JPH07150197A - 洗浄用溶剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フロンや塩素系溶剤の代替溶剤として優れた
洗浄効果を有する新規な洗浄用溶剤組成物を提供するこ
と。 【構成】 （Ａ）ｎ−臭化プロピル及び／又はイソ臭化
プロピル、（Ｂ）ニトロメタン、ニトロエタン及びニト
ロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも１種の化
合物及び（Ｃ）アルキルセロソルブ及びジオキサンから
なる群から選ばれる少なくとも１種の化合物を含有する
ことを特徴とする洗浄用溶剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、フロンや塩素系溶剤の
代替溶剤として使用する洗浄用溶剤組成物に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】フロンや塩素系溶剤は、これまで広範に
使用されており、フロンや塩素系溶剤の安定化技術や使
用技術が種々開発されている。例えば、安定化技術とし
ては、特開平３−１７３８３５号公報に、トリクロロジ
フルオロエタンと炭化水素、アルコール、ケトン、エー
テル、エステルなどを含む共沸混合物に、ニトロ化合
物、フェノール類、アミン類、エーテル類、アミレン
類、エステル類、有機ホスファイト類、エポキサイド
類、フラン類、アルコール類、ケトン類及びトリアゾー
ル類からなる群から選ばれる安定化剤を添加する技術が
開示されている。しかしながら、フロンや塩素系溶剤
は、近年の環境問題からその使用が制限されており、こ
れらに替わる優れた洗浄用溶剤及びその安定化技術の確
立が望まれている。一方、臭化炭化水素は、フロンや塩
素化炭化水素に比べて、化学的安定性、不燃性の点で劣
るため、各種金属部品類やプラスチックの脱脂洗浄用溶
剤として使用されていなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、フ
ロンや塩素系溶剤の代替溶剤として優れた洗浄効果を有
する新規な洗浄用溶剤組成物を提供することを目的とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、臭化炭化
水素について種々検討した結果、ｎ−臭化プロピル及び
イソ臭化プロピルは難燃性であり、各種油類に対する溶
解力が非常に大きく、かつ優れた脱脂洗浄性を有してい
ることを見いだした。又、これらの溶剤だけでは、金
属、特にアルミニウムまたはその合金との反応性が非常
に大きいという欠点があり、この反応は常温においても
起るが、特に蒸気洗浄のために温度を上げると顕著とな
り１０〜２０分の短時間の内にアルミニウムと反応し黒
褐色のタールまたは炭化物となり、アルミニウムも激し
く腐食され、完全に溶解するとの問題を見いだした。し
かしながら、蒸気洗浄を行なっても長期間安定に作業可
能な安定剤について種々研究を重ねた結果、特定の安定
剤を添加すると金属との反応性を大幅に改良できるとの
知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたのである。すなわち、本発明は、（Ａ）ｎ−臭化プ
ロピル及び／又はイソ臭化プロピル、（Ｂ）ニトロメタ
ン、ニトロエタン及びニトロプロパンからなる群から選
ばれる少なくとも１種の化合物及び（Ｃ）アルキルセロ
ソルブ及びジオキサンからなる群から選ばれる少なくと
も１種の化合物を含有することを特徴とする洗浄用溶剤
組成物を提供する。

【０００５】本発明において使用する成分（Ｃ）のアル
キルセロソルブとしては、アルキル基の炭素数が１〜１
０、好ましくは１〜３のアルキルセロソルブがあげられ
る。具体的には、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、イソプロピルセロソルブがあげられ、これらは一種
又は二種以上の混合物として使用することができる。
又、成分（Ｃ）のジオキサンとしては、1,４−ジオキサ
ンがあげられる。成分（Ｂ）及び成分（Ｃ）は、成分
（Ａ）に対して任意の割合で使用することができるが、
成分（Ａ）中に成分（Ｂ）を0.５〜１５重量％（以下、
％と略称する）、好ましくは１〜５％存在させるのがよ
い。又、成分（Ａ）中に成分（Ｃ）を0.０１〜１０％、
好ましくは0.０５〜３％存在させるのがよい。本発明で
は、洗浄用溶剤組成物のｐＨをアミンを用いて６〜８に
調整するのがこのましい。

【０００６】ここで使用するアミン類としては、ヘキシ
ルアミン、オクチルアミン、２−エチルヘキシルアミ
ン、ドデシルアミン、エチルブチルアミン、ヘキシルメ
チルアミン、ブチルオクチルアミン、ジブチルアミン、
オクタデシルメチルアミン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、ジエチルオクチルアミン、テトラデシルジ
メチルアミン、ジイソブチルアミン、ジイソプロピルア
ミン、ペンチルアミン、Ｎ−メチルモルホリン、イソプ
ロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ブチルアミン、
イソブチルアミン、ジプロピルアミン、２，２，２，６
−テトラメチルピペリジン、Ｎ，Ｎ−ジアリル−Ｐ−フ
ェニレンジアミン、ジアリルアミン、アニリン、エチレ
ンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ベンジルアミン、ジベ
ンジルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルヒドロキシ
アミンなどの一種又は二種以上の混合物があげられる。
また、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどを用い
て、ｐＨを６〜８に調整してもよい。本発明では、上記
安定剤の外に、塩素系炭化水素の安定剤と使用されるフ
ェノール、Ｏ−クレゾールなどのフェノール類、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミンなどのアミノアルコール、メチルブチノール、メ
チルペンチノール、プロパギルアルコールなどのアセチ
レン系アルコール、ベンゾトリアゾール、（２−ヒドロ
キシフェニル）ベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリ
アゾールなどのトリアゾール類を補助安定剤として使用
することもできる。

【０００７】

【発明の効果】本発明の洗浄用溶剤組成物は、脱脂洗浄
性を優れ、フロンや塩素系溶剤の代替溶浄として使用す
ることができる。又、特に成分（Ｂ）及び成分（Ｃ）を
併用することによって、被洗浄物の金属を腐食すること
なく、長期間安定して良好に脱脂洗浄することができ
る。従って、各種金属加工品や電子部品などの洗浄用に
極めて好適に使用できる。つぎに本発明を実施例および
比較例により具体的に説明する。

【０００８】

【実施例】

実施例１ ｎ−臭化プロピルにニトロエタンとメチルセルソルブと
を表−１に示す割合で変化させたときの、アルミニウム
片に対する作用を以下の方法により評価した。尚、ｎ−
臭化プロピル、ニトロエタン及びメチルセルソルブを含
む洗浄用溶剤組成物のｐＨは、予めジイソプロピルアミ
ンを用いて、7.５に調整した。評価方法（１） 洗浄用溶剤組成物を調製し、ＪＩＳ−Ｋ１６００に記載
の方法に従い、洗浄用溶剤組成物の液相部及び気相部の
各々にアルミニウム片（ＪＩＳ−Ｈ４０００、Ａ１１０
０Ｐ）を配置し、４８時間後の金属片の腐食状況を観察
し、次の基準で評価した。 腐食状況評価基準 ○ 変化なし × 腐食あり評価方法（２） 洗浄用溶剤組成物を調製し、これを還流器つきのフラス
コにいれ、７０〜８０℃の温浴で２時間還流後、液中で
アルミニウムを鋭利なステンレスで傷つけ、傷ついたア
ルミニウムの表面の腐食状況を観察し、次の基準で評価
した。 腐食状況評価基準 ○ 変化なし × 腐食あり

【０００９】

【表１】 表−１ ニトロエタン メチルセルソルブ 評価方法（１） 評価方法（２） 0.５％ − ○ × ３％ − ○ × − ３％ × × − ４％ × × 0.５％ ２％ ○ ○ ２％ １％ ○ ○

【００１０】実施例２ イソ臭化プロピルにニトロメタンとメチルセルソルブと
を表−２に示す割合で変化させたときの、アルミニウム
片に対する作用を実施例１と同様の方法により評価し
た。尚、イソ臭化プロピル、ニトロメタン及びメチルセ
ルソルブを含む洗浄用溶剤組成物のｐＨは、予めジイソ
プロピルアミンを用いて6.５に調整した。

【表２】 表−２ ニトロメタン メチルセルソルブ 評価方法（１） 評価方法（２） １％ − ○ × − ３％ × × 0.５％ ２％ ○ ○ ２％ １％ ○ ○

【００１１】実施例３ ｎ−臭化プロピルにニトロエタンと1,４−ジオキサンと
を表−３に示す割合で変化させたときの、アルミニウム
片に対する作用を実施例１と同様の方法により評価し
た。尚、イソ臭化プロピル、ニトロエタン及び1,４−ジ
オキサンを含む洗浄用溶剤組成物のｐＨは、予めジイソ
プロピルアミンを用いて6.５に調整した。

【表３】 表−３ ニトロエタン 1,４−ジオキサン 評価方法（１） 評価方法（２） １％ − ○ × − ３％ × × ２％ １％ ○ ○

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１１Ｄ 7:26）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （Ａ）ｎ−臭化プロピル及び／又はイソ
   臭化プロピル、（Ｂ）ニトロメタン、ニトロエタン及び
   ニトロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも１種
   の化合物及び（Ｃ）アルキルセロソルブ及びジオキサン
   からなる群から選ばれる少なくとも１種の化合物を含有
   することを特徴とする洗浄用溶剤組成物。
2. 【請求項２】 ｐＨが６〜８の範囲にある請求項１記載
   の洗浄用溶剤組成物。