JPH07142035A - メタルハライドランプ装置およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】メタルハライドランプの内表面をフロスト処理
することにより、反射鏡を介して投射した時のスクリー
ン中心照度の低下を少なくしながら、スクリーン上の照
度むら、色むらを改善する。 【構成】発光管１は一対の電極２ａ，２ｂを有し、一方
の電極２ａ側の外表面に反射兼保温膜５を、この保温膜
５の端縁から他の電極２ｂの先端に対応する内表面をフ
ロスト部６としている。この発光管１を保温膜５側が反
射鏡９の開口側となり、反射鏡９の光軸と発光管１の軸
とが一致し、かつ電極間の中央が反射鏡９の焦点近傍と
なるように配置している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、メタルハライドランプ
装置に関し、特に液晶プロジェクションテレビやオーバ
ーヘッドプロジェクタなどの投写形映像装置に用いる光
源装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、反射鏡とショートアークメタルハ
ライドランプとを組み合わせたメタルハライドランプ装
置は、演色性が良いこと、発光効率が高いことなどの特
徴があることから、液晶プロジェクションテレビやオー
バーヘッドプロジェクタなどの投写形映像装置の光源装
置として用いられ普及しつつある。

【０００３】このようなメタルハライドランプ装置のう
ち、たとえば、特開平−１１８８４９号公報に開示され
たメタルハライドランプ装置では、メタルハライドラン
プは、図８に示すように、たとえばほぼ球形の発光管１
０１に、水銀と始動用希ガスとしてのアルゴンと金属ハ
ロゲン化物である沃化ディスプロシウムと沃化ネオジウ
ムと沃化セシウムを封入して構成されている。このよう
に構成された発光管１０１は、発光管１０１の両端に設
けたワイヤをそれぞれリード線１０２と口金１０３に接
続し、この発光管１０１を取り囲むように、反射鏡１０
９をその中心軸が発光管１０１の軸心とほぼ一致するよ
うに取り付け、リード線１０２の一端を反射鏡１０４の
外側へ導出して端子１０５に接続し、さらに反射鏡１０
９の開口部側に位置する電極のランプ外表面に形成した
反射兼保温膜１０６と、その保温膜１０６の端縁から反
射鏡１０９の底部側に位置する電極のコイル中央近傍ま
でのランプ外表面に形成したフロスト部１０７を備えて
おり、これらでメタルハライドランプ装置１１１が構成
されている。

【０００４】そしてこのように構成されたメタルハライ
ドランプ装置１１１を液晶プロジェクタの光源として用
いる場合には、図９に示すように、メタルハライドラン
プ装置１１１を配置し、全反射ミラー１１２、液晶パネ
ル１１３、投影レンズ１１４を介してスクリーン１１５
に投影するように構成されている。

【０００５】上記のように保温膜１０６の端縁から反射
鏡１０９の底部側に位置する電極のコイル中央近傍まで
のランプ外表面に形成したフロスト部１０７を備えるよ
うにしたので、発光管１０１の反射鏡１０９の底部に位
置する側にはクリア部分が残されており、クリア部を通
った光とフロスト部を通った光を反射鏡１０９を介して
スクリーンに投影し、全体の照度低下を少なくするとと
もに、中心部において所望の照度が得られる。したがっ
て、照度むらを小さくして、かつスクリーンの平均照度
を良好にして明瞭な映像を得ることが可能となる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
装置では発光管１０１の外部表面にフロストしているた
めに反射鏡の焦点からフロスト部までの距離が大きくな
る。このように焦点から大きくずれた位置から光が出る
ことになるため、フロスト部で拡散された光を反射鏡を
介してスクリーンに投影するさいに効率よく投影するこ
とができない。たとえクリア部を通る光があったとして
も、照度低下はさけられない。

【０００７】一方、フロストによる照度低下をさけるた
め、フロストをやめると、スクリーンの中心部の照度は
上がるが、周辺部の照度低下や照度むらを生じるという
問題がある。さらに、ランプの使用経過時間とともに発
光管内面が失透するため拡散性を有し照度むらは解消さ
れるものの、中心部の照度は急激に低下し、初期との差
が極端になるという問題がある。また、発光管外表面全
体をフロストすると、周辺部の照度低下や照度むらの問
題は解消されるものの、中心部の照度が極端に低下する
という問題が生じる。

【０００８】本発明は上記問題を解決するもので、スク
リーン中心照度の低下を少なくしながら、スクリーン上
の照度むら、色むらを改善できるメタルハライドランプ
装置およびその製造方法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のメタルハライドランプ装置は、放物面ある
いは楕円面などの反射面を有する反射鏡と、一対の電極
を有するとともに金属ハロゲン化物などの発光金属を封
入した発光管からなるメタルハライドランプとを備え、
前記メタルハライドランプは前記反射鏡の焦点位置近傍
に前記発光管の主電極間の中央が位置するよう配置され
るとともに、少なくとも前記発光管の主電極間の中央近
傍に対応する内壁を含む内壁にフロスト部を有する構成
としたものである。

【００１０】また、本発明のメタルハライドランプ装置
の製造方法は、一対の電極を有する発光管のバルブ成形
工程と、少なくとも発光管の電極間の中央近傍を含むバ
ルブ内壁をフロスト加工するバルブ内面フロスト処理工
程と、電極組み立て工程と、電極ピンチ工程と、金属ハ
ロゲン化物や水銀をバルブ内に入れる封入工程と、排気
・封止工程と、反射鏡取付工程とを具備して、少なくと
も前記発光管の主電極間の中央近傍に対応する内壁を含
む内壁をフロスト処理してメタルハライドランプ装置を
製造するようにしたものである。

【００１１】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
発光管のバルブの内壁表面を液体や気体によるエッチン
グ、サンドブラスト、研磨材による研磨などの研磨のう
ちの少なくとも１種類の方法により加工しフロスト部を
形成する工程としたものである。

【００１２】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
内壁表面に透光性粒子からなる光拡散膜を形成する工程
としたものであり、さらに、バルブ内面フロスト処理工
程を、透光性粒子を液体に混合し発光管のバルブ内壁に
塗布した後乾燥、加熱によって光拡散膜を形成する工程
としたものであり、さらに、バルブ内面フロスト処理工
程を、石英棒をバルブ内に挿入し加熱して石英を蒸発さ
せ、蒸発した石英粒子をバルブ内壁に付着させて光拡散
膜を形成する工程としたものであり、さらに、バルブ内
面フロスト処理工程を、シリコンを含む燃焼ガスをバル
ブ内で燃焼させてシリカの透光性粒子をバルブ内壁に付
着させて光拡散膜を形成する工程としたものである。

【００１３】

【作用】上記構成により、メタルハライドランプを反射
鏡の焦点位置近傍に発光管の主電極間の中央が位置する
よう配置するとともに、少なくとも前記発光管の電極間
の中央近傍を含む内壁にフロスト部を有する構成とした
ので、発光管の外壁にフロスト部を有する場合に比べて
反射鏡に対するフロスト部の大きさを相対的に小さくす
ることができ、スクリーン中心部の照度低下を少なくす
ることができる。また、フロスト部を有するようにした
ので、発光管がクリアの場合に比べて色むら、照度むら
を小さくすることができる。

【００１４】また、発光管の主電極間の中央近傍に対応
する内壁を含む内壁をフロスト処理してメタルハライド
ランプ装置を製造するので、バルブの電極挿入部からフ
ロスト処理の操作がしやすく、バルブ内面をフロストし
たメタルハライドランプの製造を容易にできる。

【００１５】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
発光管のバルブの内壁表面を液体や気体によるエッチン
グ、サンドブラスト、研磨材による研磨などの研磨のう
ちの少なくとも１種類の方法により加工しフロスト部を
形成する工程としたので、バルブ内面に凹凸をつけて拡
散性をもたせるようにでき、発光管内部に不要な物質を
設けずに発光管を作ることができ、ランプの特性に悪い
影響を与えずにバルブ内面のフロスト処理ができる。

【００１６】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
内壁表面に透光性粒子からなる光拡散膜を形成する工程
としたので、確実に良好な拡散性を有する膜をバルブ内
面に形成することができ、さらに、バルブ内面フロスト
処理工程を、透光性粒子を液体に混合し発光管のバルブ
内壁に塗布した後乾燥、加熱によって光拡散膜を形成す
る工程としたので、容易に良好な特性の光拡散膜をバル
ブ内面に形成することができ、さらに、バルブ内面フロ
スト処理工程を、石英棒をバルブ内に挿入し加熱して石
英を蒸発させ、蒸発した石英粒子をバルブ内壁に付着さ
せて光拡散膜を形成する工程としたので、バインダーや
溶剤などの助けを借りずに加熱装置とバルブ内に挿入し
た石英棒だけの簡単な操作により直接良好な特性の光拡
散膜をバルブ内面に形成することができ、さらに、バル
ブ内面フロスト処理工程を、シリコンを含む燃焼ガスを
バルブ内で燃焼させてシリカの透光性粒子をバルブ内壁
に付着させて光拡散膜を形成する工程としたので、バイ
ンダーや溶剤などの助けを借りずにガスの燃焼ノズルを
バルブ内に挿入して燃焼させるだけの簡単な操作により
直接良好な特性の光拡散膜をバルブ内面に形成するとが
できる。

【００１７】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明の一実施例のメタルハライドランプ
装置の反射鏡の一部を破断面で示す側面図、図２はメタ
ルハライドランプ部分の拡大した側面図である。図２に
おいて、１は石英容器からなる縦断面が楕円形状である
発光管であり、２ａ、２ｂはこの発光管１に設けられた
一対の主電極、３ａ、３ｂは電極２ａ、２ｂに一端を溶
接したモリブデン製のエッジ付箔である。このエッジ付
箔３ａ、３ｂは発光管１の気密を保つために設けられて
いる。４ａ、４ｂはエッジ付箔３ａ、３ｂの電極２ａ、
２ｂが溶接されていない他端に溶接したモリブデン線か
らなるワイヤであり、ワイヤ４ａ、４ｂ、エッジ付箔３
ａ、３ｂ、電極２ａ、２ｂを介して外部から放電電流を
流すようにしている。そして、発光管１内には、始動用
希ガスとしてアルゴンが、バッファ用に水銀が、他の発
光金属として金属ハロゲン化物たとえば沃化ディスプロ
シウム、沃化ネオジウム、沃化セシウムが封入されてい
る。発光管１の壁の厚さは点灯時の蒸気圧による破壊や
変形に耐えるように１〜２ｍｍ程度としており、たとえ
ば１５０Ｗランプの１例の場合発光管の外径１２ｍｍ、
内径１０ｍｍとしており、内表面の直径は、外表面に比
べて２ｍｍ小さく、割合でいえば約２０％小さい。

【００１８】また、５は発光管１の一方の電極の周辺に
対応する外表面に設けた光反射性でかつ耐熱性の反射兼
保温膜であり、たとえばＡｌ₂ Ｏ₃ 、ＳｉＯ₂ 、ＺｒＯ
₂ などの混合物から形成されている。６は発光管１の内
表面に設けられたフロスト部であり、保温膜５の端部５
ａから電極２ａ、２ｂ間の中央部に対応するランプ内表
面を含み、保温膜５が設けられていない側の電極２ｂの
先端に対応するランプ内表面までフロスト処理されてい
る。

【００１９】上記のように構成した発光管１は、図１に
示したように、反射兼保温膜５を設けた側が、放物面あ
るいは楕円面などの反射面を有する反射鏡９の開口側と
なるように、かつ発光管１の電極２ａ、２ｂ間の中央部
１ｃ（図２）が反射鏡９の焦点近傍に位置するとともに
発光管１の軸と反射鏡の光軸とがほぼ一致するように配
置し、ワイヤ４ａ、４ｂによりそれぞれ口金８、端子１
０に接続され固定されている。

【００２０】このように構成されたメタルハライドラン
プ装置１１は、１２０Ｈｚ〜５００Ｈｚ程度の矩形波交
流の電流を口金８、端子１０を介して発光管１に供給さ
れ点灯される。そして、メタルハライドランプ装置は図
９で示したと同様に液晶プロジェクタの基本光学系に用
いてスクリーン１５に投影するように構成される。

【００２１】上記のメタルハライドランプ装置を用いた
液晶プロジェクタにおいては、発光管１で生じた光は電
極２ａ、２ｂ間を結んだ線上が最も強い分布となり線状
光源に近い発光となるので、発光管１の光のうち、フロ
スト部６の上端部６ａより上方のクリア部１ａからでた
光は拡散されることなく反射鏡９で反射されてスクリー
ン中心部にそのまま投射される。このため、スクリーン
１１５の中心照度が高くなる。また、フロスト部６方向
にでた光はフロスト部６で拡散され、反射鏡９で反射さ
れてスクリーン１１５に投影されるため、フロスト部６
からの直進成分はスクリーンの中心部に、拡散成分はス
クリーンの周辺部に投射され、中心部および周辺部の照
度を高めるのに寄与する。このとき、フロスト部６は発
光管１の内面に設けられているので、外面に設けた場合
に比べて反射鏡９に対する相対的大きさが約２０％小さ
く、反射鏡９の焦点からのずれが小さいため直射成分も
拡散成分も効果的にスクリーン１１５に投射される。し
たがって、スクリーン１１５上で高い中心照度を得なが
らも、周辺照度も高くできる。

【００２２】なお、発光管１に反射兼保温膜５を設けて
いるが、これは次のような理由によるものである。すな
わち、反射鏡９の開口側に直接出る光は反射鏡９によっ
て反射されないため、スクリーン上には投射されないの
で、むしろ反射膜を設けて反射させ反射鏡９に当たるよ
うにした方がスクリーン上の照度を高めることができ
る。また、保温膜を設けて発光管１の温度を高め、発光
金属の蒸気圧を高めることにより、金属ハロゲン化物の
発光を強めることができ、色特性を良くすることができ
る。反射兼保温膜５の材料、位置については、上記の主
旨にそったものであれば他のものでもよい。また、光や
温度が十分確保されていれば、反射や保温の膜は設けな
くてもよい。

【００２３】また、フロスト部６の範囲については、図
１、図２の実施例では、発光管１の内表面の一部とした
が、反射兼保温膜５に対応する部分を除くすべての内表
面でも良く、発光管１の内表面の全部であってもよい。
これらの場合には、クリア部１ａがなくなるので、スク
リーン上の中心照度は低下するものの、周辺照度は高ま
り、照度むらは少なくなるとともに、色むらもさらに小
さくできる。加えて、発光管１の内面の光がでる部分す
べてが拡散性であるので、ランプ使用の時間経過ととも
に失透が進んでももともと拡散性であるので表面状態に
変化がなく、スクリーン１１５上の照度分布が変わらな
いという効果もある。

【００２４】図３は本発明のバルブ内面フロスト処理方
法の具体例を示す構成図である。本発明のメタルハライ
ドランプ装置を製造するに当たっては、メタルハライド
ランプの所要特性を得るのに必要な形に石英管を成形す
るバルブ成形工程と、少なくとも発光管の主電極間の中
央近傍に対応したバルブ内壁を含むバルブ内壁をフロス
ト処理するバルブ内面フロスト処理工程と、図２に示し
たように電極２ａ、２ｂとエッジ付箔３ａ、３ｂとワイ
ヤ４ａ、４ｂとを一体に組み立てる工程と、発光管１内
に金属ハロゲン化物や水銀を封入する封入工程と、金属
ハロゲン化物や水銀を残した状態で真空排気した後アル
ゴンなどの希ガスを入れ封止する排気・封止工程とを備
え、上記工程により発光管１を作った後、図１の形にな
るように発光管１を、反射鏡９に取り付ける反射鏡取付
工程を経てメタルハライドランプ装置が製造される。こ
のうち、バルブ内面フロスト処理工程以外は、従来のメ
タルハライドランプ装置製造方法を同じであるので、詳
細の記述は省略する。

【００２５】図３において、１２は石英管からバルブ成
形工程を経て成形されたバルブであり、電極ピンチ工程
の前であるので電極は設けられておらず、両端に電極挿
入用の開口１２ａ，１２ｂが開いている。１３は研磨粒
子１４の吹き付けノズルであり、電極挿入用の一方の開
口１２ｂからノズル１３を挿入し、先端１３ａから研磨
粒子１４をバルブ１２の内壁に吹き付けて、バルブ内面
をフロスト処理する。このとき、図３のようにノズル１
３を配置した後、たとえばアルミナＡｌ₂ Ｏ₃、シリカ
ＳｉＯ２や金剛砂のような研磨材１４を高圧空気でノズ
ル１３内に送り込み、ノズルの先端１３ａから吹き出し
てバルブ１２の内表面１２ｃを研磨し凹凸をつけること
によって、簡単な構成で容易にフロスト処理ができる。
このように、電極ピンチ工程以前にバルブ内面フロスト
処理するようにしたので、バルブ内部に加工用の治具や
材料が入れ易く、製造し易い。

【００２６】図４（ａ）、図４（ｂ）は本発明のバルブ
内面フロスト処理工程の第２、第３の実施例の具体例を
示す構成図である。図４（ａ）では、バルブ成形後のバ
ルブ１２を横にして、バルブ１２の中央部にアルミナＡ
ｌ₂ Ｏ₃ 、シリカＳｉＯ₂ や金剛砂のような研磨材１５
を入れて、（イ）のようにバルブ１２を高速で回転す
る、あるいは（ロ）のようにバルブ１２を左右に高速で
振動することによって、バルブ１２の内表面１２ｃを研
磨し凹凸をつける。これにより、簡単な構成で容易にフ
ロスト処理ができる。図４（ｂ）では、バルブ成形後の
バルブ１２（向きは横、縦、斜めいずれでもよい）内に
アルミナＡｌ₂ Ｏ₃ 、シリカＳｉＯ₂ や金剛砂のような
研磨材を含むワイヤブラシ１６を挿入して、ワイヤブラ
シ１６を高速で回転するあるいは左右に高速で振動する
ことによって、バルブ１２の内表面１２ｃを研磨し凹凸
をつける。これにより、簡単な構成で容易にフロスト処
理ができる。図４（ｂ）の場合にバルブ１２を回転ある
いは振動させるようにしてもよい。

【００２７】図５は本発明のバルブ内面フロスト処理工
程の第４の実施例の具体例を示す構成図である。図５で
は、バルブ成形後のバルブ１２を縦にして、アルミナＡ
ｌ₂Ｏ₃ 、シリカＳｉＯ₂ のような透光性拡散性粒子を
酢酸ブチル、ニトロセルロースなどの溶液に入れた混合
液１７を、バルブ１２内に挿入したスプレーノズル１８
を介してバルブ１２の内表面１２ｃに吹き付けた後、ス
プレーノズル１８を取り除き、混合液１７を加熱して乾
燥、焼付けする。これにより、簡単な構成で均一な拡散
性の膜を形成でき、フロスト処理ができる。バルブ１２
の向きは縦としたが、混合液の量が適切に制御され、む
らなく塗布できれば横でも、斜めでも良い。

【００２８】図６は本発明のバルブ内面フロスト処理工
程の第５の実施例の具体例を示す構成図である。図６で
は、バルブ成形後のバルブ１２を縦にして、上から石英
棒１９をバルブ１２内に挿入するとともに、燃焼ガスノ
ズル２０を下からバルブ１２内に挿入し、燃焼ガス２１
をノズル２０に送り込んでノズル先端２０ａから吹き出
して燃焼させ、石英棒１９の先端１９ａを加熱、溶融
し、シリカＳｉＯ₂ を蒸発させ、バルブ１２の内表面１
２ｃに付着させる。これにより、簡単な構成で均一な拡
散性の膜を形成でき、溶剤や乾燥などなくフロスト処理
ができる。加熱手段として燃焼ガスによる方法を示した
が、これに限らずヒーター加熱、赤外線加熱など他の加
熱方法でも良い。また、加熱による蒸発だけでなく、電
子ビームを石英に当てて、スパッタによりバルブ内表面
にシリカＳｉＯ₂ 粒子を付着させるようにしても良い。

【００２９】図７は本発明のバルブ内面フロスト処理工
程の第６の実施例の具体例を示す構成図である。図７で
は、バルブ成形後のバルブ１２を縦にして、燃焼ガスノ
ズル２２を下からバルブ１２内に挿入し、シリコンＳｉ
を含む燃焼ガス２３（たとえばモノシランＳｉＨ₄ ）を
ノズル２２に送り込んでノズル先端２２ａから吹き出し
て燃焼させ、燃焼の結果としてシリカＳｉＯ₂ を発生
し、バルブ１２の内表面１２ｃに付着させる。これによ
り、簡単な構成で均一な拡散性の膜を形成でき、溶剤や
乾燥などなくフロスト処理ができる。ガスノズル２２に
は燃焼ガスだけでなく、酸素との混合ガスを送り込ん
で、燃焼しやすくしてもよい。

【００３０】以上の実施例で点灯を低周波の矩形波交流
点灯としたが、これに限らず、安定に点灯できさえすれ
ば、高周波点灯でも、直流点灯でもよい。また、ランプ
の電力、寸法、封入金属、希ガスなどについては映像機
器に必要な特性が得られるものであれば、上記の実施例
にこだわらない。

【００３１】また、メタルハライドランプ装置は反射鏡
と組合せて用いるものであれば、映像機器にこだわら
ず、一般照明用の装置であってもよい。

【００３２】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、放物面
あるいは楕円面等の反射面を有する反射鏡と、一対の電
極を有するとともに金属ハロゲン化物などの発光金属を
封入した発光管からなるメタルハライドランプとを備
え、前記メタルハライドランプは前記反射鏡の焦点位置
近傍に前記発光管の主電極間の中央が位置するよう配置
されるとともに、少なくとも前記発光管の主電極間の中
央近傍を含む内壁にフロスト部を有する構成としたの
で、発光管の外壁にフロスト部を有する場合に比べて反
射鏡に対するフロスト部の大きさを相対的に小さくする
ことができ、スクリーン中心部の照度低下を少なくする
ことができる。また、フロスト部を有するようにしたの
で、発光管がクリアの場合に比べて色むら、照度むらを
小さくすることができる。

【００３３】また、一対の電極を有する発光管のバルブ
成形工程と、少なくとも発光管の主電極間の中央近傍を
含むバルブ内壁をフロスト加工するバルブ内面フロスト
処理工程と、電極組み立て工程と、電極ピンチ工程と、
金属ハロゲン化物や水銀をバルブ内に入れる封入工程
と、排気・封止工程と、反射鏡取付工程とを具備して、
少なくとも電極ピンチより以前にバルブ内面フロスト処
理してメタルハライドランプ装置を製造するので、バル
ブの電極挿入部からフロスト処理の操作がしやすく、バ
ルブ内面をフロストしたメタルハライドランプの製造を
容易にでき、発光管の外壁にフロスト部を有する場合に
比べて反射鏡に対するフロスト部の大きさを相対的に小
さくすることができることから、スクリーン中心部の照
度低下を少なくすることが可能なメタルハライドランプ
装置を容易に製造できる。

【００３４】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
発光管のバルブの内壁表面を液体や気体によるエッチン
グ、サンドブラスト、研磨材による研磨などの研磨のう
ちの少なくとも１種類の方法により加工しフロスト部を
形成する工程としたので、バルブ内面に凹凸をつけて拡
散性をもたせるようにでき、発光管内部に不要な物質を
設けずに発光管を作ることができ、ランプの特性に悪い
影響を与えずにバルブ内面のフロスト処理できる。

【００３５】さらに、バルブ内面フロスト処理工程を、
内壁表面に透光性粒子からなる光拡散膜を形成する工程
としたので、確実に良好な拡散性を有する膜をバルブ内
面に形成することができ、さらに、バルブ内面フロスト
処理工程を、透光性粒子を液体に混合し発光管のバルブ
内壁に塗布した後乾燥、加熱によって光拡散膜を形成す
る工程としたので、容易に良好な特性の光拡散膜をバル
ブ内面に形成することができ、さらに、バルブ内面フロ
スト処理工程を、石英棒をバルブ内に挿入し加熱して石
英を蒸発させ、蒸発した石英粒子をバルブ内壁に付着さ
せて光拡散膜を形成する工程としたので、バインダーや
溶剤などの助けを借りずに加熱装置とバルブ内に挿入し
た石英棒だけの簡単な操作により直接良好な特性の光拡
散膜をバルブ内面に形成することができ、さらに、バル
ブ内面フロスト処理工程を、シリコンを含む燃焼ガスを
バルブ内で燃焼させてシリカの透光性粒子をバルブ内壁
に付着させて光拡散膜を形成する工程としたので、バイ
ンダーや溶剤などの助けを借りずにガスの燃焼ノズルを
バルブ内に挿入して燃焼させるだけの簡単な操作により
直接良好な特性の光拡散膜をバルブ内面に形成すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のメタルハライドランプ装置
の反射鏡の一部を破断面で示す側面図である。

【図２】本発明の一実施例のメタルハライドランプ装置
におけるメタルハライドランプ部分の拡大した側面図で
ある。

【図３】本発明のバルブ内面フロスト処理方法の具体例
を示す構成図である。

【図４】（ａ）本発明のバルブ内面フロスト処理方法の
第２の具体例を示す構成図である。 （ｂ）本発明のバルブ内面フロスト処理方法の第３の具
体例を示す構成図である。

【図５】本発明のバルブ内面フロスト処理方法の第４の
具体例を示す構成図である。

【図６】本発明のバルブ内面フロスト処理方法の第５の
具体例を示す構成図である。

【図７】本発明のバルブ内面フロスト処理方法の第６の
具体例を示す構成図である。

【図８】従来のメタルハライドランプ装置の反射鏡の一
部を破断面で示す側面図である。

【図９】メタルハライドランプ装置を用いた液晶プロジ
ェクタ光学系の概略図である。

【符号の説明】

１ 発光管 ２ａ、２ｂ 主電極 ３ａ、３ｂ エッジ付箔 ４ａ、４ｂ ワイヤ ５ 反射兼保温膜 ６ フロスト部 ７ リード線 ９ 反射鏡 １１ メタルハライドランプ装置 １２ バルブ １３ ノズル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 盛田 芳雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 放物面あるいは楕円面などの反射面を有
   する反射鏡と、一対の電極を有するとともに金属ハロゲ
   ン化物などの発光金属を封入した発光管からなるメタル
   ハライドランプとを備え、前記メタルハライドランプは
   前記反射鏡の焦点位置近傍に前記発光管の主電極間の中
   央が位置するよう配置されるとともに、少なくとも前記
   発光管の主電極間の中央近傍に対応する内壁を含む内壁
   にフロスト部を有することを特徴とするメタルハライド
   ランプ装置。
2. 【請求項２】 一対の電極を有する発光管のバルブ成形
   工程と、少なくとも発光管の電極間の中央近傍を含むバ
   ルブ内壁をフロスト加工するバルブ内面フロスト処理工
   程と、電極組み立て工程と、電極ピンチ工程と、金属ハ
   ロゲン化物や水銀をバルブ内に入れる封入工程と、排気
   ・封止工程と、反射鏡取付工程とを具備して、少なくと
   も前記発光管の主電極間の中央近傍に対応する内壁を含
   む内壁をフロスト処理することを特徴とするメタルハラ
   イドランプ装置製造方法。
3. 【請求項３】 バルブ内面フロスト処理工程は、発光管
   のバルブの内壁表面を液体や気体によるエッチング、サ
   ンドブラスト、研磨材による研磨などの研磨のうちの少
   なくとも１種類の方法により加工しフロスト部を形成す
   る工程であることを特徴とする請求項２記載のメタルハ
   ライドランプ装置製造方法。
4. 【請求項４】 バルブ内面フロスト処理工程は、内壁表
   面に透光性粒子からなる光拡散膜を形成する工程である
   ことを特徴とする請求項２記載のメタルハライドランプ
   装置製造方法。
5. 【請求項５】 バルブ内面フロスト処理工程は、透光性
   粒子を液体に混合し発光管のバルブ内壁に塗布した後乾
   燥、加熱によって光拡散膜を形成する工程であることを
   特徴とする請求項４記載のメタルハライドランプ装置製
   造方法。
6. 【請求項６】 バルブ内面フロスト処理工程は、石英棒
   をバルブ内に挿入し加熱して石英を蒸発させ、蒸発した
   石英粒子をバルブ内壁に付着させて光拡散膜を形成する
   工程であることを特徴とする請求項４記載のメタルハラ
   イドランプ装置製造方法。
7. 【請求項７】 バルブ内面フロスト処理工程は、シリコ
   ンを含む燃焼ガスをバルブ内で燃焼させてシリカの透光
   性粒子をバルブ内壁に付着させて光拡散膜を形成する工
   程であることを特徴とする請求項４記載のメタルハライ
   ドランプ装置製造方法。