JPH07157303A - 酸処理黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法 - Google Patents

酸処理黒鉛の製造方法及び膨張黒鉛の製造方法

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JPH07157303A
JPH07157303A JP5302856A JP30285693A JPH07157303A JP H07157303 A JPH07157303 A JP H07157303A JP 5302856 A JP5302856 A JP 5302856A JP 30285693 A JP30285693 A JP 30285693A JP H07157303 A JPH07157303 A JP H07157303A
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幸治郎 石川
Tei Doi
禎 土肥
Toshihide Yamamoto
年秀 山本
Hisanori Sugimoto
久典 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸処理黒鉛を製造するのに際して、多量の濃
硫酸を使用する必要をなくすこと、酸処理黒鉛を加熱処
理したときに、膨張状態にムラが生じたり、未膨張の部
分が残ったり、膨張倍率が低くなったり、シートの引っ
張り強度が低下したりするのを、防止すること、短時間
で黒鉛粒子を酸処理することである。 【構成】 濃度90%以上の濃硫酸を黒鉛粒子に加えて
攪拌することによりペーストを生成させ、このペースト
を冷却してペーストの温度を10°C以下にし、このペ
ーストを攪拌しながら、温度10°C以下の過酸化水素
水をペーストへと添加して前記黒鉛粉末を酸化させる。
好ましくは、黒鉛粒子が、天然リン片状黒鉛、熱分解黒
鉛及びキッシュ黒鉛からなる群より選ばれた1種以上の
黒鉛粒子であり、過酸化水素水の濃度が10%以上、3
0%以下であり、黒鉛粒子100重量部に対して過酸化
水素水を10重量部〜40重量部添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸処理黒鉛の製造方
法、及び、この酸処理黒鉛を加熱処理して膨張黒鉛を製
造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、膨張黒鉛を製造するには、次の方
法があった。 (1)化学薬品浸漬法 多量の酸化性媒体中に、多量の酸化剤、又は高濃度の酸
化剤を添加することによって、黒鉛粒子を化学的に酸化
する方法である。具体的には、濃度98%の濃硫酸と酸
化剤(濃硝酸、重クロム酸カリウム、ペルオキソ二硫酸
アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、過酸化水
素等)とを混合して、酸性の混合物を製造する。この酸
性混合物に黒鉛粒子を浸漬し、酸処理黒鉛を製造する。
この方法は、工業的量産に採用されている。
【0003】しかし、多量の濃硫酸、多量の酸化剤を使
用するため、これらの取扱は困難である。特に、多量の
濃硫酸等を使用することから、そのままでは周囲環境の
汚染等を引き起こすおそれがあるため、これらの有害物
質の処理施設や公害防止施設が必要である。また、有毒
ガスの発生による作業環境の汚染のおそれがある。更
に、多量の濃硫酸を使用することから、水洗が困難であ
る。また、黒鉛粒子を酸性混合物中へと浸漬するとき
に、酸化反応が瞬間的に激しく生ずるため、酸化反応の
度合いに不均一が生ずる。これにより、酸処理黒鉛を加
熱処理したときに、膨張状態にムラが生じ、未膨張の部
分が残ったり、あるいは膨張倍率が低くなることがあっ
た。また、この膨張倍率をシート状にしたときに、この
シートの引っ張り強度が低下することがあった。
【0004】(2)電解酸化処理法 多量の酸化性媒体中で、黒鉛粒子を電気化学的に酸化す
る方法である。この方法によれば、濃度70%〜95%
の硫酸等の、比較的に低濃度の電解液中で、黒鉛粒子を
処理することができる。しかし、均一な、膨張倍率の高
い酸処理黒鉛を製造するためには、長時間の電解酸化が
必要であるため、酸処理黒鉛の量産が困難である。ま
た、電解液に対して、長時間電流を流すため、電解液の
温度の上昇が著しく、このため装置の材質の劣化を招
く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、多量
の濃硫酸を使用する必要がない方法を提供することであ
る。また、本発明の課題は、酸処理黒鉛を加熱処理した
ときに、膨張状態にムラが生じたり、未膨張の部分が残
ったり、膨張倍率が低くなったり、シートの引っ張り強
度が低下したりするのを、防止することである。また、
本発明の課題は、短時間で黒鉛粒子を酸処理する方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る酸処理黒鉛
の製造方法は、濃度90%〜98%の濃硫酸を黒鉛粒子
に加えて攪拌することによりペーストを生成させ、この
ペーストを冷却してペーストの温度を10°C以下に
し、このペーストを攪拌しながら、温度10°C以下の
過酸化水素水をペーストへと添加して黒鉛粉末を酸化す
ることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る膨張倍率の製造方法
は、濃度90%〜98%の濃硫酸を黒鉛粒子に加えて攪
拌することによりペーストを生成させ、このペーストを
冷却してペーストの温度を10°C以下にし、このペー
ストを攪拌しながら、温度10°C以下の過酸化水素水
をペーストへと添加して黒鉛粉末を酸化させることによ
り酸処理黒鉛を製造し、次いでこの酸処理黒鉛を700
°C以上の温度で加熱して膨張黒鉛を生成させることを
特徴とする。
【0008】
【作用】本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭
意研究を進めた。この結果、冷却した少量の濃硫酸を黒
鉛粒子に加えて攪拌し、ペースト状態(粘稠性の高い状
態)とし、こうして得たペーストを冷却し、かつ攪拌し
つつ、冷却した低濃度の過酸化水素水をこのペーストに
対して添加することにより、膨張倍率が高く、膨張状態
にムラが生じず、未膨張部分が生じない酸処理黒鉛を製
造できることを発見した。
【0009】また、こうして得た膨張黒鉛からシートを
製造してシートの引っ張り強度を測定してみたが、化学
薬品浸漬法によって得たものに比べて、シートの引っ張
り強度が顕著に向上していた。
【0010】この理由は、明らかではないが、化学薬品
浸漬法に比べて、黒鉛粒子の酸化反応が緩やかであり、
適度に制御されるために、反応にムラがなく、未反応の
黒鉛粒子が生じにくいためであろう。
【0011】このように、黒鉛粒子に硫酸を加えて、粘
稠性の高いペーストを生成させるので、化学薬品浸漬法
とは異なり、硫酸の添加量がごく少ない。また、過酸化
水素水の濃度も、後述するように低くてもよい。
【0012】従って、周囲環境の汚染等を引き起こすお
それがない。また、有毒ガスの発生による作業環境の汚
染のおそれも少ない。更に、濃硫酸の量が少ないことか
ら、少量の水で水洗を完了させることができるので、水
洗が容易であり、硫酸水溶液の排水処理対策も容易にな
る。
【0013】しかも、ペーストに対して過酸化水素水を
添加して黒鉛粒子を酸化処理する工程は、例えば30分
間程度の短い時間で、問題なく実施できることも確認し
た。従って、本発明の方法は、極めて量産に適したもの
であり、産業上の利用性が大きい。従来の電解酸化処理
法によれば、これと同様のケースでも、例えば5時間程
度の長時間、電解酸化を実施する必要があった。
【0014】また、本発明の方法によって製造した酸処
理黒鉛を、700°C以上の温度で加熱処理すると、膨
張黒鉛が得られる。この加熱処理温度の上限は、好まし
くは、1000°Cである。
【0015】
【実施例】原料の黒鉛粒子は、好ましくは、天然リン片
状黒 鉛、熱分解黒鉛及びキッシュ黒鉛からなる群より
選ばれた1種以上の黒鉛粒子である。黒鉛粒子の平均粒
径は、特に制限されないが、10〜200メッシュの範
囲内の黒鉛粒子が好ましい。
【0016】硫酸の温度は、特に限定されていないが、
15°C以下とすることが好ましい。即ち、硫酸を黒鉛
粒子に添加して混合させると、発熱するので、硫酸を予
め冷却して硫酸の温度を15°C以下にすると、ペース
トの温度を10°C以下にまで冷却することが、短時間
で可能になるので、好ましい。この観点から、硫酸の温
度を10°C以下とすることが好ましい。また、工業的
に見ると、0°C以下にまで冷却するのは非効率なの
で、この観点からは、硫酸の温度を0°C以上とするこ
とが好ましい。
【0017】ただし、硫酸の温度が15°Cを越える場
合であっても、ペーストの温度を10°C以下にまで冷
却するための時間が長くなるが、その他の点では特に問
題はない。
【0018】硫酸の濃度が高ければ高いほど、酸化反応
が進行し易いので、好ましい。特に、硫酸の濃度が90
%未満であると、酸化反応がほとんど進行しなくなるの
で、90%以上とする必要がある。この観点から、硫酸
の濃度を95%以上とすることが好ましい。また、実際
上、硫酸の濃度を98%以下とするのが好ましい。
【0019】ペーストの温度は10°C以下とする。こ
れが10°Cを越えると、過酸化水素の分解が速くな
り、酸化反応が不均一になる。また、過酸化水素水をペ
ーストに添加したとき、発熱反応によって、ペーストの
温度が瞬時に60°Cを越えるため、反応時に黒鉛粒子
が膨張してしまう。こうなると、酸処理黒鉛の体積が増
大するため、加熱処理後における膨張倍率が小さくなる
ので、使用することができなくなる。
【0020】また、ペーストの冷却温度は、0°C以上
とすることが好ましい。工業的に見ると、0°C以下に
まで冷却するための装置は高価であり、非効率だからで
ある。
【0021】ペーストへと過酸化水素水を添加する際に
は、スプレーによって過酸化水素水を噴霧することが好
ましい。過酸化水素水の温度は10°C以下とする。過
酸化水素水の温度が10°Cを越えると、過酸化水素の
分解が速くなり、酸化反応が不均一になるからである。
【0022】過酸化水素水の濃度は、好ましくは、10
%以上、30%以下である。過酸化水素水の濃度が10
%未満であると、酸化反応が充分には行われない傾向が
ある。過酸化水素水の濃度が30%を越えると、酸化反
応が激しくなり、ペーストの温度が瞬時に60°Cを越
え、膨張の不均一の原因となる。
【0023】黒鉛粒子100重量部に対して、過酸化水
素水を10重量部〜40重量部添加することが好まし
い。過酸化水素水の添加量が10重量部未満であると、
過酸化水素の量が少なくなるので、酸化反応が不均一に
なりやすい傾向がある。過酸化水素水の添加量が40重
量部を越えても、特に膨張倍率等の諸特性には影響はな
いし、過酸化水素の量が増えるので、経済的ではない。
【0024】以下、更に具体的な実験結果について説明
する。最初に、粒度分布30〜60メッシュの天然リン
片状黒鉛粉末(嵩密度0.66g/ml)を使用した実
験結果について説明する。
【0025】上記の天然リン片状黒鉛粉末100重量部
に、硫酸150重量部を添加し、この混合物を攪拌し、
ペースト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表1に示
す。このペーストを、表1に示す温度まで冷却した。こ
のペーストを攪拌しながら、表1に示す温度に冷却した
過酸化水素を、ペーストに対してスプレーによって噴霧
し、30分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、表1
に示す。
【0026】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。これにより、実施例
1─1では、嵩密度0.0044g/mlの膨張黒鉛を
得た。
【0027】原料である天然リン片状黒鉛粉末の嵩密度
をA(0.66g/ml)とし、膨張黒鉛の嵩密度をB
(0.0044g/ml)とすると、膨張率はB/Aで
ある。従って、実施例1─1では、膨張倍率B/Aは1
50倍であった。また、未膨張部分は存在しなかった。
実施例1─2では、膨張倍率B/Aは151倍であり、
未膨張部分は存在しなかった。この結果を表2に示す。
【0028】また、上述のようにして得た膨張黒鉛を、
ロールに通して、厚さ0.3mmのシート状に成形し、
このシートの引っ張り強度を評価した。ただし、シート
の形状は、「ダンベル1号」の形状とした。引っ張り速
度は、100mm/分とした。この結果も表2に示す。
【0029】一方、比較例1─1においては、上記の天
然リン片状黒鉛粉末100重量部を、濃度98%の硫酸
(400重量部)中に浸漬した。硫酸を攪拌しながら、
ペルオキソ二硫酸アンモニウム20重量部を硫酸に添加
し、次いで30分間攪拌した。
【0030】次いで、この酸性混合物から黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥して酸処理黒鉛を得た。こ
の酸処理黒鉛を、温度800°Cの電気炉内に投入し、
加熱処理を行い、膨張黒鉛を得た。この膨張黒鉛につい
て、上記の各実施例と同様にして、膨張倍率、引っ張り
強度、未膨張の有無を測定した。この結果を表2に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表1、表2によれば、膨張倍率、引っ張り
強度ともに、本発明の実施例1─1、実施例1─2の方
が優れている。また、実施例1─1、1─2では、硫酸
の使用量が、比較例1─1に比べてはるかに少ない。実
施例1─2は、過酸化水素の濃度を50%として処理し
たものであり、膨張倍率等の諸特性は、実施例1─1と
比べてまったく遜色はない。ただし、過酸化水素の濃度
が高いことから、コスト的には不利である。
【0034】次に、粒度分布30〜60メッシュの熱分
解黒鉛粉末(嵩密度0.40g/ml)を使用した実験
結果について説明する。
【0035】上記の熱分解黒鉛粉末100重量部に、硫
酸150重量部を添加し、この混合物を攪拌し、ペース
ト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表3に示す。こ
のペーストを、表3に示す温度まで冷却した。このペー
ストを攪拌しながら、表3に示す温度に冷却した過酸化
水素を、ペーストに対してスプレーによって噴霧し、3
0分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、表3に示
す。
【0036】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。こうして得た膨張黒
鉛の膨張倍率、引っ張り強度、未膨張の有無を、表4に
示す(実施例2─1)。
【0037】また、上記の熱分解黒鉛粉末100重量部
を、濃度95%の硫酸400重量部中に浸漬し、攪拌し
ながら、濃度50%の過酸化水素水を添加した。この混
合物を30分間攪拌した。次いで、この酸性混合物から
黒鉛を取り出し、黒鉛を充分水洗し、乾燥して酸処理黒
鉛を得た。この酸処理黒鉛を、温度800°Cの電気炉
内に投入し、加熱処理を行い、膨張黒鉛を得た。この膨
張黒鉛について、膨張倍率、引っ張り強度、未膨張の有
無を測定した。この結果を表4に示す(比較例2─
1)。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】実施例2─1では、膨張倍率B/Aは13
3倍であり、未膨張部分は存在しなかった。比較例2─
1では、膨張倍率、引っ張り強度ともに実施例2─1よ
りも劣っており、未膨張部分も存在している。
【0041】次に、粒度分布30〜60メッシュのキッ
シュ黒鉛粉末(嵩密度0.46g/ml)を使用した実
験結果について説明する。
【0042】上記のキッシュ黒鉛粉末100重量部に、
硫酸170重量部を添加し、この混合物を攪拌し、ペー
スト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表5に示す。
このペーストを、表5に示す温度まで冷却した。このペ
ーストを攪拌しながら、表5に示す温度に冷却した過酸
化水素を、ペーストに対してスプレーによって噴霧し、
30分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、表5に示
す。
【0043】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。これにより、膨張黒
鉛を得た。この膨張倍率、引っ張り強度及び未膨張の有
無を、表6に示す。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】実施例3─1では、膨張倍率B/Aは13
9倍であり、引っ張り強度は47kg/cm2 であり、
未膨張部分は存在しなかった。実施例3─2では、膨張
倍率は140倍であり、引っ張り強度は47kg/cm
2 であり、未膨張部分は存在しなかった。ただ、過酸化
水素水の量が多いので(55重量部)、コストがその分
上昇する。
【0047】比較例3─1は、ペーストの温度を20°
Cとして処理したものである。膨張倍率は100倍であ
り、引っ張り強度は35kg/cm2 であって、共に、
実施例3─1、3─2に比べて、大幅に劣っている。
【0048】次に、粒度分布40〜100メッシュの天
然リン片状黒鉛粉末(嵩密度0.60g/ml)を使用
した実験結果について説明する。
【0049】上記の天然リン片状黒鉛粉末100重量部
に、硫酸170重量部を添加し、この混合物を攪拌し、
ペースト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表7に示
す。このペーストを、表7に示す温度まで冷却した。こ
のペーストを攪拌しながら、表7に示す温度に冷却した
過酸化水素を、ペーストに対してスプレーによって噴霧
し、30分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、表7
に示す。
【0050】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。こうして得た実施例
4─1の膨張黒鉛について、膨張倍率、引っ張り強度及
び未膨張の有無を、表8に示す。
【0051】一方、比較例4─1においては、上記の天
然リン片状黒鉛粉末100重量部を、濃度98%の硫酸
(450重量部)中に浸漬した。硫酸を攪拌しながら、
ペルオキソ二硫酸アンモニウム20重量部を硫酸に添加
し、次いで30分間攪拌した。
【0052】次いで、この酸性混合物から黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥して酸処理黒鉛を得た。こ
の酸処理黒鉛を、温度800°Cの電気炉内に投入し、
加熱処理を行い、膨張黒鉛を得た。この膨張黒鉛につい
て、上記の実施例4─1と同様にして、膨張倍率、引っ
張り強度、未膨張の有無を測定した。この結果を表8に
示す。
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】表7、表8によれば、膨張倍率、引っ張り
強度ともに、本発明の実施例4─1の方が優れている。
また、実施例4─1では、硫酸の使用量が、比較例4─
1に比べてはるかに少ない。
【0056】次に、粒度分布40〜100メッシュの熱
分解黒鉛粉末(嵩密度0.38g/ml)を使用した実
験結果について説明する。
【0057】上記の熱分解黒鉛粉末100重量部に、硫
酸200重量部を添加し、この混合物を攪拌し、ペース
ト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表9に示す。こ
のペーストを、表9に示す温度まで冷却した。このペー
ストを攪拌しながら、表9に示す温度に冷却した過酸化
水素を、ペーストに対してスプレーによって噴霧し、3
0分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、表9に示
す。
【0058】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。こうして得た膨張黒
鉛の膨張倍率、引っ張り強度、未膨張の有無を、表10
に示す。
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】実施例5─1では、膨張倍率B/Aは12
7倍であり、引っ張り強度は43kg/cm2 であり、
未膨張部分は存在しなかった。比較例5─1は、スプレ
ーする過酸化水素水の温度を15°Cとして処理したも
のである。膨張倍率は106倍であり、引っ張り強度は
38kg/cm2 であり、共に、実施例5─1に比べ
て、大幅に劣っている。
【0062】次に、粒度分布40〜100メッシュのキ
ッシュ黒鉛粉末(嵩密度0.43g/ml)を使用した
実験結果について説明する。
【0063】上記のキッシュ黒鉛粉末100重量部に、
硫酸190重量部を添加し、この混合物を攪拌し、ペー
スト状とした。この硫酸の濃度、温度は、表11に示
す。このペーストを、表11に示す温度まで冷却した。
このペーストを攪拌しながら、表11に示す温度に冷却
した過酸化水素を、ペーストに対してスプレーによって
噴霧し、30分間攪拌した。過酸化水素の濃度、量は、
表11に示す。
【0064】次いで、このペーストから黒鉛を取り出
し、黒鉛を充分水洗し、乾燥し、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行った。こうして得た膨張黒
鉛の膨張倍率、引っ張り強度、未膨張の有無を、表12
に示す(実施例6─1)。
【0065】また、上記のキッシュ黒鉛粉末100重量
部を、濃度95%の硫酸400重量部中に浸漬し、攪拌
しながら、濃度50%の過酸化水素水を添加した。この
混合物を30分間攪拌した。次いで、この酸性混合物か
ら黒鉛を取り出し、黒鉛を充分水洗し、乾燥して酸処理
黒鉛を得た。この酸処理黒鉛を、温度800°Cの電気
炉内に投入し、加熱処理を行い、膨張黒鉛を得た。この
膨張黒鉛について、膨張倍率、引っ張り強度、未膨張の
有無を測定した。この結果を表12に示す(比較例6─
1)。
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】実施例6─1では、膨張倍率B/Aは11
6倍であり、引っ張り強度は41kg/cm2 であり、
未膨張部分は存在しなかった。比較例6─1では、膨張
倍率、引っ張り強度ともに実施例2─1よりも劣ってお
り、未膨張部分も存在している。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、膨張倍率が高く、膨張
状態にムラが生じず、未膨張部分が生じない酸処理黒鉛
を製造できる。しかも、こうして得た膨張黒鉛からシー
トを製造してシートの引っ張り強度を測定してみたが、
化学薬品浸漬法によって得たものに比べて、シートの引
っ張り強度が顕著に向上していた。
【0070】このように、黒鉛粒子に硫酸を加えて、粘
稠性の高いペーストを生成させるので、化学薬品浸漬法
とは異なり、硫酸の添加量がごく少ない。また、過酸化
水素水の濃度も、低くてもよい。従って、周囲環境の汚
染等を引き起こすおそれがない。また、有毒ガスの発生
による作業環境の汚染のおそれも少ない。更に、濃硫酸
の量が少ないことから、少量の水で水洗を完了させるこ
とができるので、水洗が容易であり、硫酸水溶液の排水
処理対策も容易になる。
【0071】しかも、ペーストに対して過酸化水素水を
添加して黒鉛粒子を酸化処理する工程は、例えば30分
間程度の短い時間で、問題なく実施できる。従って、本
発明の方法は、極めて量産に適したものであり、産業上
の利用性が大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 久典 滋賀県大津市栗林町5番1号 日本黒鉛工 業株式会社瀬田工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 濃度90%以上の濃硫酸を黒鉛粒子に加
    えて攪拌することによりペーストを生成させ、このペー
    ストを冷却してペーストの温度を10°C以下にし、こ
    のペーストを攪拌しながら、温度10°C以下の過酸化
    水素水を前記ペーストへと添加して前記黒鉛粉末を酸化
    することを特徴とする、酸処理黒鉛の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記黒鉛粒子が、天然リン片状黒鉛、熱
    分解黒鉛及びキッシュ黒鉛からなる群より選ばれた1種
    以上の黒鉛粒子である、請求項1記載の酸処理黒鉛の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記過酸化水素水の濃度が10%以上、
    30%以下であり、前記黒鉛粒子100重量部に対して
    前記過酸化水素水を10重量部〜40重量部添加する、
    請求項1記載の酸処理黒鉛の製造方法。
  4. 【請求項4】 濃度90%以上の濃硫酸を黒鉛粒子に加
    えて攪拌することによりペーストを生成させ、このペー
    ストを冷却してペーストの温度を10°C以下にし、こ
    のペーストを攪拌しながら、温度10°C以下の過酸化
    水素水を前記ペーストへと添加して前記黒鉛粉末を酸化
    させることにより酸処理黒鉛を製造し、次いでこの酸処
    理黒鉛を700°C以上の温度で加熱して膨張黒鉛を生
    成させることを特徴とする、膨張黒鉛の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117023576A (zh) * 2023-08-23 2023-11-10 昌邑森汇新材料有限公司 一种高膨胀倍率可膨胀石墨的制备方法

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