と、フランジ部5と、を有している。
Feスケールの有無は、試験後の外観を目視観察することで評価した。Feスケールが生成されていれば「NG」とし、生成されていなければ「OK」とした。
作成した材料を、長さ150mmに輪切り切断し、次いで、フランジの存在しない辺の中央で軸方向に沿って(すなわち、図4Aにおいて左右均等になるように)切断した。日本パーカライジング社製PB−SX35Tを用いて化成処理した後、日本ペイント社製パワーニクス110を用いて電着塗装を膜厚20μm狙いで施し、170℃で焼き付けた。その後、フランジ端部に沿って、カッターナイフでカットした。カットの際には、冶具を作製してカットがフランジ端部から外れないように行った。腐食試験機の中でフランジが真上を向くよう試験片を固定し、自動車技術会JASO M609に規定する腐食試験を180サイクル=60日実施し、塗膜の膨れ幅を片側最大値で評価することで、フランジ端部耐食性を評価した。
3 中空部
5 フランジ部
11 鋼材
13 めっき層
100 Alめっき鋼管
101 鋼管
103 Alめっき層
200 金型
201 上型
203 下型
Claims (14)
- Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱して、当該加熱温度を1秒以上5分以下保持する加熱工程と、
前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、
前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、
を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。 - Al及びSiを含有するAlめっき層を有するAlめっき鋼管を、1102℃未満の所定の温度まで予熱する予熱工程と、
予熱された前記Alめっき鋼管を、所定の形状を有する少なくとも一組の金型の間に配置した上で、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで通電加熱により加熱する加熱工程と、
前記加熱温度に達した前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給することで前記Alめっき鋼管を熱間ブロー成形し、前記Alめっき鋼管の表面から張出部を形成させる張出工程と、
前記金型を所定の圧力で型締めした後に、前記Alめっき鋼管の中空部に対して所定圧力の空気を供給して、所定の断面形状を有する中空部と、当該中空部の外表面から突出するフランジ部と、を成形する成形工程と、
を含む、Alめっき鋼管部品の製造方法。 - 前記Alめっき層の付着量は、一面あたり10g/m2〜100g/m2の範囲内である、請求項1又は2に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
- 前記Alめっき層は、Al−6〜15質量%Siめっき層、又は、55質量%Al−Zn−1.6質量%Siめっき層である、請求項1〜3の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
- 前記加熱工程では、
少なくとも前記張出工程において前記張出部となる位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、前記張出部とはならない位置の前記Alめっき鋼管の部位を通電加熱する通電加熱設備と、を別個に設けておき、
前記張出部となる位置に対応する前記Alめっき鋼管の部位を、Ac3変態点以上1102℃未満の範囲内の加熱温度まで加熱する、請求項1〜4の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。 - 前記Alめっき鋼管の素地鋼の化学組成は、質量%で、
C:0.1〜0.3%
Si:0.01〜0.50%
Mn:0.5〜3.0%
P:0.003〜0.050%
S:0.05%以下
Cr:0.1〜0.5%
Ti:0.01〜0.10%
Al:1%以下
B:0.0002〜0.0014%
N:0.01%以下
を含有し、残部がFe及び不純物からなる、請求項1〜7の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。 - 前記Alめっき鋼管の素地鋼は、残部のFeの一部に換えて、1質量%以下のCu、2質量%以下のNi、1質量%以下のMo、1質量%以下のV、及び、1質量%以下のNbの少なくとも何れかを更に含有する、請求項8に記載のAlめっき鋼管部品の製造方法。
- 所定の断面形状を有する中空部と、
前記中空部の外表面から突出するフランジ部と、
を少なくとも備え、
前記中空部及び前記フランジ部は、同一の鋼材を素材とし、かつ、前記中空部と前記フランジ部との間で接合面が存在せずに一体となっており、
前記中空部及び前記フランジ部の表面は、Fe−Al系合金を含むめっき層で被覆されており、
前記フランジ部の端部を被覆する前記Fe−Al系合金を含むめっき層は、Fe−Al系合金のFe2Al5相を含み、かつ、Fe−Al系合金のε相及びAlが存在しないめっき層であり、
前記めっき層を、Co管球を用いたX線回折装置により測定したとき、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内にピークが観測され、
回折角2θ:40.6°〜41°の範囲の平均強度をI A とし、回折角2θ:58°〜59°の範囲の平均強度をI B とし、回折角2θ:54°〜55.3°の範囲内のピークの最大強度をI C としたときに、以下の式(1)で表される関係が成立する、Alめっき鋼管部品。
- 連続した異形閉断面構造を有する、請求項10〜13の何れか1項に記載のAlめっき鋼管部品。
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