JPH07145462A - 溶融金属めっき方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 極めて簡単な装置によって、鋼板がスナウト
部を通ってめっき浴に浸漬される際、鋼板表面もしくは
めっき浴面上のスカム等の異物の付着を防止し、めっき
表面欠陥、特に合金化反応に伴う表面外観の問題が生ず
るのを防止すること。 【構成】 溶融金属めっきのスナウト部で鋼板がめっき
浴に浸漬するスナウト内のめっき浴面にスナウトを浴内
で包囲するＵ型遮蔽板を設置すること、さらに、スナウ
ト内のめっき浴面の浴面遮蔽板とスナウト間の表面に鋼
板に対峙して浴カバーを配設して、鋼板への浴面異物の
付着を防止する溶融金属めっき方法およびその装置。 【効果】 特に合金化処理鋼板において、表面外観の極
めて優れた溶融亜鉛合金化めっき鋼板を得ることが可能
となった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は溶融亜鉛めっき、合金化
溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融亜鉛−
アルミニウム系合金めっき等の溶融金属めっき方法及び
その装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、溶融金属めっき法としては、被め
っき鋼板を加熱焼鈍した後上部が焼鈍炉に接続し、下端
が溶融金属めっき浴に浸漬されたスナウトの内部を通
り、溶融金属めっき浴中に浸漬され、浴中のポットロー
ルにより進行方向を変えて上方に引上げ、気体絞り法に
より溶融金属めっきの付着量を制御し溶融金属めっき鋼
板を得る方法である。鋼板がスナウト部を通ってめっき
浴に浸漬された際、鋼板表面もしくはめっき浴面上にダ
スト、スカム、ドロス、焼鈍炉耐火煉瓦の破片、粉末等
の異物が付着すると、めっき表面欠陥、合金化反応異状
等の問題を生ずる。

【０００３】これらの問題を解消するために、従来より
種々の方法が提案されている。例えば、特公平２−２５
９８１号公報や特公平３−４９９８１号公報のように、
スナウト内に導入する雰囲気中の水素、酸素濃度を特定
濃度以下の不活性ガス雰囲気にしてスカムの発生を防止
しようとする方法や特開昭６１−１８６４６３号公報の
ように、スナウト内に浸漬する鋼板の幅方向の一方向側
に配設された吐出口から鋼板幅方向に向けて溶融亜鉛を
吐出させ、浮遊ドロス等の浴面上の浮遊物をストリップ
幅方向に沿ってスナウト幅方向の他方の側に流動させ、
かつ他端側より浮遊物を回収することにより、スナウト
内の浮きドロス等により鋼板めっき欠陥を防止する方法
が知られている。

【０００４】また、特開平４−２７６０５１号、特開平
４−２７６０５２号公報のように、スナウト内に浸漬す
る鋼板の幅方向の一端側から他端側に向けて不活性ガス
をめっき浴面上に吹き付けることにより、浴面上のスカ
ム等を払拭し、かつ他端でスナウト外へ排出することに
より、スカム等が鋼板に付着するのを防止しようとする
方法や特公昭６０−２６５４号公報のように、溶融金属
めっき浴面下に鋼板の全幅に渡たるスリットノズルを設
け、鋼板がめっき浴に侵入する近傍の鋼板に向けて溶融
めっき液を噴出させることにより、めっきされた鋼板の
表面への異物付着を防止しようとするものである。更に
は特開平３−１３４１４６号公報では、スナウト上部を
支点として、スナウト位置を前後に位置を変更可能にし
た連続溶融金属メッキ装置によって、スナウトを若干前
後進させ、鋼帯とスナウトの一側との間隔を交互に大き
くとることにより、ドロス除去具の配置が容易になり、
スナウト内のドロス除去を容易にすると言うものであ
る。

【０００５】しかし、何れの方法にも、それぞれの欠点
があり、鋼板への異物付着を防止することが出来ない。
すなわち、特公平２−２５９８１号公報や特公平３−４
９９８１号公報による方法では、単にスナウト内を雰囲
気ガス組成を規制したのみでは、鋼板に付着して持ち込
まれる異物やスナウト内壁等からめっき浴面に落下する
異物等の除去は出来ないという問題がある。また、特開
昭６１−１８６４６３号公報、特開平４−２７６０５１
号及び特開平４−２７６０５２号公報の方法では浴面の
異物量を低減させる効果は得られるものの、スナウト内
の一端側から他端側に異物を払拭する過程で一部が鋼板
に付着するために、異物付着の完全防止とならないとい
う問題があった。

【０００６】更には、特公昭６０−２６５４号公報の方
法では、鋼板近傍の異物を排除するためには強い圧力で
めっき浴を噴出する必要があるため、ランニングコスト
が嵩むばかりでなく、鋼板端部は両側のスリットノズル
からのめっき液滴が衝突するため、異物の排除効果が失
われたり、めっき浴面波立ちによる異物巻き込み等の問
題が生ずる。また、特開平３−１３４１４６号公報では
スナウト位置を前後進させる操作をドロス除去毎に行わ
ねばならないという作業上の問題がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな問題を解消し、極めて簡単な装置によって、鋼板が
スナウト部を通ってめっき浴に浸漬される際、鋼板表面
もしくは、めっき浴面上にダスト、スカム、ドロス、焼
鈍炉耐火煉瓦の破片、粉末等の異物が付着してめっき表
面欠陥、特に合金化反応に伴う表面外観の問題が生ずる
のを防止することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述したような目的を達
成するためのものであって、その発明の要旨とするとこ
ろは、 （１）溶融金属めっきのスナウト部で鋼板がめっき浴に
浸漬するスナウト内のめっき浴面にスナウトを浴内で包
囲するＵ型遮蔽板をスナウト外部から移動開閉可能に設
置することにより、鋼板への浴面異物付着を防止するこ
とを特徴とする溶融金属めっき方法。 （２）溶融金属めっきのスナウト部で鋼板がめっき浴に
浸漬するスナウト内のめっき浴面にスナウトを浴内で包
囲するＵ型遮蔽板をスナウト外部から移動開閉可能に設
置すると共に、スナウト内のめっき浴面の浴面遮蔽板と
スナウト間の表面に鋼板に対峙して浴カバーを配設した
ことを特徴とする溶融金属めっき装置。 （３）（１）記載のための装置であって、遮蔽板近傍に
堆積する異物を排出するための装置を配設したことを特
徴とする溶融金属めっき装置にある。

【０００９】以下、本発明について図面に従って詳細に
説明する。図１は本発明に係るめっき工程を示す縦断面
図である。連続溶融金属めっき装置では、図１に示すよ
うに、連続焼鈍炉から出た鋼板１がスナウト２内を通っ
てめっき槽内のめっき浴３中に浸漬された後ポットロー
ル４を経てめっき浴３外へ引き出され、更に浴外のガス
ワイピングノズル６にて表面に余剰に付着しためっき層
が払拭されて、鋼板１表面に所定厚みのめっきが施され
る。その後合金化処理される場合には合金化加熱装置が
配設される。

【００１０】

【作用】溶融金属めっきにおいて、スナウト内めっき浴
面上には鋼板により炉内から運ばれてくる鉄粉、焼鈍炉
耐火レンガの破片、粉末等の異物や、浴面より溶融金属
が蒸発し、その後雰囲気中の微量酸素又は水蒸気と反応
して生成する浮遊酸化物や、スナウト内のめっき浴面部
で溶融金属と雰囲気中に微量含まれる酸素又は水蒸気が
直接反応して生成する所謂浴面スカムが存在している。
これら異物は、スナウト内めっき浴面上もしくはその上
部に浮遊し、めっき直前の鋼板に付着したり、鋼板の浴
中侵入に伴って鋼板近傍のめっき浴面は鋼板の侵入によ
り引き起こされた随伴流によりスナウト壁面から鋼板側
へ表面流れを生じて浴中に引き込まれて鋼板に付着す
る。その結果不めっきや異物付着による押込疵等のめっ
き欠陥が生ずる。たとえこれらの大きな原因とならない
場合であっても、次のような新たな問題を生ずる。

【００１１】すなわち、特に浴面上に浮遊する異物は期
間の経過とともに粒径が成長し大きくなり、そのものが
鋼板浴中への侵入に伴って鋼板に付着した亜鉛めっき鋼
板が合金化処理される場合には鋼板に直接付着した異物
が合金化処理されることによって、鋼板のＦｅが拡散し
た時に異物が付着している場合には亜鉛めっき層への拡
散を防止し、その結果外観不良を生ずるという新たな問
題を生じた。これらを解消するためには異物の粗大化し
たものの鋼板への付着を防止する必要があり、本発明の
遮蔽板によって鋼板と遮蔽板間での異物の粗大化を防止
し、かつ鋼板への異物付着をも防止するものである。

【００１２】図１は上述した工程を経るものであるが、
このような工程において、スナウト内のめっき浴面にス
ナウトを浴内で包囲するＵ型遮蔽板５をスナウト外部か
ら移動開閉可能に設置することにある。すなわち、本発
明においてスナウト内のめっき浴面にスナウトを浴内で
包囲するＵ型遮蔽板５を設けたことは、スナウト内浴面
を完全に包囲すると共に、スナウト外部からの操作で浴
面遮蔽板の移動開閉機構を容易に可能とするもので、こ
の作動によってスナウト部のめっき浴面積を狭めること
が可能となり、出来るだけ狭いめっき浴面積とすること
によって、めっき浴面で異物が大きく成長するのを防止
することにある。

【００１３】一方、出来るだけ狭いめっき浴面積を保持
することが望ましいものであるが、鋼板の形状不良の際
の遮蔽板との接触の起こることを回避しなければならな
い。そのために遮蔽板の移動開閉機構を設けることによ
って微少移動が可能となる。そのための微少移動として
は、鋼板近傍のめっき浴面の鋼板側への移動速度１０ｍ
ｍ／ｍｉｎ程度で行われる。また、このような移動開閉
機構を設けることによって鋼板への近接が可能となり、
それによって、鋼板と浴面遮蔽板との間隔は５ｍｍ〜１
００ｍｍとする。その理由は浴面と遮蔽板間の距離が１
００ｍｍ越えて離れるとめっき浴面のスカムが鋼板に付
着する迄の時間１０分以上かかり、スカムが大きく成長
し、外観上の欠陥を生ずる。一方、５ｍｍ未満であると
鋼板の振動や形状不良等で鋼板と浴面遮蔽板の接触の危
険が高まるからである。

【００１４】この遮蔽板としては、溶融金属に対し耐熱
性及び耐蝕性を有するものを必要とし、例えばセラミッ
クス、耐熱性及び耐蝕性を有する金属であるステンレス
や金属へのサーメット被覆材等が使用される。また、遮
蔽板に溶融金属が凝着することから、溶融金属凝着防止
機能をもつ加熱機構を設けると良いし、更には着脱機構
を設け、取替えが容易に出来る構成がされている。

【００１５】図２は本発明に係るスナウト内に設置した
遮蔽板近傍の断面図である。図２に示すように、Ｕ型遮
蔽板５は鋼板１に出来るだけ近接して配設し、浴面から
のドロス、スカム等が鋼板へ寄って来るのを防止するも
のである。図３は本発明に係る他の実施例を示すめっき
工程を示す縦断面図である。図３は基本的には図１と同
じ装置であって、連続焼鈍炉から出た鋼板１がスナウト
２内を通ってめっき槽内のめっき浴３中に浸漬された後
ポットロール４を経てめっき浴３外へ引き出されるもの
で、この場合にスナウト浴内でスナウトの端部を包囲す
るＵ型遮蔽板５をスナウト外部から移動開閉可能に設置
すると共に、Ｕ型遮蔽板５の端部浴面上とスナウト間表
面に鋼板に対峙して浴カバー８を配設することにより、
Ｚｎの蒸発を防止するものである。この浴カバー８は例
えばセラミックス、耐熱性及び耐蝕性を有する金属であ
るステンレスや金属へのサーメット被覆材及び耐熱樹脂
等が使用される。しかも浴面遮蔽板の開閉に伴う移動に
追従出来るように構成されている。これによって鋼板１
の形状不良の際のＵ型遮蔽板の接触の回避を図るもので
ある。

【００１６】図４は本発明に係る他の実施例を示す遮蔽
板近傍の断面図である。図４に示すように、鋼板１の両
端部のスナウト２内の対称位置に吸込口９を設け、この
吸込口９にメタルポンプや電磁ポンプ等の吸引管７を設
けて、操業中にこのメタルポンプ等（図示せず）を作動
させて、遮蔽板５内の亜鉛浴面に浮遊する異物を溶融亜
鉛と共に吸引管７により吸引し、排出管からスナウト外
に排出するようにしたものである。

【００１７】このようにメタルポンプによりスナウト２
内、特に遮蔽板５内の亜鉛浴面３に浮遊する異物を溶融
亜鉛と共にスナウト２外に排出することによって、遮蔽
板５内には清浄な溶融亜鉛が流込みメタルポンプの作動
中は遮蔽板５内の亜鉛浴面３を清浄な状態に保持するこ
とが出来る。しかも、鋼板１の両側面の近傍に遮蔽板５
を配設したことから亜鉛浴面でのスカム等の異物は鋼板
から遮断され、異物発生量としては極めて少なく、それ
ら少量のスカム等の異物をメタルポンプの作動で吸引す
れば良く、量としては極めて少ない量で、しかも常に清
浄状態を保持することが出来る。

【００１８】

【実施例】

実施例１ 図１に示す装置を用いて、０．８ｍｍ（厚さ）×１２１
９ｍｍ（幅）の鋼板をラインスピード８０ｍｐｍにて通
板し、Ｚｎ−０．１〜０．３％Ａｌ、浴温４６０℃なる
溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、めっきした後所定のめっき
厚さに払拭した溶融亜鉛めっき鋼板を合金化処理した後
の表面外観を観察した。その結果は図５に示す。図５は
本発明及び比較例の表面外観不良発生率と発生するスカ
ムの粒径との関係を示すものである。図５に示すよう
に、遮蔽板のない従来法と比較して本発明法を適用する
ことにより、表面外観不良発生の高い粒径の大きさ７ｍ
ｍ以上のものを無くすることが出来、しかも粒径３ｍｍ
〜７ｍｍの表面外観不良発生率を大幅に低減させること
が出来た。

【００１９】実施例２ 図３に示す装置を用いて、０．８ｍｍ（厚さ）×１２１
９ｍｍ（幅）の鋼板をラインスピード８０ｍｐｍにて通
板し、Ｚｎ−０．１〜０．３％Ａｌ、浴温４６０℃なる
溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、めっきした後所定のめっき
厚さに払拭した溶融亜鉛めっき鋼板を合金化処理した後
の表面外観を観察した。その結果は遮蔽板のない従来法
と比較して本発明法を適用することにより、めっき浴面
スカム、ドロスの鋼板への付着が無く、表面外観不良発
生のない外観良好な製品を得ることが出来た。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によって、浴
面異物の鋼板への付着を防止することが出来、しかも例
え付着したとしても極めて発生する異物の量および粒径
が小さいために合金化するも表面外観には全く異常が観
察されない、表面外観の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得
ることが出来る優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るめっき工程を示す縦断面図、

【図２】本発明に係るスナウト内に設置した遮蔽板近傍
の断面図、

【図３】本発明に係る他の実施例を示すめっき工程を示
す縦断面図、

【図４】本発明に係る他の実施例を示す遮蔽板近傍の断
面図

【図５】本発明に係る合金化処理した後の表面外観発生
率と発生するスカムの粒径との関係を示す図である。

【符号の説明】

１ 鋼板 ２ スナウト ３ めっき浴 ４ ポットロール ５ 遮蔽板 ６ ガスワイピングノズル ７ 吸引管 ８ 浴カバー ９ 吸引口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属めっきのスナウト部で鋼板がめ
   っき浴に浸漬するスナウト内のめっき浴面にスナウトを
   浴内で包囲するＵ型遮蔽板をスナウト外部から移動開閉
   可能に設置することにより、鋼板への浴面異物付着を防
   止することを特徴とする溶融金属めっき方法。
2. 【請求項２】 溶融金属めっきのスナウト部で鋼板がめ
   っき浴に浸漬するスナウト内のめっき浴面にスナウトを
   浴内で包囲するＵ型遮蔽板をスナウト外部から移動開閉
   可能に設置すると共に、スナウト内のめっき浴面の浴面
   遮蔽板とスナウト間の表面に鋼板に対峙して浴カバーを
   配設したことを特徴とする溶融金属めっき装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載のための装置であって、遮
   蔽板近傍に堆積する異物を排出するための装置を配設し
   たことを特徴とする溶融金属めっき装置。