JPH07140006A - 多色温度測定法 - Google Patents

多色温度測定法

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JPH07140006A
JPH07140006A JP5290892A JP29089293A JPH07140006A JP H07140006 A JPH07140006 A JP H07140006A JP 5290892 A JP5290892 A JP 5290892A JP 29089293 A JP29089293 A JP 29089293A JP H07140006 A JPH07140006 A JP H07140006A
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JP
Japan
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temperature
measured
emissivity
wavelengths
radiation
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Pending
Application number
JP5290892A
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English (en)
Inventor
Yoshizo Okamoto
芳三 岡本
Tetsushi Matsunaga
徹志 松永
Yutaka Kasai
豊 笠井
Masaru Kurokawa
賢 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Avio Infrared Technologies Co Ltd
Original Assignee
NEC Avio Infrared Technologies Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の光学的性質が異なる測定対象物に応じ
て精度の高い温度測定を可能にする。 【構成】 測定対象物に応じて放射率と反射率の和を設
定し、夫々異なる波長の赤外線を透過させる複数のフィ
ルタ手段を介して2波長の赤外線を検出し、測定対象物
の見かけ上の放射温度及び測定対象物からみた周囲温度
を測定し、放射率と反射率の和、周囲温度、見かけ上の
放射温度及び予め記憶された各フィルタの波長に応じた
赤外線エネルギーの近似式の指数に基づき測定対象物の
真の温度の関数の定数を求め、指数及び定数に基づき関
数の解を算定して測定対象物の真の温度を求めるように
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線を検出して測定
対象物の温度を測定する多色温度測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、サーモグラフィ装置において、
測定対象物の赤外線を検出して温度を測定して画面に表
示する際、放射率が異なることに起因する温度の測定誤
差を補正するために、放射率補正回路を内蔵させ、放射
率を補正して温度分布を測定するようにしていた。斯か
る放射率補正回路は、赤外線検出器により検出された測
定対象物の温度信号を増幅する増幅器のゲインを放射率
に応じて変化させるようにしたものである。
【0003】また、測定対象物の放射率の影響を除去す
るために、放射率に関係なく二色の温度(2波長の赤外
線)により温度分布を測定するサーモグラフィ装置が提
案されている(特開昭53ー120481号公報)。そ
の概要は、近似した2波長の赤外線を検出する場合、夫
々の放射率が略々等しいと見なせることを条件として、
2種類のフィルタを配置して測定対象物から夫々波長の
異なる赤外線を検出する。検出された2つの波長の赤外
線の強度を求め、更にこの強度の比を求めることによ
り、放射率に無関係に測定対象物の温度を求めるように
したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成においては、いずれも放射率にのみ着目し、放
射率の影響を受けないように測定している。従って、測
定対象物の周囲温度の影響を考慮していないため依然と
して測定誤差を生ずる。特に、サーモグラフィ装置を屋
外に設置して建造物或いは建築物の表面温度分布を測定
する際、太陽や天空等による周囲からの放射エネルギー
が測定対象物の放射エネルギーと共に赤外線検出器に入
射されるため、大きな誤差要因となっていた。
【0005】従って、本発明は上記点に鑑み、測定対象
物の放射率と無関係に、且つ周囲温度の影響を考慮した
或いはその影響を受けない赤外線による温度分布の多色
温度測定法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の多色温度測定法
は、例えば図5に示す如く、測定対象物に応じて放射率
と反射率の和を設定し、夫々異なる波長の赤外線を透過
させる複数のフィルタ手段により、2波長の赤外線を検
出し、測定対象物の見かけ上の放射温度及び測定対象物
からみた周囲温度を測定し、放射率と反射率の和、周囲
温度、見かけ上の放射温度及び予め記憶された各フィル
タの波長に応じた赤外線エネルギーの近似式の指数に基
づき測定対象物の真の温度の関数の定数を求め、指数及
び定数に基づき関数の解を算定して測定対象物の真の温
度を求めるようにしたものである。
【0007】また、測定対象物より放射される赤外線か
ら3つの波長を検出することにより、放射率及び周囲温
度に無関係に測定対象物の真の温度をも算定することが
できる。
【0008】
【作用】非金属材料等の灰色近似の成立する測定対象物
或いは金属等の灰色近似の成立しない測定対象物に応じ
て放射率と反射率の和を設定し、測定対象物から放射さ
れる赤外線から異なる2つの波長の赤外線を検出し、検
出される各波長における赤外線エネルギーの近似式の指
数を予め記憶しておき、測定対象物の見かけ上の放射温
度と周囲温度を実測する。これら見かけ上の放射温度、
周囲温度及び指数に基づき測定対象物の真の温度の関数
の定数を求め、この関数の解を算定して測定対象物の真
の温度を求めるようにした。このため、周囲温度を考慮
して且つ放射率に無関係に測定対象物の真の温度を精度
良く求めることができる。
【0009】さらに、測定対象物から放射される赤外線
から3種の波長を検出し、放射率及び周囲温度に関係な
く、真の温度を求めることもできる。
【0010】
【実施例】以下、図1〜図6を参照して本発明の多色温
度測定法の実施例について説明する。図1は本発明に使
用するサーモグラフィ装置の構成を示すブロック図であ
る。図1において、走査部1は例えば水平走査ミラーM
h及び垂直走査ミラーMvを具えている。これら各ミラ
ーを走査制御部2を介して水平及び垂直に走査すること
により、測定対象物Oの所望部から放射される赤外線が
入射される。走査部1から入射された赤外線は集光レン
ズ3により集光され、以下説明するフィルタ部4により
所望の波長の赤外線が選択されて入射される。
【0011】フィルタ部4は、例えばモータ(図示せ
ず)により回転する円板に設けられた3種の異なる波長
の赤外線を透過させる、例えば夫々±0. 5μm(マイ
クロメートル)の帯域幅を持つ3つの狭帯域フィルタを
具え、フィルタ制御部5によりモータを駆動して所定の
波長を持つフィルタが選択され、選択されたフィルタが
後述する赤外線検出器6に対応するように構成されてい
る。
【0012】これら狭帯域フィルタは、図2に示す如
く、例えば波長8. 363μm (λ1)、10.862μ
m (λ2)及び11. 462μm (λ3)を夫々中心とする
赤外線を透過させるものを使用する。周囲温度を考慮し
て温度測定を行う場合、波長λ 1 〜λ3 のフィルタから
所定の2つの波長を選択し、周囲温度の影響をも排除し
て測定する場合には、3つの波長のフィルタを使用す
る。2波長の赤外線を対象とする場合、フィルタ部4の
フィルタ数は、検出波長を予め定めることにより2つの
フィルタが決定し、この2種のフィルタを使用するよう
にしてもよい。
【0013】赤外線検出器6は、上記フィルタ部4で選
択される赤外線の3種の波長領域をカバーする、例えば
波長8〜13μm領域に検出感度を有するHgCdTe
(水銀カドミウムテルル)センサで構成され、入射する
赤外線を温度に対応する電気信号(温度信号)に変換し
て出力する。この赤外線検出器6は、検出すべき波長の
赤外線により、波長に対応する狭帯域フィルタを組み合
わせて、例えば2〜5μm或いは6〜9μmの波長領域
に検出感度を持つ赤外線検出器と交換しても使用でき
る。測定対象物Oの放射温度を赤外線検出器6に取り込
む期間は、各波長毎に少なくとも1画面走査する時間
(例えば数秒間)とする。
【0014】赤外線検出器6からの温度信号は増幅器7
により増幅され、制御演算部8に出力される。制御演算
部8は、例えばROM、RAM等の記憶素子を含むマイ
クロコンピュータより成り、装置全体を制御すると共
に、ROM内に予め記憶された後述する放射エネルギー
に関する演算プログラム及び一部定数の参照テーブル等
に基づいて測定対象物の温度を算定する。更に、制御演
算部8は、演算結果や温度データ等を例えばCRT等の
表示装置10に出力し、画面上に温度分布や温度データ
等を表示させる。
【0015】また、キーボード9は、後述する灰色近似
の成立する或いは成立しない測定対象物に応じた放射率
と反射率との和の設定、測定する温度範囲及び各種デー
タ等の設定を行う。
【0016】初めに、上記構成のサーモグラフィ装置に
より2つの波長を選択して温度を測定する二色温度測定
について説明する。この場合、フィルタ部4を介して、
例えば波長λ1 及びλ2 の赤外線が選択されたものとす
る。両波長おける赤外線エネルギーは、測定対象物から
放射される放射エネルギー及び測定対象物に対する周囲
温度による反射エネルギーも含めて、赤外線エネルギー
の指数則により下記数1及び数2で表せる。
【0017】
【数1】σTS1r n1=ε1σTS n1+σρ1a n1r
【0018】
【数2】σTS2r n2=ε2σTS n2+σρ2a n2r
【0019】ここで、Ts:測定対象物Oの温度、T
a:周囲温度、ε1 ,ε2 :波長λ1及びλ2 の時の放
射率、ρ1 ,ρ2 :波長λ1 及びλ2 の時の反射率、T
S1r ,TS2r :波長λ1 及びλ2 の時の見かけ上の放射
温度、σ:ステファンボルツマン定数を夫々表す。尚、
本発明中で説明する温度は絶対温度(K)を表してい
る。
【0020】即ち、検出される波長λ1 及びλ2 におけ
る夫々の放射エネルギー(σTS1r n1、σTS2r n2
は、測定対象物Oの放射エネルギーと測定対象物Oに対
する周囲温度による反射エネルギーとの和、即ち見かけ
上の放射エネルギーとなる。従って、これら見かけ上の
放射エネルギーから測定対象物の温度を求めても、周囲
温度による誤差が含まれているので測定対象物の正確な
温度が得られない。
【0021】いま、放射率(εs )と反射率(ρs )の
和をbsとおく。通常、反射率に指向性のない測定対象
物(灰色近似の成立する測定体)、例えばコンクリート
やモルタル等の非金属の構成材料は表面が散乱面である
ので、放射率と反射率の和(εs+ρs)は1と考えら
れているが、金属等の反射率に指向性のある灰色近似の
成立しない測定対象物においては(εs+ρs)が必ず
しも1とならない。このため、本発明においては、εs
+ρs=bsとして、bs の値を測定対象物に応じて1
或いは予め実測した1より小さい値をキーボード9を介
して設定するようにしている。
【0022】サーモグラフィ装置による温度測定におい
て、生活空間では数1及び数2の指数は、夫々n1 =n
1r及びn2 =n2rとみなせ、また、2つの波長が比較的
近似している領域では、ε1 =ε2 (=εs )と見なせ
るので、上記数1及び数2は、下記のように表せる。
【0023】
【数3】TS1r n1=εsTS n1+(bs−εs)Ta n1
【0024】
【数4】TS2r n2=εsTS n2+(bs−εs)Ta n2
【0025】ここで、波長λ1 及びλ2 での放射温度
(TS1r 、TS2r )は、上述したサーモグラフィ装置又
は他のサーモグラフィ装置により測定対象物の放射エネ
ルギーとその周囲温度(Ta )による反射エネルギーに
よる見かけ上の放射温度として測定される。周囲温度
(Ta )は、測定対象物の位置からサーモグラフィ装置
の赤外線検出器6を中心に、広角でサーモグラフィ装置
で測定した時の周囲の温度画像の面積平均放射温度とし
て求める。
【0026】また、図3に示す温度に対する放射・検出
エネルギーの関係から、各フィルタに応じた指数
(n1 、n2 )も求めることができる。図3は、図2に
示した3つの中心波長(λ1 、λ2 、λ3 )を持つ狭帯
域フィルタにより黒体からの放射エネルギーを検出した
エネルギーを算出した曲線(実線)と、この算出値に対
して最小自乗法により近似させた曲線(点線)を示すも
のである。尚、図3の太線は、以下説明するステファン
ボルツマンの法則による黒体からの放射エネルギーを示
している。
【0027】指数(n1 、n2 )を求める場合は次のよ
うにして求める。一般に、黒体から放射される放射エネ
ルギーは、ステファンボルツマンの法則からQb =σT
4 となり、各波長における赤外線検出器6の検出エネル
ギーは、Qbm=ATn の関係で示される。上述の如く各
フィルタによる各波長の検出エネルギーの算出値から指
数(n1 、n2 )を求めることができないため、最小自
乗法により近似式を求めると、各フィルタによる検出エ
ネルギーは、
【0028】
【数5】 Qb1=9.18×10-4×σ TS 4.75(波長λ1) n1 =4.75
【0029】
【数6】 Qb2=0.337×σ TS 3.75(波長λ2) n2 =3.75
【0030】
【数7】 Qb3=5.16×10ー5×σ TS 3.56(波長λ3) n3 =3.56
【0031】で表され、各フィルタの波長に対する指数
を求めることができる。ここでは、波長λ1 及びλ2
検出エネルギーQb1及びQb2における指数n1 及びn2
を対象としているが、測定対象物に応じて波長λ3 にお
ける検出エネルギーQb3の指数を用いることができるこ
とは勿論である。
【0032】従って、測定対象物の周囲温度による反射
エネルギーを含む波長λ1 及びλ2の見かけ上の放射温
度(TS1r 、TS2r )は、前述したサーモグラフィ装置
又は他のサーモグラフィ装置により測定でき、また、波
長λ1 及びλ2 の赤外線に対応する指数n1 及びn
2 は、上述した数5及び数6から求められる。各フィル
タの夫々の波長に対応する指数は、予め制御演算部8の
ROM内に参照テーブルとして記憶させておけば、測定
時に所望のフィルタの波長に応じた指数を読み出して測
定対象物の真の温度Tsを算定することができる。即
ち、前述した数3及び数4から放射率εs を消去する
と、
【0033】
【数8】
【0034】となり、測定対象物の真の温度Tsは、周
囲温度Ta、見かけ上の放射温度(T S1r 、TS2r )及
びbsの関数として表せる。ここで、第1項のTs=
x、第2項の{−(TS1r n1−bS a n1)/(TS2r
n2−bS a n2)}をA及び第3項の(Ta n2S1r n1
−Ta n1S2r n2)/(TS2r n2−bS a n2)をBと
おくと、数8は測定対象物の真の温度Tsのみの関数f
(x)として次のように表すことができる。
【0035】
【数9】f(x)=xn1+Axn2+B=0
【0036】この関数のxの解を算定することにより測
定対象物の真の温度Tsが求められる。
【0037】前述の如く、放射率εs と反射率ρs の和
bs は、コンクリートやモルタル等の建造物の構成材料
のように灰色近似の成り立つ測定対象物の場合は1にな
るが、金属等の灰色近似の成立しない測定対象物ではb
s は1にならない。しかしながら、使用する波長と温度
範囲が決まれば、放射率εs と反射率ρs の和bs は、
図4に一例を示すように略々一定となる。図4は、試料
として灰色近似の成立しないステンレスを用いた放射率
εs と反射率ρs 及び両者の和bs の実測値を示してい
る。図4から明らかな如く、およそ290K〜380K
の温度範囲で平均放射率εs は0. 22、平均反射率ρ
s は0. 71となり、両者の和bs は0. 93(平均)
で、1に近い一定値をとることが分かる。
【0038】このようにして、これまで予め求めた多く
の材料の実測データの中の4種の金属試料について、同
じ温度範囲における放射率εs 、反射率ρs 及び両者の
和(εs+ρs)の値を下記表1に示す。夫々の試料に
対する値は、実測により予め求められた値の平均値を示
している。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1には、波長2〜5μm及び6〜9
μmの帯域に検出感度を有する赤外線検出器の実験デー
タも含まれている。上記表1から明らかなように、各赤
外線検出器の検出波長領域及び試料温度範囲において
(εs+ρs)の値は夫々ー定値を示すので、測定開始
時に測定対象物に応じた値に予め設定すれば良い。
【0041】また、測定対象となる構成材料の放射率及
び反射率が不明の場合には、構成材料によって放射エネ
ルギーのスペクトルが異なることが分かっているので、
例えば分光分析計を用いて予め各測定対象物の夫々の放
射エネルギーを求め、その選択スペクトル性から測定対
象となる構成材料を判定し、各構成材料の反射率εsと
放射率ρs の実測値とを対応させて放射率と反射率との
和bsを求めることができる。従って、測定対象物の構
成材料に対応する反射率及び放射率の和をキーボード9
から設定することができる。或いは、上記表2のような
構成材料に対応した反射率、放射率及び両者の和を参照
テーブルとして制御演算部8のROM内に予め格納して
おくことにより、判明した構成材料を指定すれば自動的
に反射率と放射率の和が決定できる。
【0042】また、前述の3波長のフィルタを用い、本
発明の手法により求めた測定対象物の放射温度の測定値
(Ts )と真の温度(実測値To )の例を下記表2に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】この表2は試料としてステンレスを用い、
周囲温度Ta =293Kで測定した例を示すものであ
る。表2において、差△Ts とは、各狭帯域フィルタ
(波長λ 1 〜λ3 )の組み合わせにより測定された測定
対象物の測定値Tsと真の温度Toとの差を表すもので
ある。また、差の平均値とは、本例により測定した8つ
の温度データと真の値との差の絶対値での平均値を表し
ている。
【0045】以上説明したサーモグラフィ装置による2
色温度測定法を、図5のフローチャートを参照して説明
する。
【0046】測定対象物の構成材料とその放射率及び反
射率又は両者の和が分かっている場合(ステップS
1)、キーボード9を介して放射率と反射率との和を入
力する(ステップS2)。例えば測定対象物が灰色近似
の成り立つコンクリートやモルタル等の建築物の場合
は、放射率と反射率の和を1に設定し、金属等の灰色近
似の成立しない対象物の場合は、対象物に応じた値に設
定する。
【0047】フィルタ部4を制御して所望の波長を持つ
フィルタを順次切り換え、赤外線検出器6により測定対
象物から異なる2波長の赤外線を検出する(ステップS
3)。
【0048】測定対象物の見かけ上の放射温度及び周囲
温度を前述のサーモグラフィ装置或いは別のサーモグラ
フィ装置を用いて測定する(ステップS4)。
【0049】制御演算部8により、測定対象物の真の温
度の関数の定数、即ちステップS4で測定した見かけ上
の放射温度及び周囲温度、ステップS2で入力した測定
対象物の放射率及び反射率との和、及び予め記憶された
赤外線検出器6により検出された検出エネルギーの近似
式の指数を用い、測定対象物の真の温度の関数の定数を
算定する(ステップS5)。
【0050】関数の定数が全て求められたら、制御演算
部8はこの関数について温度の解を算定し、測定対象物
Oの真の温度を求め(ステップS6)、温度データ等と
共に温度画像データを表示装置10に転送して画面上に
表示させる(ステップS7)。
【0051】ステップS1において、測定対象物の構成
材料、その放射率、反射率及び両者の和、いずれも不明
の場合、分光分析計等を用いて構成材料の放射エネルギ
ーを測定し(ステップS8)、その選択スペクトル性に
より構成材料を判定する(ステップS9)。構成材料が
判明すれば、予め実測された対象表等によりその放射率
と反射率の和の値が直ちに分かるので対応する値を選択
し(ステップS10)、ステップS2に戻って前述と同
様の処理を行い、測定対象物の真の温度を求めることが
できる。
【0052】以上説明した2つの波長を用いた二色温度
測定方法は、測定対象物の見かけ上の放射温度と周囲温
度を予め測定し、放射率の影響と無関係に測定対象物の
温度を算定するようにしたもので、精度の高い測定値が
得られる。
【0053】また、上述の方法は、3種の狭帯域フィル
タから所定の2波長のフィルタを選び、異なる波長の赤
外線を検出して放射率の影響を排除すると共に、周囲温
度を予め測定して測定対象物の真の温度を測定するよう
にしている。しかし、サーモグラフィ装置は屋外で使用
されることが多いため、特に遠隔の建造物や高層建築物
等の温度分布を測定する場合、周囲温度を測定すること
は困難で、周囲温度を未知数として測定対象物の温度を
求めなければならない。
【0054】このような屋外での温度測定を対象とした
サーモグラフィ装置では、異なる3波長の赤外線を検出
して、周囲温度の他に放射率及び見かけ上の放射温度を
未知数として測定対象物の真の温度を求める方法が必要
となる。本例においては、前述した図1のサーモグラフ
ィ装置により、3波長の赤外線を検出して正確な温度を
測定できる三色温度測定方法をも実現できる。
【0055】ここで、図1のサーモグラフィ装置により
測定対象物から異なる3波長の赤外線を検出する。検出
される放射エネルギーは、前述の数1及び数2で求めら
れる波長(λ1 及びλ2 )の見かけ上の放射エネルギー
に加え、波長λ3 の放射エネルギーが、以下に示す数1
0により求められる。尚、2つの波長(λ1 及びλ2
による見かけ上の放射エネルギー(σTS1r n1、σT
S2r n2)については、前述した数1及び数2並びにこれ
らを変形した数3及び数4と同様のため説明を省略す
る。
【0056】
【数10】σTS3r n3=ε3σTS n3+σρ3a n3r
【0057】上記数10は、前述の数3及び数4と同様
に、放射率(εs )+反射率(ρs )=bs とおくと、
次のように表せる。
【0058】
【数11】TS3r n3=εsTS n3+(bs−εs)Ta n3
【0059】前述した数3及び数4並びに上記数11か
ら放射率(εs )を消去すると、測定対象物の温度Ts
は、周囲温度Ta、見かけ上の放射温度(TS1r
S2r、TS3r )及びbsの関数として以下に示す数1
2及び数13のようになる。
【0060】
【数12】
【0061】
【数13】
【0062】前述の2色温度測定法による場合と同様
に、放射温度(TS1r 、TS2r 、TS3 r )は見かけ上の
放射温度として上述したサーモグラフィ装置により求め
られると共に、各指数(n1 、n2 、n3 )も前述の数
5〜数7の検出エネルギーの近似式から求めることがで
きる。
【0063】従って、数12及び数13から周囲温度T
aを消去すれば、前述の数9と同様に(Ts=xとした
場合)、測定対象物の真の温度Tsのみの関数をg
(x)として次のように表すことができる。
【0064】
【数14】g(x)=0
【0065】この関数からxの解を算定することによ
り、測定対象物の真の温度Tsを求めることができる。
【0066】三色温度測定の場合、前述した図5のフロ
ーチャートにおいて、ステップS3で3波長の赤外線を
検出し、ステップS4では周囲温度の測定が不要になる
点を除き、二色温度測定法と同様の処理により測定対象
物の真の温度を求めることができる。
【0067】このようにして、測定対象物の放射赤外エ
ネルギーから3種の異なる波長を検出することにより、
放射率εs 及び周囲温度Taに関係なく、測定対象物の
真の温度Tsを求めることができるので、精度の高い温
度測定が可能となると共に装置の使用範囲が広くなり、
使い易くなる。
【0068】尚、例えば金属等の測定対象物に放射率及
び反射率に温度依存性があるような場合には、フィルタ
部4の狭帯域フィルタを4つ以上設けることにより、4
色以上の多色温度のサーモグラフィ装置も構成できる。
図6は、このような放射率に温度依存性のある測定対象
物としてアルミニウムの放射率と波長との関係の一例を
示すものである。
【0069】また、本発明は、上述の実施例に限ること
なく、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の
構成が取り得ることは勿論である。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような効果が得られる。 従来のサーモグラフィを装置による温度測定方法が灰
色近似の成立に基づく非金属材料を主体としたものに対
し、灰色近似の成立しない金属等の温度測定にも適用で
きる。 周囲温度の影響を考慮することにより、従来の二色温
度測定法に比較して精度の高い測定が可能となった。 三色温度測定法を用いることにより、放射率と共に周
囲温度による影響をも排除できるので、測定対象物の真
の温度の測定をより精度良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するサーモグラフィ装置の構成を
示すブロック図である。
【図2】図1の装置に使用する3種の狭帯域フィルタの
特性を示す図である。
【図3】実施例における3種の波長の温度に対する検出
エネルギー分布を示す図である。
【図4】実施例における放射率と反射率及び両者の和の
実測値を示す図である。
【図5】実施例の二色温度測定の処理を示すフローチャ
ートである。
【図6】温度依存性のある測定対象物における温度によ
る波長と放射率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 走査部 4 フィルタ部 6 赤外線検出器 8 制御演算部 9 キーボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 賢 東京都小平市天神町1−57 日本電気三栄 株式会社東京工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物に応じて放射率と反射率の和
    を設定し、 夫々異なる波長の赤外線を透過させる複数のフィルタ手
    段を介して2波長の赤外線を検出し、 上記測定対象物の見かけ上の放射温度及び上記測定対象
    物からみた周囲温度を測定し、 上記放射率と反射率の和、上記周囲温度、上記見かけ上
    の放射温度及び予め記憶された各フィルタの波長に応じ
    た赤外線エネルギーの近似式の指数に基づき上記測定対
    象物の真の温度の関数の定数を求め、上記指数及び上記
    定数に基づき上記関数の解を算定して上記測定対象物の
    真の温度を求めることを特徴とする多色温度測定法。
  2. 【請求項2】 測定対象物に応じて放射率と反射率の和
    を設定し、 夫々異なる波長の赤外線を透過させる複数のフィルタ手
    段を介して3波長の赤外線を検出し、 上記測定対象物の見かけ上の放射温度を測定し、 上記放射率と反射率の和、上記周囲温度、上記見かけ上
    の放射温度及び予め記憶された各フィルタの波長に応じ
    た赤外線エネルギーの近似式の指数に基づき、上記測定
    対象物の真の温度の関数の定数を求め、上記指数及び上
    記定数に基づき上記関数の解を算定して上記測定対象物
    の真の温度を求めることを特徴とする多色温度測定法。
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