JPH07157520A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

Info

Publication number
JPH07157520A
JPH07157520A JP34004993A JP34004993A JPH07157520A JP H07157520 A JPH07157520 A JP H07157520A JP 34004993 A JP34004993 A JP 34004993A JP 34004993 A JP34004993 A JP 34004993A JP H07157520 A JPH07157520 A JP H07157520A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
acrylic rubber
polymer
vinyl chloride
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34004993A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Kamata
邦男 鎌田
Kuniaki Takada
邦章 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAN AROO KAGAKU KK
SUN ARROW KAGAKU KK
Original Assignee
SAN AROO KAGAKU KK
SUN ARROW KAGAKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SAN AROO KAGAKU KK, SUN ARROW KAGAKU KK filed Critical SAN AROO KAGAKU KK
Priority to JP34004993A priority Critical patent/JPH07157520A/ja
Publication of JPH07157520A publication Critical patent/JPH07157520A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な耐衝撃性及び透明性を有する塩化ビニル
系樹脂を製造する方法を提供すること 【構成】芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニリデ
ン重合体微粒子を複数個含む平均粒子径が0.045〜
1.00μmのアクリルゴム粒子、または該アクリルゴ
ム粒子の表面がガラス転移温度0℃以上である重合体層
で被覆された平均粒子径が0.05〜1.20μmであ
る複層アクリル系重合体粒子の存在下に、塩化ビニルを
重合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、透明性、耐候性、
加工性、機械的特性に優れており汎用樹脂として、現在
も広く使用されている。しかし、かかる塩化ビニル系樹
脂は、耐衝撃性が実用範囲において充分満足できるもの
ではなく、これを改良するために、例えばアクリルゴム
粒子の存在下で塩化ビニルを重合した塩化ビニル系樹脂
が知られている。ところが、こうしたアクリルゴム粒子
の存在下で重合した塩化ビニル系樹脂は、透明性が悪い
問題があった。
【0003】そこで、耐衝撃性と透明性を同時に満足さ
せるべく、過去様々な検討がなされてきた。例えば特開
昭61−195106号公報には、アルキルアクリレー
ト/スチレン/架橋剤の共重合体粒子の存在下に、塩化
ビニルを重合して塩化ビニル系樹脂を得ることが開示さ
れている。しかし、この塩化ビニル系樹脂は、樹脂内部
に存在する上記アルキルアクリレートとスチレンのラン
ダム共重合体粒子が比較的硬い為、耐衝撃性の改良が十
分発揮できないものである。一方、特公昭55−941
0号公報には、ポリスチレンを粒子中に内核として1個
含むアクリルゴム粒子の存在下に塩化ビニルを重合する
ことが開示されている。しかし、かかる方法により得ら
れる塩化ビニル系樹脂も、耐衝撃性が十分ではなく、ま
た、この耐衝撃性を向上させるため上記アクリルゴム粒
子の粒子径を0.1μm程度まで大きくすると、やはり
樹脂の透明性が維持できなくなる問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうした背景から、本
発明は、良好な耐衝撃性及び透明性を有する塩化ビニル
系樹脂を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況に鑑み、前記課題を解決すべく鋭意研究を行ってき
た。その結果、芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビ
ニリデン重合体微粒子が粒子中に複数個存在する特定の
アクリルゴム粒子の存在下で塩化ビニルを重合すること
により、上記課題が解決できることを見いだし本発明を
提案するに至った。
【0006】即ち、本発明は、芳香族ビニル重合体微粒
子または塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個含む平均
粒子径が0.045〜1.00μmのアクリルゴム粒子
の存在下に、塩化ビニルを重合することを特徴とする塩
化ビニル系樹脂の製造方法である。
【0007】また、本発明は、芳香族ビニル重合体微粒
子または塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個含んだア
クリルゴム粒子よりなる核部分と、その表面を覆うガラ
ス転移温度0℃以上である重合体よりなる被覆部分とよ
りなり、平均粒子径が0.05〜1.20μmである複
層アクリル系重合体粒子の存在下に、塩化ビニルを重合
することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法も提
供する。
【0008】本発明において用いるアクリルゴム粒子
は、まず、その粒子中に、芳香族ビニル重合体微粒子ま
たは塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個含んでいる。
通常、これらの芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビ
ニリデン重合体微粒子を形成する各重合体は、アクリル
ゴムとの界面において、グラフト重合等により該ゴムと
化学的に結合しているのが好ましい。
【0009】ここで、芳香族ビニル重合体とは、芳香族
ビニルの単独重合体の他、芳香族ビニルとこれと共重合
可能な他の単量体との共重合体であっても良い。また、
この重合体は、架橋されていても良い。本発明において
芳香族ビニルとは、特に制限されるものではないが、例
えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられ
る。また、かかる芳香族ビニルと共重合可能な他の単量
体とは、特に制限されるものではないが、一般的にはビ
ニル化合物、ビニリデン化合物等が挙げられる。具体的
には、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ブタジエ
ン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、アクリル
酸、ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベ
ンジルアクリレート、フェニルエチルメタクリレート等
が挙げられ、また、この他に単量体は、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタ
クリレートのような架橋剤であっても良い。
【0010】一方、本発明において、塩化ビニリデン重
合体とは、塩化ビニリデンの単独重合体の他、塩化ビニ
リデンとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体で
あっても良い。また、この重合体は、架橋されていても
良い。この塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体と
しては、特に制限されるものではないが、一般的には、
上記した芳香族ビニルと共重合可能な他の単量体と同様
にビニル化合物、ビニリデン化合物等が挙げられる。こ
の場合、具体的には、塩化ビニル、臭化ビニル、ビニル
アセテート、アクリル酸、アクリロニトリル、ブチルア
クリレート、エチレン等や、また、マレイン酸ジアリ
ル、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタ
クリレートのような架橋剤を用いるのが好適である。
【0011】こうした芳香族ビニル重合体微粒子または
塩化ビニリデン重合体微粒子は、高屈折率を維持するた
めに、芳香族ビニルまたは塩化ビニリデンに基づく単量
体単位の含有量が50重量%以上であるのが好ましい。
【0012】本発明において、アクリルゴム粒子中に含
ませる上記の芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニ
リデン重合体微粒子の数は、2個以上、好適には4〜1
000個であることが必要である。このようにアクリル
ゴム粒子中に複数の上記重合体微粒子を存在させること
により、本発明の複層アクリル系重合体粒子は、粒子の
変形が容易となり樹脂への耐衝撃性の付与効果が著しく
向上する。また、塩化ビニル系樹脂の透明性を良好に維
持する。
【0013】本発明において、かかる芳香族ビニル重合
体微粒子または塩化ビニリデン重合体微粒子の平均粒子
径は、特に制限されるものではない。該平均粒子径が小
さいほど塩化ビニル系樹脂の透明性が良好になるため、
通常は、120nm以下、好ましくは80nm以下であ
るのが良い。この重合体微粒子は、通常の乳化重合等に
よれば平均粒子径が10nm程度のものまで容易に作る
ことができる。なお、アクリルゴム粒子中においてこの
重合体微粒子の粒子径分布は、得に制限されるものでは
ないが、その粒子径が120nm以内の粒子の数が多く
なるほど、塩化ビニル樹脂の透明性を良好に維持する傾
向があるため、その割合が90重量%以上であるのが好
適である。
【0014】また、アクリルゴム粒子中における上記重
合体微粒子の重量割合は、特に制限されるものではない
が、耐衝撃性の向上効果を勘案すれば20〜70重量%
であるのが好ましい。複層アクリル系重合体粒子を塩化
ビニル樹脂に配合する際には、該粒子中の重合体微粒子
の重量割合が40〜65重量%であるのが、該樹脂を透
明性に優れたものとする上で好ましい。
【0015】次に、本発明において、アクリルゴム粒子
を形成するアクリルゴムとは、公知のものが特に制限さ
れることなく使用される。通常は、n−ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリ
レート等のアルキル基の炭素数が2〜8のアルキルアク
リレートに基づく単量体単位を主成分とし、架橋剤によ
り架橋されてなるゴム粒子を用いるのが好適である。ま
た、こうしたアクリルゴム粒子は、スチレン、アクリロ
ニトリル、ビニルアセテート、ベンジルメタクリレー
ト、ブタジエン、メタクリル酸、メチルメタクリレー
ト、アクリル酸、エチレン等の上記アルキルアクリレー
トと共重合可能な他の単量体が共重合されていても良
い。なお、架橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレ
ングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート
等の公知のものが何等制限されることなく用いられる。
こうしたアクリルゴム粒子において、上記アルキルアク
リレートに基づく単量体単位は、50重量%以上である
のが好ましい。また、架橋剤は、0.1〜5重量%含ま
れていた場合に耐衝撃性改良効果が最も良好になり望ま
しい。
【0016】本発明において、上記アクリルゴム粒子の
平均粒子径は、0.045〜1.00μm好ましくは
0.045〜0.45μmであることが必要である。こ
の平均粒子径が1.00μmより大きい場合、塩化ビニ
ル系樹脂は良好な透明性を呈さなくなる。一方、この平
均粒子径が0.045μmより小さい場合、耐衝撃性の
改良効果が十分でなくなる。また、かかるアクリルゴム
粒子の粒子径分布については特に制限されないが、その
粒子径が1.00μm以内の粒子の数が多くなるほど、
塩化ビニル樹脂の透明性を良好に維持する傾向があるた
め、その割合が90重量%以上であるのが好適である。
【0017】本発明では、以上の構造のアクリルゴム粒
子を、さらにその表面をガラス転移温度0℃以上好まし
くは30℃以上である重合体で覆って複層アクリル系重
合体粒子として用いても良い。こうした芳香族ビニル重
合体微粒子または塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個
含んだアクリルゴム粒子よりなる核部分と、その表面を
覆うガラス転移温度0℃以上である重合体よりなる被覆
部分とよりなる複層アクリル系重合体粒子を用いた場
合、得られる塩化ビニル系樹脂は、該樹脂とその中に含
まれる上記粒子との間の相溶性がより向上し、耐衝撃性
が一層優れたものとなる。なお、通常、この複層アクリ
ル系重合体粒子において、核部分を形成するアクリルゴ
ムとその外面を覆うガラス転移温度0℃以上である重合
体との界面は、グラフト重合等により化学的に結合して
いるのが好ましい。
【0018】本発明において、上記ガラス転移温度0℃
以上である重合体は、公知のものが得に制限されること
なく使用される。好適には、メチルメタクリレート、ア
クリロニトリル、スチレン、ベンジルメタクリレート、
塩化ビニル等の単独重合体やこれらの共重合体、さらに
は、これらの単量体とこれと共重合可能な他の単量体と
の共重合体等が挙げられる。このうち特に、メチルメタ
クリレートまたはアクリロニトリルの単独重合体やこれ
を40重量%以上の含量で共重合させた共重合体を使用
するのが好ましい。メチルメタクリレートまたはアクリ
ロニトリルと共重合可能な他の単量体としては、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、ブタジエン、
n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート等が挙げられる。なお、これらの重合体は、架橋剤
により架橋されていても良い。こうした架橋剤として
は、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレ
ングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0019】本発明において、前記アクリルゴム粒子の
表面を覆うガラス転移温度0℃以上である重合体の層
は、得に制限されるものではないが、一般には、その厚
さが1〜100nmであるのが好適である。また、この
重合体層は、粒子全体の固定化を勘案すれば、複層アク
リル系重合体粒子中において5〜50重量%であるのが
好適である。
【0020】本発明において、このような構造の複層ア
クリル系重合体粒子を用いる場合、該粒子の平均粒子径
は0.05〜1.20μm好ましくは0.05〜0.5
0μmであることが必要である。この平均粒子径が1.
20μmより大きい場合、塩化ビニル系樹脂は良好な透
明性を呈さなくなる。一方、この平均粒子径が0.05
μmより小さい場合、耐衝撃性の改良効果が十分でなく
なる。
【0021】次に、本発明において、上記説明したアク
リルゴム粒子は、如何なる方法により得ても良い。好適
には、芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニリデン
重合体微粒子の存在下に、アルキルアクリレート及び架
橋剤を重合して、該芳香族ビニル重合体微粒子または塩
化ビニリデン重合体微粒子をアクリルゴムで被覆したア
クリルゴム微粒子を得、次いで、得られたアクリルゴム
微粒子を凝集させて肥大化したアクリルゴム粒子を得、
さらに、該肥大化したアクリルゴム粒子の存在下に、ア
ルキルアクリレート及び架橋剤を重合して、この肥大化
したアクリルゴム粒子の表面を固定化する方法により得
るのが好ましい。一方、本発明において、複層アクリル
系重合体粒子は、特に制限されるものではないが、上記
方法により得られたアクリルゴム粒子、または該アクリ
ルゴム粒子の製造工程におけるアクリルゴム微粒子を凝
集させた後の肥大化されたアクリルゴム粒子の存在下
に、重合体のガラス転移温度が0℃以上である単量体を
重合させる方法により得るのが好ましい。以下、これら
の製造方法について説明する。
【0022】まず、上記の製造方法において使用する芳
香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニリデン重合体微
粒子は、如何なる方法により得たものを使用しても良
い。通常は、芳香族ビニルや塩化ビニリデン、或いはこ
れらと、該単量体と共重合可能な他の単量体とを、イオ
ン系界面活性剤を乳化剤または分散剤として乳化重合ま
たは懸濁重合させたものを用いるのが好ましい。
【0023】ここで、イオン系界面活性剤としては、ド
デシル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムのような
高級アルコール硫酸エステル塩類、ステアリン酸ナトリ
ウム、オレイン酸カリウムのような脂肪酸塩類、コハク
酸ジオクチルエステル硫酸ナトリウムのようなニ塩基性
脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン
酸塩類などの陰イオン系界面活性剤や、テトラブチルア
ンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウ
ムブロマイド、ドデシルアンモニウムアセテートなどの
陽イオン系界面活性剤が挙げられる。これらイオン系界
面活性剤は、上記単量体等の乳濁成分に対して0.1〜
10重量%含有させるのが好ましい。また、いわゆるマ
イクロサスペンジョン重合、マイクロエマルジョン重合
で使用される様な物質を併用することも可能である。こ
うした物質には1−ペンタノール、1−オクタノール、
1−ヘキサデカノール等のアルコール類などが挙げられ
る。
【0024】こうした重合において反応媒体として使用
される水は、使用する単量体の全量に対して100〜3
000容量%、さらに好ましくは200〜1000容量
%であるのが好適である。重合に際し用いる重合開始剤
は、油溶性、水溶性を問わず如何なるものであっても良
い。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過
酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル等があり、さらにレ
ドックス系の開始剤も利用できる。これらの重合開始剤
は、重合させる単量体の0.01〜0.5重量%を使用
するのが望ましい。さらに、かかる重合の重合温度は、
使用する開始剤の分解温度以上であれば良く、通常は、
40〜90℃の範囲から採択される。レドックス系開始
剤使用をする場合は室温付近またはそれ以下でも可能で
ある。
【0025】前記製造方法では、上記方法等により得た
芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニリデン重合体
微粒子の存在下に、アルキルアクリレート及び架橋剤を
重合して、該芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニ
リデン重合体微粒子をアクリルゴムで被覆したアクリル
ゴム微粒子を得る。かかるアルキルアクリレート及び架
橋剤の重合も、上記と同様のイオン系界面活性剤を乳化
剤または分散剤とした乳化重合または懸濁重合により行
うのが好ましい。通常は、前記芳香族ビニル重合体微粒
子または塩化ビニリデン重合体微粒子の重合を行った反
応液中に、続けて、アルキルアクリレート及び架橋剤、
さらには重合開始剤等を供給し、上記重合を行うのが好
ましい。
【0026】以上により得られた芳香族ビニル重合体微
粒子または塩化ビニリデン重合体微粒子をアクリルゴム
で被覆したアクリルゴム微粒子は、次いで、凝集させ
る。この凝集により、接触しあった上記アクリルゴム微
粒子同士は順次一体化し、該アクリルゴム微粒子は肥大
化していく。それにより、芳香族ビニル重合体微粒子ま
たは塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個含むアクリル
ゴム粒子が得られる。この凝集は、如何なる方法により
行っても良いが、一般には、イオン系界面活性剤を乳化
剤または分散剤とした上記アクリルゴム微粒子の乳濁液
または懸濁液に水性電解質を添加することにより行うの
が好適である。その際の上記アクリルゴム微粒子の乳濁
液または懸濁液の諸条件は、前記した重合の場合と同様
であれば良い。通常は、前記アクリルゴム微粒子を製造
した重合液に水性電解質を添加することにより行うのが
一般的である。
【0027】こうした凝集操作において、上記水性電解
質は、特に制限されるものではなく、水溶性の酸、塩基
および塩が、無機物及び有機物の区別なく使用される。
具体的には、酸としては塩酸、硫酸、酢酸、リン酸など
が挙げられ、塩基としてはアンモニア、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カルシウムなどが挙げられ、塩としては塩化
ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、臭化カリ
ウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸アンモ
ニウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウムなどが挙
げられる。なお、肥大化した粒子の粒子径は、この水性
電解質の使用量を変化させることにより容易に制御でき
る。この水性電解質の使用量は、通常、イオン系界面活
性剤に対して5〜300重量%の範囲から採択される。
【0028】なお、凝集肥大化させるため電解質を乳濁
液または懸濁液中に添加した際に乳濁或いは懸濁状態の
安定性が悪くなり、沈澱やスケール、時には巨大粒子が
発生したりすることがある。このような場合には、水性
電解質の添加前に非イオン系界面活性剤を適量添加し液
を安定化させるのが好ましい。こうした非イオン系界面
活性剤は、公知のものが得に制限されることなく使用で
きるが、具体的には、ポリオキシエチレン(23)ラウ
リルエーテル(括弧内の数字はオキシエチレン単位の数
の平均値、以下同じ)、ポリオキシエチレン(10)オ
レイルエーテルの様なポリオキシエチレンアルキルエー
テル類、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニル
エーテルの様なポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル類、ポリオキシエチレン(25)モノステアレー
トの様なポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソル
ビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエートの様
なソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
(4)ソルビタントリオレエートの様なポリオキシエチ
レンソルビタンアルキルエステル類などが挙げられる。
乳濁液を安定化させ、続く重合に支障がなければ、特に
限定されないが、HLB価(親水性疎水性バランス)を
8以上とするのが望ましい。この非イオン性界面活性剤
は、通常は、乳濁液或いは懸濁液中のアクリルゴム微粒
子成分に対して0〜10重量%の範囲で使用するのが一
般的である。なお、これら非イオン系界面活性剤の種
類、使用量を適宜選択することによっても凝集粒子径の
制御を行うことができる。
【0029】以上の凝集により得られた、肥大化された
アクリルゴム粒子は、さらに、該粒子の存在下でアルキ
ルアクリレート及び架橋剤を重合してその表面にアクリ
ルゴムを形成させ、該表面を固定化させるのが良い。こ
の場合のアルキルアクリレート及び架橋剤の種類や組成
比は、前段のアクリルゴムの重合の場合と同じにせず、
適宜変更しても良い。また、こうしたアルキルアクリレ
ート及び架橋剤の重合は、前記凝集操作と併行して行っ
ても良い。
【0030】以上により、芳香族ビニル重合体微粒子ま
たは塩化ビニリデン重合体微粒子を複数個含むアクリル
ゴム粒子が得られる。
【0031】一方、複層アクリル系重合体粒子は、上記
のアクリルゴム粒子、または該アクリルゴム粒子の製造
工程におけるアクリルゴム微粒子を凝集させた後の、表
面が固定化される前の肥大化されたアクリルゴム粒子の
存在下に、重合体のガラス転移温度が0℃以上である単
量体を重合させることにより得られる。その際、このガ
ラス転移温度が上記温度である重合体の重合も、上記と
同様のイオン系界面活性剤を乳化剤、分散剤とした乳化
重合や懸濁重合により行うのが好ましい。通常は、前記
アクリルゴム粒子の乳濁液または懸濁液に、続けて、重
合体のガラス転移温度が該値である単量体及び重合開始
剤等を供給し、この重合を行うのが好ましい。
【0032】なお、以上の製造方法において、各製造段
階で使用する単量体、重合開始剤、界面活性剤等は必ず
しも一括して反応液に加える必要はなく、分割または連
続等して添加しても良い。
【0033】このようにして得られたアクリルゴム粒子
或いは複層アクリル系重合体粒子は、反応液に水性電解
質を加えて塩析沈澱、またはメタノール中に沈澱させる
などして乾燥するか、スプレー乾燥等の方法により回収
して塩化ビニルの重合に供することもできるが、反応液
のまま後述する塩化ビニルの重合に使用するのが有利で
ある。
【0034】本発明の最大の特徴は、塩化ビニル系樹脂
を製造するに際し、塩化ビニルの重合を上記説明したア
クリルゴム粒子または複層アクリル系重合体粒子の存在
下で行うことである。それにより得られた塩化ビニル系
樹脂は、該樹脂中に、粒子の変形が容易で且つその屈折
率がこの塩化ビニル系樹脂と近似する上記粒子が分散さ
れたものとなり、結果として良好な耐衝撃性及び透明性
を有するものとなる。その際、上記アクリルゴム粒子ま
たは複層アクリル系重合体粒子の組成比は、特に制限さ
れるものではないが、耐衝撃性及び透明性の効果を勘案
すれば、該粒子成分が1〜20重量%であり、塩化ビニ
ル成分が99〜80重量%であるのが好適である。
【0035】本発明において、この塩化ビニルの重合
は、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合で
あっても差し支えない。共重合可能な他の単量体として
は、特に制限されるものではないが、例えばエチレン、
プロピレン、酢酸ビニル、フェニルマレイミド等が挙げ
られる。これら他の単量体は、通常、塩化ビニルの20
重量%以下で使用されるのが好ましい。塩化ビニル系樹
脂の平均重合度は、特に制限されるものではないが、一
般には300〜5000程度が加工上好ましい。
【0036】また、この重合においては、得られる塩化
ビニル系樹脂の透明性を損なわない場合に限って、他の
添加剤等を同時に存在させることも許される。特に、前
記した本発明で使用するアクリルゴム粒子や複層アクリ
ル系重合体粒子の代表的製造方法においては、該粒子と
共に、前記アクリルゴム微粒子の凝集操作時に未凝集で
あったもの等として、アクリルゴム粒子中に、芳香族ビ
ニル重合体微粒子または塩化ビニリデン重合体微粒子を
1個しか含まない粒子も若干量副生してくるが、こうし
た粒子が存在していても良い。
【0037】本発明において、かかる塩化ビニルの重合
は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等の如何
なる方法により行っても良い。通常、この重合は、乳化
重合或いは懸濁重合により行うのが一般的である。
【0038】懸濁重合の場合、水媒体に対する塩化ビニ
ルの重量比率は0.2〜2倍が適当である。重合に使用
する重合開始剤は、ラウリルパ−オキサイド、過酸化ベ
ンゾイル、ジイソプロピルパ−オキシジカ−ボネ−ト、
ジ−2−メトキシエチルパ−オキシジカ−ボネ−ト、t
ert−ブチルパ−オキシピバレ−ト、tert−ブチ
ルパ−オキシネオデカネ−ト、2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2、4−ジメチ
ルバレロニトリル、シクロヘキシルパ−オキシスルホネ
−ト等の公知の重合開始剤であれば良く、これらは単独
あるいは併用して使用される。重合開始剤の使用量は、
重合させる塩化ビニル及びこれと共重合可能な単量体と
の混合物の0.01〜0.5重量%が好ましい。懸濁重
合に際しては、一般に分散剤が使用される。分散剤は、
部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロ−ス、メトキシ
エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、ヒド
ロキシプロピルセルロ−ス等の公知の分散剤であればよ
く、これに更に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、ポリエチレングリコ−ル脂肪酸エステル等の
ノニオン系界面活性剤を併用しても良い。これらの分散
剤及び界面活性剤の合計の使用量は、単量体に対して
0.01〜1.0重量%が好ましい。以上述べた重合反
応基質の仕込み順は、特に制約はなく、重合開始前の予
備攪拌、重合開始剤の後添加等を採用しても良い。
【0039】重合温度は、重合開始剤が、熱的に分解す
る温度であれば良く、通常、0〜80℃が好適である。
さらに、上記の重合反応基質の他に、メルカプト系化合
物、塩素系化合物からなる公知の連鎖移動剤を添加する
ことにより分子量の調節をすることが出来る。なお、得
られたスラリー状重合物は、一般の塩化ビニルの懸濁重
合物と同様に脱水乾燥工程を経て、塩化ビニル系樹脂パ
ウダーが得られる。
【0040】一方、乳化重合の場合は、分散剤の代わり
に乳化剤を使用し、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸のような水
溶性の重合開始剤を用いることによって、懸濁重合に準
じた処方により実施できる。この様にして得られたラテ
ックスは通常の塩化ビニル樹脂ラテックスの場合と同様
の操作により洗浄、乾燥等されパウダーとして得ること
が出来る。あるいは塗料としての用途であればラテック
スのまま市場に供給される。
【0041】以上により、得られる塩化ビニル系樹脂の
パウダーは、通常の塩化ビニル樹脂と同様に、安定剤、
耐衝撃改良剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、加工
助剤、その他添加剤等を添加して加工しても良い。混合
や加工は、通常の塩化ビニル系樹脂で用いられているよ
うな、カレンダー成形、押出成形、射出成形、ブロー成
形などの方法で行うことができる。また、ラテックスは
通常の塩化ビニル系ラテックスに行われるような塗布乾
燥等の操作により皮膜を作ることが出来る。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法により得られた塩化ビニル
系樹脂は、優れた耐衝撃性を有する。また、かかる塩化
ビニル系樹脂は、透明性も良好であり、本発明は工業的
に極めて有用である。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例中の部及び%は重量基準であ
る。ラテックスの平均粒子径は光子相関分光法(Bro
ok−haven Instruments Corp
oration製 BI−90型)で測定した。分子量
はテトラヒドロフラン可溶分をゲル・パーミエーション
クロマトグラフから求めたポリスチレン換算の値であ
る。
【0044】実施例1 ガラス容器中でイオン交換水250部、ドデシル硫酸ナ
トリウム2部、過硫酸カリウム0.07部を良くかきま
ぜて、温度を70℃に固定した。これに第一重合段階と
してスチレン50部とジビニルベンゼン0.5部の混合
溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間重
合を継続した。反応液に乳濁するポリスチレン微粒子の
平均粒子径は55nmであった。また、このポリスチレ
ン微粒子は、すべてその粒子径が120nm以下にあっ
た。
【0045】第二重合段階として、上記反応液に過硫酸
カリウム0.05部を含むイオン交換水20部を加え
て、n−ブチルアクリレート35部とエチレングリコー
ルジメタクリレート0.35部の混合溶液を10分かけ
て滴下し、滴下終了後さらに1時間重合を継続した。得
られたアクリルゴム微粒子の平均粒子径は、65nmで
あった。
【0046】上記で得られたアクリルゴム微粒子にポリ
オキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル2.
5部を含むイオン交換水30部を加えた後、良く攪拌し
ながら塩化カルシウム2部を含むイオン交換水80部を
30分かけて滴下し、ラテックスを凝集した。肥大化し
たアクリルゴム粒子の平均粒子径は206nmであっ
た。この肥大化したアクリルゴム粒子において、この粒
子中に含まれるポリスチレン微粒子の数を、アクリルゴ
ム平均粒子径から換算すると、約32個となった。
【0047】さらに、温度を再び70℃に固定し、第三
重合段階として過硫酸カリウム0.04部を含むイオン
交換水20部を加え、n−ブチルアクリレート15部と
エチレングリコールジメタクリレート0.15部の混合
溶液を10分かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間重
合を継続した。得られたアクリルゴム粒子の平均粒子径
は217nmであった。また、このアクリルゴム粒子は
すべて、その粒子径が1.00μm以下であった。
【0048】反応液の一定容量を取り出し、メタノール
を加えて沈殿させ、濾過した後に洗浄、乾燥して、固形
分の重量を測定した。この値から計算した上記多段重合
の転化率は99%であった。
【0049】6lオートクレーブを用いて塩化ビニル
1.8kgと上記合成により得られたアクリルゴム粒子
が含まれる反応液500ml(固形分重量として約10
0g)を加え、ラウロイルパーオキサイド1.0g、ポ
リビニルアルコール3.0g、水2700gを仕込み、
攪拌しながら温度67℃で5時間重合を行った。得られ
た生成物を濾過し、洗浄乾燥したところアクリルゴム粒
子含量(元素分析値より計算)が6%の塩化ビニル系樹
脂を得た。
【0050】この塩化ビニル系樹脂100部とジブチル
錫マレート(安定剤)4部を混合し、165℃の熱ロー
ルで5分間混練した。その後、170℃で3分間加熱プ
レスして、厚さ3mmの板を作成した。この塩化ビニル
系樹脂板のアイゾッド衝撃強度を、JISーK7110
に準じて2号A試験片にて行ったところ6.6kgcm
/cm2 であった。また、全光線透過率及び曇価はJI
S−K7105に準じて測定したところ、全光線透過率
は83%であり、曇価は8%であった。
【0051】実施例2〜3 実施例1において、塩化ビニルとアクリルゴム粒子の仕
込組成を表1に示すように変更する以外は、実施例1と
同様にして塩化ビニル系樹脂を製造した。得られた各樹
脂について、実施例1と同様の加工及び測定を行った。
結果を表1に示した。
【0052】比較例1 実施例1において、アクリルゴム粒子の添加を省いて塩
化ビニルの重合を行った。得られた塩化ビニル樹脂につ
いて、実施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を
表1に示した。
【0053】比較例2 実施例1のアクリルゴム粒子の合成において、ポリオキ
シエチレン(10)オクチルフェニルエーテル及び塩化
カルシウムを使用せずに(凝集肥大化させずに)得られ
た反応液(アクリルゴム粒子の平均粒子径65nm)を
用いて、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂を製造
した。得られた塩化ビニル系樹脂について、実施例1と
同様の加工及び測定を行った。結果を表1に示した。
【0054】比較例3 1lの攪拌器付丸底ガラス容器を用いて、ラウリル硫酸
ナトリウム4gと過硫酸カリウム0.1g及びイオン交
換水500mlを仕込み、容器内を窒素で置換しながら
良く攪拌する。温水浴で容器内温度を70℃に昇温した
後、攪拌しながらn−ブチルアクリレート70g、アリ
ルメタクリレート0.7gの混合液を30分間かけて滴
下し、滴下後70℃で2時間重合を行った。得られた粒
子の平均粒子径は44nmであった。
【0055】この反応液に、ポリオキシエチレン(1
0)オクチルフェニルエーテル6gを添加した後、攪拌
しながら塩化カルシウム1gを含むイオン交換水100
mlをゆっくり滴下して粒子を凝集肥大化した。再び容
器内温度を70℃に保ったまま、n−ブチルアクリレー
ト30g、アリルメタクリレート0.3gの混合液及び
過硫酸カリウム0.05gを含むイオン交換水10ml
をゆっくり投入し、攪拌しながら2時間重合を行った。
得られた粒子の平均粒子径は220nmであった。
【0056】この反応液の一定容量を取り出し、乾燥し
て固形分重量を求めた。この値から換算した上記多段重
合における転化率は99wt%であった。
【0057】この反応液を使用し、実施例1と同様にし
て塩化ビニル系樹脂を製造し、得られた塩化ビニル系樹
脂について、実施例1と同様の加工及び測定を行った。
結果を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】実施例4〜6 実施例1において、アクリルゴム粒子を製造する際の各
重合段階の単量体組成を表2の様に変える以外は実施例
1と同じようにして多段重合を行い、アクリルゴム粒子
を得た。粒子径および含まれる微粒子の個数を表2に示
した。
【0060】次いで、上記により得られた各アクリルゴ
ム粒子が含まれる反応液を用いて、実施例1と同様にし
て塩化ビニル系樹脂を製造し、得られた各樹脂を用いて
実施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を表2に
示した。
【0061】実施例7 実施例1において、アクリルゴム粒子を製造する際の、
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル
の使用量を2部、塩化カルシウムの使用量を2.6部と
する以外は実施例1と同じようにして多段重合を行い、
アクリルゴム粒子を得た。得られたアクリルゴム粒子の
粒子径は403nmであり、含まれるポリスチレン微粒
子は計算上197個であった。また、このアクリルゴム
粒子は99%以上が粒子径が1.00μm以下であっ
た。
【0062】次いで、上記により得られたアクリルゴム
粒子が含まれる反応液を用いて、実施例1と同様にして
塩化ビニル系樹脂を製造し、得られた各樹脂を用いて実
施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を表2に示
した。
【0063】実施例8 実施例1において、アクリルゴム粒子を製造する際の、
各重合段階で使用する重合開始剤として過硫酸アンモニ
ウムを用い、水性電解質として炭酸カリウム1.5部を
用い、非イオン系界面活性剤としてポリオキシエチレン
(23)ラウリルエーテル2.5部を用いる以外実施例
1と同じようにして多段重合を行い、アクリルゴム粒子
を得た。得られたアクリルゴム粒子の粒子径は137n
mであり、含まれるポリスチレン微粒子は計算上5個で
あった。
【0064】次いで、上記により得られたアクリルゴム
粒子が含まれる反応液を用いて、実施例1と同様にして
塩化ビニル系樹脂を製造し、得られた各樹脂を用いて実
施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を表2に示
した。
【0065】実施例9 実施例1において、アクリルゴム粒子製造の際の各重合
段階の単量体組成を表2の様に変える以外は実施例1と
同じようにして多段重合を行い、複層アクリル系重合体
粒子を得た。
【0066】次いで、上記により得られた複層アクリル
系重合体粒子が含まれる反応液を用いて、実施例1と同
様にして塩化ビニル系樹脂を製造し、得られた各樹脂を
用いて実施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を
表2に示した。
【0067】
【表2】
【0068】実施例10 実施例1において、アクリルゴム粒子を製造した後、そ
の反応液にさらに、第四重合段階として過硫酸カリウム
0.05部を含むイオン交換水20部を加えて、メチル
メタクリレート25部、スチレン20部、ジビニルベン
ゼン1部の混合溶液を10分かけて滴下し、滴下終了後
さらに2時間重合を継続した。得られた反応液中に乳濁
する、複層アクリル系重合体粒子の平均粒子径は235
nmであった。また、この反応液の一定容量を取り出
し、乾燥して固形分重量を求めた。この値から換算した
上記多段重合における転化率は99wt%であった。
【0069】次いで、この複層アクリル系重合体粒子が
含まれる反応液を用いて実施例1と同様にして塩化ビニ
ル系樹脂を得た。得られた樹脂を用いて実施例1と同様
にして作成した板のアイゾッド衝撃強度は6.9kgc
m/cm2 であり、全光線透過率83%であり、曇価は
7%であった。
【0070】実施例11〜12 実施例2〜3において、それぞれ、使用した各アクリル
ゴム粒子に代えて実施例9で使用した複層アクリル系重
合体粒子を用いた以外、各実施例2〜3と同様にして塩
化ビニル系樹脂を製造した。得られた各樹脂を用いて実
施例1と同様の加工及び測定を行った。結果を表3に示
した。
【0071】
【表3】
【0072】実施例13〜16 実施例4〜7において、それぞれ、アクリルゴム粒子を
製造した後、第四重合段階として、過硫酸カリウム0.
05部を含むイオン交換水20部及び表4に示すような
単量体の混合溶液を10分かけて滴下し、滴下終了後さ
らに2時間重合を継続した。得られた各反応液中に乳濁
する、複層アクリル系重合体粒子の平均粒子径を表4に
示した。
【0073】次いで、この各複層アクリル系重合体粒子
が含まれる反応液を用いて実施例1と同様にして塩化ビ
ニル系樹脂を得た。得られた各樹脂を用いて実施例1と
同様の加工及び測定を行った。結果を表4に示した。
【0074】
【表4】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 本発明において、前記アクリルゴム粒子
の表面を覆うガラス転移温度0℃以上である重合体の層
は、に制限されるものではないが、一般には、その厚
さが1〜100nmであるのが好適である。また、この
重合体層は、粒子全体の固定化を勘案すれば、複層アク
リル系重合体粒子中において5〜50重量%であるのが
好適である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】 なお、凝集肥大化させるため電解質を乳
濁液または懸濁液中に添加した際に乳濁或いは懸濁状態
の安定性が悪くなり、沈澱やスケール、時には巨大粒子
が発生したりすることがある。このような場合には、水
性電解質の添加前に非イオン系界面活性剤を適量添加し
液を安定化させるのが好ましい。こうした非イオン系界
面活性剤は、公知のものがに制限されることなく使用
できるが、具体的には、ポリオキシエチレン(23)ラ
ウリルエーテル(括弧内の数字はオキシエチレン単位の
数の平均値、以下同じ)、ポリオキシエチレン(10)
オレイルエーテルの様なポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニ
ルエーテルの様なポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル類、ポリオキシエチレン(25)モノステアレ
ートの様なポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソ
ルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエートの
様なソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレ
ン(4)ソルビタントリオレエートの様なポリオキシエ
チレンソルビタンアルキルエステル類などが挙げられ
る。乳濁液を安定化させ、続く重合に支障がなければ、
特に限定されないが、HLB価(親水性疎水性バラン
ス)を8以上とするのが望ましい。この非イオン性界面
活性剤は、通常は、乳濁液或いは懸濁液中のアクリルゴ
ム微粒子成分に対して0〜10重量%の範囲で使用する
のが一般的である。なお、これら非イオン系界面活性剤
の種類、使用量を適宜選択することによっても凝集粒子
径の制御を行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】 比較例2 実施例1のアクリルゴム粒子の合成において、ポリオキ
シエチレン(10)オクチルフェニルエーテル及び塩化
カルシウムを使用せずに(凝集肥大化させずに)得られ
反応液を用いて、実施例1と同様にして塩化ビニル系
樹脂を製造した。得られた塩化ビニル系樹脂について、
実施例1と同様の加工及び測定を行つた。結果を表1に
示した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニ
    リデン重合体微粒子を複数個含む平均粒子径が0.04
    5〜1.00μmのアクリルゴム粒子の存在下に、塩化
    ビニルを重合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】芳香族ビニル重合体微粒子または塩化ビニ
    リデン重合体微粒子を複数個含んだアクリルゴム粒子よ
    りなる核部分と、その表面を覆うガラス転移温度0℃以
    上である重合体よりなる被覆部分とよりなり、平均粒子
    径が0.05〜1.20μmである複層アクリル系重合
    体粒子の存在下に、塩化ビニルを重合することを特徴と
    する塩化ビニル系樹脂の製造方法。
JP34004993A 1993-12-06 1993-12-06 塩化ビニル系樹脂の製造方法 Pending JPH07157520A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34004993A JPH07157520A (ja) 1993-12-06 1993-12-06 塩化ビニル系樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34004993A JPH07157520A (ja) 1993-12-06 1993-12-06 塩化ビニル系樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07157520A true JPH07157520A (ja) 1995-06-20

Family

ID=18333239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34004993A Pending JPH07157520A (ja) 1993-12-06 1993-12-06 塩化ビニル系樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07157520A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2400500C9 (ru) Применение гранулированных полимеров полиалкил(мет)-акрилатов и формовочная масса для получения экструдированных формованных изделий с матовой поверхностью
JPH11166091A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
EP0221456B1 (en) Clear impact modifier for pvc
US3879495A (en) Impact-resistant rubber-modified plastics and process for producing the same
JP3631360B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
EP1598372B1 (en) Polymer particle composition and process for producing the same
JP2515014B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
US4128605A (en) Process for preparing vinyl chloride resin-acrylic graft copolymer composition
JPS6410004B2 (ja)
JPH07157520A (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP5133493B2 (ja) (メタ)アクリル樹脂組成物
US20090124725A1 (en) Viscosity Modifier for Thermoplastic Polyester Resin, Thermoplastic Polyester Resin Composition Containing the Same, and Molding of the Composition
JPH11181037A (ja) 偏平状異形微粒子の製造方法および該微粒子を含むエマルジョン
JPS61123613A (ja) 水性重合による低分子量のハロゲン化ビニル/ビニルエステルコポリマ−の製法
JPH07138328A (ja) 複層アクリル系重合体粒子及びその製造方法並びにその用途
KR100431453B1 (ko) 내충격성이 우수한 염화비닐계 수지의 제조방법
KR20030046184A (ko) 내충격성 염화비닐계 수지의 제조방법
JP2910774B2 (ja) 塩化ビニル樹脂の製造方法
JP2003119341A (ja) ポリ塩化ビニル系樹脂組成物
JP2006131826A (ja) 樹脂組成物
JP2001089622A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体
JPH10265533A (ja) 塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH10218948A (ja) 塩化ビニル系グラフト共重合樹脂
JP2006083332A (ja) 塩化ビニル系共重合樹脂及びその製造方法並びにその樹脂組成物
JP2019178227A (ja) グラフト共重合体の製造方法、及び塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法