JPH07138632A - 電気炉内へ酸素ガスを吹込むランスのノズル構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素、粉体の利用効率を向上させ、溶融金
属、スラグの飛散を最小限にとどめ安全に操業できるラ
ンスを消耗させない酸素または酸素含有ガスの吹き込み
を可能とするノズル構造を提供する。 【構成】 酸素または酸素含有ガスを超音速で吹込む末
広がりノズルと該ノズルを囲むように配設した酸素また
は酸素含有ガスを亜音速で吹き込むストレートノズル等
とによりランスのノズルを構成する。これにより超音速
で吹き込んだ酸素または酸素含有ガスに起因する溶融金
属，スラグの飛散を亜音速のジェットで押さえ込み溶融
金属，スラグの飛散を小さくする。このことにより超音
速のジェットをより速くすることができる。 【効果】 これにより酸素の利用効率を向上させ、溶融
金属，スラグの飛散を最小限にとどめ安全に操業するこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の溶解、溶融
金属の精錬等に使用される電気炉において、溶融金属内
に上部から酸素または酸素含有ガスを超音速で吹込むラ
ンスのノズル構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使
用される電気炉として、炉内に装入した金属材料の上方
に配設した電極と、炉底、側壁等の炉壁に取り付けた電
極との間に電流を流し、金属材料の溶解、溶融金属の精
錬を行う直流電気炉、また、炉内に装入した金属材料の
上方に配設した３本の電極間に電流を流し金属材料の溶
解、溶融金属の精錬を行う交流電気炉が知られている。

【０００３】この種の電気炉は金属材料の溶解促進、溶
融金属の精錬を行うために、酸素を消耗式のパイプを使
用し、炉内の溶融金属内に吹込む操業が一般的に行われ
ている。従来、作業者が酸素及び粉体を吹込むためのパ
イプを保持し炉内に吹込む作業を行っていたが、近年は
消耗式のパイプによる吹込み方法から、たとえば、特開
平１−２１９１１６号公報に示される転炉の上吹きラン
スを電気炉に適用した非消耗式の水冷ランス方式が、作
業者の電気炉前でのパイプの消耗による新しいパイプの
接続作業を不要とするので、作業者を重筋、高温環境下
の作業から開放する方式として採用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】溶融金属の精錬を行う
転炉においては、上部より水冷されたランスを用いて炉
内に吹込んでおり、非消耗式ランスが実用化されている
が、転炉においては、湯面から開口部までの高さが、１
０ｍ以上もあり、溶融金属，スラグの飛散があまり問題
にならない。しかし、電気炉では、炉蓋までの高さが約
２ｍ程度であり、非消耗式ランスによる超音速の吹き込
みを行うと溶融金属またはスラグの飛散が、激しくなり
歩留まりの悪化のみならず、操業に支障をきたす結果と
なる。溶融金属またはスラグの飛散を操業に支障のない
程度に抑えるために吹き込みガスを大幅に減少させる必
要があり、必要量を吹き込めないという問題があった。

【０００５】このため吹き込みガスの不足分を補うため
非消耗型ランスの本数を増やすか、消耗式パイプによる
吹き込みの併用かのいずれかの手段を講ずる必要があっ
た。本発明の目的は、電気炉において溶融金属，スラグ
の飛散を最小限にとどめ安全に操業でき、酸素または酸
素含有ガスの吹き込み速度及び利用効率を飛躍的に向上
させる非消耗型ランスのノズル構造を提供することであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、金属材料の溶
解、溶融金属の精錬等に使用される電気炉の炉内金属材
料の溶解促進、溶融金属の精錬のため、電気炉内の上部
から酸素または酸素含有ガスを吹き込むランスのノズル
構造において、酸素または酸素含有ガスを超音速で吹込
む末広がりノズルと該ノズルを囲むように配設した酸素
または酸素含有ガスを亜音速で吹き込むストレートノズ
ル等とにより構成することを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明における非消耗型ランスは、転炉のラン
ス等で用いられている末広ノズルを用いることにより超
音速のジェットを得ることができ、該ノズルを囲むよう
に排泄したノズルにより亜音速を得られる。このノズル
構造により超音速のジェットのまわりを亜音速のジェッ
トが取り囲むことになる。末広ノズルによる超音速ジェ
ットは、吹込み速度を速くしていくと酸素または酸素含
有ガスの溶融金属への侵入深さは深くなり酸素または酸
素含有ガス利用効率は良くなるが、溶融金属またはスラ
グの飛散が激しくなり、歩留まりの悪化のにならず、操
業に支障をきたす結果となる。

【０００８】このため、溶融金属またはスラグの飛散
は、ジェットが溶融金属の浴中に侵入してできる溶融金
属のへこみ部の周辺より吹込み方向の炉壁（水平）方向
と上方向に主に発生し、末広ノズルによる吹込みの速度
を上げることができない。本発明のノズル構造にし、該
溶融金属のへこみ部の周辺に亜音速のジェットを吹付け
ることによりへこみ部の周辺からに溶融金属またはスラ
グの飛散を亜音速のジェットにより押さえ込むことがで
き、末広ノズルのよる超音速ジェットの吹き込みの速度
は末広ノズル単独に比べて吹込みの速度を速くすること
ができる。以下本発明によれば、従来の酸素または酸素
含有ガスの吹き込み速度及び利用効率を飛躍的に向上さ
せ、溶融金属，スラグの飛散を最小限にとどめ安全に操
業できる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面をもとに
詳しく説明する。図１は本発明を適用した直流電気炉の
断面図、図２（Ａ）は図１のノズル部の拡大断面図、図
２（Ｂ）は図２（Ａ）の拡大正面図である。図１に示し
た直流電気炉１は、耐火物２と水冷ボックス３とで覆わ
れた炉本体４、その上部に配設された炉蓋５からなり、
炉蓋５の中心部から昇降自在な上部電極６と炉底に配設
された炉底電極７とに供給される直流電流により、主に
直流電気炉内に装入されたスクラップの溶融金属８と上
部電極６の先端との間に形成されるアームでもってスク
ラップを溶解、または、溶融金属８を加熱する。

【００１０】溶融金属８の加熱補助，精錬を行うために
炉本体４に配設された作業口９より水冷された酸素吹込
み用ランス１０と酸素吹込み用ランス１０の下部に配設
した水冷された粉体吹込み用ランス１１を炉内に装入し
てある。ランス１０，１１は、前後進及び昇降用駆動装
置（図示せず）により炉内での前後、上下方向の位置調
整を行える。

【００１１】ランス１０，１１はランスホルダー１２に
より保持され、ランスホルダー１２はアーム１３に支持
されている。水冷された酸素吹込み用ランス１０の先端
部１４には酸素吹込みようノズル１５，１６が溶融金属
８に向かうように、ランスの中心軸に対し角度θをなし
て設けられている。

【００１２】ランス１０の先端部１４は図２（Ａ）に示
すように中心部に超音速を得るための末広がりノズル１
５を配設し、該末広がりノズル１５の周囲に亜音速を得
るために例えばストレートノズル１６が配設してある。
ストレートノズル１６は図２（Ｂ）の拡大正面図に示す
ようにスリット形状をしている。ストレートノズル１６
は図２（Ｃ）に示すように周上に多孔を配設した形状で
も良い。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように水冷された酸素吹き
込み用ランスのノズルを酸素または酸素含有ガスを超音
速で吹き込む末広がりノズルと該ノズルを囲むように配
設した酸素または酸素含有ガスを亜音速で吹込むストレ
ートノズル等により構成することにより溶融金属，スラ
グの飛散を最小限にとどめ、またランスへの溶融金属の
大きな塊の定常的な飛散を押さえ、ランス自体の損傷を
押さえながら酸素の吹込み速度を速くできる。このた
め、酸素を溶融金属内に深く吹込むことができるために
酸素の利用効率を飛躍的に向上させ、安全に操業でき、
生産性の向上・エネルギーコストの低減に大きく貢献す
るもので、その効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した直流電気炉の断面図。

【図２】本発明の図１のノズル部の先端の拡大図の一例
を示し、（Ａ）はノズル部の拡大断面図、（Ｂ）は、
（Ａ）の正面図である。（Ｃ）はノズル部の先端にスト
レートノズルを周上に多孔を配設した形状の正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 直流電気炉 ２ 耐火物 ３ 水冷ボックス ４ 炉本体 ５ 炉蓋 ６ 上部電極 ７ 炉底電極 ８ 溶融金属 ９ 作業口 １０ 酸素吹込み用ランス １１ 粉体吹込み用ランス １２ ランスホルダー １３ アーム １４ ランス先端部 １５ 末広がりノズル １６ ストレートノズル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使用
   される電気炉の炉内金属材料の溶解促進、溶融金属の精
   錬のため、電気炉内の上部から酸素または酸素含有ガス
   を吹込むランスのノズル構造において、酸素または酸素
   含有ガスを超音速で吹込む末広がりノズルと該ノズルを
   囲むように配設した酸素または酸素含有ガスを亜音速で
   吹き込むストレートノズル等とにより構成することを特
   徴とする電気炉内へ酸素ガスを吹込むランスのノズル構
   造。