JPH07149996A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH07149996A
JPH07149996A JP25613494A JP25613494A JPH07149996A JP H07149996 A JPH07149996 A JP H07149996A JP 25613494 A JP25613494 A JP 25613494A JP 25613494 A JP25613494 A JP 25613494A JP H07149996 A JPH07149996 A JP H07149996A
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Japan
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group
compound
aromatic vinyl
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JP25613494A
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Toshie Ogura
利江 小椋
Masaaki Motai
政明 馬渡
Hideyuki Kurimoto
英幸 栗本
Kenju Furuyama
建樹 古山
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐衝撃性、剛性、成形品表面外観お
よび耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、変性オ
レフィン系樹脂、変性ビニル系共重合体を配合してなる
熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃性、剛
性、成形品表面外観および耐薬品性に優れた熱可塑性樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂、AES樹脂などのスチレン
系樹脂は、耐熱衝撃性、剛性および成形品表面外観など
に優れることから幅広い分野に使用されているが、耐薬
品、耐熱が充分ではなく、使用用途に制限がある。一
方、ポリオレフィンは、一般に耐熱性、耐薬品性が優れ
るという性質から各種分野に使用されているが、剛性、
寸法安定性、成形品表面外観が劣るという欠点を有して
いる。両者を混合して、両者の優れた特性を維持し欠点
を解消することが考えられるが、相溶性が悪く実用に耐
え得るものはできない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、耐熱性、耐衝撃性、
剛性、成形品表面外観および耐薬品性に優れ、広範囲の
用途に使用し得る熱可塑性樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記請求項1
〜6の熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。 請求項1;(A)ゴム質重合体5〜80重量%の存在下
に、芳香族ビニル化合物または芳香族ビニル化合物およ
び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体
からなる単量体成分95〜20重量%を共重合してなる
スチレン系樹脂5〜95重量%、(B)ポリオレフィン
系樹脂3〜80重量%、(C)芳香族ビニル化合物とカ
ルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基およびエポ
キシ基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
る不飽和化合物、または必要に応じてこれらの単量体と
共重合可能なビニル単量体からなる単量体成分を共重合
してなるスチレン系樹脂1〜50重量%、ならびに
(D)ヒドロキシル基を有する変性ポリオレフィン1〜
50重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)
=100重量%〕を主成分とすることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物。
【0005】請求項2;(A)請求項1記載のA成分5
〜95重量%、(B)請求項1記載のB成分3〜80重
量%、(E)ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、
エステル基、カルボキシル基、酸無水物基およびオキサ
ゾリン基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有
する変性ポリオレフィン1〜50重量%、ならびに
(F)オレフィン単位とカルボキシル基、酸無水物基、
オキサゾリン基およびエポキシ基の群から選ばれた少な
くとも1種の官能基を有する不飽和化合物単位とを主体
とする共重合体に少なくとも1種のビニル単量体からな
るビニル系(共)重合体がグラフトした多相構造を有す
る重合体1〜50重量%〔ただし、(A)+(B)+
(E)+(F)=100重量%〕を主成分とすることを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0006】請求項3;(A)請求項1記載のA成分5
〜95重量%、(B)請求項1記載のB成分5〜95重
量%、(E)請求項2記載のE成分1〜50重量%、
(G)ポリオレフィンと芳香族ビニル化合物または芳香
族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可能
な他のビニル単量体からなる単量体成分を共重合してな
るポリオレフィングラフト共重合体1〜50重量%〔た
だし、(A)+(B)+(E)+(G)=100重量
%〕を主成分とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物。
【0007】請求項4;(H)ゴム質重合体5〜80重
量%の存在下に、芳香族ビニル化合物および芳香族ビニ
ル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量
体成分95〜20重量%を共重合してなるスチレン系樹
脂5〜95重量%、(B)請求項1記載のB成分5〜9
5重量%、(I)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合
物からなる共重合体を水素添加して得られる水素添加ジ
エン系共重合体1〜50重量%、ならびに(J)芳香族
ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物からなる共重
合体ブロックと芳香族ビニル重合体ブロックを含有して
なるブロック共重合体1〜50重量%〔ただし、(H)
+(B)+(I)+(J)=100重量%〕を主成分と
することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0008】請求項5;(A)請求項1記載のA成分3
〜94重量%、(B)請求項1記載のB成分5〜95重
量%、(G)請求項3記載のG成分1〜50重量%、お
よび(K)ゴム質重合体1〜80重量%〔ただし、
(A)+(B)+(G)+(K)=100重量%〕を主
成分とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0009】請求項6;(L)非ジエン系ゴム質重合体
5〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物または
芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合
可能な他のビニル単量体からなる単量体成分95〜20
重量%を共重合してなるスチレン系樹脂3〜94重量
%、(B)請求項1記載のB成分5〜95重量%、なら
びに(G)請求項3記載のG成分1〜50重量%〔ただ
し、(L)+(B)+(G)=100重量%〕を主成分
とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0010】本発明の(A)成分に用いるゴム質重合体
としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60重
量%が好ましい)、スチレン−イソプレン共重合体、ア
クリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−
オレフィン系共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポ
リエン共重合体、シリコン系ゴム、アクリルゴム、ブタ
ジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイ
ソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ス
チレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加ブタジエン
系共重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げられ
る。
【0011】また、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体に
は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロ
ック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、上
記水素添加ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合
体の水素添加物のほかに、スチレンブロックとスチレン
−ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素添加
物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含有量が2
0重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含有量が
20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重
合体の水素添加物などが含まれる。以上のゴム質重合体
は、1種単独でまたは2種以上で使用される。
【0012】上記ゴム質重合体の割合は、(A)成分中
に5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%であ
り、5重量%未満では耐衝撃性が劣り、一方80重量%
を超えると剛性、成形品表面外観が劣る。
【0013】また、(A)成分に用いる芳香族ビニル化
合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、シビニルベンゼ
ン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−
P−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−P−ア
ミノエチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレ
ン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロ
モスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチ
ルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物
は、1種単独であるいは2種以上混合して用いられる。
【0014】さらに、(A)成分に用いるその他のビニ
ル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどのシアン化ビニル化合物;メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリ
レート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルア
クリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアク
リレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エス
テル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミ
ノメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレー
ト、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチル
マレイミド、N−(P−メチルフェニル)マレイミド、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸のマレイミ
ド系化合物などが挙げられる。これらの他のビニル単量
体は、1種または2種以上で使用される。
【0015】上記(A)成分に用いられる単量体成分の
使用量は、(A)成分中に95〜20重量%、好ましく
は90〜30重量%であり、95重量%を超えると耐衝
撃性が劣り、一方20重量%未満では剛性および成形品
表面外観が劣る。
【0016】本発明の(A)成分は、上記ゴム質重合体
の存在下に上記単量体成分をグラフト重合したグラフト
重合体であるが、さらにゴム質重合体の非存在下に上記
単量体成分を(共)重合した重合体と混合したものも含
まれる。本発明の(A)成分は、公知の重合法である乳
化重合、溶液重合、塊状重合、乳化−塊状重合、乳化−
溶液重合、懸濁重合などによって製造することができ
る。
【0017】本発明の(B)成分のポリオレフィン系樹
脂としては、エチレン、プロピレン、ブデン−1、3−
メチルブデン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチ
ルペンテン−1などのα−オレフィン単独重合体やこれ
らの共重合体が挙げられる。代表例として、高密度、中
密度、低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポ
リエチレン類、プロピレン単独重合体、プロピレン−エ
チレンブロック共重合体やランダム共重合体、プロピレ
ン−エチレン−ジエン化合物共重合体などのポリプロピ
レン類、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1
などを挙げることができるが、これらの中で結晶性のポ
リエチレンおよび結晶性ポリプロピレンが好ましく、特
に結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0018】上記結晶性ポリプロピレンとしては、例え
ば結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合
体や、エチレン単位の含有量が少ないエチレン−プロピ
レンランダム共重合体からなる共重合部とから構成され
た、いわゆるプロピレンブロック共重合体として市販さ
れている実質上結晶性のプロピレンとエチレンとのブロ
ック共重合体、あるいはこのブロック共重合体における
各ホモ重合部または共重合部が、さらにブテン−1など
のα−オレフィンを共重合したものからなる実質上結晶
性のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体な
どが好ましく挙げられる。ここで用いられる(B)ポリ
オレフィン樹脂は、メルトインデックス(MI)が0.
5〜60g/10分の範囲にあるものが好ましい。
【0019】(C)成分に使用される芳香族ビニル化合
物としては、上記したものがすべて使用される。(C)
成分を構成するカルボキシル基を有する不飽和化合物と
して、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などがあ
る。酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などがある。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキ
サゾリンなどが挙げられる。エポキシ基含有不飽和化合
物としては、グリシジルメタクリレート、アリルグリシ
ジルエーテルなどがある。
【0020】なお、(C)成分には、上記(メタ)アク
リル酸エステル、シアン化ビニル化合物、マレイミド系
化合物などを共重合することもできる。本発明の(C)
成分中のカルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン
基、エポキシ基含有不飽和化合物量は、0.5〜20重
量%の範囲にあることが本発明の目的を達成する上で好
ましい。
【0021】本発明の(D)成分の変性ポリオレフィン
としては、オレフィンの重合体がヒドロキシル基で変性
されたものであり、オレフィンの重合体としては、上記
α−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体が挙げ
られる。
【0022】(D)成分の製造方法としては、例えば、
オレフィン重合体とヒドロキシル基含有不飽和化合物
および少量の有機過酸化物を混合したのち、単軸または
二軸の押出機に供給し、160〜250℃の温度で溶融
混練する方法、オレフィン重合体を溶剤に溶解し、こ
れに上記不飽和化合物および有機過酸化物を添加して溶
液状態でグラフト反応せしめる方法、ポリオレフィン
を直接酸化する方法、オレフィン重合体製造時に上記
不飽和化合物を共重合する方法などがあり、本発明の
(D)成分としていずれの方法で得られたものも用いる
ことができる。
【0023】ここで、(D)成分に使用されるヒドロキ
シル基含有不飽和化合物としては、ヒドロキシスチレ
ン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−
1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トラ
ンス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−
2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどが
ある。
【0024】また、カルボキシル基、酸無水物基含有不
飽和化合物で変性された変性ポリオレフィンのカルボキ
シル基、酸無水物基をポリオール成分でエステル化し、
ヒドロキシル基化したものを、また酸無水物基を有する
変性ポリオレフィンと一般式NH2 −R−OH(式中、
Rは炭素数2〜30の炭化水素)と反応させて得られる
ものを、本発明の(D)成分として用いることができ
る。
【0025】本発明の(E)成分である変性ポリオレフ
ィンは、オレフィン重合体がヒドロキシル基、アミノ
基、エポキシ基、エステル基、カルボキシル基、酸無水
物基およびオキサゾリン基などで変性されたものであ
り、(E)成分は上記(D)成分と同様の方法で製造す
ることができる。ここで使用されるヒドロキシル基、エ
ポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン
基含有不飽和化合物としては、上記したものがすべて使
用される。
【0026】アミノ基含有不飽和化合物としては、アク
リルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸
アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノス
チレン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあ
り、エステル基含有不飽和化合物としは、ギ酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエ
ステルや、(A)成分で使用される(メタ)アクリル酸
エステルが全て使用される。
【0027】本発明の(F)成分に使用される多相構造
を有する重合体中のオレフィン単位とカルボキシル基、
酸無水物基、オキサゾリン基およびエポキシ基の群から
選ばれた少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物
単位とを主体とする共重合体とは、例えば高圧ラジカル
重合によるオレフィンと上記不飽和化合物単量体または
他の不飽和化合物単量体との二元、三元または多元の共
重合体であり、上記共重合体中のオレフィンとしてはエ
チレン、プロピレンが好ましく、特に好ましいものはエ
チレンである。上記共重合体の中で特に好ましいもの
は、エチレン−無水マレイン酸の二元系の共重合体であ
る。
【0028】上記共重合体のオレフィン含量は、60〜
99.5重量%、官能基含有不飽和化合物単量体0.5
〜40重量%、他の不飽和化合物単量体0〜39.5重
量%からなる共重合体が好ましい。カルボキシル基、酸
無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基含有不飽和化合
物としては、上記したものがすべて使用される。好まし
い官能基は、エポキシ基、酸無水物基であり、特に好ま
しいものは酸無水物基である。
【0029】本発明に使用される(F)多相構造を有す
る重合体中のビニル系(共)重合体とは、具体的には上
記した芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステ
ル、シアン化ビニル化合物がすべて使用される。また、
他にビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
のビニルエーテル類、アクリルアミド、メタクリルアミ
ドなどの不飽和カルボンアミドも挙げられ、これらは1
種または2種以上で使用される。
【0030】本発明でいう多相構造を有する重合体と
は、特定の官能基含有オレフィン共重合体またはビニル
系(共)重合体マトリックス中に、それとは異なる成分
であるビニル(共)重合体または特定の官能基含有オ
レフィン共重合体が球状に均一に分散しているものをい
う。分散している重合体の粒子径は、0.001〜10
μm、好ましくは0.01〜5μmである。この粒子径
が0.001μm未満の場合、あるいは10μmを超え
る場合、得られる組成物の機械的強度が低下し好ましく
ない。
【0031】本発明の多相構造を有する重合体中のビニ
ル系(共)重合体の数平均重合度は、5〜10,00
0、好ましくは10〜5,000の範囲である。本発明
の多相構造を有する重合体は、上記特定の官能基含有オ
レフィン共重合体が5〜95重量%、好ましくは20〜
90重量%の範囲にあることが本発明の目的を達成する
上で好ましい。
【0032】上記本発明の(F)成分を製造する際のグ
ラフト法は、一般によく知られている連鎖移動法、電離
性放射線照射法などいずれの方法によってもよいが、最
も好ましいものは特開昭64−48856号公報記載の
方法である。本発明の(F)成分において、官能基含有
オレフィン共重合体にグラフトしたビニル(共)重合
体の量、すなわちグラフト率は少なくとも1重量%以上
であることが好ましい。
【0033】(G)成分のポリオレフィングラフト重合
体を構成するポリオレフィンは、(B)成分の項で上記
したものすべてが挙げられる。また、芳香族ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量
体としては、(A)成分の項で述べられた化合物がすべ
て挙げられる。また、共重合可能な他のビニル単量体に
ついては、さらに不飽和酸、酸無水物基、ヒドロキシル
基、アミノ基、エポキシ基、エステル基およびオキサゾ
リン基含有不飽和化合物も含まれる。また、不飽和酸、
酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、
エステル基およびオキサゾリン基不飽和化合物として
は、上記したすべてが使用される。
【0034】本発明の(H)成分に用いるゴム質重合
体、芳香族ビニル化合物、またその他のビニル単量体と
しては、(A)成分の項で挙げられたすべてが使用され
る。(H)成分中の単量体成分の使用量は、95〜20
重量%、好ましくは90〜30重量%であり、95重量
%を超えると耐衝撃性が充分でなく、一方20重量%未
満では剛性および成形品表面外観が充分でなく好ましく
ない。本発明の(H)成分は、上記ゴム質重合体の存在
下に上記単量体成分をグラフト重合したグラフト重合体
であるが、さらにゴム質重合体の非存在下に上記単量体
成分を(共)重合した重合体と混合したものも含まれ
る。本発明の(H)成分は、(A)成分の製造法と同じ
方法を用いて製造することができる。
【0035】(I)成分の水素添加ジエン系共重合体に
使用される芳香族ビニル化合物は、上記(A)成分の項
で使用したものすべてが使用される。また、共役ジエン
化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペン
タジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3
−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジ
エン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロブレ
ンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、または物性
の優れた(I)水素添加ジエン系重合体を得るには、
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエ
ンが好ましく、より好ましくは1,3−ブタジエンであ
る。
【0036】水素添加前のジエン系重合体は、共役ジエ
ン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合体も
しくはブロック共重合体、またはこれらの混合物、ある
いは共役ジエン化合物の単独重合体などである。なお、
水素添加ジエン系重合体として、種類の異なるジエン系
重合体の混合物である場合、水素添加前に混合し、その
後水素添加したものでもよく、また水素添加後混合して
もよい。
【0037】芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の
水素添加ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テ
ーパー型、ラジカルテレブロック型の構造を有するもの
などが含まれる。さらに、水素添加ブタジエン系重合体
は、上記ブロック共重合体のほかに、ステレンブロック
とスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロック体
の水素添加物、ポリブタジエンの中の1,2−ビニル結
合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結
合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックか
らなる重合体の水素添加物などが含まれる。
【0038】水素添加前のジエン系重合体の数平均分子
量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さ
らに好ましくは30,000〜300,000である。
ジエン系重合体中の芳香族ビニル化合物/共役ジエン化
合物の割合は、重量比で10〜60/90〜40であ
る。芳香族ビニル化合物の含有量が60重量%を超える
と樹脂状となり、得られる組成物の耐衝撃性が低下す
る。
【0039】本発明の(J)成分は、芳香族ビニル化合
物およびシアン化ビニル化合物からなる共重合体ブロッ
クと芳香族ビニル重合体ブロックからなるブロック共重
合体であり、ここで使用される芳香族ビニル化合物、シ
アン化ビニル化合物は上記したものがすべて使用され
る。芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物か
らなる共重合体ブロック/芳香族ビニル重合体ブロック
の比は、10〜90/90〜10重量%が好ましい。ま
た、数平均分子量は、50,000〜500,000の
範囲にあることが好ましい。
【0040】なお、(J)成分中には、共重合可能な他
のビニル単量体を30重量%以下共重合することができ
る。好ましい共重合可能な他のビニル単量体としては、
無水マレイン酸、メタクリル酸メチル、グリシジルメタ
クリレート、ビニルオキサゾリン、水酸基含有不飽和化
合物である。
【0041】本発明の(J)成分の製造方法は、ポリメ
リックペルオキシドを使用する方法などがあり、具体的
には特公昭60−3327号公報、特公昭63−404
47号公報記載の方法である。
【0042】本発明の(K)成分のゴム質重合体は、上
記(A)成分の項で挙げられたゴム質重合体のすべてが
挙げられる。
【0043】本発明の(L)成分に用いる非ジエン系ゴ
ム質重合体としては、例えばエチレン−α−オレフィン
系共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重
合体、シリコン系ゴム、アクリルゴム、フッ素系ゴム、
水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素
添加ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマーなど
が挙げられる。
【0044】上記水素添加ブタジエン系重合体は、上記
ブロック共重合体の水素添加物のほかに、スチレンブロ
ックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロッ
ク体の水素添加物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル
結合含量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル
結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロック
からなる重合体の水素添加物などが含まれる。これらの
ゴム質重合体は、1種単独でまたは2種以上で使用され
る。(L)成分は、上記(A)成分のゴム質重合体を上
記の非ジエン系ゴム質重合体に限定したものであり、他
は(A)成分と全く同様である。
【0045】請求項1の熱可塑性樹脂組成物における
(A)成分の使用量は5〜95重量%、好ましくは10
〜85重量%、さらに好ましくは20〜75重量%、特
に好ましくは30〜60重量%である。その使用量が、
5重量%未満では耐衝撃性、剛性、成形品表面外観が劣
り、一方95重量%を超えると耐熱性、耐薬品性が劣
る。
【0046】(B)成分の使用量は、3〜80重量%、
好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜
60重量%である。その使用量が、3重量%未満では耐
薬品性の改良効果がなく、一方80重量%を超えると耐
衝撃性、剛性、成形品表面外観が劣る。
【0047】(C)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
耐衝撃性が劣る。
【0048】(D)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜30
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。
【0049】請求項2の熱可塑性樹脂組成物における
(A)成分は、上記した単量体成分の他の目的に応じ
て、さらに上記したカルボキシル基、酸無水物基、エポ
キシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、エステル基および
オキサゾリン基などの官能基含有不飽和化合物を用いる
ことができる。(A)成分の使用量は5〜95重量%、
好ましくは10〜85重量%、さらに好ましくは20〜
75重量%、特に好ましくは、30〜60重量%であ
る。その使用量が、5重量%未満では耐衝撃性、剛性、
成形品表面外観が劣り、一方95重量%を超えると耐薬
品性、耐熱性が劣る。
【0050】(B)成分の使用量は、3〜80重量%、
好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜
60重量%である。その使用量が、3重量%未満では耐
薬品性の改良効果がなく、一方80重量%を超えると耐
衝撃性、耐熱性が劣る。
【0051】(E)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜30
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。
【0052】(F)成分の使用量は1〜50重量%、好
ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜30重
量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。
【0053】請求項3の熱可塑性樹脂組成物における
(A)成分は、上記した単量体成分のほかに目的に応じ
て、さらに上記したカルボキシル基、酸無水物基、エポ
キシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、エステル基および
オキサゾリン基などの官能基含有不飽和化合物を用いる
ことができる。(A)成分の使用量は5〜95重量%、
好ましくは10〜85重量%、さらに好ましくは20〜
75重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。
その使用量が、5重量%未満では耐衝撃性、剛性、成形
品表面外観が劣り、一方95重量%を超えると耐薬品
性、耐熱性が劣る。
【0054】(B)成分の使用量は、5〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは45〜
85重量%である。その使用量が、5重量%未満では耐
薬品性の改良効果がなく、一方95重量%を超えると耐
衝撃性、剛性、成形品表面外観が劣る。
【0055】(E)成分の使用量は1〜50重量%、好
ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは2〜30重
量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。なお、ここでの(E)成分の官
能基としては、好ましくはエポキシ基以外の官能基であ
る。
【0056】(G)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは3〜30
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。
【0057】請求項4の熱可塑性樹脂組成物における
(H)成分の使用量は、5〜95重量%、好ましくは1
0〜85重量%、さらに好ましくは20〜75重量%、
特に好ましくは30〜60重量%である。その使用量
が、5重量%未満では耐衝撃性、剛性、成形品表面外観
が劣り、一方95重量%を超えると耐薬品性、耐熱性が
劣る。
【0058】(B)成分の使用量は、5〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは45〜
85重量%である。その使用量が、5重量%未満では耐
薬品性の改良効果がなく、一方95重量%を超えると耐
衝撃性、剛性、成形品表面外観が劣る。
【0059】(I)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30
重量%である。その使用量の範囲外では、耐衝撃性、成
形品表面外観が劣る。
【0060】(J)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは3〜30
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性、成形品表面外観が劣り、一方50重量%を超えると
成形品表面外観が劣る。
【0061】請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物におけ
る(A)成分の使用量は、3〜94重量%、好ましくは
4〜80重量%、さらに好ましくは5〜50重量%であ
る。その使用量が、3重量%未満では耐衝撃性が劣り、
一方94重量%を超えると耐薬品性が劣る。
【0062】(B)成分の使用量は、5〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜
85重量%である。その使用量が、5重量%未満では耐
薬品性、成形品表面外観が劣り、一方95重量%を超え
ると耐衝撃性が劣る。
【0063】(G)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜2
5重量%である。その使用量の範囲外では、いずれも耐
衝撃性、成形品表面外観が劣る。
【0064】(K)成分の使用量は、1〜80重量%、
好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜50
重量%である。その使用量が、1重量%未満では耐衝撃
性が劣り、一方80重量%を超えると耐薬品性、成形品
表面外観が劣る。
【0065】請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物におけ
る(L)成分の使用量は、3〜94重量%、好ましくは
4〜80重量%、さらに好ましくは5〜50重量%であ
る。その使用量が、3重量%未満では耐衝撃性が劣り、
一方94重量%を超えると耐薬品性が劣る。
【0066】(B)成分の使用量は、5〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは45〜
85重量%である。その使用量が、5重量%未満では耐
薬品性、成形品表面外観が劣り、一方95重量%を超え
ると耐衝撃性が劣る。
【0067】(G)成分の使用量は、1〜50重量%、
好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜2
5重量%である。その使用量の範囲外では、いずれも耐
衝撃性、成形品表面外観が劣る。なお、請求項6記載の
熱可塑性樹脂組成物には、さらに必要に応じて上記
(K)成分を3〜50重量%配合することができる。
(K)成分を配合すると、耐衝撃性が一段と優れる。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ガラス
繊維、炭素繊維、金属繊維、金属フレーク、ガラスビー
ズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウ
ム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバ
ー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、酸化マグネシム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カ
リウムウィスカー、アラミド繊維、フッ素樹脂、熱膨張
性黒鉛などの充填剤を、1種単独であるいは併用するこ
とができる。これらの充填剤のうち、ガラス繊維、炭素
繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm
以上の繊維長を有するものが好ましい。これらの充填剤
は、本発明の組成物100重量部に対して、通常、5〜
150重量部の範囲で用いられる。
【0069】また、本発明の組成物には、公知の難燃
剤、カップリング剤、耐光剤、酸化防止剤、可塑剤、着
色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコンオイル、発泡剤など
の添加物を配合することができる。さらに、本発明の組
成物には、銀もしくは銀化合物などの抗菌剤また市販の
防カビ剤を配合することにより、優れた抗菌性、防カビ
性を付与することができる。かかる抗菌剤、防カビ剤の
配合量は、0.01〜30重量%、好ましくは0.05
〜20重量%である。
【0070】さらに、本発明の組成物には、要求される
性能に応じて他の重合体、例えばポリアミド、ポリエス
テル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェ
ニレンスルフィド、液晶ポリマー、フッ素樹脂、スチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリフェ
ニレンエーテルなどを適宜ブレンドすることができる。
【0071】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用
い、各成分を混練することによって得られる。好ましい
製造方法は、二軸押出機を用いる方法である。また、各
成分を混練するに際して、各成分を一括して混練しても
よく、多段添加式で混練してもよい。
【0072】特に、請求項5の熱可塑性樹脂組成物の好
ましい製造方法は、(A)成分の30〜100重量%と
(G)成分の30〜100重量%、好ましくは(A)成
分の50〜100重量%と(G)成分の50〜100重
量%を予備混練りし、この混練り物を(B)成分および
/または(K)成分に配合する。この際、予備混練りし
ない残りの(A)、(G)成分は、予備混練り物および
/または(B)成分および/または(K)成分に配合さ
れる。(A)成分と(G)成分を予備混練りすること
で、得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物の目的性能
は、一段と優れる。上記の予備混練り温度は、好ましく
は150〜350℃である。
【0073】また、請求項6の熱可塑性樹脂組成物の好
ましい製造方法は、(L)成分の30〜100重量%と
(G)成分の30〜100重量%、好ましくは(L)成
分の50〜100重量%と(G)成分の50〜100重
量%を予備混練りし、この混練り物を(B)成分に配合
する。この際、予備混練りしない残りの(L)、(G)
成分は、予備混練り物および/または(B)成分に配合
される。(L)成分と(G)成分を予備混練りすること
で、得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物の目的性能
は、一段と優れる。上記の予備混練り温度は、好ましく
は150〜350℃である。
【0074】このようにして得られる本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形
押出成形、ブロー成形、発泡成形、射出プレス成形、ガ
スアシスト射出成形、二層射出成形などによって各種成
形品に成形することができる。上記成形法によって得ら
れる各種成形品は、その優れた性質を利用して、OA・
家電分野、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野
などの各種パーツ、ハウジング、シャーシなどに使用す
ことができる。
【0075】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重
量基準である。また、実施例中の各種評価は、次のよう
にして測定した値である。
【0076】耐熱性 ASTM D−1525に準じてビカット軟化温度を測
定した。耐衝撃性 ASTM D256に準じてアイゾット衝撃強さを測定
した。剛性 ASTM D790に準じて曲げモジュラスを測定し
た。
【0077】成形品表面外観 平板射出成形品の表面を下記の評価基準で目視評価し
た。 ○;平滑で良い外観。 △;フローマークが見える、または平滑性が少し劣る。 ×;表面の凸凹が大きく外観が悪い。耐薬品性 平板射出成形品をガソリンに48時間浸漬し、取り出し
た後の試験の表面を下記の評価基準で目視評価した。 ○;無変化 ×;クラック発生
【0078】参考例 実施例に用いた各成分は、下記のとおりである。ゴム質重合体(a)−1〜(a)−2、(l)−1〜
(l)−4 本発明の(A)および(L)のスチレン系樹脂に用いら
れるゴム質重合体として表1のものを用いた。
【0079】
【表1】
【0080】スチレン系樹脂(A)−1〜(A)−3、
(L)−1〜(L)−5の調製 上記ゴム質重合体(a)−1〜(a)−2、(l)−1
〜(l)−4の存在下に、各種単量体をグラフト重合し
たスチレン系樹脂およびゴム質重合体を存在させず、単
量体成分のみを重合した樹脂をそれぞれ得た。これらの
樹脂の組成を表2に示す。なお、(A)−1および
(L)−5は乳化重合で、(A)−2〜(A)−3およ
び(L)−1〜(L)−4は溶液重合で得た。
【0081】
【表2】
【0082】ポリオレフィン系樹脂(B) 本発明の(B)ポリオレフィン系樹脂として、表3のも
のを用いた。
【0083】
【表3】
【0084】スチレン系樹脂(C) スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸=69.5
/24.5/6%からなる樹脂(C)を乳化重合で得
た。
【0085】変性ポリオレフィン(D)、(E) ヒドロキシル変性ポリオレフィン(D);三洋化成工業
(株)製、ユーメックス1201(商品名)を用いた。 無水マレイン酸変性ポリオレフィン(E);三洋化成工
業(株)製、ユーメックス1001(商品名)を用い
た。
【0086】グラフト重合体(F) 日本油脂(株)製、モディパーA4401を用いた。
【0087】ポリオレフィングラフト共重合体(G) 本発明の(G)ポリオレフィングラフト共重合体とし
て、表4のものを用いた。
【0088】
【表4】
【0089】スチレン系樹脂(H) (A)成分のスチレン系樹脂を使用した。
【0090】水素添加ジエン系共重合体(I) シェルケミカル社製、KRATON G1650を用い
た。
【0091】ブロック共重合体(J) 芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物のブロッ
ク;スチレン/アクリロニトリル、芳香族ビニル化合
物;スチレンを使用し、スチレン/アクリロニトリル/
スチレン=38/12/50%の組成で、特公昭63−
40447号公報の参考例2の方法に準じて重合を行な
った。
【0092】ゴム質重合体(K) 本発明の(K)ゴム質重合体として表5のものを用い
た。
【0093】
【表5】
【0094】実施例1〜6、比較例1〜9 上記各種重合体を表6〜7に示す配合割合で混合し、二
軸押出機でバレル設定温度220℃で溶融混練し、ペレ
ット化した。ペレットを充分に乾燥したのち、射出成形
機を用い、シリンダー設定温度240℃、金型温度50
℃で試験片を作製し、上記評価法で評価した。評価結果
を表6〜7に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】実施例7〜15、比較例10〜14 表8〜9に示す配合割合で、(A)成分と(G)成分、
あるいは(L)成分と(G)成分を混合し、これを二軸
押出機でバレル設定温度220℃で溶融混練りし、ペレ
ット化した。このペレットを、表8〜9に示す配合割合
で、他の(B)成分、(K)成分、または(B)成分と
混合し、これを二軸押出機でバレル設定温度220℃で
溶融混練りし、ペレット化した。最終に得られたペレッ
トを充分に乾燥したのち、射出成形機を用い、シリンダ
ー設定温度240℃、金型温度50℃で試験片を作製
し、上記評価法で評価した。評価結果を表8〜9に示
す。
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】
【0100】*)NB;破壊せず。 実施例および比較例より、以下のことが明らかである。
本発明によって得られた実施例1〜6は、すべて耐熱
性、耐衝撃性、剛性、成形品表面外観および耐薬品性に
優れている。また、本発明によって得られた実施例7〜
15は、すべて耐衝撃性、成形品表面外観および耐薬品
性に優れている。
【0101】比較例1は、請求項1の(A)成分の使用
量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、剛性、成形品
表面外観が劣る。比較例2は、請求項1の(B)成分の
使用量が範囲外で少ない例であり、耐薬品性、耐熱性が
劣る。比較例3は、請求項1の(C)成分の使用量が範
囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外観が劣
る。比較例4は、請求項1の(D)成分の使用量が範囲
外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外観が劣
る。
【0102】比較例5は、請求項2の(E)成分の使用
量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外
観が劣る。比較例6は、請求項2の(F)成分の使用量
が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外観
が劣る。
【0103】比較例7は、請求項3の(G)成分の使用
量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外
観が劣る。
【0104】比較例8は、請求項4の(I)成分の使用
量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外
観が劣る。比較例9は、請求項4の(J)成分の使用量
が範囲外で少ないものであり、耐衝撃性、成形品表面外
観が劣る。
【0105】比較例10は、請求項5の(K)成分の使
用量が範囲外で多い例であり、成形品表面外観、耐薬品
性が劣る。比較例11は、請求項5の(G)成分の使用
量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外
観が劣る。
【0106】比較例12は、請求項6の(L)成分の使
用量が範囲外で少ない例であり、耐衝撃性が劣る。比較
例13は、請求項6の(B)成分の使用量が範囲外で少
ない例であり、成形品表面外観、耐薬品性が劣る。比較
例14は、請求項6の(G)成分の使用量が範囲外で少
ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外観が劣る。
【0107】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱
性、耐衝撃性、剛性、成形品表面外観および耐薬品性に
優れ、広範囲の用途、例えばOA・家電分野、電気・電
子分野、雑貨分野、サニタリー分野などの各種パーツ、
ハウジング、シャーシなどに使用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム質重合体5〜80重量%の存
    在下に、芳香族ビニル化合物または芳香族ビニル化合物
    および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単
    量体からなる単量体成分95〜20重量%を共重合して
    なるスチレン系樹脂5〜95重量%、 (B)ポリオレフィン系樹脂3〜80重量%、 (C)芳香族ビニル化合物とカルボキシル基、酸無水物
    基、オキサゾリン基およびエポキシ基の群から選ばれた
    少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物、または
    必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なビニル単量
    体からなる単量体成分を共重合してなるスチレン系樹脂
    1〜50重量%、ならびに (D)ヒドロキシル基を有する変性ポリオレフィン1〜
    50重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)
    =100重量%〕を主成分とすることを特徴とする熱可
    塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)請求項1記載のA成分5〜95重
    量%、 (B)請求項1記載のB成分3〜80重量%、 (E)ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、エステ
    ル基、カルボキシル基、酸無水物基およびオキサゾリン
    基の群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変
    性ポリオレフィン1〜50重量%、ならびに (F)オレフィン単位とカルボキシル基、酸無水物基、
    オキサゾリン基およびエポキシ基の群から選ばれた少な
    くとも1種の官能基を有する不飽和化合物単位とを主体
    とする共重合体に少なくとも1種のビニル単量体からな
    るビニル系(共)重合体がグラフトした多相構造を有す
    る重合体1〜50重量%〔ただし、(A)+(B)+
    (E)+(F)=100重量%〕を主成分とすることを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)請求項1記載のA成分5〜95重
    量%、 (B)請求項1記載のB成分5〜95重量%、 (E)請求項2記載のE成分1〜50重量%、 (G)ポリオレフィンと芳香族ビニル化合物または芳香
    族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可能
    な他のビニル単量体からなる単量体成分を共重合してな
    るポリオレフィングラフト共重合体1〜50重量%〔た
    だし、(A)+(B)+(E)+(G)=100重量
    %〕を主成分とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 (H)ゴム質重合体5〜80重量%の存
    在下に、芳香族ビニル化合物および芳香族ビニル化合物
    と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分9
    5〜20重量%を共重合してなるスチレン系樹脂5〜9
    5重量%、 (B)請求項1記載のB成分5〜95重量%、 (I)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなる
    共重合体を水素添加して得られる水素添加ジエン系共重
    合体1〜50重量%、ならびに (J)芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物
    からなる共重合体ブロックと芳香族ビニル重合体ブロッ
    クを含有してなるブロック共重合体1〜50重量%〔た
    だし、(H)+(B)+(I)+(J)=100重量
    %〕を主成分とすることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 (A)請求項1記載のA成分3〜94重
    量%、 (B)請求項1記載のB成分5〜95重量%、 (G)請求項3記載のG成分1〜50重量%、および (K)ゴム質重合体1〜80重量%〔ただし、(A)+
    (B)+(G)+(K)=100重量%〕を主成分とす
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (L)非ジエン系ゴム質重合体5〜80
    重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物または芳香族ビ
    ニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他
    のビニル単量体からなる単量体成分95〜20重量%を
    共重合してなるスチレン系樹脂3〜94重量%、 (B)請求項1記載のB成分5〜95重量%、ならびに (G)請求項3記載のG成分1〜50重量%〔ただし、
    (L)+(B)+(G)=100重量%〕を主成分とす
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004307734A (ja) * 2003-04-10 2004-11-04 Techno Polymer Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形品

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