JPH07157514A - フッ素系樹脂又はその成形体の改質方法乃び複合成形物中間材料 - Google Patents

フッ素系樹脂又はその成形体の改質方法乃び複合成形物中間材料

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JPH07157514A
JPH07157514A JP34268693A JP34268693A JPH07157514A JP H07157514 A JPH07157514 A JP H07157514A JP 34268693 A JP34268693 A JP 34268693A JP 34268693 A JP34268693 A JP 34268693A JP H07157514 A JPH07157514 A JP H07157514A
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fluororesin
resin
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intermediate material
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JP34268693A
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Katsuhiko Oikawa
克彦 及川
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Gunze Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/032Organic insulating material consisting of one material
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/38Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal
    • H05K3/381Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal by special treatment of the substrate

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フッ素系樹脂又はその成形体の表面を特に高
温接着性に優れた状態に改質する方法、及び改質された
該樹脂、又はその成形体と熱硬化性樹脂の前駆体との複
合成形物中間材料の提供にある。 【構成】 本発明は、フッ素系樹脂又はその成形体をア
ルカリ金属を含む液体により処理し、次いで少なくとも
アミノ基又はエポキシ基を含む脂肪族置換基及びアルコ
キシ基を有するシランカップリング剤で処理することに
よりフッ素系樹脂又はその成形体を改質するものであ
り、更には、前記で改質されたフッ素系樹脂又はその成
形体と熱硬化性樹脂の前駆体とを備えて成る複合成形物
中間材料の提供に関する。これによって、高温での接着
性と耐久性の優れた複合形成物を得ることができ、例え
ば耐熱性が要求されるプリント基板等への新たな展開が
可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフッ素系樹脂又はその成
形体の改質方法及び前記改質されたフッ素系樹脂又はそ
の成形体と熱硬化性樹脂の前駆体とを備えてなる複合成
形物中間材料に関する。
【0002】
【従来技術】フッ素系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、摺動
性、電気特性等に優れているために機能性材料として、
各分野で使用されている。しかし、他の材料と複合化す
る場合、接着性に極めて乏しいことが最大の欠点であ
り、その用途が制限されているのが実状である。
【0003】そこで、フッ素系樹脂に接着性や表面ぬれ
性を付与せしめるための技術が種々開発されている。例
えば、非重合性もしくはケイ素系有機化合物からなる重
合性ガス等の低温プラズマ処理とシリコーン系プライマ
ー処理を組合せた光化学的方法が特公平5−26815
号公報に開示されている。又、化学的方法としては、ア
ルカリ金属を含む液体で表面を処理することが広く知ら
れている。
【0004】
【発明が開発しようとする課題】本発明の目的は、特に
高温(例えば、150℃以上)での接着性が優れている
フッ素系樹脂又はその成形体の改質法を開発すること及
び該改質されたフッ素系樹脂又はその成形体と熱硬化性
樹脂の前駆体とを備えた複合成形物中間材料を開発する
ことにあるが、前記の従来技術では、いずれも本発明の
目的を達成するのには不満足であった。即ち、これら従
来技術では常温での接着性は改良されるが、高温になる
と接着性が大きく低下する傾向にあるためである。
【0005】一般にフッ素系樹脂又はその成形体と他の
材料、例えば熱硬化性樹脂等との複合成形物を作成する
に際しては、熱硬化性樹脂の前駆体を硬化する手段を伴
い、かかる硬化手段は、通常では加熱処理により行われ
るため、従来技術ではこの時点で、両者の接着性が不満
足となる傾向にあった。そのため好ましい複合成形物が
得られにくいという状況下にあり、こうした課題を解決
する必要性にせまられていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、例
えば高温下に晒されたとしても接着性が低下しないフッ
素系樹脂又はその成形体の提供を目的として、鋭意研究
を続けた結果、遂に本発明に到達してものである。即ち
本発明の特徴とするところはフッ素系樹脂又はその成形
体をアルカリ金属を含む液体により処理し、次いで少な
くともアミノ基又はエポキシ基を含む脂肪族置換基及び
アルコキシ基を有するシランカップリング剤により処理
することによりフッ素系樹脂又はその成形体を改質せん
とする点にあり、更にその特徴とするところはアルカリ
金属を含む液体により処理された上に、少なくともアミ
ノ基又はエポキシ基を含む脂肪族置換基及びアルコキシ
基を有するシランカップリング剤により処理されてなる
改質されたフッ素系樹脂又はその成形体と熱硬化性樹脂
の前駆体とを備えてなる複合成形物中間材料を提供せん
とする点にある。
【0007】本発明は以上の特徴を有するもので、これ
によって従来技術では達成されなかった高温での接着性
と耐久性に優れた改質されたフッ素系樹脂又はその成形
体が開発された。その結果、例えば前記により改質され
たフッ素系樹脂又はその成形体と熱硬化性樹脂の前駆体
とを備えた複合成形物中間材料を用いることにより、容
易に複合成形物を得ることが可能となり、例えば耐熱性
が要求されるプリント基板等への新たな展開をはかるこ
とが可能となった。
【0008】以下に本発明の手段について詳述する。ま
ず本発明に係る改質の対象となるフッ素系樹脂とは、一
般にフッ素系樹脂として知られている高分子重合体であ
る。ここで重合体の炭素鎖に結合されるフッ素原子の数
は、特に制限されず、こうしたフッ素系樹脂としてはフ
ッ素化合物の単独重合体、これらの共重合体、フッ素化
合物と非フッ素不飽和化合物との共重合体、及びこれら
の混合物等を例示でき、これらフッ素系樹脂又はその成
形体は概ねその表面が改質される。
【0009】これらフッ素系樹脂としては具体的には、
テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド等の
単独重合体、及びテトラフルオロエチレンとパーフルオ
ロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレンと
ヘキサフルオロプロピレン、エチレンとテトラフルオロ
エチレンとの共重合体等を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0010】更に、本発明により改質されるフッ素系樹
脂の形状は、特に制限されず、例えば粉体、粒状体、ペ
レット体等をあげることができ、更にフッ素系樹脂成形
体としては特に制限はないが、繊維、編物、織物、紐、
フィルム、シート、チューブ、板、テープ等を例示でき
る。
【0011】また、フッ素系樹脂又はその成形体にはフ
ッ素系樹脂以外の熱可塑性樹脂や、一般に知られる滑
剤、核剤、充填剤等の第3成分を添加してもよい。又、
フッ素系樹脂成形体については、他の樹脂等からなる各
種材料を用いてなる成形体との複合材料等であってもよ
く、特に制限はない。
【0012】本発明に係るアルカリ金属を含む液体と
は、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム、ルビ
ジウム等のアルカリ金属の1種以上を溶媒に加えてなる
もので、アルカリ金属としては金属ナトリウム、金属カ
リウムを好ましいものとしてあげることができる。ここ
で液体中にアルカリ金属がどのような状態で含まれよう
と差し支えないが、一般には分散状、溶液状等の液状体
の形で含まれていると云われている。こうしたアルカリ
金属を含む液体としては、例えば金属ナトリウムの液体
アンモニア溶液又はアルカリ金属錯化合物のテトラヒド
ロフラン溶液もしくはジエチレングリコールジメチルエ
ーテル溶液等を例示でき、ここで溶液とは厳密な溶液と
は限らず液体状であればよい。前記したアルカリ金属錯
化合物としては金属ナトリウム−ナフタレン、金属カリ
ウム−ナフタレン、金属リチウム−ナフタレン、金属リ
チウム−フェナントレン、金属ナトリウム−フェナンス
レン、金属ナトリウムーアントラセン等を例示でき、特
に制限はない。アルカリ金属が液体中に含まれる量は、
特に制限はないが一般には30重量%以下を例示でき
る。
【0013】本発明に係るシランカップリング剤とは4
価のケイ素に少なくともアミノ基、又はエポキシ基を含
む脂肪族置換基とアルコキシ基の各々少なくとも1個結
合されているシラン化合物であれば良く、その他の要件
については特に制限されるものではない。こうしたシラ
ン合物については、化1で表されるものを例示できる。
【0014】
【化1】
【0015】ここでRはアミノ基又はエポキシ基を含む
脂肪族置換基、Xはアルコキシ基、nは1〜2の整数乃
びmは2〜3の整数を表し、n+m=4である。前記脂
肪族置換基としては特に制限はないが、具体的には炭素
数2〜7個程度のものを例示できる。この際、その末端
がアミノ基やエポキシ基によって置換されたものが望ま
しいが、このことについては、特に制限はない。このよ
うな脂肪族置換基は少くともアミノ基又はエポキシ基を
含むアルキレン基を例示できるが、特に制限はない。本
発明ではこのアミノ基やエポキシ基が他の材料との反応
基として作用するといわれている。前記したアミノ基と
してはその水素原子の1個又は2個が不活性基、例えば
メチル基、エチルは等のアルキル基、フェニル基等のア
リール基で置換されている第2アミン、第3アミンであ
ってもよいし、更に前記アルキル基等の不活性基の水素
原子が、更にアミノ基等で置換されているものであって
も良く、特に制限はない。前記したエポキシ基として、
エタンエポキシ基、エチレンエポキシ基、グリシジル
基、、グリシドキシ基等の脂肪族系のエポキシ基、エポ
キシシクロヘキシル基等の環状エポキシ基を例示でき、
特に制限はない。また、前記したnが2の場合、例えば
片方がアミノ基を有し、他方がエポキシ基を有する脂肪
族置換基であっても良いことは勿論である。尚、前記し
た式でn=2の場合はそのうちの1つのRが少なくとも
アミノ基又はエポキシ基を含む脂肪族置換基であるなら
ば、他の1個のRはアミノ基やエポキシ基を必ずしも有
する必要はない。この際、他の1個のRはアルキル基等
を例示でき、特に制限はないが、勿論このRが少なくと
もアミノ基又はエポキシ基を有していても差し支えな
い。前記したアルコキシ基は加水分解可能な性質を持っ
ているものが望ましい。このアルコキシ基は他の樹脂と
の反応基として作用すると云われており、このため、本
発明ではフッ素系樹脂またはその成形体にシランカップ
リング剤が導入されると考えられるが確かなことは不明
である。
【0016】本発明に係るシランカップリング剤とは、
具体的に例示すると次のとおりである。即ち、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−
アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−
(3−アミノプロピル)アミノエチルトリメトキシシラ
ン、γ−(3−アミノプロピル)アミノエチルメチルジ
メトキシシラン等のアミノ基を含むシラン化合物等や、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β
−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシジプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン等のエポキシ基を含むシラン化合物等を挙げることが
できるが、これらに限定されるものではない。尚、本発
明のシランカップリング剤は、一般的にはいずれも常温
で液体である場合が多いが、特に制限はない。
【0017】次に本発明に係る複合成形物中間材料を構
成する熱硬化性樹脂の前駆体とは、触媒の存在下、もし
くは非存在下での加熱処理、無水酢酸、無水酪酸等の脱
水イミド化剤等の存在下での処理等適宜の処理によっ
て、一次元化、又は多次元化反応し硬化する性質を有す
る樹脂であって、その硬化前の段階では熱可塑性的挙動
を示す傾向がある。このような前駆体としては具体的に
は、例えばイミド系、フェノール系、エステル系、エポ
キシ系等の熱硬化性樹脂の前駆体を挙げることができる
が、熱硬化性樹脂の前駆体であれば、その種類に関係な
く、前記以外の熱硬化性樹脂の前駆体でもよく、特にこ
れらに制限されるものではない。中でも、イミド系、エ
ポキシ系、フェノール系の熱硬化性樹脂の前駆体がより
好ましい。又、これら前駆体は2種以上混合することも
でき、その組合せによってはより好ましい場合もあるが
特にこれらに制限はなく、混合しなくてもよい。これら
前駆体は粉末、液体、固体のいずれであってもよく、
又、これらが有機溶剤に溶解していてもよく、特に制限
はない。
【0018】前記のイミド系樹脂の前駆体とは、最終的
には主鎖中に少なくともイミド基が形成され、これが繰
返し単位となって、高分子体を形成し、熱硬化性樹脂と
なる前段階のポリマーである。従って、この段階では熱
可塑的に自由に成形もできる状熊のものが例示できる。
具体的な前駆体としては、例えば縮重合型としては種々
の有機二塩基酸無水物と有機ジアミンとを極性溶媒中
で、低温反応して得られる重合体が例示でき、一般には
ポリアミド酸と呼ばれている。この際、ここでいう有機
とは、二塩基酸無水物及びジアミンとが有機基を有して
いることであり、この有機基としては、例えばフェニー
ル基、ビフェニール基、ビフェニールエーテル基、ビフ
ェニールスルホン基、ビフェニールカルボン基、ビフェ
ニールアルキレン基等を例示できる。この有機基の種類
によって、一般的には種々の異なった性質を有するイミ
ド系熱硬化性樹脂が得られるが、このことは特に制限を
受けるものではない。この際、一般的には、このような
前駆体のボリアミド酸が200℃以上の高温で加熱され
ると閉環反応を起こして硬化し、イミド化して熱硬化性
イミド系樹脂に変化するが、脱水イミド化剤等の存在下
で常温で硬化することもあり、硬化手段については特に
制限はない。
【0019】その他のイミド系熱硬化性樹脂の前駆体と
しては、付加重合型をあげることができ、例えばビスマ
レイミドによる重合体を例示できる。この重合体は出発
原料としては無水マレイン酸と有機ジアミンとで合成さ
れ、有機極性溶媒中では粘稠な液状物である。この液状
物は一般的には、例えば200℃前後に加熱することに
よって、付加反応が進み、熱硬化性樹脂に変化する。更
に、他のイミド系熱硬化性樹脂の前駆体としてはビスマ
レイミドとトリアジン樹脂とが有機極性溶媒中で、ブレ
ンドされ共重合して得られる粘稠な液状物が例示でき
る。
【0020】エポキシ系樹脂の前駆体としては、耐熱性
の低い物と高い物の2種類がある。本発明では、高耐熱
性グレードの方が、より効果の大きい複合成形体が得ら
れるので好ましいが、特に制限はない。この高耐熱性グ
レードとしては、例えば3個以上のグリシジル基を有す
る芳香族系のグリシジル化合物と芳香族ジアミンとの反
応による初期反応段階のポリマーを例示できる。
【0021】フェノール系樹脂の前駆体としては、一般
にフェノール等の芳香族アルコールとホルムアルデヒド
との反応によって得られる。例えば、フェノールに過剰
のホルムアルデヒドをアルカリ触媒存在下で反応させて
得られるレゾールと称する水飴状のポリマーや、逆に酸
触媒の存在下で、過剰のフェノールにホルムアルデヒド
を反応させる可溶、可融性のノボラックと称する固形ポ
リマー等を挙げることができ、特に制限はない。前者の
レゾールポリマーの場合には、更に加熱すると不溶、不
融の熱硬化性樹脂に変化するものが例示できる。又、ノ
ボラックポリマーの場合には、硬化剤としてのアミンを
ノボラックポリマーに添加し、加熱すると不溶、不融の
熱硬化性樹脂に変化するものが例示できる。フェノール
の代わりにクレゾール、アルキルフェノール等を使用す
ることもでき、このことに特に制限はない。
【0022】エステル系樹脂の前駆体としては、一般的
には芳香族ジカルボン酸と3価アルコールと2価アルコ
ールとの反応によって得られる初期段階のポリマーで、
分岐型の前駆体を例示できる。
【0023】以上の熱硬化性樹脂の前駆体中に、必要あ
らば更に第3成分を混合してもよいことは勿論である。
これら第3成分として、例えば、炭素繊維、ガラス繊
維、アラミド繊維、窒化ケイ素繊維等の強化性繊維を挙
げることができるが、特に制限はない。
【0024】次に本発明に係るフッ素系樹脂又はその成
形体を処理する条件について説明する。まず、処理工程
に入る前に、フッ素系樹脂又はその成形体をアルコール
等で洗浄することが好ましいが、特に制限はなく、洗浄
しなくてもよい。本発明に係るアルカリ金属を含む液体
及び特定のシランカップリング剤による2工程の処理の
場合、まずアルカリ金属を含む液体から行う。この際、
処理の順序が逆転すると本発明の目的は達成されない。
処理はフッ素系樹脂又はその成形体をアルカリ金属を含
む液体に接触させることによって行われる。この際、接
触方法には特に制限はなく、例えば浸漬、粉霧、塗布等
によって行う方法を例示できる。又、接触時間、温度は
一般的には約1秒以上、約50℃以下、より好ましくは
3秒以上、常温以下を例示できるが、これに制限される
ものではない。処理後はアルコール類、エーテル類等で
表面を洗浄することが好ましいが、特に制限はない。こ
の段階でフッ素系樹脂又はその成形体の表面は、多くの
場合若干着色するが、これは次の特定のシランカップリ
ング剤による処理に有利な状態に化学変化したものと推
定される。尚、処理前のフッ素系樹脂又はその成形体の
表面をスパッタ、レーザー光等による各種前処理を施し
てもよいが、特に制限はなく、処理しなくてもよい。
【0025】本発明に係る特定のシランカップリング剤
による処理は、アルカリ金属を含む液体で改質されたフ
ッ素系樹脂又はその成形体を処理することで達成され
る。この際、シランカップリング剤をそのまま用いても
よいし、水、有機溶媒等で希釈して用いてもよく、特に
制限はない。希釈できる有機溶媒としては、例えば、ア
ルコール類、エーテル類、炭化水素類、ケトン類、エス
テル類、又はこれらの混合物、更にはアルコール類と水
との混合物を例示できる。又、希釈濃度は特に制限され
ないが、一般的には約5重量%以下が好ましい。尚、前
記シランカップリング剤で処理する際の処理方法、処理
条件等には特段の制限はないが、例えば浸漬、粉霧、塗
布等による処理方法を例示できる。処理温度は常温でも
よいが、加熱するのがより好ましく、加熱温度は約70
℃以上が好ましいが、特に制限はない。処理時間は一般
には約60分以下で十分であるが、特に制限はない。処
理終了後は、取り出して常温で放置乾燥するか、更に加
熱乾燥してもよく、特に制限はない。加熱乾燥する場
合、温度は約130℃以下、好ましくは約100℃以下
で、時間は約30分以下で行うのが好ましいが、特にこ
れらの値に制限されるものでない。以上の諸条件によっ
て得られる改質されたフッ素系樹脂又はその成形体は、
他の材料との接着性に優れており、例えば150℃以上
の高温でも、より優れた接着力と耐久性、即ち持続性を
発現するものとして、その用途は広範囲に及ぶ。
【0026】次に、本発明のもう1つの手段である複合
成形物中間材料について説明する。複合成形物中間材料
は、前記する如く、アルカリ金属を含む液体にて処理さ
れた上に、特定のシランカップリング剤によって処理さ
れたフッ素系樹脂又はその成形体と熱硬化性樹脂の前駆
体とにより形成される。両者の割合は、各々の目的用途
によって決められ、特に制限されないが、通常では該フ
ッ素系樹脂、又はその成形体、約1〜95重量%に対し
て、熱硬化性樹脂の前駆体が約99〜5重量%程度を例
示できる。
【0027】本発明に係るフッ素系樹脂又はその成形体
と熱硬化性樹脂の前駆体とを備えた中間材料を作成する
には、一般的にはフッ素系樹脂の形状によって異なる場
合が多く、これら中間材料の形状については特に制限は
ない。例えば、フッ素系樹脂が粉末の場合には、フッ素
系樹脂と熱硬化性樹脂の前駆体とを通常の適宜な方法で
均一に分散混合等を行なってなる中間材料を例示でき
る。例えば、フッ素系樹脂の成形体が織物、編物等のウ
ェブやフィルム、シート、チューブ等の場合には液状の
熱硬化性樹脂の前駆体を用いて浸漬、スプレー、ハケ塗
り等で塗布等を行なってなる中間材料を例示できる。こ
れらの中間材料はプリプレグと呼称されるものも含まれ
る。又、これら中間材料のある種のものを何枚か積層し
て、積層された中間材料としてもよく特に制限はない。
熱硬化性樹脂の前駆体を有機溶剤に混合して用いる場合
や前駆体自身が液体の場合等には、自然乾燥、又は強制
乾燥等によって有機溶剤等を蒸発除去して中間材料とす
ることが好ましいが、特に制限されず、本発明には有機
溶剤等が存在する状態でも中間材料という表現を用い、
これらも本発明に係る中間材料の範疇であることは勿論
である。前記強制乾燥では常圧、又は真空下で加熱によ
って行うのが効率的であり、熱硬化性樹脂の前駆体が実
質的に硬化しない温度で行うことが望ましいが、最終製
品の複合成形物への成形が可能な範囲内で適宜に硬化が
進行していても一向に差し支えなく、これらも本発明に
おける中間材料の範疇である。
【0028】このようにして得られた複合成形物中間材
料は前記の通り、フッ素系樹脂の形状や熱硬化性樹脂前
駆体の状態等により種々の形状をなしており、このよう
な中間材料は硬化手段によって複合成形物となる。この
際、中間材料の形状のままで複合成形物としてもよい
し、中間材料を更に種々の形状に成形して複合成形品と
してもよく、本発明の中間材料はこのようにその適応範
囲は極めて広い。即ち、中間材料から複合成形物を成形
する際には、最終目的、用途等に応じて所定の形状に成
形すればよく、成形に際しては熱硬化性樹脂前駆体を、
熱硬化性樹脂に変化させる硬化手段を同時に行うことも
できるし、所定の形状に成形してから硬化手段に移って
もよく、特に制限はない。こうした硬化手段を通ること
で、フッ素系樹脂と熱硬化性樹脂との接着がより強固に
なり、最終製品の複合成形物となるのである。このよう
に複合成形物を成形するには、硬化手段が必要であり、
このような硬化は加熱処理によって行うのが一般的であ
るが、勿論、本発明では加熱処理を伴わないで硬化せし
めることも可能であり、このような硬化手段によっても
フッ素系樹脂と熱硬化性樹脂との接着は十分確保され、
例え高温下で使用されたとしても、接着性の低下は起こ
さない。このように本発明では硬化手段については特に
制限はない。更に前記した硬化を行う条件は、熱硬化性
樹脂前駆体の硬化温度、時間、目的、用途及びその他に
よって異なることは当然である。従って、個々のケース
について適宜決定されるが、硬化温度については特に制
限はないが、通常150〜300℃程度を例示できる。
また、最終製品の複合成形物を成形するに際しては、例
えば圧縮成形法、平圧プレス成形法等の適宜の成形法に
よればよく、特に制限はない。このようにして成形され
た複合成形物の用途としては、特に制限はないが、一般
的にはFPC、RPC等のプリント基板、モーター等の
摺動部材、各種研磨材、機械部品、搬送部材等を例示で
きる。以上のように本発明に係る中間材料から得られる
複合成形物は、今後あらゆる方面への広範な用途が期待
されている。
【0029】
【作用】フッ素系樹脂又はその成形体が前記のアルカリ
金属を含む液体にて処理された後、更に特定のシランカ
ップリング剤による処理によって接着性、耐久性が改質
されるメカニズムについては不明であるが、改質された
フッ素系樹脂又はその成形体の接着力は経時による低下
が見られないことからして、該フッ素系樹脂又はやその
成形体の炭素骨格に結合するフッ素、水素の各原子のい
くつかが、アルカリ金属を含む液体によって引き抜か
れ、その結果、次のシランカップリング剤による処理に
より、前記引き抜かれた箇所が特定のシランカップリン
グ剤中に存在するアルコキシ基と反応することによっ
て、該シランカップリング剤がフッ素系樹脂又はその成
形体に導入されるものと考えられる。従って、アミノ
基、又はエポキシ基は未反応の状態で存在しているもの
と考えられ、これが他の物との接着性に寄与するものと
考えられる。しかし乍ら、これらのことは不明の点も多
く、今後の研究によって解明されていくものと思われ
る。
【0030】
【実施例】以下に実施例と比較例とによって、本発明を
更に詳述する。尚、実施例1〜3では、フッ素系樹脂成
形体の改質方法について例示し、実施例4〜6では改質
されたフッ素系樹脂と熱硬化性樹脂の前駆体からなる複
合成形物中間材料について例示した。更に実施例4〜5
では、各々の実施例から得られる中間材料を用いて成形
される複合成形物についても例示した。比較例1〜2は
フッ素系樹脂表面の処理を前記アルカリ金属を含む液体
とシランカップリング剤との各処理を別々で行った例で
ある。
【0031】実施例1 テトラフルロオエチレン/パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体を溶融紡糸して、径250μφのモノ
フィラメントを得た。これをアルコールを用いて超音波
洗浄し、表面脱脂して以下の処理に供した。即ち、まず
金属ナトリウムとナフタレンとによる金属錯体をジエチ
レングリコールジメチルエーテルの溶液に20重量%分
散した液体を調整する。次に、この分散液に前記モノフ
ィラメントを常温で30秒間浸漬後、取り出してイソプ
ロピルアルコールで十分洗浄し、更に水洗いし乾燥し
た。一方、シランカップリング剤としては、N−フェニ
ル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が1
重量%になるように水50重量%を含有するメタノール
に溶解した。該シランカップリング剤溶解液に前記モノ
フィラメントを浸漬し、常温で30分間放置後、取り出
して、これを100℃の乾燥機に入れ1時間乾燥した。
以上の2工程で処理して得られたモノフィラメントの表
面は若干着色していた。このフィラメントを、以下Aモ
ノフィラメントと呼ぶ。
【0032】こうして得られたAモノフィラメントの接
着性を確認するためのテストを行った。ここでテスト用
の試験片を作製するために、図1の斜視図で示す製作用
型を使用した。図1で1は未処理のフッ素系樹脂で作成
された型本体で、2は幅3mm、長さ50mm、深さ5
mmの内容積を有する熱硬化性樹脂の前駆体注入セルで
ある。3と3aとは、直線的に並べて作った溝で、この
溝の中にもAモノフィラメントを上から装入して貫通す
るようにセットする。
【0033】この製作用型を使って、次の方法でテスト
用試験片を作製する。まず、長さの10cmのAモノフ
ィラメントの1本を3と3aの溝に上から装入して、テ
フロンテープにて隙間がないようにシール・固定しつ
つ、溝の全部をも封じた。一方、ジメチルホルムアミド
とメチルエチルケトンとの混合溶媒中の付加重合型ビス
マレイミド系樹脂とトリアジン樹脂との混合前駆体〔三
菱ガス化学(株)製のBTレジン、タイプBT211
0]と、エポキシ系樹脂の前駆体〔油化シェルエポキシ
(株)製のエピコート、タイプ152〕とを重量比で
2:1で混合し、更に触媒としてオクチル酸亜鉛を前記
混合全量に対して0.01重量%を添加し、全体を均一
に混合して、試験片作成用試験液を調合した。次に、こ
の試験液を50℃で真空脱泡し、溶媒を除去した後、こ
れをAモノフィラメントを装着した製作用片のセル内に
充填した。引き続いて常圧で100℃、4時間、更に2
00℃、2時間加熱して、付加重合反応を起こさせ、熱
硬化性樹脂に変化させた。冷却後、該セルから取り出し
テスト用試験片を得た。この形状は図2に示したとおり
である。即ち、4は前記試験片作成用試験液から得られ
た熱硬化性樹脂で5は該熱硬化性樹脂により3mmに渡
ってうめ込まれたAモノフィラメントである。従って、
Aモノフィラメントの接着幅は3mmである。この試験
片は、同様の方法で合計9片作製した。
【0034】次に、前記で得られた9片中、3片を使っ
て接着力を測定した。この接着力は引張試験機〔島津製
作所製・オートグラフ・AGS100A〕にて測定し
た。即ち、該試験片の非接着部分のAモノフィラメント
を把持して、該熱硬化性樹脂から引き抜くテストを行
い、引き抜かれた瞬間の力を測定した。単位はg/mm
に換算した。この結果を表1に示した。結果は3試験
片の値の平均値である。
【0035】実施例2 更に6片の試験片を用いて水で1時間煮沸後、引続き2
60℃に加熱されているシリコーンオイル中に10分間
放置した。次に、その中の3片を水中に投入し急冷した
後、この3片の接着力を同様にして測定した。残る3片
を引続き260℃のシリコーンオイル中で更に10分間
加熱後、水中に投入し急冷した。この3片の接着力を同
様にして測定した。その測定結果は両者とも185g/
mmであった。
【0036】実施例3 金属ナトリウムを含む液体の代わりに金属カリウムを含
む液体及びシランカップリング剤のN−フェニル−γ−
アミノプロピルトリトメキシシランの代わりにγ−グリ
シドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いる以外
は実施例1と同様にして処理し、図2に示す形の試験片
を9片作製した。そして、この中の3片の試験片につい
て、実施例1と同様にして引き抜きテストを行って、接
着力を測定した。その結果を表1に示した。結果は試験
片、3片の平均値である。次に、残る6片の試験片につ
いて実施例2と同様にまず1時間水で煮沸し、引き続き
260℃のシリコーンオイル中で10分間加熱後、水中
に投入、急冷した。この中から3片を取り出して同様に
引き抜きテストを行って接着力を測定した。更に残る3
片を引き続き260℃のシリコーンオイル中で10分間
加熱後、水中に投入し急冷した。この3片を用い、同様
に引き抜きテストを行い接着力を測定した。その測定結
果は両者とも155〜160g/mmであった。
【0037】比較例1 実施例1で得た径250μφのテトラフルオロエチレン
/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体による
モノフィラメントをアルコールを用いて超音波洗浄し、
表面を脱脂した。これを金属ナトリウムとナフタレンと
による金属錯化合物をジエチレングリコールジメチルエ
ーテル溶液に20重量%分散させた液体に常温で30秒
間浸漬した。これを取り出して、イソプロピルアルコー
ルにて洗浄後、更に水洗いした。このモノフィラメント
を用いて実施例1と同様に、前記付加重合型ビスマレイ
ミド系樹脂とトリアジン樹脂の混合前駆体〔三菱ガス化
学(株)製のBTレジン、タイプBT2110〕とエポ
キシ系樹脂の前駆体〔油化シェルエポキシ(株)製のエ
ピコート、タイプ152〕とを重量比で2:1に混合し
た前駆体によって、3片の試験片を作製し、引き抜きテ
ストのよる接着力を測定した。3片の値の平均値を表1
にまとめた。
【0038】比較例2 実施例1で得た径250μφのテトラフルオロエチレン
/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体による
モノフィラメントを、アルコール用いて超音波洗浄し、
表面を脱脂した。これをシランカップリング剤としてN
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを
濃度が1重量%になるように水を50重量%含有するメ
タノールに溶解した溶液中に浸漬して常温で30分間放
置後、取り出し、100℃の乾燥機に入れ1時間乾燥し
た。このモノフィラメントを実施例1を同様にして、実
施例1と同類の付加重合型ビスマレイミド系樹脂とトリ
アジン樹脂の混合前駆体とエポキシ系樹脂の前駆体とを
混合した前駆体によって、3片の試験片を作製して、引
き抜きテストで接着力を測定した。3片の値の平均値を
表1にまとめた。
【0039】実施例4 テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体粉末を口径0.7mmの円形ノズルを
使って溶融紡糸した。得られたモノフィラメント24μ
φの糸を24本合わせてマルチフィラメントとして、こ
れを緯方向30本/インチ、径方向53本/インチの打
込本数により製織して、平織布を作製した。厚さは約
0.1mmであった。
【0040】得られた平織布を、まず、金属ナトリウム
とナフタレンとによる金属錯化合物をジエチレングリコ
ールジメチルエーテル溶液に10重量%分散した液体に
浸漬して、30秒放置した。次いで、取り出してイソプ
ロピルアルコールで洗浄し、更に水洗した。引き続きこ
れをγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシランの濃度が1重量%になるように水を50重量
%含有したメタノールで溶解した溶液中に浸漬して、常
温で30分間放置した。取り出してこれを100℃で1
時間乾燥した。この2工程を経て得られた平織布は、若
干着色した。この際、上記と同様の処理を施して合計4
枚の平織布作成した。
【0041】次に、前記表面処理された4枚の平織布の
各々に付加重合型のビスマレイミド系樹脂とトリアジン
樹脂との混合前駆体[三菱ガス化学(株)製のBTレジ
ン、タイプBT2110]を塗布、乾燥して、ウエブ状
のプリプレグを作成し、このプリプレグを4枚重ね複合
成形用中間材料とした。前記複合成形用中間材料を温度
200℃、圧力5k/cm、2時間加圧成形し積層板
をを作成した。この積層板の誘電率(10Hzで測
定)は2.5であった。これに対し、従来技術に係る付
加重合型ビスマレイミド系樹脂とトリアジン樹脂との混
合前駆体[三菱ガス化学(株)製のBTレジン、タイプ
BT2110]からなる硬化後の樹脂の誘電率は3.5
前後であるので、この積層板の誘電率は約30%程低下
している。該積層板は、例えばプリント基板等に好適な
ものである。更に、該積層板の高温接着性を確認するた
めに、沸騰水で1時間煮沸し、更に260℃のシリコン
オイル中で10分間加熱し、次いで水で急冷した。こう
して得られた積層板は外観には全く異常が認められず、
またフッ素系樹脂からなる平織布の剥離もなく、極めて
強固に接着されたものであった。
【0042】実施例5 テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共
重合体の粉末を加圧、加熱成形して厚さ0.5mmのシ
ートを3枚作成し、次の手順で表面処理を行なった。ま
ず、金属ナトリウムを含む液体アンモニア溶液(金属ナ
トリウム濃度2重量%)に、該シートを30秒間浸漬し
て取り出した。次に、イソプロピルアルコールで洗浄
後、更に水洗した 引き続き、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンの温度が1重量%になるようにキシレンに溶解した溶
液中に浸漬して、常温で3分間放置した後、取り出して
100℃で1時間乾燥した。得られた3枚のシートの表
面は若干着色した。
【0043】こうして得られたシートの2枚を用いて、
その表面に硬化剤としてトリアリルアミン0.1重量%
添加したエポキシ系樹脂の前駆体液[油化シェルエポキ
シ(株)製のエピコート、タイプ152」をコーティン
グして重ね合わせて複合成形物中間材料とした。次い
で、該中間材料を150℃、圧力5kg/cmでプレ
ス成形してシート状の複合成形物を作製した。こうして
得られた複合成形物は、その誘電率(10Hzで測
定)が3.0で、この値はガラス繊維を使って低誘電率
化を計った従来技術に係るプリント基板の誘電率5.0
(10Hzで測定)前後に比較しても低誘電率を有す
るものであり、極めて優れたものである。このことから
も本例で得られた複合成形物はプリント基板としての利
用も大いに期待できるものである。更に、この複合成形
物を200℃のシリコーンオイルに10分間浸漬した
後、水中に投入して急冷した。この複合成形物を30度
に折り曲げたが剥離することは全くなく、最期には屈曲
部から切断した。
【0044】実施例6 アルカリ触媒の存在下でフェノール系樹脂に過剰のホル
ムアルデヒドを反応させ水飴状のフェノール系樹脂(レ
ゾール)を得た。次いで、水飴状のフェノール系樹脂
(レゾール)をガラス繊維布に含浸してプリプレグを作
製し、該プリプレグ2枚に実施例4で得られた処理済の
シートの1枚を挟んで、複合成形物中間材料とした。こ
れを150℃、5kg/cmでプレスしてフェノール
系樹脂(レゾール)を熱硬化させて積層板状の複合成形
物を得た。この複合成形物を20度に折曲げたが、シー
トが剥離するような状況は全く見られなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明は、フッ素系樹脂又はその成形体
を改質することにより、該樹脂又はその成形体への高度
な高温接着性の付与が可能になる等の優れた効果を奏す
るものである。又、本発明では、該樹脂又はその成形体
と、例えば熱硬化性樹脂の前駆体との複合成形物の中間
材料を極めて容易に提供できるようになり、その結果、
該樹脂又はその成形体と熱硬化性樹脂との複合成形物の
提供を極めて容易に可能にしたもので、その効果は格別
なものがある。更に、このようにして得られる複合成形
物は熱硬化性樹脂の作用でフッ素系樹脂が本来持ってい
る良好な電気的性質(例えば低誘導率)、耐薬品性、耐
摩耗性、耐熱性等の性質を更に向上させるものとして今
後大いに期待されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片成形用型の斜視図である。
【図2】該型で成形して得た試験片の斜視図である。
【符号の説明】
1 製型本体 2 熱硬化性樹脂の前駆体注入セル 3、3a 溝 4 熱硬化性樹脂 5 モノフィラメント
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素系樹脂又はその成形体をアルカリ
    金属を含む液体により処理し、次いで少なくともアミノ
    基又はエポキシ基を含む脂肪族置換基及びアルコキシ基
    を有するシランカップリング剤により処理することを特
    徴とするフッ素系樹脂又はその成形体の改質方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属を含む液体により処理され
    た上に、少なくともアミノ基又はエポキシ基を含む脂肪
    族置換基及びアルコキシ基を有するシランカップリング
    剤により処理されてなる改質されたフッ素系樹脂又はそ
    の成形体と熱硬化性樹脂の前駆体とを備えてなる複合成
    形物中間材料。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属が金属カリウム及び/又は
    金属ナトリウムである請求項1もしくは2に記載の改質
    方法又は複合成形物中間材料。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂の前駆体がエポキシ系樹
    脂、イミド系樹脂及びフェノール系樹脂から選ばれた少
    なくとも1種の前駆体である請求項2又は3に記載の複
    合成形物中間材料。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属を含む液体により処理され
    た上に、少なくともアミノ基又はエポキシ基を含む脂肪
    族置換基及びアルコキシ基を有するシランカップリング
    剤により処理されてなる改質されたフッ素系樹脂又はそ
    の成形体と熱硬化性樹脂の前駆体とを備えてなる複合成
    形物中間材料における前記前駆体が硬化手段により熱硬
    化性樹脂に硬化した構成を有する複合成形物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020090666A (ja) * 2018-11-27 2020-06-11 ダイキン工業株式会社 フッ素樹脂成形品の製造方法および製造システム

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