JPH0715427B2 - 自動車用故障診断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、サービスステーション等に設置され、各種電
子制御装置を搭載した自動車の故障診断を行う自動車用
故障診断装置に関する。

【従来の技術】

従来、ディーラーのサービスステーション等では、車種
ごとに用意された専用チェッカ，例えば特開昭58-12848
号公報に示されるように車両を診断する時、車載された
車両情報提供装置におけるセンサ信号の取込みや演算お
よびその結果を出力するコントロール部と、予め定めら
れた手順を記憶しておくメモリ部の両部分を、診断用コ
ントロール部とメモリ部とからなる専用チェッカに差し
換え、メモリ部に持っている基準値との比較により、正
常または異常の診断を行うようにしたものがある。しか
しこの専用チェッカは、車種ごと，モデルチェンジごと
に交換しなければならず、かつ得られる情報が限られて
おり、より高度な故障診断を行うには問題がある。そこ
で、自動車用故障診断装置として症状と原因とを対照さ
せて記載された故障診断テキストブックに基づき、問診
を行うエキスパートシステムが提案されている。例えば
特開昭62-42663号公報に示されるように、車両の故障の
症状，原因の因果関係を点検難易度と共に知識データと
して記憶する点検難易度付車両故障情報記憶手段と、症
状情報を入力する症状情報入力手段と、入力された症状
に基づいて記憶されている車両故障情報を探索し入力症
状の原因を推論する推論手段と、推論した原因について
点検難易度を検討し、診断者の点検が容易となるように
推論手段と協働する点検難易度検討手段と、推論結果を
報知する報知手段とを備え、故障診断を迅速かつ容易に
行うようにしたものである。

【発明が解決しようとする問題点】

ところで、このようなエキスパートシステムは、故障診
断のためのデータを全て手入力する必要があり、煩雑で
ある。また、ある程度診断者が判断したデータが入力さ
れてしまうため、予断，勘違い等があり、正確なデータ
を入力できない等の問題がある。さらに、このエキスパ
ートシステムは、コンピュータを必要とするので高価な
システムとなり、ディーラーのサービスステーション等
に備えることは困難で、フィールドユースには向かない
という問題点がある。 本発明は、上述のような問題点を解決するためになされ
たもので、低コストな装置でありながら高度な故障診断
が行える自動車用故障診断装置を提供することを目的と
する。

【問題点を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本発明は、電子制御装置を搭
載した自動車の故障診断装置において、故障診断装置本
体と上記電子制御装置との間で双方向通信を行うための
コネクタと、上記故障診断装置のデータバス開放機能を
介して脱着可能に接続される外部ROMとしてのメモリカ
ートリッジと、上記故障診断装置本体とエキスパートコ
ンピュータとを必要に応じて接続する標準通信インター
フェースとを設けたものである。

【作用】

上記構成に基づき、通常時は、車種ごとに用意されたメ
モリカートリッジの故障診断プログラムに基づき、故障
診断装置本体と車載された電子制御装置との間で双方向
通信を行いながら故障診断を行う。また、必要に応じて
故障診断装置本体を標準通信インターフェースを介して
エキスパートコンピュータに接続し、エキスパートコン
ピュータのキーボード操作による問診で電子制御装置へ
直接呼出し，呼込みを行って、故障診断を行う。

【実施例】

以下、本発明の実施例を第１図および第２図によって説
明する。第１図は自動車用故障診断装置の全体構成図で
ある。 第１図において、符号１は自動車であり、この自動車１
には電子制御装置２が搭載されており、故障診断時に
は、電子制御装置２に設けられたコネクタ３を介してケ
ーブル４によって故障診断装置５に接続され、双方向通
信が可能となる。 故障診断装置５は、コネクタ６を介して外部ROMである
メモリカートリッジ７を脱着可能に接続し、このメモリ
カートリッジ７には故障診断に必要なプログラム，デー
タ等が車種に応じて記憶されており、診断対象車種が変
った場合にはこのメモリカートリッジ７を交換すること
により対応する。 また故障診断装置５は、診断項目を入力するキーボード
部8,診断結果を表示する表示部9,および標準通信インタ
ーフェースであるコイクタ10を備え、必要に応じてコネ
クタ10,ケーブル11を経てエキパートコンピュータ12に
接続され、そのキーボード部13の操作による問診指令で
電子制御装置２へ直接呼出し，呼込みを行って、故障診
断を行う。 このエキスパートコンピュータ12は、音声信号変換器1
4,受話器15,電話機本体16,商用あるいは専用の電話線17
を介して、メーカ等で用意されているホストコンピュー
タ18に接続され、必要なプログラムやデータのバックア
ップを受けることにより、さらに高度な故障診断を行う
ことが可能となる。 次に故障診断装置５およびメモリカートリッジ７の構成
を示す第２図において、故障診断装置５は、故障診断を
行うCPU50の指令で、データバス51によって、データの
一時記憶を行うRAM52,最小限必要な故障診断プログラ
ム,I/Oコントロールプログラム，メモリカートリッジ７
およびエキスパートコンピュータ12をアクセスするプロ
グラム等が格納されているブロトROM53,通信ケーブル4,
コネクタ３を介して電子制御装置２との間で双方向通信
を行うI/Oインターフェース54,およびバッファ55との間
を有機的に結合する。 またI/Oインターフェース54は、キーボード部8,表示部
９が接続されると共に、コネクタ６を介してメモリカー
トリッジ７に接続されており、これ等の制御は、データ
バス51を介してブートROM53に記憶されているプログラ
ムに従いCPU50で行われると共に、さらにデータバス51
にはバッファ55が接続され、このブッファ55およびコネ
クタ６によりメモリカートリッジ７と接続されている。 さらに上記バッファ55のイネーブル端子ｅは、コネクタ
６を介してメモリカートリッジ７に接続され、メモリカ
ートリッジ７を接続しない場合には、データバス51の状
態を外部へ出力しないように構成されている。 メモリカートリッジ７には、車種に応じた故障診断のプ
ログラムが記憶されたメインROM71,およびキーワードロ
ジック72を内蔵し、メインROM71はバッファ73,コネクタ
６を介してデータバス51に接続され、キーワードロジッ
ク72にはコネクタ６を介してI/Oインターフェース54か
らの出力が与えられ、キーワードロジック72からの出力
はバッファ55,73のそれぞれのイネーブル端子e,e′に出
力され、キーワードロジック72からのイネネージル信号
がないと、データバス51およびメインROM71の情報は外
部から読出せないように構成されている。 またデータバス51は、コネクタ10を介してエキスパート
コンピュータ12に接続可能となっており、コネクタ10が
結合されてキーボード部８の操作により、CPU50は通信
ケーブル11,コネクタ10,データバス51,I/Oインターフェ
ース54,通信ケーブル4,コネクタ３を介してエキスパー
トコンピュータ12と電子制御装置２との間で直接双方向
通信を行うように接続し、キーボード部13の操作による
問診で故障診断を行う。 次に、以上のように構成された故障診断装置の動作につ
いて説明する。フィールドにおいて故障診断装置５のみ
によって故障診断を行う場合、自動車１の電子制御装置
２にコネクタ３を介して故障診断装置５を接続し、先
ず、キーボード部８の操作によってリセットする。その
後、CPU50は、ブートROM53に格納されている故障診断に
必要最小限のプログラムおよびデータを順次取出し、キ
ーボード部８の操作による診断項目に応じてデータバス
51,I/Oインターフェース54,通信ケーブル4,コネクタ３
を介して、電子制御装置２との間で双方向通信を行いな
がら故障診断を行い、その結果を表示部９上に表示す
る。 ここで、故障している自動車１の車種が予めわかってい
る場合，あるいは入庫してきた故障車の故障診断を行う
場合には、先ず、故障車の年式を確認し、年式に見合っ
たメモリカートリッジ７を故障診断装置５のコネクタ６
に接続し、次に、故障診断装置５を前述したように電子
制御装置２に接続する。またCPU50は、キーボード部８
の操作でリセットされると、ブートROM53から順次プロ
グラムを取出して故障診断の実行を開始すると共に、I/
Oインターフェース54を介して予め定められたキーワー
ドをキーワードロジック72へ送る。そしてキーワードロ
ジック72は、送られたキーワードをデコードし、所定の
キーワードであればバッファ55,73のイネーブル端子e,
e′にイネーブル信号を送出し、メインROM71をバッファ
73,コネクタ6,バッファ55を介してデータバス51に接続
する。 ここでキーワードロジック72は、送られてきたキーワー
ドが所定のものと一致しない場合，あるいはメモリカー
トリッジ７が故障診断装置５にコネクタ６を介して接続
されていない場合には、イネーブル信号e,e′は送出さ
れないので、データバス51およびメインROM71からの情
報は、それぞれバッファ55,73で外部への出力を阻止さ
れ、機密が保持される。 そして所定のキーワードによりキーワードロジック72よ
りイネーブル信号e,e′が出力されると、メインROM71は
データバス51に接続され、CPU50は、マニュアルに沿っ
たキーボード部８の操作により故障診断項目を入力する
と、そのコードナンバーに従ってメインROM71から車種
に応じた故障診断プログラムを読出し電子制御装置２と
双方向通信を行いながら必要データを要求し、そのデー
タに基づいて故障診断を行い、診断結果を表示部９に表
示する。 診断者は、表示されたデータに基づいてマニュアルに記
載されている標準値と比較し、この比較によりどこに異
常があるかを容易に発見することができる。この場合、
メモリカートリッジ７は、車種ごと，年式ごとに用意さ
れているので、より高度な故障診断を行うことができる
と共に、車種に応じてメモリカートリッジ７のみを取替
えるだけでよく、全体のコストを低減することができ
る。 次にエキスパートシステムを備えているサービスステー
ションにおいては、入庫してきた故障車１に、前述のよ
うに故障診断装置５を接続し、メモリカートリッジ７の
プログラムに従って故障診断を行うと共に、必要に応じ
て故障診断装置５をコネクタ10,通信ケーブル11を介し
てエキスパートコンピュータ12と接続し、電子制御装置
２との間で故障診断装置５を介して直接双方向通信可能
とする。 そしてマニュアルに従ってキーボード部13の操作によ
り、エキスパートコンピュータ12は問診を行い、電子制
御装置２内に蓄えられている各種データ，学習値など，
あるいは電子制御装置２により各種アクチュエータを操
作することにより得られる情報を、こねくた3,I/Oイン
ターフェース54,データバス51,コネクタ10を介して入力
することにより、さらに高度な故障診断を行うことがで
きる。 また上記エキスパートコンピュータ12は、第１図で説明
したようにメーカ等で用意されているホストコンピュー
タ18のバックアップを電話回線17などを介して受けるこ
とができるので、必要に応じてメーカレベルの高度な故
障診断も可能となる。 なお、本発明の第２実施例を第３図に示す。主要な構成
は第２図に示したものと同じであるが、エキスパートコ
ンピュータ12と通信ケーブル11を介して接続するコネク
タ10′を、メモリカートリッジ７側に設けたものであ
り、エキスパートコンピュータ12と電子制御装置２との
間で、コネクタ10′，メモリカートリッジ７側のデータ
バス70、バッファ73,コネクタ6,バッファ55,データバス
51,I/Oインターフェース54,コネクタ３を介して双方向
通信を行い、第２図に示した実施例と同様に、さらに高
度な故障診断を行う。この場合、故障診断装置５自体に
はコストアップは生じず、必要に応じて後からインター
フェースとなるコネクタ10′を追加できるので効率がよ
く、ディーラー等のサービスステーションにおける負担
を軽くすることができる。

【発明の効果】

以上述べてきたように、本発明によれば、 故障診断装置本体とエキスパートコンピュータとを必要
に応じて接続する標準通信インターフェースを設け、車
載された電子制御装置とエキスパートコンピュータとの
間で直接双方向通信を行うようにしたので、フィールド
ユースでは故障診断装置本体のみで手軽に故障診断が行
えると共に、エキスパートコンピュータに特殊なインタ
ーフェースを設けることなく、必要に応じてエキスパー
トコンピュータにより高度な故障診断を行える。 また、中央のホストコンピュータとリンクさせれば、さ
らに大きなデータベースを利用でき、より高度な故障診
断が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図は本発明の一実施例を示すものであり、
第１図は自動車用故障診断装置の全体構成図、第２図は
故障診断装置およびメモリカートリッジの構成を示すブ
ロック図、第３図は第２実施例を示すブロック図であ
る。 １……自動車、２……電子制御装置、3,6……コネク
タ、５……故障診断装置、７……メモリカートリッジ、
10……コネクタ（標準通信インターフェース）、12……
エキスパートコンピュータ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電子制御装置を搭載した自動車の故障診断
   装置において、 故障診断装置本体と上記電子制御装置との間で双方向通
   信を行うためのコネクタと、 上記故障診断装置のデータバス開放機能を介して脱着可
   能に接続される外部ROMとしてのメモリカートリッジ
   と、 上記故障診断装置本体とエキスパートコンピュータとを
   必要に応じて接続する標準通信インターフェースとを設
   けたことを特徴とする自動車用故障診断装置。