JP3148966B2 - 電気炉内へ酸素ガスを吹込むランスのノズル構造 - Google Patents

電気炉内へ酸素ガスを吹込むランスのノズル構造

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正昭 井上
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  • Furnace Charging Or Discharging (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の溶解、溶融
金属の精錬等に使用される電気炉において、溶融金属内
に上部から酸素または酸素含有ガスを超音速で吹き込む
ランスのノズル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使
用される電気炉として、炉内に装入した金属材料の上方
に配設した電極と、炉底、側壁等の炉壁に取り付けた電
極との間に電流を流し、金属材料の溶解、溶融金属の精
錬を行う直流電気炉、また、炉内に装入した金属材料の
上方に配設した3本の電極間に電流を流し金属材料の溶
解、溶融金属の精錬を行う交流電気炉が知られている。
【0003】この種の電気炉は金属材料の溶解促進、溶
融金属の精錬を行うために、酸素を消耗式のパイプを使
用し、炉内の溶融金属内に吹き込む操業が一般的に行わ
れている。従来、作業者が酸素及び粉体を吹き込むため
のパイプを保持し炉内に吹き込む作業を行っていたが、
近年は消耗式のパイプによる吹込み方法から、たとえ
ば、特開平1−219116号公報に示されている転炉
の上吹きランスを電気炉に適用した非消耗式の水冷ラン
ス方式が、作業者の電気炉前でのパイプの消耗による新
しいパイプの接続作業を不要とするので、作業者を重
筋、高温環境下の作業から開放する方式として採用され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】溶融金属の精錬を行う
転炉においては、上部より水冷されたランスを用いて炉
内に吹き込んでおり、非消耗式ランスが実用化されてい
るが、転炉においては、湯面から開口部までの高さが、
10m以上もあり、溶融金属、スラグの飛散があまり問
題にならない。しかし、電気炉では、炉蓋までの高さが
約2m程度であり、非消耗式ランスによる超音速の吹込
みを行うと溶融金属またはスラグの飛散が、激しくなり
歩留まりの悪化及び電極の損耗大となり、操業に支障を
きたす結果となる。溶融金属またはスラグの飛散を操業
に支障のない程度に押さえるために吹込みガスを大幅に
減少させる必要があり、必要量を吹き込めないという問
題があった。
【0005】このため吹込みガスの不足分を補うため非
消耗型ランスの本数を増やすか、消耗式パイプによる吹
込み用の併用かのいずれかの手段を講じる必要があっ
た。本発明の目的は、電気炉において溶融金属、スラグ
の飛散を最小限にとどめ安全に操業でき、酸素または酸
素含有ガスの吹込み速度及び利用効率を飛躍的に向上さ
せる非消耗型ランスのノズル構造を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属材料の溶
解、溶融金属の精錬等に使用される電気炉の炉内金属材
料の溶解促進、溶融金属の精錬のため、電気炉内溶融金
属の上部から酸素または酸素含有ガスを吹き込むランス
のノズル構造において、酸素または酸素含有ガスを超音
速で吹き込む末広丿ズルと、該末広ノズルからの酸素ま
たは酸素含有ガスに吹き込みにより発生するスプラッシ
ュを抑制するスプラッシュ抑制ノズルを前記末広ノズル
の上方に隣接して配設するとともに、前記末広ノズルの
取り付け角度θ1を溶融金属面に対し、30度〜60度
とし、かつ、前記スプラッシュ抑制ノズルの取り付け角
度θ2をe1−(5度〜20度)としたことを特徴とす
る電気炉内へ酸素ガスを吹き込むランスのノズル構造。
【0007】
【作用】本発明における非消耗式ランスは、転炉のラン
ス等で用いられている末広ノズルを用いることにより超
音速のジェットを得ることができ、該ノズルの吹込みに
より発生する溶融金属またはスラグの飛散を最小限に押
さえるために、超音速または亜音速の吹込みノズルを末
広ノズルの上方に隣接して配設する。末広ノズルによる
超音速ジェットは、吹込み速度を速くしていくと酸素ま
たは酸素含有ガスの溶融金属への侵入深さは深くなり酸
素または酸素含有ガスの利用効率は良くなるが、溶融金
属またはスラグの飛散が激しくなり、歩留まりの悪化の
みならず、操業に支障をきたす結果となる。
【0008】このため、溶融金属またはスラグの飛散
は、ジェットが溶融金属の浴中に侵入してできる溶融金
属のへこみ部の周辺より吹込み方向の炉壁(水平)方向
と上方向に主に発生し、末広ノズルによる吹込みの速度
を上げることができない。本発明のノズル構造は、該溶
融金属のへこみ部周辺から発生する溶融金属またはスラ
グの飛散域に超音速または亜音速ジェットを吹き付ける
ことにより溶融金属またはスラグの飛散を抑え込むこと
ができ、末広ノズルによる超音速ジェットの吹込み速度
を、末広ノズル単独で使用するのに比べ速くすることが
できる。すなわち、吹込み流量を増加することができ
る。以下本発明によれば、従来の酸素または酸素含有ガ
スの吹込み速度及び利用効率を飛躍的に向上させ、溶融
金属、スラグの飛散を最小限にとどめ安全に操業でき
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面をもとに
詳しく説明する。図1は本発明を適用した直流電気炉の
断面図、図2(A)は図1のノズル部の拡大断面図、図
2(B)は図2(A)X−X矢視正面図である。図1に
示した直流電気炉1は、耐火物2と水冷ボックス3とで
覆われた炉本体4と、その上部に配設された炉蓋5から
なり、炉蓋5の中心部から昇降自在な上部電極6と炉底
に配設された炉底電極7とに供給される直流電流によ
り、主に直流電気炉内に装入されたスクラップの溶融金
属8と上部電極6の先端との間に形成されるアームでも
ってスクラップを溶解、または溶融金属8を加熱する。
【0010】溶融金属8の加熱補助、精錬を行うために
炉本体4に配設された作業口9より水冷された酸素吹込
み用ランス10と酸素吹込み用ランス10の下部に配設
した水冷された粉体吹込み用ランス11を炉内に装入し
てある。ランス10、11は前後進及び昇降用駆動装置
(図示せず)により炉内での前後、上下方向の位置調整
を行える。
【0011】ランス10、11はランスホルダー12に
より保持され、ランスホルダー12はアーム13に支持
されている。水冷された酸素吹込み用ランス10の先端
部14には酸素吹込み用ノズル15とスプラッシュ抑制
ノズル16が設けられている。酸素吹込みノズル15は
溶融金属8に向かうように溶融金属面に対し角度θ1
なしている。また、角度θ1 は実験結果から30°≦θ
1 ≦60°が最適である。スプラッシュ抑制ノズル16
は溶融金属8に向かうように溶融金属面に対し角度θ2
をなしている。角度θ2 はスプラッシュ抑制実験結果よ
りθ1 −(5°〜20°)が最適である。
【0012】ランス10の先端部14は図2(A)に示
すように中心部に超音速を得るための末広ノズル15を
配設し、該末広ノズル15の上方にスプラッシュ抑制ノ
ズル16が配設してある。スプラッシュ抑制ノズル16
は図2(A)ではストレートノズルであるが、末広ノズ
ルでも良い。また、図3(A)に示すようにスプラッシ
ュ抑制ノズル16はスリット形状でも良く、図3(B)
に示すように多孔を配設した形状でも良い。但し、スプ
ラッシュ抑制ノズル16をスリット形状または多孔配設
する場合はθ3 は90°以内とする。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように水冷された酸素吹込
み用ランスのノズルを酸素または酸素含有ガスを超音速
で吹き込む末広ノズルと該ノズルの吹込みにより発生す
る溶融金属、スラグの飛散を最小限に抑えるために該ノ
ズルの上方に隣接して酸素または酸素含有ガスを超音速
または亜音速で吹き込むノズルで構成することにより溶
融金属、スラグの飛散を最小限にとどめ、またランスへ
の溶融金属の大きな塊の定常的な飛散を抑え、電極の損
耗並びにランス自体の損傷を押さえながら酸素の吹込み
速度を速くできる。このため、酸素を溶融金属内に深く
吹き込むことができるために酸素の利用効率を飛躍的に
向上させ、安全に操業でき、生産性の向上・エネルギー
コストの低減に大きく貢献するもので、その効果は極め
て大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した直流電気炉の断面図。
【図2】本発明の図1のノズル部の先端の拡大図の一例
を示し、(A)はノズル部の拡大断面図、(B)は、
(A)X−X矢視正面図である。
【図3】本発明のスプラッシュ抑制ノズルの他の実施例
を示した図で、(A)は形状をスリット形状とした実施
例を示す正面図、(B)は多孔を配設した形状とした実
施例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 直流電気炉 2 耐火物 3 水冷ボックス 4 炉本体 5 炉蓋 6 上部電極 7 炉底電極 8 溶融金属 9 作業口 10 酸素吹込み用ランス 11 粉体吹込み用ランス 12 ランスホルダー 13 アーム 14 ランス先端部 15 末広ノズル 16 スプラッシュ抑制ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 正昭 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製鐵株式会社 機械・プラント事 業部内 (72)発明者 羽石 啓一 栃木県小山市横蔵新田520番地 東京鐵 鋼株式会社内 (72)発明者 三森 弘之 栃木県小山市横蔵新田520番地 東京鐵 鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−12812(JP,A) 特開 平7−35482(JP,A) 特開 平7−138632(JP,A) 特公 昭38−3551(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 5/46,5/52,7/072 F27D 3/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使用
    される電気炉の炉内金属材料の溶解促進、溶融金属の精
    錬のため、電気炉内溶融金属の上部から酸素または酸素
    含有ガスを吹き込むランスのノズル構造において、酸素
    または酸素含有ガスを吹き込むランス内に酸素または酸
    素含有ガスを超音速で吹き込む末広ノズルと、該末広ノ
    ズルからの酸素または酸素含有ガスに吹き込みにより発
    生するスプラッシュを抑制するスプラッシュ抑制ノズル
    を前記末広ノズルの上方に隣接して配設するとともに、
    前記末広ノズルの取り付け角度θ1を溶融金属面に対し
    て、30度〜60度とし、かつ、前記スプラッシュ抑制
    ノズルの取り付け角度e2をθ1−(5度〜20度)と
    したことを特徴とする電気炉内へ酸素ガスを吹き込むラ
    ンスのノズル構造。
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