JPH08325098A - 微粒子マグネタイト及びその製造方法 - Google Patents

微粒子マグネタイト及びその製造方法

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JPH08325098A
JPH08325098A JP16442895A JP16442895A JPH08325098A JP H08325098 A JPH08325098 A JP H08325098A JP 16442895 A JP16442895 A JP 16442895A JP 16442895 A JP16442895 A JP 16442895A JP H08325098 A JPH08325098 A JP H08325098A
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magnetite
range
ferric
slurry
single crystal
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JP16442895A
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Yoshiki Fukatsu
良樹 深津
Mizuho Wada
瑞穂 和田
Yoichi Yamada
洋一 山田
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Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】それぞれの粒子が単結晶からなり、表面状態が
粒子として最も安定であって、従って、凝集エネルギー
が最小限に抑制され、その結果として、分散性にすぐ
れ、粒度分布が狭く、非針状性であるマグネタイト粒子
と、その製造方法を提供することにある。 【構成】本発明によるマグネタイトは、平均粒子径が
0.01〜0.08μmの範囲にあり、単結晶からな
り、10KOe(エルステッド)における飽和磁束密度
(σs)が70〜90cmu/gの範囲にあり、抗磁力
(Hc)が70〜1000e(エルステッド)の範囲に
あり、非針状性であることを特徴とする。本発明による
かかるマグネタイトは、本発明に従って、第二鉄塩水溶
液を5〜40℃の範囲の温度でアルカリ水溶液にて中和
し、生成した水酸化第二鉄を濾過し、水洗した後、水に
分散させ、全第二鉄イオンの3分の1を還元するに足り
る量の還元剤を添加し、pHを7〜11の範囲のスラリ
ーとし、次いで、これを120〜200℃の温度にて、
水熱反応させることによって得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単結晶からなり、超微
細で非針状性のマグネタイトと、その製造方法に関す
る。本発明によるマグネタイトは、超微細のうえに、粒
度分布が狭く、分散性にすぐれることから、塗料、イン
ク、化粧品、ゴム、プラスチック等の着色充填剤として
有用である。更に、本発明によるマグネタイトは、単結
晶からなり、飽和磁束密度(σs)及び抗磁力(Hc)
が高いことから、磁性トナー、磁性流体等の主原料や、
また、フェライト用原料としても好適である。
【0002】
【従来の技術】非針状性のマグネタイトは、従来、黒色
顔料や磁性トナーの主原料として使用されている。ま
た、赤色顔料であるα−酸化第二鉄の中間体としても、
用いられている。通常、顔料用としては、隠蔽力の点か
ら、平均粒径0.1μm以上のものが用いられている
が、0.1μm以下のものも、透明性等の点から特殊な
用途に用いられている。また、磁性トナー用としては、
鮮明で解像度の高い画像を得るために、原料であるマグ
ネタイトの微細化が進んでいる。
【0003】一般に、粒子の特性として、粒子が小さく
なるにつれて、表面エネルギーが増大し、従って、粒子
は相互に凝集しやすくなり、そして、この凝集した複数
の粒子をそれぞれ個々の粒子として分散させるために
は、多大のエネルギーを必要とする。また、粒子は個々
の粒子として分散させても、再び、凝集する性質が強
い。特に、粒子径が0.01〜0.08μmの範囲にあ
る超微細粒子は、その傾向が著しく大きい。
【0004】従って、一般に、超微細粒子の実用的な用
途の拡大を図るためには、粉体の最も基本的な特性であ
る分散性と分散安定性を如何に改良するかが、大きな技
術的課題となっている。加えて、マグネタイト粒子は、
磁気凝集性を有するため、前述した課題の解決が一層重
要である。このような課題の解決手段の一つとして、平
均粒子径に見合った表面積をもつ粒子、換言すれば、そ
の平均粒子径で最も安定な表面状態を有する単結晶体を
生成させるのが好ましい。
【0005】また、磁性トナーの原料として、超微細な
マグネタイトを使用する場合、粒径の大きいものと比較
して、飽和磁束密度(σs)や抗磁力(Hc)が小さく
なるため、トナー中のマグネタイトの割合を高くする必
要が生じてくる。その結果、トナー中のマグネタイト粒
子の分散が困難になり、鮮明で解像度の高い画像を得る
ことが妨げられることとなる。従って、磁性トナーの原
料として、超微細なマグネタイトを使用する場合、前述
したような超微細粒子の用途拡大のための技術的課題で
ある分散性と分散安定性の改良に加えて、飽和磁束密度
(σs)と抗磁力(Hc)の向上が望まれる。
【0006】飽和磁束密度(σs)と抗磁力(Hc)の
向上の要因としても、やはりマグネタイト粒子を単結晶
体として生成させることが有力な方法の一つである。但
し、これら磁気特性は、大きすぎるときは、マグネタイ
ト粒子の磁気凝集性も大きくなるので、飽和磁束密度
(σs)は、10KOeにおいて、70〜90emu/
gの範囲にあり、抗磁力(Hc)は70〜100Oeの
範囲にあるのが磁性トナーの原料として適当な値である
と考えられる。
【0007】従来より、マグネタイトの製造方法とし
て、還元法と沈殿法が知られている。還元法としては、
例えば、α−酸化第二鉄を還元性物質の存在下で焼成
し、還元して、マグネタイトとする方法が知られてい
る。しかし、この方法でマグネタイトを得るには、結晶
変態を経なければならないので、単結晶のマグネタイト
粒子を生成させるのは困難である。また、上記方法は、
250℃以上の加熱処理を含み、粒子相互の焼結を生じ
るので、分散性の良好な粒子を得ることはできない。
【0008】一方、沈澱法としては、第一鉄塩溶液にア
ルカリを加え、水酸化第一鉄の懸濁液を得、これを加
熱、酸化して、マグネタイトとする方法や、第一鉄塩と
第二鉄塩との混合水溶液にアルカリを添加して、マグネ
タイト粒子を得る方法等が知られている。また、第一鉄
イオンと第二鉄イオンの組成比を1.1〜1.5に制御
した溶液にアルカリを添加し、その後、50〜70℃の
温度で酸化して、超微粒のマグネタイト粒子を得る方法
も提案されている(特公平2−23655号公報)。
【0009】しかし、これらの方法によれば、いずれも
加熱処理の温度が100℃以下であるので、得られる反
応生成物は、表面状態が活性であり、そのために凝集し
やすく、分散性が十分でない。また、得られた粒子は、
粒子径が100オングストローム以下の結晶性の悪いも
のであるか、又は多結晶体である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のマグ
ネタイト及びその製造における上述した種々の問題を解
決するためになされたものであって、それぞれの粒子が
単結晶からなり、表面状態が粒子として最も安定であっ
て、従って、凝集エネルギーが最小限に抑制され、その
結果として、分散性にすぐれ、粒度分布が狭く、且つ、
飽和磁束密度(σs)と抗磁力(Hc)が大きい非針状
性のマグネタイト粒子と、その製造方法を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるマグネタイ
トは、平均粒子径が0.01〜0.08μmの範囲にあ
り、単結晶からなり、10KOe(エルステッド)にお
ける飽和磁束密度(σs)が70〜90emu/gの範
囲にあり、抗磁力(Hc)が70〜100Oeの範囲に
あり、非針状性であることを特徴とする。
【0012】本発明において、非針状性とは、粒子の形
状がほぼ立方体状であるか、又はほぼ球状であることを
いう。
【0013】本発明によるマグネタイトの製造方法は、
第二鉄塩水溶液を5〜40℃の範囲の温度でアルカリ水
溶液にて中和し、生成した水酸化第二鉄を濾過し、水洗
した後、水に分散させ、全第二鉄イオンの3分の1を還
元するに足りる量の還元剤を添加し、pHを7〜11の
範囲のスラリーとし、次いで、これを120〜200℃
の温度にて、水熱反応させることを特徴とする。
【0014】先ず、本発明によるマグネタイトの製造方
法について説明する。本発明において、第二鉄塩として
は、硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を挙げることができる。
一方、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属の水溶液が好まし
い。
【0015】本発明の方法によれば、上記第二鉄塩水溶
液をアルカリ水溶液にて5〜40℃の温度で中和する
が、この場合において、第二鉄塩水溶液にアルカリ水溶
液を添加してもよいし、その逆でもよい。また、好まし
くは、水を入れた適宜の容器中に同時に添加して、中和
反応を行なってもよい。本発明によれば、このような中
和反応に際して、生成する第二鉄塩の濃度が0.025
〜0.5mol/L、好ましくは、0.05〜0.3m
ol/Lの範囲になるように、中和条件を適宜に調節す
ることが好ましい。
【0016】上記中和反応の温度は、5〜40℃の範囲
であることが必要である。中和温度が40℃を越えると
きは、最終的に得られるマグネタイトの粒度分布が著し
く広くなる。他方、5℃よりも低いときは、過剰な冷却
が必要であり、反応経済上、不利である。
【0017】このようにして得られた水酸化第二鉄は、
通常の手段及び方法によって濾過し、水洗すればよい。
但し、その水洗の程度は、得られる水酸化第二鉄を、再
度、水に分散させて、スラリーとするときに、スラリー
中の陰イオン濃度が100〜5000ppmになるよう
にするのが好ましい。陰イオン濃度を100ppmより
少なくするには、過剰な水洗が必要となり、経済上、不
利である。しかし、5000ppmを越えるときは、最
終的に得られるマグネタイトの粒度分布が著しく広くな
る。更に、本発明によればこのようにして、水酸化第二
鉄を水に分散させ、スラリーとするとき、そのスラリー
濃度は、水酸化第二鉄として、0.1〜0.8mol/
L、好ましくは、0.3〜0.6mol/Lの範囲であ
る。
【0018】水酸化第二鉄のスラリーにおいて、水酸化
第二鉄の濃度が0.1mol/Lより小さいときは、反
応経済上不利であり、他方、濃度が0.8mol/Lを
越えるときは、次工程の水熱反応が不均一となり、得ら
れるマグネタイトの粒度分布が広いものとなる。
【0019】このようにして、所定の濃度の水酸化第二
鉄のスラリーを調製した後、これに、スラリー中の全第
二鉄イオンの3分の1を還元するに足りる量の還元剤を
添加し、そのpHを7〜11の範囲に調整する。スラリ
ー中の全第二鉄イオンの3分の1を還元するには、通
常、理論量の1.0〜1.5倍量を用いればよい。ここ
に、用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、ハイ
ドロサルファイト、ロンガリット等を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではなく、水酸化第二鉄
のスラリー中の第二鉄イオンを第一鉄イオンに還元する
還元力を有する物質であればよい。
【0020】還元剤の量が水酸化第二鉄スラリー中の第
二鉄イオンの3分の1を還元するのに不足するときは、
一部マグネタイトは生成するが、α−酸化第二鉄やゲー
サイトが混成する。他方、還元剤を過剰に用いた場合、
通常、1.5倍量を越える場合は、反応経済上、不利で
あるほか、通常のマグネタイトよりも第一鉄イオンが多
く、安定性の劣る化合物が生成することがある。
【0021】還元剤を添加した後、アルカリ水溶液にて
pHを調整する。ここに、pHが7より低いときは、α
−酸化第二鉄やゲーサイドがマグネタイト中に混成し、
他方、pHが11より高いときは、得られる粒子が10
0オングストローム以下の結晶性の悪い粒子を含む粒度
分布の広いものとなる。
【0022】本発明において、水熱反応は120〜20
0℃の範囲の温度で行なう。本発明の水熱反応とは、水
酸化第二鉄のスラリーを加圧下に120〜200℃の範
囲の温度に加熱することをいい、反応温度が120℃よ
りも低いときは、得られる粒子が粒子径100オングス
トローム以下の結晶性の悪い粒子を含み、粒度分布の広
いものとなる。しかし、反応温度が200℃を越えると
きは、水熱反応を行なうための反応容器、通常は、オー
トクレーブの構造上、不利であるほか、熱エネルギー的
にも不利である。
【0023】このように、本発明の方法によれば、水酸
化第二鉄のスラリーを水熱反応させることによって、目
的とするマグネタイトを得ることがてきる。本発明の方
法に従って得られるマグネタイトは、平均粒子径が0.
01〜0.08μmの範囲にあり、その形状は、非針
状、即ち、ほぼ立方状であるか、又はほぼ球状であっ
て、しかも、平均粒子径と結晶子径がほぼ一致すると共
に、比表面積の実測値と計算値もほぼ一致し、かくし
て、単結晶からなるものである。更に、本発明の方法に
従って得られるマグネタイトは、10K0eにおける飽
和磁束密度(σs)が70〜90emu/gの範囲にあ
り、且つ、抗磁力(Hc)が70〜100Oeの範囲に
ある。
【0024】従って、本発明によるマグネタイトは、そ
れぞれの粒子が単結晶からなり、表面状態が最も安定で
あって、凝集エネルギーが最小限に抑制されるので、分
散性に極めてすぐれている。また、マグネタイトは、酸
化されやすい物質であり、微粒であればあるほど、その
傾向が強くなる。従って、生成したマグネタイトの酸化
を防止することを目的として、その表面にシリカやアル
ミナ等の酸化物を被着させてもよい。
【0025】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を説
明するが、本発明は、これらの実施例により、何ら限定
されるものではない。以下において、平均粒子径は、電
子顕微鏡から測定した数値の平均値であり、比表面積は
BET法にて測定した値である。比較のために、生成物
の真比重を測定すると共に、粒子形状を真球状と仮定
し、これより比表面積の理論値を算出した。
【0026】生成物の同定はX線回折法にて行ない、結
晶子径をホールの式により算出した。また、マグネタイ
トの磁気特性は、振動試料型磁力計(東英工業VSM−
P7−15型)にて、最高磁場10KOeで測定した。
分散性は、下記の塗料組成物をペイントシェーカーで3
時間、分散処理した後、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に乾燥膜厚が約5μmになろように塗布し、乾
燥させた後、60度グロスを測定した。
【0027】 生成物 80.9重量部 塩化ビニル樹脂 7.1重量部 ウレタン樹脂 10.5重量部 レシチン 0.4重量部 メチルエチルケトン 56.2重量部 トルエン 56.2重量部 シクロヘキサノン 48.2重量部
【0028】実施例1 ディスパー攪拌機を取り付けた有効容量3リットルの反
応槽に溢出口まで水を注入した。攪拌機を1500rp
mで回転しながら、攪拌翼の直下に0.2mol/L塩
化第二鉄水溶液と0.6mol/L水酸化ナトリウム水
溶液をそれぞれ100ml/分で添加した。中和pHを
7.5±0.2、中和温度を40℃に保持しながら、こ
のようにして、同時に中和を続け、生成した水酸化第二
鉄濃度が0.1mol/Lに達して30分後から、溢出
液を貯留し、濾過、水洗した。
【0029】このようにして得られた濾過ケーキを解砕
し、濃度を水酸化第二鉄として、0.5mol/Lとし
た。このスラリーの塩素濃度は2000ppm、pHは
6.5であった。この0.5mol/L水酸化第二鉄ス
ラリー300mlを秤り取り、ビーカー内で攪拌しなが
ら、これにロンガリット3.85gを添加し、5分間攪
拌を続けた後、pHを水酸化ナトリウム水溶液で10に
調整し、300ml容量のオートクレーブに入れ、17
0℃で2時間、水熱反応を行なった。反応終了後、得ら
れた生成物を冷却し、濾過、水洗した後、減圧下で乾燥
した。
【0030】このようにして得られた反応生成物はマグ
ネタイトであり、平均粒子径0.02μmのほぼ球状粒
子で、粒度分布の狭いものであった。図1は、その粒子
形状を示す透過型電子顕微鏡写真(10万倍)である。
また、得られたマグネタイトの粒子径分布、比表面積及
び磁気特性を表1に示すように、比表面積の実測値と計
算値がほぼ一致し、結晶子径と平均粒子径がほぼ一致す
ることから、得られたマグネタイトが単結晶からなるこ
とが示された。
【0031】実施例2 実施例1と同様にして、得られた水酸化第二鉄の0.5
mol/Lのスラリー300mlに30重量%のヒドラ
ジン一水塩水溶液3.12gを添加し、5分間攪拌を続
けた後、pHを水酸化ナトリウム水溶液で10に調整
し、300ml容量のオートグレーブに入れ、140℃
で4時間、水熱反応を行なった。反応終了後、得られた
生成物を冷却し、濾過、水洗した後、減圧下で乾燥し
た。
【0032】このようにして得られた反応生成物はマグ
ネタイトであり、平均粒子径0.06μmのほぼ球状粒
子で、粒度分布の狭いものであった。また、得られたマ
グネタイトの粒子径分布、比表面積及び磁気特性を表1
に示すように、比表面積の実測値がほぼ一致し、結晶子
径と平均粒子径がほぼ一致することから、得られたマグ
ネタイトが単結晶からなることが示された。
【0033】実施例3 0.1mol/L塩化第二鉄水溶液3リットルを反応槽
中で攪拌し、温度を20℃とした。これに4mol/L
水酸化ナトリウム水溶液を20分かけて添加し、DH7
としてから、更に、30分間攪拌した。この間、温度は
20℃の一定となるようにした。このようにして得られ
た水酸化第二鉄を濾過、水洗した後、濾過ケーキを解砕
し、濃度を水酸化第二鉄として、0.5mol/Lとし
た。このスラリーの塩素濃度は3000ppm、pHは
7.0であった。
【0034】この0.5mol/L水酸化第二鉄スラリ
ー300mlを秤り取り、ビーカー内で攪拌しながら、
ロンガリット3.85gを添加し、5分間攪拌続けた
後、pHを10に調整し、300ml容量のオートクレ
ーブに入れて、170℃で2時間、水熱反応を行なっ
た。反応終了後、得られた反応生成物を冷却し、濾過、
水洗した後、減圧下で乾燥した。
【0035】このようにして得られた反応生成物はマグ
ネタイトであり、平均粒子径0.03μmのほぼ球状粒
子で、粒度分布の狭いものであった。また、得られたマ
グネタイトの粒子径分布、比表面積及び磁気特性を表1
に示すように、比表面積の実測値と計算値がほぼ一致
し、結晶子径と平均粒子径がほぼ一致することから、得
られたマグネタイトが単結晶からなることが示された。
【0036】実施例4 実施例3と同様にして、得られた水酸化第二鉄の0.5
mol/Lのスラリー300mlにハイドロサルファイ
ト5.22gを添加し、5分間攪拌を続けた後、水酸化
ナトリウム水溶液にてpHを10に調整し、300ml
容量のオートクレーブに入れ、170℃で2時間水熱反
応を行なった。反応終了後、得られた生成物を冷却し、
濾過、水洗した後、減圧下で乾燥した。
【0037】このようにして得られた反応生成物はマグ
ネタイトであり、平均粒子径0.03μmのほぼ球状粒
子で、粒度分布の狭いものであった。また、得られたマ
グネタイトの粒子径分布、比表面積及び磁気特性を表1
に示すように、比表面積の実測値と計算値がほぼ一致
し、結晶子径と平均粒子径がほぼ一致することから、得
られたマグネタイトが単結晶からなることが示された。
【0038】比較例1 実施例1と同様にして、得られた水酸化第二鉄の0.5
mol/Lのスラリー300mlをビーカー内で攪拌し
ながら、ロンガリット3.85gを添加し、5分間攪拌
続けた後、pHを10に調整し、90℃で8時間加熱反
応させた。得られた反応生成物を冷却し、濾過、水洗し
た後、減圧下で乾燥した。このようにして得られた反応
生成物はマグネタイトであり、0.005〜0.05μ
mの粒度分布の広い粒子が観察された。図2は、その粒
子構造を示す透過型電子顕微鏡写真(10万倍)であ
る。得られたマグネタイトの粒子径分布、比表面積及び
磁気特性を表1に示す。
【0039】比較例2 実施例1と同様にして得られた水酸化第二鉄の0.5m
ol/Lのスラリー300mlに30重量%のヒドラジ
ン一水塩水溶液3.12gを添加し、5分間攪拌を続け
た後、硫酸にてpHを6に調整し、140℃で4時間加
熱反応させた。得られた反応生成物を冷却し、濾過、水
洗した後、減圧下で乾燥した。このようにして得られた
反応生成物は、マグネタイトとα−酸化第二鉄の混合物
であり、0.005〜0.05μmの粒度分布の広い粒
子が観察された。図3は、その粒子構造を示す透過型電
子顕微鏡写真(10万倍)である。得られた反応生成物
の粒子径分布、比表面積及びX線解析結果を表1に示す
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によるマグネタイ
トの粒子は、超微細の単結晶からなり、粒度分布も狭い
ことから、分散性に極めてすぐれている。従って、塗
料、インク、化粧品、ゴム、プラスチック等の着色充填
剤として有用である。更に、本発明によるマグネタイト
は、単結晶からなり、飽和磁束密度(σs)及び抗磁力
(Hc)が高いことから、磁性トナーや磁性流体等の主
原料、また、フェライト用原料としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の方法(実施例1)によって得られ
たマグネタイトの粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真
(10万倍)である。
【図2】は、比較例1によって得られたマグネタイトの
粒子構造を示す透過型電子顕微鏡写真(10万倍)であ
る。
【図3】は、比較例2によって得られた反応生成物の粒
子構造を示す透過型電子顕微鏡写真(10万倍)であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が0.01〜0.08μmの範
    囲にあり、単結晶からなり、非針状性であることを特徴
    とするマグネタイト。
  2. 【請求項2】平均粒子径が、0.01〜0.08μmの
    範囲にあり、単結晶からなり、10KOeにおける飽和
    磁束密度(σs)が70〜90emu/g、抗磁力(H
    c)が70〜100Oeであり、非針状性であることを
    特徴とするマグネタイト。
  3. 【請求項3】第二鉄塩水溶液を5〜40℃の範囲の温度
    でアルカリ水溶液にて中和し、生成した水酸化第二鉄を
    濾過し、水洗した後、水に分散させ、全第二鉄イオンの
    3分の1を還元するに足りる量の還元剤を添加し、pH
    を7〜11の範囲のスラリーとし、次いで、これを12
    0〜200℃の温度にて、水熱反応させることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のマグネタイトの製造方法。
  4. 【請求項4】還元剤がロンガリット、ヒドラジン又はハ
    イドロサルファイトである請求項3記載のマグネタイト
    の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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