JPH07153441A - アルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方法 - Google Patents

アルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方法

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JPH07153441A
JPH07153441A JP5300732A JP30073293A JPH07153441A JP H07153441 A JPH07153441 A JP H07153441A JP 5300732 A JP5300732 A JP 5300732A JP 30073293 A JP30073293 A JP 30073293A JP H07153441 A JPH07153441 A JP H07153441A
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俊広 重松
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低坪量でありながら、特に、電解液の吸液性
及び保液性に優れ、その他の諸性質も併せ持つアルカリ
電池セパレ−タ用不織布の製造方法を提供する。 【構成】 主成分がポリオレフィン重合体とエチレンビ
ニルアルコ−ル共重合体を接合した分割型複合繊維、或
は該分割型複合繊維とポリオレフィン系繊維である有機
繊維から成り、該有機繊維の内、該分割型複合繊維を水
中で離解機を用いて分割し極細繊維を発生させ、分散し
てスラリ−とし(以下、分散液Aと言う)、或は該分散
液Aと該ポリオレフィン系繊維の水分散液を一緒に混合
してスラリ−とし、該スラリ−を湿式抄造法により抄紙
してウェブを形成し、このウェブの片面または両面に
コロナ放電処理を施して後、カレンダ−処理する、或は
このウェブをカレンダ−処理して後、片面または両面
にコロナ放電処理を施すことを特徴とするアルカリ電池
セパレ−タ用不織布の製造方法。好ましくは、コロナ放
電処理条件が、片面当りの総エネルギ−として8.0〜
26.0KW分/m2 であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ電池の正負両
極間に介在させて両者の短絡を防止すると共に、電解液
を十分に保持し、起電反応を円滑に進行させるために使
用するアルカリ電池セパレ−タ用不織布において、低坪
量でありながら、特に、電解液の吸液性及び保液性に優
れ、その他の諸性質も併せ持つアルカリ電池セパレ−タ
用不織布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池は、充放電特性、過充電過
放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、小
型軽量化の著しいエレクトロニクス機器に広く使用され
ている。このようなアルカリ電池の特性は、そのアルカ
リ電池セパレ−タ用不織布の特性にも大きく依存してい
る。
【0003】アルカリ電池セパレ−タ用不織布は、一般
に、次の性能が必要とされている。 (1)正極と負極を物理的に分離できること。 (2)短絡を防ぐための電気的絶縁性を持つこと。 (3)耐電解液性を持つこと。 (4)耐電気化学的酸化性を持つこと。 (5)電解液を含んだ状態で低い電気抵抗を示すこと。 (6)電解液に対して濡れやすく、電解液保持量が大き
いこと。 (7)電池組立工程で耐え得る強度、剛性を持つこと。 (8)電池にとっての有害物質を出さないこと。 (9)充電時に陽極より発生する酸素ガス透過性に優れ
ること。
【0004】そのため、従来から、電解液に濡れやすく
て、その保液量が大きく、しかも電解液を含んだ状態で
電気抵抗が低い、ポリアミド繊維不織布がアルカリ電池
セパレ−タ用不織布として使用されている。また、比較
的高温における耐久性の必要なアルカリ電池には、ポリ
オレフィン繊維不織布がアルカリ電池セパレ−タ用不織
布として使用されている。
【0005】ところが、前記のポリアミド繊維不織布か
らなるアルカリ電池セパレ−タ用不織布は、繰り返し使
用により、ポリアミド繊維から窒素酸化物が溶出し、ア
ルカリ電池の寿命を縮めるという欠点がある。更に、ポ
リアミド繊維不織布からなるアルカリ電池セパレ−タ用
不織布は、ポリアミド中に含まれている窒素の為に、酸
化されたときに硝酸根を生じ、このため、自己放電がし
やすい上、電極の腐食を招くという問題があった。一
方、ポリオレフィン繊維不織布からなるアルカリ電池セ
パレ−タ用不織布は疎水性であるため、電解液に対して
濡れにくく、その保液量が少ないという欠点がある。そ
こで、このアルカリ電池セパレ−タ用不織布に対し界面
活性剤処理等が施されることがあるが、界面活性剤は耐
電解液性に問題があり、また、サイクル使用している
と、ある期間を過ぎたところでその界面活性剤が遊離し
て来て、電解液の吸液性や保液性を十分に改善するに至
っていない。
【0006】そこで、最近、耐電解液性及び耐電気化学
的酸化性と、電解液の濡れやすさ及びその保液量とを共
に向上させることを目的として、エチレンビニルアルコ
−ル系共重合体成分を具備した有機繊維が用いられるに
至っている。その代表例として、特開昭63−3984
9号公報、特開昭64−81165号公報のアルカリ電
池用セパレ−タが提案されている。前者には、耐アルカ
リ性繊維、例えばポリオレフィン系繊維の表面を含浸に
よる手段、または、芯鞘型複合繊維によって、エチレン
ビニルアルコ−ル共重合体樹脂で被覆し、この被覆繊維
でもって形成したアルカリ電池用セパレ−タが記載さ
れ、また、後者にはエチレンビニルアルコ−ル系共重合
体繊維よりなるアルカリ電池用セパレ−タが記載されて
いる。
【0007】ところが、エチレンビニルアルコ−ル系樹
脂を含浸手段により被覆するには大量のエチレンビニル
アルコ−ル系樹脂を必要とするばかりでなく、被覆工程
が非常に煩雑となる。また、耐アルカリ性繊維を芯成分
としエチレンビニルアルコ−ル共重合体を鞘成分とした
芯鞘型複合繊維や後者のエチレンビニルアルコ−ル共重
合体の細繊度繊維は、エチレンビニルアルコ−ル共重合
体成分のみが電解液と接触することになり、エチレンビ
ニルアルコ−ル共重合体中のビニルアルコ−ルは、一
次、二次電池内で室温から80℃付近までの電解液中で
の激しい電池反応に対する耐熱アルカリ性に劣ることか
ら早期に劣化現象が現れ、ビニルアルコ−ルの長所であ
る保液性が低下し、特に充放電を繰り返す二次電池用セ
パレ−タとしては長期の保液性が期待できず、耐久性の
低下が免れない。また、ポリオレフィン系繊維の表面を
エチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂で被覆した被覆
繊維、または、耐アルカリ性繊維を芯成分としエチレン
ビニルアルコ−ル共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊
維は、繊維径が太くなり、ウェブの比表面積が小さいた
めに、充放電に伴い電極板の膨潤が起きた場合、これら
の芯鞘型複合繊維から成るアルカリ電池用セパレ−タで
は、電解液を十分に保液することができず、そのため、
アルカリ電池用セパレ−タ内の電解液が正極板、或いは
負極板側に次第に移行して漸次枯渇し、アルカリ電池の
内部抵抗が増大し、これがアルカリ電池の充電性の低下
を招く大きな原因となる。さらに、これらの被覆繊維、
または芯鞘型複合繊維のみを使用した場合、製造時に、
具体的には、湿式抄造法では湿紙乾燥時に、また、乾式
法では熱カレンダ−等の熱融着時に、エチレンビニルア
ルコ−ル共重合体が融けて膜を作るため、電解液の吸液
性が大きく損なわれ、これらの被覆繊維、または芯鞘型
複合繊維からなるアルカリ電池用セパレ−タでは、界面
活性剤の含浸等を施さなければ、親水性がなく、アルカ
リ電池に使用できないという大きな問題がある。
【0008】また、特開平3−257755号公報に
は、ポリオレフィン重合体とエチレンビニルアルコ−ル
共重合体との分割型複合繊維を35%以上含有するアル
カリ電池用セパレ−タが提案されている。この分割型複
合繊維は、分割後に極細繊維を発生し、ウェブの比表面
積が増大するために、この分割型複合繊維を使用したア
ルカリ電池用セパレ−タは、電解液の保液性が向上する
可能性があるものの、前記したように、製造時にエチレ
ンビニルアルコ−ル共重合体が融けて膜を作るためと分
割後にポリオレフィン系極細繊維も発生するために、電
解液の吸液性が大きく損なわれ、その結果、アルカリ電
池用セパレ−タの電解液の吸液速度及びその保液量が不
十分になる欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そのため、ポリオレフ
ィン系繊維の表面をエチレンビニルアルコ−ル共重合体
樹脂で被覆した被覆繊維、または、耐アルカリ性繊維を
芯成分としエチレンビニルアルコ−ル共重合体を鞘成分
とした芯鞘型複合繊維やポリオレフィン重合体とエチレ
ンビニルアルコ−ル共重合体との分割型複合繊維だけか
らなるアルカリ電池セパレ−タ用不織布は、前記諸性能
を併せ持たせつつ、十分な電解液の吸液性と保液性を持
たせることができず、このようなアルカリ電池セパレ−
タ用不織布を使用したアルカリ電池では、最近のコ−ド
レス機器用に必要な高容量、長寿命、高信頼性等の高度
の特性を達成することができないという問題がある。
【0010】本発明の目的は、前記の問題点を解決し、
低坪量でありながら、特に、電解液の吸液性及び保液性
に優れ、その他の諸性質も併せ持つアルカリ電池セパレ
−タ用不織布の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究した結果、アルカリ電池セ
パレ−タ用不織布の製造方法を発明するに至った。即
ち、本発明のアルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方
法は、主成分がポリオレフィン重合体とエチレンビニル
アルコ−ル共重合体を接合した分割型複合繊維、或は、
該分割型複合繊維とポリオレフィン系繊維である有機繊
維から成り、該有機繊維の内、該分割型複合繊維を水中
で離解機を用いて分割し極細繊維を発生させ、分散して
スラリ−とし(以下、分散液Aと言う)、或は、該分散
液Aと該ポリオレフィン系繊維の水分散液を一緒に混合
してスラリ−とし、該スラリ−を湿式抄造法により抄紙
してウェブを形成し、該ウェブの片面又は両面にコロ
ナ放電処理を施して後、カレンダ−処理する、或は該
ウェブをカレンダ−処理して後、片面又は両面にコロナ
放電処理を施すことを特徴とする。
【0012】また、コロナ放電処理条件が、片面当りの
総エネルギ−として8.0〜26.0KW分/m2 であ
ることを特徴とする。
【0013】以下、本発明のアルカリ電池セパレ−タ用
不織布の製造方法について、詳細な説明を行う。まず、
本発明で用いる各有機繊維の説明を行う。
【0014】本発明における分割型複合繊維とは、ポリ
オレフィン重合体とエチレンビニルアルコ−ル共重合体
とが接合された複合繊維である。分割型複合繊維を形成
するエチレンビニルアルコ−ル共重合体は、エチレンと
酢酸ビニルとの共重合体をケン化して得ることができ
る。保液性の点からは、MFR(メルトフロレイト)2
0〜100のエチレンを20〜45モル%含有するもの
が好ましく、紡糸性の点からは、ケン化度98%以上で
あることが好ましい。また、分割型複合繊維を形成する
ポリオレフィン重合体としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィンが好ましく、特にMFR1
0〜100のポリオレフィンが好ましい。
【0015】分割型複合繊維は、その断面において、エ
チレンビニルアルコ−ル共重合体とポリオレフィン重合
体のうちの一方の成分が、他方の成分の間に介在して少
なくとも2個以上に分割されて、各々が繊維断面の構成
単位となっており、隣接している各構成単位の一部が繊
維表面に露出している。ポリオレフィン重合体とエチレ
ンビニルアルコ−ル共重合体の両成分の混合比率は、目
的に応じて変えることができ、保液性の大きい不織布を
欲するときにはエチレンビニルアルコ−ル共重合体成分
の比率を高め、逆に耐久性をより良くするにはポリオレ
フィン重合体成分の比率を大きくすると良い。
【0016】本発明のポリオレフィン系繊維としては、
ポリオレフィン系重合体を芯成分とし、エチレンビニル
アルコ−ル共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維、或
いはポリオレフィン系重合体とエチレンビニルアルコ−
ル共重合体を並列に並べた並列型複合繊維、ポリオレフ
ィン系重合体を島成分としエチレンビニルアルコ−ル共
重合体を海成分とした海島型複合繊維、ポリプロピレン
繊維やポリエチレン繊維である。
【0017】ここで、芯鞘型複合繊維、並列型複合繊
維、海島型複合繊維を形成するエチレンビニルアルコ−
ル共重合体は、分割型複合繊維と同様の物であることが
好ましい。また、芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維、海
島型複合繊維を形成するポリオレフィン重合体も同様
に、分割型複合繊維と同様の物であることが好ましい。
【0018】本発明のアルカリ電池セパレータ用不織布
を製造した際の電解液の吸液性や保液性の点から、分割
型複合繊維と前記のポリオレフィン系繊維の配合比率
は、それぞれ80〜100重量%と20〜0重量%にし
て製造することが好ましい。
【0019】また、十分な電解液の吸液性と保液性を
確保するため、コロナ放電処理後の親水効果を長期間
持続させるため、カレンダ−処理をした際のアルカリ
電池セパレ−タ用不織布の剛さを出すためには、アルカ
リ電池セパレ−タ用不織布を構成する各有機繊維の内、
エチレンビニルアルコ−ル共重合体成分が占める表面積
は20%以上とすることが好ましい。構成する各有機繊
維の内、エチレンビニルアルコ−ル共重合体成分が占め
る表面積が20%より小さい場合、アルカリ電池セパレ
−タ用不織布の持つ電解液の吸液性と保液性が不十分と
なり、コロナ放電処理後の親水効果が減衰しやすく、カ
レンダ−処理した場合、剛さが出なくなる。
【0020】本発明で用いる有機繊維の繊維径は、ウェ
ブを形成した際の坪量と厚さと保液性の関係から、分割
型複合繊維の分割後の繊維径が1〜8μm、その他の複
合繊維、或いはポリプロピレンやポリエチレン等のポリ
オレフィン系繊維の繊維径が20μm以下のものを使用
することが好ましい。
【0021】さらに、本発明で用いる有機繊維の繊維長
は、分散性及びアルカリ電池セパレ−タ用不織布の強度
の点から、5〜20mmのものが好ましい。繊維長が2
0mmより長いと、水中での分散工程が難しく、分散剤
を選択し、適量使用する必要があるばかりか、1度分散
した後、再度凝集して、よれ、もつれ、だま等が発生し
易くなるという問題が生じてくる。また、分散濃度を低
くしなければならず生産性が劣る。一方、繊維長が5m
mより短いと、分散工程は容易であるが、強度が大き
く、剛度の強いシ−トを得ることは困難である。
【0022】次に、本発明のアルカリ電池セパレ−タ用
不織布の製造方法について述べる。本発明のアルカリ電
池セパレ−タ用不織布の製造方法は、有機繊維の内、分
割型複合繊維を水中で離解機を用いて分割し極細繊維を
発生させ、分散してスラリ−とし(分散液A)、或は、
該分散液Aとポリオレフィン系繊維の水分散液を一緒に
混合してスラリ−とし、該スラリ−を湿式抄造法により
抄紙してウェブを形成し、そのウェブにコロナ放電処
理を施してからカレンダ−処理する、或はそのウェブ
にカレンダ−処理をしてからコロナ放電処理を施す。
【0023】アルカリ電池セパレ−タ用不織布のウェブ
は、前記の各有機繊維を使用して、湿式抄造法、カ−ド
法、クロスレイヤ−法、ランダムウェバ−法などの公知
の方法によって製造することができる。
【0024】しかし、カ−ド法、クロスレイヤ−法、そ
して、ランダムウェバ−法は、繊維長の長い繊維を用い
ることができるが、均一なウェブ化が困難で、地合が悪
く、透過光で観察すると、斑点模様が見られる。このた
め、短絡を防ぐために必要な空隙径を得るには、高坪量
にしなければならないという問題がある。さらに、分割
型複合繊維を分割するには、ニ−ドルパンチ法、水流交
絡法等の手段を用いて分割する必要があるが、ニ−ドル
パンチ法は、低坪量では使用できず、水流交絡法におい
ても、乾式法の場合、繊維長が長いために、分割しにく
いといった問題がある。
【0025】一方、湿式抄造法は、生産速度が上記方法
に比べて速く、同一装置で、繊維径の異なる繊維や複数
の種類の繊維を任意の割合で混合できる利点がある。即
ち、繊維の形態も、ステ−プル状、パルプ状等と選択の
幅は広く、使用可能な繊維径も、7μm以下の極細繊維
から太い繊維まで使用可能で、他の方法に比べ、極めて
良好な地合のウェブが得られる方法である。さらに、分
割型複合繊維を分割するに当たり、パルパ−や高速ミキ
サ−やビ−タ−等の離解機での離解工程、及び分散工程
で分割型複合繊維をほぼ完全に分割させることができ
る。この様なことから、極めて応用範囲が広いウェブ形
成法である。
【0026】そこで、本発明では湿式抄造法を用いて、
ウェブを製造した。具体的には、ポリオレフィン重合体
とエチレンビニルアルコ−ル共重合体を接合した分割型
複合繊維を水中で界面活性剤と消泡剤を添加して高速ミ
キサ−を用いて分割し、極細繊維を発生させてからアジ
テ−タ−等の緩やかな攪拌のもと、均一なスラリーを形
成し(分散液A)、或は、分散液Aとポリオレフィン系
繊維の水分散液を一緒に混合して、アジテ−タ−等の緩
やかな攪拌のもと、均一なスラリーを形成し、このスラ
リーを丸網、長網、傾斜式等のワイヤ−の少なくとも1
つを有する抄紙機を用いて抄紙し、例えば、厚み200
μm以下となるように地合の良好なウェブを製造する。
【0027】次に、この様にして得られたウェブに、
コロナ放電処理を施してからカレンダ−加工を行う、或
はカレンダ−加工してからコロナ放電処理を施す。こ
こで、前記の各有機繊維を用いた場合、コロナ放電処理
をしなくても、ウェブ自体は吸液性や保液性をわずかに
有するが、アルカリ電池セパレ−タ用不織布として使用
するには不十分なため、さらなる電解液への濡れ性を付
与することを目的にコロナ放電処理を施す。
【0028】このコロナ放電処理は、高電圧発生機に接
続した電極と、ポリエステルフィルム、ハイバロン、E
Pラバ−などでカバ−した金属ロ−ル間に適度の間隔を
設け、高周波で数千〜数万Vの電圧をかけ、高圧コロナ
を発生させ、この間隔に前記の方法で得られたウェブを
適度な速度で走らせ、ウェブ面にコロナを生成したオゾ
ン、或は、酸化窒素を反応させて、カルボニル基、カル
ボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基を生成さ
せるものであり、この親水性基がウェブに対する親水効
果の持続性に寄与していると考えられる。また、コロナ
放電処理を施すことにより、ポリオレフィン系有機繊維
の表面が部分的に侵されて細く枝分かれした状態となる
ため、アルカリ電池セパレ−タ用不織布の表面積が増大
し、ウェブに対する保液性の向上に寄与している。
【0029】また、このコロナ放電処理条件は、片面当
りの総エネルギ−として8.0KW分/m2 〜26.0
KW分/m2 であることが好ましく、更に好ましくは、
15.0KW分/m2 〜20.0KW分/m2 であるこ
とが好ましい。
【0030】片面当りの総エネルギ−が8.0KW分/
2 より小さい場合は、親水効果の持続性が悪く、ま
た、そのウェブをアルカリ電池セパレ−タ用不織布とし
て使用するには、吸液性が不十分である。一方、片面当
りの総エネルギ−が26.0KW分/m2 を超えた場合
は、親水性向上の効果に関して、片面当りの総エネルギ
−が26.0KW分/m2 の場合とほとんど変化がない
ばかりか、各有機繊維の一部が分解するためか、ウェブ
は焦げ臭い異臭を放つようになる。
【0031】カレンダ−処理は、コロナ放電処理をする
前に行っても、また、コロナ放電処理をした後に行って
も、どちらでも良い。カレンダ−処理をする理由は、ウ
ェブをアルカリ電池セパレ−タ用不織布として使用する
際に厚さを調整するため、ウェブ表面を平滑にする
ため、剛さを出すためである。カレンダ−処理を行な
っていないウェブは、アルカリ電池セパレ−タ用不織布
として使用するには、厚さが厚く、柔らかく、ふかふか
しているため為、電池組立の作業性が著しく悪くなる。
なお、ウェブをカレンダ−処理する前に、界面活性剤等
の濡れ剤で処理することが好ましい。また、コードレス
機器用のアルカリ電池セパレータ用不織布として好適に
使用しうるためには、アルカリ電池セパレータ用不織布
の厚みは、マイクロメ−タで測定して130μm以下と
することが望ましい。
【0032】さらなる改良方法としては、湿式抄造法に
よりウェブを製造後、水流交絡処理を施しても良い。水
流交絡処理を施した場合、アルカリ電池セパレータ用不
織布の強度及び伸びを非常に大きくできる利点がある。
水流交絡処理を施す方法としては、ウェブを多孔質の支
持体上に積載し、ウェブ上方から高圧柱状水流を噴射
し、高圧柱状水流とウェブを相対的に移動させ、ポリオ
レフィン系有機繊維を3次元的に交絡させる方法があ
る。ウェブと高圧柱状水流を相対的に移動させる方法と
しては、コンベア−式の支持体、或はドラム式の支持体
を回転運動させる方法が簡便である。このとき支持体の
搬送速度は、ウェブに与える印加エネルギ−により決定
されるが、1〜100m/min以下の速度で用いるこ
とができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中における、部、%はすべて重量によるも
のである。
【0034】実施例1 MFRが40の結晶性ポリプロピレンとエチレン含有量
が38モル%、MFRが40で、ケン化度99.6%の
エチレンビニルアルコ−ル共重合体とから成る繊度3デ
ニ−ル、繊維分割後0.2デニ−ル(3.9μm)、繊
維長10mmの分割型複合繊維100部を水中で高速ミ
キサ−を用いて分割し、極細繊維を発生させ分散してか
ら湿式抄造法により丸網抄紙機で、坪量41.9g/m
2 、幅50cmのウェブを作成した。次に、この様にし
て得られたウェブの両面に、電極20mm×600m
m、誘電体ハイパロン3.2mmを用い、片面当りの総
エネルギ−が17.5KW分/m2 で、コロナ放電処理
を施した。最後に、常温でカレンダ−処理を行って、直
径6.3mmのマイクロメ−タで測定して厚さを122
μmとなし、切断してアルカリ電池セパレータ用不織布
を得た。
【0035】実施例2 実施例1で使用した分割型複合繊維100部を水中で高
速ミキサ−を用いて分割し、極細繊維を発生させ分散し
てから湿式抄造法により丸網抄紙機で、坪量41.9g
/m2 、幅50cmのウェブを作成した。次に、この様
にして得られたウェブを常温でカレンダ−処理を行っ
て、直径6.3mmのマイクロメ−タで測定して厚さを
122μmとなし、このウェブの両面に、電極20mm
×600mm、誘電体ハイパロン3.2mmを用い、片
面当りの総エネルギ−が17.5KW分/m2 で、コロ
ナ放電処理を施し、切断してアルカリ電池セパレータ用
不織布を得た。
【0036】実施例3 有機繊維の配合比率について、実施例1で使用した分割
型複合繊維を90部、ポリプロピレン重合体を芯成分と
し、エチレン含有量が38モル%、MFRが40で、ケ
ン化度99.6%のエチレンビニルアルコ−ル共重合体
を鞘成分とした繊維径2デニ−ル(17.5μm)、繊
維長10mmの芯鞘型複合繊維を10部にし、分割型複
合繊維を水中で高速ミキサ−を用いて分割し極細繊維を
発生させてから分散した分散液と芯鞘型複合繊維の分散
液を混合してスラリ−とした以外は、実施例1と同様の
方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0037】実施例4 有機繊維の配合比率について、実施例1で使用した分割
型複合繊維を80部、繊維径0.5デニ−ル(8.8μ
m)、繊維長10mmのポリプロピレン繊維を20部に
した以外は、実施例3と同様の方法でアルカリ電池セパ
レータ用不織布を得た。
【0038】実施例5 有機繊維の配合比率について、実施例1で使用した分割
型複合繊維を75部、繊維径0.5(8.8μm)デニ
−ル、繊維長10mmのポリプロピレン繊維を25部に
した以外は、実施例3と同様の方法でアルカリ電池セパ
レータ用不織布を得た。
【0039】実施例6 コロナ放電処理の片面当りの総エネルギ−を7.5KW
分/m2 にした以外は、実施例1と同様の方法でアルカ
リ電池セパレータ用不織布を得た。
【0040】実施例7 コロナ放電処理の片面当りの総エネルギ−を8.0KW
分/m2 にした以外は、実施例1と同様の方法でアルカ
リ電池セパレータ用不織布を得た。
【0041】実施例8 コロナ放電処理の片面当りの総エネルギ−を26.0K
W分/m2 にした以外は、実施例1と同様の方法でアル
カリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0042】実施例9 コロナ放電処理の片面当りの総エネルギ−を27.0K
W分/m2 にした以外は、実施例1と同様の方法でアル
カリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0043】実施例10 カレンダ−処理をする前に、サイズプレスでノニオン系
の界面活性剤を0.15g/m2 含浸させて、熱風乾燥
機で乾燥させる界面活性剤処理を行った以外は、実施例
1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を得
た。
【0044】比較例1 実施例1の分割型複合繊維を用い、高速ミキサ−の代わ
りにアジテ−タ−を用いて、分割型複合繊維をあまり分
割させないように緩やかな攪拌のもとで分散させ、ウェ
ブを作成した以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ
電池セパレータ用不織布を得た。
【0045】比較例2 実施例1でコロナ放電処理を行わなかった以外は、実施
例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織布を
得た。
【0046】比較例3 実施例1でコロナ放電処理を行わず、カレンダ−処理を
する前に、サイズプレスでノニオン系の界面活性剤を
0.15g/m2 含浸させて、熱風乾燥機で乾燥させる
界面活性剤処理を行った以外は、実施例1と同様の方法
でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0047】比較例4 実施例1で分割型複合繊維の代わりに、ポリプロピレン
重合体を芯成分とし、エチレン含有量が38モル%、M
FRが40で、ケン化度99.6%のエチレンビニルア
ルコ−ル共重合体を鞘成分とした繊維径2デニ−ル(1
7.5μm)、繊維長10mmの芯鞘型複合繊維を10
0部にし、コロナ放電処理を行わずに、カレンダ−処理
をする前に、サイズプレスでノニオン系の界面活性剤を
0.15g/m2 含浸させて、熱風乾燥機で乾燥させる
界面活性剤処理を行った以外は、実施例1と同様の方法
でアルカリ電池セパレータ用不織布を得た。
【0048】比較例5 実施例1で繊維径0.5デニ−ル(8.8μm)、繊維
長10mmのポリプロピレン繊維を95部、繊度1デニ
−ル、繊維長3mmの熱水可溶性ポリビニルアルコ−ル
繊維(VPW103クラレ社製)を5部にした以外は、
実施例1と同様の方法でアルカリ電池セパレータ用不織
布を得た。
【0049】比較例6 現行品の東燃化学社製ナイロン乾式不織布(溶融紡糸タ
イプ)をアルカリ電池セパレータ用不織布とした。
【0050】実施例1〜9及び比較例1〜6で作製した
アルカリ電池セパレ−タ用不織布について、下記の評価
方法によって評価し、その性能評価結果を実施例につい
ては表1に、比較例については表2に示した。
【0051】[厚さ]厚さの評価としては、マイクロメ
−タ−を用いて、10枚の試料のそれぞれ異なる6箇所
で厚さ(μm)を測定し、その平均値を示した。
【0052】[吸液性]電解液の初期吸液性の評価とし
ては、電解液の吸液速度(1分当りの吸い上げ高さm
m)を測定した。電解液の吸液速度は、各試料の流れ方
向から1.5cm×18cmの試験片を3枚採取し、4
0±5℃のもとに予備乾燥を行い、公定水分率以下にし
た後、試料を標準温室度状態の試験室に放置し、その後
試料を1時間以上の間隔で計量し、その前後の質量差が
後の質量の0.1%以内になった状態(この状態を水分
平衡状態という)にし、次に、試験片を20±2℃にお
ける比重1.3(20℃)の苛性カリ(KOH)溶液を
入れた水槽上に所定高さの水平棒を設置し、各試料をこ
の水平棒にその下端を揃えてピンで止めて各試料を垂れ
下げ、水平棒を降下して各試験片の下端が5mmだけ液
中に漬かった状態となし、1分後に毛細管現象によりK
OH溶液が上昇した高さを測定した。なお、アルカリ電
池セパレ−タ用不織布における吸液速度の実用レベル
は、8mm以上である。
【0053】[初期保液性]電解液の保液性の評価とし
ては、水の保持量(g/m2 )を測定した。水の保持量
は、各試料から10cm×10cmの大きさの試験片を
3枚採取し、水分平衡状態となしたときの重量W(g)
を測定し、次に、20±1℃の蒸留水中に試験片を広げ
て浸漬し、1分間放置したのち蒸留水中から取り出し、
直ちに濾紙(アドバンテックNo.26)で挟み、軽く
押さえて表面の水を吸い取り、次に、その試験片の重量
1 (g)を測定して、次の数1により算出した。な
お、アルカリ電池セパレ−タ用不織布における初期保液
性の実用レベルは、95g/m2 以上である。
【0054】
【数1】 水の保持量(g/m2 )=[(W1 −W)/(0.1×0.1)]
【0055】[末期保液性]充放電に伴う電極の膨潤に
より、アルカリ電池セパレ−タ用不織布には大きな圧力
が掛かるため、アルカリ電池セパレ−タ用不織布中の電
解液は正極、或は負極側に次第に移行して行く。この場
合のアルカリ電池セパレ−タ用不織布の持つ電解液の保
液性の評価として、加圧後の水の保持量(g/m2 )を
測定した。加圧後の水の保持量は、各試料から10cm
×10cmの大きさの試験片を3枚採取し、水分平衡状
態となしたときの重量W(g)を測定し、次に、20±
1℃の蒸留水中に試験片を広げて浸漬し、1分間放置し
たのち蒸留水中から取り出し、直ちに濾紙(アドバンテ
ックNo.26)で挟み、線圧50kg/cmのロ−ル
プレスに通し、その試験片の重量W1 (g)を測定し
て、次の数2により算出した。なお、アルカリ電池セパ
レ−タ用不織布における末期保液性の実用レベルは、1
7g/m2 以上である。アルカリ電池セパレ−タ用不織
布における末期保液性が17g/m2 より低い場合、充
放電による電極の膨潤により、アルカリ電池セパレ−タ
用不織布内から電解液が、電極側に次第に移行して漸次
枯渇するため、電池の内部抵抗が増大し、また、内部圧
力が上昇するために、電池の放電特性が低下する。
【0056】
【数2】 加圧後の水の保持量(g/m2 )=[(W1 −W)/(0.1×0.1)]
【0057】[耐アルカリ性]アルカリ電池セパレ−タ
用不織布の耐アルカリ性の評価としては、アルカリ処理
後の減量率(%)を測定した。アルカリ処理後の減量率
は、各試料から10cm×10cmの大きさの試験片を
3枚採取し、水分平衡状態となしたときの重量W(m
g)を測定したのち、電解液に相当する30%濃度のK
OH溶液に浸漬して、80±2℃の雰囲気中で7日間保
存する。その後取り出した試料を中和点に達するまで水
洗乾燥し、再び水分平衡状態となした時の重量W2 (m
g)を測定し、次の数3によりアルカリ処理後の減量率
(%)を求めた。
【0058】
【数3】 アルカリ処理後の減量率(%)=[(W−W2 )/W]×100
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】表1と表2に示した各実施例の内、極細繊
維を発生する分割型複合繊維を多く配合し、コロナ放電
処理を両面に、片面当りの総エネルギ−が8.0KW分
/m2 〜26.0KW分/m2 で施したアルカリ電池セ
パレ−タ用不織布は、表3の比較例6に示した現行品で
あるナイロン製乾式不織布と比較して、坪量が約20g
/m2 少ないにも関わらず、アルカリ電池セパレ−タ用
不織布の電解液の吸液性と保液性に優れ、特に吸液性が
非常に優れている。さらに、湿式抄造法で抄紙している
為、地合が均一であり、ポリオレフィン系繊維主体の有
機繊維を使用しているため、耐アルカリ性にも優れてい
る。
【0063】実施例1と実施例2を比較した場合、ウェ
ブの片面または両面にコロナ放電処理を施した後、カレ
ンダ−処理しても、ウェブをカレンダ−処理した後、片
面または両面にコロナ放電処理を施しても、電解液の吸
液性及び保液性の効果には影響しないことが判る。
【0064】実施例1と実施例4〜5のアルカリ電池セ
パレ−タ用不織布は、ポリオレフィン系繊維の配合比率
を0〜25重量%の範囲で変えた場合であるが、分割型
複合繊維の分割後繊維径より太いポリオレフィン系繊維
の配合比率を多くするに連れて、アルカリ処理後の減量
率が低下するものの、ポリオレフィン系繊維はエチレン
ビニルアルコ−ル共重合体に比べ、コロナ放電処理によ
り親水化しにくいため、ポリオレフィン系繊維の配合比
率を多くするに連れて、電解液の吸液性及び保液性は低
下する。
【0065】実施例1と実施例6〜9のアルカリ電池セ
パレ−タ用不織布は、ウェブに施すコロナ放電処理条件
を変えた場合であるが、片面当りの総エネルギ−が8.
0KW分/m2 〜26.0KW分/m2 で変えた場合、
片面当りの総エネルギ−が増加するにつれて、電解液の
吸液性が上昇し、電解液の保液性も向上した。一方、片
面当りの総エネルギ−が8.0KW分/m2 より小さい
場合、電解液の吸液速度及び保液率は著しく低下した。
また、片面当りの総エネルギ−が26.0KW分/m2
を超えた場合、電解液の吸液速度及び保液率は、片面当
りの総エネルギ−が26.0KW分/m2 の場合と殆ど
変化がなく、むしろ、コロナ放電の熱によりポリオレフ
ィン系有機繊維自身が傷つくため、電解液の吸液性及び
保液性はわずかに減少しており、また、焦げ臭い異臭を
発生するようになった。
【0066】実施例10のアルカリ電池セパレ−タ用不
織布は、実施例1のアルカリ電池セパレ−タ用不織布に
界面活性剤を含浸させたものであるが、界面活性剤を少
量含浸することにより、電解液の吸液性をさらに向上さ
せることができる。
【0067】比較例1のアルカリ電池セパレ−タ用不織
布は、実施例1の製造方法に比較して、分割型複合繊維
をあまり分割させなかった場合であるが、分割させた実
施例1に比較すると、電解液の吸液性及び保液性が非常
に劣る。この場合と同様に、クロスレイヤ−法により分
割型複合繊維のウェブを作成し、水流交絡法により分割
処理及び絡合処理した場合を想定すると、繊維長が長い
ため、分割型複合繊維が完全には分割せず、電解液の吸
液性及び保液性が非常に劣ると考えられる。また、分割
型複合繊維を分割させるためには、ウェブ上方から非常
に強い高圧柱状水流を噴射しなければならず、その場
合、ウェブの破損が起きたり、低坪量の場合には、空隙
径の制御ができない程度に穴が開くようになると考えら
れる。そのため、乾式法では、低坪量で、しかも、電解
液の吸液性及び保液性が非常に優れたアルカリ電池セパ
レ−タ用不織布は製造できない。
【0068】比較例2のアルカリ電池セパレ−タ用不織
布は、実施例1の製造方法に比較して、コロナ放電処理
を施していない場合であるが、湿式抄造時にウェブを乾
燥する際にエチレンビニルアルコ−ル共重合体が融け膜
を作るために、エチレンビニルアルコ−ル共重合体の持
つ電解液の吸液性と保液性が損なわれて、アルカリ処理
後の減量率を除き、全ての物性について現行品であるナ
イロン製乾式不織布よりも非常に劣っており、分割型複
合繊維を湿式抄造しただけではアルカリ電池セパレ−タ
用不織布として使用できないことが判る。
【0069】比較例3のアルカリ電池セパレ−タ用不織
布は、実施例1の製造方法に比較して、コロナ放電処理
を行う代わりに、界面活性剤を含浸して、親水性を付与
した場合であるが、界面活性剤を含浸した場合、初期で
の電解液の吸液性は良いものの、ある期間経過すると、
界面活性剤が遊離してくる問題があることや実施例1に
比較すると電解液の保液性に劣り、やはりアルカリ電池
セパレ−タ用不織布として使用できないことが判る。
【0070】比較例4のアルカリ電池セパレ−タ用不織
布は、ポリプロピレンを芯成分とし、エチレンビニルア
ルコ−ル共重合体を鞘成分とした芯鞘型複合繊維だけを
使用し、比較例2と同様にコロナ放電処理を行う代わり
に、界面活性剤を含浸して、親水性を付与した場合であ
るが、繊維径が太く、ウェブの比表面積が少ないため
に、電解液を保持することができず、電解液の保液性、
特に、加圧下での電解液の保液性が著しく悪化してお
り、このことは、充放電に伴う電極の膨潤により、アル
カリ電池セパレ−タ用不織布内の電解液が電極側に移行
し、枯渇して放電性能の低下を招く原因になることが判
る。また、エチレンビニルアルコ−ル共重合体でアルカ
リ電池セパレ−タ用不織布の表面を全て覆っているため
耐アルカリ性にも劣る。
【0071】比較例5のアルカリ電池セパレ−タ用不織
布は、ポリプロピレン単繊維にコロナ放電処理を施した
場合であるが、ポリプロピレン単独であるため、耐アル
カリ性には優れるものの、コロナ放電処理により親水化
され難く、電解液の吸液性及び保液性が非常に悪い結果
となった。従って、アルカリ電池セパレ−タ用不織布と
して使用できない。
【0072】比較例1〜5の結果より、アルカリ電池セ
パレ−タ用不織布の製造方法は、主成分がポリオレフィ
ン重合体とエチレンビニルアルコ−ル共重合体を接合し
た分割型複合繊維、或は、分割型複合繊維とポリオレフ
ィン系繊維である有機繊維から成り、該有機繊維の内、
該分割型複合繊維を水中で離解機を用いて分割し極細繊
維を発生させ、分散してスラリ−とし(以下、分散液A
と言う)、或は、該分散液Aと該ポリオレフィン系繊維
の水分散液を一緒に混合してスラリ−とし、該スラリ−
を湿式抄造法により抄紙してウェブを形成し、このウ
ェブの片面または両面にコロナ放電処理を施して後、カ
レンダ−処理する、或はこのウェブをカレンダ−処理
して後、片面または両面にコロナ放電処理を施すどの工
程が抜けてもアルカリ電池セパレ−タ用不織布として使
用することができない。
【0073】
【発明の効果】本発明の製造方法で製造したアルカリ電
池セパレ−タ用不織布は、主成分がポリオレフィン重合
体とエチレンビニルアルコ−ル共重合体を接合した分割
型複合繊維、或いは分割型複合繊維とポリオレフィン系
繊維である有機繊維から成り、該有機繊維の内、該分割
型複合繊維を水中で離解機を用いて分割し極細繊維を発
生させ、さらに、コロナ放電処理を施しているので、耐
アルカリ性が高く、また、低坪量でありながら、地合が
良く、電解液の吸液性と保液性も優れている。そのた
め、アルカリ電池セパレ−タ用不織布は、耐電解液性及
び耐電気化学的酸化性が高く、従来よりさらに薄型に
し、軽量化することができる。
【0074】その結果、本発明により、低坪量でありな
がら、アルカリ電池セパレ−タ用不織布に必要な諸性能
を併せ持ち、特に、電解液の吸液性と保液性に優れたア
ルカリ電池セパレータ用不織布の製造方法を提供するこ
とが可能になり、本発明の製造方法で製造したアルカリ
電池セパレータ用不織布は、高容量、長寿命、高信頼性
等の高度な特性が必要なコードレス機器用として好適に
使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 13/00 7199−3B D06M 10/02 D21H 15/10 // D06M 101:18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分がポリオレフィン重合体とエチレ
    ンビニルアルコ−ル共重合体を接合した分割型複合繊
    維、或は該分割型複合繊維とポリオレフィン系繊維であ
    る有機繊維から成り、該有機繊維の内、該分割型複合繊
    維を水中で離解機を用いて分割し極細繊維を発生させ、
    分散してスラリ−とし(以下、分散液Aと言う)、或
    は、該分散液Aと該ポリオレフィン系繊維の水分散液を
    一緒に混合してスラリ−とし、該スラリ−を湿式抄造法
    により抄紙してウェブを形成し、該ウェブの片面又は
    両面にコロナ放電処理を施して後、カレンダ−処理す
    る、或は該ウェブをカレンダ−処理して後、片面又は
    両面にコロナ放電処理を施すことを特徴とするアルカリ
    電池セパレ−タ用不織布の製造方法。
  2. 【請求項2】 コロナ放電処理条件が、片面当りの総エ
    ネルギ−として8.0〜26.0KW分/m2 であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のアルカリ電池セパレ−タ
    用不織布の製造方法。
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