JPH07138023A - マグネタイト粒子およびその製造方法 - Google Patents

マグネタイト粒子およびその製造方法

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JPH07138023A
JPH07138023A JP6033686A JP3368694A JPH07138023A JP H07138023 A JPH07138023 A JP H07138023A JP 6033686 A JP6033686 A JP 6033686A JP 3368694 A JP3368694 A JP 3368694A JP H07138023 A JPH07138023 A JP H07138023A
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magnetite
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Takahiro Kikuchi
地 孝 宏 菊
Satoshi Uenosono
聡 上ノ薗
Shinichi Kijima
島 慎 一 来
Kenichi Yano
野 憲 一 矢
Toru Takeuchi
内 徹 竹
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐湿性および樹脂中での分散性に優れたマグネ
タイト粒子、およびその製造方法を提供する。 【構成】第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液とを混合して得
られた水酸化第一鉄コロイド溶液に酸素含有ガスを通気
してマグネタイト粒子を合成する方法において、水酸化
第一鉄コロイドにコロイダルシリカを添加すること、お
よび無水珪酸を含有するマグネタイト粒子であって、無
水珪酸の含有量がFe3 4 換算で0.1〜6.0重量
%であり、かつ、マグネタイト粒子の外方向側であっ
て、マグネタイト粒子全重量に対する50重量%以下の
領域に、マグネタイト粒子に含まれる無水珪酸の60重
量%以上が含有されることにより、前記目的を達成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性トナー用材料、電
磁波吸収材料、塗料用顔料などに有用であり、特にトナ
ー用材料に適する耐湿性および樹脂中での分散性に優れ
たマグネタイト粒子、およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、マグネタイト粒子は磁性トナ
ー、電磁波吸収材、塗料用顔料、磁気記録用磁性材料粉
末等、幅広く用いられている。これらの多くの用途にお
いては、カップリング剤によるマグネタイト粉末の表面
処理や、マグネタイト粉末と樹脂との混練作業を必要と
するため、マグネタイト粒子には、粒度分布がシャープ
であること、比表面積が小さいこと、樹脂やカップリン
グ剤との濡れ性がよいこと、樹脂中での分散性が良いこ
と等の特性が求められている。
【0003】例えば、電子写真現像剤の分野において
は、現像剤は、キャリアを用いる二成分系トナーと、樹
脂中にマグネタイト粒子粉末等の磁性粒子粉末を混合さ
せたトナー粒子を用いるキャリアを用いない一成分系ト
ナーとに大別される。近年の複写機器等の電子写真式画
像形成装置の高速度化、高画質化等に伴い、トナーにつ
いても特性向上が強く要求されている。そのため、一成
分系トナーに利用されるマグネタイト粒子に対しても、
樹脂中での分散性の向上、低残留磁束密度化、小粒径
化、球形化等が要求されている。
【0004】このうち、樹脂中におけるマグネタイト粒
子の分散性は、トナーとした場合の流動性に大きく影響
する。すなわち、樹脂中でのマグネタイト粒子の分散性
が悪い場合には、トナー粒子の流動性が低いために画像
特性が低下し、さらにトナー中の磁性粉末粒子の濃度ム
ラが生じやすくなるため画像特性が低下する問題があ
る。このため、画像特性の面から樹脂中でのマグネタイ
ト粒子の分散性の向上が特に望まれている。
【0005】一般的に、マグネタイト粒子は、第一鉄塩
溶液とアルカリ水溶液とを混合して得られた水酸化第一
鉄コロイド溶液に、酸素含有ガスを通気して製造され
る。このような水溶液中でのマグネタイトの製造方法に
ついては、これまでに中和に用いるアルカリ溶液の種
類、有機酸の添加、水酸化第一鉄溶液のpH等について
多くの提案がなされているが、いずれの方法において
も、マグネタイト粒子の耐湿性が悪く、樹脂中での分散
性は充分ではない。
【0006】他方、マグネタイト粒子の改質方法とし
て、珪酸塩を添加する方法が各種提案されている。例え
ば、特公平1−36864号公報では、水酸化第一鉄生
成後のFe3 4への酸化反応中に、第一鉄塩溶液中の
Feに対してSi/Fe3 4 換算で0.5〜5.0重
量%のヒドロキソ珪酸溶液を添加することを提案してい
る。特公平3−9045号公報では、アルカリ水溶液あ
るいは水酸化第一鉄を含む第一鉄塩反応水溶液のいずれ
かに、Feに対してSi換算で0.1〜50原子%の水
可溶性珪酸塩を添加することを提案している。また、特
開昭62−278131号公報では、Fe3 4 中のS
i存在率がFeを基準として0.1〜1.5重量%であ
り、かつ、マグネタイト粒子の中心部により多くのSi
が存在するマグネタイト粒子を提案している。さらに、
特開平5−213620号公報では、第一鉄塩溶液に珪
素成分を添加し、さらに所定量のアルカリを添加した
後、Fe量やpHを調整しつつ酸化反応を行うことによ
って製造される、内部に珪素成分を含有し、かつ珪素成
分が表面に露出しているマグネタイト粒子(および製造
方法)を提案している。
【0007】しかしながら、いずれも生成した粒子内あ
るいは粒子表面に含水珪酸化合物や含水珪酸等を含むた
め、マグネタイト粒子の耐湿性はあまり改善されず、ま
た、マグネタイト粒子の樹脂中での分散性も、珪酸を添
加しないものよりは改善されるものの、充分ではなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決することにあり、耐湿性および
樹脂中での分散性に優れたマグネタイト粒子、およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のマグネタイト粒子の製造方法は、第一鉄塩
溶液とアルカリ水溶液とを混合して得られた水酸化第一
鉄コロイド溶液に酸素含有ガスを通気してマグネタイト
粒子を合成する方法において、前記水酸化第一鉄コロイ
ドにコロイダルシリカを添加することを特徴とするマグ
ネタイト粒子の製造方法を提供する。
【0010】また、前記第一鉄塩溶液中のFe2+量をF
3 4 量に換算した値に対してSiO2 量が0.1〜
6.0重量%の割合になるようにコロイダルシリカを添
加するのが好ましく、コロイダルシリカ中のSiO2
子の粒径が100nm以下であるのが好ましく、コロイ
ダルシリカを添加する際の前記水酸化第一鉄コロイド溶
液のpHが2〜11であるのが好ましく、さらに、前記
水酸化第一鉄コロイド溶液中のFe(OH)2 とFe3
4 とのモル比が6:1〜0.5:1となる時期にコロ
イダルシリカを添加するのが好ましい。
【0011】さらに、本発明のマグネタイト粒子は、無
水珪酸を含有するマグネタイト粒子であって、無水珪酸
がマグネタイト粒子中のFe3 4 に対して0.1〜
6.0重量%含有され、かつ、マグネタイト粒子の外方
向側であって、マグネタイト粒子全重量に対する50重
量%以下の領域に、マグネタイト粒子に含まれる無水珪
酸の60重量%以上が含有されることを特徴とするマグ
ネタイト粒子を提供する。
【0012】
【作用】本発明は、第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液とを
混合して得られた水酸化第一鉄コロイドを含む水溶液を
加熱しながら酸素含有ガスを通気してマグネタイト粒子
を製造するにあたり、第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液と
を混合して得られる水酸第一鉄コロイドを含む水溶液
に、コロイダルシリカを添加して珪酸を含有するマグネ
タイト粒子を製造するものであり、この方法により、耐
湿性および樹脂中での分散性に優れたマグネタイト粒子
を得ることができる。
【0013】本発明において、コロイダルシリカは、第
一鉄塩溶液とアルカリ水溶液とを混合して得られた水酸
化第一鉄コロイドを含む水溶液に添加する。珪酸の添加
方法としてコロイダルシリカを用いるのは、反応溶液中
に均一に分散させることが容易で、しかも珪酸として無
水珪酸を使用しているため耐湿性の点で有利なためであ
る。
【0014】本発明においては、好ましくは、第一鉄塩
溶液中のFe2+量をFe3 4 量に換算した値に対し
て、SiO2 量が0.1〜6.0重量%の割合となるよ
うに、水酸化第一鉄コロイドを含む水溶液にコロイダル
シリカを添加する。コロイダルシリカの添加量が少なく
なると、耐湿性や樹脂中での分散性の改善効果が低下す
る傾向にあり、特に、添加量が0.1重量%より少ない
場合には耐湿性の改善や樹脂中での分散性改善の効果が
ほとんど見られなくなってしまうことがある。逆に、コ
ロイダルシリカの添加量が増加するにつれて、耐湿性や
分散性改善の効果は向上するものの、あまり多量に添加
すると、マグネタイト粒子中に取り込まれずに凝集沈殿
する珪酸粒子がでてくる問題がある。特に、コロイダル
シリカの添加量が6.0重量%よりも多い場合には、マ
グネタイトの耐湿性や分散性改善の効果は著しいが、凝
集沈殿する珪酸粒子がでてくる可能性が高く、また、珪
酸量が増加するため飽和磁束密度が低下してしまい、磁
気特性的にも好ましくない。
【0015】水酸化第一鉄コロイドを含む水溶液へのコ
ロイダルシリカの添加量は、より好ましくは、同SiO
2 量で0.3〜4.0重量%の割合となるようにする。
コロイダルシリカの添加量を上記範囲とすることによ
り、耐湿性、樹脂中での分散性、磁気特性等のバランス
のとれたマグネタイト粒子が得られ、より好ましい結果
を得ることができる。
【0016】コロイダルシリカ中の珪酸粒子の粒径には
特に限定はないが、好ましくは、10〜100nm以下
である。コロイダルシリカ中の珪酸粒子径が大きくなる
にしたがって、マグネタイト粒子の大きさによりマグネ
タイト中に取り込まれる珪酸量にバラツキが生じる傾向
があり、粒子径が100nmを超えると、このバラツキ
が大きくなる可能性が高い。逆に、粒径が小さくなるに
したがって、表面活性が高くなり凝集しやすく均一に分
散させるのが難しくなる傾向があり、特に粒径が10n
mより小さくなると凝集しやすくなってしまう。
【0017】また、水酸化第一鉄コロイド溶液にコロイ
ダルシリカを添加する際の水酸化第一鉄コロイド溶液の
pHは2〜11の範囲であるのがよい。コロイダルシリ
カを第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液を混合して得られる
水酸化第一鉄コロイド溶液にpHが2〜11の範囲で添
加するのがよい理由は、このpH範囲であれば珪酸粒子
を良好に均一に分散させることができるためである。す
なわち、水酸化第一鉄コロイド溶液のpHが2より小さ
い場合あるいは11よりも大きい場合には、珪酸粒子が
凝集して沈殿してしまうことがあり、均一に分散させる
ことが困難なためである。
【0018】第一鉄塩溶液あるいはアルカリ水溶液に前
もってコロイダルシリカを添加し、その後に他方を添加
して水酸化第一鉄コロイド溶液を作製する場合では、第
一鉄塩溶液ではpHが2より小さい場合があり、逆にア
ルカリ水溶液の場合にはpHが11より大きい場合が多
い。そのため、コロイダルシリカを直接第一鉄塩溶液や
アルカリ溶液に添加した場合には、珪酸粒子が凝集して
沈殿してしまうことが多く、均一に珪酸粒子を分散させ
ることが困難である。
【0019】つまり、本発明において、第一鉄塩溶液と
アルカリ水溶液を混合して得られた水酸化第一鉄コロイ
ド溶液にコロイダルシリカを添加する理由の1つは、コ
ロイダルシリカを添加する溶液のpHの値を、珪酸粒子
を好適に均一に分散できる範囲に調整することにある。
ただし、水酸化第一鉄コロイド溶液のpHが酸性域にあ
る場合にコロイダルシリカを添加し酸化を行なう場合に
は、マグネタイトの他にゲーサイト等が生成しやすく、
また溶液中にFeイオンが多く残存するため望ましくな
いので、好ましくは水酸化第一鉄コロイド溶液のpHを
中性域あるいはアルカリ域にしてコロイダルシリカを添
加するのがよい。
【0020】本発明において、水酸化第一鉄コロイド溶
液にコロイダルシリカを添加するもう1つの理由は、マ
グネタイト粒子に珪酸を取り込ませるのに生成機構上有
利なためである。マグネタイトの合成過程において、中
性または酸性域で合成を行う場合には中間生成物として
Green Rustが生成し、逆にアルカリ域で合成を行う場合
にはFe(OH)2 が生成し、Green RustあるいはFe
(OH)2を介してマグネタイトが生成することが知られ
ている(Bull. Chem. Soc. Jpn., 47,1646(1974)参
照)。Green RustあるいはFe(OH)2のコロイド粒子
の外側にはFeOH+ なる層が存在し、マグネタイト粒
子はこのFeOH+ 層内で生成し成長する。したがっ
て、珪酸粒子を含有するマグネタイトを合成するために
は珪酸粒子をFeOH+ 層にうまく分散させる必要があ
り、そのためコロイダルシリカを第一鉄塩溶液とアルカ
リ水溶液とを混合して得られる水酸化第一鉄コロイド溶
液に添加し、Green RustあるいはFe(OH)2のコロイ
ド粒子の外側にあるFeOH+なる層に均一に珪酸粒子
を分散させるのである。
【0021】本発明でのマグネタイト粒子の製造方法に
おいては、このように調整した水酸化第一鉄コロイドと
コロイダルシリカとの混合液を加熱しながら酸素含有ガ
スを通気してマグネタイト粒子を合成する。この加熱温
度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80〜1
00℃の範囲である。60℃より低い場合には針状ゲー
サイトが生成し易く、100℃を越える場合には工業的
に不適である。合成時のpHは酸性域、中性域、アルカ
リ域のいずれでも可能であるが、酸性域での合成では、
反応溶液中に鉄イオンが残存するため好ましくないので
中性域あるいはアルカリ域での合成が望ましい。
【0022】第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液とを混合し
て得られる水酸化第一鉄コロイド溶液へのコロイダルシ
リカの添加時期には特に限定はないが、アルカリ域でマ
グネタイトを合成する場合には、水酸化第一鉄コロイド
溶液中におけるFe(OH)2とFe3 4 との量比が
6:1〜0.5:1となる時期に、他方、中性または酸
性域でマグネタイトを合成する場合には、水酸化第一鉄
コロイド溶液中におけるGreen RustのFeをFe(O
H)2に換算し、換算したFe(OH)2とFe3 4との
量比が6:1〜0.5:1となる時期に、それぞれコロ
イダルシリカを添加するのが好ましい。
【0023】マグネタイト合成時のpHがアルカリ、中
性あるいは酸性域にかかわらず、酸化過程の水酸化第一
鉄コロイド溶液中のFe(OH)2とFe3 4 との量比
が6:1〜0.5:1となる時期にコロイダルシリカを
添加することにより、マグネタイト粒子がある程度成長
した段階で珪酸粒子を添加し、マグネタイト粒子の外郭
部や表面部に多くのマグネタイト粒子を含有、好ましく
は、マグネタイト粒子の外方向側であって、マグネタイ
ト粒子全重量に対する50重量%以下の領域に、マグネ
タイト粒子に含まれる無水珪酸の60重量%以上を含有
させることができる。このようにすることにより、コロ
イダルシリカ(珪酸粒子)添加の効果を十分に発現する
ことができ、耐湿性および樹脂中での分散性等の点でよ
り好ましい結果を得ることができる。
【0024】水酸化第一鉄コロイド溶液中のFe(O
H)2と、あるいは水酸化第一鉄コロイド溶液中のGreen
RustのFeをFe(OH)2に換算したものと、Fe3
4 との量比が6:1となるよりも早い時期にコロイダル
シリカを添加すると、マグネタイト粒子の成長が十分で
はない可能性があり、珪酸粒子がマグネタイト粒子の内
部に多く含有されてしまい、コロイダルシリカ(珪酸粒
子)を添加することによる効果を十分に得られない場合
がある。逆に、同量比が0.5:1となるよりも遅い時
期にコロイダルシリカを添加すると、マグネタイト粒子
の成長が進行しすぎて、添加した珪酸粒子がマグネタイ
ト粒子内に取り込まれずに、凝集沈殿してしまう可能性
がある。
【0025】本発明の製造方法に用いる第一鉄塩溶液と
しては、塩化第一鉄溶液、硫酸第一鉄溶液、臭化第一鉄
溶液などが使用できる。また、アルカリ水溶液としては
水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナト
リウム溶液、炭酸カリウム溶液などが使用できる。
【0026】さらに、本発明の製造方法に用いる酸素含
有ガスには特に限定はなく、通常のマグネタイト粒子の
製造に利用される各種のガスが利用可能である。具体的
には、空気、酸素ガス等が例示される。
【0027】このような本発明の方法でマグネタイト粒
子を製造することにより、無水珪酸の含有量がFe3
4 に換算したマグネタイト粒子中のFe3 4 重量に対
して0.1〜6.0重量%であり、かつ、マグネタイト
粒子の外方向側であって、マグネタイト粒子全重量に対
する50重量%以下の領域に、マグネタイト粒子に含ま
れる無水珪酸の60重量%以上が含有される、本発明の
マグネタイト粒子を製造することができる。
【0028】マグネタイト粒子中の無水珪酸の含有量を
Fe3 4 換算で0.1〜6.0重量%とすることによ
り、無水珪酸の添加による耐湿性の改善や樹脂中での分
散性改善の効果を十分に発現し、かつ磁気特性的にも好
ましいマグネタイト粒子を実現することができる。ま
た、マグネタイト粒子に含まれる無水珪酸の60重量%
以上を、マグネタイト粒子の外方向側であって、マグネ
タイト粒子全重量に対する50重量%以下の領域に含有
させることにより、マグネタイト粒子外郭部に十分な珪
酸粒子を含有せしめることができ、耐湿性が著しく改善
され、かつ樹脂中での分散性にも優れたマグネタイト粒
子を実現することができる。
【0029】次にコロイダルシリカの添加によりマグネ
タイト粒子の耐湿性や樹脂内での分散性が向上する理由
について説明する。コロイダルシリカは無水珪酸の超微
粒子を水に分散させたコロイド溶液であるので、この溶
液を添加してマグネタイトを合成することにより、疎水
性の無水珪酸の超微粒子をマグネタイト粒子中あるいは
粒子表面に取り込むことができる。このため珪酸を含有
しないマグネタイトに比べ耐湿性が改善される。また、
従来多く採用されてきた珪酸ソーダ等の珪酸塩を添加す
る方法で合成したマグネタイトの場合には、含水珪酸化
合物や含水珪酸塩が含まれるため、本発明により合成し
たマグネタイトに比べ耐湿性の面で劣る結果となる。
【0030】マグネタイト粒子の耐湿性が悪い場合に
は、マグネタイト粒子の水分含有率が高くなる傾向があ
り、粒子同士が凝集し易くなるために、樹脂中での分散
性が低下する。また、マグネタイト粒子が水分を多く含
む場合には、マグネタイト粒子の電気抵抗が下がるた
め、トナーとした場合に帯電特性が低下し、画像特性も
悪くなる。逆に、マグネタイト粒子が耐湿性に優れる場
合には、マグネタイト粒子同士が凝集しにくくなるた
め、樹脂中での分散性に優れ、また、良好な帯電特性も
得られるため、画像特性に優れたトナーが得られる。
【0031】他方、無水珪酸の添加により樹脂中でのマ
グネタイトの分散性が改善される理由については現在の
ところ明らかではないが、マグネタイト粒子に無水珪酸
が含有されることにより疎水性が高くなり、樹脂との濡
れ性が改善されるためと考えられる。
【0032】
【実施例】以下、具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0033】本発明あるいは従来のマグネタイト粒子を
各種製造し、その特性を評価した。なお、実施例および
比較例における評価方法は下記の通りである。
【0034】[比表面積]比表面積の値はBET法によ
り求めた。
【0035】[水分率]マグネタイト中の水分率は温度
40℃、湿度85%の恒温槽中に48時間保持した時の
マグネタイト中の水分量から求めた。
【0036】[飽和磁化]飽和磁化σsの値は振動試料
型磁力計(VSM)を用いて測定し、印加磁場10kO
eで測定した時の値を示した。
【0037】[分散性]マグネタイトの樹脂中での分散
性の評価にはプラスチコーダーを使用した。測定にはマ
グネタイト45重量%とスチレン樹脂55重量%を混合
したものを105℃で混練し、その時の電流値で評価し
た。分散性(混練性)はプラスチコーダーの電流値が7
0mAより高いものは分散性が悪く、70mAより低い
ほど分散性がよい。
【0038】[SiO2 粒子の確認]透過型電子顕微鏡
(TEM)観察ではマグネタイト粒子に取り込まれなか
ったSiO2 粒子の有無を調べ、エネルギー分散X線分
光法(EDX)ではSiO2粒子を含有しないマグネタ
イト粒子が存在するかどうかを確認した。
【0039】[Fe(OH)2とFe3 4 との量比(モ
ル比)]水酸化第一鉄コロイド溶液へのコロイダルシリ
カの添加時期(酸化時間)と、Fe(OH)2とFe3
4 とのモル比の変化との関係をあらかじめ調べておき、
所定の酸化時間となった際にコロイダルシリカを添加す
ることにより、Fe(OH)2とFe3 4 との量比とし
た。なお、Fe(OH)2とFe3 4 とのモル比は、F
e(OH)2を室温大気中で乾燥させると、α−FeOO
Hに変化することを利用して調べた。具体的には、反応
溶液からサンプリングした試料を室温大気中で乾燥して
Fe(OH)2とα−FeOOHとの混合物とし、X線解
析法によって定量分析を行ってFe(OH)2とFe3
4 とのモル比を算出した。
【0040】[珪酸含有率]マグネタイト粒子外郭部お
よび表面部の珪酸含有率は、以下のようにして求めた。
最初に一定量のマグネタイト粒子を40℃で一定量の3
規定塩酸に溶解する。マグネタイト粒子の外郭部が一定
量溶解したところで溶解を停止し、遠心分離器によって
沈殿物と上澄み液とを分離する。次いで、分離した上澄
み液をメンブランフィルタで濾過し、ICP発光分光分
析によって濾液中のFeおよびSiの定量分析を行い、
塩酸に溶解したマグネタイトの割合(塩酸に溶解したマ
グネタイト粒子外郭部の重量%)、およびこの部分に含
まれるSiの量を求めた。一方、分離した沈殿物は水で
洗浄した後乾燥し、乾燥後にすべて塩酸で溶解してIC
P発光分光分析によってFeおよびSiの定量分析を行
った。得られた分析結果から、溶解した部分すなわちマ
グネタイト粒子外郭部および粒子表面部の重量%、およ
びその外郭部における無水珪酸含有率を算出した。
【0041】[実施例1〜6および比較例1]内容量1
2リットルの容器に5.2mol/リットルのNaOH水溶
液2.9リットルを入れ、容器に窒素ガスを流しながら
そこにFe2+を1.5mol/リットル含む硫酸第一鉄溶液
5.0リットルを混合して水酸化第一鉄コロイド溶液を
作製した。この溶液にFe2+量をFe3 4 量に換算し
た値に対してSiO2 量が0.05〜7.0重量%の割
合になるようにコロイダルシリカを添加し、水を加えて
全体で10リットルとした。また、同時に上記水酸化第
一鉄コロイド溶液にコロイダルシリカを添加せず、水の
みを加えて10リットルとしたものも作製した。コロイ
ダルシリカを含有した、あるいは含有しない水酸化第一
鉄コロイド溶液を加熱しながら空気を通気してFe(O
H)2を酸化させてマグネタイト粒子を合成した。
【0042】得られたマグネタイト粒子粉末を水洗、濾
別、乾燥後解砕した後、比表面積、水分率、飽和磁化、
分散性を測定し、さらにTEM観察によるマグネタイト
粒子に取り込まれなかったSiO2 粒子の有無、および
EDXによるSiO2 粒子を含有しないマグネタイト粒
子の存在の有無を調査した。各マグネタイト粒子の合成
条件および評価結果を表1に示す。
【0043】表1に示されるように、コロイダルシリカ
をSiO2 量にして0.05〜7.0重量%を添加した
マグネタイト粒子は、コロイダルシリカを添加しないマ
グネタイト粒子に比して樹脂中での分散性および耐水性
が向上しており、特に、コロイダルシリカを0.1重量
%以上添加したものは、両特性共に大幅に改善されてい
る。しかしながら、コロイダルシリカの添加量が6.0
重量%を超える場合には、マグネタイトに含有されない
SiO2 粒子が観察され、コロイダルシリカの添加量は
0.1〜6.0重量%がより好適であることが示され
る。
【0044】[比較例2]内容量12リットルの容器に
5.2mol/リットルのNaOH水溶液2.9リットルを
入れ、容器に窒素ガスを流しながらそこにFe2+を1.
5mol/リットル含む硫酸第一鉄溶液5.0リットルを混
合して水酸化第一鉄コロイド溶液を作製した。この溶液
にケイ酸ソーダを第一鉄塩溶液中のFe量をFe3 4
量に換算した値に対して、SiO2 量が1.5重量%の
割合になるように添加し、水を加えて全体で10リット
ルとした。さらに得られた水酸化第一鉄コロイド溶液を
加熱しながら空気を通気してFe(OH)2を酸化させて
マグネタイト粒子を合成した。得られたマグネタイト粒
子粉末は水洗、濾別、乾燥後解砕した後、比表面積、水
分率、飽和磁化、分散性を測定した。各マグネタイト粒
子の合成条件および評価結果を表1に併記する。表1に
示されるように、コロイダルシリカを添加しないマグネ
タイト粒子(前記比較例1)に比して、樹脂中での分散
性が向上するものの、充分ではない。
【0045】[比較例3]内容量12リットルの容器に
5.2mol/リットルのNaOH水溶液2.9リットルを
張り込み、そこにケイ酸ソーダを第一鉄塩溶液中のFe
量をFe3 4 量に換算した値に対して、SiO2 量が
1.5重量%の割合になるように添加し溶解させ、容器
に窒素ガスを流しながらそこにFe2+を1.5mol/リッ
トル含む硫酸第一鉄溶液5.0リットルを混合して水酸
化第一鉄コロイド溶液を作製した。この溶液に水を加え
全体で10リットルとした。さらに得られた水酸化第一
鉄コロイド溶液を加熱しながら空気を通気してFe(O
H)2を酸化させてマグネタイト粒子を合成した。得られ
たマグネタイト粒子粉末は水洗、濾別、乾燥後解砕した
後、比表面積、水分率、飽和磁化、分散性を測定した。
各マグネタイト粒子の合成条件および評価結果を表1に
併記する。表1に示されるように、コロイダルシリカを
添加しないマグネタイト粒子(前記比較例1)に比し
て、樹脂中での分散性が向上するものの、充分ではな
い。
【0046】[実施例7〜10]内容量5リットルの容
器にFe2+を1.25mol/リットル含む塩化第一鉄塩溶
液1.2リットルを入れ、容器に窒素ガスを流しながら
そこに3.0mol/リットルのKOH溶液0.5リットル
を混合して水酸化第一鉄コロイド溶液を作製した。この
溶液にSiO2 粒径の異なるコロイダルシリカをそれぞ
れ水酸化第一鉄コロイド溶液にFe2+量をFe3 4
に換算した値に対して、SiO2 量が2.0重量%の割
合になるように添加し、水を加えて全体で4リットルと
した。さらに得られた水酸化第一鉄コロイド溶液を加熱
しながら空気を通気してFe(OH)2を酸化させてマグ
ネタイト粒子を合成した。得られたマグネタイト粒子粉
末は水洗、濾別、乾燥後解砕した後、比表面積、水分
率、飽和磁化、分散性を測定し、さらにTEM観察によ
るマグネタイト粒子に取り込まれなかったSiO 2 粒子
の有無、およびEDXによるSiO2 粒子を含有しない
マグネタイト粒子の存在の有無を調査した。各マグネタ
イト粒子の合成条件および評価結果を表1に示す。
【0047】表1に示されるように、各マグネタイト粒
子共に、コロイダルシリカを添加しないマグネタイト粒
子(前記比較例1)に比して、樹脂中での分散性および
耐水性が好適に向上している。しかしながら、SiO2
粒子径が4〜7μmの実施例9では、粒子が小さいため
に凝集体を生じてしまい、マグネタイト粒子中に含有さ
れないSiO2 や逆にSiO2 を含有しないマグネタイ
ト粒子が生じてしまう。また、SiO2 粒子径が120
〜150μmの実施例10では、SiO2 を含有しない
マグネタイト粒子が生じてしまう。これに対し、SiO
2 粒子径が10〜20μmの実施例7、およびSiO2
粒子径が70〜100μmの実施例8では、マグネタイ
ト粒子中に含有されないSiO2 やSiO2 を含有しな
いマグネタイト粒子を生じることなく、極めて良好に耐
水性および樹脂中での分散性が改善されており、コロイ
ダルシリカ中のSiO2 粒子の粒径が100nm以下、
特に10〜100nmの範囲が好ましいことが示され
る。
【0048】[比較例4]内容量12リットルの容器に
5.2mol/リットルのNaOH水溶液2.9リットルを
入れた。他方、Fe2+を1.5mol/リットル含む硫酸第
一鉄溶液5.0リットルに、Fe2+量をFe3 4 量に
換算した値に対してSiO2 量が1.5重量%となるよ
うにコロイダルシリカを添加して、コロイダルシリカを
含む硫酸第一鉄溶液を調製した。窒素ガスを流しなが
ら、NaOH水溶液にコロイダルシリカを含む硫酸第一
鉄溶液を混合して、水酸化第一鉄コロイド溶液を作製し
た。この溶液に水を加えて全体で10リットルとし、加
熱しながら空気を通気してFe(OH)2を酸化させてマ
グネタイト粒子を合成した。得られたマグネタイト粒子
粉末を水洗、濾別、乾燥後解砕した後、比表面積、水分
率、飽和磁化、分散性を測定し、さらにTEM観察によ
るマグネタイト粒子に取り込まれなかったSiO2 粒子
の有無、およびEDXによるSiO2 粒子を含有しない
マグネタイト粒子の存在の有無を調査した。マグネタイ
ト粒子の合成条件および評価結果を表1に併記する。
【0049】[比較例5]内容量12リットルの容器に
5.2mol/リットルのNaOH水溶液2.9リットルを
入れ、容器に窒素ガスを流しながら、後述する硫酸第一
鉄溶液のFe2+量をFe3 4 量に換算した値に対して
SiO2 量が1.5重量%の割合になるようにコロイダ
ルシリカを添加した。このコロイダルシリカを含むNa
OH溶液に、Fe2+を1.5mol/リットル含む硫酸第一
鉄溶液5.0リットルを混合して、水を加えて全体で1
0リットルとした。さらに得られた溶液を加熱しながら
空気を通気してFe(OH)2を酸化させてマグネタイト
粒子を合成した。得られたマグネタイト粒子粉末を水
洗、濾別、乾燥後解砕した後、比表面積、水分率、飽和
磁化、分散性を測定し、さらにTEM観察によるマグネ
タイト粒子に取り込まれなかったSiO2 粒子の有無、
およびEDXによるSiO2 粒子を含有しないマグネタ
イト粒子の存在の有無を調査した。マグネタイト粒子の
合成条件および評価結果を表1に併記する。
【0050】表1に示されるように、コロイダルシリカ
を水酸化第一鉄溶液に添加した前記各実施例では、マグ
ネタイト粒子中に含有されないSiO2 や、SiO2
含有しないマグネタイト粒子が生じることがなく、耐水
性および樹脂中での分散性が改善されている。これに対
し、実施例2と同量のコロイダルシリカを、NaOH溶
液あるいは第一鉄塩溶液(硫酸第一鉄溶液)に添加した
比較例4および5では、マグネタイト粒子中に含有され
ないSiO2 や、SiO2 を含有しないマグネタイト粒
子が生じ、また、耐湿性や樹脂中での分散性も十分では
ない。
【0051】[実施例11〜14]Fe2+を1.25mo
l/リットル含む塩化第一鉄塩溶液2.4リットルと3.
0mol/リットルの炭酸ナトリウム溶液0.5リットルを
混合し、さらに水を0.6リットル加えて水酸化第一鉄
コロイド溶液を作製した。この溶液に conc.HClを加
えて所定のpHの溶液にした後、コロイダルシリカを所
定量添加し、今度はアンモニア水を添加して溶液のpH
を所定値に設定し、さらに得られた溶液を加熱しながら
空気を通気してFe(OH)2を酸化させてマグネタイト
粒子を合成した。得られたマグネタイト粒子粉末は水
洗、濾別、乾燥後解砕した後、比表面積、水分率、飽和
磁化を測定した。各マグネタイト粒子の合成条件および
評価結果を表1に併記する。
【0052】[実施例15〜17]Fe2+を1.25mo
l/リットル含む臭化第一鉄溶液2.4リットルと3.0
mol/リットルの炭酸カリウム溶液0.5リットルを混合
し、さらに水を0.6リットル加えて水酸化第一鉄コロ
イド溶液を作製した。この溶液にアンモニア水を加えて
所定のpHの溶液にした後、コロイダルシリカを所定量
添加した。さらに得られた溶液を加熱しながら空気を通
気してFe(OH)2を酸化させてマグネタイト粒子を合
成した。得られたマグネタイト粒子粉末は水洗、濾別、
乾燥後解砕した後、比表面積、水分率、飽和磁化を測定
した。各マグネタイト粒子の合成条件および評価結果を
表1に併記する。
【0053】上記実施例11〜14および15〜17共
に、各マグネタイト粒子共に、コロイダルシリカを添加
しないマグネタイト粒子(前記比較例1)に比して耐水
性が向上している。また、分散性も良好であった。しか
しながら、コロイダルシリカ添加時のpHが1.3の実
施例14およびコロイダルシリカ添加時のpHが12の
実施例17では、マグネタイト粒子中に含有されないS
iO2 や逆にSiO2 を含有しないマグネタイト粒子が
生じてしまう。これに対し、コロイダルシリカ添加時の
pHが2.3〜11の実施例11〜13、実施例15〜
16では、マグネタイト粒子中に含有されないSiO2
やSiO2 を含有しないマグネタイト粒子を生じること
なく、極めて良好に耐水性および樹脂中での分散性が改
善されており、コロイダルシリカを添加する際の水酸化
第一鉄コロイド溶液がpH2〜11であるのが好ましい
ことが示される。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】[実施例18〜28]5.2mol/リットル
のNaOH水溶液あるいはKOH溶液に、Fe2+を1.
3mol/リットル含む硫酸第一鉄溶液あるいは塩化第一鉄
を所定量、窒素雰囲気下で混合して水酸化第一鉄コロイ
ド溶液を作製し、さらにこの溶液のpHを所定値とする
ため、NaOH水溶液、KOH水溶液あるいはHCl水
溶液を添加した。この溶液を加熱しながら空気を通気し
てFe(OH)2またはGreen Rustを酸化させてマグネタ
イト粒子を合成し、さらに、Fe(OH)2とFe3 4
とのモル比が所定の条件に到達した時(所定の酸化時
間)にコロイダルシリカを添加してさらに酸化を続け
た。
【0058】得られたマグネタイト粒子粉末を水洗、濾
別、乾燥後解砕した後、前記外郭部重量および珪素含有
率、さらにマグネタイト粒子の比表面積、水分率、飽和
磁化、分散性を測定し、さらにTEM観察によるマグネ
タイト粒子に取り込まれなかったSiO2 粒子の有無、
およびEDXによるSiO2 粒子を含有しないマグネタ
イト粒子の存在の有無を調査した。各マグネタイト粒子
の合成条件および評価結果を表2に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】表2に示されるように、各マグネタイト粒
子共に、コロイダルシリカを添加しないマグネタイト粒
子(前記比較例1)に比して、樹脂中での分散性および
耐水性が好適に向上している。しかしながら、コロイダ
ルシリカ添加時期が酸化反応を開始する直前(実施例2
4)や、Fe(OH)2とFe3 4 とのモル比が8:1
と酸化反応がそれほど進行していない場合(実施例2
5)には、マグネタイト粒子表面の酸化珪素含有量が低
く、樹脂中での分散性および耐水性の改善効果が余り大
きくない。また、コロイダルシリカ添加時期が酸化反応
がかなり進行した状態である、Fe(OH)2とFe3
4 とのモル比が0.3:1の場合(実施例26)では、
SiO2 を含有しないマグネタイト粒子が生じてしま
う。
【0062】これに対し、Fe(OH)2とFe3 4
のモル比が6:1〜0.5:1である実施例24〜28
では、マグネタイト粒子中に含有されないSiO2 やS
iO 2 を含有しないマグネタイト粒子を生じることな
く、極めて良好に耐水性および樹脂中での分散性が改善
されており、コロイダルシリカの添加時期が水酸化第一
鉄塩コロイド溶液中のFe(OH)2とFe3 4 とのモ
ル比が6:1〜0.5:1となる時期であるのが好まし
いことが示される。
【0063】また、コロイダルシリカの添加時期が適正
であっても、コロイダルシリカの添加量が0.05重量
%である実施例27では酸化珪素の添加効果が十分に発
現できず分散性改善効果が低く、他方、コロイダルシリ
カの添加量が6.3重量%である実施例28では、マグ
ネタイト粒子に含有されないSiO2 粒子が観察され、
コロイダルシリカの添加量は0.1〜6.0重量%がよ
り好適であることが示される。以上の結果より本発明の
効果は明らかである。
【0064】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、耐湿性に優
れ、また樹脂中での分散性に優れたマグネタイトを提供
することが可能である。したがって従来に比べ、トナー
にした場合の流動性が改善され、一成分系トナーの画像
特性の向上に寄与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 来 島 慎 一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 矢 野 憲 一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 竹 内 徹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一鉄塩溶液とアルカリ水溶液とを混合し
    て得られた水酸化第一鉄コロイド溶液に酸素含有ガスを
    通気してマグネタイト粒子を合成する方法において、 前記水酸化第一鉄コロイドにコロイダルシリカを添加す
    ることを特徴とするマグネタイト粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記第一鉄塩溶液中のFe2+量をFe3
    4 量に換算した値に対してSiO2量が0.1〜6.0
    重量%の割合になるようにコロイダルシリカを添加する
    請求項1に記載のマグネタイト粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】コロイダルシリカ中のSiO2 粒子の粒径
    が100nm以下である請求項1または2に記載のマグ
    ネタイト粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】コロイダルシリカを添加する際の前記水酸
    化第一鉄コロイド溶液のpHが2〜11である請求項1
    〜3のいずれかに記載のマグネタイト粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】前記水酸化第一鉄コロイド溶液中のFe
    (OH)2とFe3 4 とのモル比が6:1〜0.5:1
    である時期にコロイダルシリカを添加する請求項1〜4
    のいずれかに記載のマグネタイト粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】無水珪酸を含有するマグネタイト粒子であ
    って、無水珪酸がマグネタイト粒子中のFe3 4 に対
    して0.1〜6.0重量%含有され、かつ、マグネタイ
    ト粒子の外方向側であって、マグネタイト粒子全重量に
    対する50重量%以下の領域に、マグネタイト粒子に含
    まれる無水珪酸の60重量%以上が含有されることを特
    徴とするマグネタイト粒子。
JP6033686A 1993-09-21 1994-03-03 マグネタイト粒子およびその製造方法 Withdrawn JPH07138023A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008041691A (ja) * 2006-08-01 2008-02-21 Nec Tokin Corp 複合磁性材料、および複合磁性材料の製造方法
CN103268797A (zh) * 2013-05-07 2013-08-28 福州大学 一种亲水磁性介孔微球及其制备方法与应用
CN111747451A (zh) * 2020-07-09 2020-10-09 复旦大学 一种四氧化三铁/介孔二氧化硅磁性复合粒子及其超组装方法

Cited By (5)

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JP4646238B2 (ja) * 2006-08-01 2011-03-09 Necトーキン株式会社 複合磁性材料、および複合磁性材料の製造方法
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