JPH0714145A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0714145A
JPH0714145A JP5156842A JP15684293A JPH0714145A JP H0714145 A JPH0714145 A JP H0714145A JP 5156842 A JP5156842 A JP 5156842A JP 15684293 A JP15684293 A JP 15684293A JP H0714145 A JPH0714145 A JP H0714145A
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magnetic
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Takashi Yamada
隆 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、磁性層の平滑性が良好であり、しか
も磁性層と支持体との密着強度が高い磁気記録媒体を提
供することを目的とする。 【構成】磁性粉とバインダー樹脂とからなる磁性層が支
持体上に形成されてなる磁気記録媒体において、前記磁
性層の厚さが0.3〜1.0μmであり、前記支持体の
表面における任意の10μm×10μm領域内の任意の
10領域の小さな表面粗さ(Ra* )の平均値が0.0
3μm以上前記磁性層の厚さの20%以下であり、前記
支持体の表面の大きな表面粗さ(Ra)が0.004〜
0.008μmであることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に係り、特
に耐久性および信頼性に優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オーディオテープ、ビデオテープ
等の磁気テープあるいはフロッピーディスク等の磁気デ
ィスクの磁気記録媒体には、優れた電磁変換特性に加
え、高速データアクセスおよび高記録密度の要求が高ま
っている。
【0003】磁気記録媒体の記録密度を高める方法とし
ては、例えば磁性層における磁性粉の充填密度を高め、
サーボ技術を利用して、トラック幅方向あるいはトラッ
ク長さ方向に記録密度を高めることが試みられている。
また、磁気記録媒体のデータアクセスを高速化する方法
としては、磁気ヘッドと磁気記録媒体の相対速度を高め
る試みがなされている。したがって、高速データアクセ
スおよび高記録密度への要求を満足するためには、磁性
層における磁性粉の充填密度を高め、しかも磁気ヘッド
と磁気記録媒体の相対速度を高める必要がある。
【0004】しかしながら、磁性層における磁性粉の充
填密度を高くすると、相対的に磁性層中のバインダー樹
脂の割合が小さくなる。このため、支持体と磁性層との
間の密着性が低下する。このような磁性層を有する磁気
記録媒体と磁気ヘッドの間で相対速度を高めると、磁気
ヘッドと磁性層との摺動により短時間で支持体から磁性
層が剥離してしまう。そして、磁性層の剥離に伴うごみ
等の異物が磁性層表面に付着する。この異物は磁気記録
媒体のエラーの原因となり、その結果磁気記録媒体の信
頼性を大幅に低下させる。
【0005】このような課題を解決するものとして、例
えば特開昭60−163234号公報には、表面粗さの
平均値(Ra)が0.01μm以上の非磁性支持体上に
中間層を形成し、この中間層上に磁性層を形成する磁気
記録媒体の製造方法が開示されており、磁性層と非磁性
支持体との密着性を改善することを示している。これ
は、支持体の表面粗さを大きくすることにより、中間層
と支持体との接触面積を大きくし密着強度を高めるもの
である。
【0006】このように、支持体の表面粗さを大きくす
ることにより、支持体と磁性層の間の密着性をより向上
させることが可能である。しかしながら、支持体の表面
粗さを大きくすると、支持体の表面に磁性層が追従して
磁性層の表面の平滑性が低下する。このため、磁性層と
磁気ヘッドとの間で良好なヘッドタッチが得られなくな
る。このように、支持体の表面粗さと磁性層の平滑性と
は密接に関係するため、支持体の表面粗さを大きくして
磁性層との密着性を向上しつつ、磁性層表面の平滑性を
向上させることは困難であった。
【0007】そこで、本発明者等は、特開平3−205
613号に開示しているように、磁気記録媒体の特に小
さな表面粗さ(Ra* )、すなわち非常狭い領域におけ
る表面粗さに着目し、この小さな表面粗さ(Ra* )を
所定の範囲内とすることにより磁性層の表面の平滑性を
向上させることを提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年では、オーバーラ
イト特性の向上あるいは製造コストの低減等の理由によ
り、磁性層の厚さを1μm以下にしようとする試みがな
されている。このように磁性層の厚さが1μm以下に薄
くなると、磁性層と支持体との間の密着強度をよりいっ
そう高める必要がある。また、磁性層の膜さが薄くなる
と、磁性層によるレベリング効果、すなわち支持体の凹
凸を吸収して平滑にする効果がほとんど期待できなくな
る。
【0009】さらに、通常、走行性を確保する目的で支
持体を構成するベースフィルムにはスパイク状のフィラ
ーが添加されているが、磁性層の膜さが薄くなると、こ
のフィラーが磁性層の平滑性に悪影響を及ぼす。
【0010】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、磁性層の平滑性が良好であり、しかも磁性層と支
持体との密着強度が高い磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁性粉とバイ
ンダー樹脂とからなる磁性層が支持体上に形成されてな
る磁気記録媒体において、前記磁性層の厚さが0.3〜
1.0μmであり、前記支持体の表面における任意の1
0μm×10μm領域内の任意の10領域の小さな表面
粗さ(Ra* )の平均値が0.03μm以上前記磁性層
の厚さの20%以下であり、前記支持体の表面の大きな
表面粗さ(Ra)が0.004〜0.008μmである
ことを特徴とする磁気記録媒体を提供する。
【0012】
【作用】従来の磁気記録媒体の支持体についての表面粗
さは、触針式またはレーザビームを用いた表面粗さ測定
装置で測定されている。これらの測定装置では、使用さ
れる針の径またはレーザビーム径が数μmのオーダーで
ある。このため、これらの測定装置で数μm角の極微小
領域を測定すると、針またはレ−ザビームが表面の非常
に細かい凹凸に追従することができず、平滑であるよう
に測定される。
【0013】本発明者らは、触針式またはレーザビーム
を用いた表面粗さ測定装置では平滑であるように測定さ
れる極微小領域、例えば数μm角の領域に着目し、その
領域で細かく支持体表面を粗すことにより磁性層と支持
体との間の高い密着性を確保しつつ磁性層表面の良好な
平滑性を発揮する磁気記録媒体を得ることができること
を見出だした。
【0014】しかしながら、磁性層の厚さが1μm以下
になると、小さな表面粗さ(Ra*)の規定だけでは、
磁性層の表面粗さが充分でなく、良好な電磁変換特性を
発揮しないことが分かった。そこで、本発明者らは、鋭
意研究を重ねた結果、磁性層の厚さが1μm以下である
場合、小さな表面粗さ(Ra* )に加えて大きな表面粗
さ(Ra)を所定の範囲に設定することにより、良好な
電磁変換特性および密着性を実現できることを見出だし
た。
【0015】ここで、本明細書において小さな表面粗さ
(Ra* )とは、任意の1μm×1μmの極微小領域に
ついてトンネル電流を利用した三次元粗さ計(走査型ト
ンネル顕微鏡)を用いて測定したものと定義する。
【0016】ここで、本発明にかかる磁気記録媒体の支
持体の表面粗さ(Ra* )の測定に使用される走査型ト
ンネル顕微鏡について簡単に説明する。一般に、導電性
材料と金属製針を1nm程度の距離をおいて配置し両者間
に電圧を印加すると、両者間にトンネル電流が流れる。
このトンネル電流の量は両者の距離に依存する。例え
ば、両者間の距離が0.1nm変化すると、トンネル電流
は1桁程度変化する。
【0017】この原理を用いて走査型トンネル顕微鏡に
より表面粗さを測定する場合、まず導電性を有する試料
から1nm程度の距離をおいて、金属製針の先端を試料に
対向させて配置する。次いで、金属製針を試料に対して
水平方向に移動させる。このとき、試料と金属製針との
間に流れるトンネル電流を一定に保つように金属製針を
上下させる。この金属製針の上下動を画像化することに
より表面粗さを測定することができる。この測定方法に
よれば、トンネル電流が試料表面と金属製針との距離に
依存し、金属製針の径には依存しないので、数μm角の
極微小領域においても試料表面の粗さを正確に測定する
ことができる。
【0018】なお、本明細書中において表面粗さ(Ra
* )の測定は、表面に厚さ22nmの金を均一に蒸着した
試料を用い、測定領域を1μm×1μmとし、被測定表
面と金属製針との間に印加する電圧を0.5V、設定ト
ンネル電流を0.5nAとして、大気中において行っ
た。また、得られたデータから表面粗さ(Ra* )は以
下の式により算出した。
【0019】 f(x,y):座標(x,y)における高さ S :測定領域の面積 N :全測定点数 本発明者らは、支持体表面の任意の10μm×10μm
領域内の任意の10個の1μm×1μm測定領域の表面
粗さ(Ra* )の平均値が0.03μm以上であると、
支持体と磁性層との間で良好な密着性が得られ、磁気記
録媒体として高い耐久性が確保できることを見出だし
た。このように限定するのは、表面粗さ(Ra* )の平
均値が0.03μm未満であると、支持体と磁性層との
密着性が不充分となるからである。特に、支持体の10
ミクロン×10ミクロン領域内における10領域の表面
粗さ(Ra* )の平均値が0.07μm以上であるとよ
り良好な密着性を安定して確保することができる。
【0020】また、特に支持体表面の表面粗さ(Ra
* )を磁性層の膜厚の20%以下とすることにより、支
持体と磁性層との間に支持体表面の凹凸を緩和させる緩
衝層等を設けることなく平滑な磁性層を得ることができ
る。このように限定するのは、表面粗さ(Ra* )が磁
性層の膜厚の20%を超えると、磁性層表面の平滑性が
悪くなり磁気ヘッドのヘッドタッチが悪くなるからであ
る。
【0021】これと同時に、大きな表面粗さ(Ra)を
0.004〜0.008μmに設定する。これにより、
優れた電磁変換特性を発揮する磁気記録媒体を実現する
ことができる。これは、大きな表面粗さ(Ra)が0.
004μm未満であると支持体のハンドリングが難しく
なり、0.008μmを超えるとS/N特性が悪くなる
からである。大きな表面粗さ(Ra)は、支持体のハン
ドリングを確保するために添加するフィラーの粒径およ
び添加量を調節することにより制御することができる。
【0022】また、本発明においては、支持体表面の最
大表面粗さ(Rmax )を0.05〜0.2μmに設定す
ることが好ましい。これにより、支持体のハンドリング
およびヘッドタッチが良好となる。これは、最大表面粗
さ(Rmax )が0.05μm未満であるとハンドリング
が難しくなり、0.2μmを超えるとS/N特性が悪く
なるからである。
【0023】さらに、本発明者らは種々の実験から、支
持体表面をステップ形状の凹凸にすることにより、支持
体と磁性層との間の密着性がより一層向上することを見
出だした。ステップ形状に形成された凹凸を有する支持
体表面は磁性層との接触面積が大きい。このため、支持
体表面にステップ状に形成されたエッジ部分が磁性層と
一層強固に密着することにより、磁性層と磁気ヘッドの
摺動により支持体と磁性層との界面で生じる剪断応力に
対して強くなる。
【0024】このような小さな表面粗さ(Ra* )で規
定されるステップ形状の凹凸を形成する方法としては、
特定条件下において行われるグロー放電処理、コロナ放
電処理、火炎処理、プラズマ処理等の非接触表面処理、
あるいは研磨処理等の接触表面処理、または薬品処理等
が挙げられる。
【0025】図1は、特定の条件によりコロナ放電処理
を施したポリエチレンテレフタレート(以下、PETと
省略する)フィルムを走査型トンネル顕微鏡により画像
化したものの斜視図である。例えば本発明にかかる磁気
記録媒体の支持体には、図1に示す形状のものが用いら
れる。
【0026】これに対して、図2は未処理のPETフィ
ルムを走査型トンネル顕微鏡により画像化したものの斜
視図である。図1および図2から明らかなように、ステ
ップ形状形成処理後のPETフィルムと未処理フィルム
では、表面形状が大きく異なることが理解できる。図1
に示すPETフィルム表面の任意の10μm×10μm
領域内の任意の10個の1μm×1μm測定領域の小さ
な表面粗さ(Ra* )を測定し、その平均値を算出した
ところ0.22μmであった。一方、図2のPETフィ
ルムの小さな表面粗さ(Ra* )の平均値は0.005
μmであった。
【0027】支持体の材料としては、PET等のポリエ
ステル系樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹
脂、ビニル系樹脂等が用いられる。また、支持体の形状
としては、テープ状、シート状、ディスク状等が挙げら
れる。
【0028】また、磁性層中の磁性粉としては、γ−F
23 、Coをドープしたγ−Fe23 、Fe2
4 等のように結晶の長手方向に磁化容易軸を有する針状
磁性粉、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト等のように結晶の厚さ方向に磁化容易軸を有する板状
磁性粉、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni等
のメタル粉が挙げられる。したがって、本発明の磁気記
録媒体は、長手記録方式、垂直記録方式のいずれの場合
にも適用できる。この中でも板状磁性粉は、小さな粒径
に制御することが容易であるので特に好ましい。また、
本発明においては、平均粒径が0.01〜0.1μmで
ある板状磁性粉を用いることが好ましい。これは、小さ
な粒径の粉末が支持体表面に形成された小さな表面粗さ
(Ra*)で規定されるような細かい凹凸のの凹部中に
充分に充填されることによって、磁気記録媒体の磁気特
性および磁性層の耐久性が向上するからである。
【0029】磁性層中のバインダー樹脂としては、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
アルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重
合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリ
ル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポ
リウレタン、熱硬化性ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、セルロース誘導体等が挙げられる。
【0030】磁性層中の磁性粉の重量はバインダー樹脂
の重量の1〜9倍に設定することが好ましい。これは、
磁性粉重量がバインダー樹脂重量の1倍未満、すなわち
バインダー樹脂よりも少ないと得られた磁気記録媒体が
充分な再生出力を得ることができず、磁性粉重量がバイ
ンダー樹脂重量の9倍を超えると支持体と磁性層との密
着性が悪くなるからである。最も好ましい磁性粉の重量
は、バインダー樹脂の重量の5倍である。
【0031】磁性層中の潤滑剤としては、オレイン酸、
ステアリン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、脂肪酸エ
ステルあるいは固体潤滑剤等が用いられる。さらに、本
発明の磁気記録媒体の特性を特に損なわない範囲内で磁
性層中に酸化アルミニウム、酸化クロム等の補強剤、カ
ーボンブラック等の帯電防止剤等の添加剤を含めてもよ
い。
【0032】支持体の表面上に磁性層を形成する方法と
しては、例えば、バインダー樹脂と磁性粉からなる磁性
塗料を支持体表面上に塗布しその後乾燥する方法が挙げ
られる。この場合、バインダー樹脂と磁性粉からなる磁
性塗料を調合する際に用いられる有機溶剤としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢
酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 実施例1 まず、平均粒径が0.08μmであり、Hc(coercive
force)が700OeであるCo−Ti置換Baフェラ
イト粉末100重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体10重量部、ポリウレタン樹脂10重量部、レシチン
3重量部、ステアリン酸0.1重量部、ステアリン酸n
−ブチル0.1重量部、メチルエチルケトン80重量
部、シクロヘキサノン80重量部、およびトルエン80
重量部をサンドグラインダを用いて充分に混練した。次
いで、この混練物に平均粒径が0.4μmであるアルミ
ナ粉末4重量部および平均粒径が0.05μmであるカ
ーボン粉末3重量部を加えて、均一に分散させた。次い
で、この混合物を濾過した後、これに硬化剤としてイソ
シアネート化合物3重量部を添加して混練し、磁性塗料
を作製した。
【0034】一方、反応容器内圧力が0.4TorrのN2
雰囲気において、厚さ62μmのPETフィルムに電力
400W、周波数13.56MHzで発生されるプラズ
マで1分間の低温プラズマ処理を施した。PETフィル
ムとしては、あらかじめ添加するフィラーを調整するこ
とにより、大きな表面粗さ(Ra)が0.008μm以
下であるものを使用した。また、このPETフィルムの
最大表面粗さ(Rmax)は0.11μmであった。低温
プラズマ処理後のPETフィルム表面上の任意の10μ
m×10μm領域内の100個の1μm×1μm測定領
域のうち任意の10個の測定領域について走査型トンネ
ル顕微鏡を用いて表面粗さ(Ra* )を測定し、その平
均値を算出したところ0.12μmであった。また、大
きな表面粗さ(Ra)を触針式表面粗さ計により測定し
たところ0.0059μmであった。
【0035】得られた磁性塗料を、低温プラズマ処理に
より微細に表面が粗されたPETフィルム上にリバース
コータにより塗布した。次いで、塗膜を乾燥し硬化させ
て膜厚が0.8μmの磁性層を設けた。その後、磁性層
を設けたPETフィルムにカレンダ処理を行って磁性層
厚が0.7μmである磁気記録媒体を作製した。なお、
PETフィルムの表面粗さの平均値は0.12μmであ
り、磁性層厚0.7μmの20%である0.14μmよ
りも小さい。
【0036】得られた磁気記録媒体を、直径90mmの円
盤状に打ち抜き、研磨テープによりその表面を研磨し
た。次いで、この中心部に金属製のハブを設置し、磁気
記録媒体に接触する面にリフタおよび不織布を備えたA
BS樹脂性のジャケットに回転自在に収納した。このよ
うにして磁気ディスクカートリッジを作製した。この磁
気ディスクカートリッジについて、S/N特性、エラー
試験、および磁性層密着強度試験を行った。その結果を
下記表1に示す。
【0037】なお、S/N特性は、スペクトラムアナラ
イザーにより測定した。エラー試験はJIS Z890
1に準拠した試験用ダスト2種を用い、通常の室内環境
におけるダスト濃度の10万倍のダスト濃度の環境を作
り、その中で磁気ディスクカートリッジの記録/再生を
繰り返すことにより行った。このとき、60分以内にハ
ードエラーが発生した磁気ディスクカートリッジ数から
エラー発生率を算出することにより評価した。また、磁
性層密着強度試験は、エポキシ系接着剤により試験用治
具と磁性層とを接着し、磁性層に対して垂直方向に引張
荷重を加えることにより行った。このとき、密着強度は
磁性層と支持体とが界面で剥離した時の最大荷重により
評価した。 実施例2、比較例1〜3 支持体の小さい表面粗さ(Ra* )および大きい表面粗
さ(Ra)を下記表1に示すように設定すること以外は
実施例1と同様にして磁気ディスクカートリッジを作製
した。この磁気ディスクカートリッジについて、実施例
1と同様にしてS/N特性、エラー試験、および磁性層
密着強度試験を行った。その結果を下記表1に併記す
る。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、本発明の範囲内
の小さな表面粗さ(Ra* )および大きな表面粗さ(R
a)を有する支持体を使用した磁気ディスクカートリッ
ジ(実施例1,2)は、S/N特性、エラー発生率、お
よび密着強度が優れたものであった。
【0040】これに対して、小さな表面粗さ(Ra*
が本発明の範囲外である支持体を使用した磁気ディスク
カートリッジ(比較例1,2)は、S/N特性は良好で
あったが、エラー発生率が高く、密着強度が低かった。
また、大きな表面粗さ(Ra)が本発明の範囲外である
支持体を使用した磁気ディスクカートリッジ(比較例
3)は、エラー発生率が低く、密着強度が高かったが、
S/N特性が悪かった。
【0041】このように、小さな表面粗さ(Ra* )を
所定の範囲内に規定することにより、エラー発生率およ
び密着強度を向上させることができる。図3は、横軸に
支持体の任意の10μm×10μm領域内の任意の10
個の1μm×1μm測定領域の表面粗さ(Ra* )の平
均値をとり、縦軸にエラー発生率および密着強度とった
場合のグラフである。図中1は小さな表面粗さ(Ra
* )の平均値とエラー発生率との関係を示す特性曲線で
あり、図中2は小さな表面粗さ(Ra* )の平均値と密
着強度との関係を示す特性曲線である。これらの図から
明らかなように、表面粗さ(Ra* )の平均値を0.0
3μm以上の場合に、密着強度が高く、エラー発生率が
低い。
【0042】また、大きな表面粗さ(Ra)を所定の範
囲内に規定することにより、S/N特性を向上させるこ
とができる。本発明の磁気記録媒体は、中間層を設ける
ことなく充分な特性を発揮することができるので、製造
コストを低減することができる。本実施例では、中間層
を設けない磁気記録媒体について説明したが、支持体上
に導電層あるいは接着層等の中間層を介して磁性層を設
けてもよい。これにより、一層良好な磁気特性を発揮す
るディスクカートリッジを得ることができる。
【0043】また、本実施例では、低温プラズマ処理を
施して支持体に所定の表面形状を形成したが、他の処理
方法を用いて支持体に所定の表面形状を形成してもよ
い。また、ここでは磁気ディスクカートリッジについて
説明したが、本発明はビデオテープ、オーディオテー
プ、データテープ等の種々の磁気記録媒体にも適用可能
である。
【0044】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の磁気記録媒体
は、磁性層の厚さが0.3〜1.0μmであり、支持体
の表面における任意の10μm×10μm領域内の任意
の10領域の小さな表面粗さ(Ra* )の平均値が0.
03μm以上磁性層の厚さの20%以下であり、支持体
の表面の大きな表面粗さ(Ra)が0.004〜0.0
08μmであるので、磁性層と支持体との間の密着性が
非常に高い。このため、磁性層が支持体から剥離した
り、剥離に伴う異物の付着によるドロップアウト等のエ
ラーを引起こすことがなく、高い耐久性および高い信頼
性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体に使用されるPETフィ
ルムを走査型トンネル顕微鏡により画像化したものの斜
視図。
【図2】未処理のPETフィルムを走査型トンネル顕微
鏡により画像化したものの斜視図。
【図3】支持体の小さな表面粗さ(Ra* )の平均値に
対する、磁性層の密着強度およびエラー発生率の関係を
示すグラフ。
【符号の説明】
1,2…特性曲線。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉とバインダー樹脂とからなる磁性
    層が支持体上に形成されてなる磁気記録媒体において、
    前記磁性層の厚さが0.3〜1.0μmであり、前記支
    持体の表面における任意の10μm×10μm領域内の
    任意の10領域の小さな表面粗さ(Ra* )の平均値が
    0.03μm以上前記磁性層の厚さの20%以下であ
    り、前記支持体の表面の大きな表面粗さ(Ra)が0.
    004〜0.008μmであることを特徴とする磁気記
    録媒体。
JP5156842A 1993-06-28 1993-06-28 磁気記録媒体 Pending JPH0714145A (ja)

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