JPH0715063B2 - ピッチ系炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物

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JPH0715063B2
JPH0715063B2 JP3045995A JP4599591A JPH0715063B2 JP H0715063 B2 JPH0715063 B2 JP H0715063B2 JP 3045995 A JP3045995 A JP 3045995A JP 4599591 A JP4599591 A JP 4599591A JP H0715063 B2 JPH0715063 B2 JP H0715063B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ピッチ系炭素繊維強化
ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物に関するもので
あり、特に高剛性、耐摩耗性、高寸法安定性を要求され
る精密電気・電子部品の材料として好適に使用されうる
ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物に係るものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンサルファイド樹脂は単独
では非常に脆く使用出来ない為、一般には、ガラス繊
維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の繊維状
フィラー、タルク、タンカル、マイカ、ガラスビーズ等
の粉末状フィラーを複合化して使用されている。
【0003】そのようなフィラー強化ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂は、非常に耐熱性、耐薬品性、そしてフ
ィラーの種類によって機械的強度、剛性、寸法安定性に
優れるものであり、最近では特にダイキャスト、BMC
等の代替として電気・電子等の精密部品として使用され
ることが多くなっている。しかしそのような精密部品に
は耐熱性や耐薬品性、寸法安定性以外にも優れた摩擦・
摩耗特性及び高剛性が必要となる場合が多く種々の検討
がなされている。
【0004】そのような機能を付与するフィラーとして
は炭素繊維がよく知られている。炭素繊維はポリアクリ
ロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と
石油または石炭ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維に
大別されるが、PAN系炭素繊維は機械的強度・剛性を
向上させることを重視する場合に、また一方ピッチ系炭
素繊維は摩擦・摩耗特性を向上させることを重視する場
合に用いられることが一般的であった。なぜならPAN
系炭素繊維はピッチ系炭素繊維に比べ摩擦・摩耗特性が
劣っており、逆にピッチ系炭素繊維はPAN系炭素繊維
に比べ機械的強度・剛性が劣っているからであった。
【0005】しかしピッチ系炭素繊維においてもメソフ
ェースを含有するピッチを原料とすることにより非常に
高い弾性率を有する炭素繊維が安価に製造できるという
技術(特公昭54−1810号公報)が開発されたこと
から、そのようなピッチ系高弾性率炭素繊維を用いるこ
とにより優れた摩擦・摩耗特性を有し、かつ、従来のピ
ッチ系炭素繊維をもちいたものよりも剛性を高めた熱可
塑性樹脂複合材を製造出来ることが判ってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うなピッチ系高弾性率炭素繊維は熱可塑性樹脂と複合化
・成形することにより元来有しているピッチ系炭素繊維
の高弾性率を有効に発現できていない為に、高剛性の材
料を容易には提供できないことが現状である。本発明の
目的は優れた摩擦・摩耗特性を有し、且つ従来のピッチ
系炭素繊維を使用した場合よりも高剛性・高強度のピッ
チ系炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド樹脂組成
物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明者らは鋭
意検討を重ねた結果、従来のピッチ系高弾性炭素繊維を
用いても成形品の剛性を思うように高めることが出来な
かった原因はその炭素繊維の横断面構造が図1(a)、
(b)に示すような高度なラジアル構造の為であったこ
とをつきとめ、繊維の横断面構造を非ラジアル状に制御
したピッチ系炭素繊維を用い、又はさらに無機充填材を
配合することにより、優れた摩擦・摩耗特性を有し、か
つ高剛性・高強度のポリフェニレンサルファイド樹脂を
容易に提供できることを見出した。
【0008】本発明は、繊維の横断面構造を非ラジアル
状に構造制御したピッチ系炭素繊維15〜65重量%を
配合するか、又はこれにさらに無機充填材40重量%以
下を配合し、且つこれら配合物の全量が30〜80重量
%であることを特徴とするピッチ系炭素繊維強化ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂組成物である。
【0009】まず、この発明に使用する樹脂は耐熱性、
耐薬品性及び高剛性、高寸法安定性という面からポリフ
ェニレンサルファイド樹脂を用いるが、その一般式
【化1】 で示される構成単位90モル%以上含むものが好まし
く、その量が90モル%未満ではすぐれた特性の組成物
は得難い。
【0010】このポリマーの重合方法としては、既に知
られた方法を使用すれば良いが、例えばP−ジクロルベ
ンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在化で重合させる方法、
極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウム
と水酸化ナトリウム又は硫化水素と水酸化ナトリウムの
存在下で重合させる方法、P−クロルチオフェノールを
自己縮合させる方法、N−メチルピロリドン、ジメチル
アセトアミドなどのアミド系溶媒やスルホラン等のスル
ホン系溶媒中で硫化ナトリウムとP−ジクロルベンゼン
を反応させる方法等がある。
【0011】又、目的に応じポリフェニレンサルファイ
ド樹脂の他にも、少量の樹脂、例えば各種ポリアミド、
各種ポリエステル、ポリアセタール、ポリサルホン、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリフェ
ニレンオキサイド、ABS、AES、AS、フッ素樹脂
等を併用することは可能である。
【0012】また本発明に使用されるピッチ系炭素繊維
は、従来のような繊維の横断面構造が高度にラジアル化
した図1に示すようなものとは異なり、図2に示すよう
なランダム状や図3に示すようなオニオン状或いはその
他の非ラジアル状に構造を制御したピッチ系炭素繊維で
ある。従来のような繊維の横断面が高度にラジアル構造
を有したピッチ系炭素繊維は熱可塑性樹脂と複合化する
時に、特に混練や成形時にかかるせん断により繊維が破
壊されやすく、成形品中に残る炭素繊維のアスペクト比
が小さくなることにより機械的強度や剛性を思うように
発現できず、所望の剛性を有した成形品を得る為には多
くの炭素繊維を添加する必要があった。
【0013】しかし本発明に使用するピッチ系炭素繊維
は、繊維の横断面構造が非ラジアル状であるために混練
や成形時にせん断を受けても従来のラジアル状のピッチ
系炭素繊維に比べ非常に破壊されにくく、成形品中に残
る炭素繊維のアスペクト比も従来品よりも大きくするこ
とが可能であり、従って機械的強度や剛性も高めること
が出来るものである。
【0014】本発明に用いるピッチ系炭素繊維は横断面
構造が非ラジアル状であればいかなる形状であってもさ
しつかえなく、非ラジアル状に構造を制御する手段もい
かなるものであってもよい。ピッチ系炭素繊維の横断面
構造は紡糸されたピッチ繊維の横断面構造を受け継いだ
構造となる為にピッチ繊維の横断面構造を非ラジアル状
に制御すれば良い。
【0015】そのような構造を所有するピッチ繊維を紡
糸する手段としては、ピッチの紡糸用ノズルを特殊の形
状にする(特開昭59−165127号公報、特開昭5
9−163424号公報)、紡糸孔の中にフィルター材
料を充填する(米国特許4,376,747号)、紡糸孔の
導入部に成形体を挿入する(特開昭60−259609
号公報)、紡糸ノズル上流部に網目層を設ける(特開昭
61−258024号公報)、紡糸用ピッチをキャピラ
リー直上で機械的に撹拌する(特開昭62−10492
7号公報、特開昭62−177222号公報)等が知ら
れているが、これらに限られるものではない。
【0016】そして、そのような方法で得られたピッチ
繊維は空気酸化等の公知の方法で不融化繊維とし、この
不融化繊維を不活性ガス中で、1,000〜2,000℃、
または引続いて2,000℃以上の適当な熱処理温度で熱
処理し、炭化もしくは黒鉛化することによって炭素繊維
とすることができる。このようにして得られた炭素繊維
は、ピッチ繊維に付与された横断面構造を受け継いだも
のになっている。
【0017】また、このような繊維の横断面構造を制御
したピッチ系炭素繊維を製造するのに用いられるピッチ
はメソフェースピッチであればどのようなものでも良
い。例えば石油系ピッチであっても良いし、石炭系ピッ
チであってもよいし、又種々の方法で水添処理した後に
熱処理を行なって得たものであっても良いし、水添処理
なしで熱処理のみを行なって得たものであっても良い。
また高温にしたとき、メソフェース部分が消失するよう
なものでも良いし、消失しないようなものであっても良
い。
【0018】またこのようにして得られた炭素繊維は必
要に応じ酸化処理、表面処理、サイジング処理が行なわ
れても良く、ロービング、チョップドストランド、又は
ミルドファイバー等のいずれの形態のものでも使用でき
る。そして炭素繊維の径は4〜20μm程度であり好ま
しくは5〜15μm程度である。
【0019】炭素繊維の引張弾性率は15t/mm2 以上
が好ましく成形品の剛性をあげ、かつ擢動性を向上させ
るという点で20t/mm2 以上が更に好ましい。本発明
において繊維の横断面構造を非ラジアル状に構造制御し
たピッチ系炭素繊維の配合割合は、組成物全体に対して
15〜65重量%、好ましくは、20〜60重量%であ
る。過少の場合は、高剛性化及び摩擦・摩耗特性という
面で効果が小さく、逆に過大の場合は、樹脂分が少な
く、混練が難しくなり、また成形加工性を悪化させ好ま
しくない。
【0020】次に本発明に用いられる繊維の横断面構造
を非ラジアル状に構造制御したピッチ系炭素繊維以外の
無機充填材は必ずしも必須とされる成分ではないが、剛
性、強度、寸法安定性(低線膨張、そり変形)、制振
性、しゃ音性、電気的性質等の性質に優れた成形品を得
るためには配合することが好ましく、これには目的に応
じて繊維状、粉粒状、板状の充填材が用いられる。
【0021】繊維状充填材としては、ガラス繊維、アス
ベスト繊維、ロックウール、シリカ繊維、シリカ・アル
ミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊
維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィス
カー、硫酸マグネシウムウィスカー、硫酸カルシウムウ
ィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、硼酸アルミナウィスカ
ー、炭化ケイ素ウィスカー、更にステンレス、アルミニ
ウム、チタン、鋼、真鍮等の金属の繊維状物などの無機
質繊維状物質があるが、摩擦・摩耗特性を低下させない
という面で径の小さい繊維やウィスカーが好ましい。も
ちろん従来のラジアル型のピッチ系炭素繊維、低弾性の
ピッチ系炭素繊維またはPAN系の炭素繊維の併用はか
まわない。
【0022】また粉粒状充填材としてはガラスビーズ、
ガラスバルーン、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウ
ム、、硅藻土、ウォラストナイト、硫酸バリウム、球状
シリカ、球状アルミナ、ベントナイト、セリサイト、ゼ
オライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化
鉄、酸化チタン、フェライト、カーボンブラック、黒
鉛、二硫化モリブデン等が挙げられる。板状充填剤とし
てはマイカ、ガラスフレーク、タルク、クレー、各種の
金属フレーク等が挙げられる。
【0023】これらの無機充填材は1種又は2種以上併
用することが出来るが、特に繊維状の無機充填材との併
用は機械的強度、剛性を向上させるのに有用であり、又
粉粒状、板状充填材との併用は寸法精度を向上させるの
に有用であるが、いずれの充填材についても使用量は、
組成物全体に対して最高40重量%である。過大の場合
はピッチ系炭素繊維の摩擦・摩耗特性を低下させるばか
りでなく、ポリフェニレンサルファイド樹脂との界面接
着性が不充分になり機械的強度特に靭性の低下が起こる
為に好ましくない。
【0024】更にピッチ系炭素繊維及び無機充填材の総
和は組成物全体に対して30〜80重量%であり、好ま
しくは35〜70重量%である。過少の場合は、高剛性
化及び高寸法安定化という面で効果が小さく逆に過大の
場合は、混練、成形時において、流動性が非常に低下
し、作業性が悪くなるばかりか、樹脂分が少ない為に機
械的強度、特に靭性の低下が起こる。また表面状態も悪
くなることからかえって摩擦・摩耗特性を低下させると
いう原因にもなってしまうからである。
【0025】更に本発明の組成物には一般に熱可塑性樹
脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸
化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、染料や顔料の着色剤、潤滑剤、離型剤等も必要に応
じ添加できる。また無機充填材を配合する場合には、表
面処理剤、分散剤、接着性改良剤等を添加しても良い。
【0026】また、本発明の組成物の調整方法は、特に
限定されるものではなく公知の方法、例えばヘンシェル
ミキサー、タンブラーミキサー等の混合機で機械的に均
一混合し、単軸又は二軸押出機、ニーダ、ロール、バン
バリーミキサー等で加熱、溶融、混練を行ない、冷却、
ペレット化する等の方法で調整できる。
【0027】
【作用】本発明のピッチ系炭素繊維強化ポリフェニレン
サルファイド樹脂組成物は従来のような繊維の横断面が
高度にラジアル構造を有したピッチ系の炭素繊維とは異
なり、オニオン状やランダム状等の非ラジアル状に構造
制御したピッチ系炭素繊維を使用する為に、従来のピッ
チ系炭素繊維に比べ、混練、成形時のせん断を受けても
破壊されることが非常に少なく、成形品中の炭素繊維の
アスペクト比を大きくすることが可能であり、機械的強
度、剛性さらに寸法安定性等を高めることができると推
定される。
【0028】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。 実施例および比較例に使用した原材料を一括して示すと
次のとおりである。 1)ポリフェニレンサルファイド樹脂 〔PPS〕(トープレン製:T−4)
【0029】 2)ピッチ系炭素繊維 ランダム状−50t(新日鐵製:引張弾性率50t/mm2 引張強度320kg/mm2 ラジアル状 繊維径10μm) オニオン状−50t(新日鐵製:引張弾性率50t/mm2 引張強度310kg/mm2 オニオン状 繊維径10μm) ラジアル状−50t(新日鐵製:引張弾性率50t/mm2 引張強度220kg/mm2 ラジアル状 繊維径10μm) ランダム状−20t(新日鐵製:引張弾性率20t/mm2 引張強度290kg/mm2 ランダム状 繊維径11μm) ラジアル状−20t(新日鐵製:引張弾性率20t/mm2 引張強度200kg/mm2 ラジアル状 繊維径11μm)
【0030】 3)PAN系炭素繊維 PAN系24 (東邦レーヨン製:C−6S 引張弾性率24t/mm2 引張強度310kg/mm2 繊維径7μm 6mmチョップ)
【0031】 4)充填材 マイカ (レプコ製:S−200 平均粒径55〜65μm) チタン酸カリウムウィスカー(大塚化学製:ティスモD−102) 球状シリカ (新日鐵化学:エスクォーツM−2100 平均粒径10μm)
【0032】実施例1〜7 あらかじめ調整したランダム状またはオニオン状のピッ
チ系炭素繊維(引張弾性率20t/mm2 及び50t/mm
2 )をエポキシ系のサイジング剤で集束し繊維長3mmに
カットした後、ポリフェニレンサルファイド、炭素繊
維、無機フィラーを表1に示す割合(いずれも重量%)
でタンブリングし、単軸押出機(田辺プラスチックス機
械(株)シリンダー径40mm)にてペレット化を行なっ
た。
【0033】得られたペレットを射出成形機(三菱重工
(株)型締力100Tシリンダー温度300〜340℃
全型温度150℃)にて引張、曲げ試験片及び円筒状の
摩擦摩耗試験片を成形し、それぞれの試験を行った。引
張強度はASTMD−638にまた曲げ強度、曲げ弾性
率についてはASTM D−790に従い試験を行っ
た。摩擦摩耗試験は鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、相手
材:S−45C、荷重:2.5kg/cm2 、周速度:60m
/min 測定時間:4Hrの条件で試験を行ない、それぞれ
摩擦係数、摩耗係数を求めた。
【0034】また成形品中の炭素繊維のアスペクト比は
成形品中にポリフェニレンサルファイドをH2 SO4
2 2 で分解し、残った炭素繊維を光学顕微鏡にて1,
000本の重量平均で求めた。
【0035】比較例1〜6 各種原料を表1に示す配合割合(いずれも重量%)でタ
ンブリングし、実施例と全く同様な方法にてサンプル調
整、成形、物性評価試験を行った。
【0036】表1に見られるように炭素繊維の横断面構
造を非ラジアル状のランダム状またはオニオン状に構造
制御したピッチ系炭素繊維を用いたポリフェニレンサル
ファイド樹脂組成物は、比較例に示したラジアル状の構
造を有したピッチ系CFに比べ摩擦・摩耗特性は同程度
であるが、強度(引張り、曲げ)、剛性(曲げ弾性率)
とも非常に優れている。
【0037】この原因は、成形品中の炭素繊維のアスペ
クト比が後者に比べ前者の方がかなり高い値を示してい
ることから、非ラジアル状に構造制御されたピッチ系炭
素繊維は混練や成形時のせん断を受けてもラジアル状の
ピッチ系炭素繊維に比べて破壊されにくく、元来有して
いる炭素繊維の物性(強度・弾性率)の発現性を高める
ことが出来るからだと推定される。
【0038】比較例2に示したPAN系炭素繊維を用い
たものは強度・剛性はかなり高い値を示しているものの
摩擦・摩耗特性は非常に劣っている。また比較例5、6
に示しているように、ピッチ系炭素繊維が15重量%を
下まわる場合、無機フィラーが40重量%を越える場合
には、強度、剛性、摩擦・摩耗特性のいずれかが著しく
低下していることが判る。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、繊維の横断面構造を非
ラジアル状に構造制御したピッチ系炭素繊維、場合によ
っては無機フィラーを所定量で併用したポリフェニレン
サルファイド樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、高寸法
安定性のみならず高強度、高剛性かつ摩擦・摩耗特性に
優れた性質を有していることから自動車、産業分野はも
ちろんの事、最近特に寸法安定性、高剛性、耐摩耗性等
の特性がきびしく要求される電気・電子機器等に利用す
ることが出来、従来金属やダイキャストしか使用出来な
かった精密部品等にも使用出来ることから、本発明の意
義はきわめて大きいと言える。
【0040】
【図面の簡単な説明】
図1は従来のピッチ系炭素繊維のラジアル状横断面構造
例を示す模式図、図2及び図3は夫々本発明に用いられ
る非ラジアル状に構造制御されたピッチ系炭素繊維のラ
ンダム状及びオニオン状の横断面構造例を示す模式図で
ある。
【表1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維の横断面構造を非ラジアル状に構造
    制御したピッチ系炭素繊維15〜65重量%を配合する
    ことを特徴とするピッチ系炭素繊維強化ポリフェニレン
    サルファイド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 繊維の横断面構造を非ラジアル状に構造
    制御したピッチ系炭素繊維15〜65重量%、無機充填
    材40重量%以下を配合し、且つこれら配合物の全量が
    30〜80重量%であることを特徴とするピッチ系炭素
    繊維強化ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
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